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ダメージコントロール

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ダメージコントロール英語えいご: damage control)とは、物理ぶつりてき攻撃こうげき衝撃しょうげきけたさいに、そのダメージや被害ひがい必要ひつよう最小限さいしょうげんめる「事後じご処置しょち」をす。通称つうしょうダメコン」などとばれる。自動車じどうしゃ分野ぶんや医療いりょう分野ぶんや格闘技かくとうぎなどのスポーツ、軍事ぐんじ分野ぶんやなどで使つかわれる。

軍事ぐんじ

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概要がいよう

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2はつエグゾセ被弾ひだんし、けむりげながら傾斜けいしゃする「スターク」。
艦橋かんきょう・CICなど枢要すうよう区画くかく焼損しょうそんし、ミサイルだんにもせまったが、適切てきせつ応急おうきゅう対処たいしょにより鎮火ちんか成功せいこうした。

軍事ぐんじ分野ぶんやにおけるダメージコントロール(英語えいご: Damage control)は、とく火災かさい衝突しょうとつ座礁ざしょうあるいは爆発ばくはつひとし発生はっせいした艦船かんせんにおいて、水密すいみつ気密きみつたもち、予備よび浮力ふりょく復原力ふくげんりょく維持いじし、可燃かねんぶつ除去じょきょ火災かさい鎮火ちんかさせ、ガスけむり排除はいじょ常用じょうようかく装置そうち準備じゅんび被害ひがい拡大かくだいめ、負傷ふしょうしゃ処置しょちし、さらに故障こしょう復旧ふっきゅう所要しょよう動力どうりょくとう供給きょうきゅうすることである[1]

一般いっぱんてき装甲そうこう強化きょうかするといった被害ひがい自体じたいけないようにする行為こういは「ダメージコントロール」の分野ぶんやにはふくまれず、あくまで被害ひがいけた場合ばあいにその被害ひがい局限きょくげん対策たいさくす。

防火ぼうか

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艦艇かんてい火災かさいは、応急おうきゅう対策たいさくじょう下記かきの3種類しゅるいけられる[2]

  • A火災かさい - 一般いっぱん火災かさい
  • B火災かさい - あぶら火災かさい
  • C火災かさい - 電気でんき火災かさい

これらのうち、一般いっぱん火災かさいたいしては通常つうじょう海水かいすいによる消火しょうか対応たいおう可能かのうであるが、あぶら電気でんき火災かさいたいしては原則げんそくてき海水かいすい使用しよう不可ふかである(万能ばんのうノズルを使つかえばあぶら火災かさいには対応たいおう可能かのう)ため、化学かがく消火しょうか装置そうちによる対応たいおう必要ひつようとなる[2]

海水かいすい消火しょうかかん装置そうち

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海水かいすい消火しょうかかん装置そうちFire main system)は、消火しょうかえきとして海水かいすい使用しようする装置そうちである。海水かいすいは、船底ふなそこ海水かいすい吸入きゅうにゅうばこ(sea chest)からげられて消火しょうか海水かいすいかんつうすいされたのち、上方かみがた消火しょうか主管しゅかんみちびかれる。これらの循環じゅんかんは、機械きかいしつなどに分散ぶんさん配置はいちされている消火しょうか海水かいすいポンプ動力どうりょくとしている。海上かいじょう自衛隊じえいたい護衛ごえいかん場合ばあい通例つうれい消火しょうか主管しゅかんだい2甲板かんぱん応急おうきゅう甲板かんぱんじょう配置はいちされており、かん被害ひがいけた場合ばあい防御ぼうぎょ考慮こうりょして、なるべく舷側げんそくけて船体せんたい中心ちゅうしんせて配管はいかんされる。また損傷そんしょう機能きのう損失そんしつ最低限さいていげんおさえるため、大型おおがた護衛ごえいかん場合ばあいかん中央ちゅうおう前後ぜんこう消火しょうか主管しゅかん左右さゆうけるリングメイン方式ほうしき採用さいようしており、前後ぜんご2区分くぶん以上いじょう左右さゆうふなばた2区分くぶん以上いじょうで、けい4区分くぶん以上いじょう分割ぶんかつされる[2]。このほか、かたふなばたぶんしるべしつらえする甲板かんぱんえる場合ばあいもある[3]

