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世界せかいツーリングカー選手権せんしゅけん

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世界せかいツーリングカー選手権せんしゅけん
カテゴリ ツーリングカー
くに地域ちいき 国際こくさい
開始かいしねん 1987ねん
終了しゅうりょうねん 2017ねん
コンストラクター 2
タイヤ
サプライヤー
横浜よこはまゴム
最終さいしゅう
ドライバーズ
チャンピオン
スウェーデンの旗 テッド・ビョーク
最終さいしゅう
マニュファクチャラーズ
チャンピオン
スウェーデンの旗 ボルボ
公式こうしきサイト fiawtcc.com

世界せかいツーリングカー選手権せんしゅけん(せかいツーリングカーせんしゅけん、World Touring Car Championship、WTCC)は、国際こくさい自動車じどうしゃ連盟れんめい(FIA)が開催かいさいしていた、ツーリングカーによるレースの名称めいしょうである。

2015ねんWTCCロシアGP

概要がいよう

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ツーリングカー市販しはんしゃ改造かいぞうしゃ)による世界せかい選手権せんしゅけん(WTC)は1987ねんはつ開催かいさいされており、当時とうじグループA車両しゃりょうによるセミ耐久たいきゅうレース(500km、スパ・フランコルシャンのみ24あいだレース)であった。BMWvsフォードのクラスをえたたたかいは開幕かいまくせん両者りょうしゃ失格しっかくはじまり、クレーム合戦かっせんやレギュレーションの解釈かいしゃくによる不条理ふじょうり罰則ばっそくなどといった運営うんえい規則きそくのトラブルが頻発ひんぱつし、わずか1ねん崩壊ほうかいした[1]

その2001ねんから2004ねんまでヨーロッパツーリングカー選手権せんしゅけん(ETCC)の名称めいしょう開催かいさいされていたスプリントレースが、2005ねんからFIAによりふたた世界せかい選手権せんしゅけんのタイトルがけられた。マカオグランプリ併催へいさいレースである「ギア・レース」も選手権せんしゅけん一戦いっせんとしてまれていた。

のレースにくらべてはげしいぶつかりごういが許容きょようされていたため「ケンカレース」[2]や、「格闘技かくとうぎレース」[3]ばれ、ブランパンGTシリーズ主催しゅさいしゃであるステファン・ラテルも「ぶつかりたいならWTCCへけ」とおおやけ発言はつげんするほどであった[4]。ただし、だい規模きぼそらりょくパーツが装着そうちゃくされるようになったTC1規定きてい以降いこうはぶつかりいによるリスクがおおきくなったため、従来じゅうらいほどのはげしさはなくなっていた。

興行こうぎょうめんではサーキットへの観客かんきゃく動員どういんよりもテレビ中継ちゅうけい重視じゅうししていて、基本きほんてき欧州おうしゅうでのテレビ放映ほうえいけんユーロスポーツによる放送ほうそうわせてタイムスケジュールとうがパッケージされているのが特徴とくちょう。そのため観客かんきゃく動員どういんすくなくても興行こうぎょうとしての採算さいさんりやすい構造こうぞうになっている[5]。また新興しんこうこく開催かいさいおおいのも特徴とくちょうであった。

しかし性能せいのう均衡きんこう失敗しっぱいによる1メーカー独走どくそうリーマン・ショックによる経済けいざい状況じょうきょう悪化あっか、ベースとなる市販しはんしゃのフルモデルチェンジのタイミングにわせた撤退てったいなどのまけ要素ようそおおからんだ結果けっか、メーカーの関与かんよ縮小しゅくしょう相次あいつぎ、世間せけんのシリーズへの関心かんしん一時いちじてき低下ていかした。

2011〜14ねんにかけてダウンサイジングターボや、コストぞうえに改造かいぞう範囲はんいひろげた「TC1」規定きてい導入どうにゅうしたことにより、複数ふくすうのワークスが参入さんにゅうかえしたかにおもわれた。しかし従来じゅうらいのBMWやセアトといった安価あんか戦闘せんとうりょくのあるプライベーター人気にんきたか車種しゃしゅ事実じじつじょうされてしまったうえに、改善かいぜんされないいちしゃ独走どくそう各社かくしゃ方針ほうしん転換てんかんなどから短期間たんきかん撤退てったいげきかえされ、ワークスもプライベーターも従来じゅうらい以上いじょうかずらしてしまった。

一方いっぽうで2015ねん誕生たんじょうした、プライベーターのカスタマーけツーリングカーのTCR規定きていによるカテゴリが多数たすうのメーカーでにぎわいをせていたため、FIAは2018ねんから"ワールドカップ"に格下かくさげしてTCRマシンとプライベーターチームのみであらそわれる世界せかいツーリングカーカップ(WTCR)に移行いこうさせ、WTCCとしては歴史れきしまくりた[6]

