ベガ1ごう

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ベガ1ごう
所属しょぞく ソビエト連邦れんぽう
任務にんむ フライバイ, バルーン, ランダー
接近せっきん通過つうか 金星かなぼし, ハレはれ彗星すいせい
接近せっきん通過つうか 1985ねん6がつ11にち (金星きんせい)
1986ねん3がつ6にち (ハレはれ彗星すいせい)
打上うちあ日時にちじ 1984ねん12月15にち 09:16:24 UTC
打上うちあ プロトン8K82Kロケット
COSPAR ID 1984-125A
質量しつりょう 4920 kg
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ベガ1ごう(ベガ1ごう、Vega 1)は、ソビエト連邦れんぽうベガ計画けいかくもちいられた宇宙うちゅう探査たんさである。以前いぜんのベネラ計画けいかく探査たんさ改良かいりょうしてBabakin Space Centerで設計せっけいされ、5VKとしてLavochkinで製造せいぞうされた。

2つのおおきな太陽たいよう電池でんちから電力でんりょく供給きょうきゅうされ、アンテナ、カメラ、分光ぶんこうけい赤外線せきがいせん音響おんきょう磁気じきセンサ、プラズマプローブとう科学かがく機器きき搭載とうさいした。4,920kgの探査たんさは、プロトン 8K82Kバイコヌール宇宙うちゅう基地きちからげられた。ベガ1ごうベガ2ごうさんじく安定あんていせいで、ハレはれ彗星すいせいちりから保護ほごするためのシールドをそなえていた。

ベガ計画けいかく[編集へんしゅう]

ベガ1ごうのフライバイプローブからはなされた2にちの1985ねん6がつ11にち降下こうかモジュールが金星かなぼし到着とうちゃくした。モジュールは1,500kgのおもさの直径ちょっけい240cmの球形きゅうけいで、ランダーとバルーンがた探査たんさから構成こうせいされていた。フライバイプローブは、金星きんぼしスイングバイし、彗星すいせい到着とうちゃくった[1]

ランダー[編集へんしゅう]

ベガ1ごうランダー
所属しょぞく ソビエト連邦れんぽう
任務にんむ 金星かなぼしランダー
打上うちあ ベガ1ごう
COSPAR ID 1984-125E
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ランダーは、ベガ2ごうおよ以前いぜんベネラ計画けいかく探査たんさまったおなじものであった。その目的もくてきは、金星きんぼし大気たいき地表ちひょう調査ちょうさであった。紫外線しがいせん分光ぶんこうけい気温きおん気圧きあつセンサ、含水りつけいガスクロマトグラフィー、Xせん分光ぶんこうけい質量しつりょう分析ぶんせきうつわ地表ちひょうサンプリング装置そうちとう搭載とうさいした。上記じょうき科学かがく機器ききのいくつか(紫外線しがいせん分光ぶんこうけい質量しつりょう分析ぶんせき気温きおん気圧きあつセンサ)は、フランスとの共同きょうどう開発かいはつによるものであった[1]

ランダーは、アフロディーテ大陸たいりくきたマーメイド平原へいげんうち北緯ほくい7.2°東経とうけい177.8°の地点ちてん着陸ちゃくりくした。過度かどらんりゅうのため、地表ちひょうでの実験じっけん予定よていしていたいくつかの機器きき上空じょうくう20kmで意図いとせず起動きどうしてしまい、質量しつりょう分析ぶんせきだけがデータをおくかえすことができた[2]

バルーン[編集へんしゅう]

