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古典こてん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

古典こてん(こてん)は、ふる書物しょもつ形式けいしきのこと。また、なが時代じだいえて規範きはんとすべきもののこと。

概要がいよう

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英語えいごclassic/classical、またはそれに相当そうとうする西洋せいよう単語たんごわけ使つかわれる。これらのかたりは、分野ぶんやによっては、古典こてんやくされたり、(classicかclassicalかをわず)クラシック音訳おんやくされたりすることもある。古典こてんやくされることのない用語ようごについては、#関連かんれん項目こうもく参照さんしょう

古典こてん定義ていぎは、分野ぶんやによって、厳密げんみつまっているものも、曖昧あいまいなものもある。「注釈ちゅうしゃくしょがたくさんかれているほんが、古典こてんだ」とべているものもいる[1]曖昧あいまい場合ばあい、その基準きじゅん衆知しゅうち、あるいは(自称じしょう識者しきしゃけっするところによるため、価値かちかん世代せだいちがいに影響えいきょうされやすい。

自然しぜん科学かがくではしばしば「かつてはただしいとおもわれたが、いま厳密げんみつにはただしくないことがわかっていて近似きんじとしてのみ有用ゆうようなもの」という意味合いみあいをつ。物理ぶつりがく化学かがくでは、通常つうじょう量子りょうし(quantum)の対義語たいぎごとしてもちいられ、日常にちじょう生活せいかつにおける古典こてんというかたりとは意味合いみあいがかなりことなる。

概念がいねん生成せいせい発展はってん

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近代きんだい以降いこうにおける日本にっぽん日本語にほんご)の「古典こてん」という概念がいねん古代こだい中国ちゅうごく源流げんりゅう漢語かんごの「古典こてん」と古代こだいヨーロッパに源流げんりゅうつ「クラシック」という、由来ゆらいしめしている範囲はんいことなってはいるものの、類似るいじした性格せいかくったふたつの言葉ことば概念がいねん融合ゆうごうさせたものである。

古代こだい中国ちゅうごくにおける「古典こてん」とは、もともとはたんなるふる書物しょもつ意味いみするのではなくそこにかれている「れい」(儀式ぎしき手順てじゅん方式ほうしき)を意味いみする言葉ことばであった。はや時期じき使用しようれいとしては『春秋しゅんじゅうひだりでん』のちゅうこう漢書かんしょ儒子でんのものなどがある。やがて四書ししょ五経ごきょうなど中国ちゅうごく古代こだい聖人せいじんたちの著作ちょさくしめ言葉ことばになり、時代じだいとともにそのしめ範囲はんいひろがってきた[2]

国学こくがくさんあきら」と位置いちづけられるほんきょ宣長のりなが(ひだり)、契沖けいちゅう(なか)、賀茂真淵かものまぶち(みぎ)

日本にっぽんにおける「古典こてん」というかたりはや時期じき用例ようれいとしては『太平たいへい』のものがあり、そこでは中国ちゅうごく古典こてんしている。その日本にっぽんでの「古典こてん」とは中国ちゅうごくにおける「古典こてん」とおな四書ししょ五経ごきょうをはじめとする古代こだい中国ちゅうごく聖賢せいけんたちの書物しょもつ言葉ことばとして使つかわれており、日本にっぽん国内こくない日本人にっぽんじんによってあらわされた作品さくひんすことはかった。『源氏物語げんじものがたり』などはすでに平安へいあん時代じだい末期まっきにはうたさくにおいて「みなもとざる歌詠うたよ遺恨いこんことなり」などとして現代げんだいてき意味いみでの古典こてんるいする地位ちいあたえられていたが、これら日本にっぽん作品さくひんが「古典こてん」としょうされることはかった。江戸えど時代じだいしょうじた日本にっぽん歴史れきし伝統でんとうおもんじた国学こくがくでは、『古事記こじき』や『日本書紀にほんしょき』など「日本にっぽん伝統でんとう尊重そんちょう」という観点かんてんから重要じゅうようすべき書物しょもつすときには、「古典こてん」という漢語かんごけてもっぱら「ふるきふみ」や「ふることぶみ」などといった和語わごてき表現ひょうげん使用しようしており[3]明治めいじ以降いこうはこれらの「日本にっぽん古典こてん」にたいしてしばしば「国典こくてん」という表現ひょうげん使用しようしている。

