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トラックボール

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
Logitechせいのトラックボール

トラックボール (Trackball) は、マウスなどと同様どうようにコンピュータの操作そうさもちいるポインティングデバイス一種いっしゅ

概要がいよう

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上面うわつらについている球体きゅうたい(ボール)を回転かいてんさせて、らせた回転かいてん方向ほうこうはやさにおうじてカーソル(ポインタ)などを操作そうさする。

メーカーや商品しょうひんによっては、たとえばケンジントンのExpert Mouseやロジクール (Logitech) のMarble Mouseなど、トラックボールという名称めいしょう使用しようせず、マウスのかんしている商品しょうひんもある。

トラックボールの歴史れきし[1]におけるふる記録きろくのひとつに1966ねん製品せいひんがある[2]。もっとふるいトラックボールの原形げんけいとされているものが、1950年代ねんだいのカナダのC2(Command and Control)システムDATAR(en:DATAR)にある。

現状げんじょう

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過去かこ[いつ?]にはマウスとならんでポインティングデバイスの代表だいひょうかくだったが、一般いっぱんへのパソコン普及ふきゅう加速かそくはじめたころには、すで主流しゅりゅうはマウスにうつっていた。ノートパソコンにトラックボールを採用さいようする事例じれいすくなくなかったが、本体ほんたい薄型うすがた進行しんこうするにつれて、ボールの直径ちょっけい筐体きょうたい薄型うすがた阻害そがい要因よういんになること、ボールの直径ちょっけいちいさくした場合ばあい良好りょうこう操作性そうさせいわる確保かくほすることがむずかしいことなどから、トラックボールを搭載とうさいする製品せいひんはほとんどられなくなり、タッチパッドポインティング・スティック主流しゅりゅうとなった。

パソコンの操作そうさデバイスとしてのマウスが実質じっしつてき標準ひょうじゅんとなってから、ノートパソコンも薄型うすがたなどによりトラックボールがえてしまったため、にする機会きかいすくなくなった。しかし、現在げんざいでもトラックボールをこのむユーザーは存在そんざいしており、有名ゆうめい企業きぎょうふくむいくつかのメーカーからしん製品せいひんがリリースされている。また、プレゼンテーションよう製品せいひんなど、げて使つかうためのポインティングデバイスにおいては、現在げんざいでも小型こがたのトラックボールを採用さいようしている製品せいひんすくなくない。

デスクトップ市場いちばにおいてトラックボールを生産せいさんしているおもなメーカーはペリックスケンジントン・テクノロジー・グループサンワサプライロジクールエレコムの5しゃである。かつてはマイクロソフトもトラックボール製品せいひん製造せいぞうしていたが、2006ねん生産せいさん終了しゅうりょうとなった模様もようである。シャープのデジタルテレビパソコンインターネットAQUOS」などのキーボードにも標準ひょうじゅん搭載とうさいされている[3]

ポインティングデバイス以外いがいには、マウスやペンタブレットわせて、画面がめんのスクロールや表示ひょうじ拡大かくだい縮小しゅくしょうなどをショートカット操作そうさとしててることによって、アプリケーションソフトをより素早すばや操作そうさできるようにしたものがある。

スマートフォン・タブレットでの利用りよう

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2008ねんごろからスマートフォンのち普及ふきゅうしたタブレット端末たんまつふくむ)でタッチパネルくわえトラックボールを使用しようするものがある。操作そうさ両手りょうて使用しようするタッチパネルにたいして、Bluetooth接続せつぞくによって場所ばしょえらばず片手かたてでも直感ちょっかんてき操作そうさができるトラックボールが補完ほかんてき採用さいようされることがおおい。BlackBerry Boldなどはタッチパネルは使つかわずQWERTYキーボードとトラックボールのみのスマートフォンとなっている。代表だいひょうてき製品せいひんとしてandroidスマートフォンのHT-03Aやシャープから発売はつばいされたIS01タブレットGALAPAGOSブックリーダーSH-07Cなどがある。

VR機器ききでのハンドデバイス

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バーチャルリアリティとくしたHMD(ヘッドマウントディスプレイ)よう機器きき、ソフトウェアが2010年代ねんだい後半こうはん注目ちゅうもくされていくにつれて、うででの操作そうさもちいるデバイスでゆびこまかく操作そうさするための部分ぶぶんに、スティック、タッチパッドとともにトラックボールが採用さいようされるケースがある。

