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事業じぎょうぜい

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事業じぎょうぜい(じぎょうぜい)は、地方ちほう税法ぜいほう昭和しょうわ25ねん7がつ31にち法律ほうりつだい226ごう)にもとづき、法人ほうじんおこな事業じぎょうおよ個人こじんおこな一定いってい事業じぎょうたいして、その事業じぎょう事務所じむしょまた事業じぎょうしょ所在しょざいする道府県どうふけん税金ぜいきんである。前身ぜんしん営業えいぎょうぜい

個人こじん事業じぎょうたいしてすものを個人こじん事業じぎょうぜい法人ほうじん事業じぎょうたいしてすものを法人ほうじん事業じぎょうぜいぶことがおおいが、法文ほうぶんじょう同一どういつ税目ぜいもくであるためひとつの項目こうもく解説かいせつする。

法人ほうじんぜいにおける所得しょとく計算けいさんじょう道府県どうふけんみんぜいことなり事業じぎょうぜい損金そんきん算入さんにゅうみとめられている(法人ほうじん税法ぜいほう38じょう2こう)。また、同様どうよう所得しょとくぜいにおける事業じぎょう所得しょとく不動産ふどうさん所得しょとく山林さんりん所得しょとくざつ所得しょとく計算けいさんじょう事業じぎょうぜい必要ひつよう経費けいひへの算入さんにゅうみとめられている(所得しょとく税法ぜいほう45じょう)。

なお法人ほうじん事業じぎょうぜいは、法人ほうじん道府県どうふけんみんぜい地方ちほう法人ほうじん特別とくべつぜい特別とくべつ法人ほうじん事業じぎょうぜいとともに、申告しんこく更正こうせい決定けっていとうについて課税かぜい実務じつむじょうきわめておおきな関連かんれんせいがある。(ぞくに、法人ほうじんぜいあるいは国税こくぜい地方ちほう法人ほうじん特別とくべつぜい特別とくべつ法人ほうじん事業じぎょうぜいふくめて、法人ほうじんさんぜいわれる。また、法人ほうじんさんぜいというと、法人ほうじんぜい住民じゅうみんぜい事業じぎょうぜいすこともある。)

課税かぜい標準ひょうじゅん原則げんそく

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  • 個人こじん
    • 法定ほうてい業種ぎょうしゅ前年ぜんねんちゅう事業じぎょう所得しょとく(290まんえんをこえる場合ばあいのみ)
    • 法定ほうてい業種ぎょうしゅ以外いがい非課税ひかぜい
  • 法人ほうじん
    • 一般いっぱん法人ほうじん所得しょとく清算せいさん所得しょとく
    • 資本しほんきん出資しゅっし金額きんがくが1おくえんえる法人ほうじん外形がいけい標準ひょうじゅん課税かぜい平成へいせい16ねん4がつ1にち以降いこう開始かいしする事業じぎょう年度ねんどより適用てきよう後述こうじゅつ
    • 電気でんき供給きょうきゅうぎょう、ガス供給きょうきゅうぎょう生命せいめい保険ほけんぎょうおよ損害そんがい保険ほけんぎょういとな法人ほうじん収入しゅうにゅう金額きんがく

課税かぜい標準ひょうじゅんとなる所得しょとくは、原則げんそくとして所得しょとくぜい個人こじん事業じぎょうぬし場合ばあい)・法人ほうじんぜい法人ほうじん場合ばあい)のれいによって算出さんしゅつする。ただし、政策せいさくじょう課税かぜい技術ぎじゅつじょう観点かんてんとうから

  • 個人こじん法人ほうじん双方そうほうについて、林業りんぎょうにかかる所得しょとく非課税ひかぜいである。
  • 鉱業こうぎょうからしょうずる所得しょとく個人こじん法人ほうじんとも非課税ひかぜいである(ただし、せい課税かぜいされる)。
  • 個人こじんおよび医療いりょう法人ほうじんひとし一部いちぶ法人ほうじんについて、社会しゃかい保険ほけん診療しんりょうとうにかかる収入しゅうにゅう経費けいひ所得しょとく計算けいさん算入さんにゅうしない。
  • 個人こじんについて、事業主じぎょうぬし控除こうじょという年額ねんがく290まんえん(事業じぎょう所得しょとく計算けいさん期間きかんが1ねんたない場合ばあい月割つきわり)の所得しょとく控除こうじょもうけられている。
  • 個人こじんについて、青色あおいろ申告しんこく特別とくべつ控除こうじょみとめない。
  • 法人ほうじんについて、課税かぜいされた所得しょとく税額ぜいがく損金そんきん算入さんにゅうみとめない。
  • 法人ほうじんについて、連結れんけつ納税のうぜいみとめない。

