ライブドア事件じけん

ライブドア事件じけん（ライブドアじけん）とは、ライブドアの2004年ねん9月がつ期き年度ねんどの決算けっさん報告ほうこくとして提出ていしゅつされた有価ゆうか証券しょうけん報告ほうこく書しょに虚偽きょぎの内容ないようを掲載けいさいしたとする疑うたがいが持もたれるなど証券しょうけん取引とりひき法ほう等ひとしに違反いはんしたとされる2つの罪つみで、法人ほうじんとしてのライブドアとライブドアマーケティングおよび同社どうしゃの当時とうじの取締役とりしまりやくらが起訴きそされた事件じけんである。

事件じけんの特徴とくちょうとして、従来じゅうらいの粉飾ふんしょく決算けっさん事件じけんは企業きぎょうが経営けいえい破綻はたんしてから捜査そうさされたのに対たいし、ライブドア事件じけんは破綻はたんしていない会社かいしゃが捜査そうさされた点てんが挙あげられる。またライブドア事件じけんで問題もんだいとされた約やく50億おく円えんという額がくは金額きんがくだけをみると過去かこの粉飾ふんしょく事件じけんと比くらべて少すくない方ほうであったが、判決はんけつにおいて成長せいちょう仮装かそう型がたと評ひょうされる通とおり、前年ぜんねん比ひで見みると経常けいじょう利益りえきが-120%で赤字あかじ転落てんらくのところを+300%の大幅おおはば黒字くろじ増ぞうとしており、過去かこの粉飾ふんしょく事件じけんと比較ひかくしても大おおきな粉飾ふんしょくとなる。また一方いっぽうで、同どう時期じきに約やく1,600億おく円えんの資本しほん調達ちょうたつおよび代表だいひょう取締役とりしまりやく社長しゃちょうが約やく145億おく円えんの持株もちかぶ売却ばいきゃくをおこなっており、金額きんがくが高額こうがくでなくとも犯罪はんざい性せいは大おおきいと判決はんけつで言いわれた。また、違法いほうの疑うたがいのある手段しゅだんで発行はっこうした自己じこ株式かぶしきを使つかい一般いっぱん株主かぶぬしから集あつめた資金しきんが粉飾ふんしょく決算けっさんの原資げんしだというのも特徴とくちょうとされている。

裁判さいばんは、堀江ほりえ貴文たかふみに懲役ちょうえき2年ねん6か月げつ、宮内みやうち亮治りょうじに懲役ちょうえき1年ねん2か月げつ、岡本おかもと文人もんとに懲役ちょうえき1年ねん6か月げつ執行しっこう猶予ゆうよ3年ねん、熊谷くまがい史人ふみとに懲役ちょうえき1年ねん執行しっこう猶予ゆうよ3年ねん、中村なかむら長ちょう也に懲役ちょうえき1年ねん6か月げつ執行しっこう猶予ゆうよ3年ねん、公認こうにん会計士かいけいし2人ふたりに懲役ちょうえき1年ねん執行しっこう猶予ゆうよ4年ねん、ライブドアに罰金ばっきん2億おく8千せん万まん円えん、ライブドアマーケティングに罰金ばっきん4,000万まん円えんと計けい7人にんと2法人ほうじんに対たいして有罪ゆうざいが確定かくていしている。

経緯けいい

2005年ねん

ニッポン放送にっぽんほうそう買収ばいしゅう問題もんだいが決着けっちゃくした4月がつごろ、東京とうきょう地検ちけん特捜とくそう部ぶにはライブドアに関かんする情報じょうほうが企業きぎょう関係かんけい者しゃや一部いちぶマスコミからもたらされるようになった。ライブドアに恨うらみを持もつ方面ほうめんからのものもあったとみられているが、その相対そうたい的てき総量そうりょうはそうでない方面ほうめんからのそれには及およばないものであった。

秋あき頃ごろになるとライブドア社内しゃないには不穏ふおんな空気くうきが流ながれていて、一部いちぶの幹部かんぶが好このましからざる人物じんぶつと頻繁ひんぱんに電子でんしメールをやり取とりしていたり、不本意ふほんいな退職たいしょくを迫せまられた幹部かんぶのなかには捜査そうさ本部ほんぶに内情ないじょうをばらすと告発こくはつを考かんがえる者ものがいたりしたという。

『東京とうきょう新聞しんぶん』の司法しほう記者きしゃクラブ詰づめの記者きしゃは11月に、防衛施設庁ぼうえいしせつちょう談合だんごう事件じけんの取材しゅざいをしている時ときに東京とうきょう地検ちけん特捜とくそう部ぶがライブドアを捜査そうさしているという情報じょうほうを攫つかんだという。『東京とうきょう新聞しんぶん』の記者きしゃはライブドアや代表だいひょう取締役とりしまりやく社長しゃちょうの堀江ほりえ貴文たかふみへの取材しゅざいは捜査そうさを妨害ぼうがいすることから、強制きょうせい捜査そうさの動うごきを見極みきわめるまで一切いっさいせず、取とりあえずライブドアに関かんする資料しりょうを集あつめることにしたという。

ジャーナリストの須田すだ慎一郎しんいちろうは秋あきごろに特捜とくそう部ぶがライブドアに重大じゅうだいな関心かんしんを寄よせているという情報じょうほうを攫つかんでいたが、どのような要件ようけんで内偵ないていを進すすめていたのかまではわからなかったという。実じつはそのころには元もと役員やくいんなどライブドア関係かんけい者しゃに対たいする事情じじょう聴取ちょうしゅが始はじまっており、暮くれまでには堀江ほりえの知しるところとなっていたとされる。

堀江ほりえは秋あきごろにソニー買収ばいしゅう計画けいかくを進すすめていたが、特捜とくそう部ぶもライブドアに対たいする本格ほんかく的てきな捜査そうさを始はじめていた。証券しょうけん取引とりひき等とう監視かんし委員いいん会かいに出向しゅっこうしていた検事けんじの斎藤さいとう隆博たかひろが特捜とくそう部ぶに戻もどると、斎藤さいとうの下したに数すう人にんの専従せんじゅうチームができていた（特殊とくしゅ直ちょく告つげ2班はん）。斎藤さいとうは株かぶに関かんする捜査そうさが得意とくいで、証券しょうけん取引とりひき等とう監視かんし委員いいん会かいでは検察けんさつ出向しゅっこう者しゃの指定してい席せきと化かしていたポストである特別とくべつ調査ちょうさ管理かんり官かんを務つとめていたという。

東京とうきょう地検ちけん特捜とくそう部ぶは、12月6日にちに、マネーライフ買収ばいしゅう計画けいかくを知しる立場たちばにいたライブドアマーケティング（旧きゅうバリュークリックジャパン）の代表だいひょう取締役とりしまりやくCFOだったKに電話でんわで接触せっしょくすることに成功せいこうした。Kはバリュークリック買収ばいしゅう後ごも代表だいひょう取締役とりしまりやくに就ついていたが、ライブドアの社風しゃふうに馴染なじめず、特捜とくそう部ぶから電話でんわを受うける1年ねん前まえに退任たいにんしていたという。Kは、強制きょうせい捜査そうさ前まえは週しゅう2回かい、強制きょうせい捜査そうさ後ごはほぼ連日れんじつのペースで、合計ごうけいにして30-40回かいの取とり調しらべを受うけたという。Kの供述きょうじゅつは特捜とくそう部ぶの事件じけんのシナリオ（スジ読よみ）を決定けっていするのに重要じゅうような役割やくわりを果はたした。

12月上旬じょうじゅんには元もと執行しっこう役員やくいんが堀江ほりえに「東京とうきょう地検ちけん特捜とくそう部ぶから事情じじょう聴取ちょうしゅを受うけた」と連絡れんらくを入いれていて、堀江ほりえは即座そくざに熊谷くまがい史人ふみとと宮内みやうち亮治りょうじに「一体いったいなんのことだろう」と尋たずねていた。

特捜とくそう部ぶは12月には証券しょうけん取引とりひき等とう監視かんし委員いいん会かいにライブドアを捜査そうさしていることを伝つたえている。

雑誌ざっし『AERA』記者きしゃで、ライブドア事件じけんを取とり上あげたルポルタージュ『ヒルズ黙示録もくしろく』の著者ちょしゃでもあり、堀江ほりえや村上むらかみ世よ彰あきらといったヒルズ族ぞくを取材しゅざいしてきた大鹿おおしか靖明やすあきは、2005年ねん暮くれ、後のちにソニー買収ばいしゅう計画けいかくとわかった計画けいかくの噂うわさについて堀江ほりえに取材しゅざいしたが、堀江ほりえは二日酔ふつかよいで、険悪けんあくな雰囲気ふんいきのなかでの取材しゅざいとなり、堀江ほりえは宇宙うちゅうロケット開発かいはつの話はなしばかりしていたという。熊谷くまがいに質問しつもんしたところ、堀江ほりえは毎晩まいばんのように飲酒いんしゅをしていて本業ほんぎょうに身みがはいっていないということで、大鹿おおしかは「ライブドア大丈夫だいじょうぶか?」というトーンの記事きじを書かいたという。

2006年ねん

1月がつ16日にちに証券しょうけん取引とりひき法ほう違反いはんの容疑ようぎにより、六本木ろっぽんぎヒルズ内うちの本社ほんしゃおよび堀江ほりえ貴文たかふみの自宅じたく・新宿しんじゅくの事業じぎょう所しょなどが東京とうきょう地検ちけんによる家宅かたく捜査そうさを受うける。翌よく17日にちはソニー買収ばいしゅうのためのライブドアとリーマン・ブラザーズとのキック・オフ・ミーティングが予定よていされていたという。家宅かたく捜索そうさくの翌日よくじつに宮内みやうち亮治りょうじが中国ちゅうごくの大連たいれんから急遽きゅうきょ帰国きこくする。成田空港なりたくうこうで記者きしゃ団だんの取材しゅざいを受うけた際さい、マネーライフ買収ばいしゅうでの投資とうし事業じぎょう組合くみあいには違法いほう性せいの認識にんしきはない、と投資とうし事業じぎょう組合くみあいにライブドアファイナンスが9割わり以上いじょう出資しゅっししていたことをあっさり認みとめ、一連いちれんの株かぶ取引とりひきに堀江ほりえは一切いっさい関与かんよしていないと答こたえた。

1月がつ18日にち - 国際証券こくさいしょうけん出身しゅっしんライブドア元もと取締役とりしまりやくでエイチ・エス証券しょうけん副ふく社長しゃちょう（当時とうじ）野口のぐち英昭ひであきが沖縄おきなわのカプセルホテルにて死亡しぼう（沖縄おきなわ県けん警察けいさつは自殺じさつと発表はっぴょう）。

1月がつ23日にちに証券しょうけん取引とりひき法ほう違反いはん（偽計ぎけい、風説ふうせつの流布るふ）の疑うたがいで東京とうきょう地検ちけんにより堀江ほりえ、財務ざいむ担当たんとうの取締役とりしまりやく宮内みやうち亮治りょうじ、関連かんれん会社かいしゃライブドアマーケティング（現げん メディアイノベーション）の社長しゃちょうを兼かねる取締役とりしまりやく岡本おかもと文人もんと、金融きんゆう子会社こがいしゃライブドアファイナンスの社長しゃちょう中村なかむら長ちょう也4名めいが逮捕たいほされる。これを受うけて翌よく24日にちに宮内くないの取締役とりしまりやく辞任じにんが発表はっぴょうされた。取締役とりしまりやく会かいが招集しょうしゅうされ堀江ほりえの代表だいひょう取締役とりしまりやく社長しゃちょうの代表だいひょう権けん及および社長しゃちょうの異動いどうが発表はっぴょうされた。後任こうにんの代表だいひょう取締役とりしまりやくに取締役とりしまりやくの熊谷くまがい史人ふみとが、執行しっこう役員やくいん社長しゃちょうとして平松ひらまつ庚かのえ三さん執行しっこう役員やくいん上級じょうきゅう副ふく社長しゃちょうが就任しゅうにん。堀江ほりえ、岡本おかもとは25日にちにライブドア取締役とりしまりやくを辞任じにんした。加くわえて2月がつ22日にち、証券しょうけん取引とりひき法ほう違反いはん（有価ゆうか証券しょうけん報告ほうこく書しょの虚偽きょぎ記載きさい）の疑うたがいで堀江ほりえら3名めいを再さい逮捕たいほし、熊谷くまがいを新あらたに逮捕たいほした。これを受うけ、代表だいひょう取締役とりしまりやくの異動いどうを発表はっぴょうし、山崎やまざき徳之のりゆき取締役とりしまりやくが代表だいひょう取締役とりしまりやくに就任しゅうにんした。この間あいだ、2月がつ9日にちには株式会社かぶしきがいしゃライブドアオート（現げんカーチス）とメディアエクスチェンジ株式会社かぶしきがいしゃがライブドアグループから離反りはんを表明ひょうめいした。また、2月がつ21日にちにはライブドア株主かぶぬし被害ひがい弁護べんご団だんが、3月11日にちには「ライブドア被害ひがい者しゃの会かい」が結成けっせいされた。