なお、市販しはんしゃベースのカテゴリで最高峰さいこうほうのマニュファクチャラーが多数たすう撤退てったい格下かくしたの、安価あんかなプライベーターけカスタマーカー規定きていによるカテゴリがだい隆盛りゅうせい世界せかい選手権せんしゅけん消滅しょうめつでカスタマーカー規定きてい最高峰さいこうほうってわるというながれは、FIA GT1世界せかい選手権せんしゅけんおよびFIA GT選手権せんしゅけん事例じれい酷似こくじしている。

車両しゃりょう規定きてい

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当初とうしょスーパー2000、もしくはスーパープロダクション(グループSP、2007ねんまで)[注釈ちゅうしゃく 1]公認こうにん取得しゅとくした、4シーターの量産りょうさんしゃによっておこなわれた。改造かいぞうはかなりきびしく、ホモロゲーション取得しゅとくは36ヶ月かげつあいだ5カ所かしょしかパーツを変更へんこうすることができず、グループNのようにベース車両しゃりょう素性すじょうもの規定きていであった[7]こう駆動くどうくるま採用さいようや、Hパターンをシーケンシャルシフトに変更へんこうする場合ばあい重量じゅうりょうハンデがせられた。このほかにも性能せいのう均衡きんこうさせるため、毎年まいとし車種しゃしゅごとにもくるまはば重量じゅうりょうそらりょく、エンジンそのかくパーツなどにこまかい例外れいがい措置そち設定せっていされた。

2007ねんからは環境かんきょう意識いしきたかまりに呼応こおうしてディーゼルターボエンジンのディーゼル2000規定きていやフレックス燃料ねんりょう車両しゃりょう参戦さんせん可能かのうとなった[8]ボルボシアン・レーシングつうじてバイオ燃料ねんりょうで2007ねんから参戦さんせん散発さんぱつてきっていたが、WTCCでも2009ねんからガソリン・ディーゼルともにPANTAの供給きょうきゅうするバイオ燃料ねんりょう配合はいごうしたE10燃料ねんりょう使用しようするようになった。これにより年間ねんかんで7000Lの化石かせき燃料ねんりょう削減さくげんしていた。2011ねんからのガソリンしゃは、WRCと共通きょうつうとなるGRE(グローバル・レース・エンジン)の1.6リッターのちょく噴ダウンサイジングターボが導入どうにゅうされた。こうした度重たびかさなるエンジン規定きてい追加ついか変更へんこうにより、2012ねん前半ぜんはんは2.0Lガソリン・2.0Lディーゼル・1.6Lガソリンの3種類しゅるいセアト・レオン同時どうじ出走しゅっそうするという奇妙きみょう状況じょうきょう発生はっせいした。

2014ねんからはスーパー2000の特例とくれいとなる、改造かいぞう範囲はんいひろげたTC1規定きてい移行いこう例外れいがい措置そちらすわりにサスペンションの前後ぜんごマクファーソンストラットしき義務付ぎむづけられ、市販しはんしゃのサスペンション形式けいしきとらわれない開発かいはつ可能かのうになった。最低さいてい重量じゅうりょうは1,150kgから1,100kgへげられ、アンダーフロアはフラットボトム形状けいじょうとなってそらりょく性能せいのう向上こうじょう。さらにだい規模きぼそらりょくパーツの装着そうちゃく可能かのうとなり、タイヤサイズは大型おおがた(240/610/17→250/660/18)、最低さいてい地上ちじょうだかひくく(80→60mm)されるなど、レーシングカーらしさをし、さらにエンジンの吸気きゅうきリストリクター従来じゅうらいの33mm(300馬力ばりき)から36mm(380馬力ばりき)へと緩和かんわされてラップタイムは大幅おおはば向上こうじょうした[9]。ただ一方いっぽうでトップカテゴリのレーシングカーとしてはまだ地味じみほうであり、そのわりにコストが割高わりだかだったという問題もんだいてんこうから指摘してきされている[10]

TC1導入どうにゅう同時どうじ従来じゅうらいの1.6リッターターボのスーパー2000車両しゃりょうは「TC2」、地域ちいき規定きていのスーパー2000車両しゃりょうは「TCN」とばれ、TC1導入どうにゅうわずかながらプライベーターが使用しようした。一方いっぽうで2.0L自然しぜん吸気きゅうきエンジンのスーパー2000とディーゼル2000は、2012ねんから一部いちぶイベントのみが参加さんか可能かのうとなってチャンピオンシップをあらそ権利けんりうしない、2013ねん以降いこう参戦さんせん自体じたい禁止きんしされた[11]