など、いくつかの例外れいがいがある。

個人こじん事業じぎょうぜい税率ぜいりつ

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個人こじん事業じぎょうぜい税率ぜいりつ全国ぜんこく同一どういつである。2020ねん計算けいさんしき以下いかとお[1]

個人こじん事業じぎょう税額ぜいがく = 税率ぜいりつ
 ×(事業じぎょう所得しょとく
 +不動産ふどうさん所得しょとく
 +ざつ所得しょとくのうち事業じぎょうによる所得しょとく[1]
 +所得しょとくぜい事業じぎょう専従せんじゅうしゃ給与きゅうよ控除こうじょがく[2]
 -個人こじん事業じぎょうぜい事業じぎょう専従せんじゅうしゃ給与きゅうよ控除こうじょがく
 +青色あおいろ申告しんこく特別とくべつ控除こうじょがく青色あおいろ申告しんこく場合ばあい
 -繰越くりこし控除こうじょ
 -事業主じぎょうぬし控除こうじょとし290まんえん))

個人こじん事業じぎょうぜい事業じぎょう専従せんじゅうしゃ給与きゅうよ控除こうじょがく事業じぎょうぬし生計せいけいいちにする親族しんぞくほうもっぱらその事業じぎょう従事じゅうじするときに控除こうじょできる。

  • 青色あおいろ申告しんこく場合ばあい:その給与きゅうよ支払しはらいがく所得しょとくぜい事業じぎょう専従せんじゅうしゃ給与きゅうよがく
  • 白色はくしょく申告しんこく場合ばあい配偶はいぐうしゃ場合ばあいは86まんえん、そのほう場合ばあい1人ひとり50まんえん

2019ねん個人こじん事業じぎょうぜい税率ぜいりつ地方ちほう税法ぜいほうだい72じょうの2)[3]下記かき該当がいとうしない事業じぎょう非課税ひかぜい税率ぜいりつ0%)である。不動産ふどうさん貸付かしつけぎょう駐車ちゅうしゃじょうぎょうこまかい認定にんてい基準きじゅんがある[4]こまかい業種ぎょうしゅならんでいるが、物品ぶっぴん販売はんばいぎょう製造せいぞうぎょう請負うけおいぎょう広範囲こうはんい業種ぎょうしゅをカバーしている。所得しょとくぜい確定かくてい申告しんこく個人こじん事業じぎょうぜい同時どうじ申告しんこくできるが、事業じぎょう所得しょとく不動産ふどうさん所得しょとくなに記載きさいしないと税率ぜいりつ5%のあつかいになるので、税率ぜいりつ5%以外いがいは「非課税ひかぜい所得しょとくなど」のらん記載きさいする必要ひつようがある[5]

だい1しゅ事業じぎょう税率ぜいりつ5%)
物品ぶっぴん販売はんばいぎょう保険ほけんぎょう金銭きんせん貸付かしつけぎょう物品ぶっぴん貸付かしつけぎょう不動産ふどうさん貸付かしつけぎょう駐車ちゅうしゃじょうぎょう製造せいぞうぎょう電気でんき供給きょうきゅうぎょう土石どせき採取さいしゅぎょう電気でんき通信つうしん事業じぎょう運送うんそうぎょう運送うんそう取扱とりあつかいぎょう船舶せんぱくていけいじょうぎょう倉庫そうこぎょう請負うけおいぎょう印刷いんさつぎょう出版しゅっぱんぎょう写真しゃしんぎょう席貸せきがしぎょう旅館りょかんぎょう料理りょうりてんぎょう飲食いんしょくてんぎょう周旋しゅうせんぎょう代理だいりぎょう仲立なかだちぎょう問屋とんやぎょう両替りょうがえぎょう公衆こうしゅう浴場よくじょうぎょう(むし風呂ふろとう)、演劇えんげき興行こうぎょうぎょう遊技ゆうぎじょうぎょう遊覧ゆうらん所業しょぎょう商品しょうひん取引とりひきぎょう不動産ふどうさん売買ばいばいぎょう広告こうこくぎょう興信所こうしんじょぎょう案内あんないぎょう冠婚葬祭かんこんそうさいぎょう
だい2しゅ事業じぎょう税率ぜいりつ4%)
畜産ちくさんぎょう水産すいさんぎょう薪炭しんたん製造せいぞうぎょう
だい3しゅ事業じぎょう税率ぜいりつ5%)
医業いぎょう歯科しか医業いぎょう薬剤師やくざいしぎょう獣医じゅういぎょう弁護士べんごしぎょう司法しほう書士しょしぎょう行政ぎょうせい書士しょしぎょう公証こうしょうじんぎょう弁理べんりぎょう税理士ぜいりしぎょう公認こうにん会計士かいけいしぎょう計理士けいりしぎょう社会しゃかい保険ほけん労務ろうむぎょう、コンサルタントぎょう設計せっけい監督かんとくしゃぎょう不動産ふどうさん鑑定かんていぎょう、デザインぎょうしょげい師匠ししょうぎょう理容りようぎょう美容びようぎょう、クリーニングぎょう公衆こうしゅう浴場よくじょうぎょう銭湯せんとう)、歯科しか衛生えいせいぎょう歯科しか技工ぎこうぎょう測量そくりょうぎょう土地とち家屋かおく調査ちょうさぎょう海事かいじ代理だいりぎょう印刷いんさつ製版せいはんぎょう
だい3しゅ事業じぎょう税率ぜいりつ3%)
あん・マッサージまた指圧しあつ・はり・きゆう・柔道じゅうどう整復せいふくその医業いぎょうるいする事業じぎょうそう蹄師ぎょう