3月13日にち、証券しょうけん取引とりひき等とう監視かんし委員いいん会かいは2004年ねん9月がつ期きの連結れんけつ決算けっさんを粉飾ふんしょくした疑うたがいで堀江ほりえ・宮内くない・熊谷くまがい・岡本おかもと・中村なかむらの5名めいと、法人ほうじんとしてのライブドアを証券しょうけん取引とりひき法ほう違反いはん（有価ゆうか証券しょうけん報告ほうこく書しょの虚偽きょぎ記載きさい）容疑ようぎで東京とうきょう地検ちけん特捜とくそう部ぶに告発こくはつした。告発こくはつを受うけ、東京とうきょう証券しょうけん取引とりひき所しょはライブドア株かぶおよびライブドアマーケティング株かぶの上場じょうじょう廃止はいしを2006年ねん4月がつ14日にちにくだすことを決定けっていした。また、同日どうじつライブドアでも記者きしゃ会見かいけんをおこない、山崎やまざき・羽田はた寛ひろし・熊谷くまがいが取締役とりしまりやくを退任たいにんすることに決きめた。同日どうじつライブドアは取締役とりしまりやく会かいを開催かいさいし、2006年ねん6月がつ中旬ちゅうじゅんに臨時りんじ株主かぶぬし総会そうかいを開催かいさいすることと、新任しんにん取締役とりしまりやく候補こうほの一部いちぶを決定けっていした。新任しんにん取締役とりしまりやく候補こうほに選任せんにんされたのは平松ひらまつ、清水しみず幸裕ゆきひろ執行しっこう役員やくいん上級じょうきゅう副ふく社長しゃちょう、落合おちあい紀きの貴たか執行しっこう役員やくいん副ふく社長しゃちょうである。さらに同どう13日にち、ライブドアは東京とうきょう地方裁判所ちほうさいばんしょへ一いち時じ取締役とりしまりやくの選任せんにんを申もうし立たてた。東京とうきょう地方裁判所ちほうさいばんしょは3月がつ17日にちに腰こし塚づか和男かずお弁護士べんごしを一時いちじ取締役とりしまりやくとして選任せんにんした。

3月16日にち - 株式会社かぶしきがいしゃフジテレビジョンが保有ほゆうのライブドア株式かぶしきを株式会社かぶしきがいしゃUSENの宇野うの康秀やすひで社長しゃちょうに売却ばいきゃくする旨むねを発表はっぴょう。ライブドアとUSENは共同きょうどうの記者きしゃ会見かいけんを開催かいさいし、包括ほうかつ的てき業務ぎょうむ提携ていけいの締結ていけつを発表はっぴょう。

4月がつ14日にち、ライブドア株式かぶしき上場じょうじょう廃止はいし。

5月29日にち - 株式会社かぶしきがいしゃライブドアオートが8月がつ1日にち付づけで株式会社かぶしきがいしゃカーチスに商号しょうごうを変更へんこうすることを発表はっぴょう。

6月14日にち - 臨時りんじ株主かぶぬし総会そうかいが幕張まくはりメッセにて開催かいさいされ、取締役とりしまりやく選任せんにん等とうの全ぜん議案ぎあんが賛成さんせい多数たすうで可決かけつされた。ただ、この臨時りんじ株主かぶぬし総会そうかいは2万まん人にん規模きぼの会場かいじょうを用意よういしていたにもかかわらず、参加さんか者しゃは1,800人にん程度ていどであった。この臨時りんじ株主かぶぬし総会そうかい終了しゅうりょう後ごの臨時りんじ取締役とりしまりやく会かいにおいて平松ひらまつと清水しみずに代表だいひょう権けんを与あたえることを決議けつぎされた。

9月4日にち、堀江ほりえの初はつ公判こうはんが東京とうきょう地方裁判所ちほうさいばんしょ刑事けいじ第だい一部いちぶで開ひらかれた。事件じけん名めいは証券しょうけん取引とりひき法ほう違反いはん。事件じけん番号ばんごうは平成へいせい18年ねん特とく（わ）第だい498号ごう等とう。

2007年ねん

2月がつ13日にち - 日本にっぽん郵政ゆうせい公社こうしゃがライブドアの有価ゆうか証券しょうけん報告ほうこく書しょ等とう虚偽きょぎ記載きさいに伴ともなう損害そんがい賠償ばいしょう請求せいきゅう訴訟そしょうを提起ていき。

3月16日にち - 東京とうきょう地裁ちさいが堀江ほりえに懲役ちょうえき2年ねん6月がつ（求刑きゅうけい懲役ちょうえき4年ねん）の実刑じっけい判決はんけつをい渡いわたす。堀江ほりえは東京とうきょう高裁こうさいに即日そくじつ控訴こうそした。

3月22日にち - 東京とうきょう地裁ちさいは「捜査そうさ段階だんかいから実態じったい解明かいめいに協力きょうりょく的てきだったが、社内しゃないでのその地位ちいや役割やくわりの重要じゅうよう性せいから、堀江ほりえ被告ひこくに準じゅんじて刑事けいじ責任せきにんは重おもい」として、宮内くないに懲役ちょうえき1年ねん8か月げつ（求刑きゅうけい懲役ちょうえき2年ねん6か月げつ）の実刑じっけい判決はんけつをい渡いわたす。同日どうじつには中村なかむらと岡本おかもとにそれぞれ懲役ちょうえき1年ねん6か月げつ、執行しっこう猶予ゆうよ3年ねんの有罪ゆうざい判決はんけつを、熊谷くまがいに懲役ちょうえき1年ねん、執行しっこう猶予ゆうよ3年ねんの有罪ゆうざい判決はんけつをい渡いわたす。

3月23日にち - 東京とうきょう地裁ちさいは法人ほうじんとしてのライブドアに罰金ばっきん2億おく8千せん万まん円えんの判決はんけつをい渡いわたす。平松ひらまつは判決はんけつ後ごの会見かいけんで控訴こうそしないとした。

2008年ねん

2月がつ22日にち 、東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょにて堀江ほりえの控訴こうそ審しん初はつ公判こうはんがおこなわれた。弁護べんご側がわは「一いち審しんには重大じゅうだいな事実じじつ誤認ごにんがあり、公判こうはん前ぜん整理せいり手続てつづきで絞しぼり込こんだ争点そうてんを無視むしして有罪ゆうざい判決はんけつを出だしたのは訴訟そしょう手続てつづき上じょうの法令ほうれい違反いはんだ」などと主張しゅちょう、一いち審しん判決はんけつを破棄はきし堀江ほりえを無罪むざいとするよう求もとめた。3月28日にち、同どう高等こうとう裁判所さいばんしょにて堀江ほりえの控訴こうそ審しん第だい2回かい公判こうはんがおこなわれ、弁護べんご側がわ証人しょうにんとして出廷しゅっていした堀江ほりえの元もと秘書ひしょは宮内くないらから不正ふせいを伝つたえられたとされた会議かいぎについて、スケジュール表ひょうに記載きさいがないことを理由りゆうに当日とうじつに会議かいぎの予定よていはなかったと証言しょうげんした。次回じかい公判こうはんで弁護べんご側がわ・検察けんさつ側がわ双方そうほうが弁論べんろんをおこない結審けっしんした｡控訴こうそ審しんには被告人ひこくにんが出廷しゅっていする義務ぎむがないため、堀江ほりえはいずれの公判こうはんにも出廷しゅっていせず、高井たかい康行やすゆき弁護士べんごしは「判決はんけつ公判こうはんにも来きません」として逆転ぎゃくてん無罪むざい判決はんけつまで堀江ほりえが公おおやけの場ばに出でない方針ほうしんをあきらかにした。

7月がつ25日にち - 東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょの長岡ながおか哲次てつじ裁判さいばん長ちょうは懲役ちょうえき2年ねん6か月げつとした一いち審しん・東京とうきょう地裁ちさいの実刑じっけい判決はんけつを支持しじし、堀江ほりえの控訴こうそを棄却ききゃくした。量刑りょうけいについて堀江ほりえ側がわは過去かこの粉飾ふんしょく決算けっさん事例じれいに比くらべて粉飾ふんしょく額がくが少すくなく、有罪ゆうざいとしても執行しっこう猶予ゆうよが相当そうとうと訴うったえたが、判決はんけつは「粉飾ふんしょく金額きんがくが高額こうがくでなくとも犯行はんこう結果けっかは大おおきい」と退しりぞけ、公判こうはん前ぜん整理せいり手続てつづきで争点そうてんにならなかった投資とうし事業じぎょう組合くみあいの脱法だつほう性せいを一いち審しん判決はんけつが認定にんていしており、訴訟そしょう手続てつづきに問題もんだいがあるとの主張しゅちょうも判決はんけつは手続てつづきに法令ほうれい違反いはんはないとした。堀江ほりえは最高裁さいこうさいに即日そくじつ上告じょうこくした。

8月がつ25日にち - 1審しん・2審しん（控訴こうそ審しん）と続つづいた連続れんぞく敗訴はいその責任せきにんと堀江ほりえとの再さい協議きょうぎの結果けっか、「上告じょうこく審しんは事件じけんを色々いろいろな角度かくどからもう一度いちど検討けんとうし、弁護べんご団だんも一新いっしんして検察けんさつ側がわと争あらそう方ほうがよい」ということにより、主任しゅにん弁護人べんごにんだった高井たかい弁護士べんごし以下いかの4人にんの弁護べんご団だん全員ぜんいんが辞任じにんした。後任こうにんの主任しゅにん弁護人べんごにんにはロス疑惑ぎわくで三浦みうら和義かずよしの弁護人べんごにんを務つとめた弘中ひろなか惇あつし一郎いちろう弁護士べんごしと喜き田村たむら洋一よういち弁護士べんごしらが就任しゅうにんした。

2009年ねん

1月がつ25日にち - 宮内みやうち亮治りょうじが上告じょうこくを取とり下さげ、懲役ちょうえき1年ねん2か月げつとした2審しん東京とうきょう高裁こうさい判決はんけつが確定かくてい、収監しゅうかんされた。宮内くない側がわは「判決はんけつ内容ないようには不満ふまんだが、早期そうきの社会しゃかい復帰ふっきを優先ゆうせんさせたい」と上告じょうこくを取とり下さげた理由りゆうを述のべている。

4月がつ23日にち - 堀江ほりえ貴文たかふみが最高さいこう裁判所さいばんしょに上告じょうこく趣意しゅい書しょを提出ていしゅつ。上告じょうこく趣意しゅい書しょでは「会計かいけい基準きじゅん上じょう、あやまった取とり扱あつかいとの認識にんしきはなかった」、「当時とうじは会計かいけい基準きじゅんが確立かくりつされておらず、2008年ねん7月がつに無罪むざいがい渡いわたされた長銀ちょうぎん事件じけんの最高裁さいこうさい判例はんれいに反はんする」、仮かりに有罪ゆうざいとしても「わずか53億おく円えんの一いち期き限かぎりの粉飾ふんしょくで、ただちに実刑じっけいとするのはあまりに不公平ふこうへいで正義せいぎに反はんする」と主張しゅちょうしている。堀江ほりえは記者きしゃ会見かいけんで「無罪むざいと分わかってもらえる。じっくり検討けんとうしてもらいたい」と最高裁さいこうさいの判断はんだんに期待きたいを寄よせ、「頭あたまの中なかが整理せいりされてきて堂々どうどうと反論はんろんできるようになった」と会見かいけんを開ひらいた理由りゆうを説明せつめいした。刑事けいじ裁判さいばんが終結しゅうけつした後のちの計画けいかくについては「金かねをがんがん稼かせぐというビジネスは考かんがえていない。夢ゆめに生いきるんだということで宇宙うちゅう開発かいはつとかをやっていきたい」と述のべた。

5月21日にち - 証券しょうけん取引とりひき法ほう違反いはんによって株価かぶかが暴落ぼうらくし損害そんがいを受うけたとして、ライブドア株主かぶぬしの一部いちぶが同社どうしゃや堀江ほりえら旧きゅう経営けいえい陣じんに計けい約やく231億おく円えんの賠償ばいしょうを求もとめた民事みんじ訴訟そしょうで、東京とうきょう地方裁判所ちほうさいばんしょの難波なんば孝一こういち裁判さいばん長ちょうは堀江ほりえらの不法ふほう行為こうい責任せきにんを認みとめつつも、堀江ほりえの逮捕たいほや上場じょうじょう廃止はいしなどが急速きゅうそくな株価かぶか下落げらくに影響えいきょうを与あたえたとして、損害そんがい額がくを一いち株かぶ200円えんとして算定さんていし、賠償ばいしょう額がくを大幅おおはば減額げんがくした計けい約やく76億おく円えんの支払しはらいを命めいじる判決はんけつをい渡いわたした。原告げんこくは請求せいきゅうより大幅おおはばに減額げんがくされた賠償ばいしょう額がくを不服ふふくとして控訴こうそを検討けんとうしている。

2011年ねん

4月がつ26日にち - 最高裁判所さいこうさいばんしょ第だい3小しょう法廷ほうてい（田原たはら睦夫むつお裁判さいばん長ちょう）が堀江ほりえの上告じょうこくを棄却ききゃく、懲役ちょうえき2年ねん6か月げつの実刑じっけいが確定かくていした。決定けっていは25日にち付づけで、5人にんの裁判官さいばんかん全員ぜんいん一致いっちの結論けつろんであった。