重量じゅうりょうハンデキャップせい採用さいようされており、レースごと運営うんえい指定していされたウェイト(最大さいだい80kg)をまなければならない。当初とうしょはドライバーごとにかせいだポイントにたいしてウェイトが加算かさんされる「サクセスバラスト」であったが、2009ねんから車種しゃしゅごとに予選よせん決勝けっしょうごとの最速さいそくラップを参照さんしょうしたうえ各車かくしゃせるウェイトを算出さんしゅつし、1ラップあたり0.3びょう以内いないのパフォーマンス均衡きんこう目指めざす「コンペンセーションウェイト」へ変更へんこうされた[12]

タイヤ当初とうしょ1ねんごとにタイヤメーカーの入札にゅうさつおこなワンメイクのメーカーをえら仕組しくみとなっていて、2005ねんミシュラン、2006ねん横浜よこはまゴムえらばれた。そのFIAのタイヤメーカー選定せんてい方針ほうしん変化へんかしょうじたため、2007ねん以降いこうシリーズ終了しゅうりょうまで10ねん以上いじょう横浜よこはまゴムのワンメイクが継続けいぞくされていた[13]。いわゆる「コントロールタイヤ」ではあるが、車両しゃりょう特性とくせいじょう前輪ぜんりんだけを酷使こくししてしまうFFと、よんりん平等びょうどう負担ふたんをかけることができるFRではどうしてもてしまうため、その調整ちょうせいにはかなり苦心くしんしたとされる。

インディペンデントチームとそのドライバーには、WTCCトロフィー(ミシュラントロフィー→ヨコハマトロフィー)が設定せっていされた。またひがしアジアでの開催かいさいおおいことをかんがみて、2013~2014ねんのみだが、アジアラウンドに参戦さんせんするアジアじんドライバーけに、アジアトロフィーも設定せっていされた。

参戦さんせんブランド

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スーパー2000規定きてい当時とうじ世界中せかいじゅうのツーリングカーレースでもちいられていたため、各国かっこくレースで活躍かつやくしていた車両しゃりょうがワイルドカード参戦さんせんすることもめずらしくなかった。

BMW

WTCでドライバーズチャンピオンを獲得かくとくしたBMWは、WTCCでも唯一ゆいいつFRいきおいとしてETCC時代じだいから参戦さんせん。2005ねんまつに2,600だい限定げんていの4気筒きとうエンジンのホモロゲーションモデル「320si」を発売はつばいするほどのちかられようであった[14]FFくらべてタイヤにやさしく加速かそく有利ゆうりなFRレイアウトは非常ひじょう強力きょうりょく武器ぶきで、事実じじつETCC時代じだいふくめればドライバーズ/マニュファクチャラーズともに4連覇れんぱするほどの実力じつりょくしめした。またプライベーターからの人気にんき圧倒的あっとうてきたかく、インディペンデントチームけトロフィーでももっともチャンピオンを輩出はいしゅつしたマシンとなった。しかしそれゆえに性能せいのう均衡きんこうかんがみるうえ運営うんえいチームからのきびしく、しばし槍玉やりだまげられた。

GTレースへの注力ちゅうりょくDTMへの転身てんしんのために2010ねんまつでワークス参戦さんせんからは撤退てったいしたが、しん規定きていの1.6リッターターボエンジンは開発かいはつされ、プライベーターへの供給きょうきゅうおよびマニュファクチャラー登録とうろくは2012ねんまで継続けいぞくされた。2011ねん~2012ねんにWRCに参戦さんせんした傘下さんかブランドのMiniにも、このターボエンジンが流用りゅうようされている[15]

セアト

オレカのオペレーションのしたにETCC時代じだいから参戦さんせん元々もともとはガソリンエンジンであったが、2007ねん途中とちゅうからはつの(そして結果けっかてき唯一ゆいいつの)ディーゼル2000規定きていぜいとして、BMWぜい唯一ゆいいつする勢力せいりょくとして台頭たいとう。ディーゼルはエンジンそのもののおもさや、ターボとインタークーラーが前輪ぜんりん車軸しゃじくより前方ぜんぽうにあるがゆえの重量じゅうりょう配分はいぶんわるさというデメリットもあったが最終さいしゅうてきには克服こくふく[16]。BMW同様どうようその特殊とくしゅせいゆえ運営うんえいチームからはきびしいられ、2008ねん救済きゅうさい措置そちであったフラットボトムの禁止きんしや、無制限むせいげんだったきゅうあつ制限せいげんがかけられるなどの制限せいげんけたものの、2008・2009ねんとドライバーズ/マニュファクチャラーズタイトルを連覇れんぱした。

