ラーダ (自動車じどうしゃ)

AvtoVAZ
業種ぎょうしゅ	機械きかい工学こうがく
本社ほんしゃ	ロシア、ロシア
親会社おやがいしゃ	アフトヴァース

ラーダ（英語えいご: Lada, ロシア語ご: ЛАДА）は、ロシアの自動車じどうしゃメーカーであるアフトヴァースが製造せいぞう・販売はんばいを行おこなっている自動車じどうしゃブランドである。元々もともとは海外かいがい向むけのブランドで、旧きゅうソビエト連邦れんぽうでは「ジグリ」 (Zhiguli) 名めいで販売はんばいされていたが、現在げんざいは内外ないがい問とわず「ラーダ」ブランドで販売はんばいされている。ラーダという呼称こしょうはヴァイキングが用もちいた帆船はんせんに由来ゆらいし、同車どうしゃのエンブレムも図案ずあん化かされた帆船はんせんをモチーフとしている。

概要がいよう[編集へんしゅう]

1977年ねんに発売はつばいされたクロスカントリータイプの「ニーヴァ」は、1980年代ねんだいから日本にっぽんにも輸入ゆにゅうされていたことがあり、根強ねづよいファンがいる。

新型しんがたのラーダは西欧せいおうの乗用車じょうようしゃに見劣みおとりしないデザインとなっているが、東側ひがしがわ諸国しょこくではソ連それん製品せいひんへの嫌悪けんおから、相変あいかわらず「悪わるい車くるま」の代名詞だいめいしになってしまっている。しかしながら、価格かかくの安やすさと整備せいび性せい（構造こうぞうが単純たんじゅんなため、壊こわれてもすぐ直なおせる）によって、現在げんざいも非常ひじょうに多おおくの新しん・旧きゅうラーダが旧きゅうソ連それん構成こうせい国こくや東欧とうおうで使用しようされている。

なお、ラーダシリーズには旧きゅうソ連それん時代じだいにロータリーエンジンを製造せいぞうして市販しはん車両しゃりょうに搭載とうさいされた車両しゃりょうが存在そんざいした事ことが近年きんねんになって知しられるようになった。1974年ねんから2002年ねんまでロータリーエンジンを搭載とうさいしたラーダが販売はんばいされていたが、冷戦れいせん時代じだいにNSUやマツダへのライセンス料りょうを支払しはらわずに生産せいさんを行おこなっていた関係かんけいで、現在げんざいアフトヴァーズも表立おもてだってロータリーエンジンの存在そんざいをアピールしておらず、ロシア語ごの言語げんごの壁かべもあり西側にしがわ英語えいご圏けん諸国しょこくも含ふくめて、ロシア国外こくがいへは未いまだにその全容ぜんようが十分じゅうぶんに伝つたわってきていない。

1993年ねん、アフトヴァースはヴャチェスラフ・ズヴェレフ（ロシア語ご版ばん）によって1992年ねんに設立せつりつされたTTSと契約けいやくを締結ていけつした。 1995年ねん、最初さいしょの本格ほんかく的てきなLADAカーセンターがナーベレジヌイェ・チェルヌイにオープンし、自動車じどうしゃ工場こうじょうからの直接ちょくせつ配達はいたつを開始かいしした。 1995年ねん、カザンにオフィスがオープンした。車くるまはカーセンターから運転うんてんされていたが、1997年ねん以降いこうは鉄道てつどうで運はこばれるようになった。^[1]^[2]^[3]

2008年ねん、アフトヴァースは販売はんばい不振ふしんなどによりルノーから出資しゅっしを受うけた。その後ご登場とうじょうしたラーダ車しゃはルノーおよび日産にっさんの技術ぎじゅつをベースにした車くるまである。2010年ねんにはロシア人じんF1レーサー、ヴィタリー・ペトロフとの繋つながりもありルノーF1とパートナー契約けいやくを結むすんだ。

