ベアトリクス (オランダ女王じょおう)

ベアトリクス Beatrix
オランダ女王じょおう
ベアトリクス女王じょおう（2015年ねん）
在位ざいい	1980年ねん4月がつ30日にち - 2013年ねん4月がつ30日にち
就任しゅうにん式しき	1980年ねん4月がつ30日にち 於 アムステルダム新教しんきょう会かい
全ぜん名な	Beatrix Wilhelmina Armgard ベアトリクス・ウィルヘルミナ・アルムハルト
出生しゅっしょう	(1938-01-31) 1938年ねん1月がつ31日にち（86歳さい） オランダ、バールン
配偶はいぐう者しゃ	クラウス・ファン・アムスベルフ
子女しじょ	ウィレム＝アレクサンダー ヨハン・フリーゾ コンスタンティン
王朝おうちょう	オラニエ＝ナッサウ家か
父親ちちおや	ベルンハルト・ファン・リッペ＝ビーステルフェルト
母親ははおや	ユリアナ
宗教しゅうきょう	キリスト教きりすときょう改革かいかく派は教会きょうかい
サイン

オランダ王室おうしつ
国王こくおうウィレム＝アレクサンダー 王妃おうひマクシマ オラニエ女おんな公こうカタリナ＝アマリア アレクシア王女おうじょ アリアーネ王女おうじょ ベアトリクス王女おうじょ（前ぜん女王じょおう） 傍系ぼうけい王族おうぞく オラニエ＝ナッサウ公子こうし妃ひメイベル オラニエ＝ナッサウ伯爵はくしゃく令嬢れいじょうルアナ オラニエ＝ナッサウ伯爵はくしゃく令嬢れいじょうザリア コンスタンティン王子おうじ ローレンティン妃ひ オラニエ＝ナッサウ伯爵はくしゃく令嬢れいじょうエロイーゼ オラニエ＝ナッサウ伯爵はくしゃく令息れいそくクラウス＝カシミール オラニエ＝ナッサウ伯爵はくしゃく令嬢れいじょうレオノーレ イレーネ王女おうじょ パルマ公こうカルロス アンネマリー妃ひ コロルノ伯爵はくしゃくマルガリータ公こう女おんな バルディ伯爵はくしゃくハイメ公子こうし ヴィクトーリア妃ひ サーラ侯爵こうしゃくカロリーナ公こう女おんな マルフリート王女おうじょ ピーテル・ファン・フォレンホーフェン マウリッツ王子おうじ マリレーネ妃ひ ベルンハルト王子おうじ アネッテ妃ひ ピーテル＝クリスティアン王子おうじ アニタ妃ひ フローリス王子おうじ エメ妃ひ

両親りょうしんと幼少ようしょう期きのベアトリクス

ベアトリクス（オランダ語ご: Beatrix、1938年ねん1月がつ31日にち - ）は、第だい6代だいオランダ国王こくおう（女王じょおう）（在位ざいい:1980年ねん4月がつ30日にち - 2013年ねん4月がつ30日にち）、王女おうじょ。全ぜん名なは、ベアトリクス・ウィルヘルミナ・アルムハルト・ファン・オラニエ＝ナッサウ（オランダ語ご: Beatrix Wilhelmina Armgard van Oranje-Nassau）。

来歴らいれき

オランダ王女おうじょユリアナの長女ちょうじょとしてバールンで生せいを受うけた。1940年ねん、ナチス・ドイツのオランダ侵略しんりゃくにより祖母そぼウィルヘルミナ女王じょおう、母ははユリアナと共ともにイギリスへ亡命ぼうめいし、その後ご、遠縁とおえんのカナダ総督そうとく夫人ふじんアリスを頼たより、カナダへ渡わたった。そのため、初等しょとう教育きょういくをカナダで受うけている。

1945年ねん、戦争せんそうが終おわると王室おうしつは本国ほんごくに帰還きかん、1948年ねん母ははユリアナが即位そくいして王位おうい継承けいしょう者しゃとなった。ライデン大学だいがくで学まなぶ。