本社ほんしゃ経営けいえいかたむきにより2009ねんかぎりでワークスとしては撤退てったいしたが、スペインのサンレッド・エンジニアリングを支援しえんするかたちで、BMWと同様どうようにプライベーターへの1.6リッターターボエンジン仕様しよう供給きょうきゅうおこなわれた[17]。マニュファクチャラー登録とうろくも2012ねんまで「SRスポーツ」名義めいぎ継続けいぞくされていた。

アルファロメオ

ETCC時代じだいから、長年ながねんツーリングカーで関係かんけいきずいていたN-テクノロジーのオペレーションで参戦さんせん。しかし2006ねんからワークス体制たいせいめてしまう。どうチームが2008ねんにホンダにえたことで完全かんぜん撤退てったい

フォード

WTCでマニュファクチャラーズチャンピオンとなったフォードだが、WTCCにはドイツけいチームのホットフィール・スポーツの説得せっとくにより、初年度しょねんどのみワークス参戦さんせん。しかしまったるわず、いちねん撤退てったいしている[18]

ETCC時代じだいや2012ねんには、BTCC成功せいこうおさめたプライベーターのフォーカス参戦さんせんした。2013ねんもマシンをゆずけたべつチームから参戦さんせん予定よていがあったが、キャンセルされている。

シボレー

初年度しょねんどから2012ねんまで、RML[注釈ちゅうしゃく 2]のオペレーションのしたにワークス参戦さんせん。ライバルのセアト、BMWが活動かつどう縮小しゅくしょうしていた影響えいきょうもあり、2010~2012ねん怒涛どとうのドライバーズ/マニュファクチャラーズ3連覇れんぱ達成たっせいした。

欧州おうしゅう戦略せんりゃく変更へんこうにより、シボレーはワークスレースから撤退てったいし、RMLは2013ねん以降いこう独立どくりつしたチームとなった。2013ねん、ドライバーのイヴァン・ミュラーがホンダのガブリエレ・タルキーニを大差たいさくだし、チームはふたたびドライバーズタイトルを獲得かくとくした。

同年どうねんかぎりでチームとしてのRMLは撤退てったいするが、同社どうしゃはTC1規定きてい車両しゃりょう開発かいはつ製造せいぞうし、プライベーターへのマシン供給きょうきゅうをシリーズ終焉しゅうえんまでった。

ラーダ

スーパー2000時代じだいの2009ねんにフル参戦さんせんするが、イタリアの2レース以外いがいではシングルフィニッシュすることができなかった。

そのあいだいたが、2012ねんのスポット参戦さんせんて2013ねんからふたたびフル参戦さんせん。2013ねんはマニュファクチャラーとはおもえないレベルの大敗たいはいきっした(ドライバーズランキング14)が、2014ねんもと王者おうじゃロバート・ハフ加入かにゅうによりリバースグリッドのレース2で2勝利しょうり。2016ねんガブリエル・タルキーニによってはつのフィーチャーレース勝利しょうりげた。

しかし他社たしゃ見劣みおとりすることにはわりなく、タイトルあらそいにはくわわれないまま、2016ねんまつでTCR規定きてい転身てんしんするために撤退てったいした。最後さいごのフィーチャーレースではタルキーニが2度目どめ勝利しょうり有終ゆうしゅうかざった。

2017ねんはフランスのインディペンデントチームがマシンを購入こうにゅうして参戦さんせんした。

ホンダ

ETCC時代じだいから様々さまざまなプライベーター[注釈ちゅうしゃく 3]がしばしシビックアコードもちいており、2008ねんにはアルファロメオからはなれたNテクノロジーがマニュファクチャラー登録とうろくうえでアコードで参戦さんせんした。

その空白くうはく期間きかんがあったが、2012ねんのスポット参戦さんせんて、2013ねんからJASモータースポーツのオペレーションによりシビックでワークスとしてフル参戦さんせん開始かいし。マニュファクチャラーズ選手権せんしゅけんでは、唯一ゆいいつのライバルだったラーダが苦戦くせんするなか、1ねんにして世界せかい選手権せんしゅけんタイトルを獲得かくとくし、ドライバーズ選手権せんしゅけんでは、独立どくりつけいRMLシボレーチームのイヴァン・ミュラーをのぞ全員ぜんいんかすことができた[19]

