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ロフェコキシブ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ロフェコキシブ
IUPAC命名めいめいほうによる物質ぶっしつめい
臨床りんしょうデータ
発音はつおん [ˌrɒfɪˈkɒksɪb]
販売はんばいめい Vioxx, Ceoxx, Ceeoxx, others
胎児たいじ危険きけん分類ぶんるい
  • AUえーゆー: C
法的ほうてき規制きせい
  • withdrawn worldwide
投与とうよ経路けいろ By mouth & i.m
薬物やくぶつ動態どうたいデータ
生物せいぶつがくてき利用りようのう93%
血漿けっしょうタンパク結合けつごう87%
代謝たいしゃliver
半減はんげん17 hours
排泄はいせつbile duct/kidney
識別しきべつ
CAS番号ばんごう
162011-90-7 チェック
ATCコード M01AH02 (WHO)
PubChem CID: 5090
IUPHAR/BPS 2893
DrugBank DB00533 チェック
ChemSpider 4911 チェック
UNII 0QTW8Z7MCR チェック
KEGG D00568  チェック
ChEBI CHEBI:8887 チェック
ChEMBL CHEMBL122 チェック
化学かがくてきデータ
化学かがくしきC17H14O4S
分子ぶんしりょう314.36 g·mol−1
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ロフェコキシブ[1](Rofecoxib)は、COX-2選択せんたくせいステロイドせいこう炎症えんしょうやく(NSAID)である。変形へんけいせい関節かんせつしょう関節かんせつリウマチ若年じゃくねんせい関節かんせつリウマチ、急性きゅうせい疼痛とうつうかた頭痛ずつう月経げっけい困難こんなんしょうなどの治療ちりょうやくとして、メルクしゃにより販売はんばいされていた。ロフェコキシブは、米国べいこくでは1999ねん5がつ米国べいこく食品しょくひん医薬品いやくひんきょく(FDA)により承認しょうにんされ、「Vioxx」、「Ceoxx」、「Ceeoxx」のブランドめいで、錠剤じょうざい経口けいこうかかにごえき販売はんばいされていた[2]日本にっぽんでは承認しょうにんされていなかった[3]

ロフェコキシブは、関節かんせつえんをはじめとする慢性まんせいおよび急性きゅうせい疼痛とうつうともな疾患しっかん治療ちりょうたずさわる医師いしあいだひろ使用しようされていた。ぜん世界せかいで8,000まんにん以上いじょう患者かんじゃがロフェコキシブを処方しょほうされていた[4]

2004ねん9がつ、メルクしゃはロフェコキシブを自主じしゅてき市場いちばから撤退てったいさせた。その理由りゆうは、長期ちょうきにわたる大量たいりょう使用しようにより心臓しんぞう発作ほっさ脳卒中のうそっちゅうのリスクがたかまることが懸念けねんされたためである。メルクしゃは、ロフェコキシブのリスクにかんする情報じょうほうを5ねん以上いじょうにわたって医師いし患者かんじゃ開示かいじせず、その結果けっか、88,000〜140,000けんじゅうあつし心臓しんぞうびょう発生はっせいしたとされており、このくすり撤回てっかいせざるをなくなった[5]。ロフェコキシブは、これまでに市場いちばから撤退てったいした医薬品いやくひんなかで、もっとひろ使用しようされている医薬品いやくひんひとつであった。撤退てったいまえの1年間ねんかんで、メルクしゃはバイオックスから25おくあめりかドルの売上うりあげだかていた[6]

2005ねん米国べいこくFDAは、だい規模きぼ長期ちょうき対照たいしょう臨床りんしょう試験しけんのデータから、COX-2選択せんたくやく(ロフェコキシブをふくむ)が選択せんたくてきなNSAIDよりもおもあつこころ血管けっかんイベントのリスクがたかいことを明確めいかく証明しょうめいしていないと結論けつろんづけるメモを発表はっぴょうした[7]。FDAは2015ねんにこの立場たちば強化きょうかし、「入手にゅうしゅ可能かのうなデータは、COX-2選択せんたくせいNSAIDと選択せんたくせいNSAIDのおもあつ有害ゆうがいしん血管けっかんイベントのリスクが増加ぞうかするという用量ようりょうおよび期間きかん依存いぞんするクラス効果こうか[ちゅう 1]支持しじしている」とべた[8]

2017ねん11月、マサチューセッツしゅう本拠ほんきょくTremeau Pharmaceuticalsしゃは、血友病けつゆうびょうせい関節かんせつしょう(HA)の治療ちりょうやくとしてロフェコキシブ(TRM-201)を市場いちばもど計画けいかく発表はっぴょうした。Tremeauしゃは、TRM-201について、FDAがHAの治療ちりょうやくとしてオーファン指定していをしたこと、また、開発かいはつ計画けいかくについてFDAからフィードバックをけたことを発表はっぴょうした[9]

作用さようじょ

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シクロオキシゲナーゼ(COX)には、COX-1とCOX-2という2つのアイソフォームがある。COX-1は、粘膜ねんまく保護ほごするプロスタグランジン合成ごうせい仲介ちゅうかいし、COX-2は、いたみや炎症えんしょうこすプロスタグランジンの合成ごうせい仲介ちゅうかいする。COX-2を阻害そがいし、COX-1を阻害そがいしない「選択せんたくてき」NSAIDを開発かいはつすることで、従来じゅうらいのNSAIDと同様どうよう鎮痛ちんつう効果こうかられる一方いっぽうで、致命ちめいてきまたは消耗しょうもうてき消化しょうかせい潰瘍かいようのリスクを大幅おおはば低減ていげんすることができる。ロフェコキシブ(Rofecoxib)は選択せんたくてきCOX-2阻害そがいやくであり、それをしめ接尾せつび「―コキシブ」(-coxib)をつ。

コキシブには複数ふくすう薬剤やくざいふくまれるが、COX-2選択せんたくせい程度ていど様々さまざまで、セレコキシブはもっともCOX-2選択せんたくせいひくく、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、エトリコキシブはCOX-2選択せんたくせいたかいとされている[10]

ロフェコキシブは、発売はつばい中止ちゅうし当時とうじ米国べいこく承認しょうにんされた唯一ゆいいつのコキシブであり、従来じゅうらいのNSAIDよりもすぐれた消化しょうかけい副作用ふくさようプロファイルが臨床りんしょうてき証明しょうめいされていた。これはおもに、ロフェコキシブとナプロキセン有効ゆうこうせい副作用ふくさようのプロファイルを比較ひかくしたVIGOR(Vioxx GI Outcomes Research)試験しけんもとづくものである[11]

