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アーチきょう

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アーチきょう(アーチきょう、えい: arch bridge)は、構造こうぞう形式けいしきによるはし分類ぶんるいひとつであり、しゅ構造こうぞうアーチもちいた橋梁きょうりょうのことである[1]日本語にほんごで「拱橋」(きょうきょう)[2]とも。

ほんこうでは、アーチきょう一種いっしゅ位置付いちづけられるローゼきょう(ローゼきょう)、ランガーきょう(ランガーきょう)についても記述きじゅつする。

概要がいよう

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アーチきょう機構きこう

原理げんり特徴とくちょう

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アーチきょうは、橋梁きょうりょう鉛直えんちょくはたら荷重かじゅうをアーチ部材ぶざいへの圧縮あっしゅくりょく変換へんかんさせて支持しじする構造こうぞうである[1]

みぎ上段じょうだんしめすように、外部がいぶ自重じちょうにより作用さようする下向したむきの荷重かじゅうが、アーチ部材ぶざい内部ないぶにおいて圧縮あっしゅくりょく変換へんかんされ、りょうはし支点してん伝達でんたつされる。一般いっぱんてきけたきょうみぎ下段げだん)では「」によるたわみ発生はっせいし、しゅけた内部ないぶでは上側うわがわ圧縮あっしゅく応力おうりょくしたがわ引張ひっぱ応力おうりょく発生はっせいするのにたいし、アーチきょうではほぼ断面だんめんない一様いちよう圧縮あっしゅく応力おうりょくだけを発生はっせいする。

したがって、アーチきょうはその構造こうぞう特性とくせいから、けたきょう比較ひかくして以下いかのような特徴とくちょうつ。

  • 剛性ごうせいたか
  • 断面だんめん効率こうりつすぐれる
    • おなささえあいだであれば、よりちいさな断面だんめんアーチ部材ぶざい架橋かきょうを、おな断面だんめんであれば、より長大ちょうだいささえあいだ架橋かきょう可能かのうとする。
    • 圧縮あっしゅくりょくささえるためくみせきづくりのような不連続ふれんぞく構造こうぞうにでき、いしレンガコンクリートなどの圧縮あっしゅくりょくだけにつよ材料ざいりょう使つかえる。
  • 水平すいへいはんちから発生はっせい
    • アーチきょう荷重かじゅう作用さようすると、アーチ部材ぶざいそとひらこうとする挙動きょどうしめし、支点してんには水平すいへい方向ほうこうちから発生はっせいする。
    • 長大ちょうだいなアーチきょうでは、この水平すいへいりょくおおきなものとなるため、強固きょうこ基礎きそもうけるか、後述こうじゅつのタイドアーチ形式けいしきとする必要ひつようがある。

アーチにもちいられる曲線きょくせん

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アーチきょう優美ゆうび曲線きょくせんえがき、景観けいかんまとにもすぐれた構造こうぞうである。

アーチの曲線きょくせん歴史れきしとともに変化へんかしてきた。→アーチ#歴史れきし

また、アーチのたかさ(支点してんから頂点ちょうてんまでのたかさ)をアーチライズとび、アーチきょう特性とくせい外観がいかんあたえる印象いんしょう影響えいきょうあたえる。アーチささえあいだたいしてアーチライズのたかいアーチきょうは、外観がいかんにオーソドックスな印象いんしょうあたえる。一方いっぽう、アーチライズのひく形式けいしきは、近代きんだいてきでシャープな印象いんしょうあたえ、構造こうぞうてきにもけたきょう挙動きょどうちかいものとなる。

近年きんねんでは、中小ちゅうしょう規模きぼのアーチには、設計せっけい施工しこう簡易かんいさから円弧えんこまたは楕円弧だえんこもちいられることがおおい。一方いっぽう長大ちょうだいアーチきょうでは、その特性とくせいかつかせる双曲線そうきょくせん選定せんていされる。

種類しゅるい分類ぶんるい

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支持しじ条件じょうけんによる分類ぶんるい

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アーチきょう基本きほん形態けいたい

アーチきょうは、その支持しじ条件じょうけんによりいくつかに分類ぶんるいされる。ヒンジアーチはソリッド構造こうぞう単純たんじゅんしたくみせきづくりてき分割ぶんかつあた有害ゆうがい残存ざんそん応力おうりょくおさえながら、軟弱なんじゃく基礎きそ支点してんにしようとしたもの。

