数学 すうがく の複素 ふくそ 解析 かいせき の分野 ぶんや におけるハーディ空間 くうかん (ハーディくうかん、英 えい : Hardy space )あるいはハーディ級 きゅう (Hardy class)Hp とは、単位 たんい 円 えん 板 ばん あるいは上 うえ 半平 はんぺん 面 めん 上 うえ のある種 しゅ の正則 せいそく 函数 かんすう の空間 くうかん のことを言 い う。リース・フリジェシュ (Riesz 1923 ) によって導入 どうにゅう され、その名 な は論文 ろんぶん (Hardy 1915 ) の著者 ちょしゃ であるゴッドフレイ・ハロルド・ハーディ にちなむ。実 じつ 解析 かいせき におけるハーディ空間 くうかん は、(超 ちょう 函数 かんすう の意味 いみ で)複素 ふくそ ハーディ空間 くうかん の正則 せいそく 函数 かんすう の境界 きょうかい 値 ち であるような、実数 じっすう 直線 ちょくせん 上 じょう のある超 ちょう 函数 かんすう からなる空間 くうかん で、函数 かんすう 解析 かいせき 学 がく におけるLp空間 くうかん と関係 かんけい する。1 ≤ p ≤ ∞ に対 たい し、それら実 じつ ハーディ空間 くうかん Hp は Lp の部分 ぶぶん 集合 しゅうごう であるが、p < 1 に対 たい して Lp はいくつか望 のぞ ましくない性質 せいしつ を持 も つ一方 いっぽう 、ハーディ空間 くうかん はより良 よ い振 ふ る舞 ま いをする。
複素数 ふくそすう の場合 ばあい の管状 かんじょう 領域 りょういき (英語 えいご 版 ばん ) 上 うえ の正則 せいそく 函数 かんすう や、実数 じっすう の場合 ばあい の R n 上 うえ の超 ちょう 函数 かんすう の空間 くうかん など、高 こう 次元 じげん の一般 いっぱん 化 か がいくつか存在 そんざい する。
ハーディ空間 くうかん には解析 かいせき 学 がく それ自身 じしん において多 おお くの応用 おうよう が存在 そんざい すると共 とも に、制御 せいぎょ 理論 りろん (H∞制御 せいぎょ 理論 りろん など)や散乱 さんらん 理論 りろん においても多 おお くの応用 おうよう が存在 そんざい する。
単位 たんい 円 えん 板 ばん に対 たい するハーディ空間 くうかん [ 編集 へんしゅう ]
開 ひらく 単位 たんい 円 えん 板 ばん 上 うえ の正則 せいそく 函数 かんすう の空間 くうかん に対 たい し、ハーディ空間 くうかん H 2 は、半径 はんけい r の円周 えんしゅう 上 じょう の平均 へいきん 二 に 乗 じょう 値 ち が r → 1 に下 した から近 ちか づいた時 とき に有界 ゆうかい となるような函数 かんすう から構成 こうせい される空間 くうかん となる。
より一般 いっぱん に、0 < p < ∞ に対 たい するハーディ空間 くうかん Hp は、次 つぎ を満 み たす開 ひらく 単位 たんい 円 えん 板 ばん 上 じょう の正則 せいそく 函数 かんすう f のクラスとなる:
sup
0
<
r
<
1
(
1
2
π ぱい
∫
0
2
π ぱい
|
f
(
r
e
i
θ しーた
)
|
p
d
θ しーた
)
1
/
p
<
∞
.
{\displaystyle \sup _{0<r<1}\left({\frac {1}{2\pi }}\int _{0}^{2\pi }|f(re^{i\theta })|^{p}\;\mathrm {d} \theta \right)^{1/p}<\infty .}
このクラス Hp はベクトル空間 くうかん である。この不等式 ふとうしき の左辺 さへん の数 かず は、f に対 たい するハーディ空間 くうかん の p -ノルムであり、
‖
f
‖
H
p
{\displaystyle \|f\|_{H^{p}}}
と記述 きじゅつ される。これは p ≥ 1 のときはノルムであるが、0 < p < 1 のときはノルムとならない。
H ∞ は円 えん 板 ばん 上 じょう の有界 ゆうかい 正則 せいそく 函数 かんすう からなるベクトル空間 くうかん として定義 ていぎ され、そのノルムは
‖
f
‖
H
∞
:=
sup
|
z
|
<
1
|
f
(
z
)
|
{\displaystyle \|f\|_{H^{\infty }}:=\sup _{|z|<1}\left|f(z)\right|}
となる。0 < p ≤ q ≤ ∞ に対 たい し、クラス Hq は Hp の部分 ぶぶん 集合 しゅうごう であり、Hp -ノルムは p について増加 ぞうか である(これは Lp -ノルムが確 かく 率 りつ 測度 そくど 、すなわち総 そう 質量 しつりょう が 1 である測度 そくど に対 たい して増加 ぞうか であるというヘルダーの不等式 ふとうしき による)。
単位 たんい 円上 えんじょう のハーディ空間 くうかん [ 編集 へんしゅう ]
前節 ぜんせつ で定義 ていぎ されたハーディ空間 くうかん は、単位 たんい 円上 えんじょう の複素 ふくそ Lp 空間 くうかん の閉線型 がた 部分 ぶぶん 空間 くうかん と見 み なすことも出来 でき る。この関係 かんけい は、以下 いか の定理 ていり によって示 しめ される(Katznelson 1976 , Thm 3.8):p ≥ 0 に対 たい し f ∈ Hp が与 あた えられるとき、半径 はんけい に関 かん する極限 きょくげん
f
~
(
e
i
θ しーた
)
=
lim
r
→
1
f
(
r
e
i
θ しーた
)
{\displaystyle {\tilde {f}}\left(e^{i\theta }\right)=\lim _{r\to 1}f\left(re^{i\theta }\right)}
はほとんど全 すべ ての θ しーた に対 たい して存在 そんざい する。この関数 かんすう
f
~
{\displaystyle {\tilde {f}}}
は単位 たんい 円 えん に対 たい する Lp 空間 くうかん に属 ぞく し、次 つぎ が成立 せいりつ する。
‖
f
~
‖
L
p
=
‖
f
‖
H
p
.
