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ベクター CR21

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ベクター CR21
ベクター CR21
種類しゅるい アサルトライフル
製造せいぞうこく 南アフリカ共和国の旗 みなみアフリカ共和きょうわこく
設計せっけい製造せいぞう デネル・ランド・システムズ
仕様しよう
種別しゅべつ アサルトライフル
口径こうけい 5.56mm
銃身じゅうしんちょう 460mm
使用しよう弾薬だんやく 5.56mm NATOだん
装弾そうだんすう 35はつ
作動さどう方式ほうしき ガスあつ作動さどう・ロングストロークピストン・回転かいてんボルト方式ほうしき
全長ぜんちょう 760mm
重量じゅうりょう 3.6kg(本体ほんたいのみ)
発射はっしゃ速度そくど 650 - 700はつ/ぶん
有効ゆうこう射程しゃてい 500m
歴史れきし 
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ベクター CR21は、みなみアフリカデネル・グループのベクター(ヴェクター)しょう火器かき事業じぎょう開発かいはつ生産せいさんするブルパップ方式ほうしきアサルトライフルである。

CR21とは、「21世紀せいきのコンパクトライフル(Compact Rifle for 21st century)」のアクロニムであり、どう時期じき開発かいはつされたシンガポールのSAR21や、イスラエルせいタボールTAR-21おな意味いみがある。

開発かいはつ

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みなみアフリカ国防こくぼうぐん[ちゅう 1]は、1970年代ねんだい後半こうはん~1980年代ねんだいFN FAL[ちゅう 2]後継こうけいとしてイスラエルせいガリル採用さいようし、しょう改良かいりょうくわえたうえでベクターしょう火器かき銃器じゅうき事業じぎょう前身ぜんしんである、みなみアフリカ国営こくえい銃器じゅうきメーカーのリッテルトン・エンジニアリング・ワークスしゃ[ちゅう 3]ベクターR4/R5/R6としてライセンス生産せいさんさせて配備はいびしていただけでなく、小規模しょうきぼながら輸出ゆしゅつおこなわれていた。

しかし、1990年代ねんだいはいると、銃器じゅうきるい軽量けいりょうのためにポリマーを多用たようすることが流行りゅうこうするようになったため、R4/R5/R6は旧式きゅうしき目立めだつようになった[1]。さらにR4/R5/R6は元々もともとガリルをライセンス生産せいさんしたじゅうであることも、輸出ゆしゅつにおいては不利ふり要素ようそとなった[ちゅう 4]

このため、みなみアフリカ国防こくぼうぐん次期じき制式せいしきアサルトライフルと、新規しんき輸出ゆしゅつようアサルトライフルとしてCR21が開発かいはつされ、1997ねんにその存在そんざい公表こうひょうされた[2][3][1]

構造こうぞう

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CR21は、ベクターR4の金属きんぞくせいレシーバーや銃身じゅうしん、トリガーメカニズム、ボルト、ボルトキャリアーと一体化いったいかしたガスピストン、リコイルスプリングなどの主要しゅよう部品ぶひんをほぼそのまま流用りゅうよう[1][ちゅう 5]こう強度きょうどポリマーせい外装がいそうかぶせるかたち開発かいはつされている[3][1]。また弾倉だんそうも、ベクターR4/R5/R6ようのポリマーせい弾倉だんそう流用りゅうようする[3][1]

この方法ほうほう部品ぶひん新規しんき設計せっけいにかかる時間じかん短縮たんしゅくと、既存きそん生産せいさん設備せつび流用りゅうようすることでのコスト削減さくげん意図いとして採用さいようされたものであるが、銃器じゅうきとしての使つか勝手がってについては悪影響あくえいきょうあたえている。

どう時代じだいのブルパップしきアサルトライフルのおおくが、左手ひだりてかまえててるように「内部ないぶ部品ぶひんえることで、ひだり方向ほうこうはいさいかちできる」ように設計せっけいされているのにたいし、CR21ではR4の主要しゅよう部品ぶひん流用りゅうようした結果けっか、そのような機能きのうむことは不可能ふかのうとなった[ちゅう 6]ため、事実じじつじょう右手みぎてでしかあつかえなくなっている[ちゅう 7]。そのわり、はいさいかちこう上方かみがた後方こうほうには、そら薬莢やっきょう極端きょくたん上方かみがたもしくは後方こうほうばないように反射はんしゃばんもうけられている[1]

