言げん問とい橋きょう

東京とうきょう都と墨田すみだ区くから（2005年ねん8月がつ）

竣工しゅんこう当時とうじの橋はし

言げん問とい橋きょう（ことといばし）は、隅田川すみだがわにかかる国道こくどう6号ごう（言げん問とい通どおり、東京とうきょう都道とどう319号ごう環状かんじょう三さん号線ごうせん重用じゅうよう）の橋はし。西岸せいがんは台東たいとう区く花川戸はなかわど二に丁目ちょうめと浅草あさくさ七なな丁目ちょうめを分わかち、東岸とうがんは墨田すみだ区く向島むこうじま一いち丁目ちょうめと二に丁目ちょうめを分わかつ。もともと「竹屋たけやの渡わたし」という渡船場とせんばがあった場所ばしょである。

両りょう岸きしとも隅田すみた公園こうえんの敷地しきちを跨またいでいるほか、東ひがし詰つめ側がわの橋下はしもとを東京とうきょう都道とどう461号ごう吾妻橋あづまばし伊興いこう町まち線せん（墨ぼく堤つつみ通どおり）が通過つうかしている。

建設けんせつの経緯けいい

1923年ねん（大正たいしょう11年ねん）に発生はっせいした関東大震災かんとうだいしんさいの復興ふっこう事業じぎょうとして425の橋はしが建設けんせつされた。復興ふっこう局きょくは相生橋あいおいばし、永代えいたい橋きょう、清洲橋きよすばし、蔵前橋くらまえばし、駒形橋こまがたばし、言げん問とい橋きょうなど115橋きょう、東京とうきょう市しは厩橋うまやばし、吾妻橋あづまばし、両国橋りょうごくばしなど310橋きょうを担当たんとうした。復興ふっこう局きょくが建設けんせつした隅田川すみだがわ六ろく橋きょうは、地形ちけいの制約せいやくが無ない限かぎり、景観けいかんを考慮こうりょして鋼はがね構造こうぞうが路面ろめんよりも低ひくい上路あげろ形式けいしきを採用さいようした。

言げん問とい橋きょう建設けんせつ前まえに橋はしは無なく、渡わたしがあるだけだった。架かけられたのは、両りょう岸きしから伸のびる桁けた（突桁）が、川かわの中なかの2つの橋脚きょうきゃくを支点してんとして中央ちゅうおうの桁けた（吊つるし桁けた）を支持しじする上路あげろ形式けいしきのゲルバー橋きょうであり、岩切いわきり良助りょうすけが設計せっけいした。総そう鋼はがね量りょう2,718 t。基礎きそにはニューマチックケーソン工法こうほうが採用さいようされた。塗装とそうはオイルペイント上塗うわぬりの3回かい塗ぬりで色いろはグレー。1928年ねん(昭和しょうわ3年ねん)2月がつ10日とおか竣工しゅんこう、総そう工費こうひ1,830,713円えん。

両国橋りょうごくばしや大阪おおさかの天満橋てんまばしと並ならんで三さん大だいゲルバー橋きょうと呼よばれた。川端かわばた康成やすなりは小説しょうせつ『浅草あさくさ紅べに団だん』（先進せんしん社しゃ、1930年ねん）の中なかで、その直線ちょくせん的てきで力強ちからづよいデザインを曲線きょくせん的てきで優美ゆうびな清洲橋きよすばしと対比たいひさせ、「ゆるやかな弧線こせんに膨ふくらんでいるが、隅田川すみだがわの新あたらしい六ろく大橋おおはしのうちで、清洲橋きよすばしが曲線きょくせんの美うつくしさとすれば、言げん問とい橋きょうは直線ちょくせんの美うつくしさなのだ。清洲きよすは女おんなだ、言げん問といは男おとこだ。」と記しるしている。

言げん問といの由来ゆらい

「言げん問とい」という名称めいしょうは在原業平ありわらのなりひらの詠よんだ、

名なにし負まけはばいざこと問といはむ都鳥みやこどりわが思おもふ人ひとはありやなしやと

という歌うたに因ちなむといわれている。しかし、実際じっさいにこの業平なりひらの故事こじがあったとされている場所ばしょは現在げんざいの白鬚橋しらひげばし付近ふきんにあった「橋場はしばの渡わたし」でのことであり、言げん問とい橋きょう近辺きんぺんには地名ちめいとしては存在そんざいしていたわけではないため、多おおくの説せつがある。

有力ゆうりょくな説せつとしては、1871年ねん（明治めいじ4年ねん）の創業そうぎょうでこの地ちに現在げんざいもある言げん問とい団子だんごの主人しゅじん（もとは植木うえき職人しょくにんの外山とやま佐吉さきち（1817年ねん - 1886年ねん）という人物じんぶつ）が団子だんごを売うり出だすにあたって、隅田川すみだがわにちなむ在原業平ありわらのなりひらをもちだして「言げん問とい団子だんご」と名なづけ、人気にんきの店みせとなったことからこの近辺きんぺんが俗ぞくに「言げん問といケ岡おか」と呼よばれるようになり、それにあわせて業平なりひらを祀まつったことに由来ゆらいするというものがある。

