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スーパーモタード

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ターマックセクションでのスライドライディング(ドリフト走行そうこう

スーパーモタード英語えいご: Supermotard)は、オートバイのレースのひとつである。「スーパーモト (Supermoto)」や、単純たんじゅんに「モタード」ともばれる。近年きんねんでは、このレースにもとづいた様式ようしき車両しゃりょうそのものや、その車体しゃたい種別しゅべつ形態けいたい、ジャンル)を場合ばあいもある。サイドカーおこなわれる「スーパーサイダー」または「スーパーサイド」やぜん地形ちけい対応たいおうしゃ(クアッド/よんりんバイク)でおこなわれる「スーパークアダー」または「スーパークアッド」もこれにふくまれる。

競技きょうぎ概要がいよう

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スリックタイヤでダート走行そうこうをするモタードマシン
モタードマシンのコーナーリング

コースは、原則げんそくてき舗装ほそうされたアスファルト路面ろめん(ターマック)8わり舗装ほそう路面ろめん(ダート)2わり基準きじゅんぜたコースを使用しようするが、一部いちぶではターマックだけのコースやダートの比率ひりつげたコースもある。

レース車両しゃりょうモトクロッサーをベースにして、14インチから19インチのホイール[1]にオンロードようタイヤやモタード競技きょうぎ専用せんようタイヤを装着そうちゃくし、前後ぜんごサスペンションやフロントブレーキなどを強化きょうかしたオートバイを使用しようする。エンジン形式けいしき水冷すいれい4ストロークたん気筒きとう主流しゅりゅう2ストロークエンジンブレーキがかかりづらく、ターマックでのスライドがむずかしい[2])。競技きょうぎ車両しゃりょう当初とうしょ市販しはんのモトクロッサーを改造かいぞうしておこなわれていたが、近年きんねんでは欧州おうしゅうのメーカーを中心ちゅうしんにモタード専用せんよう設計せっけい車両しゃりょう販売はんばいしている。

ライダーの装備そうびはモトクロスようヘルメットゴーグルとブーツに、オンロードようのレーシングスーツ[3]着用ちゃくようするのが一般いっぱんてきである。

レースではターマックセクションのハイスピードなコーナリングや、ダートセクションのはげしいスライド走行そうこうやジャンプがられる。

歴史れきし

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スーパーモトはレースプロモーターのGavin Trippeがロードレースダートトラックレースモトクロス特徴とくちょうを1つのサーキットにれて、1979ねんはじまった[4]今日きょうおおくのコースは70%のアスファルトと30%のダートで構成こうせいされるのにたいし、当初とうしょのコースはおおむね半分はんぶんずつであった。スーパーモトレースは5ねんにわたって毎年まいとしひらかれ、スーパーバイカーズという名称めいしょうで、ABC番組ばんぐみWide World of Sports』で放送ほうそうされた。しかし、1985ねんには北米ほくべいでのスーパーモトは衰退すいたいした。一方いっぽう、ヨーロッパではフランスを中心ちゅうしんひろがりをせ、スーパーモタードとばれるようになった。北米ほくべい衰退すいたいしてから18ねんの2003ねんになって北米ほくべいでもスーパーモトが復興ふっこうし、AMAやスーパーモトカナダとしておこなわれるようになった[5]

ヨーロッパ伝播でんぱしたスーパーモタードは、フランスのシャルル・ド・ゴール空港くうこうちかくのキャロルサーキットでおこなわれていた。「ギドン・ドール (Guidon D'or)」(直訳ちょくやくで「黄金おうごんのハンドル」)というこのイベントでは、ケニー・ロバーツやフレディ・スペンサー、エディ・ローソン、ジェフ・ワードのほかにもランディ・マモラワイン・ガードナーウェイン・レイニーといったロードレーサーと、AMAモトクロスモトクロス世界せかい選手権せんしゅけんチャンピオンのジャン・ミシェル・バイルパリダカで6かい総合そうごう優勝ゆうしょう獲得かくとくしたステファン・ペテランセルなど、モトクロスやエンデューロ出身しゅっしんのライダーたちによってきそわれた。ヨーロッパではもととなる車両しゃりょうがほぼモトクロッサーだけとなり、タイヤも前後ぜんご19インチのダートトラックようタイヤではなく、前後ぜんご17インチ程度ていど小径しょうけいホイールにオンロードようタイヤあるいはモタード専用せんようタイヤをかせたものが主流しゅりゅうとなり、以降いこうこれがスーパーモタードの標準ひょうじゅんとなった。