消火しょうか主管しゅかんからは、かく水防すいぼう区画くかくないえだかんみちびけしつらえし、消火栓しょうかせんもうけられている。消火栓しょうかせん同士どうし距離きょりは15メートルちょうのホース2ほん接続せつぞくできる範囲はんいないとされているが、これは、かり損傷そんしょうによって艦内かんない1区画くかくない消火しょうか主管しゅかん使用しよう不能ふのうになった場合ばあい当該とうがい区画くかく消火栓しょうかせんを、区画くかく消火しょうか主管しゅかんぞくする消火栓しょうかせんとホースによって接続せつぞくし、仕切じきりべん閉鎖へいさすることで、損傷そんしょう箇所かしょ迂回うかいして海水かいすいみちびくことで、海水かいすい循環じゅんかん極力きょくりょく維持いじするための措置そちである。また入渠にゅうきょちゅう消火しょうか海水かいすいポンプが停止ていしされることから、1甲板かんぱんじょう消火栓しょうかせん陸上りくじょう消火栓しょうかせんをホースで接続せつぞくすることで艦内かんない火災かさいそなえている[2]

この消火栓しょうかせんには、消火しょうか管内かんない海藻かいそうるいによる出力しゅつりょく低下ていかふせぐため、(strainer)がもうけられている。ここに消火しょうかホースを接続せつぞくして、ホース先端せんたんのノズルから放水ほうすいおこなうことができる。ノズルとしては万能ばんのうノズルがひろもちいられているが、これはハンドルの位置いちによって、通常つうじょう直射ちょくしゃ放水ほうすいのほかにみずきりとしての噴霧ふんむ放水ほうすい実施じっしでき、これによってあぶら火災かさいへの対応たいおう可能かのうとしている。また火災かさい箇所かしょからはなれた場所ばしょから放水ほうすいできるよう、ノズル先端せんたんにアプリケータをけることもできる。アプリケータは先端せんたんが60または90がっており、全長ぜんちょうは4フィート(1.2 m)、10フィート(3.0 m)、14フィート(4.3 m)の3種類しゅるいがある[2]

通常つうじょう消火栓しょうかせんちかくにホースかけ(またはホースかご)がもうけられ、15メートルちょうのホース2ほん連結れんけつして収容しゅうようしている。片方かたがたのホースは平時へいじから消火栓しょうかせん接続せつぞくされている。ちかくの隔壁かくへきにはアプリケータもかけられていることがおおい。また数カ所すうかしょには搬式の消火しょうかポンプが設置せっちされているが、これは艦内かんない消火しょうか海水かいすいポンプが機能きのう低下ていか/喪失そうしつした場合ばあいのバックアップとしてもちいられるほか、内火艇ないかてい搭載とうさいして火災かさいなどにももちいることができる[3]搬式消火しょうかポンプをもちいてかんがいから海水かいすい取水しゅすいする場合ばあいそなえて、アプリケータとともに消火しょうかよう蛇管じゃかん隔壁かくへきそなえられているが、海水かいすいちゅう異物いぶつ吸入きゅうにゅうしないよう、こちらもそなえている[4]

また海水かいすい消火しょうかかん装置そうちから分岐ぶんきして、たま散水さんすいかん装置そうちもうけられる。これはかんたま火薬かやく格納かくのう区画くかく散水さんすいノズルを設置せっちして、爆発ばくはつ誘爆ゆうばくふせぐため散水さんすいおこなうものである。また甲板かんぱんじょうには、汚染おせんぶつ除去じょきょのための甲板かんぱん散水さんすいかん装置そうち赤外線せきがいせん遮蔽しゃへいのための赤外線せきがいせん対策たいさく散水さんすいかん装置そうちもうけられているが、これも海水かいすい消火しょうかかん装置そうちからの配管はいかんけている。海水かいすい消火しょうかかん装置そうちからの海水かいすいは、ほかにも乗員じょういん汚染おせん除去じょきょや、さらにはしゅいかり錨鎖びょうさ洗浄せんじょうなど様々さまざまもちいられる[2]

化学かがく消火しょうか装置そうち

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化学かがく消火しょうか装置そうちChemical fire system)は、消火しょうかえきとして消火しょうか薬剤やくざい使用しようする装置そうちである。護衛ごえいかん場合ばあいには下記かきのようなものがある[2]

  • TAS(Twin Agent System)
  • TAU(Twin Agent Unit)
  • 泡沫うたかた発生はっせい(Foam Fire Extinguisher)
  • ハロンガス消火しょうか装置そうち(Halon-gas fire system)
TAS/TAU/泡沫うたかた発生はっせい
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ハンガーじょうにはあかいターレットノズルが配置はいちされている(「いそゆき」)