2013年ねん

12月13日にち - ライブドア事件じけんで損失そんしつを受うけたとして、ライブドアから損害そんがい賠償金ばいしょうきんを受うけ取とった兵庫ひょうご県けん内うちの女性じょせいが、大阪おおさか国税局こくぜいきょくから賠償金ばいしょうきんについて課税かぜい処分しょぶんを受うけたとして、同どう国税局こくぜいきょくを相手取あいてどって処分しょぶん取とり消けしを求もとめた訴訟そしょうで、神戸こうべ地方裁判所ちほうさいばんしょは「賠償金ばいしょうきんは被害ひがい回復かいふくしたものに過すぎず、利益りえきを得えたものではない」として訴うったえを認みとめ、課税かぜい処分しょぶんの取とり消けしを命めいじた。

検察けんさつが捜査そうさに踏切ふみきった理由りゆう

東京とうきょう地検ちけん特捜とくそう部ぶが得意とくいとしてきた政界せいかいの汚職おしょく捜査そうさは、自民党じみんとう旧きゅう田中たなか派はの終焉しゅうえんや、利権りけんがはびこる公共こうきょう事業じぎょうの縮小しゅくしょうを受うけ、従来じゅうらい型がたの「巨きょ悪あく政治せいじ家か」の摘発てきはつという存在そんざい意義いぎが揺ゆらいできたといわれていて、2004年ねんの日にち歯ぱ連れん闇やみ献金けんきん事件じけんでの村岡むらおか兼けん造みやつこの起訴きそは攻せめやすい人物じんぶつを狙ねらい撃うちしただけという批判ひはんがあった。従来じゅうらい型がたの政界せいかい捜査そうさが行いき詰づまりをみせるなか、当時とうじの検事けんじ総長そうちょうの松尾まつお邦弘くにひろは、経済けいざい犯罪はんざい、金融きんゆう・証券しょうけん犯罪はんざいをより重視じゅうしする姿勢しせいを鮮明せんめいにしていた。経済けいざい・金融きんゆうの規制きせい緩和かんわが進すすんだため、事前じぜん規制きせい型がた社会しゃかいから事後じごチェック型がた社会しゃかいへの移行いこうにともない、社会しゃかいにおいて司法しほうの果はたす役割やくわりが大おおきくなっているというのが理由りゆうだったとされる。

ライブドアの株式かぶしき市場いちばの私物しぶつ化か、政治せいじや経済けいざいまでを牛耳ぎゅうじろうとする同社どうしゃや堀江ほりえ貴文たかふみの姿勢しせいに対たいする政財界せいざいかいの危機きき感かんが理由りゆうにあげられている。また、東京とうきょう地検ちけん元もと特捜とくそう部長ぶちょうの大鶴おおつる基はじめ成なりの、「額がくに汗あせして働はたらく人ひと、リストラされ働はたらけない人ひと、違反いはんすれば儲もうかると分わかっていても法律ほうりつを遵守じゅんしゅしている企業きぎょうの人ひとたちが憤慨ふんがいするような事案じあんを万難ばんなんを排はいしても摘発てきはつしたい」という発言はつげんにみられるような国民こくみん感情かんじょうを代弁だいべんしたかったということもあげられている。このため、ライブドア事件じけんの捜査そうさは規制きせい緩和かんわが進すすんだ新しん自由じゆう主義しゅぎの行いき過すぎを是正ぜせいするための国策こくさく捜査そうさだったのではないかという指摘してきもある。佐藤さとう優ゆうは、国策こくさく捜査そうさは「時代じだいのけじめ」をつけるためにおこなわれると述のべているが、実際じっさい、日本にっぽんが銀行ぎんこうの不良ふりょう債権さいけん問題もんだいに起因きいんした長期ちょうき不況ふきょうにあえいでいたころ、堀江ほりえは規制きせい緩和かんわと過剰かじょう流動りゅうどう性せいという金かね余あまりを享受きょうじゅしていた。しかし、竹中たけなか平蔵へいぞうが金融きんゆう担当たんとう大臣だいじんに就任しゅうにんしてからは銀行ぎんこうの不良ふりょう債権さいけん問題もんだいは解決かいけつに向むかい、それにつれ景気けいきは回復かいふくし、日本銀行にっぽんぎんこうは2006年ねん3月がつ9日にち、過剰かじょう流動りゅうどう性せいを生うんだ量的りょうてき緩和かんわの解除かいじょを決きめた。そのような時代じだいの転換てんかん点てんに強制きょうせい捜査そうさがおこなわれたという。

ライブドアに買収ばいしゅうされそうになったフジテレビは調査ちょうさチームを設置せっちし、ライブドアの違法いほう行為こういをみつけ出だして検察けんさつに摘発てきはつを打診だしんしていたという説せつがある。特捜とくそう部ぶも、ライブドアのニッポン放送にっぽんほうそう株かぶ大量たいりょう取得しゅとく以降いこう、堀江ほりえについて具体ぐたい的てきに内偵ないていを始はじめていたといわれる。実際じっさい、特捜とくそう部ぶの事情じじょう聴取ちょうしゅを受うけたあるライブドア幹部かんぶは検事けんじから「フジテレビからおたくのデューディリジェンス（資産しさん査定さてい）の内容ないようは聞きいているのだぞ」といわれたという。フジテレビはライブドアからニッポン放送にっぽんほうそう株かぶを取とり戻もどす際さい、大手おおて監査かんさ法人ほうじんを使つかって厳格げんかくな資産しさん査定さていをおこなっている。

ライブドア事件じけんの捜査そうさには証券しょうけん取引とりひき等とう監視かんし委員いいん会かいに出向しゅっこうしていた斎藤さいとう隆博たかひろの存在そんざいも大おおきかったといわれている。斎藤さいとうがいなかったらライブドアや村上むらかみファンドを捜査そうさすることはできなかっただろうという声こえが検察けんさつ内部ないぶには根強ねづよいという。

容疑ようぎ1：偽計ぎけい及および風説ふうせつの流布るふ容疑ようぎ

東京とうきょう地検ちけん特捜とくそう部ぶが指摘してきする容疑ようぎ事実じじつ

• ライブドアがライブドアファイナンスを介かいして実質じっしつ的てき支配しはい下かにあるVLMA2号ごう投資とうし事業じぎょう組合くみあい名義めいぎですでに買収ばいしゅうしていたマネーライフ社しゃの企業きぎょう価値かちをライブドアファイナンス従業じゅうぎょう員いんが過大かだいに評価ひょうかして、ライブドアマーケティング（現げんメディアイノベーション）との株式かぶしき交換こうかん比率ひりつを決きめたこと。
• 株式かぶしき交換こうかん比率ひりつを決定けっていした者ものがライブドアファイナンス従業じゅうぎょう員いんであるにもかかわらず、株式かぶしき交換こうかん比率ひりつ1:1について第三者だいさんしゃ機関きかんが算出さんしゅつした結果けっかを踏ふまえ両社りょうしゃ間あいだで決定けっていしたと発表はっぴょうし、あたかも第三者だいさんしゃ機関きかんが株式かぶしき交換こうかん比率ひりつを算出さんしゅつしたかのように虚偽きょぎの内容ないようを公表こうひょうしたこと。
• ライブドアマーケティング（当時とうじバリュークリックジャパン）の第だい3四半期しはんき決算けっさん発表はっぴょう時じに、当期とうき純じゅん損失そんしつであったにもかかわらず、架空かくう売上うりあげを計上けいじょうするなどして、前年ぜんねん同期どうき比ひで増収ぞうしゅう増益ぞうえきを達成たっせいし前年ぜんねん中ちゅう間あいだ期き以来いらいの完全かんぜん黒字くろじ化かを達成たっせいした旨むねの虚偽きょぎ事実じじつを公表こうひょうしたこと。
  • 東京とうきょう地検ちけん特捜とくそう部ぶは、上記じょうきの行為こういがライブドアマーケティング株式かぶしきの売買ばいばいのため、および同社どうしゃ株価かぶかの維持いじ・上昇じょうしょうを図はかる目的もくてきでおこなわれていたと主張しゅちょうしている。

買収ばいしゅうに関かかわる概要がいよう

• 平成へいせい16年ねん6月がつ4日にち、VLMA2号ごう投資とうし事業じぎょう組合くみあいがマネーライフの全ぜん株式かぶしきを、既存きそん株主かぶぬしより4,200万まん円えんで取得しゅとく
  • 東京とうきょう地検ちけん特捜とくそう部ぶはVLMA2号ごう投資とうし事業じぎょう組合くみあいはライブドアファイナンスが実質じっしつ的てきに支配しはいしているファンドであり、ライブドアグループにすでに属ぞくしているにもかかわらず、その事実じじつを公表こうひょうしなかったと主張しゅちょう。
• 平成へいせい16年ねん10月がつ25日にち、バリュークリックジャパン（現げんメディアイノベーション）が株式かぶしき交換こうかんによりマネーライフを完全かんぜん子会社こがいしゃ化かすることを発表はっぴょう
  • 東京とうきょう地検ちけん特捜とくそう部ぶはVLMA2号ごう投資とうし事業じぎょう組合くみあいはライブドアファイナンスの支配しはい下かにあるため、マネーライフが既すでにライブドアの支配しはい下かにあるにもかかわらず、ライブドアマーケティングが株式かぶしきを取得しゅとくした時点じてんで初はじめてライブドアグループ入いりしたかのような公表こうひょうがされている点てんが問題もんだいだと主張しゅちょうしている。
• VLMA2号ごう投資とうし事業じぎょう組合くみあいが4,200万まん円えんで買収ばいしゅうしたのち、3,000万まん円えんの増資ぞうしをおこなう。
  • 実質じっしつ価値かちは7,200万まん円えんであるところ、ライブドアファイナンス従業じゅうぎょう員いんが4億おく円えんとの算出さんしゅつをしたにもかかわらず、第三者だいさんしゃ機関きかんによって算出さんしゅつがおこなわれたと偽装ぎそうするため、グループ外がいの第三者だいさんしゃ機関きかんの名前なまえを借かり、第三者だいさんしゃ機関きかんの意見いけんとして取とり繕つくろうよう提出ていしゅつされていた。

架空かくう売上うりあげ

ライブドアマーケティングは平成へいせい16年ねん第だい3四半期しはんきにおいて、実態じったいは3,200万まん円えんの経常けいじょう損失そんしつ、2,100万まん円えんの当期とうき純じゅん損失そんしつが発生はっせいしていたが、ロイヤル信販しんぱん・キューズネットに対たいする架空かくうの売上うりあげを計上けいじょうし、前年ぜんねん中ちゅう間あいだ期き以来いらいの完全かんぜん黒字くろじ化かへの転換てんかんを果はたしていると虚偽きょぎの事実じじつを公表こうひょうしていたとし、風説ふうせつの流布るふの疑うたがいが持もたれている。

ライブドア及およびメディアイノベーションによる内部ないぶ調査ちょうさの結果けっか等とう

ライブドアが2006年ねん6月14日にちに開催かいさいの臨時りんじ株主かぶぬし総会そうかいで公表こうひょうした内部ないぶ調査ちょうさ結果けっかによると、マネーライフに関かかわる上記じょうきの行為こういが実際じっさいにおこなわれていたとしている。なお、これら一連いちれんの行為こういがどのような目的もくてきでおこなわれていたかについては依然いぜん調査ちょうさ中ちゅうとしている。

また、メディアイノベーション（旧きゅうライブドアマーケティング）経営けいえい諮問しもん委員いいん会かいの平成へいせい19年ねん2月がつ19日にち付づけ内部ないぶ調査ちょうさ報告ほうこく書しょ（要旨ようし）によると、

1. ライブドアマーケティング（当時とうじの社名しゃめいはバリュークリックジャパン。以下いか「VCJ」と略りゃくす）が平成へいせい16年ねん第だい3四半期しはんき（通期つうき）には、経常けいじょう損失そんしつ及および当期とうき純じゅん損失そんしつが発生はっせいしていたにもかかわらず、VCJからキューズ・ネットに対たいして平成へいせい16年ねん第だい3四半期しはんき（平成へいせい16年ねん7月がつから9月がつ）における広告こうこく関連かんれん取引とりひき及およびコンサルティング業務ぎょうむとして売上うりあげ金額きんがく1億おく500万まん円えんが架空かくう売上うりあげとして計上けいじょうされ、経常けいじょう利益りえき、当期とうき純じゅん利益りえきが黒字くろじであるとする虚偽きょぎの業績ぎょうせきを発表はっぴょうしたことが認みとめられる。
2. VCJによる株式かぶしき交換こうかんの時点じてんではライブドアがすでに投資とうし事業じぎょう組合くみあいを通つうじてマネーライフ社しゃを実質じっしつ支配しはい下かに置おいていたこと、本件ほんけん株式かぶしき交換こうかんに際さいし用もちいられた株式かぶしき交換こうかん比率ひりつ算定さんてい書しょはもっぱらライブドアファイナンス側がわで作成さくせい済ずみであり、第三者だいさんしゃ機関きかんはなんら主体しゅたい的てきな関与かんよはしていないこと、交換こうかん比率ひりつ算定さんていのためのマネーライフ社しゃ株式かぶしきの評価ひょうかはライブドアファイナンス側がわで買収ばいしゅう時じの価格かかくにマネーライフ社しゃの企業きぎょう価値かちとなんら関係かんけいのない価格かかくを加算かさんして決定けっていしたものであったにもかかわらず、VCJが株式かぶしき交換こうかんによりマネーライフ社しゃを完全かんぜん子会社こがいしゃとすることを決議けつぎした旨むねを公表こうひょうするに際さいし、「株式かぶしき交換こうかん比率ひりつ（1対たい1）については、第三者だいさんしゃ機関きかんが算出さんしゅつした結果けっかを踏ふまえ両者りょうしゃ間あいだで協議きょうぎの上うえ決定けっていした」旨むねなどの虚偽きょぎの内容ないようを含ふくむ公表こうひょうをおこなったことが認みとめられる。