薬物やくぶつ動態どうたい

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治療ちりょうじょう推奨すいしょう用量ようりょうは12.5、25、50mgで、バイオアベイラビリティやく93%であった[12][13][14]。ロフェコキシブは、胎盤たいばんおよび血液けつえきのう関門かんもん通過つうか[12][13][15]血漿けっしょうちゅう濃度のうどのピークにたっするまでに1~3あいだかかり、有効ゆうこう半減はんげん定常ていじょう状態じょうたい濃度のうどもとづく)はやく17あいだであった[12][14][16]代謝たいしゃ産物さんぶつはロフェコキシブのシス-ジヒドロおよびトランス-ジヒドロ誘導体ゆうどうたい[12][16]おも尿にょうちゅう排泄はいせつされる。

有効ゆうこうせい

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ロフェコキシブは、変形へんけいせい関節かんせつしょう関節かんせつリウマチ若年じゃくねんせい関節かんせつリウマチ、急性きゅうせい疼痛とうつうかた頭痛ずつう月経げっけい困難こんなんしょう治療ちりょうやくとしてFDAに承認しょうにんされた[2]発売はつばい関節かんせつえんをはじめとする慢性まんせい急性きゅうせい疼痛とうつうかかえる患者かんじゃ治療ちりょうする医師いしあいだひろれられた。

月経げっけいぜん面皰にきび

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2003ねんにインドで実施じっしされたプラセボ対照たいしょう小規模しょうきぼ短期たんき研究けんきゅうでは、月経げっけいまえ尋常じんじょうせい痤瘡女性じょせい80めい対象たいしょうに、ロフェコキシブまたはプラセボを10日間にちかん×2サイクル投与とうよし、「ロフェコキシブは月経げっけいまえの痤瘡の管理かんり有効ゆうこうである」ことが示唆しさされた[17]

捏造ねつぞうされた有効ゆうこうせい研究けんきゅう

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2009ねん3がつ11にち、マサチューセッツしゅうスプリングフィールドにあるベイステート・メディカル・センターのもと急性きゅうせい疼痛とうつう部長ぶちょう、Scott S. Reubenは、かれ執筆しっぴつしたほんやく(セレコキシブなどくすりふくむ)の有効ゆうこうせいかんする21の研究けんきゅうのデータが捏造ねつぞうされ、ほんくすり鎮痛ちんつう効果こうか誇張こちょうされていたことをあきらかにした。なお、Reubenがメルクしゃ共謀きょうぼうしてデータを改竄かいざんしたという証拠しょうこはない。またReubenは、製薬せいやく会社かいしゃファイザーしゃ米国べいこくにおけるセレコキシブ販売はんばいかんする知的ちてき財産ざいさんけん所有しょゆう)のもと有料ゆうりょうスポークスマンであった。撤回てっかいされた研究けんきゅうは、薬剤やくざい承認しょうにんまえにFDAやEUの規制きせい機関きかん提出ていしゅつされていなかった。製薬せいやく会社かいしゃのメルクしゃは、今回こんかい開示かいじについてコメントしていない[18][19]

副作用ふくさよう

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ロフェコキシブは、胃潰瘍いかいよう発生はっせいりつ低下ていかさせるだけでなく、出血しゅっけつ時間じかん血小板けっしょうばん凝集ぎょうしゅうにも影響えいきょうおよぼさないことが、ちょうこう用量ようりょう確認かくにんされている[2]。これらの特徴とくちょうのぞけば、ロフェコキシブはNSAID同様どうよう副作用ふくさようプロファイルをしめしている。

こころ血管けっかんけい

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VIGOR試験しけん論争ろんそう

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Bombardierらが実施じっししたVIGOR(Vioxx GI Outcomes Research)試験しけんでは、こう用量ようりょうのロフェコキシブ(50mg/にち)と一般いっぱんてき用量ようりょうナプロキセン(500mg/BID[ちゅう 2])の有効ゆうこうせい副作用ふくさようプロファイルが比較ひかくされた。その結果けっか、ロフェコキシブ投与とうよぐんでは、ナプロキセン投与とうよぐん比較ひかくして、平均へいきん投与とうよ期間きかん9ヵ月かげつあいだに、急性きゅうせい心筋梗塞しんきんこうそく心臓しんぞう発作ほっさ)のリスクが4ばい増加ぞうかすることがしめされた(0.4% vs 0.1%、RR 0.25)。このリスクの上昇じょうしょうは、ロフェコキシブ投与とうよ2ヵ月かげつからられるようになった。こころ血管けっかんイベントによる死亡しぼうりつにはりょうぐんあいだ有意ゆういはなく、こころ血管けっかんリスクがたかくない患者かんじゃ心筋梗塞しんきんこうそく発生はっせいりつにも、ロフェコキシブ投与とうよぐんとナプロキセン投与とうよぐん有意ゆういはなかった。全体ぜんたいてきなリスクのは、心筋梗塞しんきんこうそくのリスクがたか患者かんじゃ、すなわち、てきしん血管けっかんイベントのてい用量ようりょうアスピリン予防よぼう基準きじゅんたす患者かんじゃ心筋梗塞しんきんこうそく既往きおう狭心症きょうしんしょうのう血管けっかん障害しょうがい一過性脳虚血発作冠動脈かんどうみゃくバイパス)によるものであった[2]

メルクしゃ科学かがくしゃたちは、この結果けっかをナプロキセンの保護ほご効果こうか解釈かいしゃくし、心臓しんぞう発作ほっさはこの保護ほご効果こうかによるものだとFDAにつたえた[20]。Martinレポート(下記かき参照さんしょう)は、自社じしゃ製品せいひんをより安全あんぜんであると宣伝せんでんするために試験しけん結果けっか操作そうさしたとされるファイザーしゃ犠牲ぎせいしゃだとしんじているとべ、経営けいえいじん免責めんせきした[21]。しかしナプロキセンはアスピリンの3ばい効果こうかがなければすべての説明せつめいできないと指摘してきするものもおり[22]外部がいぶ科学かがくしゃなかにはVIGOR試験しけん公表こうひょうされるまえにこの主張しゅちょうはありないとメルクしゃ警告けいこくしたものもいた[23]。その、ナプロキセンにそのようなおおきな心筋しんきん保護ほご作用さようがあるという証拠しょうこていないが、おおくの研究けんきゅうでアスピリンとどう程度ていど保護ほご作用さようみとめられている[24][25]