{\displaystyle \|{\tilde {f}}\|_{L^{p}}=\|f\|_{H^{p}}.}
単位 たんい 円 えん を T と表 あらわ し、全 すべ ての極限 きょくげん 函数 かんすう
f
~
{\displaystyle {\tilde {f}}}
からなる Lp (T ) の線型 せんけい 部分 ぶぶん 空間 くうかん を Hp (T ) と表 あらわ す。f が Hp 内 うち で変化 へんか するとき、p ≥ 1 に対 たい して次 つぎ が成 な り立 た つ (Katznelson 1976 )。
g
∈
H
p
(
T
)
if and only if
g
∈
L
p
(
T
)
and
g
^
(
n
)
=
0
for all
n
<
0.
{\displaystyle g\in H^{p}\left(\mathbf {T} \right){\text{ if and only if }}g\in L^{p}\left(\mathbf {T} \right){\text{ and }}{\hat {g}}(n)=0{\text{ for all }}n<0.}
ただし ĝ (n ) は単位 たんい 円上 えんじょう で可 か 積分 せきぶん な函数 かんすう g のフーリエ係数 けいすう であり、次 つぎ が成 な り立 た つ。
∀
n
∈
Z
,
g
^
(
n
)
=
1
2
π ぱい
∫
0
2
π ぱい
g
(
e
i
ϕ
)
e
−
i
n
ϕ
d
ϕ
.
{\displaystyle \forall n\in \mathbf {Z} ,\ \ \ {\hat {g}}(n)={\frac {1}{2\pi }}\int _{0}^{2\pi }g\left(e^{i\phi }\right)e^{-in\phi }\,\mathrm {d} \phi .}
空間 くうかん Hp (T ) は Lp (T ) の閉部分 ぶぶん 空間 くうかん である。1 ≤ p ≤ ∞ に対 たい して Lp (T ) はバナッハ空間 くうかん であるため、Hp (T ) もまた同様 どうよう にバナッハ空間 くうかん となる。
上述 じょうじゅつ の議論 ぎろん は逆 ぎゃく も成 な り立 た つ。p ≥ 1 に対 たい して函数 かんすう
f
~
{\displaystyle {\tilde {f}}}
∈ Lp (T ) が与 あた えられるとき、ポアソン核 かく Pr を用 もち いて単位 たんい 円 えん 板 ばん 上 じょう の正則 せいそく 函数 かんすう f を次 つぎ のように再 さい 構成 こうせい することが出来 でき る:
f
(
r
e
i
θ しーた
)
=
1
2
π ぱい
∫
0
2
π ぱい
P
r
(
θ しーた
−
ϕ
)
f
~
(
e
i
ϕ
)
d
ϕ
,
r
<
1.
{\displaystyle f\left(re^{i\theta }\right)={\frac {1}{2\pi }}\int _{0}^{2\pi }P_{r}(\theta -\phi ){\tilde {f}}\left(e^{i\phi }\right)\,\mathrm {d} \phi ,\quad r<1.}
そして
f
~
{\displaystyle {\tilde {f}}}
が Hp (T ) に属 ぞく しているなら、f は Hp に属 ぞく す。
f
~
{\displaystyle {\tilde {f}}}
は Hp (T ) 内 ない にある、すなわち
f
~
{\displaystyle {\tilde {f}}}
は、全 すべ ての n < 0 に対 たい して an = 0 を満 み たすフーリエ係数 けいすう (an )n ∈Z を持 も つと仮定 かてい する。このとき、
f
~
{\displaystyle {\tilde {f}}}
と関連 かんれん するハーディ空間 くうかん Hp の元 もと f は、次 つぎ の正則 せいそく 函数 かんすう である。
f
(
z
)
=
∑
n
=
0
∞
a
n
z
n
,
|
z
|
<
1.