などとされており、1.の粉飾ふんしょく結果けっかなどを反映はんえいして、平成へいせい16年度ねんどの有価ゆうか証券しょうけん報告ほうこく書しょ自体じたいに虚偽きょぎ記載きさいが存在そんざいするものとされた。 なお、VCJにおける平成へいせい16年度ねんどの有価ゆうか証券しょうけん報告ほうこく書しょはライブドア事件じけん発覚はっかく後ごの平成へいせい18年ねん7月がつ3日にちに訂正ていせい報告ほうこく書しょが提出ていしゅつされ、同どう事業じぎょう年度ねんどの連結れんけつ経常けいじょう利益りえきが約やく2億おく2,479万まん9,000円えんから約やく108万まん円えんに訂正ていせいされている。

容疑ようぎに対たいする疑問ぎもん

大鹿おおしか靖明やすあきによると、ライブドアが投資とうし事業じぎょう組合くみあいを使つかって被ひ買収ばいしゅう企業きぎょうを連結れんけつ対象たいしょうから外はずしていた時期じきは投資とうし事業じぎょう組合くみあいが先行せんこう取得しゅとくしていたほんの数すうか月げつ間あいだだけで、被ひ買収ばいしゅう企業きぎょうの株かぶをライブドア本体ほんたいが取得しゅとくした後のちはみずからの連結れんけつ決算けっさんの対象たいしょうに入いれていて、この点てん、山一証券やまいちしょうけんやカネボウが不良ふりょう資産しさんを長期間ちょうきかんに渡わたって隠蔽いんぺいしてきたのとはわけが違ちがうという。

また、問題もんだいとなったクラサワなどの各社かくしゃはいずれもライブドアからみると規模きぼが小ちいさい会社かいしゃで、これらのM&Aは重要じゅうような買収ばいしゅう計画けいかくは発表はっぴょうしなければならないという「重要じゅうよう事項じこう開示かいじルール」が適用てきようされない事案じあん であり、特捜とくそう部ぶが主張しゅちょうする偽計ぎけいとするには無理むりがあるのではないかという。

容疑ようぎ2：有価ゆうか証券しょうけん報告ほうこく書しょ虚偽きょぎ記載きさい容疑ようぎ

東京とうきょう地検ちけん特捜とくそう部ぶが指摘してきする容疑ようぎ事実じじつ

ライブドアは2004年ねん9月がつ期きの連結れんけつ決算けっさんにおいて、実態じったいは3億おく1,300万まん円えんの経常けいじょう赤字あかじであったにもかかわらず、業務ぎょうむの発注はっちゅうを装よそおい架空かくうの売上うりあげを計上けいじょうするとともに、ライブドアが出資しゅっしする投資とうし事業じぎょう組合くみあいがライブドア株式かぶしきを売却ばいきゃくする事ことで得えた利益りえきを投資とうし利益りえきとして売上うりあげに計上けいじょう、53億おく4,700万まん円えんの利益りえきを計上けいじょうすることによって50億おく3,400万まん円えんの経常けいじょう黒字くろじであったとする、虚偽きょぎの有価ゆうか証券しょうけん報告ほうこく書しょを関東かんとう財務局ざいむきょく長ちょうに提出ていしゅつした疑うたがいがあると指摘してき。

弁護べんご側がわが指摘してきする事実じじつ

「#トライン買収ばいしゅう」も参照さんしょう

当時とうじの代表だいひょう取締役とりしまりやくであった堀江ほりえ貴文たかふみ（弁護人べんごにん）らが東京とうきょう地検ちけん特捜とくそう部ぶの指摘してきに対たいし提起ていき・指摘してきした証拠しょうこもしくは反証はんしょう材料ざいりょうに次つぎのものがある。

• 人材じんざい派遣はけん会社かいしゃトライン買収ばいしゅうに関連かんれんし発生はっせいした投資とうし事業じぎょう組合くみあいの利益りえきのうち2億おく6,000万まん円えんが『PSI』に渡わたっていること。
• PSIから約やく1億おく5,300万まん円えんが宮内みやうち亮治りょうじ、中村なかむら長ちょう也らが香港ほんこんに設立せつりつした『PTI』に送金そうきんされている。
• 宮内みやうち、中村なかむらの両りょう名なは公判こうはんでPTIに送金そうきんされた金かねのうち、およそ4,000万まん円えんを私的してきに流用りゅうようしていたことを認みとめた。
• "東京とうきょう地検ちけん特捜とくそう部ぶがトライン買収ばいしゅうの一連いちれんの取引とりひきを起訴きそ事実じじつに含ふくめなかったのは、堀江ほりえ主犯しゅはんの構図こうずが崩くずれてしまうからだけではなく、宮内みやうち、中村なかむららの背任はいにん行為こうい（業務ぎょうむ上じょう横領おうりょう）を見逃みのがす代かわりに検察けんさつに協力きょうりょくさせるためで、公訴こうそ権けんの乱用らんようである"として、大鶴おおつる基はじめ成なり特捜とくそう部長ぶちょうらの証人しょうにん尋問じんもんを要求ようきゅうしている。特捜とくそう部ぶはトライン買収ばいしゅうを立件りっけんしなかった理由りゆうを「金額きんがくが小ちいさかったから」と出入でいりする社会しゃかい部ぶの記者きしゃに説明せつめいしていたという。
• 証券しょうけん取引とりひき法ほう違反いはん 平成へいせい18年ねん特とく（わ）第だい498号ごう等とう の第だい13回かい公判こうはんで中村なかむら長ちょう也の証言しょうげんの信憑しんぴょう性せいを追及ついきゅうしている。中村なかむらは自社じしゃ株かぶ売却ばいきゃく益えきを利用りようした企業きぎょう買収ばいしゅうの経緯けいいについて2003年ねん11月がつ中旬ちゅうじゅんに堀江ほりえへ報告ほうこくした様子ようすを証言しょうげんしたが、11月中旬ちゅうじゅんに堀江ほりえはアメリカに滞在たいざいしており 、報告ほうこくを受うけることはありえないと指摘してきした。

架空かくう売上うりあげの計上けいじょう

東京とうきょう地検ちけん特捜とくそう部ぶは、ライブドアが2003年ねん10月1日にちから2004年ねん9月30日にちまでの会計かいけい年度ねんどにおいて、ロイヤル信販しんぱん及およびキューズネットに対たいする架空かくう売上うりあげとして15億おく8,000万まん円えんの売上うりあげがあったとし、その旨むねを記載きさいした有価ゆうか証券しょうけん報告ほうこく書しょを提出ていしゅつしたと主張しゅちょうしている。

ライブドアに対たいし、ロイヤル信販しんぱんとキューズネットの2社しゃから13億おく5,500万まん円えん、ライブドアマーケティング（現げんメディアイノベーション）および、後のちにライブドアマーケティングと合併がっぺいしたイーエックスマーケティングに2億おく2,500万まん円えんの、合計ごうけい15億おく8,000万まん円えんがライブドアグループの連結れんけつ決算けっさんに架空かくうの売上うりあげが計上けいじょうされたのではないかと疑うたがわれているもの。

ロイヤル信販しんぱんに対たいする売上うりあげ計上けいじょう

2004年ねん8月がつ30日にちにロイヤル信販しんぱんを株式かぶしき交換こうかんによりライブドアの完全かんぜん子会社こがいしゃ化かすることを発表はっぴょうするとともに、同日どうじつ既存きそん株主かぶぬしとの間あいだで株式かぶしき交換こうかん契約けいやくを締結ていけつし、2004年ねん10月12日にちに株式かぶしき交換こうかんを実施じっし。ライブドアの完全かんぜん子会社こがいしゃになるのは株式かぶしき交換こうかん日びの10月がつ12日にちであるが、2004年ねん9月がつ中ちゅうに外部がいぶ企業きぎょうが発注はっちゅうしたようにみせかけた取引とりひきがおこなわれ、架空かくうの売上うりあげを計上けいじょうした疑うたがいがもたれている。

ロイヤル信販しんぱんは現げん預金よきんが豊富ほうふであったため、ライブドアの各かく事業じぎょう部ぶへの発注はっちゅうがあったかのようにみせかけ、取引とりひき実体じったいがないにもかかわらず架空かくうの売上うりあげを計上けいじょうしたものであると臨時りんじ株主かぶぬし総会そうかいの席上せきじょうでライブドア側がわは述のべている。

売上うりあげを計上けいじょうした事業じぎょう部ぶ等とう	売上うりあげ計上けいじょう額がく
（旧きゅう）メディア事業じぎょう部ぶ	3億おく1,500万まん円えん
（旧きゅう）モバイル事業じぎょう部ぶ	2億おく1,000万まん円えん
ネットワーク事業じぎょう部ぶ	3,500万まん円えん
（旧きゅう）コンサルティング事業じぎょう部ぶ	1億おく4,000万まん円えん
合計ごうけい	7億おく円えん

キューズネットに対たいする売上うりあげ計上けいじょう

2004年ねん9月3日にちに株式かぶしき交換こうかん契約けいやくが締結ていけつされたキューズネットも同様どうように、株式かぶしき交換こうかん日びが2004年ねん10月12日にちであったことから、2004年ねん9月がつ末まつまでに架空かくう売上うりあげが計上けいじょうされたとされる。

売上うりあげを計上けいじょうした事業じぎょう部ぶ等とう	売上うりあげ計上けいじょう額がく
（旧きゅう）メディア事業じぎょう部ぶ	1億おく3,500万まん円えん
（旧きゅう）モバイル事業じぎょう部ぶ	2億おく1,000万まん円えん
ネットワーク事業じぎょう部ぶ	1億おく3,000万まん円えん
（旧きゅう）コンサルティング事業じぎょう部ぶ	1億おく8,000万まん円えん
合計ごうけい	6億おく5,500万まん円えん

売上うりあげを計上けいじょうした子会社こがいしゃ等とう	売上うりあげ計上けいじょう額がく
ライブドアマーケティング（現げんメディアイノベーション）	1億おく500万まん円えん
イーエックスマーケティング	1億おく2,000万まん円えん
合計ごうけい	2億おく2,500万まん円えん

自社じしゃ株かぶ売却ばいきゃく益えき売上うりあげ計上けいじょう

東京とうきょう地検ちけん特捜とくそう部ぶは、ライブドアが2003年ねん10月1日にちから2004年ねん9月30日にちまでの会計かいけい年度ねんどにおいて、ライブドア株式かぶしきの売却ばいきゃく益えき37億おく6,699万まん6000円えんが売上うりあげとして計上けいじょうされており、これは法律ほうりつ上じょう許ゆるされない会計かいけい処理しょりであると主張しゅちょうしている。

クラサワコミュニケーションズとウェブキャッシング・ドットコムの2社しゃの買収ばいしゅう時じに関かんして疑うたがいが持もたれている。

クラサワコミュニケーションズ

クラサワコミュニケーションズ買収ばいしゅう一連いちれんの流ながれ

2003年ねん7月がつ、ライブドアは携帯けいたい電話でんわ関連かんれん事業じぎょうを行おこなっている、クラサワコミュニケーションズの買収ばいしゅうを検討けんとうし、2003年ねん8月がつ、資産しさん査定さてい等とうをおこなった上うえで8億おく円えんで買収ばいしゅうすることに合意ごういしたが、クラサワコミュニケーションズの株主かぶぬしが現金げんきんによる買収ばいしゅうを条件じょうけんとした。

しかし、ライブドアは現金げんきんの支出ししゅつをできるだけ避さけたいとの意向いこうから、ライブドアファイナンスがM&Aチャレンジャー1号ごう投資とうし事業じぎょう組合くみあいに8億おく円えんの出資しゅっしをおこない、M&Aチャレンジャー1号ごう投資とうし事業じぎょう組合くみあいがクラサワコミュニケーションズの株主かぶぬしから株式かぶしきを買取かいとりクラサワコミュニケーションズの株主かぶぬしとなった。M&Aチャレンジャー1号ごう投資とうし事業じぎょう組合くみあいとライブドアとの間あいだで株式かぶしき交換こうかんをおこなうことでクラサワコミュニケーションズを子会社こがいしゃ化かする方法ほうほうが考案こうあんされた。

この株式かぶしき交換こうかんにより、M&Aチャレンジャー1号ごう投資とうし事業じぎょう組合くみあいに対たいしライブドア株式かぶしき913,407株かぶが交付こうふされた。 M&Aチャレンジャー1号ごう投資とうし事業じぎょう組合くみあいは株式かぶしき交換こうかんで取得しゅとくしたライブドア株式かぶしきをVLMA2号ごう投資とうし事業じぎょう組合くみあいに現物げんぶつ出資しゅっしし、VLMA2号ごう投資とうし事業じぎょう組合くみあいが市場いちばでライブドア株式かぶしき413,407株かぶを売却ばいきゃくした。