2014ねん以降いこうのTC1規定きていでは唯一ゆいいつハッチバックいきおいとして活躍かつやくするが、TC1規定きていではリアウィングの整流せいりゅう効果こうか関係かんけいじょう、ドラッグのすくなくなるノッチバックセダンのほうそらりょくじょう有利ゆうりとされており、トップスピードの不足ふそくくるしんだ[20]。TC1レギュレーションが当初とうしょ予定よていより1ねん前倒まえだおしされたため、ホンダはシトロエンよりも大幅おおはば車両しゃりょう開発かいはつ期間きかんみじかくなった[21][22]。2014ねんから2016ねんにかけてはシトロエンにてきわなかったが、2017ねん様々さまざまなアクシデントでタイトル獲得かくとくにはいたらなかったものの、フィーチャーレース最多さいた優勝ゆうしょうとポールポジションを獲得かくとくした[23]

なおインディペンデントけトロフィーでは2015ねんにノルベルト・ミケリスがチャンピオンとなっている[24]

シトロエン

2014ねんWRCのレジェンドであるセバスチャン・ローブのセカンドキャリアさきとしてTC1規定きていからフル参戦さんせん十分じゅうぶん準備じゅんびのもとに開発かいはつされたC-エリーゼは3年間ねんかんものあいだほぼ完全かんぜんにシリーズを掌握しょうあくし、ホセ・マリア・ロペス独壇場どくだんじょうした。シトロエンは、TC1のしん規定きてい当初とうしょ予定よていより1ねん前倒まえだおしされ、シリーズ参戦さんせんはやまったため、のメーカーより大幅おおはば開発かいはつ期間きかんながかった[25]。さらに、WRCでおなじエンジンレギュレーションを経験けいけんしたこともあった[26]。また、シトロエンはぜんメーカーちゅう圧倒的あっとうてきおおきな予算よさんっていた[26]

WRCに再度さいど本腰ほんごしれるため、2016ねんまつ撤退てったい。デビューから撤退てったいまで、ドライバー・マニュファクチャラーとも完全かんぜん無欠むけつの3連覇れんぱであった。最終さいしゅうねんの2017ねんは、ローブのプライベートチーム(セバスチャン・ローブ・レーシング)がインディペンデントチームとして参戦さんせんした。

ボルボ

スーパー2000規定きていのSTCC(スウェーデンツーリングカー選手権せんしゅけん)で無敵むてきほこったボルボは、WTCCでは地域ちいき規定きてい特認とくにん車両しゃりょうとしてしばしスポット参戦さんせんしていた[27]。2011ねんポールスター・レーシングのオペレーションのしたに1だい体制たいせいでフル参戦さんせんするが、レース2もふくめていち表彰台ひょうしょうだいがれないままマニュファクチャラーズ最下位さいかいあまんじた。

休止きゅうし期間きかんはいったのち、2016〜2017ねんのカテゴリ末期まっきにTC1規定きていのS60で、ポールスター・シアン・レーシング名義めいぎ本格ほんかくてき復帰ふっき。2017ねんにホンダとの一騎打いっきうちをせいし、念願ねんがんのドライバーズ/マニュファクチャラーズタイトルを獲得かくとくした。

その

インディペンデント(プライベーター)チームとしてプジョートヨタなどのマシンの参戦さんせんられた。

2009ねんWRCからスバル撤退てったいしたのち当時とうじスバルが欧州おうしゅう販売はんばいちかられていたディーゼル水平すいへい対向たいこう4気筒きとうもちいてのWTCCへの転戦てんせんがまことしやかにうわさされたことがあったが、公式こうしきからの発表はっぴょうとくわっている[28]

スーパー2000/ディーゼル2000時代じだい参戦さんせんコストは世界せかい選手権せんしゅけんとしてはかなりやすく、2009ねん時点じてんWRCのトップチームの予算よさんが70おくえんほどであったのにたいし、WTCCは4~8おくえん程度ていどでの運用うんよう可能かのうだったとわれている[7]

競技きょうぎ進行しんこう

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予選よせんはF1同様どうように1しゅう最速さいそくタイムをきそい、Q1〜Q3までのノックアウト方式ほうしきおこなわれる。Q3の上位じょうい5だいには、1から5-4-3-2-1とドライバーズポイントが付与ふよされる。

2016ねんからは予選よせん終了しゅうりょうしたのちMAC3というイベントが開催かいさいされた。これはマニュファクチャラーズタイトルをあらそうチームのみが参加さんかできるタイムアタックで、どういちマシンが3だいつらなるようはしって2しゅう合計ごうけいタイムを計測けいそく、その順位じゅんいおうじてマニュファクチャラーズポイントが加算かさんされる競技きょうぎである。

決勝けっしょうはオープニングレースとメインレースの2レースせい。オープニングレースはQ2のトップ10のリバースグリッドでスタートする。オープニングレースが終了しゅうりょうして、表彰ひょうしょうしきと15ぶん修復しゅうふく時間じかんあたえられたのちにQ3までの予選よせん結果けっか反映はんえいされたグリッドでメインレースがスタートする。2017ねんから、オーバーテイクのむずかしい市街地しがいちでは、ラリークロス同様どうようジョーカーラップとばれるまわみち採用さいようされており、レースちゅう1はここをとおらなければならない。このジョーカーラップをいつ消化しょうかするかが勝敗しょうはいのカギをにぎる。