{\displaystyle f(z)=\sum _{n=0}^{\infty }a_{n}z^{n},\ \ \ |z|<1.}
応用 おうよう の場面 ばめん では、これら負 まけ のフーリエ係数 けいすう が消失 しょうしつ している函数 かんすう は通常 つうじょう 、因果 いんが 解 かい (causal solution)と解釈 かいしゃく される。したがって空間 くうかん H 2 は自然 しぜん に L 2 空間 くうかん の内側 うちがわ にあり、N によって添 そ え字 じ 付 つ けられる無限 むげん 列 れつ として表 あらわ される。一方 いっぽう 、L 2 は Z によって添 そ え字 じ 付 つ けられる両側 りょうがわ 無限 むげん 列 れつ (bi-infinite sequence)から構成 こうせい される。
円上 えんじょう の実 じつ ハーディ空間 くうかん との関連 かんれん [ 編集 へんしゅう ]
1 ≤ p < ∞ のとき、後述 こうじゅつ の実 じつ ハーディ空間 くうかん Hp は現在 げんざい の文脈 ぶんみゃく で容易 ようい に表現 ひょうげん することが出来 でき る。単位 たんい 円上 えんじょう の実 じつ 函数 かんすう f は、それが Hp (T ) 内 ない のある函数 かんすう の実 み 部 ぶ であるなら、実 じつ ハーディ空間 くうかん Hp (T ) に属 ぞく する。また複素 ふくそ 函数 かんすう f が実 じつ ハーディ空間 くうかん に属 ぞく するための必要 ひつよう 十 じゅう 分 ふん 条件 じょうけん は、Re(f ) および Im(f ) がその空間 くうかん に属 ぞく することである(後述 こうじゅつ の実 じつ ハーディ空間 くうかん に関 かん する節 ふし を参照 さんしょう されたい)。
p < 1 に対 たい し、フーリエ係数 けいすう やポアソン積分 せきぶん 、共役 きょうやく 函数 かんすう のような道具 どうぐ はもはや有効 ゆうこう ではない。例 たと えば、
F
(
z
)
=
1
+
z
1
−
z
,
|
z
|
<
1
{\displaystyle F(z)={\frac {1+z}{1-z}},\quad |z|<1}
と
f
(
e
i
θ しーた
)
:=
F
~
(
e
i
θ しーた
)
=
i
cot
(
θ しーた
2
)
{\displaystyle f(e^{i\theta }):={\tilde {F}}(e^{i\theta })=i\,\cot({\tfrac {\theta }{2}})}
を考 かんが える。函数 かんすう F は全 すべ ての p < 1 に対 たい して Hp に含 ふく まれ、半径 はんけい に関 かん する極限 きょくげん f は Hp (T ) 内 ない にあるが Re(f ) はほとんど至 いた る所 ところ で 0 とする。Re(f ) から F を得 え ることはもはや出来 でき なく、上述 じょうじゅつ のような簡単 かんたん な方法 ほうほう で実 み Hp (T ) を定義 ていぎ することは出来 でき ない。
同 おな じ函数 かんすう F に対 たい し、fr (eiθ しーた ) = F (re iθ しーた ) とする。r → 1 としたときの Re(fr ) の超 ちょう 函数 かんすう の意味 いみ での円上 えんじょう の極限 きょくげん は、z = 1 でのデルタ超 ちょう 函数 かんすう の非 ひ ゼロの倍数 ばいすう に等 ひと しい。単位 たんい 円上 えんじょう の任意 にんい の点 てん でのデルタ超 ちょう 函数 かんすう は、全 すべ ての p < 1 に対 たい して実 みのる Hp (T ) に属 ぞく する(後述 こうじゅつ の議論 ぎろん を参照 さんしょう )。
内 うち 函数 かんすう と外 そと 函数 かんすう への因数 いんすう 分解 ぶんかい (バーリング)[ 編集 へんしゅう ]
0 < p ≤ ∞ に対 たい し、Hp 内 うち の全 すべ ての非 ひ ゼロ函数 かんすう f は、以下 いか で定義 ていぎ される外 そと 函数 かんすう (outer function)G と内 うち 函数 かんすう (inner function)h の積 せき f = Gh で表 あらわ すことが出来 でき る (Rudin 1987 , Thm 17.17)。このバーリング (英語 えいご 版 ばん ) 因数 いんすう 分解 ぶんかい は、ハーディ空間 くうかん を内 うち 函数 かんすう と外 そと 函数 かんすう の空間 くうかん によって完全 かんぜん に特徴付 とくちょうづ けることを許 ゆる す。
G (z ) は次 つぎ の形状 けいじょう を取 と るとき、外 そと 函数 かんすう と呼 よ ばれる。
G
(
z
)
=
c
exp
(
1
2
π ぱい
∫
−
π ぱい
π ぱい
e
i
θ しーた
+
z
e
i
θ しーた
−
z
log
(
φ ふぁい
(
e
i
θ しーた
)
)
d
θ しーた
)
.