空中くうちゅう操作そうさ出来できるタイプを参照さんしょう

特徴とくちょう

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アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく海軍かいぐん航空こうくう管制かんせい任務にんむ様子ようす右手みぎてでトラックボールを操作そうさ

トラックボールの操作そうさは、マウスのように装置そうちそのものをってうごかすのではなく、指先ゆびさきのひら(機種きしゅによってはあしにも対応たいおう)を使つかってボールだけをその回転かいてんさせることでおこなう。たような性質せいしつのものではタッチパッドポインティング・スティックなどもある。トラックボールの筐体きょうたいには、操作そうさようボールをおさめるためのトラックボールハウジング(カップともばれる。以降いこうカップと表記ひょうき。)というくぼみがもうけられている。

その操作そうさ特性とくせいじょう操作そうさのためのひろ面積めんせきうで全体ぜんたいうごかす必要ひつようがなく机上きじょうせまいスペースでも使用しようできる。ノートパソコンに2cm程度ていど小型こがたのトラックボールを搭載とうさいするものや、スマートフォンにすうmmの小型こがたのトラックボールを搭載とうさいしたものもある(スマートフォンの関係かんけいせいについては下記かき参照さんしょう)。あしでも使つかえる機種きしゅ場合ばあい、ポインターはあし操作そうさできるため、両方りょうほう自由じゆう使つかえる利点りてんがある。

操作そうさかんして、手首てくびうでこまかくうごかすことによる負担ふたんすくなくなり、腱鞘炎けんしょうえんのリスクもらすことができる。

のないひと身体しんたいおもうようにうごかせないが、指先ゆびさきだけは正常せいじょううごかせるひとなど、身体しんたい障害しょうがいしゃ利用りよう可能かのうであり、公共こうきょう施設しせつ設置せっちされているパソコンにもおおもちいられる。また、特定とくてい機器きき内部ないぶ固定こていして設置せっちできるため、マウスにくらべて断線だんせん周囲しゅういれの影響えいきょうすくなく、画像がぞう診断しんだん装置そうちちょう音波おんぱ診断しんだん装置そうちなど)のような医療いりょう用途ようとほか工業こうぎょうよう軍事ぐんじようといった具合ぐあい正確せいかくせいたもちつつ周囲しゅうい環境かんきょう影響えいきょうされず操作そうさ可能かのう機器ききにももちいられる。

また、子供こどもでも操作そうさしやすいことから、子供こどもけとしてデザインされたトラックボールもいくつか存在そんざいする。

操作性そうさせいわる

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ボールの操作そうさは、ゆびをボールにつけたまままわすほか、ボールの慣性かんせい利用りようしていきおいよく回転かいてんさせるような使つかかたもできるものもある。おおきなボールをそなえたものは操作そうさ正確せいかくせいすぐCADきゃどなどのオペレーションにも利用りようされている。ボールの重量じゅうりょう直径ちょっけいおおきいものほど慣性かんせい利用りようした用法ようほう有利ゆうりである。直径ちょっけいちいさい場合ばあい解像度かいぞうどたかいディスプレイじょううごかすには不適ふてきであるが、パソコンじょう設定せっていから検知けんち感度かんど変更へんこうすることで対応たいおうすることもできる。

トラックボールとマウスの操作性そうさせいわるおおきなちがいを比較ひかくすると、(パソコンで感度かんど移動いどうりょう調整ちょうせいすれば対応たいおうできるが)一般いっぱんてきなマウスではポインタをおおきく画面がめんはしからはしまでうごかすさいいちマウスを接地せっちめんからかせてべつ位置いちき、またうごかす必要ひつようがあるのにきかえ、トラックボールは指先ゆびさき位置いちすこしずらすだけで対応たいおうすることができる。うでおおきくうごかす必要ひつようがないため、ひじかたなどにかかる負荷ふかはマウスにくらべてひくい。

また、指先ゆびさきといったトラックボールに接触せっしょくしているきわめて限定げんていされた部分ぶぶん入力にゅうりょくしかけないため、ポインタのぶれもすくない。マウスならばうでひじだけではなく、身体しんたい全体ぜんたいうごきが入力にゅうりょく影響えいきょうしてしまうこともままあるため、不意ふい身体しんたいうごかしたり、マウスからはなさい意図いとせずポインタがずれる現象げんしょう発生はっせいするが、トラックボールでは意図いとてきおこなわないかぎりめったにこりえない現象げんしょうである。