これらの方式ほうしきおおくは、後継こうけいカテゴリのWTCRでも継承けいしょうされている。

過去かこのレースフォーマット

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フォーマットやポイントシステムは時代じだいによって様々さまざま変化へんかしている。

かつては予選よせんは1予選よせん(Q1)、2予選よせん(Q2)の2かいおこなわれた。だい2レースのスタートじゅんにはリバースグリッド採用さいようされ、2予選よせん上位じょうい10のドライバーが、だい2レースでは逆順ぎゃくじゅんならんでスタートした(つまりQ2で10のドライバーがポールポジションからスタートする)。

また2007ねんシーズンより、だい1レースのスタートにさいしてローリングスタート採用さいようされていた。通常つうじょうスタンディングスタート採用さいようされていた前年ぜんねんまでの開催かいさいにおいて、FF車両しゃりょうのスタート加速かそくFR車両しゃりょうたいしてあきらかに不利ふりとなるケースが目立めだったための救済きゅうさい措置そちではあるものの、リバースグリッドのだい2レーススタートにさいしてはスタンディングスタートのままであった。

ポイントシステム

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タイトルは総合そうごうのドライバーズ選手権せんしゅけん、ワークスチームけのマニュファクチャラーズ選手権せんしゅけんほかに、インディペンデントチームのドライバー・チームけにWTCCトロフィーが用意よういされている。

ドライバーズ選手権せんしゅけん

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順位じゅんい  1st   2nd   3rd   4th   5th   6th   7th   8th   9th   10th 
オープニングレース 25 18 15 12 10 8 6 4 2 1
 メインレース 30 23 19 16 13 10 7 4 2 1

この予選よせんQ3での順位じゅんいおうじて、5-4-3-2-1ポイントがあたえられる。

マニュファクチャラーズ選手権せんしゅけん

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かくマニュファクチャラーチームのうち、かくイベントの上位じょうい2めいがポイント対象たいしょうとなる。順位じゅんいポイントはドライバーズ選手権せんしゅけん同様どうようたとえば3マニュファクチャラーが参戦さんせんしている場合ばあい上位じょうい2めいのみが対象たいしょうなので3×2めい=6めい順位じゅんいでポイントが加算かさんされる。つまりメインレースであるチームの3めいさい後尾こうび独占どくせんしてしまっても、完走かんそうさえすれば5+6=23ポイントは入手にゅうしゅすることができる。ただしリタイアが2めい以上いじょうてしまうとそのぶんはノーポイントとなってしまうためくるしくなる。

このメインレースのかくチーム上位じょうい2めい予選よせん順位じゅんいおうじてかくドライバーのマニュファクチャラーポイントに5-4-3-2-1、MAC3の順位じゅんいおうじてマニュファクチャラーに12-8-6ポイントがそれぞれ加算かさんされる。

WTCCトロフィー

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順位じゅんい  1st   2nd   3rd   4th   5th   6th   7th   8th 
WTCCトロフィー 10 8 6 5 4 3 2 1

ドライバー、チームどもうえひょうもとづいてポイントが加算かさんされる。ドライバートロフィーはこれにくわえてファステストラップと、ポイント対象たいしょうしゃない予選よせんさい上位じょういしゃにも1ポイントずつ加算かさんされる。チームトロフィーは、かくチームの上位じょうい1めいがポイント対象たいしょうとなる。

歴代れきだいチャンピオン

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総合そうごうタイトル

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とし ドライバーズ マニュファクチャラーズ
1987ねん イタリアの旗 ロベルト・ラヴァーリア(BMW) スイスの旗 フォード・テキサコ・R.T
2005ねん イギリスの旗 アンディ・プリオール(BMW) ドイツの旗 BMW
2006ねん イギリスの旗 アンディ・プリオール(BMW) ドイツの旗 BMW
2007ねん イギリスの旗 アンディ・プリオール(BMW) ドイツの旗 BMW
2008ねん フランスの旗 イヴァン・ミュラー(セアト) スペインの旗 セアト
2009ねん イタリアの旗 ガブリエル・タルキーニ(セアト) スペインの旗 セアト
2010ねん フランスの旗 イヴァン・ミュラー(シボレー) アメリカ合衆国の旗 シボレー
2011ねん フランスの旗 イヴァン・ミュラー(シボレー) アメリカ合衆国の旗 シボレー
2012ねん イギリスの旗 ロバート・ハフ(シボレー) アメリカ合衆国の旗 シボレー
2013ねん フランスの旗 イヴァン・ミュラー(シボレー) 日本の旗 ホンダ
2014ねん アルゼンチンの旗 ホセ・マリア・ロペス(シトロエン) フランスの旗 シトロエン
2015ねん アルゼンチンの旗 ホセ・マリア・ロペス(シトロエン) フランスの旗 シトロエン
2016ねん アルゼンチンの旗 ホセ・マリア・ロペス(シトロエン) フランスの旗 シトロエン
2017ねん スウェーデンの旗 テッド・ビョーク(ボルボ) スウェーデンの旗 ボルボ