TASは、一般いっぱんあぶら火災かさいようみずなりまくあわ消火しょうかと、あぶら電気でんき火災かさいよう粉末ふんまつ薬剤やくざい消火しょうか同時どうじおこなうことができるもので、ヘリコプター搭載とうさいかんにおいて、機械きかいしつやハンガー、ヘリコプター甲板かんぱん配置はいちされる。みずなりまくあわ消火しょうかでは、放出ほうしゅつ区画くかく付近ふきん配置はいちされた比例ひれい混合こんごうにおいてあわ消火しょうか薬剤やくざい海水かいすい混合こんごうして使用しようする。放出ほうしゅつは、リールしきのハンドノズルのほか、ハンガーじょう設置せっちされたターレットノズル、ハンガーない天井てんじょう設置せっちされたスプリンクラーヘッドによっておこなわれる。一方いっぽう粉末ふんまつ薬剤やくざい消火しょうかでは、薬剤やくざい放出ほうしゅつはハンガーない天井てんじょう設置せっちされたスプリンクラーヘッドとリールしきのホースづけノズルによっておこなわれる。このため、ハンガー天井てんじょうにはみずなりまくあわ消火しょうか粉末ふんまつ薬剤やくざい消火しょうかの2系統けいとうのスプリンクラーヘッドが別々べつべつ設置せっちされている[3][2]

TAUは、いわばTASを小型こがたして搬式にしたものであり、一般いっぱんあぶら電気でんき火災かさいのいずれにも対応たいおうできる。あわ薬剤やくざい容器ようき混合こんごう粉末ふんまつ薬剤やくざい容器ようき加圧かあつよう窒素ちっそガスタンク、ホースとハンドノズルを台車だいしゃ設置せっちしており、みずなりまくあわ消火しょうかおこな場合ばあい海水かいすい消火しょうかかん装置そうち消火栓しょうかせん混合こんごうをホースで接続せつぞくして、その海水かいすい使用しようする。通常つうじょう応急おうきゅういん待機たいきしょ配置はいちされており、必要ひつようおうじて機動きどうてき運用うんようされる[2]

泡沫うたかた発生はっせい一般いっぱんあぶら火災かさいようであり、TAU消火しょうか装置そうちみずなりまくあわ消火しょうか装置そうち簡易かんいしたものであるが、だい重量じゅうりょう艦内かんない運搬うんぱん不便ふべんであるので、基本きほんてきには火災かさい現場げんばまでホースを接続せつぞくしてあわ放出ほうしゅつして使用しようする。15メートルちょうのホース2ほんまで接続せつぞく可能かのうである[2]

ハロンガス消火しょうか装置そうち
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ハロン1301(ブロモトリフルオロメタン)ガスによる消火しょうか装置そうちであり、一般いっぱんあぶら電気でんき火災かさいのいずれにも対応たいおうできる。航空こうくう動力どうりょくしつ発電はつでんしつ、ポンプしつ塗料とりょう油脂ゆし倉庫そうこ設置せっちされており、ハロンガスがひとたいして有害ゆうがいであることから、火災かさい区画くかくからひと待避たいひさせてとびら・ハッチをめて密閉みっぺいしたうえ使用しようする。ただし機械きかいへの悪影響あくえいきょうがないため、消火しょうか区画くかくないにあって焼損しょうそんしていない機械きかい点検てんけんなしでただちに使用しようできるというメリットがある[2]

防水ぼうすい

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浸水しんすい制限せいげん

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艦船かんせん設計せっけいにあたっては一定いってい安全あんぜんりつ見込みこまれており、浸水しんすいがあってもある程度ていどまでなら沈没ちんぼつけることができるよう配慮はいりょされている。とく軍艦ぐんかん場合ばあいは、過酷かこく戦闘せんとうえて各種かくしゅ被害ひがいたいしても十分じゅうぶんこうこらえせい保持ほじできる区画くかく配置はいち強固きょうこ船体せんたい構造こうぞう要求ようきゅうされる。現代げんだい護衛ごえいかん場合ばあい、DEきゅう小型こがたかんでは2区画くかくグループ、DD以上いじょう大型おおがたかんでは3区画くかくグループまで、あるいはやぶくちながさが水線すいせんちょうの15%までとさだめるのが一般いっぱんてきとされている。また浸水しんすいえられる限度げんどとして、限界げんかいせん(boundary line)が設定せっていされている。アメリカ海軍かいぐん場合ばあい限界げんかいせん隔壁かくへき甲板かんぱん舷側げんそくてんから76mmとしているが、これは商船しょうせん数値すうちおなじである[5]