{\displaystyle G(z)=c\,\exp \left({\frac {1}{2\pi }}\int _{-\pi }^{\pi }{\frac {e^{i\theta }+z}{e^{i\theta }-z}}\log \!\left(\varphi \!\left(e^{i\theta }\right)\right)\,\mathrm {d} \theta \right).}
ただし c は |c | = 1 であるような複素数 ふくそすう で、φ ふぁい は log(φ ふぁい ) が単位 たんい 円上 えんじょう で可 か 積分 せきぶん であるような正 せい の可 か 測 はか 函数 かんすう である。特 とく に φ ふぁい も単位 たんい 円上 えんじょう で可 か 積分 せきぶん であるなら、上 うえ 式 しき がポアソン核 かく の形状 けいじょう を取 と るため、G は H 1 に含 ふく まれる。このことは、ほとんど全 すべ ての θ しーた に対 たい して
lim
r
→
1
−
|
G
(
r
e
i
θ しーた
)
|
=
φ ふぁい
(
e
i
θ しーた
)
{\displaystyle \lim _{r\to 1^{-}}\left|G\left(re^{i\theta }\right)\right|=\varphi \left(e^{i\theta }\right)}
が成立 せいりつ することを意味 いみ する。
h (z ) が内 うち 函数 かんすう であるとは、単位 たんい 円 えん 板 ばん 上 じょう で |h (z )| ≤ 1 を満 み たし、ほとんど全 すべ ての θ しーた に対 たい して極限 きょくげん
lim
r
→
1
−
h
(
r
e
i
θ しーた
)
{\displaystyle \lim _{r\to 1^{-}}h(re^{i\theta })}
が存在 そんざい し、その母 はは 数 すう が 1 に等 ひと しいことを言 い う。特 とく に、h は H ∞ に含 ふく まれる。内 うち 函数 かんすう はさらに、ブラシュケ積 せき (英語 えいご 版 ばん ) を含 ふく む形 かたち へ分解 ぶんかい することが出来 でき る。
f = Gh と分解 ぶんかい される函数 かんすう f が Hp 内 うち にあるための必要 ひつよう 十 じゅう 分 ふん 条件 じょうけん は、外 そと 函数 かんすう G の式 しき に現 あらわ れる正 せい の函数 かんすう φ ふぁい が Lp (T ) に属 ぞく することである。
G を、単位 たんい 円上 えんじょう の函数 かんすう φ ふぁい によって上述 じょうじゅつ のように表現 ひょうげん される外 そと 函数 かんすう とする。α あるふぁ > 0 に対 たい して φ ふぁい を φ ふぁい α あるふぁ に置 お き換 か えることで、次 つぎ の性質 せいしつ を満 み たす外 そと 函数 かんすう の族 ぞく (G α あるふぁ ) を得 え ることが出来 でき る。
G 1 = G , G α あるふぁ +β べーた = G α あるふぁ G β べーた and |G α あるふぁ | = |G |α あるふぁ almost everywhere on the circle.
単位 たんい 円上 えんじょう の実 じつ 変数 へんすう の手法 しゅほう [ 編集 へんしゅう ]
R n 上 うえ で定義 ていぎ される「実 じつ ハーディ空間 くうかん 」(後述 こうじゅつ )の研究 けんきゅう と主 おも に関連 かんれん する実 じつ 変数 へんすう の手法 しゅほう もまた、単位 たんい 円 えん に関 かん するより簡単 かんたん な枠組 わくぐ みにおいて用 もち いられる。その手法 しゅほう は、それら「実 み 」空間 くうかん における複素 ふくそ 函数 かんすう (あるいは超 ちょう 函数 かんすう )に対 たい する実践 じっせん 的 てき なものである。以下 いか の定義 ていぎ では、実数 じっすう および複素数 ふくそすう の場合 ばあい を区別 くべつ しない。
Pr を単位 たんい 円 えん T 上 うえ のポアソン核 かく とする。単位 たんい 円上 えんじょう の超 ちょう 函数 かんすう f に対 たい して、次 つぎ を定 さだ める。
(
M
f
)
(
e
i
θ しーた
)
=
sup
0
<
r
<
1
|
(
f
∗
P
r
)
(
e
i
θ しーた
)
|
.
{\displaystyle (Mf)(e^{i\theta })=\sup _{0<r<1}\left|(f*P_{r})\left(e^{i\theta }\right)\right|.}
ここで「スター」の記号 きごう は、単位 たんい 円上 えんじょう での超 ちょう 函数 かんすう f と函数 かんすう eiθ しーた → Pr (θ しーた ) の畳 たた み込 こ みを表 あらわ す。すなわち、(f ∗ Pr )(eiθ しーた ) は、単位 たんい 円上 えんじょう で
e
i
φ ふぁい
→
P
r
(
θ しーた
−
φ ふぁい
)
{\displaystyle e^{i\varphi }\rightarrow P_{r}(\theta -\varphi )}
と定義 ていぎ される C ∞ -函数 かんすう についての f の作用 さよう の結果 けっか である。0 < p < ∞ に対 たい し、実 じつ ハーディ空間 くうかん Hp (T ) は M f が Lp (T ) に属 ぞく するような超 ちょう 函数 かんすう f より構成 こうせい される。
単位 たんい 円上 えんじょう で F (re iθ しーた ) = (f ∗ Pr )(eiθ しーた ) で定義 ていぎ される函数 かんすう F は調和 ちょうわ 的 てき であり、M f は F の半径 はんけい 極大 きょくだい 函数 かんすう (radial maximal function)である。M f が Lp (T ) に属 ぞく し、p ≥ 1 であるとき、超 ちょう 函数 かんすう f は Lp (T ) の函数 かんすう 、すなわち、F の境界 きょうかい 値 ち である。p ≥ 1 に対 たい し、実 じつ ハーディ空間 くうかん Hp (T ) は Lp (T ) の部分 ぶぶん 空間 くうかん である。
共役 きょうやく 函数 かんすう [ 編集 へんしゅう ]
単位 たんい 円上 えんじょう のすべての実 じつ 三角 さんかく 多項式 たこうしき u に対 たい し、u + iv が単位 たんい 円 えん 板 いた 内 ない の正則 せいそく 函数 かんすう となるように拡張 かくちょう できる実 じつ 共役 きょうやく 多項式 たこうしき v を次 つぎ のように定義 ていぎ できる。
u
(
e
i
θ しーた
)
=
a
0
2
+
∑
k
≥
1
a
k
cos
(
k
θ しーた
)
+
b
k
sin
(
k
θ しーた
)
⟶
v
(
e
i
θ しーた
)
=
∑
k
≥
1
a
k
sin
(
k
θ しーた
)
−
b
k
cos
(
k
θ しーた
)
.