VIGOR試験しけん結果けっかは、2001ねん2がつ米国べいこく食品しょくひん医薬品いやくひんきょく(FDA)に提出ていしゅつされた。2001ねん9がつ、FDAはメルクしゃのCEOに警告けいこくしょ送付そうふした。「あなたの販促はんそくキャンペーンは、VIGOR試験しけんにおいて、Vioxxを使用しようした患者かんじゃが、比較ひかく対象たいしょうステロイドせいこう炎症えんしょうやく(NSAID)であるナプロキセンを使用しようした患者かんじゃくらべて、心筋梗塞しんきんこうそく(MI)が4〜5ばい増加ぞうかすることが観察かんさつされたという事実じじつ無視むししている」という内容ないようであった[26]。これをけて、2002ねん4がつ、Vioxxのラベルに、こころ血管けっかんイベント(心臓しんぞう発作ほっさおよび脳卒中のうそっちゅう)のリスク増加ぞうかかんする警告けいこく追記ついきされた。

VIGORの結果けっか速報そくほうが2000ねん11月にNew England Journal of Medicine掲載けいさいされてからすうヵ月かげつ、ジャーナル編集へんしゅうしゃは、FDAに報告ほうこくされたあるデータがNEJM記事きじふくまれていないことをった。そのすうねん連邦れんぽう政府せいふによるVioxxのだいいちしん宣誓せんせい証言しょうげんさいにメルクしゃのメモをせられた編集へんしゅうしゃたちは、これらのデータが出版しゅっぱんすうヵ月かげつまえ著者ちょしゃらに提供ていきょうされていたことにがついた。編集へんしゅうしゃは、著者ちょしゃ意図いとてきにデータをかくしていたことを非難ひなんする論説ろんせついた[27]。この社説しゃせつは、著者ちょしゃ反論はんろん機会きかいあたえることなく、2005ねん12月8にちにメディアに発表はっぴょうされた。NEJMの編集へんしゅうしゃであるGregory Curfmanは、今回こんかい発表はっぴょうはやかったのは、かれ宣誓せんせい証言しょうげん発表はっぴょう間近まぢかせまっており、メディアで誤解ごかいされることをおそれたためだと説明せつめいしている。Curfmanはさきに、社説しゃせつのタイミングと裁判さいばんとの関係かんけい否定ひていしていた。12月の裁判さいばんでは実際じっさいには使用しようされなかったが、Curfmanは社説しゃせつ掲載けいさいのかなりまえ証言しょうげんしていた[28]

編集へんしゅうしゃは、「論文ろんぶん発表はっぴょうされる4ヵ月かげつ以上いじょうまえに、すくなくとも2人ふたり著者ちょしゃが、VIGOR論文ろんぶんにはふくまれていない一連いちれんしん血管けっかんけい有害ゆうがい事象じしょうかんする重要じゅうようなデータをっていた」と告発こくはつした。これらの追加ついかデータには、3つの追加ついか心臓しんぞう発作ほっさふくまれており、バイオックスの相対そうたいリスクは4.25ばいから5ばい上昇じょうしょうした。追加ついか心臓しんぞう発作ほっさはすべて心臓しんぞう発作ほっさのリスクがひくいグループ(「アスピリン投与とうよ」グループ)で発生はっせいしており、編集へんしゅうしゃはこの省略しょうりゃくが "アスピリン投与とうよぐんとアスピリン投与とうよぐんあいだ心筋梗塞しんきんこうそくのリスクにがあるという誤解ごかいまね結論けつろんをもたらした "と指摘してきしています。アスピリン投与とうよぐん心筋梗塞しんきんこうそく相対そうたいリスクは、2.25から3に増加ぞうかした(ただし、統計とうけいてきには有意ゆういではなかった)。編集へんしゅうしゃは、このグループのじゅうあつし栓塞せんそくせんしょうのリスクが統計とうけいてき有意ゆうい(2ばい)に増加ぞうかしたことも指摘してきした。この結果けっかは、メルクしゃがNEJM報告ほうこくしていなかったものであるが、メルクしゃ発表はっぴょうの8ヵ月かげつまえの2000ねん3がつ情報じょうほう公開こうかいしていた[29]

メルクしゃ以外いがい著者ちょしゃふくほん研究けんきゅう著者ちょしゃらは、追加ついかの3つの心臓しんぞう発作ほっさ事前じぜん規定きていされたデータ収集しゅうしゅうのカットオフ以降いこう発生はっせいしたものであり、適切てきせつふくまれていないと反論はんろんした(事前じぜん規定きていされたカットオフ利用りようすることは、ナプロキセンの集団しゅうだんにおける追加ついか脳卒中のうそっちゅう報告ほうこくしないことを意味いみする)。さらに、今回こんかい追加ついかデータはほん試験しけん結論けつろん質的しつてきえるものではなく、完全かんぜん解析かいせき結果けっかはFDAに開示かいじされ、Vioxxの警告けいこくラベルにも反映はんえいされていると主張しゅちょうしている。さらに、「省略しょうりゃくされた」ひょうのデータはすべて論文ろんぶん本文ほんぶん掲載けいさいされていたとべている[30]

NEJMは、論文ろんぶんなかでカットオフの日付ひづけ言及げんきゅうされておらず、また、こころ血管けっかん有害ゆうがい事象じしょうのカットオフが胃腸いちょう有害ゆうがい事象じしょうのカットオフよりもさきであることも報告ほうこくされていないことを指摘してきした。カットオフのちがいにより、Vioxxの報告ほうこくされたベネフィット(胃腸いちょう障害しょうがい軽減けいげん)は、リスク(心臓しんぞう発作ほっさ増加ぞうか)にくらべて増加ぞうかした[29]

