トモエガモ

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トモエガモ
トモエガモ
トモエガモ(オス) Anas formosa
保全ほぜんじょうきょう評価ひょうか[a 1][a 2]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
ワシントン条約じょうやく附属ふぞくしょIIるい
分類ぶんるい
ドメイン : かく生物せいぶつ Eukaryota
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : とりつな Aves
: カモ Anseriformes
: カモ Anatidae
ぞく : マガモぞく Anas
たね : トモエガモ A. formosa
学名がくめい
Anas formosa Georgi, 1775
和名わみょう
トモエガモ
英名えいめい
Baikal teal

トモエガモともえかも[1]Anas formosa)は、カモカモマガモぞく分類ぶんるいされる鳥類ちょうるい

分布ぶんぷ[編集へんしゅう]

大韓民国だいかんみんこく中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく朝鮮民主主義人民共和国ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこく日本にっぽんモンゴルロシア東部とうぶ[a 2]

シベリア東部とうぶ繁殖はんしょくし、冬季とうきになると中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく東部とうぶ日本にっぽん朝鮮半島ちょうせんはんとう台湾たいわん南下なんか越冬えっとうする[2][3][4][5][6][a 3]

日本にっぽんではおも本州ほんしゅう以南いなん日本海にほんかいがわ渡来とらいし、関東かんとう地方ちほう以西いせい越冬えっとうするふゆとり[7]

しき標本ひょうほん産地さんちしき産地さんち)はバイカル(ロシア)で、英名えいめい由来ゆらいになっている[1][6]

形態けいたい[編集へんしゅう]

全長ぜんちょう37-43センチメートル[3]つばさちょうオス20-22センチメートル、メス18-21センチメートル[4]つばさ開張かいちょう65-75センチメートル[3]体重たいじゅう0.4-0.5キログラム[6]からだ上面うわつら羽衣はごろも褐色かっしょく[3][5]

くちばし色彩しきさいくろ[5]

オスはかた伸長しんちょうする[3][5]。オスの繁殖はんしょく頭部とうぶくろみどり黄色おうしょくしろともえじょう斑紋はんもんはい[2][3][4][7][a 3]和名わみょう由来ゆらいになっている[1]たね小名しょうみょうformosaは「うつくしい」の[1][6]。オスの繁殖はんしょく(エクリプス)は全身ぜんしん羽衣はごろも褐色かっしょくで、からほおにかけ不明瞭ふめいりょうくろすじ模様もようはい[3][5]。また幼鳥ようちょうやオスの繁殖はんしょくのど白色はくしょく不明瞭ふめいりょう[3]。メスは全身ぜんしん羽衣はごろも褐色かっしょく[2]黒褐色こっかっしょく斑紋はんもんはい[3]。またくちばし基部きぶしろ斑紋はんもんはい[2][4][7][a 3]のどしろ[3]

生態せいたい[編集へんしゅう]

繁殖はんしょくでは湖沼こしょう河川かせんなどに生息せいそく[3][4][5][a 3]海岸かいがん飛来ひらいすることもある[2]繁殖はんしょくではツンドラや森林地帯しんりんちたいないにある湖沼こしょう渓谷けいこく湿原しつげん水辺みずべ草原そうげんなどに生息せいそくする[2][6][a 3]

おもれで生活せいかつする。基本きほんてきすうからすうじゅう程度ていどだが、おおときには500以上いじょうれをつくることもある。[8]

しょくせい植物しょくぶつしょく傾向けいこうつよ雑食ざっしょくで、おも種子しゅしべるが[4][a 3]水生すいせい植物しょくぶつ藻類そうるい昆虫こんちゅう甲殻こうかくるい貝類かいるいなどもべる[2][6]

繁殖はんしょく形態けいたい卵生らんせい窪地くぼちしげみや流木りゅうぼくなかなどにつくり、6-9たまご[2][6]だきたまご期間きかんは25にち[4]ひな孵化ふかしてから3-4週間しゅうかん巣立すだ[6]

人間にんげんとの関係かんけい[編集へんしゅう]

食用しょくようとされることもあった。またカモるいなかではもっと美味びみであるとされる。そのためふるくはアジガモ(あじかも)やたんにアジ(䳑)と呼称こしょうされることもあった[1][9]。 アジガモがてんじてかもおお越冬えっとうする滋賀しがけん塩津しおづあたりのことを枕詞まくらことば「あじかま」が出来できた。