上記じょうきなか請負うけおいぎょう範囲はんいひろい。請負うけおい定義ていぎ民法みんぽうだい632じょうの「請負うけおいは、当事とうじしゃ一方いっぽうがある仕事しごと完成かんせいすることをやくし、相手方あいてがたがその仕事しごと結果けっかたいしてその報酬ほうしゅう支払しはらうことをやくすることによって、その効力こうりょくしょうずる。」である。請負うけおいいものとして雇用こよう委任いにんじゅん委任いにんがある。個人こじん事業じぎょうぜいだい1しゅ事業じぎょう元々もともと国税こくぜい営業えいぎょうぜいであった経緯けいいがあり、地方ちほうぜい移管いかんされる段階だんかい現行げんこうのようなだい1しゅ事業じぎょうからだい3しゅ事業じぎょうまでの分類ぶんるい出来上できあがった。請負うけおいぎょうだい1しゅ事業じぎょう分類ぶんるいされていることから、昭和しょうわ27ねん地方ちほう財政ざいせい委員いいんかいより、請負うけおいぎょう範囲はんい限定げんていてき解釈かいしゃくするものだと通達つうたつている。

事業じぎょうぜいだい一種いっしゅ事業じぎょうとして列挙れっきょされたものは、しょう工業こうぎょうとうのいわゆる営業えいぎょう種類しゅるいぞくするものであって、請負うけおいぎょうみぎじゅん限定げんていてきすることが妥当だとうであるから、いぬ調教ちょうきょうたいしてこれを請負うけおいぎょうとして課税かぜいすることは適当てきとうでない。またしょげい師匠ししょうぎょうとして課税かぜいすることにもうたぐがあるから政令せいれい列挙れっきょすべきであり政令せいれい列挙れっきょしなければ課税かぜいすることは困難こんなんであるとする。(昭和しょうわ27ねん7がつ23にち 地方ちほう財政ざいせい委員いいんかいぜい875ごう)」。

また、神奈川かながわけんでは以下いかの4項目こうもくてはまる場合ばあいには請負うけおいぎょうとして課税かぜいすると通達つうたつているが、個人こじん事業じぎょうぜい請負うけおいぎょうへの該当がいとうせいについてあらそわれた訴訟そしょうにおいて、神奈川かながわけんさだめる請負うけおいぎょう基準きじゅんは、請負うけおいじゅん委任いにん区分くぶんするものとして適切てきせつではないとされ採用さいようされなかった(東京とうきょう高裁こうさいれい2ねん11月18にち判決はんけつ。のちに上告じょうこく受理じゅり確定かくてい)。

個人こじん事業じぎょうぜい請負うけおいぎょうについて - 神奈川かながわけんホームページ

  1. 営業えいぎょう範囲はんいぞくするものである。
  2. 資本しほんてき経営けいえいおこなっている。
  3. 仕事しごと計画けいかくおよ遂行すいこうについて独立どくりつせいゆうする。
  4. 危険きけん負担ふたんゆうする。

画家がか非課税ひかぜいであるが業務ぎょうむ内容ないようによってはデザインぎょうなされるなど、裁量さいりょう次第しだいとなっている部分ぶぶんもある[6]

全国ぜんこく知事ちじかいでは、個人こじん事業じぎょうぜい業種ぎょうしゅべつけるのは不公平ふこうへいかつ徴税ちょうぜい事務じむ負担ふたんになり、都道府県とどうふけん裁量さいりょうでグレーゾーンの判定はんていかわることから、原則げんそく5%にするべきという要望ようぼうしているが、非課税ひかぜいだった個人こじん事業じぎょうぬし反対はんたいするため政治せいじてき困難こんなんである、という議論ぎろん東京とうきょう税制ぜいせい調査ちょうさかいでなされている[7][8]