2012年ねん 4月がつ17日にち、需要じゅようの急減きゅうげんを理由りゆうにイジェフスク自動車じどうしゃ工場こうじょう (IzhAvto) での2107の製造せいぞうを終了しゅうりょうした。フィアット・124をベースとする「クラシック」シリーズは42年ねんの歴史れきしに幕まくを閉とじた（ただし、エジプト工場こうじょう向むけの組立くみたてキットの製造せいぞう・供給きょうきゅうは2014年ねんまで行おこなわれた ^[4]）。なお、IzhAvtoでは8月がつからグランタの製造せいぞうを開始かいしした^[5]^[6]。

2022年ねんロシアのウクライナ侵攻しんこうが始はじまるとロシアに対たいする経済けいざい制裁せいさいが行おこなわれた。このため同年どうねん4月がつ以降いこうは、海外かいがいからの基幹きかん部品ぶひんの調達ちょうたつが困難こんなんとなり製造せいぞうを一時いちじ休止きゅうし。同年どうねん5月がつ16日にちには、ルノーがアフトバズ株かぶの約やく68%全すべてを国営こくえい企業きぎょうに売却ばいきゃくすると発表はっぴょう、自国じこく内ないで完結かんけつする独自どくじの生産せいさん体制たいせいを歩あゆまざるを得えなくなった^[7]。同年どうねん6月がつには、トリヤッチ工場こうじょうで生産せいさんを再開さいかいしたが部品ぶひんの調達ちょうたつは依然いぜんとして難航なんこう、アンチロックブレーキシステムやエアバッグなど安全あんぜん装置そうちの省略しょうりゃくを余儀よぎなくされた^[8]。

車種しゃしゅ一覧いちらん[編集へんしゅう]

現行げんこう生産せいさん車種しゃしゅ

X-クロス5 (X-Cross 5) - 2023年ねん発売はつばい。奔騰ほんとう・T77のバッジエンジニアリング車くるま。
ヴェスタ (Vesta) - 2015年ねん発売はつばい。Cセグメント級きゅうのセダン、およびステーションワゴン、そのクロスオーバーSUVモデル。
ラルグス (Largus) - 2012年ねん発売はつばい。初代しょだいダチア・ロガンMCVのバッジエンジニアリング車しゃ。
グランタ (Granta) - 2011年ねん発売はつばい。カリーナの後継こうけい車種しゃしゅ。
ニーヴァ・トラベル (Niva Travel) - 1998年ねん発売はつばい。ニーヴァの大幅おおはば改良かいりょう版ばん。
ニーヴァ・レジェンド (Niva Legend) - 1977年ねん発売はつばい。小型こがたSUV及および小型こがたピックアップトラック。

過去かこの製造せいぞう車種しゃしゅ

VAZ-2101、VAZ-2102 - フィアット・124のライセンス生産せいさん車くるま。
VAZ-2103（ロシア語ご版ばん）、VAZ-2101の高級こうきゅう版ばんで、フィアット・124スペシャルがベース。
VAZ-2104、VAZ-2105、VAZ-2106、VAZ-2107 - VAZ-2101の改良かいりょう版ばん。海外かいがいではリーヴァ (Riva)、ノヴァ (Nova)、シグネット (Signet)、ライカ (Laika) などの車くるま名めいで販売はんばいされた。
サマーラ (Samara) - 1984年ねん発売はつばい。ハッチバック、セダン、クーペ、コンバーチブル、パネルバン。
オカ (Oka、VAZ-1111) - 1988年ねん発売はつばい。ハッチバック及およびパネルバン。
タヴリア (Tavria) - 1990年ねん発売はつばい。ZAZ・タヴリアと同型どうけい車しゃで、チリで販売はんばいされた。
ラーダ・110、111、112 - 1995年ねん発売はつばい。110はセダン、111はステーションワゴン、112はハッチバック。
ナデジダ (Nadezhda) - 1998年ねん発売はつばい。ミニバン。
カリーナ (Kalina) - 2004年ねん発売はつばい。Bセグメント級きゅうの小型車こがたしゃ。
プリオラ (Priora) - 2007年ねん発売はつばい。ラーダ・110シリーズの大幅おおはば改良かいりょう版ばん。
エクスレイ (XRAY) - 2016年ねん発売はつばい。コンパクトSUV。

モータースポーツ[編集へんしゅう]

ラリー[編集へんしゅう]