ベガ1ごうバルーン
所属しょぞく ソビエト連邦れんぽう
任務にんむ 金星かなぼしバルーン
打上うちあ ベガ1ごうランダー
任務にんむ期間きかん 1985ねん6がつ11にちから13にち
COSPAR ID 1984-125F
質量しつりょう 21.5 kg
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ベガ1ごうのランダーとバルーンカプセルは、1985ねん6がつ11にち26ふん10びょう(UTC)にやく11km/sの速度そくど金星きんぼし大気たいき突入とつにゅうした。おおよそ26ふん25びょう(UTC)に高度こうど64kmでランダーのキャップに接続せつぞくされたパラシュートひらいた。パラシュートとキャップは15びょう高度こうど63kmではなされた。バルーンはその40びょう北緯ほくい8.1°東経とうけい176.9°の高度こうど61kmの地点ちてんで、パラシュートによってされた。2つめのパラシュートは突入とつにゅうから200びょう高度こうど55kmでひらき、げられたバルーンをした。バルーンは100びょう高度こうど54kmでふくらみ、パラシュートと膨張ぼうちょう装置そうち投棄とうきされた。突入とつにゅうから15ふんから25ふん、バルーンが一度いちどおよそ高度こうど50kmにたっし、53kmから54kmの安定あんてい高度こうどかぶと、すなぶくろ投棄とうきされた。平均へいきん安定あんてい高度こうどは53.6kmで、気圧きあつは535ミリバール、気温きおんは300から310Kであり、金星きんぼしくもの3つのそうのうちもっと活発かっぱつ中間ちゅうかんそうであった。バルーンは、ほぼ一定いってい緯度いど平均へいきん69m/sの速度そくど帯状おびじょうふうって西にし方向ほうこうただよった。プローブは8,500km移動いどうして、6月12にち1220ふん(UTC)によるからひるわる境目さかいめ到達とうたつした。プローブはそのまま飛行ひこうつづけ、11,600km移動いどうした6がつ13にち038ふん(UTC)に北緯ほくい8.1°東経とうけい68.8°の地点ちてん最後さいご伝送でんそうおくった。それ以降いこう、バルーンがどこに移動いどうしたのかはかっていない[2]

ハレーミッション[編集へんしゅう]

ハレはれ彗星すいせいちかづくと、ベガ1ごう金星きんぼしをスイングバイしてハレはれ彗星すいせいむかえた。

1986ねん3がつ4にちからおくられはじめた画像がぞうは、ジオットがピンポイントで彗星すいせいちかづくためにもちいられた。ベガからの初期しょき画像がぞう彗星すいせいの2つのあかるい領域りょういきうつしており、これは当初とうしょは2つのかくであると解釈かいしゃくされていた。のちに、あかるい領域りょういきは、彗星すいせいから放出ほうしゅつされている2つのジェットであることがあきらかとなった。またこの画像がぞうからは、赤外線せきがいせん分光ぶんこうけいからかく温度おんどは300Kから400Kとこおり天体てんたいとしては温度おんどたかいこともあきらかとなった。その結果けっか彗星すいせい表面ひょうめんうす表層ひょうそうこおりおおわれていると結論けつろんけられた。

ベガ1ごうは、3月6にち720ふん6びょう(UTC)に彗星すいせいかくから8,889kmまでさい接近せっきんした。コマのガスくも通過つうかちゅうには、様々さまざまなフィルターで500まい以上いじょう画像がぞう撮影さつえいした。おおくのちり探査たんさ衝突しょうとつしたが、使用しよう不能ふのうになった機器ききはなかった。

ベガの画像がぞうから、かくながさはやく14kmで、やく53あいだ周期しゅうき自転じてんしていることがしめされた。また質量しつりょう分析ぶんせきにより、ちり組成そせいすみ素質そしつコンドライトており、クラスレートこおり検出けんしゅつされた。

3月7にちと8にちにもつづ観測かんそくおこなわれたのち、ベガ1ごうふか宇宙うちゅう進路しんろけた。ベガ1ごうとベガ2ごうは、合計ごうけいやく1500まいハレはれ彗星すいせい画像がぞう送信そうしんした。ベガ1ごうは1987ねん1がつ30にち、ベガ2ごう同年どうねん3がつ24にち姿勢しせい制御せいぎょ推進すいしんざいうしなった。

ベガ1ごうとベガ2ごうは、現在げんざい太陽たいよう周回しゅうかい軌道きどうにある。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]