(Translated by https://www.hiragana.jp/)
羽毛 - Wikipedia コンテンツにスキップ

羽毛うもう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

羽毛うもう(うもう、えい: Feather)とは、鳥類ちょうるいおよび(一部いちぶの)恐竜きょうりゅうつばさりゅう[1]からだひょうおお表皮ひょうひ変形へんけいぶつである。皮膚ひふからケラチンしつのもので、爬虫類はちゅうるいうろこ哺乳類ほにゅうるいもう相当そうとうする。飛翔ひしょうにおいて重要じゅうよう役割やくわりたし、浮力ふりょく保温ほおんため空気くうきたくわえる役割やくわりおおきい。

構造こうぞう

[編集へんしゅう]
羽毛うもうせいはね)の構造こうぞう
  1. 羽根はね
  2. はねじく
  3. はねえだ
  4. こうはね
  5. 翮(かく)
はね

羽毛うもうには「せいはね(せいう)」と「綿めん(めんう)」がある[2]

せいはねいたじょう羽毛うもうで、中心ちゅうしんはねじくとその両側りょうがわはねべんからなり、はねべん多数たすうはねえだはね小枝さえたがいにかぎくみわさっている。からだ表面ひょうめんじょうの「はね」とよばれる特定とくてい領域りょういきえる。

綿めんいたじょうにならない羽毛うもうで、かさなりったせいはねしたえ、はねじくがないか、あっても非常ひじょうやわらかく、はね小枝さえかぎむすっていない。ふわふわしたざわりで、おも保温ほおん防水ぼうすい役割やくわりたす。

羽毛うもうすくなくともとしいちかいわる。はじめは「はねさや(うしょう)」につつまれ、血管けっかんからの養分ようぶんによって成長せいちょうし、やがて色素しきそそら胞ができうつくしいいろはっする。

機能きのう

[編集へんしゅう]

羽毛うもうには以下いか機能きのうがある[2]

  • 体温たいおん保持ほじ鳥類ちょうるい恒温こうおんせいには不可欠ふかけつ
  • 飛翔ひしょうつばさせいはね飛翔ひしょうもちいられる。
  • 外形がいけいりゅう線形せんけいからだ飛翔ひしょうてきしたりゅう線形せんけいからだ外形がいけいつくる。
  • ばちすいからだみずく。
  • 求愛きゅうあいディスプレイ(一部いちぶたね

進化しんか

[編集へんしゅう]
羽毛うもう進化しんか段階だんかい

羽毛うもう鳥類ちょうるい特徴とくちょうであるが、最近さいきんでは鳥類ちょうるい恐竜きょうりゅうにも羽毛うもうえていたことはひろ定説ていせつになっている。(羽毛うもう恐竜きょうりゅう参照さんしょう。)また、つばさりゅうにも羽毛うもう確認かくにんされている[1]

羽毛うもうは、以下いか段階だんかい進化しんかしたとかんがえられている[3]

  1. たんえだ
  2. 複数ふくすうえだ基部きぶ結合けつごう
  3. 複数ふくすうえだ基部きぶ中央ちゅうおうえだ結合けつごう
  4. 中央ちゅうおうえだ沿って複数ふくすうえだ分岐ぶんき
  5. まく構造こうぞう先端せんたんから複数ふくすうえだしょうじる
  6. はねじくはねえだはねべんからなる対称たいしょう羽毛うもう
  7. はねじくはねえだはねべんからなる対称たいしょう非対称ひたいしょう羽毛うもう
  8. はねじく分化ぶんか羽毛うもう

人間にんげんによる利用りよう

[編集へんしゅう]

人間にんげん利用りようという観点かんてんからは、とく綿めんを「羽毛うもう」とび、せいはねを「羽根はね」とぶことがおおいようである。

綿めん羽毛うもう

[編集へんしゅう]
綿めん。ダウン。

寝具しんぐ防寒ぼうかん中綿なかわたとして使用しようされるふわふわした羽毛うもうはね根毛こんもうダウンなどともぶ。

構造こうぞう特徴とくちょう

羽毛うもう1つ1つはダウンボールとばれ、なかかくからのひらのようにはねえだがたくさんひろがった構造こうぞうっている。はねえだひろげた羽毛うもう同士どうしあつまるとおおくの空気くうき保持ほじすることができ、それが保温ほおんそうとなって保温ほおんりょくたもつ。羽毛うもうはねえだやわらかいが復元ふくげんせいすぐれ、空気くうきふくむためのかさ(かさ)をかせぎやすくなっている。雛鳥ひなどりよりも成鳥せいちょうかられた羽毛うもうほうが1つ1つのダウンボールがおおきいためかさ保温ほおんせいたかい。

用途ようとなど

おおくの空気くうきむことができ保温ほおんせいすぐれていることから、衣料いりょうひんダウンジャケット)、布団ふとん羽毛うもう布団ふとん)、寝袋ねぶくろ(シュラフ)、まくらとしてもちいられる。これらの素材そざいにはこう緯度いど地域ちいき飼育しいくされた、カモ家禽かきんガチョウアヒル)のむね付近ふきん綿毛わたげもちいられていることがおおい。ガチョウの胸毛むなげはグースダウンとばれ、アヒルの胸毛むなげはダックダウンとばれている。

