バス (声域せいいき)

ソプラノ

アルト

テノール

バス

バス（ドイツ語ご: Bass、イタリア語ご: Basso〈バッソ〉、英語えいご: Bass〈ベイス〉）は、最もっとも低ひくい声域せいいきの歌手かしゅをさす。また、そこから転てんじて最もっとも低ひくい音域おんいきの楽器がっきをさす。声こえ部ぶとしては合唱がっしょう・合奏がっそうや和声わせい法ほうでは最低さいてい声ごえ部ぶの進行しんこうは和音わおん進行しんこうの基礎きそを形作かたちづくり、主しゅ旋律せんりつを和声わせい的てきに支ささえる基礎きそとなる。

声楽せいがく

低ひくい声域せいいきを持もつ男性だんせい歌手かしゅ、および合唱がっしょうにおいてのもっとも低ひくい声こえ部ぶをバスという。典型てんけい的てきなバスは概おおむねD2～F4くらいの範囲はんいの声こえを持もつ。4声こえ体たい和声わせいや合唱がっしょうのバス声ごえ部ぶはF2～D4くらいの音域おんいきである。日本にっぽんの合唱がっしょう曲きょくでは殆ほとんど見みられないが、ロシアの合唱がっしょう曲きょくを中心ちゅうしんに、C2やそれより下したの音おとが求もとめられることがある。混声こんせい4部ぶ合唱がっしょうではソプラノと合あわせて外そと声ごえ、アルトと合あわせて低てい声こえとよばれる。記き譜ふはごく一部いちぶを除のぞいて通常つうじょうはバス記号きごうが用もちいられる。

分類ぶんるい

クラシック音楽おんがく、特とくにオペラではしばしばバスを何なん種類しゅるいかに区別くべつする。「バッソ・プロフォンド」は特とくに深ふかい声こえをもつ歌手かしゅで、B1くらいまでの低音ていおんを持もつことがある。ロシアの合唱がっしょう音楽おんがくなどで求もとめられるG1あたりのさらに低ひくい音域おんいきを歌うたう歌手かしゅは「オクタヴィスト」と呼よばれる。それと対照たいしょう的てきに「バッソ・カンタンテ」はより軽かるくもっと叙情じょじょう的てきな声質せいしつで、やや高たかい声域せいいきを持もつ歌手かしゅをいう。「バッソ・ブッフォ」は喜劇きげき的てきな役割やくわりを得意とくいとするバスに対たいして用もちいる。

バスよりやや高たかい声こえを持もつ男性だんせい歌手かしゅはバリトンという。声域せいいきと声質せいしつがバスとバリトンのおよそ中間ちゅうかんにある歌手かしゅを「バスバリトン」と呼よぶこともある。合唱がっしょうなどでバスパート内ないで二分にぶんする場合ばあい、高たかい方ほうがバスⅠ、低ひくい方ほうがバスⅡとなるが、バスⅠを便宜上べんぎじょう「バリトン」、バスⅡを「バス下か」「下した(げ)バス」と呼よぶ場合ばあいもある。

バスに分類ぶんるいされる歌手かしゅの例れい

あ行くだり

• テオ・アダム
• トレヴァー・アンソニー
• ジョゼ・ヴァン・ダム
• ハーバート・ウィザースプーン
• イーヴォ・ヴィンコ
• アレクサンドル・ヴェデルニコフ
• オットー・エーデルマン
• アルトゥール・エイゼン
• サイモン・エステス
• 王おう晰
• 大橋おおはし国一くにいち
• 岡村おかむら喬たかし生せい

か行こう

• 岸本きしもと力つとむ
• 北川きたがわ辰彦たつひこ
• ニコライ・ギャウロフ
• ニコラ・ギュゼレフ
• ヨーゼフ・グラインドル
• フランツ・クラス
• ボリス・クリストフ
• 栗本くりもと正ただし
• ヴィタリー・グロマツキー
• ケレメン・ゾルターン
• フェルナンド・コレーナ
• カルロ・コロンバーラ

さ行ぎょう

• ニコラ・ザッカリア
• マッティ・サルミネン
• シェン・ヤン
• チェーザレ・シエピ
• パウル・シェフラー
• 志村しむら文彦ふみひこ
• ボナルド・ジャイオッティ
• フョードル・シャリアピン
• マルセル・ジュルネ
• ロベルト・スカンディウッツィ
• 鈴木すずき雪夫ゆきお（オクタヴィスト）
• フョードル・ストラヴィンスキー
• ハンス・ゾーティン
• ロジェ・ソワイエ