ウェブキャッシング・ドットコム

ウェブキャッシング・ドットコムの買収ばいしゅうに際さいしても同社どうしゃの株主かぶぬしが現金げんきんによる買収ばいしゅうを希望きぼうしたため、クラサワコミュニケーションズと同様どうようの方法ほうほうで買収ばいしゅうがおこなわれた。M&Aチャレンジャー1号ごう投資とうし事業じぎょう組合くみあいに対たいしライブドア株式かぶしき480,771株かぶが交付こうふされ、VLMA2号ごう投資とうし事業じぎょう組合くみあいに現物げんぶつ出資しゅっしされた後のちにVLMA2号ごう投資とうし事業じぎょう組合くみあいは市場いちばで480,771株かぶを売却ばいきゃくしている。

株式かぶしき売却ばいきゃくの流ながれ

M&Aチャレンジャー1号ごう投資とうし事業じぎょう組合くみあいがクラサワコミュニケーションズとウェブキャッシング･ドットコムの買収ばいしゅうに関かかわり取得しゅとくしたライブドア株式かぶしきのうち、VLMA2号ごう投資とうし事業じぎょう組合くみあいが894,178株かぶを43億おく3,947万まん6,888円えんで売却ばいきゃくした。

また、M&Aチャレンジャー1号ごう投資とうし事業じぎょう組合くみあいが当時とうじのライブドア代表だいひょう取締役とりしまりやく社長しゃちょう堀江ほりえ貴文たかふみからライブドア株式かぶしき5,000株かぶの貸かし株かぶを受うけ、VLMA1号ごう投資とうし事業じぎょう組合くみあいに対たいし現物げんぶつ出資しゅっしをおこない、VLMA1号ごう投資とうし事業じぎょう組合くみあいが市場いちばで売却ばいきゃくし、M&Aチャレンジャー1号ごう投資とうし事業じぎょう組合くみあいがクラサワコミュニケーションズとウェッブキャッシング・ドットコムの株式かぶしき交換こうかんでライブドアより交付こうふを受うけた後のちに堀江ほりえに返却へんきゃくしている。これら一連いちれんの行為こういで13億おく3,600万まん6,524円えん分ぶんの株式かぶしきを売却ばいきゃくしている。

これら取引とりひきから原資げんしを引ひいた37億おく6,699万まん6,000円えんを売上うりあげとして計上けいじょうしている。

これら一連いちれんの取引とりひきによる自己じこ株式かぶしきの売却ばいきゃく益えきの売上うりあげへの計上けいじょうが法律ほうりつ上じょう許ゆるされない行為こういであるか否ひかについては、ライブドア及および当時とうじの取締役とりしまりやくのうち宮内くないなどは罪つみを大筋おおすじで認みとめたが、堀江ほりえは外部がいぶの投資とうし事業じぎょう組合くみあいを通つうじた投資とうし事業じぎょうの収益しゅうえきであり売上うりあげとして計上けいじょうできるなどとして無罪むざいを主張しゅちょうしていた。第だい一いち審しんでは投資とうし事業じぎょう組合くみあいが脱法だつほう目的もくてきで組成そせいされ存在そんざいを否定ひていすべきであり、実質じっしつ的てきにはライブドアファイナンスがライブドア株かぶを売却ばいきゃくしたと認みとめられると判断はんだんした 。

立件りっけんされなかった容疑ようぎ

以上いじょうにあげた容疑ようぎのほかにも立件りっけんされなかった容疑ようぎがある。

トライン買収ばいしゅう

人材じんざい派遣はけん会社かいしゃトラインは株式かぶしき交換こうかん方式ほうしきで買収ばいしゅうされることになっていたがライブドア株かぶはすぐにはトライン創業そうぎょう者しゃの手てに渡わたらなかった。ライブドアはトラインの債務さいむ超過ちょうか状態じょうたいを解消かいしょうするために、創業そうぎょう者しゃに資金しきんを貸かし付つけて資本しほん増強ぞうきょうさせ、資本しほん増強ぞうきょう後ご、ライブドアは約束やくそく通どおり1億おく円えんでトライン株かぶを取得しゅとくした。2004年ねん3月がつ15日にち、ライブドアは株式かぶしき交換こうかんによるトライン取得しゅとくという名目めいもくで新株しんかぶ44,448株かぶを発行はっこうした。買収ばいしゅう完了かんりょう後ご、トラインを欲ほしがっていた岡本おかもと文人もんとが社長しゃちょうを務つとめていたEXマーケティング社しゃに約やく4分ぶんの1の2430万まん円えんで転売てんばいした。大鹿おおしか靖明やすあきはライブドアがあえて高値たかねで取得しゅとくしたのは株式かぶしき交換こうかんで発行はっこうする株かぶを多おおめに出だそうという魂胆こんたんからではないかと推測すいそくしている。

このとき発行はっこうされた株かぶも「M&Aチャレンジャー1号ごう投資とうし事業じぎょう組合くみあい」の手てに渡わたり、「VLMA2号ごう投資とうし事業じぎょう組合くみあい」に現物げんぶつ出資しゅっしされ、香港ほんこんのゲインウェル証券しょうけんを通つうじて東京とうきょう株式かぶしき市場いちばで売却ばいきゃくされた。

この買収ばいしゅうも投資とうし事業じぎょう組合くみあいを使つかった「自社じしゃ株かぶ食ぐいスキーム」だったにもかかわらず立件りっけんされなかった。

立件りっけんされなかった理由りゆうについては#弁護べんご側がわが指摘してきする事実じじつを参照さんしょう

マネーロンダリング疑惑ぎわく

特捜とくそう部ぶと証券しょうけん監視かんし委員いいん会かいは、堀江ほりえ貴文たかふみらの1回かい目めと2回かい目めの逮捕たいほの間あいだ、ライブドアのマネーロンダリング疑惑ぎわくを躍起やっきになって調しらべていた。同社どうしゃを強制きょうせい捜査そうさした2006年ねん1月がつ16日にち、同おなじ六本木ろっぽんぎヒルズにある金融きんゆうコンサルティング会社かいしゃのC社しゃも家宅かたく捜索そうさくしている。C社しゃは傘下さんかの貸金かしきん業者ぎょうしゃが保有ほゆうしていた電話でんわ融資ゆうしの貸出かしだし債権さいけんをABS社しゃに移うつし、2004年ねん3月がつ29日にち、株式かぶしき交換こうかんでABSをライブドアに譲渡じょうとしていた。C社しゃは株式かぶしき交換こうかんで受うけ取とった15億おく円えん相当そうとうのライブドア株かぶをクレディ・スイスのスイスの口座こうざに預あづけていたが、その後ご、ライブドア株かぶが高騰こうとうしたために売却ばいきゃくして45億おく円えんのキャッシュを得えた。すると、宮内みやうち亮治りょうじが、会食かいしょくの席せきでC社しゃ首脳しゅのうに対たいし、企業きぎょう買収ばいしゅうのために設もうける投資とうし事業じぎょう組合くみあい（JMAMサルベージ1号ごう投資とうし事業じぎょう組合くみあい）に出資しゅっしするために金かねを貸かしてほしいと頼たのんできたという。

ライブドアはC社しゃから45億おく円えんを借かり、スイスの投資とうし顧問こもん・信託しんたく会社かいしゃであるケンドリスの傘下さんかにある特別とくべつ目的もくてき会社かいしゃ(SPC)のドクターハウリを経由けいゆしてJMAMへの出資しゅっし金きんに充あてた。JMAMはロイヤル信販しんぱんとキューズ・ネットを買収ばいしゅうして、両社りょうしゃの株式かぶしきを株式かぶしき交換こうかんで発行はっこうされるライブドアの新株しんかぶと交換こうかんする手てはずだった。このような国際こくさい的てきで複雑ふくざつな金かねの動うごきに特捜とくそう部ぶと証券しょうけん監視かんし委員いいん会かいがマネーロンダリングを疑うたがうのも無理むりはなかった。

現実げんじつにはC社しゃから貸かし出だされた45億おく円えんは全額ぜんがく返済へんさいされていて、代かわって、堀江ほりえが保有ほゆうするライブドア株かぶを担保たんぽにクレディ・スイスから融資ゆうしを受うけて出資しゅっししていた。犯罪はんざい収益しゅうえきを源流げんりゅうとした資金しきんが流入りゅうにゅうしていた形跡けいせきは発見はっけんできなかった。3月がつなかばにはマネーロンダリング疑惑ぎわくが白しろであることが明あきらかとなった。合計ごうけい270時じ間あいだも取とり調しらべられたライブドア幹部かんぶは時間じかんを浪費ろうひしただけの捜査そうさだったと述のべている。

特捜とくそう部ぶは余罪よざいを探さがすため、3月がつ下旬げじゅんには、合ごうコン好すきの堀江ほりえに強制きょうせいわいせつ、強姦ごうかん、淫行いんこう、買春ばいしゅんがないかどうか躍起やっきになって関係かんけい者しゃを取とり調しらべた。頻繁ひんぱんに堀江ほりえの女性じょせい関係かんけいを問といただされたライブドア幹部かんぶは取とり調しらべに当あたった検事けんじから「特捜とくそう部ぶがこんな捜査そうさをしているとばれたら恥はずかしいので、絶対ぜったいに内密ないみつにしてほしい」と念ねん押おしされるほどだったという。結局けっきょく、これも見込みこみ違ちがいだった。

パイナップルサーバーサービス買収ばいしゅう

特捜とくそう部ぶは、ライブドアがオン・ザ・エッヂ時代じだいの2001年ねん12月、初はじめて手てがけた企業きぎょう買収ばいしゅうであるレンタルサーバー会社かいしゃのパイナップルサーバーサービスの買収ばいしゅうについて証券しょうけん取引とりひき法ほう違反いはんの容疑ようぎで立件りっけんしようとしていた。

オン・ザ・エッヂはパイナップル社しゃを株式かぶしき交換こうかんで買収ばいしゅうした際さい、堀江ほりえ貴文たかふみが保有ほゆうするオン・ザ・エッヂ株かぶが大量たいりょうに貸かし株かぶに回まわっていて、ある証券しょうけんマンがその貸かし株かぶを使つかって売うり抜ぬけたという話はなしだったが、堀江ほりえの株かぶの移動いどうは株かぶの大量たいりょう保有ほゆう報告ほうこく書しょに記載きさいされなかったので特捜とくそう部ぶは虚偽きょぎ記載きさいの疑うたがいがあるとみていた。

しかし、上級じょうきゅう庁ちょうは「今更いまさらやる必要ひつようはない」として強制きょうせい捜査そうさを決裁けっさいで了承りょうしょうせず、堀江ほりえの3度目どめの逮捕たいほは見送みおくられたという。

特捜とくそう部ぶはパイナップル社しゃをめぐる疑惑ぎわくに関かんしては捜査そうさに1か月げつを費ついやし、立件りっけんには自信じしんを持もっていただけに面目めんぼくが潰つぶれた格好かっこうとなった。特捜とくそう部ぶは特殊とくしゅ直ちょく告つげ2班はんキャップの斎藤さいとう隆博たかひろを中心ちゅうしんにして村上むらかみファンドのインサイダー疑惑ぎわくに矛先ほこさきを変かえていった。このままでは大山おおやま鳴動めいどうしてネズミ一いち匹ひきになりかねず、批判ひはんの声こえが上あがるのを防ふせぎたかったからだとされる。「堀江ほりえさんを逮捕たいほする材料ざいりょうがあれば村上むらかみファンド事件じけんは起おきなかった。村上むらかみさんは堀江ほりえさんの3度目どめの逮捕たいほの代かわりにやられたのだと思おもう」とライブドア元もと幹部かんぶの弁護人べんごにんである元もと特捜とくそう検事けんじは述のべている。

しかしながら、大量たいりょう保有ほゆう報告ほうこく書しょの不ふ提出ていしゅつ/虚偽きょぎ記載きさいは当時とうじの証券しょうけん取引とりひき法ほうでは3年ねん以下いかの懲役ちょうえきであり、3年ねんで公訴こうそ時効じこうが成立せいりつするため、2001年ねん12月の本件ほんけんに対たいしては既すでに立件りっけんが不可能ふかのうであり、特捜とくそう部ぶが立件りっけんしようとしていたとは考かんがえにくい。

株式かぶしき分割ぶんかつ時じにおける貸かし株かぶの変更へんこう報告ほうこく書しょ不ふ提出ていしゅつ

1回かい目めの10分割ぶんかつのときにみずほ証券しょうけんに、100分割ぶんかつのときに2つの証券しょうけん会社かいしゃ、2回かい目めの10分割ぶんかつのときに村上むらかみファンドへ堀江ほりえ貴文たかふみ所有しょゆう株かぶの貸かし株かぶがおこなわれている。いずれも株価かぶか変動へんどうが激はげしい時期じきの発行済はっこうずみ株式かぶしき1%を超こえる貸かし株かぶとみられるにもかかわらず変更へんこう報告ほうこく書しょが提出ていしゅつされていない。また、みずほ証券しょうけん及および村上むらかみファンドからは業務ぎょうむ・手数料てすうりょうの形かたちで貸かし株かぶに対たいするキックバックがあったことが明あきらかになっている。

マネーライフ社しゃ以外いがいの株式かぶしき交換こうかんに関かかわる不正ふせい

マネーライフ社しゃの株式かぶしき交換こうかんによる買収ばいしゅう以外いがいは立件りっけんされていないが、その他たの株式かぶしき交換こうかんについても、違法いほう（偽計ぎけい取引とりひき）の疑うたがいがある。交換こうかん比率ひりつ算定さんていがマネーライフ社しゃと同おなじJAMMとゼネラル・コンサルティング・ファーム（代表だいひょう者しゃは小林こばやし元もと被告ひこく）に集中しゅうちゅうしており、さらに、株式かぶしき交換こうかんによる買収ばいしゅうが事件じけんまでに12にも及およぶ。また、岡本おかもと文人もんとは、メールにて、『「ファンド（投資とうし事業じぎょう組合くみあい）への利益りえき供給きょうきゅう」です。 ご存ぞんじのように、ライブドアがここまできたのもこの手法しゅほうを使つかってのことです』と、このスキームを繰くり返かえしてライブドアが成長せいちょうしたと記しるしている。

