吾妻橋あづまばし

墨田すみだ区く側がわから（2005年ねん8月がつ）

墨田すみだ区く側がわから（2007年ねん11月）

台東たいとう区く側がわから

1887年ねん完成かんせいの旧きゅう鉄橋てっきょう

1887年ねん完成かんせいの旧きゅう鉄橋てっきょう（俯瞰ふかん）

関東大震災かんとうだいしんさい直後ちょくご。焼やけ落おちた吾妻あづま橋きょうに応急おうきゅう処置しょちを施ほどこす日本にっぽん陸軍りくぐん

大正たいしょう時代じだいの吾妻あづま橋きょう。左ひだりから人道じんどう橋きょう、鉄道てつどう橋きょう、車道しゃどう橋きょう。

東京とうきょう都と区内くないの位置いち

吾妻橋あづまばし（あづまばし）は、隅田川すみだがわにかかる橋はしで、東京とうきょう都道とどう463号ごう上野うえの月島つきしま線せん吾妻橋あづまばし支線しせん（雷門かみなりもん通どおり）を通とおす。西岸せいがんは台東たいとう区く雷門かみなりもん二に丁目ちょうめ、および花川戸はなかわど一いち丁目ちょうめを分わかち、東岸とうがんは墨田すみだ区く吾妻橋あづまばし一いち丁目ちょうめ。橋はし東岸とうがんの墨田すみだ区くの町名ちょうめいでもあり、一いち丁目ちょうめから三さん丁目ちょうめまで存在そんざいする。

地理ちり

この橋はしの西岸せいがんの交叉こうさ点てんには浅草あさくさ一いち丁目ちょうめがかかり、神谷かみやバーなど、いわゆる浅草あさくさ中心ちゅうしんに近ちかい橋はしである。また、東岸とうがんにはアサヒビール本社ほんしゃなどが入はいる墨田すみだリバーサイド地区ちくがある。なお、サクラの名所めいしょとして著名ちょめいな隅田すみた公園こうえんはこの橋はしがほぼ南端なんたんにあたる。

なお、東武とうぶ伊勢崎線いせさきせん・東京とうきょうメトロ銀座ぎんざ線せん・都営地下鉄とえいちかてつ浅草線あさくさせんの浅草あさくさ駅えきはこの橋はしの西岸せいがんにあり、東岸とうがん約やく500メートル先さきにこの橋はしの名なを冠かんした本所ほんじょ吾妻橋あづまばし駅えき（都営とえい浅草線あさくさせん）がある。

また、東京とうきょう都と観光かんこう汽船きせんの桟橋さんばしである浅草あさくさステーションが橋はしの西にし詰つめに設もうけられている。ここから浜離宮はまりきゅうを経由けいゆして東京とうきょう港こう日ひの出で桟橋さんばしまで運航うんこうされている隅田川すみだがわラインと称しょうする航路こうろが出発しゅっぱつしている。この為ため、隅田川すみだがわ下くだりの拠点きょてんの一ひとつとしても著名ちょめいな地点ちてんでもある。

歴史れきし

歌川うたがわ広重ひろしげ

創そう架かは1774年ねん（安永やすなが3年ねん）10月がつ17日にちのことで、それまでは「竹たけ町まちの渡わたし」と呼よばれた渡わたし舟ぶねがあった場所ばしょであった。徳川とくがわ家康いえやすの入府にゅうふから江戸えど時代じだいにかけて隅田川すみだがわに架橋かきょうされた5つの橋はしのうち最後さいごの橋はしであり、1769年ねん（明和めいわ6年ねん）4月がつに浅草あさくさ花川戸はなかわどの町人ちょうにん伊い右みぎ衛門えもんと下谷しもたに竜泉寺りゅうせんじの源みなもと八はちの嘆願たんがんが幕府ばくふによって許可きょかされ、着工ちゃっこう後ご5年ねんで完成かんせいしたものである。

長ながさ八はち十じゅう四よん間あいだ（約やく150m）、幅はば三さん間あいだ半はん（約やく6.5m）の橋はしで、武士ぶし以外いがいの全すべての通行つうこう者しゃから2文ぶんずつ通行つうこう料りょうを取とったと記録きろくに残のこる。1786年ねん（天明てんめい6年ねん）7月がつ18日にちの洪水こうずいの際さいに永代えいたい橋きょう、新大橋しんおおはしがことごとく流ながされ、両国橋りょうごくばしも大おおきな被害ひがいを受うける中なかで無傷むきずで残のこり、架橋かきょうした大工だいくや奉行ぶぎょうらが褒章ほうしょうを賜たまわったという。その後ご幾いく度どかの架かけ替がえが行おこなわれたようである。