マウスが光学こうがくしきになったのと同様どうように、トラックボールにも光学こうがくしきのものがおおくなっている[4]。マウスではボールそのものがなくなったが、トラックボールの場合ばあいはボールの回転かいてんひかり反射はんしゃるため、おな形状けいじょうならば操作そうさかんおおきなちがいはない。ただし、このボールちょくかたしきわった都合つごうから、以前いぜんはほぼ無地むじだったボール表面ひょうめん文様もんようほどこされるようになっている[5]

トラックボールの形状けいじょうパターンには後述こうじゅつのようにいくつかの種類しゅるいがあり、これもまた種類しゅるいごとにことなる操作性そうさせいわるっている。

ゲームとトラックボールの関係かんけい

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れにもよるが、マウスにくらべると素早すばや直感ちょっかんてきにポインティングすることが不得意ふとくいいちめんもある。また、マウスとはちがい、ほんあるゆびのうちもっともよく使つか親指おやゆび人差ひとさゆび中指なかゆびのいずれかひとつもしくはのひら全体ぜんたいもちいてボールを操作そうさするという特性とくせいから、近年きんねん高価こうか上位じょういマウスに比較ひかくして多数たすうのサブボタンを導入どうにゅうしにくいという欠点けってんもある。トラックボールにもボタンが数多かずおおいているものがあるが、通常つうじょうよく使つかう3ほんゆびのうちいずれかひとつがつねにボール操作そうさふさがれるため、マウスにくらべれば使つか勝手がってわるい。上記じょうきのような理由りゆうから、トラックボールはハードコアにコンピューターゲーム利用りようしているユーザーからは敬遠けいえんされがちな傾向けいこうにある。ただし、左手ひだりてでキーボードならびに多数たすうのボタン操作そうさおこなうこともでき、おおきなトラックボールを使用しようしたものでは精密せいみつ操作そうさ同時どうじおおざっぱな操作そうさおこなえる(マウスのよう必要ひつようスペースをらない)ため、ジャンルやプレイスタイルにおうじて利用りようされる。

アーケードゲームには、タイトル専用せんようカスタムハードウェアという特性とくせいもあって、トラックボールを入力にゅうりょくデバイスとする作品さくひんふるくからある。著名ちょめいなところでは『ミサイルコマンド』や『マーブルマッドネス』、『アウトトリガー』、『SDI』、『セガソニック・ザ・ヘッジホッグ』などがげられる。また過去かこにはアタリからコンシューマーゲームようのトラックボールが発売はつばいされていたこともある。

一部いちぶのゲームではたんにポインティングデバイスの一種いっしゅとしての採用さいようであるが、たとえば『ミサイルコマンド』の場合ばあいのポインティングデバイスとしてたとえばライトペン使つかってしまうとゲームが簡単かんたんになりぎるので、「適度てきど操作性そうさせいわるわるさ」と、実際じっさい防空ぼうくうシステムの装置そうち使つかわれているデバイスであるという演出えんしゅつめん意味いみもある。ジョイスティック(アナログジョイスティック)が、定常ていじょうてきには2じく(2次元じげん・2自由じゆう)の角度かくど入力にゅうりょくするデバイスであるのにたいし、トラックボールは2次元じげん角速度かくそくど定常ていじょうてき入力にゅうりょくできるというのがちがいであり、『マーブルマッドネス』はそれがそのままゲーム世界せかいないのボールに反映はんえいする、というてんとくにマッチしたシステムとえる。

はなしてもホームポジションやニュートラルポジションにもどらないという特性とくせいから、複雑ふくざつなコマンドを素早すばや的確てきかく入力にゅうりょくする必要ひつようせまられる格闘かくとうゲームなどにはマウスと同様どうよう不向ふむきである。業務ぎょうむようゲームとしてのトラックボールは独特どくとく操作性そうさせいわる反面はんめん難点なんてんおおい。はげしいプレイでの故障こしょうによってメンテナンスがおおくなり、筐体きょうたいパネルとボールの隙間すきまなどによりプレイヤーが怪我けがする場合ばあいもある。通常つうじょうのレバー、ボタンの操作そうさ比較ひかくすると部品ぶひんすくない。現在げんざいではトラックボールを使用しようするゲームはごくまれである。家庭かていようゲームでは、前述ぜんじゅつした業務ぎょうむようゲームの移植いしょくばん一部いちぶあるのみで、トラックボール使用しよう強制きょうせいするゲームはほぼない。