また、現代げんだいのアサルトライフルやサブマシンガンでは、ブルパップ方式ほうしき従来じゅうらいがた[ちゅう 8]かにかかわらず、セミオートとフルオート[ちゅう 9]えるセレクターと、安全あんぜん装置そうちのオン・オフをえるセイフティを1つのレバーで兼用けんようする方式ほうしき主流しゅりゅうであるのにたいし、CR21ではセイフティはトリガーガードの前方ぜんぽう部分ぶぶん配置はいちされたクロスボルトしきボタン[2][1]、セミオート射撃しゃげきとフルオート射撃しゃげきえるセレクターは銃床じゅうしょう左右さゆうりょう側面そくめん肩当かたあ付近ふきん[ちゅう 10]配置はいちされた回転かいてんしきレバー[2][3][1]にそれぞれかれている。

作動さどうメカニズムは、ベクターR4/R5/R6と同様どうようのガスあつ作動さどう、ロングストロークピストン、回転かいてんボルト方式ほうしきである[1]。ただしコッキングレバーについては、ベクターR4と同様どうように「ボルトキャリアーと一体いったい部品ぶひんであるコッキングレバーがはいさいかちこうからている」構造こうぞう採用さいようせず、「レシーバー前部ぜんぶ左側ひだりがわめん独立どくりつしたコッキングレバーを配置はいちし、コッキングレバーのから後方こうほう金属きんぞくぼうがボルトキャリアーをげる」方式ほうしき採用さいようしている。このため、CR21では射撃しゃげきでもボルトキャリアーのうごきに連動れんどうしてコッキングレバーがうごくことはない[2][3][1]

外装がいそう銃床じゅうしょう肩当かたあ部分ぶぶんから後方こうほう上部じょうぶおお上部じょうぶ外装がいそう[ちゅう 11]と、ハンドガードやグリップなどをふくめた下部かぶ外装がいそうかれる。全体ぜんたいてき曲面きょくめん多用たようしているほか、はい熱性ねっせいたかめるためにハンドガードの上下じょうげにははいねつようあながあけられている[1]

ハンドガードの下面かめんには、みなみアフリカが独自どくじ設計せっけいした40mm口径こうけいのアンダーバレルしきグレネードランチャー装着そうちゃくできる[2][3][1]

銃口じゅうこうのフラッシュハイダーはR4/R5とことなり、ぜんはしからスリットがはいかたちになっている。また、このフラッシュハイダーは22mmライフルグレネードを装填そうてんするためのソケットをねている[1]

トリガーガードはグリップはし部分ぶぶんまでびており、あつ手袋てぶくろをつけたままでも操作そうさ容易よういとなっている[3][1]。トリガーはスライドしきであり、内蔵ないぞうレバーをかいしてベクターR4本来ほんらいのトリガーメカニズムを遠隔えんかくしき作動さどうさせる[1]

照準しょうじゅんについては、ブルパップ方式ほうしき短所たんしょひとつである「全長ぜんちょうみじかいために前後ぜんごのアイアンサイトの基線きせんちょうながれない」ことから、アイアンサイトを一切いっさい装備そうびせず、光学こうがく照準しょうじゅん装着そうちゃくするように設計せっけいされている[3][1]光学こうがく照準しょうじゅんのマウントは、内部ないぶ銃身じゅうしん部分ぶぶん装着そうちゃくされている[1]標準ひょうじゅん装備そうびとしての照準しょうじゅんは、倍率ばいりつ1ばい反射はんしゃしき光学こうがく照準しょうじゅん搭載とうさいしているが、必要ひつようおうじてのダットサイトや倍率ばいりつきのスコープ、くらスコープなどにかわそう可能かのうである[3]

採用さいようこく

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CR21は、本来ほんらいはR4/R5の後継こうけいアサルトライフルとしてみなみアフリカ国防こくぼうぐん全面ぜんめん配備はいびする予定よていであったが、みなみアフリカの財政難ざいせいなんなどから更新こうしんすすんでおらず、みなみアフリカ陸軍りくぐん公式こうしきサイトでも一切いっさいれられていない[4]

また輸出ゆしゅつについても採用さいようこくはほとんどなく、商業しょうぎょうてきには失敗しっぱいさくとなった[3]