ウェッブキャッシング社しゃとの株式かぶしき交換こうかん

株式かぶしき交換こうかんで発行はっこうされた株式かぶしきがライブドアとの出資しゅっし関係かんけいのある投資とうし事業じぎょう組合くみあいに譲渡ゆずりわたされることが開示かいじされていない。

クラサワ社しゃとの株式かぶしき交換こうかん

株式かぶしき交換こうかんで発行はっこうされた株式かぶしきがライブドアとの出資しゅっし関係かんけいのある投資とうし事業じぎょう組合くみあいに譲渡ゆずりわたされることが開示かいじされていない。交換こうかん比率ひりつ算定さんていの原案げんあん作成さくせいがマネーライフのときと同おなじく、ライブドア証券しょうけん副ふく社長しゃちょうの塩野しおの誠まことによるものだが、第三者だいさんしゃ機関きかんが算出さんしゅつと虚偽きょぎの記載きさいがなされている。債務さいむ超過ちょうか会社かいしゃであったが、株式かぶしき交換こうかん時じにデットエクイティスワップを実施じっししている。

トライン社しゃとの株式かぶしき交換こうかん

株式かぶしき交換こうかんで発行はっこうされた株式かぶしきがライブドアとの出資しゅっし関係かんけいのある投資とうし事業じぎょう組合くみあいに譲渡ゆずりわたされることが開示かいじされていない。債務さいむ超過ちょうか会社かいしゃであったが、株式かぶしき交換こうかん直前ちょくぜんに株主かぶぬし割当わりあて増資ぞうしを実施じっししている。

ABS社しゃとの株式かぶしき交換こうかん

従業じゅうぎょう員いん0、売上うりあげ0の会社かいしゃであるが、株式かぶしき交換こうかん直前ちょくぜんに10億おく円えんの増資ぞうしを実施じっししている。親会社おやがいしゃのマルフク社しゃの株式かぶしきを所有しょゆうしているのは、ライブドアと同おなじフロアにあるシークエッジ社しゃと、その代表だいひょうで堀江ほりえ貴文たかふみの友人ゆうじんであるSであり、このSが株式かぶしき交換こうかんで得えたライブドアの株式かぶしきを売却ばいきゃくして多額たがくの利益りえきを得えている。

ロイヤル信販しんぱん社しゃとの株式かぶしき交換こうかん

ロイヤル信販しんぱん社しゃの100%株主かぶぬしである投資とうし事業じぎょう組合くみあいがライブドアとの出資しゅっし関係かんけいがあるにもかかわらず、当事とうじ会社かいしゃの関係かんけいに該当がいとう事項じこうはありませんと虚偽きょぎの記載きさいがなされている。

キューズネット社しゃとの株式かぶしき交換こうかん

キューズネット社しゃの100%株主かぶぬしである投資とうし事業じぎょう組合くみあいがライブドアとの出資しゅっし関係かんけいがあるにもかかわらず、当事とうじ会社かいしゃの関係かんけいに該当がいとう事項じこうはありませんと虚偽きょぎの記載きさいがなされている。

事件じけん発覚はっかくとその影響えいきょう

過熱かねつ報道ほうどう

須田すだ慎一郎しんいちろうは、2006年ねん1月がつ10日とおか過すぎに、知人ちじんから数日すうじつ前まえにある全国ぜんこく紙しの記者きしゃがマネーライフ社しゃの件けんで取材しゅざいに来きたことを聞きかされたという。強制きょうせい捜査そうさ前まえから大手おおてマスコミは特捜とくそう部ぶが派手はでな動うごきを見みせていることを察知さっちしていたということになる。

特捜とくそう部ぶはライブドアに察知さっちされないよう金かねの流ながれを追おうのに最もっとも有効ゆうこうな銀行ぎんこう調査ちょうさを周辺しゅうへんだけにとどめ、関係かんけい者しゃへの事情じじょう聴取ちょうしゅも限定げんていするなど内偵ないていには慎重しんちょうを期きしていた。特捜とくそう部長ぶちょうの大鶴おおつる基はじめ成なりはマスコミに事前じぜん報道ほうどうされたらこれまでの努力どりょくが水みずの泡あわになると警戒けいかいしていて、マスコミの動うごきを察知さっちした大鶴おおつるは、15日にち夜よる、予定よていを前倒まえだおしして16日にちに強制きょうせい捜査そうさすることを決断けつだんしたという。

2006年ねん1月がつ16日にち、東京とうきょう地検ちけん特捜とくそう部ぶが証券しょうけん取引とりひき法ほう違反いはん容疑ようぎでライブドアおよび関連かんれん施設しせつ等とうの強制きょうせい捜査そうさに踏ふみ切きった。また、同社どうしゃ幹部かんぶなどに対たいし事情じじょう聴取ちょうしゅをおこなった。強制きょうせい捜査そうさを受うけ、翌日よくじつの株式かぶしき市場いちばではライブドアおよび同社どうしゃグループ各社かくしゃの株式かぶしきに売うり注文ちゅうもんが殺到さっとうし、ライブドアが翌日よくじつの17日にちに時価じか総額そうがくが1,500億おく円えんほど目減めべりしたなどマスメディアに報道ほうどうされることとなる。強制きょうせい捜査そうさ以来いらい、テレビでは特別とくべつ番組ばんぐみが組くまれ、連日れんじつ、ワイドショーだけでなく、ニュース番組ばんぐみ・情報じょうほう番組ばんぐみなど数すうか月げつに渡わたって取とり上あげられない日ひはないといえるほどであった。また、新聞しんぶんには朝あさ・夕刊ゆうかんともに一いち面めんに登場とうじょうし、ほとんどの週刊しゅうかん誌しなどの書籍しょせきに登場とうじょうした。

フジテレビが報道ほうどう特番とくばんを民放みんぽうキー局きょくで一番いちばん早はやく放送ほうそうできたのは4日にち前まえに検察けんさつから強制きょうせい捜査そうさが知しらされていたからだという説せつがある。検察けんさつはマスコミと緊密きんみつな連携れんけいをはかることによって世論せろんに向むかってみずからの主張しゅちょうを効率こうりつよくアピールすることに成功せいこうしたといわれている。

NHKはまだ家宅かたく捜索そうさくの令状れいじょうが出でていない1月がつ16日にち16時じに家宅かたく捜索そうさく着手ちゃくしゅのニュース速報そくほうを打うったが、実じつは、捜索そうさく・押収おうしゅうに当あたる検察けんさつ事務じむ官かんがスムーズに六本木ろっぽんぎヒルズのビルに入いれるよう森もりビルと交渉こうしょうするために派遣はけんされた検察けんさつ事務じむ官かんを、NHKは家宅かたく捜索そうさくの着手ちゃくしゅと見み間違まちがえて速報そくほうを打うったという。

マネーロンダリング・脱税だつぜい・暴力団ぼうりょくだんとの関係かんけいといった報道ほうどうが事実じじつ確認かくにんをしていない状態じょうたいでおこなわれるなど報道ほうどうは激はげしさを極きわめた。また、「ライブドアは企業きぎょう実態じったいがない」、「虚業きょぎょう」、「なにをやっている会社かいしゃかわからない」、「拝金はいきん主義しゅぎ者しゃ」などの批判ひはん的てき言論げんろんも飛とび交かった。さらに、井上いのうえトシユキや宮崎みやざき哲弥てつやなどは、「オウム真理教おうむしんりきょう事件じけんと酷似こくじしている」、「光ひかりクラブ」と酷似こくじしているといった説せつをとなえた。特とくに、『産経新聞さんけいしんぶん』は、2006年ねん1月がつ23日にちの朝刊ちょうかんで、「ライブドア電子でんし商店しょうてん街がいから決算けっさん前まえに契約けいやく料りょう徴収ちょうしゅう-利益りえき計上けいじょう後ご解約かいやくし返還へんかん」との見出みだしで報道ほうどうしたり、2月がつ14日にちの朝刊ちょうかんでは「ライブドアの退職たいしょく者しゃ数すうが既すでに数すう百ひゃく人にん」などと報道ほうどうした。『産経新聞さんけいしんぶん』の報道ほうどうは裏付うらづける事実じじつもなく取材しゅざいもまったくおこなわないで記事きじを掲載けいさいするなど報道ほうどう機関きかんとしての常識じょうしきが疑うたがわれており、数々かずかずの批判ひはんがある。

財界ざいかいの反応はんのう

当時とうじ、日本にっぽん経団連けいだんれん会長かいちょうの奥田おくだ碩せきはライブドアの経団連けいだんれん入会にゅうかいに関かんして、マスコミの質問しつもんに答こたえるなかで「ミスった」などの発言はつげんがあった。フジテレビが提携ていけい解消かいしょうをおこなう動うごきを取とるなどライブドアに対たいする社会しゃかいからの風当かぜあたりは強つよくなっていった。

実じつは、財界ざいかいはライブドアの仲間入なかまいりを歓迎かんげいしていなかったという説せつがある。重厚じゅうこう長大ちょうだい産業さんぎょうが主流しゅりゅうの経団連けいだんれんは時代遅じだいおくれになるという危機きき感かんからライブドアを入会にゅうかいさせようとしたに過すぎず、成長せいちょうの原動力げんどうりょくとして利用りようしてやろうという財界ざいかいの目論見もくろみに反はんして金融きんゆうテクニックを駆使くしして規模きぼの拡大かくだいに邁進まいしんし、フジテレビの支配しはいまで目論もくろんだライブドアに財界ざいかいは警戒けいかい感かんをつのらせていたとされる。

一方いっぽうで、経団連けいだんれんは1990年代ねんだい後半こうはんから商法しょうほうや旧きゅう証券しょうけん取引とりひき法ほうの改正かいせい（規制きせい撤廃てっぱい）を政府せいふに要望ようぼうしており、ライブドアが積極せっきょく的てきに行いっていた株式かぶしき交換こうかんや株式かぶしき分割ぶんかつといった手法しゅほうは、経団連けいだんれんが株式かぶしき分割ぶんかつの際さいの純資産じゅんしさん規制きせい撤廃てっぱいを求もとめ、改正かいせい商法しょうほうに盛もり込こまれたことで容易よういになったという側面そくめんもある。

株主かぶぬしへの影響えいきょう

「ライブドア・ショック」および「マネックスショック」も参照さんしょう

ライブドアへの強制きょうせい捜査そうさを発端ほったんとして、2005年ねん7月がつ以来いらい急騰きゅうとうし、過熱かねつ気味ぎみであった株式かぶしき相場そうばに大おおきな混乱こんらんが発生はっせいし、ライブドアが上場じょうじょうされていた東証とうしょうマザーズ市場いちばだけではなく、東証とうしょうおよび他たの新興しんこう市場いちばの株価かぶかにも大おおきな影響えいきょうを与あたえた。この混乱こんらんは諸しょ外国がいこくに大おおきく報道ほうどうされ、全ぜん世界せかいの株式かぶしき市場いちばにまで影響えいきょうが及およんだ。これら一連いちれんの出来事できごとをマスコミは「ライブドア・ショック」と名付なづけた。

株価かぶか暴落ぼうらくは検察けんさつにとっても「予想よそう外がい」で、検察けんさつ幹部かんぶの中なかには「市場いちばへの影響えいきょうはある程度ていどは予測よそくしていたがこれほどの状況じょうきょうになるとは思おもわなかった」と漏もらし、特捜とくそう部ぶ副ふく部長ぶちょうの北島きたじま孝久たかひさもさすがに顔かおをこわばらせてショックを隠かくさなかったという。

また、強制きょうせい捜査そうさ着手ちゃくしゅ後ごの株価かぶか下落げらくによって損害そんがいを受うけたと主張しゅちょうする株主かぶぬし1,000人にんあまりが集あつまり、2006年ねん3月11日にちに「ライブドア被害ひがい者しゃの会かい」を結成けっせいし、合計ごうけい52億おく円えんの損失そんしつが発生はっせいしたと主張しゅちょうした。

キャッツ株価かぶか操縦そうじゅう事件じけんで逮捕たいほ・起訴きそされ無罪むざいを主張しゅちょうしている公認こうにん会計士かいけいしの細野ほその祐二ゆうじは、ライブドアの株価かぶかが下さがって株主かぶぬしが巨額きょがくの損失そんしつをこうむったのは特捜とくそう部ぶが生いきているライブドアに強制きょうせい捜査そうさに入はいったからであり、株価かぶか下落げらくの直接的ちょくせつてき加害かがい者しゃは特捜とくそう部ぶだと主張しゅちょうしている。同様どうようの主張しゅちょうは控訴こうそ審しんにおいて弁護べんご側がわからもおこなわれたが、『堀江ほりえ被告ひこくらが犯罪はんざいにかかる行為こういに出でたから捜査そうさが開始かいしされたのであって、まさに1審しん判決はんけつの「本件ほんけん発覚はっかく後ご、株価かぶかが急落きゅうらくし」のとおりといい得える』として退しりぞけられている。