せいはね羽根はね

[編集へんしゅう]

とり羽毛うもうのうちでもじくとおったもの、はねじょうととのったもの、うつくしいものは、それぞれに重宝ちょうほうされ、さまざまな用途ようと使つかわれてきた。

用途ようとなど
風切かざき

空中くうちゅうされる物体ぶったいけて、軌道きどう安定あんていさせるなどの効果こうか利用りようする。プラスチック以前いぜん時代じだいには、このような用途ようとにはとり羽根はね最適さいてき素材そざいであった。

ペン

英語えいご pen がラテン語らてんご penna 「羽根はね」に由来ゆらいすることからもわかるように、西洋せいようけんではもっとはやくにひろ普及ふきゅうした筆記具ひっきぐ羽根はねペンであった。羽根はねじく中空ちゅうくうになっていて適量てきりょうインク保持ほじできる。これを適時てきじインクにひたしながらいたものである。

装飾そうしょく

宗教しゅうきょうてき呪術じゅじゅつてき意味いみづけや、のちにはおもに審美しんびてき理由りゆうから、装身具そうしんぐとしても多用たようされてきた。民族みんぞく衣装いしょう羽根はね使つかっている民族みんぞくおおい。

意思いし表示ひょうじ

詳細しょうさい寄付きふ#募金ぼきん義援金ぎえんきん形態けいたい参照さんしょう特定とくていいろめた羽根はねにつけることで思想しそう運動うんどうへの賛意さんい表明ひょうめいするもの。またチャリティー啓発けいはつキャンペーンのアイキャッチにも利用りようされる。

フェザーミール

食肉しょくにく処理しょりによりしょうじたしょくとり羽毛うもうは、フェザーミールとして飼料しりょう肥料ひりょうもちいられる。

その
転義てんぎなど
  • 機械きかいなどでいたじょう部品ぶひん多数たすう使用しようされているときに、そのひとつひとつを羽根はねぶことがある。「水車みずぐるま羽根はね」「タービン羽根はね」「ラジエーター羽根はね」など。
  • 天気てんきにおいて風向ふうこう風力ふうりょくあらわ記号きごう羽根はねぶ。
  • しょう餃子ぎょうざげるさい底面ていめんにできる薄皮うすかわ羽根はねぶ(羽根はねつき餃子ぎょうざ)。
  • かるいという意味いみ使つかことがある、ボクシングのフェザーきゅうなど。

健康けんこうへの影響えいきょう

[編集へんしゅう]

羽毛うもうから発生はっせいするほろ粉塵ふんじん長期間ちょうきかんんだ場合ばあい羽毛うもうたいするアレルギーがしょう過敏かびんせい肺炎はいえんあいだしつせい肺炎はいえん発症はっしょうすることがある[4][5]。しかし、自身じしんとり関連かんれん過敏かびんせい体質たいしつであることにがつかないまま重症じゅうしょうし、「特発とくはつせいあいだしつせい肺炎はいえん」や「特発とくはつせいはい線維せんいしょう」と診断しんだんされるが有効ゆうこう治療ちりょうおこなえず慢性まんせい過敏かびんせい肺炎はいえん重症じゅうしょうするれい報告ほうこくされている[6][7]

ファッション産業さんぎょうにおける羽毛うもう利用りよう問題もんだい

[編集へんしゅう]

毛皮けがわ動物どうぶつ福祉ふくし観点かんてんから忌避きひされにつれて、羽毛うもう利用りようえている。しかし羽毛うもう利用りよう野生やせい動物どうぶつ殺害さつがい生物せいぶつ多様たようせい損失そんしつともなうこと、また羽毛うもう採取さいしゅ過程かていで、ダチョウ、クジャク、キジ、その鳥類ちょうるい多大ただい苦痛くつう切除せつじょ不当ふとう屠殺とさつおこなわれてる問題もんだい指摘してきされている[8]

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]
  1. ^ a b Cincotta, A., Nicolaï, M., Campos, H.B.N. et al. Pterosaur melanosomes support signalling functions for early feathers. Nature (2022). https://doi.org/10.1038/s41586-022-04622-3
  2. ^ a b コトバンク 羽毛うもう
  3. ^ Xu, X.; Guo, Y. (2009). "The origin and early evolution of feathers: insights from recent paleontological and neontological data". Vertebrata PalAsiatica. 47 (4): 311–329.
  4. ^ 過敏かびんせい肺炎はいえん MSDマニュアル プロフェッショナルばん
  5. ^ いねせら直彦なおひこ、「過敏かびんせい肺炎はいえん最近さいきん動向どうこう」『日本内科学会にほんないかがっかい雑誌ざっし』 105かん (2016) 6ごう p.991-996, doi:10.2169/naika.105.991
  6. ^ その難治なんじせい肺炎はいえん、ダウンジャケットが原因げんいんかも 日経にっけいメディカルオンライン 記事きじ:2016ねん10がつ21にち
  7. ^ 長坂ながさか行雄ゆきお、「咳嗽がいそう診療しんりょう」『呼吸こきゅう循環じゅんかん』 64かん 5ごう, p.479-484, 2016/5/15, doi:10.11477/mf.1404205957
  8. ^ FEATHERS ARE THE NEW FUR Cruelty in Disguise”. 20240604閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん

[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく

[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]