法人ほうじん事業じぎょうぜい税率ぜいりつ

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下記かき法人ほうじん事業じぎょうぜい税率ぜいりつひょう標準ひょうじゅん税率ぜいりつ都道府県とどうふけんによって様々さまざまだが、ある基準きじゅんたすと、より税率ぜいりつたか超過ちょうか税率ぜいりつわる都道府県とどうふけん存在そんざいする。超過ちょうか税率ぜいりつ都道府県とどうふけんによってことなるが、標準ひょうじゅん税率ぜいりつ全国ぜんこく同一どういつ資本しほんきん1おくえんちょう普通ふつう法人ほうじんはこの税率ぜいりつひょうではなく外形がいけい標準ひょうじゅん課税かぜい適用てきようされる。

東京とうきょう平成へいせい28ねん4がつ1にちかられい元年がんねん9がつ30にちまでに開始かいしする事業じぎょう年度ねんど場合ばあい下記かき条件じょうけんわる[9]超過ちょうか税率ぜいりつかどうか、軽減けいげん税率ぜいりつ適用てきよう法人ほうじんかどうかで税率ぜいりつわる。

  • とし所得しょとくがくが2,500まんえんちょう または 年収ねんしゅう入金にゅうきんがくが2おくえんちょう超過ちょうか税率ぜいりつ
  • 資本しほんきんまたは出資しゅっしきんがくが1,000まんえん以上いじょう」かつ「事務所じむしょまたは事業じぎょうしょがある都道府県とどうふけんかずが3つ以上いじょう」 → 軽減けいげん税率ぜいりつ適用てきよう法人ほうじん
平成へいせい28ねん4がつ1にちかられい元年がんねん9がつ30にちまでに開始かいしする事業じぎょう年度ねんど標準ひょうじゅん税率ぜいりつ
区分くぶん とし400まんえん以下いか とし400まんえんちょうねん800まんえん以下いか とし800まんえんちょう
所得しょとく課税かぜい法人ほうじん
資本しほんきん1おくえん以下いか普通ふつう法人ほうじん公益こうえき法人ほうじんとう
3.4% 5.1% 6.7%
所得しょとく課税かぜい法人ほうじん
特別とくべつ法人ほうじん協同きょうどう組合くみあいとう医療いりょう法人ほうじん
3.4% 4.6% 4.6%
収入しゅうにゅう金額きんがく課税かぜい法人ほうじん
電気でんき供給きょうきゅうぎょう、ガス供給きょうきゅうぎょう保険ほけんぎょう貿易ぼうえき保険ほけんぎょう
0.9% 0.9% 0.9%
れい元年がんねん10がつ1にち以後いご開始かいしする事業じぎょう年度ねんど標準ひょうじゅん税率ぜいりつ
区分くぶん とし400まんえん以下いか とし400まんえんちょうねん800まんえん以下いか とし800まんえんちょう
所得しょとく課税かぜい法人ほうじん
資本しほんきん1おくえん以下いか普通ふつう法人ほうじん公益こうえき法人ほうじんとう
3.5% 5.3% 7.0%
所得しょとく課税かぜい法人ほうじん
特別とくべつ法人ほうじん協同きょうどう組合くみあいとう医療いりょう法人ほうじん
3.5% 4.9% 4.9%
収入しゅうにゅう金額きんがく課税かぜい法人ほうじん
電気でんき供給きょうきゅうぎょう、ガス供給きょうきゅうぎょう保険ほけんぎょう貿易ぼうえき保険ほけんぎょう
1.0% 1.0% 1.0%

都道府県とどうふけんあいだ分割ぶんかつ

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法人ほうじん事業じぎょうしょが2都道府県とどうふけん以上いじょう存在そんざいする場合ばあいは、製造せいぞうぎょう場合ばあい課税かぜい対象たいしょうがく従業じゅうぎょう員数いんずう比例ひれいしてかく都道府県とどうふけん分配ぶんぱいしたうえ税率ぜいりつがかけられる。製造せいぞうぎょう場合ばあい課税かぜい対象たいしょうがくの1/2は従業じゅうぎょう員数いんずう比例ひれいして分配ぶんぱいし、のこりの1/2は事務所じむしょなどのかず比例ひれいして分配ぶんぱいしたうえ税率ぜいりつがかけられる。