1970年ねん初頭しょとうから、ソビエト国内こくないラリーでの活動かつどうを開始かいしした。

WRC（世界せかいラリー選手権せんしゅけん）に、1975年ねんから78年ねんの1000湖こラリーへ1300、1500を、1979年ねんのアクロポリス・ラリーからは21011を投入とうにゅう。この頃ころはスポット参戦さんせんながらもポイント圏内けんないにコンスタントに入はいっており、シリーズフル参戦さんせん組ぐみの中堅ちゅうけんクラスをおびやかす存在そんざいでもあった。

1978年ねんの第だい一いち回かいパリ・ダカールラリーには、ラーダ車しゃを愛好あいこうし欧州おうしゅうで販売はんばいしたフランス人じんのジャン-ジャック・ポックがニーヴァを用もちいて参戦さんせんし、以降いこうも継続けいぞくすることになる。彼かれの影響えいきょうでフランス人じんにニーヴァは愛好あいこうされ、その中なかには後のちにダカールを複ふく数すう回かい制せいするフランス人じんのピエール・ラルティーグやジャン＝ルイ・シュレッサー、ユベール・オリオールもいた^[9]。1983年ねんにはニーヴァがダカールで総合そうごう2位いを獲得かくとくしている。また1985年ねんバハ・アラゴンや1986年ねんチュニジア・ラリーなどでラルティーグが総合そうごう優勝ゆうしょうを記録きろくしている。

1984年ねんから1986年ねんのアークティク・ラリーではグループBへ2105 VFTS、グループAには2105を投入とうにゅう。周まわりのマシン性能せいのうが飛躍ひやく的てきに上あがってきた事こともありポイント圏内けんないに入はいるには至いたらなかったが、各地かくちのプライベーターの参戦さんせんも点在てんざいしていた^[10]。グループBの後継こうけいとなるグループSでもサマーラを投入とうにゅうする予定よていであったが、規定きてい消滅しょうめつにより白紙はくしとなった。

ジャン-ジャック・ポックはフランスのオレカとの提携ていけいにより、サマーラをポルシェ・959のコンポーネントを流用りゅうようして改造かいぞうし、パリ・ダカールラリーで活躍かつやく。1991年ねんは二に輪りん王者おうじゃユベール・オリオールのドライブにより総合そうごう5位いを獲得かくとくした。このマシンは改良かいりょうを繰くり返かえしながら2000年ねん頃ごろまで運用うんようされた。

詳細しょうさいは「ラーダ・サマーラ#特殊とくしゅモデル」を参照さんしょう

最大さいだい2.0Lの自然しぜん吸気きゅうきエンジンと二に輪りん駆動くどうのF2規定きていで行おこなわれるFIA 2.0Lカップでは、1993年ねんにラリー・ニュージーランドでサマーラがロシア人じんたちのドライブで1勝しょうを挙あげている^[11]。

2006年ねんにワークスチームとしてダカールに参戦さんせんする計画けいかくが立たち上あがり、2008年ねんからプロトタイプクラスに「ラーダ・レイド」を投入とうにゅうするつもりであったが、結局けっきょくお蔵ぞう入いりとなっている^[12]。

R規定きてい発足ほっそく後ごは、アリーナやグランタのR1規定きてい車両しゃりょうの供給きょうきゅうを行おこなった。

ツーリングカー[編集へんしゅう]

スーパー2000規定きていを用もちいたWTCC（世界せかいツーリングカー選手権せんしゅけん）やBTCC（イギリスツーリングカー選手権せんしゅけん）に2000年代ねんだい後半こうはんから参戦さんせんした。最初さいしょの戦績せんせきは中小ちゅうしょうプライベーター並なみのものであったが、2011年ねんに高性能こうせいのう車しゃ/レース部門ぶもんとなる完全かんぜん子会社こがいしゃ「ラーダ・スポーツ」を設立せつりつし、2014年ねんにTC1規定きていが導入どうにゅうされた後のちに、WTCCでシトロエンやホンダを相手あいてに複ふく数すう回かいの勝利しょうりを得えた。なおTC1でのチームオペレーション・マシン開発かいはつは、オレカが担になった。