形状けいじょう種類しゅるい

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トラックボールはつくえ設置せっちするタイプのおおきなものから、片手かたてったまま使つかえる小型こがたのものもあり、とく小型こがたのものはプレゼンテーションなどの場面ばめん利用りようされている。また、マウスはひらたい場所ばしょ使用しようしなければ操作そうさはほぼ不可能ふかのうだが、トラックボールは可動かどうめん天井てんじょういている製品せいひん大半たいはんのため、ある程度ていど固定こていされた場所ばしょさえあればよく、利用りようする場所ばしょえらばない。

当節とうせつでは、一体いったいがたではなくマウスのよう外部がいぶ端末たんまつとして使用しよう可能かのう種類しゅるい紹介しょうかいする。

のひら操作そうさタイプ

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kensingtonのExpertMouse5

台座だいざ上面うわつらなかほどに大型おおがたたまっているもの。おおきなたま周囲しゅういにさらにボタンが配置はいちされているため大型おおがた製品せいひんおおく、ふるくから存在そんざいするトラックボールの典型てんけいてき形状けいじょうである。ボールはのひらか、あるいは中指なかゆび人差ひとさゆびころがす。ボールがおおきく慣性かんせいおおきいため、いきおいをけてはやくカーソルを移動いどうさせることができ、こまかい作業さぎょう可能かのう一方いっぽう、マウスにくらべてかなり独特どくとく操作そうさ体系たいけいと、設置せっちスペースめんめるデメリットがある。

人差ひとさゆび操作そうさタイプ

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人差ひとさゆび操作そうさタイプのれい (Kensington Orbit Optical)

一般いっぱんてきなマウスにかたちをしており、マウスならばボタンやホイールがついている部分ぶぶん人差ひとさゆび中指なかゆびさきころがすためのボールがっているもの。のひら操作そうさタイプに比較ひかくすると、サイズとのいからボールのサイズはちいさめであることがおおい。デバイス自体じたいのサイズは、設置せっちスペース重視じゅうし通常つうじょうのマウスにちかいコンパクトな製品せいひんから、使つか勝手がって優先ゆうせんのひら操作そうさタイプの全長ぜんちょうちかいサイズの製品せいひんなどがある。なお、ボタンの設置せっち位置いちにより左右さゆう対称たいしょう非対称ひたいしょうかれ、非対称ひたいしょう場合ばあい親指おやゆびでボタンとホイールを操作そうさするスタイルが主流しゅりゅうとなっている。ただし、非対称ひたいしょう場合ばあい右手みぎてでの操作そうさ必須ひっすなどのデメリットがるので、左手ひだりて操作そうさする場合ばあい左右さゆう対称たいしょう製品せいひんえら必要ひつようがある。

親指おやゆび操作そうさタイプ

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親指おやゆび操作そうさタイプのれいひだりから、Microsoft TrackBall Optical と Logitech TrackMan Wheel)

一般いっぱんてきなマウスにかたちをしており、ボタンやホイールも一般いっぱんのマウスと同様どうよう配置はいちになっていることがおおい。ボールはデバイスの左側ひだりがわめん配置はいちされており、デバイスを右手みぎてったときに親指おやゆびでボールをころがすようにつくられている。にぎかたやボタン操作そうさゆびはマウスを操作そうさする場合ばあいおなじであり、マウスからの移行いこう前述ぜんじゅつの2しゅのタイプにくらべて比較的ひかくてき簡単かんたんうメリットがある。ただし、形状けいじょう左右さゆう非対称ひたいしょうになっていて右手みぎてようのものを左手ひだりて操作そうさすることはむずかしいので、左右さゆう反転はんてんした左手ひだりてようのものを入手にゅうしゅするか右手みぎてようのもので妥協だきょうするかのというデメリットがる。