課税かぜい標準ひょうじゅん例外れいがい事業じぎょう情況じょうきょうおうじた外形がいけい標準ひょうじゅん課税かぜい

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一般いっぱん法人ほうじんまた個人こじんについては、「事業じぎょう情況じょうきょうおうじ……資本しほん金額きんがく売上うりあげ金額きんがく家屋かおくゆか面積めんせきしくは価格かかく土地とち地積ちせきしくは価格かかく従業じゅうぎょういんすうとう課税かぜい標準ひょうじゅんとし、また所得しょとくおよ清算せいさん所得しょとくとこれらの課税かぜい標準ひょうじゅんとをあわせもちいることができる」こととされている(きゅう地方ちほう税法ぜいほう72じょうの19・地方ちほう税法ぜいほう72じょうの24の4)。 ただし、このとき、通常つうじょう所得しょとく課税かぜい標準ひょうじゅんとするときの租税そぜい負担ふたんと「いちじるしく均衡きんこうしっすることのないようにしなければならない」とされている(地方ちほう税法ぜいほう72じょうの22だい9こう)。

なお、事業じぎょう情況じょうきょうおうじない外形がいけい標準ひょうじゅん課税かぜい導入どうにゅうともない、外形がいけい標準ひょうじゅん課税かぜい対象たいしょうとなる法人ほうじんたいしてはこの例外れいがい適用てきようされないものとされた。

銀行ぎんこうぜい俗称ぞくしょう

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東京とうきょうが2000ねん4がつ東京とうきょうにおける銀行ぎんこうぎょうとうたいする事業じぎょうぜい課税かぜい標準ひょうじゅんとう特例とくれいかんする条例じょうれいで、大阪おおさかが2000ねん6がつ制定せいていした、資金しきんりょう5ちょうえん以上いじょう銀行ぎんこうごういとな法人ほうじんたいする業務ぎょうむ利益りえき課税かぜい標準ひょうじゅんとし3%の税率ぜいりつ課税かぜいするとする特例とくれい条例じょうれいは、上記じょうき特例とくれいもとづくものである(報道ほうどうとうぞく銀行ぎんこうぜいばれることがあるが、あらたに法定ほうていがい税目ぜいもくもうけるものではないため、適当てきとうではない)。ただ大阪おおさか実際じっさい課税かぜいにはいたっていない。

これにたいして銀行ぎんこうがわは、事業じぎょうぜい所得しょとく課税かぜい常態じょうたいとするおうのう課税かぜいであり上記じょうき特例とくれいはきわめて限定げんていてき運用うんようされるべきものであること・所得しょとく課税かぜい適当てきとうでない「事業じぎょう情況じょうきょう」にないこととう主張しゅちょうし、違憲いけん違法いほう課税かぜいであるとして条例じょうれい無効むこう確認かくにん税金ぜいきん還付かんぷおよ営業えいぎょう損害そんがいとう賠償ばいしょうもとめ、東京とうきょう提訴ていそ当該とうがい裁判さいばんにおいて東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょにおいて、事業じぎょうぜい応益おうえきせいと「事業じぎょう情況じょうきょう」の存在そんざいみとめるものの、所得しょとく課税かぜい標準ひょうじゅんにする場合ばあいしてぜい負担ふたんが「いちじるしく均衡きんこうしつ」しており違法いほう判断はんだんする判決はんけつされた[10]。これを契機けいきとして最高裁判所さいこうさいばんしょでは和解わかい交渉こうしょうおこなわれ、税率ぜいりつ条例じょうれい施行しこうさかのぼって0.9%にげ、納付のうふみの事業じぎょう税額ぜいがくとの差額さがく還付かんぷ還付かんぷ加算かさんきん支払しはら条件じょうけんで2003ねん10がつ8にち和解わかい成立せいりつした。

外形がいけい標準ひょうじゅん課税かぜい対象たいしょうとなる法人ほうじん上記じょうき特例とくれい対象たいしょうからはずれるところ、東京とうきょう大阪おおさか本店ほんてん銀行ぎんこうぎょういとな法人ほうじんすべてが1おくえんえる資本しほんきんつことから、銀行ぎんこうぎょうたいする外形がいけい標準ひょうじゅん課税かぜいさだめた条例じょうれい廃止はいしないし空文くうぶんされる可能かのうせいたかい。

なお、銀行ぎんこうがわ大阪おおさかたいしても同様どうよう訴訟そしょうこしていたが、2004ねん3がつ29にち大阪おおさか府議会ふぎかい税率ぜいりつ東京とうきょう和解わかい内容ないようじゅんじて0.9%にげる条例じょうれい制定せいていされたことなどから、同年どうねん5がつ18にち銀行ぎんこうがわより訴訟そしょう下書したがき提出ていしゅつされ終結しゅうけつした。

