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ツァスタバ M70

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ツァスタバ M70
ライフルグレネード照準しょうじゅんてた状態じょうたいのM70B1
ツァスタバ M70
種類しゅるい 軍用ぐんよう小銃しょうじゅう英語えいごばん
製造せいぞうこく ユーゴスラビア社会主義連邦共和国の旗 ユーゴスラビア
ユーゴスラビアの旗 ユーゴスラビア
セルビアの旗 セルビア
設計せっけい製造せいぞう 設計せっけい ミハイル・カラシニコフ
製造せいぞう ツァスタバ・アームズ
仕様しよう
種別しゅべつ アサルトライフル
口径こうけい 7,62mm
銃身じゅうしんちょう 415mm
ライフリング 4じょうみぎまわ
240mm/回転かいてん
使用しよう弾薬だんやく 7.62x39mmだん
装弾そうだんすう 30はつ
作動さどう方式ほうしき ちょうガス・ピストンしき
回転かいてんボルト閉鎖へいさ
セミ/フルオート切替きりかえ射撃しゃげき
全長ぜんちょう 900mm(M70B1)
900/640mm(M70AB2)
重量じゅうりょう 3.7kg
発射はっしゃ速度そくど 620はつ/ぶん
銃口じゅうこう初速しょそく 720m/s
有効ゆうこう射程しゃてい 300m
歴史れきし 
製造せいぞう期間きかん 1970ねん-現在げんざい
配備はいび期間きかん 1970ねん-現在げんざい
配備はいびさき ユーゴスラビア人民じんみんぐん
郷土きょうど防衛ぼうえいたい
セルビアぐん
イラク治安ちあん部隊ぶたい
関連かんれん戦争せんそう紛争ふんそう ユーゴスラビア紛争ふんそう
イラン・イラク戦争せんそう
湾岸わんがん戦争せんそう
イラク戦争せんそう
その多数たすう内戦ないせん紛争ふんそう
バリエーション #バリエーション参照さんしょう
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ツァスタバ M70クロアチア: Zastava M70セルビア: Застава М70)とは、1960年代ねんだいユーゴスラビアセルビア)のツァスタバ・アームズリバースエンジニアリングによって開発かいはつしたAK-47派生はせいがたである。以後いご、M70と呼称こしょうする。

メーカーめいについて、日本語にほんごでは慣用かんようてきに「ツァスタバ」とばれるが、より原音げんおんちか表記ひょうきは「ザスタヴァ」または「ザスタバ」である。

開発かいはつ[編集へんしゅう]

ソ連それんとの関係かんけい悪化あっかしたユーゴスラビアでは自国じこくでの新型しんがた自動じどう小銃しょうじゅう開発かいはつが1950年代ねんだいからおこなわれていた。1959ねん2人ふたりアルバニアへいAK-47って亡命ぼうめいしたことから、ユーゴスラビア政府せいふいのちによりザスタバ・アームズがこのAK-47にリバースエンジニアリングをおこない、この時点じてん試作しさくひん製造せいぞう成功せいこうする。本格ほんかくてき生産せいさんおこなうにはいたらなかったが、そのとしわりにはソ連それん援助えんじょけていた第三国だいさんごくから初期しょきがたのAK-47を入手にゅうしゅすること成功せいこうし、効率こうりつてきなリバースエンジニアリングをおこなうのに十分じゅうぶんかずのAK-47を所有しょゆうすることとなり、研究けんきゅう開発かいはつ加速かそく。1964ねんには初期しょき生産せいさん開始かいしされ、1970ねん制式せいしき採用さいようされたのがM70である。

概要がいよう[編集へんしゅう]

M70の基本きほんてき外見がいけん作動さどうメカニズムは、コピーもとのAK-47とほとんわらない。しかし、独自どくじ改良かいりょうほどこされており、それらの特徴とくちょうてき部分ぶぶんによって、ソ連それんせいくに製造せいぞうされたAKの派生はせいがた容易ようい区別くべつ可能かのうである。改良かいりょうてん以下いかとおりである。