空中くうちゅう操作そうさ出来できるタイプ

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それぞれべつブランドの空中くうちゅう操作そうさがたトラックボールマウス

かならずしも机上きじょう固定こていしておく必要ひつようがない特長とくちょうかして、空中くうちゅうった状態じょうたい使用しようできる製品せいひん制作せいさく可能かのうなのもトラックボールならではである。タッチパネルのないノートパソコンやタブレットデバイスをフィールドで運用うんようするさい便利べんりなほか、インドアユースにおいてもつくえしばられないパソコンの使用しよう出来できることから、いくつかのメーカーは拳銃けんじゅうのグリップとかた筐体きょうたいデザインのものを「ごろマウス」などと銘打めいうって販売はんばいしている。その形状けいじょうから、おおくは左右さゆう使用しよう可能かのうであり、次第しだいでは通常つうじょうのデスクトップマウスみの操作そうさおこなうことも可能かのうである。デバイスをかかえたそのなか操作そうさすれば、片手かたてのみでのポインティング操作そうさ完結かんけつし、のこった反対はんたいでキーボードを操作そうさできるようになる。これらの特色とくしょくゆえに、上記じょうきのタイプにくらべコンパクトで携帯けいたいせいまさるとうメリットと、コンパクトゆえにボール操作そうさ精度せいどめんおとるとうデメリットがる。

なお、身体しんたいうごきに障害しょうがいがあるもの人気にんきがあるのもこのタイプであり、つくえせる姿勢しせいるのがむずかしいような障害しょうがいものにとっては、これなしにコンピューティングはむずかしいとものもいる。

構造こうぞうとメンテナンス

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摩耗まもうした金属きんぞく支持しじだま
Microsoft Trackball Optical

トラックボールはその構造こうぞうじょう操作そうさだま支持しじしておく構造こうぞうたなければならない。そしてその構造こうぞう操作そうさだまうごきをさまたげず、なめらかなみさおだまかん実現じつげんしなければトラックボールとしての実用じつようせいそこなってしまう。

初期しょきのトラックボールは、通常つうじょうのボールマウスと同様どうように2じくのシャフトによってXじくYじく移動いどうりょう検出けんしゅつしていた。それぞれのシャフトのはしに、放射状ほうしゃじょうこまかい隙間すきまいたホイールけられており、そのうごきを光学こうがくセンサーで方法ほうほうである。また、それぞれのシャフトにはボールとの接触せっしょくめん微小びしょうなゴムチューブがけられており、ボールの挙動きょどうりこぼさないようグリップしていた。この構造こうぞうのち改良かいりょうかさねられ、カップないにミニチュアベアリングをみっ配置はいちし、うちふたつのうごきを形式けいしき進化しんかした。ただしこの構造こうぞう複雑ふくざつ部品ぶひん点数てんすうおおく、なによりコストがかかる。しかし比較的ひかくてき耐久たいきゅうせいがあることから、時代じだいすすんだのち根強ねづよ愛好あいこうしゃがいる。また、この当時とうじはボールの脱落だつらくふせぐために、ボールみちよりちいさい着脱ちゃくだつ可能かのうなリングしきのキャップがカップにかぶせられているタイプがおおかったが、ボールちょくみの光学こうがくしき普及ふきゅうするにつれほこり掃除そうじのメンテナンス頻度ひんどがったためか、筐体きょうたい開口かいこうをボールみちより微妙びみょうせまくして固定こていするかたちになり、キャップはすたれていった。この開口かいこうせまいタイプの筐体きょうたいは、ボールをはずすのに細長ほそなが道具どうぐ裏側うらがわから必要ひつようがあり、底面ていめんにそのためのあないている。

トラックボールでもっと一般いっぱんてき普及ふきゅうした支持しじ形式けいしきは、カップに硬質こうしつすうミリみちちいさなボールを配置はいちし、それにより操作そうさだま支持しじする支持しじだましきである。ちいさな支持しじだまてん接触せっしょくにより、摩擦まさつすりどうでありながらなめらかに操作そうさだまうごくようにしたものであり、ベアリングやじくもちいるより構造こうぞう簡略かんりゃくし、コストをおさえることが可能かのうとなった。ただし、モーション検出けんしゅつ方式ほうしき光学こうがくしき、またはそれにじゅんずるものでないと構造こうぞうてき使つかえない。また、ゆびでのみさおだまかんなめらかになっているが、ベアリングしきより摩擦まさつおおきくなるため、慣性かんせいころがしつづけられるものはすくない。