た行こう

• ブリン・ターフェル
• エンツォ・ダーラ
• マルッティ・タルヴェラ
• イルデブランド・ダルカンジェロ
• パオロアンドレア・ディピエトロ
• ジョルジョ・トッツィ
• ジョン・トムリンソン
• 高橋たかはし啓三けいぞう
• 高橋たかはし修一しゅういち
• 高橋たかはし大海たいかい
• 妻つま屋や秀和しゅうわ
• 戸山とやま俊樹としき

な行くだり

• グスタフ・ナイトリンガー
• 直ちょく野の資し
• 西村にしむら英将ひでまさ
• エフゲニー・ネステレンコ

は行こう

• ジェローム・ハインズ
• アレクサンドル・ピロゴフ
• エツィオ・ピンツァ
• ブルーノ・プラティコ
• ポル・プランソン
• ポール・プリシュカ
• パータ・ブルチュラーゼ
• ゴットロープ・フリック
• フェルッチョ・フルラネット
• ジャコモ・プレスティーア
• イヴァン・ペトロフ
• クルト・ベーメ
• ミケーレ・ペルトゥージ
• ハンス・ホッター
• 堀野ほりの浩史こうじ
• ロベルト・ホル
• ウィラード・ホワイト

ま行くだり

• 牧まき嗣人
• 槇野まきの義孝よしたか
• ウラディーミル・マトーリン
• ニコラ・モスコーナ
• ジェームス・モリス
• クルト・モル
• パオロ・モンタルソロ

や行くだり

• 矢田部やたべ勁吉
• 山口やまぐち俊彦としひこ

ら行ぎょう

• ルッジェーロ・ライモンディ
• カール・リッダーブッシュ
• クルト・リドル
• マルク・レイゼン
• サミュエル・レイミー
• ニコラ・ロッシ＝レメーニ
• ロバート・ロイド
• ポール・ロブスン
• ジョージ・ロンドン

わ行くだり

• パオロ・ワシントン

音楽おんがくにおける「バス」の他ほかの用法ようほう

• ダブルベース（コントラバス）の略称りゃくしょう。通常つうじょうクラシック音楽おんがくやジャズにおいては、バスはこの楽器がっきを示しめす。時ときには後述こうじゅつの金管楽器きんかんがっきと区別くべつするため「弦つるバス」と呼よばれる（特とくに吹奏楽すいそうがくにおいては欧米おうべいにおいてもString Bass、Contrebasse à cordes等ひとしの表記ひょうきが多おおく見みられる）。
• バスドラム、ベースギターの略称りゃくしょう。ロックンロールで用もちいられることが多おおい。ベース (弦楽器げんがっき)も参照さんしょう。
• 大型おおがたの低音ていおん金管楽器きんかんがっきの略称りゃくしょう。吹奏楽すいそうがくやブラスバンドにおいて低音ていおん部ぶの役割やくわりを担になうテューバ（チューバ）やスーザフォン（スーザホン）、サクソルン属ぞく低音ていおん楽器がっきのことである。
• バスクラリネットやバストロンボーン、バスサクソフォーンの略称りゃくしょう（やや一般いっぱん的てきでない用法ようほう）。
• 和声わせい法ほうまたは和声わせい法ほうに基もとづく音楽おんがくで、合奏がっそう体たい（重奏じゅうそう、合唱がっしょう、重唱じゅうしょう、ピアノ独奏どくそう等とうも含ふくむ）でもっとも低ひくい音おとを受うけ持もつ声こえ部ぶをバスという。和声わせい法ほうにおいてバスは、音楽おんがくそのものの和声わせい的てきな意味合いみあいを決定けっていづける特別とくべつな意味いみを持もち、和声わせい的てきな重要じゅうようさの点てんでは他たの声こえ部ぶと異ことなっている。

他たの声域せいいき

• ソプラノ
• メゾソプラノ
• アルト（コントラルト）
• カウンターテナー / カストラート
• テノール
• バリトン

関連かんれん項目こうもく

• 音楽おんがく
• 歌手かしゅ
• オペラ
• 声楽せいがく