インディペンデントチームけトロフィー

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とし ドライバーズ チームズ
2005ねん ドイツの旗 マルク・ヘンネリシ(BMW) ドイツの旗 ヴィヒャーズ・スポーツ(BMW)
2006ねん オランダの旗 トム・コロネル(セアト) 香港の旗 GRアジア(セアト)
2007ねん イタリアの旗 ステファノ・ダステ(BMW) ドイツの旗 ヴィヒャーズ・スポーツ(BMW)
2008ねん スペインの旗 セルジオ・フェルナンデス(BMW) イタリアの旗 スクーデリア・プロチーム・モータースポーツ(BMW)
2009ねん イタリアの旗 トム・コロネル(セアト) スペインの旗 サンレッド・エンジニアリング(セアト)
2010ねん スペインの旗 セルジオ・フェルナンデス(BMW) イタリアの旗 スクーデリア・プロチーム・モータースポーツ(BMW)
2011ねん デンマークの旗 クリスチャン・ポールセン(BMW) ドイツの旗 リキモリ・チーム・エングストラー(BMW)
2012ねん ハンガリーの旗 ノルベルト・ミケリス(シボレー) ロシアの旗 ルクオイル・レーシング・チーム(セアト)
2013ねん イギリスの旗 ジェームス・ナッシュ(シボレー) イギリスの旗 RML(シボレー)
2014ねん ドイツの旗 フランツ・エングストラー(BMW) イタリアの旗 ROALモータースポーツ(シボレー)
2015ねん ハンガリーの旗 ノルベルト・ミケリス(ホンダ) イタリアの旗 ROALモータースポーツ(シボレー)
2016ねん モロッコの旗 メディ・ベナーニ(シトロエン) フランスの旗 セバスチャン・ローブ・レーシング(シトロエン)
2017ねん イギリスの旗 トム・チルトン(シトロエン) フランスの旗 セバスチャン・ローブ・レーシング(シトロエン)

ユーロスポーツ・アジアトロフィー

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とし ドライバーズ
2013ねん 日本の旗 谷口たにぐちこうぶんまわし(セアト)
2014ねん マカオの旗 フェリペ・デ・ソウザ(BMW)

日本にっぽん開催かいさい

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日本にっぽんにおけるツーリングカーレースの世界せかい選手権せんしゅけんはWTC時代じだいの1987ねん富士ふじスピードウェイインターTEC選手権せんしゅけんタイトルがけられ開催かいさいされた。このとし富士ふじでは世界せかいスポーツプロトタイプカー選手権せんしゅけん(WSPC)にぐ2つめの世界せかい選手権せんしゅけんレースであり、さらに鈴鹿すずかサーキットF1ふくめ、3つのことなる世界せかい選手権せんしゅけん日本にっぽん開催かいさいされたのである。

2005ねんにWTCCとして世界せかい選手権せんしゅけん復活ふっかつしてから、2008ねんからは岡山おかやま国際こくさいサーキット開催かいさいされることになった。岡山おかやまでは1994ねんと1995ねんにF1開催かいさい実績じっせきパシフィックGPとして)があり、それ以来いらい世界せかい選手権せんしゅけんとなる。2011ねんには、鈴鹿すずかサーキットひがしコースではじめてWTCCが開催かいさいされた。なお、2.243kmのひがしコースは2011ねんにWTCCが開催かいさいされるサーキットとしては最短さいたんであった。2014ねんはじめてフルコースで開催かいさいされたが、2015ねんからはツインリンクもてぎ開催かいさい変更へんこうされている。しん興国こうこくけの市販しはんしゃをベースとするマシンがおおいため、日本にっぽんでは販売はんばいされていない車両しゃりょうほうがエントリー台数だいすうおおいこともしょっちゅうであった。