もっとれられた支持しじだましきではあるが、摩擦まさつすりどうであることから耐久たいきゅうせいなんがある宿命しゅくめいしょうじてしまうことともなった。 この形式けいしきのトラックボールを使用しようしているとよごれやほこりによる操作そうさだまうごきのしぶさがてくる。この程度ていどならば操作そうさだまはず清掃せいそうすることで解決かいけつ可能かのうだが、どうしても解決かいけつむずかしかったのが支持しじだま摩耗まもうである。

初期しょき支持しじだましき、または価格かかくやすいトラックボールマウスは、支持しじだまにステンレスとう合金ごうきんもちいている。一見いっけんかたそうな金属きんぞく支持しじだまだが、意外いがいなほど摩耗まもうにはよわく、操作そうさだまとの摩擦まさつんだ硬質こうしつほこり影響えいきょうにより接触せっしょくめんひらたくけずれていってしまう欠点けってんがある。こうなるとてん接触せっしょくめん接触せっしょくになり、非常ひじょうみさおだまかんわるくするばかりか操作そうさだまきずまでけてしまう。

これを解決かいけつすべく登場とうじょうしたのが、非常ひじょう硬度こうどたかルビー酸化さんかアルミニウムセラミックスもちいた支持しじだまで、これらはダイヤモンド硬度こうどち、通常つうじょうまず摩耗まもうしないことから、摩耗まもう問題もんだい決定けっていとして比較的ひかくてき高級こうきゅうなトラックボール製品せいひんにはこのんでもちいられる。

また、現在げんざいでも製品せいひん絶対ぜったいすうすくないトラックボール市場いちばにおいて、使つかれたふる製品せいひん使つかつづけたいという需要じゅようもあり、有志ゆうしによりさまざまな補修ほしゅう方法ほうほうかんがえられており、支持しじだまのセラミックもそのひとつである。サイズの適合てきごうするセラミックボールを入手にゅうしゅし、金属きんぞく支持しじだまをリプレースする改造かいぞうであるが、現行げんこうのトラックボールを部品ぶひんりとするほか、ラジコン駆動くどうけい部品ぶひんからセラミックせいのベアリングボールを入手にゅうしゅするなど様々さまざま方法ほうほう考案こうあんされている。

メンテナンスせいかんしては、マウスは光学こうがくしきわってボールのうごきを接触せっしょく部分ぶぶん掃除そうじ必要ひつようなくなったが、トラックボールの場合ばあい従来じゅうらい必要ひつよう個所かしょことなるにしても定期ていきてき掃除そうじかせないことにわりはない。以前いぜんはシャフトのゴムやベアリングといった、ボールとの接触せっしょくめんほこりまることで、ボールが空回からまわりをこし不良ふりょうまねいていたが、ボールちょくみの光学こうがくしきでは採光さいこう部分ぶぶんCCD球体きゅうたい回転かいてんまど)や球体きゅうたい支持しじなどにまるようになっており、採光さいこう部分ぶぶんでは意外いがい少量しょうりょう綿めんほこりでも不良ふりょうき、球体きゅうたい支持しじまるとみさおだまかんなめらかさがうしなわれる。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ トラックボールファンFAQ『トラックボールの歴史れきしは?
  2. ^ ORBIT X-Y Ball Tracker
  3. ^ インターネットAQOUS仕様しようしょ』によると、「入力にゅうりょく装置そうち トラックボール(キーボードに内蔵ないぞう)」とある。
  4. ^ ただし、現在げんざい方法ほうほうことなるだけで、りょう者共ものどもふるくから光学こうがくセンサーの使用しようでカーソル座標ざひょううごかしてはいた(後述こうじゅつ)。
  5. ^ '90年代ねんだい後期こうきにロジクールが赤地あかじ無数むすうくろ斑点はんてんをプリントした”マーブルボール”を採用さいようして以来いらい、センサーをカップない配置はいちして模様もよううごきからボールの回転かいてん方向ほうこう移動いどうりょう検出けんしゅつするタイプのものが普及ふきゅうし、現在げんざいラメじょう文様もんようのボールが一般いっぱんてきである。

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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