{\displaystyle u(e^{i\theta })={\frac {a_{0}}{2}}+\sum _{k\geq 1}a_{k}\cos(k\theta )+b_{k}\sin(k\theta )\longrightarrow v(e^{i\theta })=\sum _{k\geq 1}a_{k}\sin(k\theta )-b_{k}\cos(k\theta ).}
この写像 しゃぞう u → v は、1 < p < ∞ のときには Lp (T ) 上 じょう の有界 ゆうかい 線型 せんけい 作用素 さようそ H へと拡張 かくちょう される(スカラー倍 ばい を除 のぞ き、それは単位 たんい 円上 えんじょう のヒルベルト変換 へんかん である)。また H は L 1 (T ) を弱 じゃく -L 1 (T ) にも写 うつ す。1 ≤ p < ∞ のとき、単位 たんい 円上 えんじょう の実 じつ 数値 すうち 可 か 積分 せきぶん 函数 かんすう f に対 たい して、以下 いか は同値 どうち である。
函数 かんすう f はある函数 かんすう g ∈ Hp (T ) の実 み 部 ぶ ;
函数 かんすう f とその共役 きょうやく H(f) は Lp (T ) に属 ぞく する;
半径 はんけい 極大 きょくだい 函数 かんすう M f は Lp (T ) に属 ぞく する。
1 < p < ∞ のとき、f ∈ Lp (T ) であるなら H(f) は Lp (T ) に属 ぞく し、したがって実 じつ ハーディ空間 くうかん Hp (T ) はこの場合 ばあい Lp (T ) と一致 いっち する。p = 1 に対 たい し、実 じつ ハーディ空間 くうかん H 1 (T ) は L 1 (T ) の真 ま 部分 ぶぶん 空間 くうかん となる。
L ∞ 函数 かんすう の極大 きょくだい 函数 かんすう M f は常 つね に有界 ゆうかい であり、実 みのる H ∞ が L ∞ と等 ひと しくなることは望 のぞ まれていないため、p = ∞ の場合 ばあい は実 じつ ハーディ空間 くうかん の定義 ていぎ から除外 じょがい することが出来 でき る。しかし、実 じつ 数値 すうち 函数 かんすう f に対 たい して次 つぎ の二 ふた つの性質 せいしつ は同値 どうち となる。
函数 かんすう f がある函数 かんすう g ∈ H ∞ (T ) の実 み 部 ぶ ;
函数 かんすう f とその共役 きょうやく H(f) が L ∞ (T ) に属 ぞく する。
0 < p < 1 に対 たい する実 じつ ハーディ空間 くうかん [ 編集 へんしゅう ]
0 < p < 1 のとき、Lp の凸 とつ 性 せい の欠如 けつじょ により、Hp 内 うち の函数 かんすう F は単位 たんい 円上 えんじょう の境界 きょうかい 極限 きょくげん 函数 かんすう の実 み 部 ぶ によって再 さい 構成 こうせい することが出来 でき ない。凸 とつ 性 せい は満 み たされないが、ある種 しゅ の複素 ふくそ 凸 とつ 性 せい 、すなわち z → |z |q がすべての q > 0 に対 たい して劣 れつ 調和 ちょうわ 的 てき となるという性質 せいしつ は満 み たされる。したがって、
F
(
z
)
=
∑
n
=
0
+
∞
c
n
z
n
,
|
z
|
<
1
{\displaystyle F(z)=\sum _{n=0}^{+\infty }c_{n}z^{n},\quad |z|<1}
が Hp に属 ぞく するのであれば、cn = O(n 1/p –1 ) であることが示 しめ される。フーリエ級数 きゅうすう
∑
n
=
0
+
∞
c
n
e
i
n
θ しーた
{\displaystyle \sum _{n=0}^{+\infty }c_{n}e^{in\theta }}
は超 ちょう 函数 かんすう の意味 いみ である単位 たんい 円上 えんじょう の超 ちょう 函数 かんすう f に収束 しゅうそく し、F (re iθ しーた ) =(f ∗ Pr )(θ しーた ) となる。F のテイラー係数 けいすう cn は Re(f ) のフーリエ係数 けいすう より計算 けいさん することが出来 でき るので、函数 かんすう F ∈ Hp は単位 たんい 円上 えんじょう の実 じつ 超 ちょう 函数 かんすう Re(f ) によって再 さい 構成 こうせい される。すなわち p < 1 であれば、単位 たんい 円上 えんじょう の超 ちょう 函数 かんすう は一般 いっぱん にハーディ空間 くうかん を扱 あつか う上 うえ で十分 じゅうぶん なものとなる。1 以上 いじょう の自然 しぜん 数 すう N に対 たい し、0 < N p < 1 であるなら、函数 かんすう F (z ) = (1−z )–N (|z | < 1)に見 み られるように、超 ちょう 函数 かんすう は Hp に属 ぞく する。
単位 たんい 円上 えんじょう の実 じつ 超 ちょう 函数 かんすう が実 じつ -Hp (T ) に属 ぞく するための必要 ひつよう 十 じゅう 分 ふん 条件 じょうけん は、それがある F ∈ Hp の実 み 部 ぶ の境界 きょうかい 値 ち であることである。単位 たんい 円上 えんじょう の任意 にんい の点 てん x でのディラック超 ちょう 函数 かんすう δ でるた x は、すべての p < 1 に対 たい して実 みのる -Hp (T ) に属 ぞく する。p < 1/2 であれば微分 びぶん δ でるた ′x が属 ぞく し、p < 1/3 であれば二 に 階 かい 微分 びぶん δ でるた ′′x が属 ぞく する。以下 いか 、同様 どうよう のことが成 な り立 た つ。
上 うえ 半平 はんぺん 面 めん に対 たい するハーディ空間 くうかん [ 編集 へんしゅう ]
円 えん 板 ばん 以外 いがい の領域 りょういき の上 じょう でもハーディ空間 くうかん を定義 ていぎ することは可能 かのう で、複素 ふくそ 半平 はんぺん 面 めん (通常 つうじょう は右 みぎ 半平 はんぺん 面 めん あるいは上 うえ 半平 はんぺん 面 めん )上 じょう のハーディ空間 くうかん が多 おお くの応用 おうよう の場面 ばめん で用 もち いられている。
上 うえ 半平 はんぺん 面 めん H 上 うえ のハーディ空間 くうかん Hp (H ) は、H 上 うえ の正則 せいそく 函数 かんすう f からなる空間 くうかん で、次 つぎ の有界 ゆうかい (準 じゅん )ノルムを備 そな えるものとして定義 ていぎ される。
‖
f
‖
H
p
=
sup
y
>
0
(
∫
|
f
(
x
+
i
y
)
|
p
d
x
)
1
p
.
