不ふ遷流

不ふ遷流ふせんりゅう
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発生はっせい国こく	日本にっぽん
発生はっせい年ねん	江戸えど時代じだい
創始そうし者しゃ	武田たけだ物ぶつ外がい
源流げんりゅう	難波なんば一いち甫はじめ流りゅう
派生はせい流派りゅうは	神明しんめい不ふ遷流、兼学けんがく流りゅう、神道しんとう不ふ遷流
主要しゅよう技術ぎじゅつ	柔術じゅうじゅつ、鎖鎌くさりがま、杖つえ、棒ぼう; 薙刀なぎなた、八重やえ鎌がま、十じゅう手て、乱みだれ捕ど、捕縄とりなわ術じゅつ
伝承でんしょう地ち	岡山おかやま県けん、広島ひろしま県けん、大阪おおさか、島根しまね
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不ふ遷流（ふせんりゅう）とは、江戸えど時代じだい末期まっきに武田たけだ物ぶつ外がい（「不ふ遷」は物もの外がいの法ほう諱いみな）が創始そうしした柔術じゅうじゅつ流派りゅうは。柔術じゅうじゅつ以外いがいに杖つえ術じゅつ・鎖鎌くさりがま術じゅつ・十じゅう手術しゅじゅつ・剣術けんじゅつ・薙刀なぎなた術じゅつを伝つたえる。武田たけだ流りゅう八はち重じゅう鎌がま（薙なぎ鎌がま術じゅつ）を併伝する。

歴史れきし

流ながれ祖その武田たけだ物ぶつ外がいは芸げい州しゅう藩はんの高橋たかはし猪いの兵衛ひょうえ満まん政せいから学まなんだ難波なんば一いち甫はじめ流りゅうを元もとに、揚あげ心しん流りゅう、渋川しぶかわ流りゅう、起おこり倒たおせ流りゅう、竹内たけうち流りゅう、関口せきぐち流りゅう等ひとしを修得しゅうとくし、工夫くふうを加くわえて不ふ遷流を創始そうしした。また北きた窓まど流りゅうに伝つたわっていた杖つえ術じゅつを採とり入いれた。

第だい2代だいの武田たけだ禎ただし治ち以降いこうに、他流たりゅうの柔術じゅうじゅつの優すぐれた技わざを採とり入いれた「他流たりゅうの型かた」が加くわえられた。

明治めいじ時代じだいに、講道館こうどうかん柔道じゅうどうを寝技ねわざで苦くるしめた柔術じゅうじゅつ家か・田邉たなべ又右衛門またえもんは当流とうりゅうの第だい4代だいである。また20世紀せいき初頭しょとうから戦前せんぜんにかけて、英国えいこくで他流たりゅう試合しあいに連戦れんせん連勝れんしょうした「スモール・タニ」こと谷たに幸雄ゆきおも同流どうりゅうの柔術じゅうじゅつ家か。

現在げんざいは岡山おかやま県けん、広島ひろしま県けん、大阪おおさか府ふ等とうで伝承でんしょうされている。

系譜けいふ

例れいとして関連かんれん流派りゅうはを含ふくめた一部いちぶの系譜けいふを以下いかに示しめす。

武田たけだ物ぶつ外がい
- 武田たけだ禎二ていじ義孝よしたか（旧姓きゅうせい:田辺たなべ）
  - 田辺たなべ虎次郎とらじろう義貞よしさだ
    - 田辺たなべ又右衛門またえもん義和よしかず
      - 田辺たなべ輝男てるお
        武田たけだ力つとむ（旧姓きゅうせい:田辺たなべ）
      - 吉田よしだ才ざい三さん義弘よしひろ
        井上いのうえ岩いわ吾われ義宗よしむね
        井上いのうえ一利かずとし義継よしつぎ
      - 三宅みやけ多留たる次じ
      - 谷たに幸雄ゆきお
      - 伏見ふしみ辰三郎たつさぶろう
      - 阪井さかい真しん市し
        三木みき説せつ三郎さぶろう
      - 鈴木すずき精一せいいち
      - 根木ねぎ金一きんいち
      - 小野おの金作きんさく
      - 小野おの保次郎やすじろう
      - 藤岡ふじおか了りょう空そら
      - 内藤ないとう一次かずつぐ
      - 秋田あきた磯いそ吉きち
      - 福間ふくま多賀たが太ふとし
      - 竹本たけもと岩三郎いわさぶろう
      - 原野はらの益治ますじ
      - 赤沢あかざわ義正よしまさ
        難波なんば徹とおる
        