1966年ねん3月がつ10日とおか、ドイツ人じん外交がいこう官かんクラウス・フォン・アムスベルクと結婚けっこんした。ナチス・ドイツの禍根かこんから、ドイツ人じんと結婚けっこんすることに対たいして、一部いちぶの国民こくみんからは強つよい反感はんかんを集あつめ、結婚式けっこんしき場じょうとなった教会きょうかい周辺しゅうへんには反対はんたい派はのデモ隊たいが押おし寄よせ、煙けむり爆ばく弾だんが投なげ込こまれるなどの事件じけんも発生はっせいしている（しかし、後のちにクラウスは国民こくみんの広ひろい人気にんきを集あつめるようになった）。1967年ねん、王家おうけでは百ひゃく数すう年ねんぶりの男子だんし誕生たんじょうとなるオラニエ公こうウィレム＝アレクサンダー王おう太子たいしを出産しゅっさんした。次ついで、ヨハン・フリーゾ王子おうじ、コンスタンティン王子おうじが生うまれた。1980年ねん、ユリアナ女王じょおうの譲位じょういを受うけ、ベアトリクスは女王じょおうに即位そくいした。2002年ねんに夫おっとクラウスと死別しべつ、さらに2004年ねんには母ははユリアナが崩御ほうぎょし、父ちちベルンハルトも薨去こうきょした。

2013年ねん1月がつ28日にち、テレビで演説えんぜつし、「（2013年ねん）4月がつ30日にちに退位たいいし、ウィレム＝アレクサンダーに譲位じょういする」ことを発表はっぴょうした。同年どうねん4月がつ30日にちに退位たいいし、以後いごの称号しょうごうは王女おうじょとなった。

人物じんぶつ

公務こうむの一環いっかんとして、毎週まいしゅう首相しゅしょうと政治せいじに関かんする会談かいだんをするため、大変たいへんな政策せいさく通どおりである。また気丈きじょうな性格せいかくであり、政策せいさくの面めんで一致いっちが見みられなかった閣僚かくりょうを解任かいにんすると警告けいこくを発はっしたこともあった。

1995年ねんに旧きゅう植民しょくみん地ちであったインドネシアを訪問ほうもんした際さいに「植民しょくみん地ち支配しはいはお互たがいに恵めぐみを与あたえた」とスピーチして、インドネシア人じんを憤慨ふんがいさせた。植民しょくみん地ち支配しはいへの謝罪しゃざいはなく、インドネシア国民こくみんからは顰蹙ひんしゅくを買かったが、オランダ国内こくないで批判ひはんされることはなかった。オランダは東南とうなんアジアを長期ちょうきにわたって植民しょくみん地ち支配しはいしてきたが、オランダではその違法いほう性せいを糺ただす動うごきはほとんど見みられず、植民しょくみん地ち支配しはいは当時とうじの政治せいじ体制たいせいの一部いちぶとして容認ようにんされていたという認識にんしきが一般いっぱん的てきであるためである。

先祖せんぞがジョージ2世せいに連つらなるため、イギリス王位おうい継承けいしょう順位じゅんい810位い前後ぜんこう（上位じょういの者ものの誕生たんじょう･死亡しぼうやカトリックへの改宗かいしゅうにより都度つど頻繁ひんぱんに変かわる）に位置いちする継承けいしょう権けん者しゃでもある。

オランダでは「女王じょおうの日ひ」（または王おうの日ひ）という、天皇誕生日てんのうたんじょうびと同様どうように国王こくおうの誕生たんじょう日びが祝日しゅくじつとして設もうけられているが、ベアトリクスの女王じょおう時代じだいは先代せんだいのユリアナの誕生たんじょう日びである4月がつ30日にちとしていた。ベアトリクスの誕生たんじょう日びは実際じっさいには1月がつ31日にちであるが、屋外おくがいで行おこなわれる祝賀しゅくが行事ぎょうじに不向ふむきな季き節ぶしであることと、母ははである先代せんだいへの敬意けいいから日付ひづけも継承けいしょうしたためである。

日本にっぽんとの関係かんけい

第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん中なか、日本にっぽん軍ぐんがオランダ植民しょくみん地ちインドネシアに進軍しんぐんしてオランダ軍ぐんを追おったため、戦後せんごのオランダでは反日はんにち世論せろんが渦巻うずまいており、オランダ王族おうぞくが日本にっぽんを訪問ほうもんすることは1962年ねんのベアトリクスの非公式ひこうしき訪問ほうもんまでなかった。