民事みんじ裁判さいばんの一ひとつでは堀江ほりえ貴文たかふみらの不法ふほう行為こうい責任せきにんを認みとめつつも、堀江ほりえの逮捕たいほや上場じょうじょう廃止はいしなどが急速きゅうそくな株価かぶか下落げらくに影響えいきょうを与あたえたとして、賠償ばいしょう額がくを推定すいてい損害そんがい額がくの一いち株かぶ585円えんから200円えんに大幅おおはば減額げんがくした1審しん判決はんけつが2009年ねん5月がつ21日にちに出でたが、2011年ねん11月30日にちの控訴こうそ審しんでは、旧きゅう経営けいえい陣じんらの逮捕たいほやフジテレビとの提携ていけい見直みなおしの報道ほうどうなども「虚偽きょぎ記載きさいによって生しょうじた」として、賠償ばいしょう額がくを一いち株かぶ550円えんに大幅おおはば増額ぞうがくする判決はんけつが出でた。

また、別べつの原告げんこくによる民事みんじ裁判さいばんでは、2008年ねん6月がつ13日にちの1審しんで推定すいてい損害そんがい額がくの7割わりを賠償ばいしょう額がくとして判決はんけつを出だしたが、2009年ねん12月16日にちの民事みんじ裁判さいばんにおける初はつの高裁こうさい判決はんけつでは1審しんがほかの下落げらく要因よういんとして認みとめた、強制きょうせい捜査そうさや幹部かんぶの逮捕たいほ、ライブドア上場じょうじょう廃止はいしの可能かのう性せい、フジテレビとの提携ていけい解消かいしょうなどを「虚偽きょぎ記載きさいの発覚はっかくにより通常つうじょう起おこりうる事態じたい」と認定にんていして、賠償ばいしょう額がくを減へらす根拠こんきょにはならないとし、推定すいてい損害そんがい額がくからの減額げんがくは1割わりまで縮小しゅくしょうした。2012年ねん3月がつ13日にちの最高裁さいこうさい判決はんけつでも「本件ほんけん虚偽きょぎ記載きさいと相当そうとう因果いんが関係かんけいがあるというべきである。」として、推定すいてい損害そんがい額がくの9割わりが賠償ばいしょう額がくとしてそのまま認みとめられた。

ライブドアの第三者だいさんしゃ割当わりあて増資ぞうしを引ひき受うけたフジテレビも損害そんがい賠償ばいしょうを提起ていきしたが、大鹿おおしか靖明やすあきは、フジテレビが増資ぞうしを引ひき受うける際さいに1か月げつも資産しさん査定さていをしたのに、ライブドアの自社じしゃ株かぶ還流かんりゅうスキームをみつけられなかったことに疑問ぎもんを呈ていしている。実際じっさい、フジテレビ会長かいちょうの日枝ひえ久ひさはそのことを問とわれたが「法務ほうむ、財務ざいむの専門せんもん家かにきちんとみて頂いただいた。専門せんもん家かの皆みなさんの名誉めいよを傷きずつけることはできない」とだけ語かたったという。この訴訟そしょうは2009年ねん1月がつ22日にちにLDH側がわがフジテレビへ約やく310億おく円えんの賠償金ばいしょうきんを支払しはらうかたちで和解わかいが成立せいりつしている。

子会社こがいしゃへの影響えいきょう

ライブドアが運営うんえいしている各種かくしゅサービスは事件じけん後ごも通常つうじょう業務ぎょうむを保たもち、新しんサービスも追加ついかしているものの、データセンター運営うんえいのメディアエクスチェンジや中古ちゅうこ車しゃ販売はんばいのライブドアオート（現げんカーチス）がいち早はやくライブドアグループからの離脱りだつの意向いこうを表明ひょうめいした。

ライブドアオートは、さらに、2006年ねん3月30日にちにライブドアに対たいし損害そんがい賠償ばいしょう請求せいきゅうを求もとめることを表明ひょうめいした。同社どうしゃは8月がつ1日にち付つけで商号しょうごうを「株式会社かぶしきがいしゃカーチス」に変更へんこうした。その他た、未み上場じょうじょうの子会社こがいしゃ数すう社しゃも他た企業きぎょうに売却ばいきゃくされるなどし、2007年ねんになってからもグループ縮小しゅくしょうの傾向けいこうが続つづいている。

ライブドア関係かんけい者しゃへの影響えいきょう

あるライブドア関係かんけい者しゃは、マスコミがライブドアが脱税だつぜいや資産しさん隠かくしをしているのではないかと書かき立たて、こうして作つくられたイメージのせいでライブドアの従業じゅうぎょう員いんというだけで家いえを借かりることもできなかったと述のべている。

政界せいかいへの影響えいきょう

2005年ねんの第だい44回かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょで堀江ほりえ貴文たかふみが立候補りっこうほした際さい、選挙せんきょの応援おうえんをした自民党じみんとう幹事かんじ長ちょう・武部たけべ勤つとむはその後ご、党内とうないでの影響えいきょう力りょくが低下ていかしたともいわれる。実じつは、大だい災害さいがいや戦争せんそうといった非常時ひじょうじに重大じゅうだいな役割やくわりを果はたすテレビ局てれびきょくを脱法だつほう行為こういで支配しはいしようとしたライブドアのやり方かたに小泉こいずみ純一郎じゅんいちろう政権せいけんは不快ふかい感かんを抱だいており、自民党じみんとう内ないで堀江ほりえを担かつぎ出だすことに熱心ねっしんだったのは武部たけべだけだったといわれている。

検察けんさつはライブドア事件じけんの捜査そうさを政界せいかいにまで拡大かくだいすることには及および腰ごしだったといわれている。

大だい株主かぶぬしの異動いどう

2006年ねん3月16日にちにフジテレビが持もち株かぶすべてを1株かぶあたり71円えんで株式会社かぶしきがいしゃUSENの宇野うの康秀やすひで社長しゃちょう個人こじんに売却ばいきゃくする旨むねを発表はっぴょうすると同時どうじに、USENとライブドアの業務ぎょうむ提携ていけいが発表はっぴょうされた。この提携ていけいにもとづき、両社りょうしゃによる業務ぎょうむ提携ていけい委員いいん会かいが設立せつりつされた。また、6月14日にちのライブドア臨時りんじ株主かぶぬし総会そうかいにおいてUSENの宇野うの康秀やすひでがライブドアの社外しゃがい取締役とりしまりやくに選任せんにんされた。

野口のぐち英昭ひであきの自殺じさつについて

堀江ほりえ貴文たかふみは野口のぐちの自殺じさつを知しったとき、「マジかよ」といったきり絶句ぜっくしてしまったといわれていて、それまで比較的ひかくてきオープンだった堀江ほりえのスケジュールは突然とつぜん公表こうひょうされなくなったという。

須田すだ慎一郎しんいちろうは沖縄おきなわでの現地げんち調査ちょうさから、野口のぐちは誰だれかに脅おどされるかたちで自殺じさつしたのではないかと結論けつろんづけた。

しかし、県警けんけいは遺体いたいの司法しほう解剖かいぼうを行おこなっていない。自殺じさつに使用しようされたと見みられる包丁ほうちょうについては、入手にゅうしゅ先さきを特定とくていせず、指紋しもんを採取さいしゅしていなかった。

堀江ほりえと宮内みやうち亮治りょうじは野口のぐちが自殺じさつしたことを理解りかいできなかったという。堀江ほりえは、心臓しんぞう病びょうの持病じびょうを理由りゆうに退社たいしゃした野口のぐちはマスコミが報道ほうどうするところの側近そっきんどころか逆臣ぎゃくしんに近ちかかったと指摘してきしている。堀江ほりえは、野口のぐちの自殺じさつによって特捜とくそう部ぶは宮内くないと中村なかむら長ちょう也の証言しょうげんだけで自分じぶんを追おい込こむことができて助たすかったのではないかとも指摘してきしている。

事件じけんへの評価ひょうか

粉飾ふんしょくの性質せいしつ

1審しん判決はんけつは本ほん事件じけんに対たいして次つぎのように評価ひょうかしている。

「本件ほんけん犯行はんこうは、損失そんしつ額がくを隠いんぺいするような過去かこの粉飾ふんしょく決算けっさんとは異ことなり、投資とうし者しゃに成長せいちょう性せいの高たかい企業きぎょうの姿すがたを示しめし、その判断はんだんを大おおきく誤あやまらせ、多おおくの投資とうし者しゃに資金しきんを拠出きょしゅつさせたというものであって、粉飾ふんしょく額がく自体じたいは過去かこの事例じれいに比くらべ、高額こうがくではないにしても、その犯行はんこうの結果けっかは、大おおきいものがある。すなわち、粉飾ふんしょくにより株価かぶかを不正ふせいにつり上あげて、ライブドアの企業きぎょう価値かちを実態じったいよりも過大かだいに見みせかけ、株式かぶしき分割ぶんかつを実施じっしして、人為じんい的てきにライブドアの株価かぶかを高騰こうとうさせ、結果けっかとして、同社どうしゃの時価じか総額そうがくを短期間たんきかんで急激きゅうげきに拡大かくだいさせたのである。一般いっぱん投資とうし者しゃをあざむき、その犠牲ぎせいの上うえに立たって、企業きぎょう利益りえきのみを追求ついきゅうした犯罪はんざいであって、その目的もくてきに酌量しゃくりょうの余地よちがないばかりか、強つよい非難ひなんに値あたいする。 しかもそのスキームは、企業きぎょう会計かいけいが十分じゅうぶん整備せいびされていないファンドを悪用あくようしたものであり、脱法だつほうを企図きとしたことは明あきらかである。また、公認こうにん会計士かいけいしの指摘してきを受うけて、日付ひづけをさかのぼらせて組成そせいしたファンドをスキームに介在かいざいさせて複雑ふくざつ化かするなど、粉飾ふんしょくの手口てぐちは巧妙こうみょうである。」

ライブドア関係かんけい者しゃはライブドア株かぶの売却ばいきゃくスキームは一ひとつ一ひとつは合法ごうほうでも、やり過すぎの面めんはあったと思おもうと述のべている。

しかしながら、売却ばいきゃくスキームの一ひとつ一ひとつが合法ごうほうかどうかと、その有価ゆうか証券しょうけん報告ほうこく書しょが虚偽きょぎであるかどうかは関係かんけいはない。また、ライブドアと類似るいじした株式かぶしき交換こうかんスキームを採用さいようしたIEC事件じけんやライブドア事件じけんでもマネーライフの株式かぶしき交換こうかんは立件りっけんされている事実じじつもある。

元もと特捜とくそう部長ぶちょうの一人ひとりは、ライブドア事件じけんはやり過すぎの「過すぎ」に光ひかりを当あてているといい、人ひとの心しんは金かねで買かえると豪語ごうごした堀江ほりえ貴文たかふみに疑問ぎもんを呈ていし、自由じゆうな経済けいざい活動かつどうと車くるまの両輪りょうりんである順法じゅんぽう意識いしきやモラルがこれまで軽視けいしされ過すぎてきたのではないかと述のべている。

細野ほその祐二ゆうじは、ライブドアの粉飾ふんしょく額がく53億おく円えんはすべて実現じつげん利益りえきであり、何なにも架空かくう利益りえきを計上けいじょうしたわけではないので粉飾ふんしょくの中なかでは比較的ひかくてき悪質あくしつ性せいは薄うすいと述のべている。この点てんについて1審しん判決はんけつは、「その経済けいざい的てき実態じったいとしては、ライブドアが新株しんかぶを発行はっこうして、その払込はらいこみ金きんを売上うりあげとして計上けいじょうして業績ぎょうせき向上こうじょうを実現じつげんしているに等ひとしく、本来ほんらいは利益りえきの発生はっせいし得えないところに利益りえきが発生はっせいしているように偽いつわり」と実現じつげん利益りえきではなく単たんなる払込はらいこみ金きんであるとしている。

東洋経済新報社とうようけいざいしんぽうしゃ記者きしゃの高橋たかはし篤史あつしはカネボウやメディアリンクスの粉飾ふんしょく決算けっさんとライブドアの粉飾ふんしょく決算けっさんを比較ひかくして、「粉飾ふんしょくの原資げんし」が異ことなると指摘してきしている。具体ぐたい的てきにはカネボウやメディアリンクスでは銀行ぎんこうからの借入金かりいれきんを粉飾ふんしょくの原資げんしとしていて、ライブドアでは一般いっぱん株主かぶぬしから広ひろく集あつめた小口おぐち資金しきんを粉飾ふんしょくの原資げんしとしている。

ライブドアのように、一般いっぱん株主かぶぬしから集あつめた資金しきんを粉飾ふんしょくの原資げんしとした場合ばあいにはその返済へんさいの必要ひつようがないため、銀行ぎんこうからの借入金かりいれきんを粉飾ふんしょくの原資げんしとした場合ばあいと違ちがい、財務ざいむ体質たいしつは充実じゅうじつしていくことになるが、高橋たかはしは「そうした財務ざいむ面めんでの特異とくい性せいをとらえたとしてもライブドアの罪つみが軽減けいげんされるものではない。資本しほん市場いちばの重要じゅうよう性せいがさらに増ますであろうこれからの時代じだいを考かんがえるとその罪つみはより重おもいと考かんがえた方ほうがいい。（中略ちゅうりゃく）正ただしい情報じょうほう開示かいじがなければ、投資とうし家かは適切てきせつな判断はんだんを下くだすことができない。そうした意味いみでライブドアの粉飾ふんしょく決算けっさんは一いちから十じゅうまで株式かぶしき市場いちばを食くい物ものにした犯罪はんざいだったといえる。それだけ罪つみは重おもい」と述のべている。

