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ロバート・サウジー

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア（Wikipedia）』
ロバート・サウジー
誕生たんじょう 1774年ねん8月がつ12日にち
ブリストル
死没しぼつ (1843-03-21) 1843年ねん3月21日にち（68歳さい没ぼつ）
職業しょくぎょう 桂冠詩人けいかんしじん
国籍こくせき イングランドの旗 イングランド
文学ぶんがく活動かつどう 湖水こすい詩人しじん（ロマン派は）
ウィキポータル 文学ぶんがく
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ロバート・サウジー（Robert Southey, 1774年ねん8月がつ12日にち – 1843年ねん3月21日にち）は、イギリスの、ロマン派は詩人しじん。いわゆる「湖水こすい詩人しじん（湖畔こはん詩人しじん）」の1人ひとり。桂冠詩人けいかんしじんでもあった。

同どう時代じだい人じんで友人ゆうじんでもあるウィリアム・ワーズワース、サミュエル・テイラー・コールリッジのせいでその名声めいせいは薄うすれてしまいがちだが、サウジーはたくさんの書簡しょかんを書かき、文学ぶんがく史家しか、歴史れきし家か、伝記でんき作家さっかであった。サウジーが書かいた伝記でんきには、ジョン・バニヤン、ジョン・ウェスレー、ウィリアム・クーパー（en:William Cowper）、オリバー・クロムウェル、ホレーショ・ネルソンのものがある。ホレーショ・ネルソンの伝記でんき（『ネルソン提督ていとく伝でん』）は1813年ねんに出版しゅっぱんされて以降いこう、滅多めったに絶版ぜっぱんになったことがなく、1926年ねんのイギリス映画えいが『Nelson』の原作げんさくにもなった[1]。さらにサウジーはポルトガル語ご・スペイン語ご学者がくしゃとして知しられ、多おおくの作品さくひんを英訳えいやくし、ブラジル史ふみ、半島はんとう戦争せんそう史しを書かいた（ブラジル史しは元々もともとはポルトガル史しの一部いちぶだったが、ポルトガル史しは未完みかんに終おわった）。サウジーの文学ぶんがく史しへの最大さいだいの貢献こうけんは、おそらく、児童じどう文学ぶんがくの不滅ふめつの古典こてん『3びきのくま』であろう。

生涯しょうがい[編集へんしゅう]

ロバート・サウジーは、イングランドのブリストル、Wine Streetに生うまれた。父親ちちおやはトーマス・サウジー、母親ははおやはマーガレット・ヒル。ロンドンのウェストミンスター・スクールで学まなぶが、鞭打むちうちを非難ひなんする『The Flagellant（鞭打むちうち）』という記事きじを雑誌ざっしに書かいたため退学たいがくさせられた。それからオックスフォおっくすふぉード大学どだいがくベリオール・カレッジに進すすんだ。在学ざいがく中ちゅうのことについて、サウジーは後のちに「私わたしがそこで学まなんだことといえば、泳およぎをちょっと……あとボート漕こぎもちょっと」と後のちになって語かたっている。コールリッジをパートナーに試作しさくをした後のち、1794年ねんにサウジーは最初さいしょの詩集ししゅうを出版しゅっぱんした。

同おなじ年ねん、サウジーはコールリッジら数すう人にんとアメリカで理想りそう主義しゅぎ的てきなコミューンを作つくることを話はなし合あった。「人々ひとびとの望のぞみは素朴そぼくで無理むりのないものだろう。贅沢ぜいたくの虜とりこになった人ひとたちが苦くるしんでするような労役ろうえきではない。財産ざいさんは共有きょうゆうされていて、各々おのおのが全員ぜんいんのために働はたらく。小ちいさな家いえの中なかには最良さいりょうの本ほんが場所ばしょを占しめているだろう。気持きもちを引ひきたせる生活せいかつと自然しぜんの流ながれに浸ひたされて、文学ぶんがくと科学かがくは生いき返かえり、浄化じょうかされざるを得えないだろう。若わかい男性だんせいはやさしく愛あいらしい女性じょせいを娶めとろうとするに違ちがいない。二人ふたりの清浄せいじょうな食たべ物ものを用意よういするのは女性じょせいの方ほうで、二人ふたりは逞たくましく美うつくしい人生じんせいに至いたる」。このコミューン計画けいかくは後のちにウェールズに場所ばしょを移うつして再度さいど持もち上あがるが、サウジーはうまくいきそうにないとして、この考かんがえを否定ひていするグループのトップであった。