水線すいせん損傷そんしょうけると、とく中小ちゅうしょう艦艇かんてい場合ばあいは、復原力ふくげんりょく予備よび浮力ふりょく船体せんたい強度きょうど低下ていかによって沈没ちんぼついたることがおおい。損傷そんしょう区画くかく位置いちによっては、浸水しんすいりょう増大ぞうだいするとよこ/たて傾斜けいしゃこして、かん転覆てんぷくつながることもある。このため、浸水しんすい区画くかくから排水はいすいする一方いっぽうたいがわ区画くかくにあえて注水ちゅうすいすることで復原力ふくげんりょくたもつこともある[5]

防水ぼうすい作業さぎょう

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船体せんたいやぶあなやクラックがしょうじた場合ばあいとく浸水しんすい原因げんいんとなるならば、早急そうきゅうさえぎぼう必要ひつようとなる。完全かんぜん防水ぼうすい閉鎖へいさができなくとも、排水はいすいポンプやエダクターとあわせて浸水しんすいりょう減少げんしょうさせることで、かん復原ふくげんせい浮力ふりょく維持いじには有用ゆうようである。艦内かんないからさえぎぼう作業さぎょうおこな場合ばあいやぶあな毛布もうふ・マットやはこパッチをてて、そのうえからばんてる。そのちかくで、ロンジビームなどを活用かつようしてたて方向ほうこう支柱しちゅうてて、ばんとのあいだはり支柱しちゅうることで、水圧すいあつ対抗たいこうするのである。これらの支柱しちゅうとしては、艦内かんないそなえられた木製もくせい角材かくざい使用しようされ、その必要ひつようながさにしてもちいられる。また可能かのう場合ばあいは、かんがいからはこパッチをあてることで、水圧すいあつによって密着みっちゃくさせることもおこなわれる[3]。このほか、とくにクラックの場合ばあいは、かん航行こうこうするとともにれが伝播でんぱして拡大かくだいするので、ちいさなクラックにたいしてはきずりょうはしにあえてドリルであなける(クラック・アレスタあるいはストップ・ホール)ことで進行しんこうをストップさせることもある[5]

応急おうきゅう組織そしき

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海上かいじょう自衛隊じえいたい場合ばあいだい3分隊ぶんたい機関きかんない応急おうきゅうちょうおよび応急おうきゅう配置はいちされており、応急おうきゅう作業さぎょう指揮しきにあたる。せんもん要員よういんとしては応急おうきゅう工作こうさくいんがいる[6]。しかし、最初さいしょ損傷そんしょうによって応急おうきゅう要員よういん全滅ぜんめつし、のこった乗員じょういん応急おうきゅう対策たいさく不慣ふなれであったためにかん喪失そうしつにつながったれいすくなくなかったことから、現在げんざいではぜん乗員じょういん応急おうきゅう対策たいさく訓練くんれんけるようになっている。また応急おうきゅう要員よういん全滅ぜんめつすることをけるため、自衛じえいかん場合ばあい応急おうきゅういん待機たいきしょかんまえなか後部こうぶの2・3ヶ所かしょ分散ぶんさん配置はいちしている。現在げんざい護衛ごえいかんではさえぎなみ甲板かんぱんがたかそれにじゅんじた船型せんけい採用さいようしており、2そう全通ぜんつう甲板かんぱん(あるいはほぼ全通ぜんつうした甲板かんぱん)をゆうするが、このうちしたがわだい2甲板かんぱん応急おうきゅう甲板かんぱんとして位置付いちづけられており、応急おうきゅう対策たいさく首座しゅざとなる。上記じょうき応急おうきゅういん待機たいきしょや、作業さぎょう統括とうかつする応急おうきゅう指揮しきしょもこの甲板かんぱんもうけられている[3]。また1980年代ねんだい以降いこう建造けんぞうされた護衛ごえいかんでは、応急おうきゅう指揮しきしょ応急おうきゅう監視かんし制御せいぎょばん搭載とうさいしている。これは主要しゅよう区画くかく火災かさい早期そうき発見はっけん各種かくしゅタンクの監視かんしるい作動さどう運転うんてんじょうきょう1個いっこのコンソールに統合とうごうしたものである[5]