東京とうきょう大だい空襲くうしゅうおよびその後ご

東京とうきょう大だい空襲くうしゅう時どきの焼やけ跡あとが残のこる親おや柱ばしら（2010年ねん3月がつ20日はつか撮影さつえい）

1945年ねん（昭和しょうわ20年ねん）3月がつ10日とおかの東京とうきょう大だい空襲くうしゅう（下町したまち空襲くうしゅう）の際さいには、浅草あさくさ方面ほうめんの人ひとが「川かわの向むこうに行いけば助たすかる」と思おもい言げん問とい橋きょうを渡わたろうとした。しかし対岸たいがんの向島むこうじま・本所ほんじょ地区ちくもすでに火ひの海うみであり、住民じゅうみんらは同様どうように対岸たいがんへの避難ひなんを試こころみたため、両者りょうしゃが橋はしの上うえでぶつかり合あい進退しんたい窮きわまる状態じょうたいとなった。そこへ焼夷弾しょういだんが落おち、多数たすうの死傷ししょう者しゃを出だした。

戦後せんごは蟻ありの街まちと呼よばれた廃品はいひん回収かいしゅう業者ぎょうしゃの共同きょうどう体たいが形成けいせいされた。この共同きょうどう体たいは1958年ねんに8号ごう埋立うめたて地ち（江東こうとう区く潮見しおみ）へ移転いてんが決定けっていし、1960年ねん頃ごろに移転いてんが完了かんりょうした。

橋西はしにし詰つめの隅田すみた公園こうえん内うちには、空襲くうしゅうでの犠牲ぎせい者しゃを追悼ついとうする慰霊いれい碑ひが設もうけられており、その横よこには1992年ねん（平成へいせい4年ねん）からの改修かいしゅう工事こうじで切きり出だされた欄干らんかんの基部きぶの縁石えんせき（色いろが黒くろずんで変色へんしょくしている）が展示てんじされている。また、江戸えど東京とうきょう博物館はくぶつかんの屋外おくがい通路つうろ（横網よこあみ町まち公園こうえん側がわ）にも取とり外はずされた欄干らんかんと縁石えんせきの一部いちぶが保存ほぞん展示てんじされている。

2008年ねん（平成へいせい20年ねん）3月17日にちと18日にちの2日間にちかんに渡わたって日本にほんテレビ系列けいれつで放送ほうそうされた、日本にほんテレビ開局かいきょく55周年しゅうねん記念きねん番組ばんぐみのテレビドラマ『東京とうきょう大だい空襲くうしゅう』では、言げん問とい橋きょうがストーリーに密接みっせつに関かかわっている。

2008年ねん（平成へいせい20年ねん）3月28日にち、両国橋りょうごくばしと共ともに東京とうきょう都との東京とうきょう都と選定せんてい歴史れきし的てき建造けんぞう物ぶつに選定せんていされた。また、西にし詰つめ(浅草あさくさ方かた)は東京とうきょうスカイツリーの撮影さつえいスポットでもある。

橋はしの概要がいよう

• 構造こうぞう形式けいしき - 鋼はがね3径みち間あいだゲルバー鈑桁けた橋きょう
• 橋はし長ちょう - 238.7 m
• 幅員ふくいん - 22.0 m
• 着工ちゃっこう - 1925年ねん（大正たいしょう14年ねん）5月がつ11日にち
• 竣工しゅんこう - 1928年ねん（昭和しょうわ3年ねん）2月がつ10日とおか
• 施工しこう主体しゅたい - 東京とうきょう市し復興ふっこう局きょく
• 橋桁はしげた製作せいさく - 横よこ河かわ橋梁きょうりょう製作所せいさくしょ

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  東京とうきょう都と台東たいとう区くより。
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  区立くりつ隅田すだ公園こうえんより見みた言げん問とい橋きょう（2010年ねん3月がつ20日はつか撮影さつえい）
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  言げん問とい橋きょうの中央ちゅうおう部分ぶぶん（2010年ねん3月がつ20日はつか撮影さつえい）
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  言げん問とい橋桁はしげたの耐震たいしん補強ほきょう（2010年ねん3月がつ20日はつか撮影さつえい）
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  橋上はしがみより、東京とうきょうスカイツリーを臨のぞむ
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  隅田川すみだがわ左岸さがんより(2010年ねん4月がつ撮影さつえい)

隣となりの橋はし

• 隅田川すみだがわ

（上流じょうりゅう） - 白鬚橋しらひげばし - 桜さくら橋きょう - 言げん問とい橋きょう - 隅田川すみだがわ橋梁きょうりょう - 吾妻橋あづまばし - （下流かりゅう）

関連かんれん項目こうもく

• クラフト - フォークソンググループ。1976年ねん7月がつにシングルレコード「言げん問とい橋きょう」を発売はつばい。
• 清水しみず由貴子ゆきこ - 1979年ねん9月がつにシングルレコード「言げん問とい橋きょう」を発売はつばい。

外部がいぶリンク

• 震災しんさい棟梁とうりょう工事こうじ写真しゃしん 言げん問とい橋きょう工事こうじ（土木どぼく学会がっかい付属ふぞく土木どぼく図書館としょかんデジタルアーカイブスより）
• コンクリートに現代げんだい化かされた向島むこうじまの言げん問とい橋きょう『大だい東京とうきょう写真しゃしん帖じょう』