1795年ねん11月14日にち、サウジーはブリストルのセント・メアリー・レッドクリフ教会きょうかい（en:St Mary Redcliffe）でエディス・フリッカーと結婚けっこんした。エディスはコールリッジの妻つまサラ・フリッカーの姉妹しまいだった。サウジーは湖水こすい地方ちほうのケズィックのグレタ・ホールに居きょを構かまえ、細々こまごまとした収入しゅうにゅうで暮くらした。1808年ねん、サウジーは、ウェルター・サヴェジ・ランドール（en:Walter Savage Landor）と知己ちきを得えた。ランドールは以前いぜんから著書ちょしょの中なかでサウジーを賞賛しょうさんしていた。二人ふたりはお互たがいの作品さくひんを賞賛しょうさんし合あい、大だいの親友しんゆうになった。1809年ねんからサウジーは『クォータリー・レヴュー』誌し（en:Quarterly Review）に寄稿きこうをはじめ、1813年ねんにはかなり名なを知しられるようになり、サー・ウォルター・スコットが辞退じたいした桂冠詩人けいかんしじんのポストを得えた。

1805年ねんのトラファルガー海戦かいせん後のちにネルソンブームが起おこり、相次あいつぎ出版しゅっぱんされたネルソン関連かんれん本ほんの書評しょひょうをサウジーが『クォータリー・レヴュー』に書かいたところ、同誌どうしの出版しゅっぱん者しゃから100ギニーの原稿げんこう料りょうでネルソン伝つたえの執筆しっぴつを勧すすめられた。海軍かいぐんにいた弟おとうとの協力きょうりょくを得えて1813年ねんに刊行かんこうされた『ネルソン提督ていとく伝でん』は著者ちょしゃ生前せいぜんに6版はんを重かさねたほか、その後ごに公表こうひょうされた資料しりょうをもとに1830年ねんに改訂かいてい版ばんを出版しゅっぱんした。現在げんざい、英国えいこくではネルソンの伝記でんきといえばサウジーの作品さくひんといわれるほどの古典こてん扱あつかいになっている。

1819年ねん、友人ゆうじんのジョン・リックマン（en:John Rickman）を通つうじて、サウジーは土木どぼく技師ぎしのトーマス・テルフォードと知しり合あい、二人ふたりは親友しんゆうとなった。その年としの8月がつ中旬ちゅうじゅんから10月1日にちまで、スコットランドのハイランドの広範囲こうはんいにわたるテルフォードの土木どぼく計画けいかく旅行りょこうに、サウジーは同行どうこうし、そこで見聞みききしたことを日記にっきにしたため続つづけた。それはサウジーの死後しご、1929年ねんに『Journal of a tour in Scotland in 1819（1819年ねんのスコットランド旅行りょこう日記にっき）』として出版しゅっぱんされた。さらにサウジーはオランダの詩人しじんウィレム・ビルデルデイク（en:Willem Bilderdijk）の友人ゆうじんで、1824年ねんと1826年ねんに2度ど、ライデンにあるビルデルデイクの家いえを訪問ほうもんした。

1838年ねんに、妻つまエディスが亡なくなり、サウジーは詩人しじんのキャロライン・アン・ボールズ（1786年ねん - 1854年ねん。en:Caroline Anne Southey）と再婚さいこんした。サウジーの心しんは1839年ねんに友人ゆうじんランドールに宛あてた最後さいごの手紙てがみを書かいた時とき、不安定ふあんていになっていたが、サウジーは他たの言葉ことばは言いえなくなってもランドールの名前なまえは言いい続つづけた。

サウジーの詩しの多おおくは、今いまでもイギリスの学童がくどうたちに愛読あいどくされ、有名ゆうめいなものには、『The Inchcape Rock（インチケープの岩いわ）』（1820年ねん。en:Inchcape参照さんしょう）、ブレンハイムの戦たたかいを扱あつかったおそらく最初さいしょ期きの反戦はんせん詩し『After Blenheim（ブレンハイムの後のちで）』[2]、『Cataract of Lodore』などがある。

