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ヴェロキラプトル

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヴェロキラプトル
生息せいそく年代ねんだい: 中生代ちゅうせいだいはく亜紀あき後期こうき, 83–70 Ma
ヴェロキラプトル
Velociraptor mongoliensis骨格こっかく
地質ちしつ時代じだい
中生代ちゅうせいだいはく亜紀あき後期こうき - カンパニアン
分類ぶんるい
ドメイン : かく生物せいぶつ Eukaryota
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : 爬虫つな Reptilia
: りゅうばん Saurischia
: ししあし Theropoda
下目しため : テタヌラ下目しため Tetanurae
階級かいきゅうなし : デイノニコサウルスるい Deinonychosauria
: ドロマエオサウルス
Dromaeosauridae
階級かいきゅうなし : ドロマエオサウルスるい
Eudromaeosauria
: ヴェロキラプトル
Velociraptorinae Osborn, 1924
ぞく : ヴェロキラプトルぞく
Velociraptor
学名がくめい
Velociraptor
Osborn, 1924
和名わみょう
ヴェロキラプトル
下位かい分類ぶんるいぐんたね
  • V・モンゴリエンシス
    V. mongoliensis Osborn, 1924しきしゅ
  • V・オスモルスカエ
    V. osmolskae Godefroit et al., 2008

ヴェロキラプトル学名がくめいVelociraptor)は、やく8,300まん - やく7,000まんねんまえ中生代ちゅうせいだいはく亜紀あき後期こうき)のひがしアジアにあった大陸たいりく生息せいそくしていた小型こがた肉食にくしょく恐竜きょうりゅうししあしるいぞくす。化石かせきモンゴル中国ちゅうごくロシア東部とうぶから、V. mongoliensisV. osmolskae の2しゅ発見はっけんされている。当時とうじこれらの地域ちいき中央ちゅうおうアジア以西いせいとははなされた大陸たいりく一部いちぶであった(画像がぞう資料しりょう[1])。

体型たいけいはほっそりとしており、頭蓋骨ずがいこつおおきい。際立きわだった特徴とくちょうとして後肢あとあしおおきなかぎつめそなえる。羽毛うもう恐竜きょうりゅうであったとかんがえられる。

呼称こしょう

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ぞくめい Velociraptor は、ラテン語らてんご: velox語幹ごかん:veloci-)「素早すばやい」と、raptor強盗ごうとう略奪りゃくだつしゃ」との合成ごうせいで、「敏捷びんしょう略奪りゃくだつしゃ」とでもやくすべきもの。 英語えいごおと音声おんせい資料しりょう[2])は「ヴェロシラプター」にちかい。 中国ちゅうごくは「伶盗りゅう」(繁体字はんたいじ: 伶盗りゅう簡体字かんたいじ: 伶盗龙拼音: língdàolóng; リンタオロン)・「迅猛りゅう」(繁体字はんたいじ: 迅猛りゅう簡体字かんたいじ: 迅猛龙拼音: xùnměnglóng; シュンメンロン)。

たね小名しょうみょう mongoliensis化石かせき発見はっけんして「モンゴル(さん)の」のたね小名しょうみょう osmolskae は、ポーランド生物せいぶつ学者がくしゃハルシュカ・オズムルスカ(Halszka Osmólska)へのけんじめいである。

ヴェロキラプトルと表記ひょうきされることがおおいが、べロキラプトルと表記ひょうきされる場合ばあいもある。

発見はっけん

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ほんしゅ1922ねん米国べいこくじん生物せいぶつ学者がくしゃヘンリー・フェアフィールド・オズボーン隊長たいちょうとするアメリカ自然しぜん博物館はくぶつかん調査ちょうさたいにより、ゴビ砂漠ごびさばくのモンゴル国領こくりょうないバヤンザグ(英名えいめいFlaming Cliffs)にて発見はっけんされ、1924ねんかれによって記載きさいされた。東西とうざい冷戦れいせん1971ねんには、ポーランドとモンゴルの合同ごうどうチームが、ほんたねプロトケラトプス格闘かくとうする様子ようすめた化石かせき(「#かぎつめ」を参照さんしょう)を発見はっけん。さらには2007ねん生物せいぶつ学者がくしゃアラン・ターナーひとしがモンゴルにて、羽毛うもうがついていた証拠しょうこえる等間隔とうかんかくなら突起とっき(quill knobs)をゆうする前肢ぜんし化石かせき発見はっけん[3]つづ2008ねんには新種しんしゅ発見はっけんされ、V. osmolskae命名めいめいされた。

現在げんざいのところ、化石かせきはモンゴル、中国ちゅうごく内モンゴル自治うちもんごるじち、および、ロシアから発見はっけんされており、はく亜紀あき後期こうきひがしアジアにあった大陸たいりくでのみ生息せいそく確認かくにんされている。

