ヴィオラ・ダモーレ

ヴィオラ・ダモーレ（viola d'amore）は、バロック時代じだい、特とくに17世紀せいきの終おわりから18世紀せいきの前半ぜんはんに用もちいられた、6ないし7弦げんの演奏えんそう弦つると同数どうすうの共鳴きょうめい弦つるを持もつ擦こす弦楽器げんがっきである。

構造こうぞうと音おと

ヴィオラ・ダモーレ（1770年ねん）

ヴィオラ・ダ・ガンバの類縁るいえんの楽器がっきとされるが、ヴィオラ・ダ・ブラッチョやヴァイオリンと同おなじように肩かたの上うえに乗のせて演奏えんそうする。ヴィオラ・ダモーレはヴァイオリンより演奏えんそう弦つるが多おおく、裏うら板ばんは平面へいめんであり指ゆび板ばんにフレットが存在そんざいしない。また、ヴァイオリンでいうf字じ孔あなの部分ぶぶんの形状けいじょうが異ことなっている。

イタリア語ごで「愛あいのヴィオラ」を意味いみする名前なまえのように甘美かんびで温あたたかい音色ねいろが生しょうじるのは、演奏えんそう弦つるの下したに金属きんぞく製せいの共鳴きょうめい弦つるがあるためである。レオポルト・モーツァルトは、自著じちょ『Versuch einer gründlichen Violinschule』に「夜よるの静しずけさには、特とくに魅力みりょく的てきな音おとだ」と記しるしている。

ヴィオラ奏者そうしゃが演奏えんそうすることが多おおい。

標準ひょうじゅん的てきな調しらべ弦つるは、低ひくいほうから A - d - a - d' - f#' - a' - d''

ヴィオラ・ダモーレと同様どうように共鳴きょうめい弦つるを持もった楽器がっきに、バリトン（baryton）がある。ノルウェーの民族みんぞく楽器がっきハーディングフェーレ（ハルダンゲルヴァイオリン）は、ヴィオラ・ダモーレから派生はせいしたものだといわれている。

関連かんれんする作曲さっきょく家か

• ビーバー
• ヴィヴァルディ：「ヴィオラ・ダモーレとリュートのための協奏曲きょうそうきょくニ短調たんちょう、RV540」「6つのヴィオラ・ダモーレ協奏曲きょうそうきょく集しゅう、RV392 - 397」
• J・S・バッハ
• ルクレール
• テレマン
• C・シュターミッツ：3つの独奏どくそう協奏曲きょうそうきょくを残のこしている。
• プッチーニ：「蝶々夫人ちょうちょうふじん」
• ヒンデミット：「ヴィオラ・ダモーレのための小しょうソナタ」、「室内しつない音楽おんがく第だい6番ばん」（ヴィオラ・ダモーレ協奏曲きょうそうきょく）
• プロコフィエフ：「ロメオとジュリエット」

外部がいぶリンク

• 知しられざるヴィオラ・ダモーレの世界せかい - ガース・ノックス インタビュー