外形がいけい標準ひょうじゅん課税かぜい

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もともと事業じぎょうぜいは「所得しょとく」をもと税額ぜいがく算定さんていされていた。ところが、きょうによる税収ぜいしゅうなやみや地方ちほう財政ざいせい悪化あっかから、平成へいせい15年度ねんど税制ぜいせい改正かいせいにより、一定いってい法人ほうじんについては、いわゆる外形がいけい標準ひょうじゅん課税かぜい導入どうにゅうされることとなった。

メリット

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  • 課税かぜいサイドからみた外形がいけい標準ひょうじゅん課税かぜいのメリットは、赤字あかじ法人ほうじんからも税収ぜいしゅうげることができるため、きょうにも一定いってい税収ぜいしゅう見込みこむことができ都道府県とどうふけん財政ざいせい安定あんていするてんにある。実際じっさいに、黒字くろじ法人ほうじん割合わりあいてい水準すいじゅんおおむね30%つよし)で推移すいいしている一方いっぽうで、地方ちほうぜいにはおう益税えきぜいてき性質せいしつがあるとされる。
  • 納税のうぜいしゃがわからみたときのメリットとしては、税額ぜいがくめる所得しょとく課税かぜい部分ぶぶん割合わりあい減少げんしょうすることから、黒字くろじ法人ほうじん場合ばあいには事業じぎょうぜい負担ふたん従来じゅうらいより減少げんしょうする。所得しょとくわり税率ぜいりつげられることから、所得しょとく金額きんがくおおきい企業きぎょうにとっては、ぜい負担ふたん減少げんしょうする(黒字くろじだい企業きぎょうにはプラス)。

デメリット

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  • デメリットとしては、赤字あかじ法人ほうじんおお中小ちゅうしょう企業きぎょうや、従業じゅうぎょう員数いんずうおお鉄鋼てっこうぎょうとう負担ふたんおもくなるとされる。ただし、日本にっぽんこくでは中小ちゅうしょう法人ほうじんへの適用てきよう拡大かくだい見送みおくられており、現在げんざいだい企業きぎょうのみの適用てきようとなっている。そのため赤字あかじだい企業きぎょうのみ負担ふたんおもくなる(赤字あかじだい企業きぎょうにはマイナス)。
  • 税額ぜいがく計算けいさん方法ほうほう複雑ふくざつである。

なお、事業じぎょうぜい原型げんけいであった戦前せんぜん営業えいぎょうぜい国税こくぜい)は、外形がいけい標準ひょうじゅん課税かぜいったために、明治めいじ大正たいしょう商工しょうこう業者ぎょうしゃによる反対はんたい運動うんどうがしばしば発生はっせいしたために、営業えいぎょう純益じゅんえきたいする課税かぜい改正かいせいされた経緯けいいがあった。

外形がいけい標準ひょうじゅん課税かぜい概要がいよう[11]