英語えいごの「クラシック」およ西欧せいおう諸語しょごにおける「クラシック」とおな意味いみ言葉ことばは、もともとすべてラテン語らてんご由来ゆらいしている。もともとは「クラス」(階級かいきゅう)を意味いみした言葉ことばがさまざまな言語げんごにおいて普遍ふへんてきられる意味いみ転化てんかにより「最上さいじょう階級かいきゅう」を意味いみする言葉ことばになったとかんがえられている。はや時期じき使用しようれいとしては130ねんころ、ラテン語らてんご著作ちょさく古典こてんギリシャ時代じだい賢人けんじんたちの著作ちょさくをさしてもちいられている。そのも「クラシック」というかたりしゅとして古代こだいギリシャローマ時代じだい作品さくひんたいしてもちいられてきており、明治めいじ英和えいわ辞典じてんでも「しゅとしてギリシャ・ローマ時代じだい名著めいちょもちい、それ以外いがいのものに使つかうこともある。」とされている[4][ちゅう 1]

明治めいじ以降いこう日本語にほんごにおける「古典こてん」とは、上記じょうきのような中国語ちゅうごくごの「古典こてん」と欧米おうべいの「クラシック」という、そもそもの由来ゆらいしめ範囲はんいことなるものの、類似るいじした性格せいかくったふたつの言葉ことば概念がいねん融合ゆうごうさせたものである[5]

人文じんぶん社会しゃかい科学かがく

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自然しぜん科学かがく科学かがく技術ぎじゅつ

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芸術げいじゅつ芸能げいのう

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教科きょうか

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参考さんこう文献ぶんけん

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  • 池田いけだ亀鑑きかん古典こてんがく入門にゅうもん岩波書店いわなみしょてん岩波いわなみ文庫ぶんこ〉、1991ねん5がつISBN 978-4-0033-1841-6 [ちゅう 2]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ イタリアの作家さっかイタロ・カルヴィーノは『なぜ古典こてんむのか』(須賀すか敦子あつこわけ河出かわで文庫ぶんこ)で“古典こてんとは、ふつう、「いま、かえしているのですが」とはいっても、「いま、んでいるところです」とはあまりいわないほんである”といい、"古典こてんとは、そのほんについてあまりいろいろじんからいたので、すっかりっているつもりになっていながら、いざ自分じぶんんでみると、これこそは、あたらしい、予想よそううえまわる、かつてだれもいたことのない作品さくひんおもえる、そんな書物しょもつのことだ"という。
  2. ^ 1952ねん昭和しょうわ27ねん)に至文しぶんどうより刊行かんこうされた同人どうじんの『古典こてんかた[6]再刊さいかんしたもの。

出典しゅってん

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  1. ^ 読書どくしょざる. 独学どくがく大全たいぜん : 絶対ぜったいに「まなぶこと」をあきらめたくないひとのための55の技法ぎほう. ISBN 978-4-478-10853-6. OCLC 1203937633. http://worldcat.org/oclc/1203937633 
  2. ^ 池田いけだ亀鑑きかん (1991), pp. 15–16.
  3. ^ 池田いけだ亀鑑きかん (1991), pp. 16–17.
  4. ^ 池田いけだ亀鑑きかん (1991), pp. 18–20.
  5. ^ 池田いけだ亀鑑きかん (1991), pp. 20–22.
  6. ^ 池田いけだ亀鑑きかん古典こてんかた至文しぶんどう学生がくせい教養きょうよう新書しんしょ〉、1952ねん1がつNCID BN06430405 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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