一部いちぶ科学かがくしゃは、NEJM編集へんしゅう委員いいんかい根拠こんきょのない非難ひなんをしていると非難ひなんしている[31][32]。また一方いっぽうで、この論説ろんせつ賞賛しょうさんするこえもある。著名ちょめい研究けんきゅうしゃである心臓しんぞうびょう学者がくしゃのEric Topolは[33]、メルクしゃの「データの操作そうさ」を非難ひなんし、「これで科学かがくてき不正ふせい行為こうい裁判さいばん本当ほんとう完全かんぜん裏付うらづけられたとおもう」とべている[34]。また、権威けんいあるJournal of the American Medical Associationの編集へんしゅうちょうであるPhil Fontanarosaは、この社説しゃせつ歓迎かんげいし、「これは、産業さんぎょうかいがスポンサーとなっている研究けんきゅう信頼しんらいせい信用しんようについてしん懸念けねんしている、最近さいきんながれいひとつである」とべている[35]

2006ねん5がつ15にち、ウォール・ストリート・ジャーナルは、外部がいぶ広報こうほう専門せんもん作成さくせいし、懸念けねん表明ひょうめい発表はっぴょうされる数時間すうじかんまえにジャーナルしゃのスタッフにおくられた深夜しんや電子でんしメールが、「この非難ひなんは、メルクしゃへの注意ちゅういをそらし、Vioxxの販売はんばいたすけたNEJM自身じしん役割やくわりをメディアが無視むしするように仕向しむけるだろう」と予測よそくしていたとほうじた[36]

内部ないぶ電子でんしメールによると、NEJMの懸念けねん表明ひょうめいは、エグゼクティブ・エディターのGregory CurfmanがVioxx研究けんきゅうあつかいについて不利ふりになる可能かのうせいのある告白こくはくをした宣誓せんせい証言しょうげんから注意ちゅういをそらすためのタイミングだった。Curfmanは、バイオックス訴訟そしょう一環いっかんとしておこなわれた宣誓せんせい証言しょうげんなかで、いい加減かげん編集へんしゅうが、著者ちょしゃ論文ろんぶんなか誤解ごかいまねくような主張しゅちょうをするのに役立やくだったかもしれないとみとめている。」NEJMの“曖昧あいまいな”表現ひょうげんは、統計とうけい情報じょうほうふくまない空欄くうらんひょうではなく、メルクしゃ追加ついかの3つの心臓しんぞう発作ほっさかんするデータを削除さくじょしたと記者きしゃ誤解ごかいさせたとべている。「ニューイングランド・ジャーナルしゃは、これらのあやまりを訂正ていせいさせようとはしなかったとしている。[36]調査ちょうさ結果けっか、メルクしゃすうねんぶん心臓しんぞう発作ほっさのリスク上昇じょうしょう示唆しさする情報じょうほうっていたことが判明はんめいし、ふく社長しゃちょうのEdward Scolnickはこの情報じょうほう隠蔽いんぺいした責任せきにんおおくをうことになった[37][38][39]

FDAの審査しんさかんは1999ねんしん血管けっかんリスクの可能かのうせい認識にんしきしていた[40]。メルクしゃ外部がいぶ審査しんさ委員いいんかい諮問しもんした1週間しゅうかん心電図しんでんず検査けんさ結果けっか操作そうさし、試験しけん対象たいしょうしゃからこうリスク因子いんし除外じょがいすることで効果こうかみとめないようにしていたと主張しゅちょうしたが、メルクしゃ検査けんさ変更へんこうはそのやく3ヵ月かげつまえさかのぼ[41]

アルツハイマーびょう

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メルクしゃは、2000ねんと2001ねんに、ロフェコキシブがアルツハイマーびょう発症はっしょうおくらせるかどうかを調しらべるために、いくつかの研究けんきゅう実施じっしした。メルクしゃは、ロフェコキシブとプラセボ鎮痛ちんつうざいではなく)を比較ひかくした比較的ひかくてきだい規模きぼ試験しけん患者かんじゃやく3,000にん)であることを理由りゆうに、これらの試験しけん重視じゅうししている。これらの研究けんきゅうでは、ロフェコキシブ患者かんじゃ死亡しぼうりつ上昇じょうしょうみとめられたが、その死亡しぼうりつがいして心臓しんぞう関連かんれんしたものではなく、ロフェコキシブによるこころ血管けっかんリスクの上昇じょうしょうみとめられなかった[42]。2004ねん以前いぜん、メルクしゃはこれらの研究けんきゅうを、VIGOR試験しけんとはぎゃくに、ロフェコキシブの安全あんぜんせいしめ証拠しょうことしていた。

APPROVe試験しけん

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2001ねん、メルクしゃはAPPROVe(Adenomatous Polyp PRevention On Vioxx)試験しけん開始かいしした。この試験しけんは、大腸だいちょうポリープ予防よぼうたいするロフェコキシブの有効ゆうこうせい評価ひょうかすることをおも目的もくてきとした3年間ねんかん試験しけんである。セレコキシブはすでにこの適応症てきおうしょう承認しょうにんされており、ロフェコキシブの適応症てきおうしょうにも追加ついかされることが期待きたいされていた。また、ほん試験しけんでは、ロフェコキシブのしん血管けっかんけい安全あんぜんせいをさらに評価ひょうかすることも目的もくてきとしていた[よう出典しゅってん]

APPROVe試験しけんは、ロフェコキシブ投与とうよ18ヵ月かげつから血栓けっせんせいこころ血管けっかんけい有害ゆうがい事象じしょう心筋梗塞しんきんこうそく脳卒中のうそっちゅうふくむ)の相対そうたいリスクが上昇じょうしょうするという予備よびてきデータがられたため、早期そうき終了しゅうりょうした。ロフェコキシブを服用ふくようした患者かんじゃプラセボ服用ふくようした患者かんじゃでは、これらのイベントの相対そうたいリスクは1.92であった(100患者かんじゃねんあたり、ロフェコキシブ1.50イベント、プラセボ0.78イベント)。APPROVe試験しけん最初さいしょの18ヵ月かげつあいだ結果けっかでは、こころ血管けっかんイベントの有害ゆうがい事象じしょう相対そうたいリスクの増加ぞうかみとめられなかった。さらに、ぜん死亡しぼうりつおよびこころ血管けっかん死亡しぼうりつは、ロフェコキシブ投与とうよぐんとプラセボ投与とうよぐん同等どうとうであった[43]

以上いじょうのことから、APPROVe試験しけんでは、ロフェコキシブを長期ちょうきてき使用しようした場合ばあい、プラセボを投与とうよされた患者かんじゃ比較ひかくして、心臓しんぞう発作ほっさまたは脳卒中のうそっちゅう発症はっしょうするリスクがやく2ばいになることが示唆しさされた。