呼吸こきゅうよう保護ほごとしては、1930年代ねんだい以降いこう循環じゅんかんしき呼吸こきゅう装置そうちである酸素さんそ呼吸こきゅうOBA)がひろもちいられてきた。これはちょう酸化さんかカリウムによって二酸化炭素にさんかたんそ吸収きゅうしゅうするとともに酸素さんそ供給きょうきゅうするものであるが、ぎゃく酸素さんそ供給きょうきゅう過多かたおちい場合ばあいがあるなどの欠点けってんがあったことから、アメリカ海軍かいぐんでは、2001ねんより空気くうきタンクをもちいる自給じきゅうしき呼吸こきゅうSCBA)への更新こうしん着手ちゃくしゅした[7]。また海上かいじょう自衛隊じえいたいでも、あきづきがた護衛ごえいかんよりSCBAに移行いこうしている[8]

ノウハウ

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軍艦ぐんかんなどの「ダメージコントロール」については、べい西にし戦争せんそうにちしん戦争せんそうころから艦艇かんていなどの被害ひがい軽減けいげんする方法ほうほうとしてられていた。

現在げんざい、この分野ぶんやにおいては、太平洋戦争たいへいようせんそうなかだい規模きぼ海戦かいせん経験けいけんしたアメリカ海軍かいぐん大日本帝国だいにっぽんていこく海軍かいぐんころせんくんれた海上かいじょう自衛隊じえいたいノウハウは、世界せかいでもるいないものになっている[9]一方いっぽう日米にちべい艦艇かんていくらべると、それらの経験けいけん比較的ひかくてきすくないヨーロッパ諸国しょこくロシア艦艇かんていは、被害ひがい対策たいさくたいする意識いしきちがいがあらわれているのがかる[9]。ヨーロッパ諸国しょこくやロシアの艦艇かんてい居住きょじゅうなどの居住きょじゅうせい一方いっぽうで、現在げんざいでも可燃かねんせいのある材質ざいしつ使用しようしていたり、延焼えんしょうめる構造こうぞうよわかったり、被弾ひだんすると危険きけん箇所かしょ士官しかんしつ配置はいちされていたりする[9]近年きんねん増強ぞうきょういちじるしい中国ちゅうごく人民じんみん解放かいほうぐん海軍かいぐん艦船かんせんも、ダメージコントロールのノウハウにおいてはNATO基準きじゅん比較ひかくしてもひらきがあるという[10]

こういったものは実戦じっせん経験けいけんしてはじめてられるノウハウでもあるため、訓練くんれんとうおぎなうのはむずかしい[9]。1982ねんフォークランド紛争ふんそうにおいてエグゾセそらたいかんミサイル攻撃こうげきけたイギリス海軍かいぐん42がた駆逐くちくかんシェフィールド」は、機関きかんがシフト配置はいちでなくパラレル配置はいちになっていたうえにアルミニウム合金ごうきんせい隔壁かくへき仕切じきりべん融解ゆうかいしたため、機械きかいしつ容易ようい延焼えんしょうしてしまった。消防しょうぼうポンプを起動きどうできなかったうえに搬式ポンプも能力のうりょく不足ふそく消火しょうか主管しゅかん機能きのうせず、火災かさい範囲はんい艦内かんないやく23たっし、かん自身じしん消火しょうか活動かつどうはほとんど遂行すいこう不能ふのうとなってしまった[11]かん放棄ほうきされ、数日すうじつ曳航えいこうちゅう荒天こうてん遭遇そうぐう沈没ちんぼつしている[9]。この事件じけんについて、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく著名ちょめい海軍かいぐん史家しかであるノーマン・フリードマンは、「現代げんだい精緻せいち軍艦ぐんかんたいかんミサイルにえられないという誤解ごかい蔓延まんえんしたが、20ねんにわたる冒険ぼうけんてきなコスト削減さくげんのツケがとうとうまわってきたというのが実態じったいである」とひょうしている[12]

一方いっぽうタンカー戦争せんそうなかの1987ねん発生はっせいしたべいかん「スターク」被弾ひだん事件じけんでは、やはりオリバー・ハザード・ペリーきゅうミサイルフリゲートがコスト低減ていげん重視じゅうしした設計せっけいであったことがダメコン活動かつどう悪影響あくえいきょうおよぼしたとされているが、被弾ひだんによっておおくの死傷ししょうしゃしつつも、のこった乗員じょういんのダメコン能力のうりょくたかさにくわえて、僚艦りょうかんからの支援しえんけられたことで、かんすくうことができた[13]