ただし、日本にっぽん及および日本にっぽん皇室こうしつとベアトリクスの関係かんけいは基本きほん的てきには良好りょうこうである。1953年ねんに皇太子こうたいし明仁あきひと親王しんのう（当時とうじ）が非公式ひこうしきながら訪問ほうもんした際さいに、ユリアナ女王じょおうが主催しゅさいした午うま賓まろうど会かいには、当時とうじ15歳さいのベアトリクスは出席しゅっせきしなかったが、1962年ねんの初はつ訪日ほうにち後ご、1963年ねんに国賓こくひんとして再さい訪日ほうにちしており、更さらにその翌よく1964年ねんにも東京とうきょうオリンピックのために訪日ほうにち、と急速きゅうそくに距離きょりを縮ちぢめることとなった。その後ご、1970年ねんの大阪おおさか万博ばんぱくの際さいと1977年ねんにも訪日ほうにちしているが、1980年ねんの即位そくい後ごは世論せろんの抵抗ていこうに遭あい、1987年ねんの訪日ほうにちは事前じぜんに中止ちゅうし、1989年ねんの昭和しょうわ天皇てんのう崩御ほうぎょの際さいは世論せろんを配慮はいりょし、オランダからのみ王族おうぞくの出席しゅっせきがなかった。この際さいは天皇てんのう明仁あきひと（当時とうじ）に対たいし、出席しゅっせきできないことを手紙てがみで説明せつめいし、配慮はいりょした。1991年ねん10月になって初はじめてオランダ元首げんしゅとして日本にっぽんを公式こうしき訪問ほうもんした。この時ときも天皇てんのう明仁あきひと（当時とうじ）主催しゅさいの宮中きゅうちゅう晩餐ばんさん会かいのスピーチでオランダ植民しょくみん地ちにおける大戦たいせん時じの自じ国民こくみんの犠牲ぎせいについて言及げんきゅうしている。しかしその一方いっぽうで翌年よくねん3月がつに開業かいぎょうを控ひかえていたハウステンボス等ひとしの現在げんざいの好このましい蘭らん日び関係かんけいを強調きょうちょうしている（ハウステンボスについては、自みずからの居所きょしょであるハウステンボス宮殿きゅうでんの忠実ちゅうじつな再現さいげん及および同名どうめいの命名めいめいを許ゆるしている）。これに先立さきだつ天皇てんのう明仁あきひと（当時とうじ）の歓迎かんげいのあいさつも歴史れきし問題もんだいに留意りゅういしたものであり、両者りょうしゃとも一般いっぱん的てきなスピーチよりも異例いれいの長ながさであった。2000年ねんの天皇てんのう明仁あきひと（当時とうじ）と皇后こうごう美智子みちこの訪おとずれ蘭らんの実現じつげんにも尽力じんりょくした。

2006年ねん夏なつには皇太子こうたいし徳とく仁じん親王しんのう（当時とうじ）と同妃どうひ雅子まさこら一家いっかの長期ちょうき静養せいようを受うけ入いれ、滞在たいざい中ちゅうも種々しゅじゅ配慮はいりょをしている。ベアトリクスの王おう配はいクラウスは若わかい頃ころ「ヒトラーユーゲント」であったため、結婚けっこん当初とうしょ国民こくみんの強つよい批判ひはんに晒さらされ、適応てきおう障害しょうがいに陥おちいって苦くるしんだことがあった。その経験けいけんからベアトリクスは雅子まさこの適応てきおう障害しょうがいのことを非常ひじょうに心配しんぱいしていたという。

子女しじょ

ドイツ貴族きぞくの外交がいこう官かんであったクラウス・フォン・アムスベルクとの間あいだに3男なんを儲もうけた。

• ウィレム＝アレクサンダー（1967年ねん - ）第だい7代だいオランダ国王こくおう
• ヨハン・フリーゾ（1968年ねん - 2013年ねん）
• コンスタンティン（1969年ねん - ）

参考さんこう文献ぶんけん

• 君塚きみづか直隆なおたか『女王じょおう陛下へいかの外交がいこう戦略せんりゃく エリザベス二世えりざべすにせいと「三みっつのサークル」』講談社こうだんしゃ、2008年ねん（平成へいせい20年ねん）。ISBN 978-4062145664。 
• 西川にしかわ恵めぐみ『知しられざる皇室こうしつ外交がいこう』角川書店かどかわしょてん〈角川かどかわ新書しんしょ〉、2016年ねん（平成へいせい28年ねん）。ISBN 978-4040820873。 

外部がいぶリンク

• オランダ王室おうしつ公式こうしきページ

上位じょうい Huberta Deuse

イギリス王位おうい継承けいしょう順位じゅんい （ジョージ2世せいの娘むすめアンの子孫しそん） 他たの英えい連邦れんぽう王国おうこくの王位おうい継承けいしょう権けんも同様どうよう

下位かい ウィレム＝アレクサンダー オランダ王おう