開発かいはつによる生息せいそく破壊はかい乱獲らんかくにより生息せいそくすう激減げきげんしている[6]越冬えっとうでは法的ほうてき保護ほご対象たいしょうとされている地域ちいきもあるが、狩猟しゅりょう対象たいしょうとされているしゅとのあやま懸念けねんされている[6][a 3]1993ねん大韓民国だいかんみんこくにある2かしょ保護ほごにおける生息せいそくすうは5,0000-5,5000推定すいていされている[2]

2020年代ねんだいはいると、環境かんきょう変化へんかなどで越冬えっとうでの生息せいそくすう急増きゅうぞうしており、島根しまねけん宍道湖しんじこでは2023年度ねんどに58,000千葉ちばけん印旛沼いんばぬまではどう年度ねんどに66,000飛来ひらいがそれぞれ確認かくにんされている[10][11]

絶滅ぜつめつ危惧きぐIIるい (VU)環境省かんきょうしょうレッドリスト[a 3]

画像がぞう[編集へんしゅう]


参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d e 安部あべ直哉なおややまけい名前なまえ図鑑ずかん 野鳥やちょう名前なまえ』、やま溪谷社けいこくしゃ2008ねん、246ぺーじ
  2. ^ a b c d e f g h i 小原おはら秀雄ひでおうらほん昌紀まさき太田おおた英利ひでとし松井まつい正文まさふみ編著へんちょ動物どうぶつ世界せかい遺産いさん レッド・データ・アニマルズ1 ユーラシア、きたアメリカ』、講談社こうだんしゃ2000ねん、74、182ぺーじ
  3. ^ a b c d e f g h i j k 桐原きりはら政志まさし日本にっぽんとり550 水辺みずべとり』、ぶんいち総合そうごう出版しゅっぱん、2000ねん、119ぺーじ
  4. ^ a b c d e f g 黒田くろだ長久ちょうきゅう森岡もりおか弘之ひろゆき監修かんしゅう世界せかい動物どうぶつ 分類ぶんるい飼育しいく (ガンカモ)』、財団ざいだん法人ほうじん東京とうきょう動物どうぶつえん協会きょうかい1980ねん、52ぺーじ
  5. ^ a b c d e f 真木まき広造ひろぞう大西おおにし敏一としいち日本にっぽん野鳥やちょう590』、平凡社へいぼんしゃ、2000ねん、104ぺーじ
  6. ^ a b c d e f g h i j 絶滅ぜつめつ危惧きぐ動物どうぶつ百科ひゃっか4 カザリキヌバネドリ―クジラ(シロナガスクジラ)』 財団ざいだん法人ほうじん自然しぜん環境かんきょう研究けんきゅうセンター監訳かんやく朝倉書店あさくらしょてん、2008ねん、38-39ぺーじ
  7. ^ a b c 野生やせい動物どうぶつへん」『京都きょうとレッドデータブック 2015』 1かん京都きょうと自然しぜん環境かんきょう保全ほぜん、2015ねん4がつ、75ぺーじ 
  8. ^ 新版しんぱん 日本にっぽん野鳥やちょう』 7かんやま溪谷社けいこくしゃやまけいハンディ図鑑ずかん〉、2014ねん1がつ5にち、525ぺーじISBN 978-4-635-07033-1 
  9. ^ 䳑(あじ)とは”. コトバンク. 2020ねん5がつ13にち閲覧えつらん
  10. ^ 佐野さのしょういち (2024ねん1がつ20日はつか). “出雲いずも空港くうこうにカモの大群たいぐん バードストライク警戒けいかい 島根しまねけん調査ちょうさまんせん急増きゅうぞう”. 山陰さんいん中央ちゅうおう新報しんぽう. 2024ねん1がつ25にち閲覧えつらん
  11. ^ 小林こばやし正明まさあき (2024ねん1がつ25にち). “絶滅ぜつめつ危惧きぐトモエガモ、2せん→17まん 温暖おんだん原因げんいん?とく千葉ちば急増きゅうぞう”. 朝日新聞あさひしんぶん. 2024ねん1がつ25にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]