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医用いよう画像がぞう

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医用いよう画像がぞう処理しょりから転送てんそう

医用いよう画像がぞう(いようがぞう、えい: Medical imaging)は、おも病気びょうき診断しんだんおよび治療ちりょうのために、人体じんたい内部ないぶ構造こうぞう機能きのう画像がぞうとして可視かしする検査けんさ技術ぎじゅつである。

医用いよう画像がぞうには、単純たんじゅんXせん撮影さつえいコンピュータ断層だんそう撮影さつえい(CT)、かく磁気じき共鳴きょうめい画像がぞうほう(MRI)、ちょう音波おんぱ断層だんそう画像がぞう(US)、かく医学いがく検査けんさ血管けっかん造影ぞうえいなどがある。単純たんじゅんXせん撮影さつえいやCTでは、組織そしきによりXせん吸収きゅうしゅうりつことなることを利用りようして画像がぞうる。またちょう音波おんぱ検査けんさ場合ばあいちょう音波おんぱにより組織そしきないのエコーから内部ないぶ構造こうぞうることができる。

本来ほんらい画像がぞう生成せいせいするよう設計せっけいされていなかった測定そくてい手法しゅほう記録きろく手法しゅほう脳波のうはのう磁図)も一種いっしゅ地図ちずのようにあらわせるデータを生成せいせいすることから、医用いよう画像がぞう一種いっしゅとみなすこともできるが、一般いっぱんにはこれらは医用いよう画像がぞうにはふくまれない。

医療いりょう施設しせつでは、おも診療しんりょう放射線ほうしゃせん技師ぎし医用いよう画像がぞう撮影さつえいおこなう。また、撮影さつえいされた医用いよう画像がぞう医学いがくてき解釈かいしゃくする医師いし放射線ほうしゃせん診断しんだんあるいは画像がぞう診断しんだんび、医師いし専門せんもん分野ぶんやのひとつである。また、撮影さつえいされた画像がぞうたい必要ひつようおうじた画像がぞう処理しょりほどこすことがあり、これも医療いりょう施設しせつないでは診療しんりょう放射線ほうしゃせん技師ぎしあるいは放射線ほうしゃせん診断しんだんおこなうことがおおい。

一方いっぽう医用いよう画像がぞう撮影さつえい機器きき開発かいはつ医用いよう生体せいたい工学こうがく医用いよう物理ぶつりがく情報じょうほう工学こうがく領域りょういきである。医用いよう画像がぞう検査けんさのために開発かいはつされた様々さまざま技術ぎじゅつは、科学かがく産業さんぎょうにも応用おうようされている。

2010ねん時点じてんで、ぜん世界せかいで50おくけん医用いよう画像がぞう検査けんさ実施じっしされている[1]

おも画像がぞう処理しょり技術ぎじゅつ[編集へんしゅう]

単純たんじゅんXせん撮影さつえい[編集へんしゅう]

Xせん一方向いちほうこうから短時間たんじかん照射しょうしゃして静止せいし画像がぞうるもの。

Xせん透視とうし撮影さつえい[編集へんしゅう]

Xせん一方向いちほうこうから連続れんぞくてき照射しょうしゃして、リアルタイムで画像がぞうるもの。バリウムのような造影ぞうえいざい使つかうとちょう構造こうぞう可視かしすることができ、潰瘍かいよう胃癌いがん大腸だいちょうがんなどの診断しんだん有用ゆうようである。

Xせん断層だんそう撮影さつえい[編集へんしゅう]

Xせん断層だんそう撮影さつえい(Tomography)は、一方向いちほうこうからのXせんうごかしながら照射しょうしゃすることにより、人体じんたい断面だんめん画像がぞう手法しゅほうである。以下いかのような種類しゅるいがあるが、歯科しかもちいられるオルソパントモグラフィをのぞき、CTが普及ふきゅうした現在げんざいではほとんどもちいられない。

直接ちょくせつ断層だんそう撮影さつえい
もっと基本きほんてき断層だんそう撮影さつえいほう。Xせん発生はっせい装置そうち人体じんたいじょうをAてんからBてんまで移動いどうし、同時どうじ受像じゅぞうがBてんからAてんまで移動いどうする。このとき、Xせん焦点しょうてん診断しんだんしたい部位ぶいるようにすると焦点しょうてんめんのみがゆいぞうし、焦点しょうてんめん上下じょうげはぼやけてほとんどうつらなくなる。
軌道きどう断層だんそう撮影さつえい
装置そうち円形えんけい楕円だえんがた・8のなど様々さまざまうごかす複雑ふくざつ断層だんそう撮影さつえいほう
せまかく断層だんそう撮影さつえい
直線ちょくせん断層だんそう撮影さつえいから派生はせいした手法しゅほうであり、限定げんていされたえがくようなうごきをする。
オルソパントモグラフィ(OPT)
あご全体ぜんたいのX線画せんがぞうをあたかもほねひらいたかのように平面へいめん撮影さつえいすることができ、歯学しがく分野ぶんやでよく使つかわれる。