その試験しけん

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APPROVe試験しけんのような承認しょうにんまえだい3そう臨床りんしょう試験しけんでは、ロフェコキシブの使用しよう開始かいしから18ヵ月かげつあいだ有害ゆうがいしん血管けっかんイベントの相対そうたいてきなリスクが増加ぞうかしないことがしめされた(Merck, 2004)。また、承認しょうにんまえ臨床りんしょう試験しけんである「090試験しけん」では、プラセボと比較ひかくしてこころ血管けっかんイベントが3ばいナブメトンべつのNSAID)と比較ひかくして7ばい心臓しんぞう発作ほっさ脳卒中のうそっちゅう合計ごうけいりょう対照たいしょうぐん比較ひかくして8ばい増加ぞうかしたことも指摘してきされている[44][45]。この試験しけん比較的ひかくてき小規模しょうきぼなものであり、統計とうけいてき有意ゆうい結果けっかられたのは最後さいご結果けっかのみであったが、批評ひひょうは、この初期しょき発見はっけんにより、メルクしゃはロフェコキシブのしん血管けっかんけい安全あんぜんせいかんするよりだい規模きぼ試験しけん早急そうきゅう実施じっしすべきであったと主張しゅちょうしている。メルクしゃは、090試験しけん終了しゅうりょうした時点じてんで、すでにVIGOR試験しけん開始かいししていたとしている。VIGOR試験しけんは、おもにロフェコキシブの新規しんき用途ようと実証じっしょうすることを目的もくてきとしていたが、こころ血管けっかんけい有害ゆうがい事象じしょうかんするデータも収集しゅうしゅうした。

いくつかの非常ひじょうだい規模きぼ観察かんさつ研究けんきゅうでも、ロフェコキシブによる心筋梗塞しんきんこうそくのリスク上昇じょうしょうみとめられている。たとえば、113,000にんのカナダじん高齢こうれいしゃ対象たいしょうとした最近さいきんうし研究けんきゅうでは、Vioxxの使用しようにより心臓しんぞう発作ほっさ相対そうたいリスクが1.24とぎりぎり統計とうけいてき有意ゆうい増加ぞうかし、こう用量ようりょうのVioxxの使用しようでは相対そうたいリスクが1.73となることが示唆しさされた(Levesque, 2005)。カイザーパーマネンテ米国べいこく健康けんこう保険ほけんシステムのひとつ)のデータをもちいたべつ研究けんきゅうでは、セレコキシブを現在げんざい使用しようしている場合ばあい比較ひかくして、てい用量ようりょうのVioxx使用しようでは1.47の相対そうたいリスク、こう用量ようりょうのVioxx使用しようでは3.58の相対そうたいリスクがみとめられたが、かずすくなく統計とうけいてきには有意ゆういではなく、集団しゅうだん比較ひかくした相対そうたいリスクも統計とうけいてきには有意ゆういではなかった(Graham, 2005)。

さらに、JAMAに掲載けいさいされた114の作為さくい試験しけん合計ごうけい116,000にん以上いじょう参加さんかしゃ対象たいしょうとしたより最近さいきんメタスタディでは、Vioxxがじん疾患しっかん心臓しんぞう不整脈ふせいみゃくのリスクをたんざい増加ぞうかさせることがしめされた[46]

そののCOX-2阻害そがいやく

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2005ねん、FDAは、当時とうじ承認しょうにんされていたほかのCOX-2選択せんたくてきNSAID(セレコキシブ、バルデコキシブ)とともに、ロフェコキシブはプラセボと比較ひかくしておもあつ有害ゆうがい事象じしょうのリスクがたかいと結論けつろんづけるメモを発表はっぴょうした。また、入手にゅうしゅ可能かのうなデータでは、これらの薬剤やくざいをCVリスクにかんしてランクけすることはできないとした[7]

米国べいこくでは、Celebrex(一般いっぱんめい:celecoxib)のみが現在げんざい販売はんばいされている。

世界せかい規制きせい当局とうきょくは、現在げんざい販売はんばいされているCOX-2阻害そがいざいについて、こころ血管けっかんリスクにかんする警告けいこくもとめている。たとえば、2005ねんにEUの規制きせい当局とうきょくは、すべてのCOX-2阻害そがいざい製品せいひん情報じょうほうおよび/または包装ほうそう以下いか変更へんこうもとめた[47]

  • COX-2阻害そがいざいは、きょせいこころ疾患しっかんおよびのう血管けっかん疾患しっかん脳卒中のうそっちゅう)、ならびに末梢まっしょう動脈どうみゃく疾患しっかんゆうする患者かんじゃには使用しようしてはならないという禁忌きんき事項じこう
  • 高血圧こうけつあつこうあぶらしょうこうコレステロール)、糖尿とうにょうびょう喫煙きつえんなどのしん疾患しっかん危険きけん因子いんしゆうする患者かんじゃにCOX-2阻害そがいざい処方しょほうするさいには、医療いりょう従事じゅうじしゃ注意ちゅういはらうようにとの警告けいこく強化きょうか
  • こころ血管けっかんリスクとCOX-2阻害そがいざいへの曝露ばくろとの関連かんれんせい考慮こうりょし、医師いし最小さいしょう有効ゆうこうりょう最短さいたん治療ちりょう期間きかん使用しようすることの推奨すいしょう

そののNSAID

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Vioxxが発売はつばいされて以来いらいのCOX-2阻害そがいざいだけでなく、のNSAIDのだい部分ぶぶんにもこころ血管けっかん悪影響あくえいきょうおよぼす可能かのうせいがあることがあきらかになった。Vioxxのようなくすり最近さいきん開発かいはつされてから、製薬せいやく会社かいしゃはこのような効果こうか立証りっしょうできるような十分じゅうぶん試験しけんおこなってきたが、このような試験しけんイブプロフェンジクロフェナクなどの旧来きゅうらいの「信頼しんらいできる」NSAIDではおこなわれていなかった。ただし、こう血小板けっしょうばん凝集ぎょうしゅう作用さようゆうするアスピリンナプロキセン例外れいがいとなる可能かのうせいがある。