自動車じどうしゃ鉄道てつどうなど

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医療いりょう

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重症じゅうしょう外傷がいしょう外傷がいしょうの3ちょう代謝たいしゃせいアシドーシス血液けつえき凝固ぎょうこ障害しょうがいてい体温たいおん)が切迫せっぱくした場合ばあいだい規模きぼ根治こんじてき手術しゅじゅつおかせかさねくわわると、患者かんじゃにとって致死ちしてきとなりかねない場合ばあいがある。この場合ばあい、まず呼吸こきゅう循環じゅんかんかかわる損傷そんしょう治療ちりょうさい優先ゆうせんとし、それ以外いがい損傷そんしょう部分ぶぶん根治こんじ手術しゅじゅつ可能かのう容態ようだい回復かいふくしてからてきさい手術しゅじゅつとすることがある。この場合ばあい初回しょかい手術しゅじゅつはダメージコントロール手術しゅじゅつとして、ひらきむね開腹かいふくじゅつでは、ガーゼ圧迫あっぱく留置りゅうち(パッキング)や単純たんじゅん結紮けっさつなど止血しけつ汚染おせん回避かいひてっした簡易かんいじゅつしき選択せんたくされる。

腹腔ふくこうないあつたかく閉腹困難こんなんである場合ばあい、輸液ようのフィルムバッグによる閉腹(silo closure)も検討けんとうされる。おおくのさん救急きゅうきゅう医療いりょう機関きかんでは、ダメージコントロールの思想しそう駆使くしして、多発たはつ外傷がいしょう患者かんじゃ救命きゅうめい全力ぜんりょくくしている。

スポーツ

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ダメージCTRL(damage control)はプロレス団体だんたいWWEうちのユニット、日本にっぽん女子じょし団体だんたいスターダム出身しゅっしん参戦さんせん選手せんしゅ中心ちゅうしん結成けっせい普段ふだん試合しあい勝率しょうりつたかいがPLEというビッグマッチになると勝率しょうりつ極端きょくたんがり、とく過去かこレッスルマニアではいちったことい。

その

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  • ヘアケア製品せいひん - 頭髪とうはつ劣化れっかふせいだり、ある程度ていど補修ほしゅう機能きのうがある製品せいひんを、ダメージコントロールとしょうして販売はんばいされることがある。
  • げんわざわい - 災害さいがい発生はっせいした被害ひがい最小さいしょうするための(ソフト・ハード両面りょうめんでの)みやかんがかた
  • エキスパンションジョイント - はし建物たてものにかかる地震じしんねつひずみなどの応力おうりょくのが仕組しく

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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出典しゅってん

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参考さんこう文献ぶんけん

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  • Friedman, Norman (2012). British Destroyers & Frigates - The Second World War & After. Naval Institute Press. ISBN 978-1591149545 
  • 海人あましゃ へん今日きょうのダメコン そのハードとソフト (ダメージ・コントロール)」『世界せかい艦船かんせんだい436ごう海人あましゃ、76-83ぺーじ、1991ねん5がつNDLJP:3292220 
  • 海人あましゃ へん船体せんたい艤装ぎそう機関きかん (特集とくしゅう 新型しんがた護衛ごえいかん「あきづき」) - (徹底てってい解説かいせつ さい新鋭しんえいDD「あきづき」のハードウェア)」『世界せかい艦船かんせんだい764ごう海人あましゃ、100-109ぺーじ、2012ねん8がつNAID 40019366519 
  • 海野うみの陽一よういち「ダメージ・コントロールのあゆみ (ダメージ・コントロール)」『世界せかい艦船かんせんだい436ごう海人あましゃ、70-75ぺーじ、1991ねん5がつNDLJP:3292220 
  • 岡田おかだ幸和ゆきかず艦艇かんてい工学こうがく入門にゅうもん理論りろん実際じっさい -』海人あましゃ、1997ねんISBN 978-4905551621 
  • 加藤かとう健二郎けんじろう『いまこそりたい自衛隊じえいたいのしくみ』日本にっぽん実業じつぎょう出版しゅっぱんしゃ、2004ねんISBN 4534036957 
  • 白石しらいしひかり被弾ひだんさいはどう対処たいしょ現代げんだい軍艦ぐんかんのダメコン・システム (特集とくしゅう現代げんだいたいかんミサイルせん)」『世界せかい艦船かんせんだい979ごう海人あましゃ、104-109ぺーじ、2022ねん9がつ 
  • もりひさしえい「2. 護衛ごえいかん」『ぞく 艦船かんせんメカニズム図鑑ずかん』グランプリ出版しゅっぱん、1991ねん、16-135ぺーじISBN 978-4876871131 

関連かんれん項目こうもく

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