コンピュータ断層だんそう撮影さつえい(CT)[編集へんしゅう]

人体じんたいの360方向ほうこうからXせん照射しょうしゃし、そのデータをコンピューター処理しょりすることにより断層だんそうぞうるものである。最近さいきんはらせんじょう人体じんたいをスキャンするもの(らせんCTあるいはヘリカルCT)が主流しゅりゅうである。単純たんじゅんXせん撮影さつえいよりも被曝ひばくりょうおおいが、られる情報じょうほうははるかにおおい。

かく磁気じき共鳴きょうめい画像がぞうほう(MRI)[編集へんしゅう]

かく磁気じき共鳴きょうめい画像がぞう(MRI)は、強力きょうりょく磁石じしゃく使つかって人体じんたいちゅう水分すいぶんにある水素すいそ原子核げんしかく(1つの陽子ようし)を分極ぶんきょく/励磁れいじさせ、発生はっせいする信号しんごう空間くうかんてき符号ふごうすることで人体じんたい画像がぞうる。MRI は2種類しゅるい電磁場でんじば使用しようする。だいいち非常ひじょう強力きょうりょくせい磁場じばかずテスラ単位たんい)であり、水素すいそ原子核げんしかく分極ぶんきょくさせる。だいはそれよりもややよわ傾斜けいしゃ磁場じばであり、空間くうかん符号ふごうのために時間じかんとも変化へんかする(1kHzきろへるつオーダーの変化へんか)。そして、水素すいそ原子核げんしかくきわめてつよ高周波こうしゅうはようするに電波でんぱである)をてて、放出ほうしゅつされる高周波こうしゅうは受信じゅしん画像がぞうする。CT同様どうよう、MRIは人体じんたいをスライスにしたような次元じげん画像がぞう生成せいせいするため、断層だんそう撮影さつえい技術ぎじゅつ一種いっしゅでもある。最近さいきんでは、複数ふくすう次元じげん画像がぞう合成ごうせいしたり、はじめからさん次元じげんデータを収集しゅうしゅうすることにより、さん次元じげんのイメージを生成せいせいすることが可能かのうである。CT とはことなり、MRIは放射線ほうしゃせん使つかわないため、健康けんこうへの危険きけんせいすくないとされている。たとえば、XせんやCTとことなり、つよ磁場じばによる人体じんたいへの影響えいきょうとくられていないため、撮影さつえい回数かいすう制限せいげんがないとされている。組織そしき高周波こうしゅうはによって過熱かねつする危険きけんせい指摘してきされてはいるが、体内たいないあるいは皮膚ひふ表面ひょうめん金属きんぞく存在そんざいしないかぎ実際じっさいじょう問題もんだいとなることはない。ペースメーカーなどの金属きんぞく体内たいないにあると検査けんさけられない。これはペースメーカーないのICが電磁波でんじはによって破壊はかいされたり、誤作動ごさどうしたりといった事例じれい報告ほうこくされているためであり、過熱かねつ原因げんいんではない。これらの危険きけんせい検査けんさ手順てじゅん機器きき設計せっけいによって制御せいぎょされる性質せいしつのものではなく、せい磁場じば強度きょうど依存いぞんするものである。CT と MRI はそれぞれ組織そしきことなる特性とくせい検知けんちするため、画像がぞうまったことなったものとなる。CT では、Xせん組織そしきにおける吸収きゅうしゅう程度ていどのみが画像がぞう濃淡のうたん決定けっていする要素ようそであり、組織そしきコントラストは一般いっぱんにあまりよくない。MRI は水素すいそふく組織そしきしかられないため、カルシウムでできているほねうつらないが、軟部組織そしきコントラストは一般いっぱんにCTよりよい。このため、のう内部ないぶ関節かんせつ診断しんだんてきしている。

かく医学いがく検査けんさ[編集へんしゅう]

かく医学いがくには検査けんさ治療ちりょう両方りょうほうふくまれる。かく医学いがく検査けんさは、放射ほうしゃせい同位どういたい(RI)で標識ひょうしきした物質ぶっしつ投与とうよして、その物質ぶっしつ体内たいないにおける分布ぶんぷ検出けんしゅつするものである。単純たんじゅんXせん、CT、MRIなど医用いよう画像がぞう解剖かいぼうがくてき構造こうぞう評価ひょうかするものであるのにたいし、かく医学いがく検査けんさ生理学せいりがくてき機能きのう評価ひょうか可能かのうにする。