McGettiganとCoxib and traditional NSAID Trialists (CNT) Collaboratorsによる2011ねんと2013ねん分析ぶんせきでは、おもあつこころ血管けっかんイベントのリスクは、ナプロキセンをのぞくCOX-2選択せんたくせいおよび選択せんたくせいNSAIDで用量ようりょう依存いぞんせいであった。選択せんたくせいNSAIDのこう治療ちりょう用量ようりょう (イブプロフェン2400mg/にち、ジクロフェナク150mg/にちなど)は、COX-2選択せんたくせいNSAID(ロフェコキシブなど)の治療ちりょう用量ようりょうちょう治療ちりょう用量ようりょうあわせたグループと比較ひかくして、どう程度ていどしん血管けっかんリスクをもたらした[48][49]

2014ねん、PatronoとBaigentは、現在げんざい入手にゅうしゅ可能かのうなすべてのデータをCirculationのレビュー記事きじにまとめ、消化しょうかかん毒性どくせいのぞいて、COX-2選択せんたくてきNSAIDの有効ゆうこうせい主要しゅようしんじん合併症がっぺいしょうも、COX-2選択せんたくせいたかさに影響えいきょうされないようであると結論けつろんづけた。かれらは、NSAIDに関連かんれんするしん血管けっかんリスクは、用量ようりょう期間きかん依存いぞんすると結論けつろんづけている[50]

この結論けつろんは、COX-2選択せんたくせいNSAIDであるセレコキシブと選択せんたくせいNSAIDであるイブプロフェンおよびナプロキセンとのあいだしん血管けっかんイベント発生はっせいりつがないことをしめしたセレコキシブPRECISION試験しけんの2016ねん結果けっかによって、さらに強化きょうかされた[51]

市場いちば撤退てったい

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APPROVe試験しけん結果けっかけて、メルクしゃは2004ねん9がつ30にちどうざい自主じしゅてき市場いちばからの撤退てったい発表はっぴょうした[52][53]

自社じしゃ研究けんきゅうくわえて、2004ねん9がつ23にち、メルクしゃは、ロフェコキシブ使用しようしゃ心臓しんぞう発作ほっさのリスクがたかまるという過去かこ知見ちけん裏付うらづける、FDAによるあたらしい研究けんきゅう情報じょうほうたようである(Grassley, 2004)。あるFDAのアナリストは、数学すうがくてきモデルにもとづいて、Vioxxが発売はつばいされた5年間ねんかんに88,000〜139,000けん心臓しんぞう発作ほっさこし、そのうち30〜40%は致命ちめいてきであったと推定すいていした。しかし、FDAの高官こうかんは、この推定すいていはあくまでも数学すうがくてきモデルにもとづくものであり、その解釈かいしゃくには注意ちゅうい必要ひつようであるとべている[54]

2004ねん11月5にち医学いがく雑誌ざっしThe Lancetは、ロフェコキシブの安全あんぜんせいかんする利用りよう可能かのう研究けんきゅうメタアナリシス発表はっぴょうした[55](Jüniら, 2004)。著者ちょしゃらは、こころ血管けっかんリスクがられていることから、ロフェコキシブはすうねんまえ発売はつばい中止ちゅうしにすべきであったと結論けつろんづけている。Lancetは、2000ねんから回収かいしゅうまでロフェコキシブをつづけたメルクしゃとFDAを非難ひなんする論説ろんせつ掲載けいさいした[56][57]。これにたいしてメルクしゃは、Jüniらのメタアナリシスについて、Jüniがしん血管けっかんリスクの増加ぞうかがないことをしめしたいくつかの研究けんきゅう省略しょうりゃくしていることを指摘してきした反論はんろん発表はっぴょうした[58]

メルクしゃ出資しゅっしした2006ねんの“Martinレポート”

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2005ねん、メルクしゃは2,100まんUSドルをとうじて、もとニューヨークみなみ地区ちく連邦れんぽう地方ちほう判事はんじのJohn S. Martin Jr.とDebevoise & Plimpton LLPの同僚どうりょうたちをやとい、Vioxxの研究けんきゅう結果けっかとメルクしゃおこなったコミュニケーションについて調査ちょうささせた。この報告ほうこくしょは、メルクしゃが「Martinレポート」とんでいたもので、2006ねん2がつ公表こうひょうされた。この報告ほうこくしょでは、メルクしゃ上層じょうそう善意ぜんい行動こうどうしており、Vioxxの臨床りんしょうてき安全あんぜんせいをめぐる混乱こんらんは、営業えいぎょうチームの熱心ねっしんぎる行動こうどうによるものであるとされている。提出ていしゅつされた報告ほうこくしょには、Vioxxにまつわる出来事できごととき系列けいれつ記載きさいされており、メルクしゃはその過程かていにおいて誠実せいじつ業務ぎょうむ遂行すいこうしていたつもりであったと記載きさいされている。臨床りんしょう試験しけん結果けっか不適切ふてきせつあつかいや情報じょうほう隠蔽いんぺいかんしてしょうじたミスは、悪意あくいのある行動こうどうではなく、過失かしつ結果けっかであると説明せつめいされている。報告ほうこくしょは、メルクしゃのマーケティングチームがVioxxの安全あんぜんせい誇張こちょうし、真実しんじつ情報じょうほう販売はんばい戦術せんじゅつもとづきえたと結論けつろんづけている[よう出典しゅってん]。メルクしゃは、委託いたくした報告ほうこくしょ結果けっか満足まんぞくし、勧告かんこく検討けんとうすることを約束やくそくした[59]。この報告ほうこくしょは、報道ほうどう機関きかんから独善どくぜんてきであると批判ひはんされた。メルクしゃは、報告ほうこくしょ独立どくりつしたものであり、メルクしゃは「調査ちょうさ結果けっか結論けつろんにまったく影響えいきょうあたえていない」と主張しゅちょうした。メルクしゃは、この報告ほうこくしょがメルクしゃたいする世間せけん認識にんしき改善かいぜんすることを期待きたいしていた[60]

FDAの見解けんかい

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2005ねん米国べいこくとカナダの諮問しもん委員いいんかいは、ロフェコキシブの利点りてん一部いちぶ患者かんじゃのリスクを上回うわまわるとし、ロフェコキシブの市場いちば復帰ふっき奨励しょうれいした。FDAの諮問しもん委員いいんかいは、心臓しんぞうのリスクをたかめることが判明はんめいしたにもかかわらず、17たい15で同薬どうやく市場いちば復帰ふっきみとめた。カナダでの投票とうひょうは12たい1でおこなわれ、カナダのパネルは、ロフェコキシブによるこころ血管けっかんリスクはイブプロフェンによるものよりわるくないようだとべたが、パネルはすべてのNSAIDのリスクプロファイルを完全かんぜん理解りかいするためにはさらなる研究けんきゅう必要ひつようであるともべた。これらの勧告かんこくにもかかわらず、メルクしゃはロフェコキシブを市場いちばもどしていない[61][62]