  • M70の外見がいけんじょう最大さいだい特徴とくちょうは、銃身じゅうしんとガスピストンシリンダーのあいだのガスバイパスにもうけられた、発射はっしゃガス遮断しゃだん装置そうち兼用けんようおこりたおせしきライフルグレネード照準しょうじゅんである。この照準しょうじゅんこすとガスバイパスが遮断しゃだんされ、発射はっしゃガスがガスシリンダーへ流入りゅうにゅうしなくなる。M70は銃口じゅうこう先端せんたんにソケットしきもしくはカップしきのグレネードランチャーをけて、そこにセットしたグレネードを空包くうほう発射はっしゃすることが可能かのうである[1]。ただし、M70B3とM70AB3ではこの機能きのう省略しょうりゃくされている。
  • ハンドガードがオリジナルのAKより若干じゃっかんまえながくなり、上部じょうぶおよび下部かぶハンドガードのあいだもうけられた冷却れいきゃくあなSKSのように3つにえている。当然とうぜん互換ごかんせいく、このてん他国たこくのAKと判別はんべつしやすい特徴とくちょうのひとつである。
  • 木製もくせい固定こてい銃床じゅうしょうおよび金属きんぞくせいたた銃床じゅうしょうは、AKMのようなちょく銃床じゅうしょうではなく、AK-47に類似るいじした角度かくどつ、きょく銃床じゅうしょうである。木製もくせい固定こてい銃床じゅうしょうはオリジナルのものよりやや大型おおがたで、銃床じゅうしょう内部ないぶにクリーニングキットを収納しゅうのうするスペースがもうけられておらず、バットプレート(銃床じゅうしょう底部ていぶ)は金属きんぞくせいではなくてゴムせいである。
  • 木部きべ使つかわれる材料ざいりょうは、合板ごうはんではなく、ブナ使用しようしたたんざいである。
  • 初期しょき生産せいさんがたであるM70および、たた銃床じゅうしょうそなえたM70AはAK-47とおなじく、レシーバはけず加工かこうであった。その改良かいりょうされたM70B1とたた銃床じゅうしょうがたのM70AB2については、レシーバーのあつみがオリジナルAKMの1mmからRPKけい機関きかんじゅう[2]おなじ1.5mmに強化きょうかされている。
  • 銃身じゅうしん強化きょうかされ、これを収納しゅうのうするために、くすりしつ左右さゆうのレシーバ外面がいめんRPKけい機関きかんじゅう類似るいじした突起とっき存在そんざいする。
  • レシーバ上部じょうぶのダストカバーを固定こていしているオープン・ボタンをロックするための機構きこうそなえている。レシーバ後部こうぶ左側ひだりがわめん小型こがたのボタンがあり、ダストカバーをレシーバ上部じょうぶおさめてここをすと、オープンボタンがもど仕組しくみとなっている。そのため、ダストカバーにはこのボタンに対応たいおうするためのかけりがある[3]。これらはライフルグレネードを射撃しゃげきしたさいに、ダストカバーがあやまってはずれることを予防よぼうする措置そちである。
  • ピストルグリップ(にぎ)は黒色こくしょくのプラスチックせいであり、右手みぎてにぎりやすいよう、左側ひだりがわめん親指おやゆびかたちみぎよう)になっている。
  • スリング(ひも)のバックルの形状けいじょうソ連それんせいなどのAKとはことなっており、じゅう本体ほんたいへの方法ほうほうことなる。
    • スリングスイベル(ひもたまき)の位置いちは、固定こてい銃床じゅうしょうがたたた銃床じゅうしょうがたのいずれもおなじで、前部ぜんぶがガスポート左側ひだりがわめん後部こうぶがレシーバ後部こうぶ左側ひだりがわめん設置せっちされている。
  • フロントサイト(照星しょうせい)とリアサイト(あきらもん)にたたしき夜間やかんサイトを装備そうび
  • M70とM70Aの初期しょき生産せいさんがたにはボルトストップ機能きのう搭載とうさいされている。弾倉だんそう上部じょうぶきがあり、ぜんたま発射はっしゃするとマガジン・フォロアがきからレシーバーないのパーツをげることでボルトを後退こうたいした状態じょうたい停止ていしさせる。マガジンをいてもボルトは後退こうたいしたままの状態じょうたい保持ほじされるが、構造こうぞう複雑ふくざつになることくわえ、このレシーバーないのパーツが干渉かんしょうして通常つうじょうのAKの弾倉だんそう装着そうちゃくできないという欠点けってんがある。M70B1以降いこうでは省略しょうりゃくされ、すでに生産せいさんされたタイプも順次じゅんじ改修かいしゅうされたためボルトストップ機構きこう搭載とうさいされたM70およびM70Aはほとんど現存げんそんしていない[4]
  • 省略しょうりゃくされたボルトストップ機能きのうわり、簡易かんいてきなホールドオープン機能きのう搭載とうさいされている。マガジン・フォロアがふとくなっており、ぜんたま発射はっしゃすると、ボルトがマガジン・フォロアにっかかり、後退こうたいした状態じょうたい停止ていしする。単純たんじゅんにフォロアにっかかっているだけの状態じょうたいのため、マガジンをくとボルトはふたた前進ぜんしんする[4]
  • マガジン(弾倉だんそう)はソ連それんせいAK-47 IIがたのマガジンに形状けいじょう金属きんぞくせいである。しかし、ほんじゅうのマガジンにある下部かぶの2ほんのリブは、AK-47 IIがたのマガジンよりもみじかいため、判別はんべつ可能かのう。ボルトストップ機能きのう対応たいおうしたきがはいったタイプ、きがくマガジン・フォロアがふとくなったタイプ、きのあるタイプを改修かいしゅうしてマガジン・フォロアがふとくなったりょう対応たいおうタイプの3種類しゅるい存在そんざいする[4]