かく医学いがく検査けんさには、99mTcなどの比較的ひかくてきたん寿命じゅみょうガンマ線がんません核種かくしゅもちいられる。投与とうよされたRIは、標識ひょうしきされた物質ぶっしつ種類しゅるいにより特定とくてい組織そしき優先ゆうせんてき分布ぶんぷするため、病変びょうへん有無うむひろがりを評価ひょうかすることができる。

シンチグラフィ[編集へんしゅう]

RIで標識ひょうしきした物質ぶっしつ体内たいない投与とうよしたのちガンマカメラもちいて一方向いちほうこうから撮影さつえいし、次元じげんてきにRIの分布ぶんぷ検出けんしゅつするもの。

単一たんいつ光子こうし放射ほうしゃ断層だんそう撮影さつえい(SPECT)[編集へんしゅう]

RIで標識ひょうしきした物質ぶっしつ体内たいない投与とうよしたのち、ガンマカメラを人体じんたい周囲しゅうい回転かいてんさせて360方向ほうこうからガンマ線がんません検出けんしゅつし、そのデータをもちいてRIのさん次元じげんてき分布ぶんぷるもの。

ポジトロン断層だんそうほう (PET)[編集へんしゅう]

ポジトロン断層だんそうほうシンチグラフィと同様どうように、18F などの短命たんめい核種かくしゅ腫瘍しゅよう吸収きゅうしゅうされやすいグルコースなどの物質ぶっしつ物質ぶっしつんで投与とうよする。PET装置そうちはCT装置そうちわせて使つかわれることが最近さいきんおおくなりつつある。これにより、PETで検出けんしゅつされた腫瘍しゅようについて、CTでられる解剖かいぼうがくてき構造こうぞう位置いち確定かくていすることができる。

ちょう音波おんぱ検査けんさ(US)[編集へんしゅう]

1.5から15.0MHzちょう音波おんぱ使つかい、組織そしきからの反射はんしゃによって次元じげん画像がぞう取得しゅとくするもので、リアルタイムに観察かんさつすることが可能かのうである。腹部ふくぶ臓器ぞうき心臓しんぞう胎児たいじあし静脈じょうみゃくなどの画像がぞうるのに使つかわれる。CT や MRI に比較ひかくして解剖かいぼうがくてき情報じょうほうりょうすくないといった記載きさいをしばしばみるがあやまりであり、リアルタイムに観察かんさつできるというてん非常ひじょうおおきな利点りてんである。また、磁場じば放射線ほうしゃせんよりもちょう音波おんぱ安全あんぜんであるとかんがえられている。また、運用うんよう比較的ひかくてき安価あんかで、あつかいやすい。ドップラー効果こうか利用りようしてりゅう速度そくどとう測定そくていすることも出来できる。

さん次元じげん画像がぞう生成せいせい[編集へんしゅう]

CTスキャン結果けっかを3Dアニメーションにしたもの

最近さいきんではCTやMRIやちょう音波おんぱ画像がぞうさん次元じげん画像がぞう変換へんかんするソフトウェアが登場とうじょうしている。CTやMRIはかつては次元じげん画像がぞうしか撮影さつえいできなかったが、近年きんねんでは1mm以下いかうすいスライスぞう短時間たんじかん撮影さつえいすることが可能かのうになったため、それらを統合とうごうしてさん次元じげん画像がぞうさい構成こうせいすることができるようになった。三次元さんじげんちょう音波おんぱ画像がぞう同様どうよう手法しゅほう生成せいせいされる。

重要じゅうよう構造こうぞう詳細しょうさい視覚しかくできるため、さん次元じげん視覚しかく手法しゅほう各種かくしゅ診断しんだん外科げか治療ちりょうにとって重要じゅうよう情報じょうほうげんとなっている。結合けつごう双生児そうせいじ分離ぶんり手術しゅじゅつでもさん次元じげん画像がぞう重要じゅうよう情報じょうほうげんとなっている。

コンピュータの処理しょり能力のうりょく向上こうじょうした2000年代ねんだい以降いこうは、かく組織そしき透過とうかりつをコントロールし、内部ないぶ可視かしするボリュームレンダリングという技術ぎじゅつもちいられるようになった。 これらの画像がぞう処理しょりもちいられるソフトウェアは医療いりょうよう画像がぞう処理しょりソフトウェア参照さんしょう

そのの(研究けんきゅうちゅうふくむ)さん次元じげん画像がぞう技術ぎじゅつには以下いかのものがある:

これらの一部いちぶいま研究けんきゅう段階だんかいにあり、臨床りんしょうには使つかわれていない。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ Roobottom, C. A.; Mitchell, G.; Morgan-Hughes, G. (2010-11-01). “Radiation-reduction strategies in cardiac computed tomographic angiography” (English). Clinical Radiology 65 (11): 859–867. doi:10.1016/j.crad.2010.04.021. ISSN 0009-9260. PMID 20933639. https://www.clinicalradiologyonline.net/article/S0009-9260(10)00236-9/abstract. 

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]