2005ねんのFDA諮問しもん委員いいんかいのち、FDAは、だい規模きぼ長期ちょうき対照たいしょう臨床りんしょう試験しけんのデータから、COX-2選択せんたくやく(ロフェコキシブをふくむ)が選択せんたくてきなNSAIDよりもおもあつこころ血管けっかんイベントのリスクがたかいことを明確めいかく証明しょうめいするものではないと結論けつろんづけるメモを発表はっぴょうした[7]

2015ねん、FDAはこの結論けつろん補強ほきょうし、「入手にゅうしゅ可能かのうなデータは、COX-2選択せんたくせいおよび選択せんたくせいNSAIDのおもあつ有害ゆうがいしん血管けっかんイベントのリスクを増加ぞうかさせる用量ようりょうおよび期間きかん依存いぞんするクラス効果こうか[ちゅう 1]支持しじする」とべている[8]

訴訟そしょう

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2006ねん3がつまでに、ロフェコキシブに関連かんれんした心臓しんぞう血管けっかんけい有害ゆうがい事象じしょうとメルクしゃ警告けいこく適切てきせつせいについて、メルクしゃたいして10,000けん以上いじょう訴訟そしょうと190けん集団しゅうだん訴訟そしょう提起ていきされた[63]最初さいしょ不法ふほう死亡しぼう英語えいごばん裁判さいばんであるRogersたいメルクしゃ裁判さいばんは、2005ねんはるにアラバマしゅう予定よていされていたが、メルクしゃ原告げんこくがロフェコキシブ使用しよう証拠しょうこ偽造ぎぞうしたと主張しゅちょうしたため、延期えんきされた[64]

2005ねん8がつ19にち、テキサスしゅう陪審ばいしんいんは、ロフェコキシブによる心臓しんぞう発作ほっさ死亡しぼうしたとされる59さい男性だんせい、Robert Ernstのについて、メルクしゃ責任せきにん投票とうひょうを10たい2で可決かけつした。メルクしゃは、ロフェコキシブの使用しようとの関連かんれんせいしめされていない不整脈ふせいみゃく原因げんいんであると主張しゅちょうした。陪審ばいしんいんは、Robert Ernstの未亡人みぼうじんであるCarol Ernstに2おく5340まんドルの損害そんがい賠償ばいしょうめいじた。しかし、テキサスしゅう法律ほうりつでは懲罰ちょうばつてき損害そんがい賠償ばいしょう上限じょうげんさだめられているため、この賠償ばいしょうがく上限じょうげんは2,610まんあめりかドル以下いかとなった[65]。メルクしゃ上訴じょうそし、2008ねん評決ひょうけつくつがえされた[66]。2005ねん11月3にち、メルクしゃはニュージャージーしゅうアトランティックシティでおこなわれた2けんのHumestonたいメルクの人身じんしん傷害しょうがい事件じけん勝訴しょうそした。原告げんこく軽度けいど心筋梗塞しんきんこうそく経験けいけんし、2ヶ月かげつあいだ服用ふくようしたロフェコキシブが原因げんいんであると主張しゅちょうした。メルクしゃは、ロフェコキシブがHumestonの傷害しょうがい原因げんいんであるという証拠しょうこはなく、使用しよう期間きかんみじかいロフェコキシブを心筋梗塞しんきんこうそくむすびつける科学かがくてき証拠しょうこはないと主張しゅちょうした。陪審ばいしんいんは、メルクしゃ医師いし患者かんじゃ薬剤やくざいのリスクを十分じゅうぶん警告けいこくしていたと判断はんだんした[67]

ロフェコキシブにかんする最初さいしょ連邦れんぽう裁判さいばんであるPlunkettたいメルクしゃ裁判さいばんは、2005ねん11月29にちにヒューストンで開始かいしされた。2005ねん12月12にち連邦れんぽう地方裁判所ちほうさいばんしょのEldon E. Fallon判事はんじは、8たい1で陪審ばいしんいん結論けつろんせなかった英語えいごばんため、無効むこう審理しんり宣言せんげんし、裁判さいばん終了しゅうりょうした。2006ねん2がつ、Vioxxの地区ちく訴訟そしょう英語えいごばん(MDL)がおこなわれているニューオリンズでの再審さいしんでは、原告げんこくがわがNEJMの編集へんしゅうしゃにVIGOR試験しけんへの異議いぎ証言しょうげんさせたにもかかわらず、陪審ばいしんいんはメルクしゃ責任せきにんみとめなかった[68]

2006ねん1がつ30にち、ニュージャージーしゅう裁判所さいばんしょは、Edgar Lee Boydが、Vioxxの服用ふくよう発生はっせいした胃腸いちょう出血しゅっけつをVioxxのせいにしてこした訴訟そしょう却下きゃっかした。裁判官さいばんかんは、ボイド胃痛いつう内出血ないしゅっけつ原因げんいん証明しょうめいできなかったとべた。

2006ねん1がつ、テキサスしゅうリオグランデシティでGarzaたいメルクしゃ裁判さいばんはじまった。71さい喫煙きつえんしゃ心臓しんぞうびょうわずらっていた原告げんこくは、ロフェコキシブの1週間しゅうかんぶんのサンプルをえた3週間しゅうかん心臓しんぞう発作ほっさこして死亡しぼうした。2006ねん4がつ21にち陪審ばいしんいん原告げんこくに700まんドルの補償ほしょうきんと2,500まんドルの懲罰ちょうばつてき損害そんがい賠償ばいしょうめいじた。その、サンアントニオのテキサスしゅう控訴こうそ裁判所さいばんしょは、Garzaの致命ちめいてき心臓しんぞう発作ほっさは、Vioxxの服用ふくようとは関係かんけいのない既存きそん健康けんこう状態じょうたい起因きいんするものである可能かのうせいたかいと判断はんだんし、3,200まんドルの陪審ばいしんいん判決はんけつくつがえした[69]