橋はし名めいははじめ「大川橋おかわはし」と呼よばれた。これは近辺きんぺんで隅田川すみだがわが「大川おおかわ」と呼称こしょうされていたことにちなむ。しかしながら、俗ぞくに江戸えどの東ひがしにあるために町民ちょうみんたちには「東ひがし橋きょう」と呼よばれており、後のちに慶賀けいが名めいとして「吾妻あづま」とされた説せつと、東岸とうがん方面ほうめんの向島むこうじまにある「吾われ嬬神社しゃ」へと通つうずる道みちであったことから転てんじて「吾妻あづま」となった説せつがある。いずれにしても、1876年ねん（明治めいじ9年ねん）6月がつ17日にちに木き橋きょうとして最後さいごの架かけ替がえが行おこなわれた際さいに正式せいしきに現在げんざいの橋はし名めいである「吾妻橋あづまばし」と命名めいめいされた。

この最後さいごの木橋もくきょうは1885年ねん（明治めいじ18年ねん）7月がつの大だい洪水こうずいで初はじめて流出りゅうしゅつした千住大橋せんじゅおおはしの橋桁はしげたが上流じょうりゅうから流ながされてきて橋脚きょうきゃくに衝突しょうとつ。一緒いっしょに流失りゅうしつしてしまう。そのために1887年ねん（明治めいじ20年ねん）12月9日にちに隅田川すみだがわ最初さいしょの鉄橋てっきょうとして再さい架橋かきょうされた。鋼はがね製せいプラットトラス橋きょうで、人道じんどう橋きょう、鉄道てつどう（東京とうきょう市電しでん）橋はし、車道しゃどう橋きょうの3本ほんが平行へいこうして架かけられていた。

1923年ねん（大正たいしょう12年ねん）9月1日にちの大正たいしょう関東かんとう地震じしん（関東大震災かんとうだいしんさい）によって木製もくせいだった橋板はしいたが焼やけ落おちてしまい、一時いちじ的てきな補修ほしゅうの後のち、1931年ねん（昭和しょうわ6年ねん）に現在げんざいの橋はしに架かけ替かえられた。

現在げんざいの橋はしの概要がいよう

• 構造こうぞう形式けいしき - 3径みち間あいだ鋼こうソリッドリブタイドアーチ橋きょう
• 橋はし長ちょう - 150.0m
• 幅員ふくいん - 20.0m
• 着工ちゃっこう - 昭和しょうわ4年ねん6月がつ
• 竣工しゅんこう - 昭和しょうわ6年ねん6月がつ
• 施工しこう主体しゅたい - 東京とうきょう市し

吾妻橋あづまばし

作品さくひん

音楽おんがく

• 飯塚いいづかまもる『Sumidagawa』
• 美川みかわ憲一けんいち『吾妻橋あづまばしで待まつ女おんな』
• ちあきなおみ『ほうずきの町まち』

都々逸どどいつ

• 「吾妻橋あづまばしとは 吾わが妻つま橋きょうよ そばに渡わたしが ついている」（※「渡わたし舟ぶね」と「私わたし」を掛かけている。本歌ほんか取とで「吾妻あづま下駄げたとは 女おんなの下駄げたよ そばに裸足はだしが ついている」というのもある）

隣となりの橋はし

• 隅田川すみだがわ

（上流じょうりゅう） - 言げん問とい橋きょう - 隅田川すみだがわ橋梁きょうりょう - 吾妻橋あづまばし - 駒形橋こまがたばし - 厩橋うまやばし - （下流かりゅう）

関連かんれん文献ぶんけん

• 斎藤さいとう幸雄ゆきお「巻まき之の七なな 揺ゆら光之みつゆき部ぶ 大川おおかわ橋きょう」『江戸えど名所めいしょ図会ずえ』 4巻かん、有朋ありとも堂どう書店しょてん、1927年ねん、172-173頁ぺーじ。NDLJP:1174161/91。 

関連かんれん項目こうもく

• 吾妻あづま橋きょう (墨田すみだ区く)