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  • 資本しほんきん1おくえんちょう法人ほうじん対象たいしょう
  • 事業じぎょうぜいおよびその課税かぜい標準ひょうじゅんを3つに分割ぶんかつ
    • 付加ふか価値かちわり課税かぜい標準ひょうじゅん:かく事業じぎょう年度ねんど付加ふか価値かちがく
      • 付加ふか価値かちがく = 収益しゅうえき配分はいぶんがく + たん年度ねんど損益そんえき , 国外こくがい事業じぎょう帰属きぞくする付加ふか価値かちがく控除こうじょされる。
      • 収益しゅうえき配分はいぶんがく = 報酬ほうしゅう給与きゅうよがく + じゅん支払しはらい利子りし + じゅん支払しはらい賃借ちんしゃくりょう , 報酬ほうしゅう給与きゅうよがく収益しゅうえき配分はいぶんがくの70%ちょう法人ほうじんは、雇用こよう安定あんてい控除こうじょおこなう。
      • たん年度ねんど損益そんえき = 益金えききんがく - 損金そんきんがく
    • 資本しほんわり課税かぜい標準ひょうじゅん:かく事業じぎょう年度ねんど資本しほんとう金額きんがく
      • 資本しほんきんとう金額きんがく = 資本しほんきんまた出資しゅっしきん)の金額きんがく + (連結れんけつ個別こべつ資本しほん積立つみたて金額きんがく
      • 持株もちかぶ会社かいしゃについては、資本しほんきんとう金額きんがくから(資本しほんきんとう金額きんがく×子会社こがいしゃ株式かぶしき帳簿ちょうぼ価額かがくそう資産しさん)を控除こうじょする。
      • 資本しほんきんとう金額きんがくが1,000おくえんちょう法人ほうじんについては、課税かぜい標準ひょうじゅん一定いってい方法ほうほう圧縮あっしゅくする。
      • 課税かぜい標準ひょうじゅん上限じょうげんは、1ちょうえんとする。
      • 国外こくがい事業じぎょうおこな法人ほうじんについては、国外こくがいにおける事業じぎょう規模きぼとう勘案かんあんして国内こくない事業じぎょう相当そうとうがくのみに課税かぜい
    • 所得しょとくわり課税かぜい標準ひょうじゅん:かく事業じぎょう年度ねんど所得しょとくおよ清算せいさん所得しょとく
平成へいせい28ねん4がつ1にちかられい元年がんねん9がつ30にちまでに開始かいしする事業じぎょう年度ねんど[12]
所得しょとくとう区分くぶん 標準ひょうじゅん税率ぜいりつ 東京とうきょう 制限せいげん税率ぜいりつ
所得しょとくわりとし400まんえん以下いか 0.3% 0.395% 0.6%
所得しょとくわりとし400まんえんちょう~800まんえん 0.5% 0.635% 1.0%
所得しょとくわりとし800まんえんちょう 0.7% 0.88% 1.4%
付加ふか価値かちわり 1.2% 1.26% 2.4%
資本しほんわり 0.5% 0.525% 1.0%
れい元年がんねん10がつ1にち以後いご開始かいしする事業じぎょう年度ねんど[12]
所得しょとくとう区分くぶん 標準ひょうじゅん税率ぜいりつ 東京とうきょう 制限せいげん税率ぜいりつ
所得しょとくわりとし400まんえん以下いか 0.4% 0.495% 0.8%
所得しょとくわりとし400まんえんちょう~800まんえん 0.7% 0.835% 1.4%
所得しょとくわりとし800まんえんちょう 1.0% 1.18% 2.0%
付加ふか価値かちわり 1.2% 1.26% 2.4%
資本しほんわり 0.5% 0.525% 1.0%

かく都道府県とどうふけん税率ぜいりつ標準ひょうじゅん税率ぜいりつ制限せいげん税率ぜいりつあいだ税率ぜいりつになっている。

申告しんこく納税のうぜい

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個人こじん事業じぎょうぜい

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個人こじん事業じぎょうぬし副業ふくぎょうがあるサラリーマンをふくむ)は、翌年よくねん3がつ15にちまでに事業じぎょう所得しょとくなどを都道府県とどうふけんぜい事務所じむしょ申告しんこくをする。ただし、所得しょとくぜい確定かくてい申告しんこく住民じゅうみんぜい申告しんこくをしたときは個人こじん事業じぎょうぜい申告しんこくをする必要ひつようはない(かく申告しんこくしょの「事業じぎょうぜいかんする事項じこうらん必要ひつよう事項じこう記入きにゅう)。8がつごろ送付そうふされる納付のうふしょをもって、とし2かい納期のうきだい1おさめ期限きげん 8がつ31にちだい2おさめ期限きげん11がつ30にち)までに納付のうふする。 また、とし中途ちゅうと事業じぎょう廃止はいしした場合ばあいは、基本きほんてき廃止はいしから1がつ以内いない死亡しぼう場合ばあいは4がつ以内いない)に個人こじん事業じぎょうぜい申告しんこくがある。[13][14]

個人こじん事業じぎょうぜいしょうじる事業じぎょう開始かいししたさいには、税務署ぜいむしょ開業かいぎょう届出とどけでしょとはべつに、事業じぎょう開始かいしとう申告しんこくしょ都道府県とどうふけん提出ていしゅつする必要ひつようがある[15]

法人ほうじん事業じぎょうぜい

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事業じぎょう年度ねんど終了しゅうりょう翌日よくじつから2ヶ月かげつ以内いない都道府県とどうふけん確定かくてい申告しんこくしょ提出ていしゅつ納税のうぜいおこなう。関連かんれんして法人ほうじん事業じぎょうぜいたいして税額ぜいがくまる地方ちほう法人ほうじん特別とくべつぜい(2019ねん9がつまで)または特別とくべつ法人ほうじん事業じぎょうぜい(2019ねん10がつより)も支払しはら必要ひつようがある。