ただし、2011ねんのベネズエラぐんのパレードにおいて、パレードに参加さんかしていたベネズエラへい一部いちぶがCR21とおぼしき小銃しょうじゅう装備そうびしている写真しゃしん存在そんざいする[1]

登場とうじょう作品さくひん

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映画えいが

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だい9地区ちく
しろ塗装とそうされたものがMNUの一般いっぱん装備そうびとして登場とうじょう
ドゥームズデイ
スコットランドに派遣はけんされた調査ちょうさたい使用しよう

漫画まんが・アニメ

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ヨルムンガンド
回想かいそうシーンでエコーが所持しょじ

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 1994ねんアパルトヘイト政策せいさく廃止はいしまではSouth African Defence Force(SADF、みなみアフリカ防衛ぼうえいぐんともやくされる)、1994ねん以降いこうはSouth African National Defence Force(SANDF)に改称かいしょうされて現在げんざいいたる。
  2. ^ ベクターR1/R2/R3として、みなみアフリカ国内こくないでライセンス生産せいさんされていた。
  3. ^ 略称りゃくしょうLIW。現在げんざいデネル・グループ吸収きゅうしゅう合併がっぺいされベクターとなる
  4. ^ 武器ぶき兵器へいきのライセンス生産せいさんにおいては、契約けいやくに「もと生産せいさんこく許可きょかずに第三国だいさんごく輸出ゆしゅつすることをきんじる」条項じょうこうれることが一般いっぱんてきであるため。
  5. ^ 厳密げんみつには、「銃身じゅうしんからきゃく(バイポッド)やきゃく基部きぶまれたワイヤーカッターをはずす」「後述こうじゅつのようにコッキングレバーを移動いどうさせるために、ボルトキャリアーの形状けいじょうをわずかに変更へんこうする[1]」「光学こうがく照準しょうじゅん装着そうちゃくするためのマウントを、銃身じゅうしん部分ぶぶんける[1]」などの、しょう改造かいぞうおこなわれている。
  6. ^ かりはいさいかち方向ほうこう機能きのうたせようとするなら、事実じじつじょう新規しんき開発かいはつといってよいほどに大幅おおはば設計せっけい変更へんこう必要ひつようになる[2]
  7. ^ ただし、はいさいかち方向ほうこうえることのできるじゅうでも、咄嗟とっさ左手ひだりてかまえてつことはできない。
  8. ^ 弾倉だんそうがねまえにあるかた。サブマシンガンでは、UZIなどのように弾倉だんそうがグリップ内部ないぶはいかたふくむ。
  9. ^ じゅうによっては3てんバーストをふくむ。
  10. ^ ベクターR4のレシーバーの、セレクターレバーの支点してん部分ぶぶん相当そうとうする場所ばしょ
  11. ^ イメージてきには、ベクターR4やそのもととなったAK-47のレシーバーカバーにちかい。

出典しゅってん

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 枪炮世界せかい. “VEKTOR CR21突击” (中国ちゅうごく簡体字かんたいじ). 2020ねん2がつ28にち閲覧えつらん
  2. ^ a b c d e f Modern Firearms. “Vektor CR-21” (英語えいご). 2020ねん2がつ28にち閲覧えつらん
  3. ^ a b c d e f g h i j Military-Today.com. “Vektor CR21 Assault Rifle” (英語えいご). 2020ねん2がつ28にち閲覧えつらん
  4. ^ SA Army (2010ねん). “weapon systems: infantry > Assault Rifles” (英語えいご). 2020ねん2がつ28にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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  • ベクター R4 - CR21の前任ぜんにんである、みなみアフリカ国防こくぼうぐんのアサルトライフル。
  • ツルベロ ラプター - CR21とおなじく、R4の後継こうけいとしてツルベロ・アーモリーが開発かいはつしたアサルトライフル。こちらも2020ねん現在げんざいではみなみアフリカ陸軍りくぐん公式こうしきサイトやツルベロ・アーモリーの公式こうしきサイトでは記事きじっていない。
  • SAR21 - シンガポールせいのブルパップしきアサルトライフル
  • IMI タボールAR21 - イスラエルせいのブルパップしきアサルトライフル。イスラエル国防こくぼうぐんにおいてガリルおよびM16/M4カービンの後継こうけいアサルトライフルとして採用さいようされたほか、輸出ゆしゅつ好調こうちょうである。

外部がいぶリンク

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