恐竜きょうりゅう化石かせき多数たすう発見はっけんされるゴビ砂漠ごびさばくのバヤンザグ(モンゴル) Flaming Cliffs

形質けいしつ

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概要がいよう

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1924ねん、H・F・オズボーンによって記載きさいされたVelociraptor mongoliensis頭蓋骨ずがいこつ
人間にんげんとヴェロキラプトル(羽毛うもうつき)のおおきさ比較ひかく

全長ぜんちょうあたまどうちょう+尾長おながやく2.07メートル、腰高こしだかやく0.5メートル、推定すいてい体重たいじゅう最大さいだい15キログラム程度ていどで、あたまどうちょうにおけるそのおおきさはおおよそ七面鳥しちめんちょう程度ていどコヨーテ程度ていど表現ひょうげんされる。体格たいかくちいさく体型たいけいはほっそりとしており、頭蓋骨ずがいこつしてかなりおおきい。がる一方いっぽう眼窩がんか突出とっしゅつく、むしろ、へこんでいて全体ぜんたい弓形きゅうけい形状けいじょうしめす。また、最大さいだい頭骨とうこつちょう25センチメートルと非常ひじょうなが直線ちょくせんてきであり、これらの特徴とくちょうによってきんえんしゅ明確めいかく区別くべつされる。ほんしゅ際立きわだった特徴とくちょうとして後肢あとあしおおきなかぎつめそなえており、りのさい獲物えもの致命傷ちめいしょうあたえるのにもちいられたとされるが、その使用しよう方法ほうほう実際じっさいについてはがたとげ突型せつかれている。現在げんざいだとかぎつめ/シックルクローは、とげ突やのぼりにも使つかわれたものの、やはり斬撃ざんげきおも用途ようととしていたとされている。また、はし速度そくど最高さいこうで60km/hえる。

視覚しかく

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神経しんけい研究けんきゅうから、ヴェロキラプトルは頭部とうぶうごきにわせて眼球がんきゅうれを補正ほせいする能力のうりょくたかかったことがしめされており、これはほんしゅ活動かつどうてき肉食にくしょく動物どうぶつだったことをしめしている[4]

また、よるでもよくえていたとされる[5]

かぎつめ

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ヴェロキラプトルとプロトケラトプスの「闘争とうそう化石かせき」もしくは「格闘かくとう化石かせき」の標本ひょうほん

ヴェロキラプトルはプロトケラトプスと相討あいうちになった化石かせきつかっている(通称つうしょうは「闘争とうそう化石かせき」や「格闘かくとう化石かせき」)。これは2とうあらそったまま砂丘さきゅう崩落ほうらくや、こった砂嵐すなあらしまれるなどの結果けっか、2とうがほぼ同時どうじいきえたことで化石かせきしていた[6]両者りょうしゃたがいに致命傷ちめいしょうないし重傷じゅうしょうわせていた。とくにヴェロキラプトルは獲物えものの頸部(頸動みゃく気管きかん位置いちする喉笛のどぶえ)へ的確てきかくかぎつめ(正式せいしき名称めいしょうシックルクロー)を命中めいちゅうさせており、たいするプロトケラトプスは攻撃こうげきしゃ前腕ぜんわん(おおきな血管けっかんかよっている)へいていた。

なおヴェロキラプトルをはじめとするドロマエオサウルスシックルクロー用途ようと研究けんきゅうてんさんてんしており、黎明れいめいには「大物おおもの相手あいて斬撃ざんげき武器ぶきとして使つかわれていた」とされ[7]近年きんねんまではぎゃくに「形状けいじょうから判断はんだんしてとげ突用の武器ぶき移動いどうようのアイゼンわり」とされてきたが[8]最近さいきんではふたた斬撃ざんげき武器ぶきとしてかんがえられてきている[9]。その理由りゆう内側うちがわめん(断面だんめん)が紡錘形ぼうすいけいになっていること[10]あじ補強ほきょうする角質かくしつ存在そんざいげられる。

ヴェロキラプトル(した)とプロトケラトプスうえ)の格闘かくとう化石かせきもとづく想像そうぞう)

これらの研究けんきゅうまえた場合ばあい経緯けいい不明ふめいなれど、「闘争とうそう化石かせき」では、ヴェロキラプトルが下方かほうから一気いっき喉元のどもとねらってりかかったことになる[6]

羽毛うもう飛翔ひしょう能力のうりょく

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近年きんねんあいついで中国ちゅうごくから発見はっけんされたヴェロキラプトルにちか恐竜きょうりゅう化石かせきなかには、羽毛うもう痕跡こんせき保存ほぞんされているものもある。等間隔とうかんかく突起とっきは、鳥類ちょうるいにも共通きょうつうするもので、羽毛うもう証拠しょうこかんがえられる[11]。 このことから、とりつばさ前肢ぜんしっていたとかんがえられる。ただし、飛翔ひしょう能力のうりょくかったとされるので、その前肢ぜんしつばさべるかは議論ぎろん余地よちがある。