その

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  • 税務署ぜいむしょ調査ちょうさにより、所得しょとくぜい法人ほうじんぜい修正しゅうせい申告しんこくひとしがなされた場合ばあいは、事業じぎょうぜい課税かぜい対象たいしょうとなった所得しょとく変更へんこうされるため、法人ほうじん場合ばあいは1がつ以内いない修正しゅうせい申告しんこく必要ひつようとなり、個人こじん法人ほうじんともに事業じぎょうぜい追加ついかしておさめることになる。
  • 個人こじん事業じぎょうぜいは、対象たいしょう事業じぎょう限定げんてい列挙れっきょしてあるため、どの事業じぎょう該当がいとうするのか、事業じぎょうといえるかどうかとう判断はんだんむずかしい場合ばあいがある。(たとえば請負うけおい雇用こよう区別くべつ不動産ふどうさん貸付かしつけぎょうとう

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b 5 税額ぜいがく算出さんしゅつ税金ぜいきん種類しゅるい><個人こじん事業じぎょうぜい> | 東京とうきょう主税局しゅぜいきょく
  2. ^ No.2075 青色あおいろ事業じぎょう専従せんじゅうしゃ給与きゅうよ事業じぎょう専従せんじゅうしゃ控除こうじょ国税庁こくぜいちょう
  3. ^ 4 法定ほうてい業種ぎょうしゅ税率ぜいりつ - 個人こじん事業じぎょうぜい | 税金ぜいきん種類しゅるい | 東京とうきょう主税局しゅぜいきょく
  4. ^ 8 不動産ふどうさん貸付かしつけぎょう駐車ちゅうしゃじょうぎょう認定にんてい基準きじゅん - <税金ぜいきん種類しゅるい><個人こじん事業じぎょうぜい> | 東京とうきょう主税局しゅぜいきょく
  5. ^ 確定かくてい申告しんこくしょとう作成さくせいコーナー】-事業じぎょう所得しょとく不動産ふどうさん所得しょとくがあるほう入力にゅうりょく項目こうもく住民じゅうみんぜい事業じぎょうぜいかんする事項じこう
  6. ^ 個人こじん事業じぎょうぜいがかからない業種ぎょうしゅ根岸ねぎし税務ぜいむ会計かいけい事務所じむしょ新宿しんじゅく 税理士ぜいりし 会社かいしゃ設立せつりつ相続そうぞく経理けいり代行だいこう ほか”. www.negishi-kaikei.net. 2023ねん1がつ11にち閲覧えつらん
  7. ^ 平成へいせい29年度ねんど 東京とうきょう税制ぜいせい調査ちょうさかい だいかい しょう委員いいん会議かいぎごとろく| 東京とうきょう主税局しゅぜいきょく
  8. ^ 審議しんぎかいとう><東京とうきょう税制ぜいせい調査ちょうさかい><会議かいぎ資料しりょう><平成へいせい29年度ねんど><だいかいしょう委員いいんかい>| 東京とうきょう主税局しゅぜいきょく
  9. ^ 法人ほうじん事業じぎょうぜい】 2 税率ぜいりつは - <税金ぜいきん種類しゅるい><法人ほうじん事業じぎょうぜい法人ほうじん都民とみんぜい> | 東京とうきょう主税局しゅぜいきょく
  10. ^ 東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょ平成へいせい15ねん1がつ30にち判決はんけつ。なお高橋たかはししげる「コラム(1) 東京とうきょう銀行ぎんこうぜい訴訟そしょう事件じけん水野みずのただしつね中里なかさとみのる佐藤さとう英明ひであき増井ますいりょうけいへん租税そぜい判例はんれいひゃくせん だい4はん』(有斐閣ゆうひかく、2005ねん)18ぺーじ参照さんしょう
  11. ^ 外形がいけい標準ひょうじゅん課税かぜいとは?法人ほうじん事業じぎょうぜい課税かぜい制度せいど理解りかいしよう”. 経理けいりプラス (2017ねん3がつ24にち). 2022ねん3がつ10日とおか閲覧えつらん
  12. ^ a b 税金ぜいきん種類しゅるい><法人ほうじん事業じぎょうぜい法人ほうじん都民とみんぜい><法人ほうじん事業じぎょうぜいかか外形がいけい標準ひょうじゅん課税かぜい><概要がいよう> | 東京とうきょう主税局しゅぜいきょく
  13. ^ 事業じぎょうぜい申告しんこくしょだい14ごうの2様式ようしき)(平成へいせい28ねんぶん以後いご申告しんこくよう)【e-kanagawa電子でんし申請しんせい申請しんせいしょダウンロード:申請しんせいしょダウンロード詳細しょうさい
  14. ^ 個人こじん事業じぎょうぜいQ&A - 埼玉さいたまけん
  15. ^ 東京とうきょう主税局しゅぜいきょく申請しんせい様式ようしき><個人こじん事業じぎょうぜい

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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