実戦じっせん経験けいけん[編集へんしゅう]

ツァスタバ M70はユーゴスラビア社会しゃかい主義しゅぎ連邦れんぽう共和きょうわこく時代じだい生産せいさん開始かいしされ、ユーゴスラビア人民じんみんぐんen)のほかにもぜん国民こくみん防衛ぼうえいドクトリンにもとづいてかく共和きょうわこく郷土きょうど防衛ぼうえいたいen)などの民兵みんぺい組織そしきひろ配備はいびされ、国民こくみんおおくもそのあつかいの習得しゅうとく義務付ぎむづけられていた。

しかしその結果けっか、1990年代ねんだいユーゴスラビア紛争ふんそうにおいても、かく共和きょうわこく民族みんぞくけい武装ぶそう勢力せいりょく防衛ぼうえいよう備蓄びちくされていた各種かくしゅ兵器へいきして紛争ふんそう虐殺ぎゃくさつ使用しようし、とくに序盤じょばんクロアチア紛争ふんそうボスニア・ヘルツェゴビナ紛争ふんそう激化げきかまね一因いちいんとなった。

現在げんざいでもきゅうユーゴスラビア構成こうせいこく軍隊ぐんたいひろ使つかわれているが、スロベニアとクロアチア、セルビアではそれぞれF2000SVHSツァスタバ M21への更新こうしん決定けっていしている。

ユーゴスラビアは、1980年代ねんだいにイラクにたいしてM70をはじめとするAKけい突撃とつげきじゅう製造せいぞうライセンスを売却ばいきゃくしたため、イラクにおいては工場こうじょうかれた地名ちめいから[よう出典しゅってん]タブク(Tabuk)のでM70B1およびM70AB2の生産せいさん継続けいぞくされている[5]、M70をちょう銃身じゅうしんするなど独自どくじ改良かいりょうほどこした簡易かんい狙撃そげきじゅう仕様しようタブク狙撃そげきじゅう生産せいさんしている。

タブクはイラン・イラク戦争せんそう湾岸わんがん戦争せんそうイラク戦争せんそうにおいて実戦じっせん投入とうにゅうされたほかサダム・フセイン政権せいけん崩壊ほうかい再建さいけんされたぐん警察けいさつなどにおいてもひろもちいられている。

バリエーション[編集へんしゅう]

ツァスタバ M70系列けいれつのみについて記述きじゅつ

M70[編集へんしゅう]

1ばん最初さいしょ量産りょうさんモデル。けずしレシーバーと固定こてい木製もくせい銃床じゅうしょう

M70A[編集へんしゅう]

M70の固定こてい銃床じゅうしょうAKMS類似るいじした下面かめんたた銃床じゅうしょう変更へんこうしたモデル。

M70B1[編集へんしゅう]

M70のレシーバーをプレス加工かこう構成こうせいしたモデル。

ツァスタバ M70B1N(うえ)とツァスタバ M92

M70B1N[編集へんしゅう]

M70B1にサイドレールを追加ついかしたモデル。東側ひがしがわけい照準しょうじゅん暗視装置あんしそうち可能かのう

ツァスタバ M70AB2

M70AB2[編集へんしゅう]

M70B1の固定こてい銃床じゅうしょうをAKMSに類似るいじした下面かめんたた銃床じゅうしょう変更へんこうしたモデル。

M70AB2N[編集へんしゅう]

M70AB2にサイドレールを追加ついかしたモデル。東側ひがしがわけい照準しょうじゅん暗視装置あんしそうち可能かのう

M70B3[編集へんしゅう]

M70B1からライフルグレネード投射とうしゃ機能きのう省略しょうりゃくしたモデル。わりにハンドガード下部かぶにBGP40 M70(GP-25のコピーひん)を装着そうちゃくして運用うんようする。

ツァスタバ M70AB3。ハンドガード下部かぶにBGP40 M70を装着そうちゃくしている。

M70AB3[編集へんしゅう]

M70AB2からライフルグレネード投射とうしゃ機能きのう省略しょうりゃくしたモデル。わりにハンドガード下部かぶにBGP40 M70(GP-25のコピーひん)を装着そうちゃくして運用うんようする。

ギャラリー[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ www.inert-ord.net
  2. ^ ユーゴスラビアにおいても、しょう改良かいりょうくわえたうえでM72として国産こくさんされている。
  3. ^ このダストカバーは、オープンボタンのロック機構きこうがないM72けい機関きかんじゅうにも流用りゅうようされている。
  4. ^ a b c McCollum, Ian. “Yugoslav M70A: The AK With a Real Magazine Holdopen”. Forgotten Weapons. YouTube. 2022ねん10がつ22にち閲覧えつらん
  5. ^ イラクせいのM70は、ライフルグレネードのおこりたおせしきサイトを省略しょうりゃくしていることがおお[よう出典しゅってん]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]