ある検察けんさつ幹部かんぶは、ライブドアが粉飾ふんしょくしたのは50億おく円えんかもしれないが、それによって何なん十じゅう倍ばいもの時価じか総額そうがくを実現じつげんした、脱法だつほう行為こういで巨額きょがくの利益りえきを上あげることは許ゆるされていいはずがないと述のべている。

M&Aアドバイザーの保田やすだ隆明たかあきは、他たの企業きぎょうが運用うんよう目的もくてきで投資とうし事業じぎょう組合くみあいを活用かつようしているなか、ライブドアが捜査そうさを受うけたのはアンラッキーだった面めんもあるが、あらかじめ自社じしゃ株かぶ売買ばいばいスキームが仕組しくまれていたとすれば話はなしは別べつと指摘してきし、利益りえきは株価かぶかに影響えいきょうするので、投資とうし事業じぎょう組合くみあいとの間あいだで自社じしゃ株かぶを交換こうかん後ごに売却ばいきゃくさせライブドアの利益りえきにしたのはいただけない、この高たかい株価かぶかを元もとに買収ばいしゅうを繰くり返かえして企業きぎょう価値かちの創出そうしゅつをしてきたのであれば、偽札にせさつを刷するのに等ひとしい行為こういだと分析ぶんせきしている。

しかし、立件りっけんされた自社じしゃ株かぶ売却ばいきゃくスキームは当初とうしょから粉飾ふんしょく決算けっさんを目的もくてきに編あみ出だされたものではなかった。匿名とくめい性せいの高たかいファンドと制度せいど上じょうの不備ふびを抱かかえた株式かぶしき分割ぶんかつが重かさなり合あった時ときライブドアグループに利益りえきをもたらしたという。ライブドア関係かんけい者しゃはこのスキームで売却ばいきゃく先さきに困こまっていたライブドア株かぶが売うれたといい、最初さいしょはたまたまだったが、利益りえきが出でるので繰くり返かえすようになったと述のべている。この主張しゅちょうは熊谷くまがい史人ふみとや宮内みやうち亮治りょうじの証言しょうげんとも重かさなり、起訴きそ事実じじつを認みとめた宮内くない・岡本おかもと文人もんと・中村なかむら長ちょう也が一様いちように計画けいかく性せいを否定ひていしたのも検察けんさつのシナリオには無理むりがあるという思おもいからだという。

弁護士べんごしの中村なかむら直人なおとは、会社かいしゃ法ほうなどによりさまざまな規制きせいが大幅おおはば緩和かんわされ、資源しげん配分はいぶんの効率こうりつなどを市場いちばにまかせるようになったのだから、その機能きのうを阻害そがいする行為こういに厳罰げんばつがくだされるようになったのは当然とうぜんの流ながれだとのべている。

国策こくさく捜査そうさだったのか

ライブドア関係かんけい者しゃは、検察けんさつがM&A、投資とうしファンド、マーケット、国境こっきょう越こえのクロスポーターすべてそろったライブドアを捜査そうさすることで新あたらしい経済けいざい事件じけんができるという検事けんじとしての矜持きょうじを持もてたのではないかと分析ぶんせきし、行政ぎょうせい指導しどうもなく、法ほうの番人ばんにんである検察けんさつが法ほうを超こえ、社会しゃかいに衝撃しょうげきを与あたえることをやるのは何なにが目的もくてきなのかと疑問ぎもんを呈ていしている。

実際じっさい、ある検察けんさつ幹部かんぶは、規制きせい緩和かんわを進すすめればかならず法ほうや制度せいどの隙間すきまを突ついてくる輩やからが出現しゅつげんしてくる、それを野放のばなしにするわけにはいかないと述のべ、ライブドアは「経済けいざい検察けんさつ」の真価しんかを発揮はっきする格好かっこうのターゲットとなったという。

ライブドア事件じけんのあとに発覚はっかくした日興にっこうコーディアルグループの粉飾ふんしょく事件じけんは悪質あくしつ性せいの高たかい粉飾ふんしょく事件じけんでありながら逮捕たいほ者しゃが1人ひとりも出でなかったため不公平ふこうへいであるという批判ひはんの声こえが上あがった。細野ほその祐二ゆうじは、日興にっこうコーディアルグループの粉飾ふんしょく事件じけんについて、まったく紙かみの上うえだけの決裁けっさいされない架空かくう利益りえきが、EB債さいの評価ひょうか、SPC（特定とくてい目的もくてき会社かいしゃ）の連結れんけつ除外じょがいといったデリバティブ手法しゅほうを駆使くしして行おこなわれ、その悪質あくしつ性せいは日本にっぽんの粉飾ふんしょく決算けっさん史上しじょう比類ひるいがないと述のべている。

別べつの検察けんさつ幹部かんぶは、ライブドア側がわに察知さっちされないように極きわめて限かぎられた条件じょうけんで金かねの流ながれを追おうのは汚職おしょく事件じけんの捜査そうさより格段かくだんに難むずかしかった、堀江ほりえ貴文たかふみの功罪こうざいについても功こうの部分ぶぶんはほとんどが虚像きょぞうであることがわかってきた、事実じじつの解明かいめいなくして、堀江ほりえだからという理由りゆうで捜査そうさすることはできないと国策こくさく捜査そうさという批判ひはんを真まっ向こうから否定ひていしている。

堀江ほりえ貴文たかふみの評価ひょうか

2011年ねん11月、容疑ようぎ者しゃとして収監しゅうかん中ちゅうの堀江ほりえ貴文たかふみは自身じしんのメールマガジン「堀江ほりえ貴文たかふみのブログでは言いえない話はなし」（第だい96号ごう、2011年ねん11月21日にち付づけ）の中なかで、巨額きょがくの損失そんしつ隠かくし問題もんだいで揺ゆれているオリンパスへの東京とうきょう地検ちけん特捜とくそう部ぶの捜査そうさの動うごきが「鈍にぶい」と指摘してきし、自みずからが摘発てきはつされたライブドアの粉飾ふんしょく決算けっさん事件じけんと比くらべて、このオリンパス事件じけんに対たいする東京とうきょう地検ちけん特捜とくそう部ぶの対応たいおうは「あまりにも不公平ふこうへいすぎないか？」と主張しゅちょうした。また、メディアに対たいしても、「これが設立せつりつ間あいだもないベンチャー企業きぎょうの不祥事ふしょうじだったら、訳わけもわからず叩はたきまくりであろう」と、厳きびしく批判ひはんした。さらに、堀江ほりえ貴文たかふみは「オリンパスが日本にっぽんでは歴史れきしある立派りっぱな会社かいしゃだと思おもわれている」、「大だいスキャンダルだけどSESC（証券しょうけん取引とりひき等とう監視かんし委員いいん会かい）とかまったく捜査そうさ能力のうりょくがないってことを露呈ろていした」、「メディアとか捜査そうさ機関きかんって大だい企業きぎょうと新興しんこう企業きぎょうを露骨ろこつに差別さべつするからなぁ……。」、「（SESCがオリンパスを行政ぎょうせい処分しょぶん方針ほうしんで済すます報道ほうどうに）ウソでしょ？　ライブドアみたいな新参しんざん者しゃは刑事けいじ処分しょぶんで、歴史れきしある企業きぎょうは行政ぎょうせい処分しょぶんってあまりにも不公平ふこうへいすぎないか？」と不満ふまんを述のべた。

また、自身じしんが逮捕たいほされたことについて堀江ほりえ貴文たかふみは「逆恨さかうらみされたようなことも伝つたえきますが、僕ぼくには理解りかいできないし、そうあるべきではないとも思おもっています。でも実際じっさい、そこそこ成功せいこうした人ひとが『こいつは嫌きらい』といった理由りゆうだけでいろいろなことを決きめたりしている。そういう人ひとは公おおやけの精神せいしんが欠かけていると思おもいますが。」と雑誌ざっしのインタビューに答こたえた。

参考さんこう文献ぶんけん

• 東京とうきょう新聞しんぶん特別とくべつ取材しゅざい班はん『検証けんしょう「国策こくさく逮捕たいほ」 経済けいざい検察けんさつはなぜ、いかに堀江ほりえ・村上むらかみを葬ほうむったのか』（初版しょはん）光文社こうぶんしゃ、2006年ねん。ISBN 9784334975050。 
• 大鹿おおしか靖明やすあき『ヒルズ黙示録もくしろく…検証けんしょう・ライブドア』（初版しょはん）朝日新聞社あさひしんぶんしゃ（原著げんちょ2006年ねん4月がつ30日にち）。ISBN 9784022501752。 
• 須田すだ慎一郎しんいちろう『マネーゲーム崩壊ほうかい ライブドア・村上むらかみファンド事件じけんの真相しんそう』（初版しょはん）新潮社しんちょうしゃ（原著げんちょ2006年ねん8月がつ30日にち）。ISBN 9784104597031。 
• 大鹿おおしか靖明やすあき『ヒルズ黙示録もくしろく・最終さいしゅう章あきら』（初版しょはん）朝日新聞社あさひしんぶんしゃ〈朝日あさひ新書しんしょ〉（原著げんちょ2006年ねん11月30日にち）。ISBN 9784022731135。 
• 細野ほその祐二ゆうじ『司法しほうに経済けいざい犯罪はんざいは裁さばけるか』（初版しょはん）講談社こうだんしゃ（原著げんちょ2008年ねん8月がつ4日にち）。ISBN 9784062820868。 
• 堀江ほりえ貴文たかふみ『徹底てってい抗戦こうせん』（第だい3版はん）集英社しゅうえいしゃ、2009年ねん3月がつ31日にち（原著げんちょ2009年ねん3月がつ10日とおか）。ISBN 9784087805185。 

関連かんれん項目こうもく

• 証券しょうけん取引とりひき等とう監視かんし委員いいん会かい
• 循環じゅんかん取引とりひき
• 国策こくさく捜査そうさ
• メディアスクラム
• 監査かんさの歴史れきし
• ライブドア・ショック
• オリンパス事件じけん
• 加藤かとう諦たい三さん

関連かんれん文献ぶんけん

• 浅羽あさば通明みちあき他た 『ライブドアに物申ものもうす!!…44人にんの意見いけん』 トランスワールドジャパン、2006年ねん9月がつ。ISBN 9784925112895
• 有森ありもり隆たかし・グループK 『闇やみの系譜けいふ - ヤクザ資本しほん主義しゅぎの主役しゅやくたち』 講談社こうだんしゃ、2006年ねん8月がつ19日にち。ISBN 9784062810456
• 岩崎いわさき博充ひろみつ 『ライブドアショックの真実しんじつ』 ぶんか社しゃ、2006年ねん3月がつ9日にち。ISBN 9784821109012
• 大村おおむら大次郎だいじろう 『ライブドアショック・謎なぞと陰謀いんぼう…元もと国税こくぜい調査官ちょうさかんが暴あばく国策こくさく捜査そうさの内幕うちまく』 あっぷる出版しゅっぱん社しゃ、2006年ねん3月がつ。ISBN 9784871772587
• 奥村おくむら宏ひろし 『粉飾ふんしょく資本しほん主義しゅぎ…エンロンとライブドア』 東洋経済新報社とうようけいざいしんぽうしゃ、2006年ねん6月がつ。ISBN 9784492394618
• 小野寺おのでら隆たかし 『ライブドア関連かんれん会社かいしゃ元もと社長しゃちょうが書かいた実録じつろく!悪あくの経営けいえい術じゅつ』 イーストプレス、2006年ねん4月がつ。ISBN 978-4872576764
• 田中たなか慎一しんいち 『ライブドア監査かんさ人じんの告白こくはく』 ダイヤモンド社だいやもんどしゃ、2006年ねん5月がつ26日にち。ISBN 9784478312216
• 南堂みなみどう久史ひさし 『ライブドア・二に重じゅうの虚構きょこう…夢ゆめから覚さめたという夢ゆめ』 ブイツーソリューション、2006年ねん8月がつ10日とおか。ISBN 9784434081514
• 宮内みやうち亮治りょうじ 『虚構きょこう…堀江ほりえと私わたしとライブドア』 講談社こうだんしゃ、2007年ねん3月がつ。ISBN 9784062140232

外部がいぶリンク

• livedoor ニュース - 堀江ほりえ公判こうはんの被告人ひこくにん質問しつもん
  • 2006年ねん11月7日にち(1)(2)(3)(4)
  • 2006年ねん11月14日にち(1)(2)(3)(4)
  • 2006年ねん11月17日にち(1)(2)(3)(4)
  • 2006年ねん11月21日にち(1)(2)(3)(4)
  • 2006年ねん11月28日にち(1)(2)(3)(4)
• 堀江ほりえ被告ひこくの最終さいしゅう意見いけん陳述ちんじゅつ
  • 2007年ねん01月がつ26日にち[1]
• 堀江ほりえ判決はんけつ 高井たかい弁護人べんごにんに聞きく
• ライブドア・堀江ほりえ社長しゃちょう 粉飾ふんしょく決算けっさんで逮捕たいほ - NHK放送ほうそう史し
• 『ライブドア粉飾ふんしょく決算けっさん』 - コトバンク