2006ねん4がつ5にち陪審ばいしんいんは、メルクしゃがVioxxの安全あんぜんせい適切てきせつ警告けいこくしなかったことを理由りゆうに、77さいのJohn McDarbyの心臓しんぞう発作ほっさたいする責任せきにんみとめ、McDarbyに450まんドルの補償ほしょうてき損害そんがい賠償ばいしょう支払しはらいをめいじた。2006ねん4がつ11にちおこなわれた審理しんり結果けっか陪審ばいしんいんはさらに900まんドルの懲罰ちょうばつてき損害そんがい賠償ばいしょうをメルクしゃめいじた。おなじく陪審ばいしんいんは、2番目ばんめ原告げんこくである60さいのThomas Conaの心臓しんぞう発作ほっさについてはメルクしゃ責任せきにんはないが、Conaに薬剤やくざい販売はんばいしたさい詐欺さぎ行為こういについては責任せきにんがあるとした。

2010ねん3がつ、オーストラリアのメルクしゃたいする集団しゅうだん訴訟そしょうでは、Vioxxが心臓しんぞう発作ほっさのリスクを2ばいにしたとし、メルクしゃ販売はんばいてきさない医薬品いやくひん販売はんばいしたことで、取引とりひき慣行かんこうほう取引とりひき慣行かんこうほう英語えいごばん違反いはんしたとの判決はんけつくだされた[70]

2007ねん11がつまでにメルクしゃは、メルクしゃと27,000けん個人こじん訴訟そしょう弁護士べんごしとのあいだで、「原告げんこくの85%が署名しょめいした場合ばあい」は集団しゅうだん訴訟そしょうおこなうのではなく、すべての訴訟そしょう個別こべつ実施じっしする戦略せんりゃくで、48おく5,000まんドルのだい規模きぼ不法ふほう行為こうい英語えいごばん和解わかい合意ごういしたと発表はっぴょうした[71][72]和解わかい訴訟そしょう担当たんとうした弁護士べんごしたちは、弁護士べんごし費用ひようとしてみとめられた3おく1,500まんドルについて係争けいそうした[73][74]最終さいしゅうてきには、裁判官さいばんかん原告げんこくがわ弁護士べんごしにどのように報酬ほうしゅうあたえるかを決定けっていした[75]。ルイジアナしゅう東部とうぶ地区ちく連邦れんぽう地方裁判所ちほうさいばんしょのEldon E. Fallon判事はんじは、原告げんこくがわ弁護士べんごしたいし、和解わかい金額きんがくの32%を報酬ほうしゅう上限じょうげんとするよう追加ついかめいじた[76]

以上いじょうのような弁護士べんごし報酬ほうしゅうをめぐるあらそいは、国中くになか学者がくしゃやオブザーバーに不法ふほう行為こうい改革かいかく検討けんとうさせるきっかけとなった。このテーマにかんする記事きじとしては、「Vioxx訴訟そしょう裁判さいばん戦術せんじゅつ不法ふほう行為こうい制度せいどだい規模きぼ不法ふほう行為こうい訴訟そしょうにおける弁護士べんごし役割やくわりについての批判ひはんてき考察こうさつ[77]、「10ねんのテキサスしゅう不法ふほう行為こうい改革かいかく訴訟そしょうすう減少げんしょう支払しはらいがく減少げんしょう[78]などがある。

2011ねん11月、メルクしゃは、Vioxxにかんする民事みんじじょう請求せいきゅう解決かいけつするために、マサチューセッツしゅう連邦れんぽう検事けんじきょく、および米国べいこくの43のしゅうとコロンビア特別とくべつとの個別こべつ和解わかい発表はっぴょうした[79]。この和解わかいにより、メルクしゃ民事みんじ責任せきにん免除めんじょえに、以前いぜん計上けいじょうした9おく5せんまんドルの予備よびの3ぶんの2を支払しはらうことに合意ごういしたが、さらに7つのしゅうとの訴訟そしょうのこっている。べつ刑事けいじ手続てつづきにおいて、メルクしゃは、しゅうえた医薬品いやくひん販売はんばい関連かんれんする連邦れんぽう軽犯罪けいはんざいつみみとめ、3おく2,160まんドルの罰金ばっきんされた[80]

市場いちばへの復帰ふっき可能かのうせい

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2017ねん11月、マサチューセッツしゅう拠点きょてんくTremeau Pharmaceuticalsしゃは、血友病けつゆうびょうせい関節かんせつしょう(HA)の治療ちりょうやくとしてロフェコキシブ(TRM-201)を市場いちば復帰ふっきさせる計画けいかく発表はっぴょうした。Tremeauしゃは、TRM-201(ロフェコキシブ)について、FDAがHAの治療ちりょうやくとしてオーファン指定していをしたこと、また、開発かいはつ計画けいかくについてFDAからフィードバックをけたことを発表はっぴょうした[9]。HAは、再発さいはつせい関節かんせつない出血しゅっけつによってこされる退行たいこうせい関節かんせつ疾患しっかんである。血友病けつゆうびょう患者かんじゃ最大さいだい合併症がっぺいしょうであり、米国べいこくでは現在げんざい承認しょうにんされている治療ちりょうほう存在そんざいしない。従来じゅうらいのNSAIDは、血小板けっしょうばん凝集ぎょうしゅうへの影響えいきょう消化しょうかかん潰瘍かいようのリスクがあるため[81]、この集団しゅうだんではけられており、HAの治療ちりょうには高力こうりきのオピオイドが現在げんざい標準ひょうじゅん治療ちりょうとなっている[82]

2019ねん3がつ、Tremeauしゃは、COX-2阻害そがいざい Vioxx(ロフェコキシブ)の多数たすう臨床りんしょう試験しけん製品せいひん開発かいはつチームのリーダーをつとめ、また経営けいえいじん監督かんとく担当たんとうしていたもとメルクしゃ社員しゃいん開発かいはつ責任せきにんしゃとして採用さいようしたことを発表はっぴょうした。また、Tremeauしゃはロフェコキシブの臨床りんしょう試験しけんおこなうことを発表はっぴょうし、治験ちけん責任せきにん医師いし募集ぼしゅうしている[83][84]

関連かんれん項目こうもく

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ a b NSAIDが普遍ふへんてき共通きょうつう作用さよう
  2. ^ 1にち2かい

脚注きゃくちゅう

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出典しゅってん

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外部がいぶリンク

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