政見せいけん[編集へんしゅう]

サウジーは元々もともとはラディカルなフランス革命かくめい支持しじ者しゃだったが、仲間なかまのロマン派は詩人しじんワーズワースやコールリッジに従したがって保守ほしゅ主義しゅぎに転向てんこうした。桂冠詩人けいかんしじんとしてトーリー党とうの権力けんりょく機構きこうに受うけ入いれられて、1807年ねんからは毎年まいとし俸給ほうきゅうも受領じゅりょうし、サウジーは積極せっきょく的てきに、抑圧よくあつ的てきなリヴァプール政権せいけんを支持しじした。サウジーは議会ぎかい改革かいかくに対たいして異ことを唱となえ（「悪魔あくまとともに運転うんてん手しゅを破滅はめつさせるための鉄道てつどう」）、革命かくめい的てきな「暴徒ぼうと」と見みなされた人々ひとびとを政府せいふの警官けいかん隊たいが死傷ししょうさせたことで、ピータールーの虐殺ぎゃくさつを非難ひなんし、カトリック解放かいほうに反対はんたいした。1817年ねんにサウジーは「名誉めいよ毀損きそん」や「治安ちあん妨害ぼうがい」の罪つみを犯おかした人間にんげんを流刑りゅうけい（en:Penal transportation）にすることを提案ていあんした。サウジーが念頭ねんとうに置おいていた人物じんぶつはトーマス・ジョナサン・ウーラー[3]やウィリアム・ホーン[4]で、サウザーは彼かれらの起訴きそを主張しゅちょうした。サウジーは『Quarterly Review』誌しに、そうした作家さっかは「父子ふしが平穏へいおんに暮くらしていたところに、そのような社会しゃかい制度せいどをもってきて、製造せいぞう業者ぎょうしゃの乱暴らんぼうな気質きしつを扇動せんどうし、農民のうみんの静しずかな忠誠ちゅうせいをかき乱みだした」罪ざいで有罪ゆうざいだ、と書かいた。（ウーラーとホーンは無罪むざいとなったが、もう一人ひとりの標的ひょうてきであったウィリアム・コベット（en:William Cobbett）はアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくに移住いじゅうした）。ラディカリズムから転向てんこうし、かつての同士どうしを起訴きそしようとしたことで、同どう時代じだいのラディカリストたちがサウジーを攻撃こうげきしたことは驚おどろくにはあたらない。彼かれらはサウジーのことを、金かねと社会しゃかい的てき地位ちいのために身みを売うったと見みていた。『The Spirit of the Age』でウィリアム・ハズリットはこう書かいている。「彼かれは若わかい恋人こいびとのように"自由じゆう"に求婚きゅうこんしたが、それはおそらく花嫁はなよめよりも愛人あいじんとしてだった。彼かれは年上としうえの、そう評判ひょうばんの良よくない淑女しゅくじょと結婚けっこんした、"合法ごうほう"という名前なまえの」。サウジーは、国王こくおうに対たいするごますりの頌歌と見みられるもののために嘲あざけられることも多おおかった。有名ゆうめいなものでは、ジョージ・ゴードン・バイロン『ドン・ジュアン』の中なかのサウジーへの皮肉ひにくのこもった長ながい献呈けんていの辞じである。

主おもな作品さくひん[編集へんしゅう]