ともあれ、羽毛うもうそのものの痕跡こんせきではなくとも、ヴェロキラプトルの化石かせきからも羽毛うもう存在そんざい示唆しさする特徴とくちょう発見はっけんされるにいたり、かれらが羽毛うもう恐竜きょうりゅうであったことは確実視かくじつしされることとなった[よう出典しゅってん]。また、この事実じじつとそのほかの多方面たほうめんからの知見ちけん[よう出典しゅってん]によって、ほんたねもまた鳥類ちょうるいちか系統けいとう恐竜きょうりゅうであるとかんがえられている。

その

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ヴェロキラプトルのは、1993ねん製作せいさくのアメリカ映画えいがジュラシック・パーク』で一般いっぱんにもひろられるようになった。しかし、原作げんさくである小説しょうせつ知恵ちえ厄介やっかいものとしてえがかれている小型こがた恐竜きょうりゅう「ラプトル」のモデルが記述きじゅつ内容ないようから判断はんだんしてヴェロキラプトル・モンゴリエンシスであるのにたいして、映画えいがでモデルとされたのはデイノニクスであった。映画えいがでアドバイザーを担当たんとうした生物せいぶつ学者がくしゃジャック・ホーナーによれば、監督かんとくスティーヴン・スピルバーグは「ヴェロキラプトル」という名前なまえり、名前なまえだけを使用しようしたという[12]

これはヴェロキラプトルとデイノニクスを同属どうぞくなす当時とうじあったせつじゅんじてのものであるらしいが、発見はっけんされているヴェロキラプトル自身じしんおおきさはコヨーテ程度ていどであり、頭蓋骨ずがいこつ形状けいじょうちがいや生息せいそくした時代じだいのずれなどから、今日きょうでは否定ひていされている。

たか知能ちのうち、ある程度ていど社会しゃかいせい集団しゅうだんりをしていたようにえがかれているが、集団しゅうだんりをおこなったとされる化石かせき発見はっけんされたことはいまのところい。

また、プロトケラトプスとたたかっている状態じょうたいのままの化石かせきつかっている。

分類ぶんるい体系たいけい

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関連かんれん項目こうもく

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資料しりょう

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  • Paul, Gregory S. (1988). Predatory Dinosaurs of the World.
  • 小学しょうがくけん図鑑ずかんNEO 恐竜きょうりゅう

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ やく9,000まんねんまえ大陸たいりく配置はいち(Late Cretaceous (90Ma))、および、やく6,500まんねんまえK-T境界きょうかいうえ)の大陸たいりく配置はいち(K-T (65Ma)[1])。この2つの中間ちゅうかんにあたるいち時期じきを、ヴェロキラプトルはみぎじょう大陸たいりくきていた。 - Mollewide Plate Tectonic Maps [2]
  2. ^ Velociraptor - howjsay.com当該とうがい文字もじにカーソルをわせればかえ聴取ちょうしゅ可能かのう
  3. ^ Velociraptor Had Feathers - ScienceDaily.com (2007-9-20)
  4. ^ The endocranium and trophic ecology of Velociraptor mongoliensis(:2020)
  5. ^ 川上かわかみ和人かずと鳥類ちょうるい学者がくしゃ 無謀むぼうにも恐竜きょうりゅうかたる』新潮社しんちょうしゃ、2018ねん7がつ1にちISBN 978-4-10-121511-2 [ようページ番号ばんごう]
  6. ^ a b “The Fighting Dinosaurs”: The position of their bodies before and after death (2016) https://search.proquest.com/openview/f475844574f37129abe4142e17dd5441/1?pq-origsite=gscholar&cbl=2034511
  7. ^ Ostrom, John Harold (1970). "Stratigraphy and paleontology of the Cloverly Formation (Lower Cretaceous) of the Bighorn Basin area, Wyoming and Montana". Bulletin of the Peabody Museum of Natural History. 35: 1–234.
  8. ^ Fowler, D. W.; Freedman, E. A.; Scannella, J. B.; Kambic, R. E. (2011). Farke, Andrew Allen (ed.). "The Predatory Ecology of Deinonychus and the Origin of Flapping in Birds". PLoS ONE. 6 (12): e28964.
  9. ^ Testing the function of dromaeosaurid (Dinosauria, Theropoda) ‘sickle claws’ through musculoskeletal modelling and optimization https://peerj.com/articles/7577/
  10. ^ DePalma, R.A; Burnham, D.A; Martin L.D; Larson P.L; Bakker R.T (2015-10-01). “The first giant raptor (Theropoda: Dromaeosauridae) from the Hell Creek Formation”. Paleontological Contributions 14: 1-16.
  11. ^ 等間隔とうかんかく突起とっき画像がぞう
  12. ^ 2011ねん12月7にち放送ほうそう BBC地球ちきゅう伝説でんせつ「ジュラシック・パーク 真実しんじつ物語ものがたり」より

外部がいぶリンク

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