こうしてヨーロッパで熟成じゅくせいされたスーパーモタードはフランス選手権せんしゅけんからヨーロッパ選手権せんしゅけんへと拡大かくだいし、日本にっぽんでもられるようになった。2002ねんからは世界せかい選手権せんしゅけん開催かいさいされ、アメリカではエックスゲームズ種目しゅもくとしても採用さいようされた。

日本にっぽんでの歴史れきし

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日本にっぽんでは『TOSHIBAスポーツBOX』でABCの『Wide World of Sports』の様子ようす紹介しょうかいされたほか、雑誌ざっしなどでも紹介しょうかいされ、1980年代ねんだいころには前後ぜんごホイールやあしまわりをスーパーバイカーズふう改造かいぞうした車両しゃりょう極少きょくしょうすうながら存在そんざいしており、それらによるレースも小規模しょうきぼながら企画きかく開催かいさいされていた。ただし当時とうじ日本にっぽんではダート部分ぶぶんふくんだコースを準備じゅんびするのがむずかしく、舗装ほそうターマック)にとくしたコースでの開催かいさいおもとなったこともあって「ターミネーター」とばれたりもしていた。このために使用しようされる車両しゃりょうも、モトクロッサーなどをもとにしながらもオンロードようバイクのサスペンションをんだりと、ターマックにとくしたコースにあわせたものとなり、アメリカやヨーロッパとはすこちがったおもむきをていしていた。

日本にっぽん最初さいしょ本格ほんかくてきなスーパーモタードのレースイベントといえるものは、1993ねん平成へいせい5ねん8がつ鈴鹿すずかサーキットおこなわれた『鈴鹿すずかスーパーバイカーズ』である。このレースは、鈴鹿すずかサーキットみなみコースとダートコースをわせた特設とくせつサーキットでおこなわれた。トップライダーをはじめさまざまなカテゴリーのライダーが参戦さんせんし、レースではモトクロスライダーの東福寺とうふくじ保雄やすお優勝ゆうしょうした。エントリーしたバイクはモトクロッサーだけでなく、市販しはんレーサーレプリカダートトラックようのマシンなど、ノウハウがなかったがゆえに雑多ざったでバラエティにんだものであった。また、バイクレースのオフシーズンであるふゆからはるにかけて開催かいさいされたレースでは、ロードレースからは阿部あべのり塚本つかもと昭一しょういちそうかず孝宏たかひろ、モトクロスからは芹沢せりざわふとしあさじゅ宮内みやうち隆之たかゆきといったトップライダーがシーズンにけてのトレーニングをねて参加さんかし、さらに当時とうじはすでにだい一線いっせんからは退しりぞいていたたいら忠彦ただひこ前述ぜんじゅつ東福寺とうふくじなど、かつて全日本ぜんにほん選手権せんしゅけん活躍かつやくしたライダーもエントリーしていた。鈴鹿すずかスーパーバイカーズは1994ねん平成へいせい6ねん)からシリーズされ、ダート区間くかんこそなくなったものの、鈴鹿すずかワンデーヒーローズのカテゴリーのひとつとして現在げんざいみなみコースで開催かいさいされている。

鈴鹿すずかでの成功せいこうけて富士ふじスピードウェイ筑波つくばサーキットでも同様どうようのレースが開催かいさいされた。

2001ねん平成へいせい13ねん)の12月にオーバーオールというレースが静岡しずおかけん森町もりまちデイトナスライドパークでおこなわれた。2003ねん平成へいせい15ねん)の4がつには、日本にっぽんのスーパーモタード選手権せんしゅけんMOTO1」が森町もりまちデイトナスライドパークで最初さいしょおこなわれ、各地かくちでMOTO1がおこなわれるようになった。2005ねん平成へいせい17ねん)からはMFJ公認こうにんレースとして、全日本ぜんにほん選手権せんしゅけんの「MOTO1オールスターズ」が開催かいさいされている。こうして日本にっぽん国内こくないでのレースが充実じゅうじつするにつれ、近年きんねんではアメリカやフランスなどの海外かいがい進出しんしゅつする日本人にっぽんじんライダーがえている。

海外かいがい参戦さんせんした代表だいひょうてき日本人にっぽんじんライダー

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スーパーモタードふう公道こうどうよう市販しはんしゃ

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スーパーモタードがレースのいちジャンルとして確立かくりつされてひろ認知にんちされると、モトクロッサーやデュアルパーパスモデルなどをスーパーモタードよう車両しゃりょうせた外観がいかんとする改造かいぞう個人こじん店舗てんぽレベルでおこなわれるようになり、車両しゃりょうメーカーもスーパーモタードふう公道こうどう走行そうこうようモデルを市販しはんしはじめた。いちはやくスーパーモタードふうのモデルをラインナップにくわえたのはKTMハスクバーナといった、欧州おうしゅうのオフロードしゃふるくから製造せいぞう販売はんばいするメーカーであった[よう出典しゅってん]