        田野たの金三郎きんざぶろう
      - 北野きたの鉄子てつこ
      - 中杉なかすぎ増ぞう太ふとし義教よしのり
        西牧にしまき一雄かずお
      - 小林こばやし俊一郎しゅんいちろう
      - 小しょう角すみ彌わたる三さん次じ
    - 田辺たなべ武四郎たけしろう
    - 中山なかやま英三郎えいざぶろう（旧姓きゅうせい:田辺たなべ）
      - 中山なかやま和かず
        井上いのうえ一利かずとし義継よしつぎ
      - 小西こにし康裕やすひろ
    - 吉原よしはら亀ひさし助じょ禎ただし道どう
    - 矢部やべ馬うま太郎たろう
    - 田中たなか幸太郎こうたろう明光めいこう
    - 清水しみず浅あさ太郎たろう元久もとひさ
      - 城戸きど冨とみ次郎じろう資し政せい
    - 大石おおいし和かず𠮷
      - 大西おおにし德次郎とくじろう
  - 横溝よこみぞ喜代助きよすけ忠ちゅう房ぼう
    - 横溝よこみぞ清次せいじ源みなもと忠孝ただたか
      - 中西なかにし末松すえまつ
        中西なかにし亨とおる
  - 横溝よこみぞ清次せいじ源みなもと忠孝ただたか（横溝よこみぞ喜代助きよすけの弟子でしとなっている伝書でんしょもある）
    - 高橋たかはし藤ふじ之の丞すすむ
    - 小田おだ馬うま三郎さぶろう
      - 今城いましろ早はや吉きち
    - 岩井いわい茂しげる七郎しちろう源みなもと正義まさよし（神明しんめい不ふ遷流）
      - 古こ永えい鉄山てつざん
        瀧本たきもと鉄骨てっこつ（滝本たきもと派は不ふ遷流柔やわら体からだ術じゅつ）
  - 白神しらかみ伊い輔正則そく（兼学けんがく流りゅう）
    - 白神しらかみ光蔵みつぞう
    - 妹尾せのお宝たから三郎さぶろう
    - 古川ふるかわ壮たけし三さん
    - 田中たなか喜一郎きいちろう
      - 船ふね浅次郎あさじろう（倉敷くらしき市し連島つらじま、1945年ねん2月がつ不ふ遷流免許皆伝めんきょかいでん）
  - 田中たなか仲太郎なかたろう
  - 中島なかじま耕こう七なな
  - 小野おの長兵衛ちょうべえ
  - 小幡おばた惣右衛門そうえもん義守よしもり
    - 大島おおしま小三郎こさぶろう義次よしじ
      - 安原やすはら徳三郎とくさぶろう義尚よしなお
    - 中藤なかとう覺さとし助じょ義輝よしてる
      - 西牧にしまき一雄かずお（神道しんとう不ふ遷流）
  - 法泉寺ほうせんじ雲くも外がい
- 河内かわうち治郎じろう範はん実み
- 壇上だんじょう内蔵ないぞう太ふと
- 兼けん信しん久左衛門きゅうざえもん

内容ないよう

主おもな形かたちに、武田たけだ物ぶつ外がいの大変たいへん之これ業ぎょうと投捨なげすて業ぎょうの30形かたち、武田たけだ禎二ていじが編纂へんさんした秘法ひほう八はち形かたちと入にゅう身み七なな形がたなどがある。

秘法ひほう八はち形かたちは「残ざん合あい乱らん形がた」とも書かかれ、他流たりゅう柔術じゅうじゅつの優すぐれた技わざを採とり入いれたものである。

下記かきの形かたち以外いがいに、当身あてみ（死し之の當とう、急所きゅうしょなど）、活かつ法ほう、口伝くでんや心得こころえ、捕縄とりなわ術じゅつ、乱みだれ捕ど、各種かくしゅ武器ぶきなどが伝つたわっていた。