{\displaystyle \|f\|_{H^{p}}=\sup _{y>0}\left(\int |f(x+iy)|^{p}\,\mathrm {d} x\right)^{\frac {1}{p}}.}
これに対応 たいおう する H ∞ (H ) は、次 つぎ で与 あた えられる有界 ゆうかい ノルムを備 そな える函数 かんすう からなる空間 くうかん として定義 ていぎ される。
‖
f
‖
H
∞
=
sup
z
∈
H
|
f
(
z
)
|
.
{\displaystyle \|f\|_{H^{\infty }}=\sup _{z\in \mathbf {H} }|f(z)|.}
単位 たんい 円 えん 板 ばん D と上 うえ 半平 はんぺん 面 めん H は、メビウス変換 へんかん の意味 いみ で一方 いっぽう から他方 たほう へ写 うつ すことが可能 かのう となるが、ハーディ空間 くうかん に対 たい する領域 りょういき としてそれらは交換 こうかん 可能 かのう ではない。この違 ちが いの原因 げんいん は、単位 たんい 円 えん は有限 ゆうげん (1次元 じげん )ルベーグ測度 そくど を持 も つが、実数 じっすう 直線 ちょくせん は持 も たないという事実 じじつ にある。しかし、H 2 に対 たい しては、依然 いぜん として次 つぎ の定理 ていり が成 な り立 た つ。メビウス変換 へんかん m : D → H で次 つぎ を満 み たすものが与 あた えられたとする。
m
(
z
)
=
i
⋅
1
+
z
1
−
z
.
{\displaystyle m(z)=i\cdot {\frac {1+z}{1-z}}.}
このとき、等 ひとし 長 ちょう 同型 どうけい M : H 2 (H ) → H 2 (D ) で、次 つぎ を満 み たすものが存在 そんざい する。
(
M
f
)
(
z
)
=
π ぱい
1
−
z
f
(
m
(
z
)
)
.
{\displaystyle (Mf)(z)={\frac {\sqrt {\pi }}{1-z}}f(m(z)).}
R n に対 たい する実 じつ ハーディ空間 くうかん [ 編集 へんしゅう ]
実 じつ ベクトル空間 くうかん R n 上 うえ の解析 かいせき において、ハーディ空間 くうかん Hp (0 < p ≤ ∞)は、∫Φ ふぁい = 1 を満 み たすあるシュワルツ函数 かんすう Φ ふぁい に対 たい して極大 きょくだい 函数 かんすう (英語 えいご 版 ばん )
(
M
Φ ふぁい
f
)
(
x
)
=
sup
t
>
0
|
(
f
∗
Φ ふぁい
t
)
(
x
)
|
{\displaystyle (M_{\Phi }f)(x)=\sup _{t>0}|(f*\Phi _{t})(x)|}
が Lp (R n ) に属 ぞく するような、緩 なる 増加 ぞうか 超 ちょう 函数 かんすう f によって構成 こうせい される。ここで ∗ は畳 たた み込 こ み を表 あらわ し、Φ ふぁい t (x ) = t −n Φ ふぁい (x / t ) である。Hp 内 うち の超 ちょう 函数 かんすう f の Hp -準 じゅん ノルム ||f ||Hp は、M Φ ふぁい f の Lp ノルムとして定義 ていぎ される(これは Φ ふぁい の選択 せんたく に依存 いぞん するが、異 こと なるシュワルツ超 ちょう 函数 かんすう Φ ふぁい を選 えら んでも同値 どうち なノルムが与 あた えられる)。Hp -準 じゅん ノルムは p ≥ 1 のときノルムであるが、p < 1 のときはノルムではない。
1 < p < ∞ であるなら、ハーディ空間 くうかん Hp は Lp と等 ひと しいベクトル空間 くうかん で、同値 どうち なノルムを持 も つ。p = 1 のとき、ハーディ空間 くうかん H 1 は L 1 の真 ま 部分 ぶぶん 集合 しゅうごう である。L 1 において有界 ゆうかい であるが、H 1 において非 ひ 有界 ゆうかい であるような列 れつ H 1 を見 み つけることが出来 でき る。例 たと えば、実数 じっすう 直線 ちょくせん 上 じょう の以下 いか の函数 かんすう が挙 あ げられる。
f
k
(
x
)
=
1
[
0
,
1
]
(
x
−
k
)
−
1
[
0
,
1
]
(
x
+
k
)
,
k
>
0.