ロバート・サウジー
  • Fall of Robespierre（ロベスピエールの失脚しっきゃく、1794年ねん）
  • Joan of Arc: An Epic Poem（叙事詩じょじし『ジャンヌ・ダルク』、1796年ねん）
  • Poems（詩集ししゅう、1797年ねん - 1799年ねん）
  • Letters from Spain（スペインからの手紙てがみ、1797年ねん）
  • Saint Patrick's Purgatory（聖ひじりパトリックの苦行くぎょう、1798年ねん）
  • Devil's Thoughts（1799年ねん）
  • タラバ、悪あくを滅ほろぼす者もの（Thalaba the Destroyer、1801年ねん）
  • Amadis de Gaula（1803年ねん） - スペインの騎士きし道どう物語ものがたり『アマディス・デ・ガウラ』の翻訳ほんやく。en:Amadis de Gaula）参照さんしょう。
  • Madoc（1805年ねん） - アメリカを発見はっけんしたと言いわれるウェールズ王子おうじマドックがテーマ。en:Madoc参照さんしょう）
  • ドン・マヌエル・アールヴァーレイス・エスプリエーラのロンドン通信つうしん（Letters from England、1807年ねん）
  • Palmerin of England（1807年ねん、翻訳ほんやく）
  • The Cid（1808年ねん） - エル・シッドの翻訳ほんやく。
  • The Curse of Kehama（1810年ねん。en:Kehama参照さんしょう）
  • History of Brazil Volume I（『ブラジル史し』第だい1巻かん、1810年ねん）
  • ネルソン提督ていとく伝でん（The Life of Nelson、1813年ねん）
  • Roderick, the Last of the Goths (1814年ねん）
  • ワット・タイラー（Wat Tyler: A Dramatic Poem、1817年ねん）
  • Journal of a Tour in Scotland in 1819（1819年ねんのスコットランド旅行りょこう日記にっき、1929年ねん出版しゅっぱん）
  • The Life of Wesley, and the rise and progress of Methodism（ジョン・ウェスレーの生涯しょうがいならびにメソジズムの勃興ぼっこうと発達はったつ、1820年ねん頃ごろ）
  • A Vision of Judgment（1821年ねん）
  • Life of Cromwell（クロムウェルの生涯しょうがい、1821年ねん）
  • Thomas More（トマス・モア、1829年ねん）
  • The Pilgrim's Progress with a Life of John Bunyan（ジョン・バニヤンの生涯しょうがいと巡礼じゅんれい者しゃの発展はってん、1830年ねん）
  • Cowper（1833年ねん）
  • The Doctors（1834年ねん） - 童話どうわ風ふうの『3びきのくま』の最初さいしょの出版しゅっぱんされたヴァージョンを含ふくむ。
  • Select Lives of Cromwell and Bunyan（クロムウェルとバニヤンの生涯しょうがい、1846年ねん）
  • The Inchcape Rock
  • After Blenheim

日本語にほんご訳やく[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ Summers, Walter (1927-10-17), Nelson, British Instructional Films (BIF), https://www.imdb.com/title/tt0017199/ 2022年ねん5月がつ11日にち閲覧えつらん。 
  2. ^ ”After Blenheim" at bartleby.com
  3. ^ 1786年ねん - 1853年ねん。19世紀せいきイギリスのラディカリズム運動うんどうの積極せっきょく派はで、雑誌ざっし『The Black Dwarf』（en:The Black Dwarf）を発行はっこうした。詳細しょうさいはen:Thomas Jonathan Woolerを参照さんしょう。
  4. ^ 1780年ねん - 1842年ねん。イギリスの作家さっか、風刺ふうし家か、書籍しょせき販売はんばい人じん。詳細しょうさいはen:William Honeを参照さんしょう。

読書どくしょ案内あんない[編集へんしゅう]

  • Curry, Kenneth (ed.), New Letters of Robert Southey, 2 vols (Columbia UP: New York and London, 1965)
  • Dowden, Edward (ed.), The Correspondence of Robert Southey with Caroline Bowles (Dublin and London, 1881)
  • Low, Dennis, The Literary Protégées of the Lake Poets (Aldershot: Ashgate, 2006)
  • Madden, John Lionel, Robert Southey: the critical heritage (London: Routledge & Kegan Paul, 1972)
  • Pratt, Lynda, ed. Robert Southey, Poetical Works, 1793-1810, 5 vols. (London: Pickering and Chatto, 2004)
  • Southey, Charles Cuthbert (ed.), The Life and Correspondence of Robert Southey (New York, 1855).
  • Speck, W. A. Robert Southey: Entire Man of Letters, (Yale University Press, 2006)

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

ウィキクォートにen:Robert Southeyに関かんする引用いんよう句集くしゅうがあります。
英語えいご版ばんウィキソースに本ほん記事きじに関連かんれんした原文げんぶんがあります。
先代せんだい
ヘンリー・ジェイムズ・パイ
桂冠詩人けいかんしじん
1813 - 1843
次代じだい
ウィリアム・ワーズワース
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