大變たいへん之これ業ぎょう十じゅう二形ふたなり: 磯之いその浪なみ　手先てさき返かえし　手先てさき返かえし; 車輪しゃりん　　鉄てつ粉こ　　蹴け返かえし; 微塵みじん　　反橋そりはし　　小車おぐるま; 後詰ごづめ　　八方はっぽう　　當とう勝かち
投捨なげすて業ぎょう十じゅう八はち形かたち: 手て搦　　錣取　　胸むね捕と; 瀧たき落　　曳腕　　追つい錣; 胸むね責せめ　　両手りょうて搦　頭あたま落; 手車てぐるま　　鉢はち落　　獨鈷とっこ; 空そら落　　向こう詰つめ　　大だい颪おろし; 釿落　　襟えり責せめ　　襟えり即死そくし
秘法ひほう八はち形かたち: 芸げい州しゅう廣島ひろしま　　澁川しぶかわ捕と; 筑前ちくぜん福岡ふくおか　　扱心抛ほう; 肥前ひぜん長崎ながさき　　心こころ當とう捕と; 肥こえ前嶋まえじま原げん　　楊心捕と; 肥後ひご熊本くまもと　　円心えんしん捕と; 石いし州しゅう津和野つわの　北きた窓まど捕と; 江戸えど神田かんだ　　磯いそ又また抛ほう; 江戸えど　　　　戸塚とつか責せめ
入にゅう身み七なな形かたち: 胸むね取と　　鳳おおとり燕つばめ　　小車おぐるま; 追つい錣　　手車てぐるま　　獨鈷とっこ; 羽はね落

脚注きゃくちゅう

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

注釈ちゅうしゃく

出典しゅってん

参考さんこう文献ぶんけん

高田たかだ道みち見み著ちょ『物もの外がい和尚おしょう逸いっ伝でん』仏教ぶっきょう館かん、1904年ねん
大園おおぞの市し蔵ぞう編へん『臺灣たいわん人物じんぶつ誌し』谷沢たにさわ書店しょてん、1916年ねん
中野なかの銀ぎん郎ろう著ちょ『接骨せっこつ學會がっかい紳士録しんしろく』接骨せっこつ學會がっかい事務じむ局きょく,1936年ねん
田中たなか誠一せいいち編へん『備作人名じんめい大だい辞典じてん坤ひつじさる卷まき』備作人名じんめい大だい辞典じてん刊行かんこう会かい、1937年ねん
尾道おのみち市し編へん『尾道おのみち市し史し中ちゅう巻まき』尾道おのみち市し、1940年ねん
中洲なかず町まち誌し編纂へんさん委員いいん会かい編へん『中洲なかず町まち誌し』中洲なかず町まち、1955年ねん
宗道そうどう臣しん著ちょ『秘伝ひでん少林寺拳法しょうりんじけんぽう禅ぜんの源流げんりゅう・中国ちゅうごく伝来でんらいの護身ごしん術じゅつ』光文社こうぶんしゃ、1963年ねん
寄島よりしま町まち誌し編へんさん委員いいん会かい編へん『寄島よりしま町まち誌し』寄島よりしま町まち、1967年ねん
船穂ふなお町まち誌し編集へんしゅう委員いいん会かい編へん『船穂ふなお町まち誌し』船穂ふなお町まち、1968年ねん
永山ながやま卯三郎うさぶろう編へん『倉敷くらしき市し史し. 第だい11冊さつ』名著めいちょ出版しゅっぱん、1974年ねん
綿谷わたや雪ゆき・山田やまだ忠史ただし編へん『増補ぞうほ大だい改訂かいてい武芸ぶげい流派りゅうは大だい事典じてん』東京とうきょうコピイ出版しゅっぱん部ぶ 1978年ねん
愛媛えひめ県けん史し編へんさん委員いいん会かい編へん『愛媛えひめ県けん史し人物じんぶつ』愛媛えひめ県けん、1989年ねん
細川ほそかわ呉くれ港こう著ちょ『柔術じゅうじゅつの遺恨いこん講道館こうどうかんに消けされた男おとこ田辺たなべ又右衛門またえもん口述こうじゅつ筆記ひっき』敬けい文ぶん舎しゃ、2022年ねん

外部がいぶリンク

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