{\displaystyle f_{k}(x)=\mathbf {1} _{[0,1]}(x-k)-\mathbf {1} _{[0,1]}(x+k),\ \ \ k>0.}
L 1 と H 1 のノルムは H 1 上 うえ で同値 どうち ではなく、H 1 は L 1 において閉ではない。H 1 の双対 そうつい は、有界 ゆうかい 平均 へいきん 振動 しんどう (英語 えいご 版 ばん ) の函数 かんすう の空間 くうかん BMO である。空間 くうかん BMO は非 ひ 有界 ゆうかい な函数 かんすう を含 ふく む(これは再 ふたた び、H 1 が L 1 において閉でないことを意味 いみ する)。
p < 1 であるなら、ハーディ空間 くうかん Hp は函数 かんすう ではない元 もと を持 も ち、その双対 そうつい は次数 じすう n (1/p − 1) の同 どう 次 つぎ リプシッツ空間 くうかん である。p < 1 のとき、Hp -準 じゅん ノルムは劣 れつ 加法 かほう 的 てき ではないため、ノルムではない。p次 つぎ のベキ ||f ||Hp p は p < 1 のとき劣 れつ 加法 かほう 的 てき であり、ハーディ空間 くうかん Hp 上 うえ のある距離 きょり を定義 ていぎ する。それは位相 いそう を定義 ていぎ し、Hp を完備 かんび 距離 きょり 空間 くうかん にする。
0 < p ≤ 1 のとき、コンパクトな台 だい を持 も つ有界 ゆうかい 可 か 測 はか 函数 かんすう f がハーディ空間 くうかん Hp に属 ぞく するための必要 ひつよう 十 じゅう 分 ふん 条件 じょうけん は、その次数 じすう i 1 + ... +in が高々 たかだか n (1/p − 1) であるすべてのモーメント
∫
R
n
f
(
x
)
x
1
i
1
…
x
n
i
n
d
x
{\displaystyle \int _{\mathbf {R} ^{n}}f(x)x_{1}^{i_{1}}\ldots x_{n}^{i_{n}}\,\mathrm {d} x}
が消失 しょうしつ することである。例 たと えば、f ∈ Hp , 0 < p ≤ 1 であるためには f の積分 せきぶん は消失 しょうしつ する必要 ひつよう がある。p > n / (n +1) であるなら、その消失 しょうしつ は十分 じゅうぶん 条件 じょうけん となる。
さらに f がある球 たま B に台 だい を持 も ち、|B |−1/p によって有界 ゆうかい であるなら、f は Hp -原子 げんし と呼 よ ばれる(ここで |B | は R n における B のユークリッド体積 たいせき を表 あらわ す)。任意 にんい の Hp -原子 げんし の Hp -準 じゅん ノルムは、p およびシュワルツ函数 かんすう Φ ふぁい にのみ依存 いぞん する定数 ていすう によって有界 ゆうかい となる。
0 < p ≤ 1 のとき、Hp の任意 にんい の元 もと f には、Hp -原子 げんし の収束 しゅうそく 無限 むげん 結合 けつごう である次 つぎ の原子 げんし 分解 ぶんかい が存在 そんざい する。
f
=
∑
c
j
a
j
,
∑
|
c
j
|
p
<
∞
.
{\displaystyle f=\sum c_{j}a_{j},\ \ \ \sum |c_{j}|^{p}<\infty .}
ここで aj は Hp -原子 げんし であり、cj はスカラーである。
例 たと えば、ディラック超 ちょう 函数 かんすう の差 さ f = δ でるた 1 −δ でるた 0 は、1/2 < p < 1 のとき Hp -準 じゅん ノルムにおいて収束 しゅうそく であるようなハール函数 かんすう の級数 きゅうすう として表現 ひょうげん できる(単位 たんい 円上 えんじょう で、対応 たいおう する表現 ひょうげん は 0 < p < 1 に対 たい して有効 ゆうこう となるが、実数 じっすう 直線 ちょくせん 上 じょう ではハール函数 かんすう は p ≤ 1/2 のときには Hp に属 ぞく さない。これはなぜならば、それらの極大 きょくだい 函数 かんすう は無限 むげん 大 だい において、ある a ≠ 0 に対 たい する a x –2 と同値 どうち となるからである)。
Hp に対 たい するマルチンゲール[ 編集 へんしゅう ]
(Mn )n ≥0 をある確 かく 率 りつ 空間 くうかん (Ω おめが , Σ しぐま , P ) 上 じょう の、σ しぐま -体 からだ の増加 ぞうか 列 れつ (Σ しぐま n )n ≥0 に関 かん するマルチンゲール とする。簡単 かんたん のために、Σ しぐま はその列 れつ (Σ しぐま n )n ≥0 によって生成 せいせい される σ しぐま -体 からだ と等 ひと しいものと仮定 かてい する。そのマルチンゲールの極大 きょくだい 函数 かんすう は、次 つぎ で定義 ていぎ される。
M
∗
=
sup
n
≥
0
|
M
n
|
.