スーパーモタードふう公道こうどうよう市販しはんモデルの特徴とくちょうはデュアルパーパスモデルにちかく、のオンロードけスポーツモデルよりも細身ほそみ軽量けいりょう車体しゃたいに、起伏きふくちいさいシートとはばひろくてたかめのステアリングがそなわる[6]搭載とうさいされるエンジンはたん気筒きとうないし2気筒きとうで、出力しゅつりょく特性とくせい比較的ひかくてきひく回転かいてんいきからたかいトルクを発生はっせいする[7][8]。サスペンションは舗装ほそうでの走行そうこう安定あんていせい重視じゅうしした特性とくせいとされ、17インチのタイヤをそなえるモデルがおお[7][8]。こうした車体しゃたい特性とくせいから、市街地しがいちでの利用りようをはじめとして公道こうどうあつかいやすく、手軽てがるにスポーツ走行そうこうたのしめる車種しゃしゅとして認知にんちされている[8]欧州おうしゅう一部いちぶくにでは、スーパーモタードがオフロードけい車種しゃしゅもとであることからデュアルパーパスの一部いちぶとして認識にんしきされ、スーパースポーツなどの高性能こうせいのうオンロードけい車種しゃしゅよりも損害そんがい賠償ばいしょう保険ほけん料金りょうきん設定せっていやすくなる[よう出典しゅってん]

日本にっぽんではジムカーナにスーパーモタードふう車種しゃしゅおお使つかわれるようになった。以前いぜんよりジムカーナではオフロードバイクの車体しゃたい特性とくせい有利ゆうりであると認知にんちされていたが、ジムカーナようとして満足まんぞく性能せいのうつタイヤがなかったため少数しょうすうであった。ところが各社かくしゃからDトラッカーXRモタードDR-Z400SMなどが発売はつばいされると、ジムカーナにおけるモタードしゃ割合わりあい激増げきぞうして好成績こうせいせきおさめ、この出来事できごとはメディアでも紹介しょうかいされた。[よう出典しゅってん]

代表だいひょうてき車種しゃしゅ

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日本にっぽん国外こくがい

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HVR 504 キンダーモトラッド

日本にっぽん国内こくない

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  • スズキ
    • SMX(50)
    • DR-Z400SM
    • 250SB(上記じょうきカワサキ・DトラッカーのOEM)

注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ タイヤの銘柄めいがら豊富ほうふな17インチを使用しようすることがおおい。
  2. ^ モタード対談たいだん だいかい スライド入門にゅうもん講座こうざ Mercury Products 2023ねん10がつ10日とおか閲覧えつらん
  3. ^ いわゆるかわツナギのこと。ロードレースようのものよりも上半身じょうはんしんとくうでうごかしやすくするなど競技きょうぎにあわせたせん用品ようひんもある。オフロード出身しゅっしんのライダーはタイトなレーシングスーツをきらいルーズ気味ぎみものこの傾向けいこうにある。[よう出典しゅってん]
  4. ^ Gavin Trippe, AMA Motorcycle Hall of Fame, http://motorcyclemuseum.org/halloffame/detail.aspx?RacerID=373 24 December 2010閲覧えつらん 
  5. ^ Supermoto Histry”. 408 Racing Inc.. 2011ねん9がつ28にち閲覧えつらん
  6. ^ MT-09 開発かいはつしゃインタビュー - バイク・スクーター”. ヤマハ発動機やまははつどうき株式会社かぶしきがいしゃ. 2014ねん2がつ14にち閲覧えつらん。 “同時どうじにスーパーモタードマシンのようなフラットシートと幅広はばひろのバーハンドルを採用さいようすることで(後略こうりゃく)”
  7. ^ a b Honda スーパーモタードイメージの中型ちゅうがたスポーツバイク「XR400 モタード」をしん発売はつばい”. 本田技研工業ほんだぎけんこうぎょう株式会社かぶしきがいしゃ. 2014ねん2がつ14にち閲覧えつらん
  8. ^ a b c バイクブロス - 特集とくしゅう【さぁ、モタードにろう!】”. 株式会社かぶしきがいしゃバイクブロス. 2014ねん2がつ14にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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