六角ろっかく棒ぼうスパナ

六角ろっかく棒ぼうスパナのセット

ボールポイント六ろく角かく棒ぼうスパナの斜ななめ使用しよう

トルクス用ようLハンドルレンチ

キャップスクリュー

六角ろっかく棒ぼうスパナ （ろっかくぼうスパナ、英えい: hex key）は、正ただし六角形ろっかっけいの穴あなを持もつ六角ろっかく穴あな付つきボルト（キャップスクリュー）や六ろく角かく穴あな付つき止とめねじを固定こてい、または緩ゆるめるための工具こうぐ。

主おもに自転車じてんしゃ、家具かぐの金属きんぞく部分ぶぶん、機械きかい設備せつびなどに使用しようする工具こうぐ。

六角ろっかく棒ぼうレンチ、六角ろっかくレンチ、ヘキサゴンレンチ、メカニックの現場げんばではヘックスとも呼よばれる。

なお、ソケットの先端せんたんに六ろく角かく棒ぼうスパナが設もうけられ、ラチェットハンドルなどと組くみ合あわせて使用しようするものは六角ろっかくビットソケットなどと呼よばれ区別くべつされている。

歴史れきし

キャップスクリューは現在げんざい多おおくの工業こうぎょう製品せいひんに使つかわれているが、構成こうせい部品ぶひんの締結ていけつに極きわめて多おおくの割合わりあいで用もちいられている自転車じてんしゃ業界ぎょうかいでは六ろく角かく棒ぼうスパナをアーレンキーまたはアレンキー (Allen key) 、アレンレンチ (Allen wrench) という名称めいしょうで呼よんでいる。

アメリカの工具こうぐメーカー Allen Manufacturing Company が1910年ねんにこの工具こうぐを発明はつめいしたことに由来ゆらいしている。 アレンレンチ (Allen wrench) は、1943年ねんにコネチカットのハートフォードにある Allen Manufacturing Company（現在げんざいは、アペックスツールグループ〈Apex Tool Group〉のブランド）の商標しょうひょうになっている。

日本工業規格にほんこうぎょうきかくではJIS B4648「六ろく角かく棒ぼうスパナ」 Hexagon socket screw keys として規格きかく化かされている。

特徴とくちょう

六角ろっかく棒ぼうスパナは従来じゅうらい主流しゅりゅうであった四角よつかどボルトが衣服いふくなどに引ひっかかり作業さぎょう者しゃを危険きけんにさらすことを改善かいぜんするために作つくり出だした安全あんぜんボルトを回まわすための専用せんよう工具こうぐであり、外形がいけいが円形えんけいのボルトを作つくれることに特徴とくちょうがある。その他た差さし込こんだときにレンチとボルトの接触せっしょく面積めんせきが大おおきいうえ、プラスおよびマイナスドライバーとは異ことなり、ぴったり対応たいおうしたサイズしか使用しようできないため、ボルトが壊こわれにくい。±ドライバーの場合ばあい、ねじ穴あなを壊こわさないためにはネジの垂直すいちょく方向ほうこう斜ななめにベクトルの力ちからを加くわえる必要ひつようがあるが、六角ろっかく棒ぼうスパナの場合ばあいは回転かいてん方向ほうこうのみに力ちからを掛かけるだけでよい。六角ろっかく穴あなの対たい辺幅へんぷくでサイズが決きめられておりミリサイズとインチサイズがある。

材質ざいしつは主おもにクロム・バナジウム鋼こう、クロムモリブデン鋼こうが全体ぜんたい熱処理ねつしょりされ43から53HRCと高たかくしてある。これは六ろく角かく棒ぼうの曲まがり部ぶの強度きょうどを得える為ためである。近年きんねん（2010年ねん頃ごろ）では、この曲まがり部ぶのしなりをなくすために丸まる棒ぼう形状けいじょうとして、先端せんたん部ぶを削けずり出だして六ろく角かくとしている製品せいひんも現あらわれている、その他たに先端せんたんがマグネット機能きのう付づけやカラーメッキをしてサイズを判わかりやすく色分いろわけするなど各社かくしゃ工夫くふうを凝こらしている。また表面ひょうめんは黒くろ染ぞめ、ニッケルメッキ、クロムメッキなどの処理しょりがされている。錆さび対策たいさくとしてマルテンサイト系けいステンレス製せいもある。PBスイスツールズの製品せいひんは、硬質こうしつクロムメッキが施ほどこされ防ぼう錆さびだけでなく表面ひょうめん硬度こうども格段かくだんに高たかくなっている。