余談よだんだが、岡山おかやまでは1996ねん国際こくさいツーリングカー選手権せんしゅけん(ITC)が開催かいさいされることになっていたが、直前ちょくぜんにキャンセルされたことがある。なお、ITCは1996ねん鈴鹿すずかで、FIA-GT選手権せんしゅけんは1997 - 1998ねんおなじく鈴鹿すずか開催かいさいされている。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 『Racing on No.397』2005ねん11月1にち発売はつばい 三栄書房さんえいしょぼう刊行かんこう
  2. ^ 世界一せかいいち喧嘩けんかレース、WTCCがあつい!
  3. ^ 格闘技かくとうぎレースがやってくる!
  4. ^ アクシデント多発たはつのブランパンGTが処罰しょばつ厳格げんかく。「ぶつかりたいならWTCCにけ」
  5. ^ サーキット徒然草つれづれぐさ・184しゅう 岡山おかやまに『マイナーツーリング』を - 読売新聞よみうりしんぶん:@CARS
  6. ^ 13年間ねんかんにおよぶWTCCの歴史れきしまく。2018ねんからの『WTCR』開催かいさい正式せいしき発表はっぴょう
  7. ^ a b 『AUTOSPORT No.1192 2009ねん2がつ5にちごう』P6 三栄書房さんえいしょぼう刊行かんこう
  8. ^ WTCCYOKOHAMA TIRE
  9. ^ WTCC開発かいはつリーダープロジェクトREPORT本田技研工業ほんだぎけんこうぎょう公式こうしきサイト
  10. ^ FIA has no appetite to reintroduce a World Touring Car Championship
  11. ^ FIA published the 2012 WTCC Sporting Regulations
  12. ^ Car compensation weight replaces driver ballast
  13. ^ ヨコハマ、WTCCへのタイヤ供給きょうきゅう契約けいやくを3年間ねんかん延長えんちょう - オートスポーツ・2012ねん6がつ20日はつか
  14. ^ BMWしゃ、「320si WTCC」のホモロゲーションモデル「320si」を発表はっぴょう
  15. ^ BMW、WTCCでのワークス体制たいせい中止ちゅうし 車両しゃりょう供給きょうきゅう継続けいぞく
  16. ^ セアトがディーゼルしゃでWTCC参戦さんせん史上しじょうはつ
  17. ^ WTCC:4だいのセアト・レオンTDIが“SRスポーツ”として参戦さんせん
  18. ^ [Feature: Ford make their point in the WTCC]
  19. ^ Honda wins manufacturers' championship” (英語えいご). Federation Internationale de l'Automobile (2013ねん9がつ9にち). 2023ねん3がつ31にち閲覧えつらん
  20. ^ 『AUTO SPORT No.1437 2016ねん8がつ26にちごう』P8-9 三栄書房さんえいしょぼう刊行かんこう
  21. ^ Onsem, Hans van. “Interview Hoofd Honda Europe Motorsport William De Braekeleer: "WTCC-instap was deel van groter plan"” (オランダ). www.autosport.be. 2023ねん3がつ31にち閲覧えつらん
  22. ^ Citroën Racing ready for WTCC debut at Marrakech – TouringCarTimes”. www.touringcartimes.com. 2023ねん3がつ31にち閲覧えつらん
  23. ^ Honda team boss "amazed" by Volvo claims” (英語えいご). www.motorsport.com. 2023ねん3がつ31にち閲覧えつらん
  24. ^ レース2でミケリス選手せんしゅが3表彰台ひょうしょうだい獲得かくとくし、ヨコハマ・トロフィーのタイトルをめる レース2では3だいのHonda Civic WTCCが入賞にゅうしょうたし、2015ねんシーズンをめくくる本田技研工業ほんだぎけんこうぎょう株式会社かぶしきがいしゃ公式こうしきサイト 2022ねん8がつ28にち閲覧えつらん
  25. ^ WTCC boss expects closer fight between the manufacturers this year – TouringCarTimes”. www.touringcartimes.com. 2023ねん3がつ31にち閲覧えつらん
  26. ^ a b Rob Huff certain Citroen quitting is good for the WTCC” (英語えいご). www.autosport.com. 2023ねん3がつ31にち閲覧えつらん
  27. ^ WTCC:ボルボ、ブランズハッチへのスポット参戦さんせん発表はっぴょう
  28. ^ スバルがWTCC参戦さんせんを3がつちゅう決定けってい? 欧州おうしゅう報道ほうどうながれるAS-web 2022ねん8がつ5にち閲覧えつらん

注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ スーパー2000の原型げんけいとなった、グループNをベースに改造かいぞうほどこ規定きてい
  2. ^ レイ・マロック・リミテッド。BTCCでは日産にっさんとのかかわりがつよく、日産にっさん・ジュークのチューニングカーを少量しょうりょう生産せいさんしたこともある。
  3. ^ GRアジアやJASモータースポーツ、欧州おうしゅうディーラーけいチームなど

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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