{\displaystyle M^{*}=\sup _{n\geq 0}\,|M_{n}|.}
1 ≤ p < ∞ とする。マルチンゲール (Mn )n ≥0 は M* ∈ Lp のとき、マルチンゲール-Hp に属 ぞく する。
M* ∈ Lp であるなら、マルチンゲール (Mn )n ≥0 は Lp 内 うち で有界 ゆうかい であり、したがってドゥーブのマルチンゲール収束 しゅうそく 定理 ていり (英語 えいご 版 ばん ) によってほとんど確実 かくじつ にある函数 かんすう f に収束 しゅうそく する。さらに優 ゆう 収束 しゅうそく 定理 ていり によって、Mn は Lp -ノルムにおいて f に収束 しゅうそく するため、Mn は Σ しぐま n 上 うえ での f の条件 じょうけん 付 つ き期待 きたい 値 ち として表現 ひょうげん される。したがってマルチンゲール-Hp を、マルチンゲール
M
n
=
E
(
f
|
Σ しぐま
n
)
{\displaystyle M_{n}=E{\bigl (}f|\Sigma _{n}{\bigr )}}
がマルチンゲール-Hp に属 ぞく するようなそれら f からなる Lp (Ω おめが , Σ しぐま , P ) の部分 ぶぶん 空間 くうかん として認識 にんしき することが出来 でき る。
ドゥーブの極大 きょくだい 不等式 ふとうしき によると、マルチンゲール-Hp は 1 < p < ∞ のとき Lp (Ω おめが , Σ しぐま , P ) と一致 いっち する。興味深 きょうみぶか い空間 くうかん として、双対 そうつい がマルチンゲール-BMO であるようなマルチンゲール-H 1 が挙 あ げられる (Garsia 1973 )。
(p > 1 のときの)バークホルダー=ガンディ不等式 ふとうしき や、(p = 1 のときの)バージェス=デービス不等式 ふとうしき は、極大 きょくだい 函数 かんすう の Lp -ノルムを、マルチンゲールの自乗 じじょう 函数 かんすう
S
(
f
)
=
(
|
M
0
|
2
+
∑
n
=
0
∞
|
M
n
+
1
−
M
n
|
2
)
1
2
{\displaystyle S(f)=\left(|M_{0}|^{2}+\sum _{n=0}^{\infty }|M_{n+1}-M_{n}|^{2}\right)^{\frac {1}{2}}}
と関連付 かんれんづ ける。マルチンゲール-Hp は、S (f )∈ Lp とすることで定義 ていぎ することが出来 でき る (Garsia 1973 )。
連続 れんぞく 時間 じかん パラメータを伴 ともな うマルチンゲールもまた考慮 こうりょ することが出来 でき る。古典 こてん 的 てき 理論 りろん との直接的 ちょくせつてき な関連 かんれん は、複素 ふくそ 平面 へいめん 内 ない の複素 ふくそ ブラウン運動 うんどう (Bt ) で、点 てん z = 0 を時間 じかん t = 0 に出発 しゅっぱつ するものを通 つう じて得 え ることが出来 でき る。τ たう を単位 たんい 円 えん への到達 とうたつ 時刻 じこく とする。単位 たんい 円 えん 板 いた 内 ない の任意 にんい の正則 せいそく 函数 かんすう F に対 たい して、
M
t
=
F
(
B
t
∧
τ たう
)
{\displaystyle M_{t}=F(B_{t\wedge \tau })}
がマルチンゲール-Hp に属 ぞく するマルチンゲールであるための必要 ひつよう 十 じゅう 分 ふん 条件 じょうけん は、F ∈ Hp である(Burkholder, Gundy & Silverstein 1971 )。
例 れい :二 に 次項 じこう マルチンゲール-H 1 [ 編集 へんしゅう ]
ここでは例 れい として、Ω おめが = [0, 1] とし、任意 にんい の n ≥ 0 に対 たい して長 なが さ 2−n の 2n 個 こ の区間 くかん への [0, 1] の二 に 次項 じこう 分割 ぶんかつ によって生成 せいせい される有限 ゆうげん 体 たい を Σ しぐま n とする。[0, 1] 上 じょう の函数 かんすう f が、ハールシステム (hk ) 上 じょう の展開 てんかい
f
=
∑
c
k
h
k
,
{\displaystyle f=\sum c_{k}h_{k},}
によって表 あらわ されるなら、f のマルチンゲール-H 1 ノルムは自乗 じじょう 函数 かんすう の L 1 ノルム
∫
0
1
(
∑
|
c
k
h
k
(
x
)
|
2
)
1
2
d
x
{\displaystyle \int _{0}^{1}{\Bigl (}\sum |c_{k}h_{k}(x)|^{2}{\Bigr )}^{\frac {1}{2}}\,\mathrm {d} x}
によって与 あた えられる。この空間 くうかん はしばしば H 1 (δ でるた ) と表記 ひょうき され、単位 たんい 円上 えんじょう で古典 こてん 的 てき 実 み H 1 空間 くうかん と同型 どうけい となる(Müller 2005 )。ハールシステムは、H 1 (δ でるた ) に対 たい する無条件 むじょうけん 基底 きてい (英語 えいご 版 ばん ) である。
Burkholder, Donald L.; Gundy, Richard F.; Silverstein, Martin L. (1971), “A maximal function characterization of the class Hp ” , Transactions of the American Mathematical Society 157 : 137–153, doi :10.2307/1995838 , JSTOR 1995838 , MR 0274767 , https://jstor.org/stable/1995838 .
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