使用しよう方法ほうほう

携帯けいたい用ようのコンパクトな製品せいひん以外いがいは、たいてい長ちょう辺あたりと短たん辺べからなるL字形じけいをしている。ボルトをしっかり固定こていしたり、固かたく締しまったボルトを緩ゆるめるときなど、大おおきな力ちからが必要ひつようなときは、短たん辺あたりをボルトに六ろく角かく穴あなの底そこまで完全かんぜんに差さし込こみ、長ちょう辺あたりを持もって回まわす。深ふかさ途中とちゅうまでの差さし込こみは、スパナの斜ななめ掛かけと同おなじくレンチが外はずれたり六ろく角かく穴あなの角かくを潰つぶすことになる。逆ぎゃくに力ちからはそれほど必要ひつようなく、早はや回まわし作業さぎょうをしたい場合ばあいには、長ちょう辺あたりを差さし込こんでドライバーのようにすばやく回まわす。レンチの長手ながて寸法すんぽうはJIS規格きかくで決きめられている。一部いちぶの書籍しょせきなどでパイプ等とうを使用しようして延長えんちょうすることで大だいトルクを得える方法ほうほうがいかにも正式せいしきな方法ほうほうであるかのように記載きさいされている場合ばあいがあるが、オーバートルクによりボルトや工具こうぐの破損はそんを引ひき起おこす行為こういであるため、各かく工具こうぐメーカーはこういった方法ほうほうを非ひ推奨すいしょうもしくは明確めいかくに禁止きんししている。レンチの角かく部ぶが摩耗まもうにより潰つぶれてきた時ときが工具こうぐとしての寿命じゅみょうである。潰つぶれた部分ぶぶんを角かくのある部分ぶぶんまで研磨けんますれば新品しんぴんと同様どうようして使用しようできるかもしれないが、当然とうぜんながら工具こうぐメーカー非ひ推奨すいしょうの改造かいぞう行為こういに当あたる上うえに工具こうぐ本来ほんらいの強度きょうどを保たもてなくなる恐おそれがある。2022年ねん現在げんざい販売はんばいされている六ろく角かく棒ぼうスパナの中なかにはボルトとの接触せっしょく部分ぶぶんを単たんなる六角形ろっかっけい状じょうとせず、面めん加工かこう等とうを施ほどこすことによってボルトとの嵌はま合ごうが良よくなるように工夫くふうしてある物ものも多おおい。素人しろうと判断はんだんで工具こうぐを加工かこうする行為こういは本来ほんらいの性能せいのうを失うしなわせることになるだけである。

製品せいひんの一部いちぶには、上うえの写真しゃしんのように長ちょう辺あたりの先端せんたんが「ボールポイント」と呼よばれる丸まるい形状けいじょうの物ものがある。これはボルトに対たいしてレンチをまっすぐな角度かくどで差さし込こむことが出来できない場合ばあいに、斜ななめに差さし込こんだ状態じょうたい（約やく30度どまで可能かのう）での作業さぎょうを可能かのうにする工夫くふうである。ただし接触せっしょく面めんが少すくないため強つよいトルクをかけると先端せんたんが破損はそんする恐おそれがあるので注意ちゅういが必要ひつようである。締しめるあるいは緩ゆるめるどちらの場合ばあいであってもトルクをかける場合ばあいはボールポイント形状けいじょうではない短たん辺べ形状けいじょうの側がわを使用しようすることになるが、材質ざいしつの強度きょうどや形状けいじょうを工夫くふうすることによってボールポイント部ぶでの本ほん締しめ可能かのうを謳うたう製品せいひんも存在そんざいする。一部いちぶのメーカーはボルトの脱落だつらく防止ぼうし保持ほじ用途ようととしてボールポイント部ぶにベアリングを埋うめ込こんだ製品せいひんを販売はんばいしている。

ボールポイント六ろく角かくレンチは1964年ねんにアメリカのボンダス (BONDHUS) 社やしろジョン・ボンダスの発明はつめいで考案こうあん、特許とっきょが取得しゅとくされ1967年ねんより販売はんばいされている。当初とうしょはそれなりの値段ねだんで販売はんばいされていたが、その後ごパテント期限きげんが切きれ、現在げんざいでは100円えんショップでも組くみで購入こうにゅう可能かのうである。

六ろく角かくボルト以外いがいの形状けいじょうに対たいしては、それぞれボルト形状けいじょうに合あわせた専用せんようのLハンドルレンチを使用しようする。

主おもなメーカー(順不同じゅんふどう)

国内こくない海外かいがい問とわず、ほとんどの手工しゅこう具ぐメーカーが六ろく角かく棒ぼうスパナを製品せいひんとして販売はんばいしている。製造せいぞうは自社じしゃで行おこなわず他社たしゃ製品せいひんを自社じしゃのブランドで販売はんばいしている場合ばあいもある。

• 国内こくない: ベッセル、京都機械工具きょうときかいこうぐ(KTC)、水戸みと工こう機き(MITOLOY)、アネックスツール(Anex)、TONE(TONE)、エイト(EIGHT)、旭あさひ金属きんぞく工業こうぎょう等ひとし

• 海外かいがい: PBスイスツールズ(PB SWISS TOOLS)、ボンダス(BONDHUS)、ヴェラツールズ(Wera)、ハゼット(HAZZET)等とう

参考さんこう文献ぶんけん

• 技能ぎのう士しの友とも編集へんしゅう部ぶ・編著へんちょ 編へん『作業さぎょう工具こうぐのツカイカタ』（13版はん発行はっこう）大河おおかわ出版しゅっぱん〈技能ぎのうブックス / 技能ぎのう士しの友とも編集へんしゅう部ぶ編著へんちょ, 19〉、2002年ねん8月がつ25日にち。ISBN 4886614191。 
• 松本まつもと, 英雄えいゆう『通つうのツール箱ばこ―"ノーガキ"で極きわめる工具こうぐ道どう』二玄社にげんしゃ、2005年ねん6月がつ25日にち。ISBN 454404345X。OCLC 454404345X。 
• Dutton, Thomas (2007) (英語えいご). The Hand Tool Manual. TSTC Publishing. OCLC 717384791 
• 『工具こうぐの本ほん2010』学研がっけんパブリッシング、2010年ねん3月がつ5日にち。ISBN 9784056058215。 
• 西沢にしざわ正和まさかず・監修かんしゅう 編へん『はじめてでもうまくいく―DIY道具どうぐの便利べんり帳ちょう』大泉おおいずみ書店しょてん〈012DIYシリーズ〉、2010年ねん9月がつ11日にち。ISBN 9784278055009。 
• Who invented the Allen Key?

関連かんれん項目こうもく

• 工具こうぐメーカーの一覧いちらん
• 工具こうぐ