2ヒンジアーチ
支点してん蝶番ちょうつがい役割やくわりたすヒンジささえうけたまわもうけ、支点してんはたら回転かいてんりょくモーメント)をがすようにはたらくアーチきょうである。はがねソリッドリブアーチ(後述こうじゅつ)におおられる形式けいしきである。
3ヒンジアーチ
支点してんのほか、アーチクラウン(アーチの最高さいこうてん)にもヒンジをもうけた形式けいしきである。この形式けいしきしずかてい構造こうぞうばれ、アーチ支点してんかり移動いどうしたとしても、アーチに不利ふりな2りょくはたらかない形式けいしきである。この形式けいしきとしては、大阪おおさか桜宮さくらみやきょうぎんきょうがあるが、ヒンジ耐久たいきゅうせいとう懸念けねんがあることから近年きんねんはあまりもちいられない。桜宮さくらみやきょう拡幅かくふく工事こうじ実施じっしし、増設ぞうせつされたはしはタイドアーチ構造こうぞう一種いっしゅローゼきょう後述こうじゅつ)が採用さいようされている。
固定こていアーチ
支点してんにヒンジをもうけず、完全かんぜんつよしゆいとした構造こうぞうである。この形式けいしきでは、支点してん水平すいへいりょく鉛直えんちょくりょくのほか、回転かいてんりょくはたらくため、強固きょうこ基礎きそ必要ひつようとなる。後述こうじゅつはがねブレースドリブアーチやコンクリートアーチきょうおおられる形式けいしきである。
タイドアーチ
前述ぜんじゅつしたとおりアーチきょうでは支点してん水平すいへいりょくはたらく。これにたいゆみのように、支点してん同士どうし引張ひっぱ部材ぶざい(タイ)でむすび、水平すいへいりょく伝達でんたつさせる形式けいしきをタイドアーチ(Tied arch)または定式ていしきアーチぶ。この形式けいしきでは、水平すいへいりょくはし内部ないぶじこめられるため、支点してん水平すいへいりょく発生はっせいしない。後述こうじゅつしたしきアーチによくられる形式けいしきである。

眼鏡橋めがねばし

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アーチの個数こすう任意にんいであるが、アーチがふたつあるアーチきょうとく眼鏡めがねのようにえるので眼鏡橋めがねばしばれている。

ひとつのアーチでもうえがっているはし単眼たんがんきょうているため眼鏡橋めがねばしばれることがあるが、実際じっさいにはアーチのかず関係かんけいなく、2つ以上いじょうつらなる連続れんぞくコンクリートアーチきょう眼鏡橋めがねばしばれている[3] [4]

太鼓橋たいこばし

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太鼓たいこどうのようにうえしているアーチきょう太鼓橋たいこばし[5]石造いしづくりがおおいが、金属きんぞくせい木製もくせいのものもある。中国ちゅうごく庭園ていえん日本にっぽん庭園ていえんでもよく使つかわれる。とくに、はし下部かぶ半円はんえんがたいけなどの水面すいめん反射はんしゃして満月まんげつかたどるように計画けいかくされたものはえん月橋つきはしばれる。

歴史れきし

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ヨーロッパ・中国ちゅうごく日本にっぽん歴史れきし

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ローマの水道橋すいどうばしポン・デュ・ガール(フランス)
あんわたるきょう 河北かほくしょうちょうけん中国ちゅうごく
木造もくぞうはし錦帯橋きんたいきょう

古代こだいギリシャ発明はつめいされたとされるせつや、紀元前きげんぜん30世紀せいきごろメソポタミアとがったかたちのアーチがつくられ、それが円形えんけい進化しんかしたとされるせつがある。なお、メソポタミアのものは煉瓦れんが材料ざいりょうとしていた。いずれにせよ、アーチが安定あんていした構造こうぞうであることはふるくからられていたようである。紀元前きげんぜん1世紀せいきごろにはその技術ぎじゅつ古代こだいローマつたわりせきのアーチきょう多数たすうけられるようになり、一部いちぶ現在げんざいのこっている。ながはしつくるためアーチをつらねる場合ばあいもあり、これも古代こだいローマの水道橋すいどうばしなどがのこっている。

半円はんえんがた場合ばあいながさの半分はんぶんたかさが必要ひつようであるが、15・16世紀せいきごろイタリアルネッサンスには、楕円だえん懸垂けんすいせん扁平へんぺいかたちのものもつくられるようになった。なかには、はしうえいえ店舗てんぽなどの建物たてものったものもある。

18世紀せいき産業さんぎょう革命かくめいによりてつ使つかえるようになった。最初さいしょてつのアーチきょうイギリス1779ねん完成かんせいした、そのアイアンブリッジであり最初さいしょ鉄橋てっきょうといえる。現役げんえき使用しようされており世界せかい遺産いさん登録とうろくされている。現代げんだいはし鋼鉄こうてつであるが、このはし鋳鉄ちゅうてつ使つかわれている。

一方いっぽう中国ちゅうごくにも紀元前きげんぜんにアーチきょうつたわっていたと記録きろくされている。現存げんそんしているものでふるいものではずい時代じだい600ねんころ)のあんわたるきょうがある。連続れんぞくアーチのおおきなはしとしては盧溝橋ろこうきょう(ろこうきょう)が著名ちょめいであり1192ねん建造けんぞうである。拱手こうしゅれいをするときのりょううでかたちがアーチじょうであることからアーチきょうを「拱橋」と表記ひょうきする。

日本にっぽんには、いしのアーチきょう技術ぎじゅつ中国ちゅうごくから沖縄おきなわ当時とうじ琉球りゅうきゅう王国おうこく)にもたらされたものが最初さいしょとされる。また長崎ながさきにもつたえられ、1643ねん眼鏡橋めがねばしけられた。これを九州きゅうしゅう各地かくち石造いしづくりのアーチきょうけられている。熊本くまもとつうじゅんきょう灌漑かんがいよう水路すいろきょうとしてられている。日本にっぽん石造せきぞうアーチきょうかんしては眼鏡橋めがねばし参照さんしょう

木造もくぞうのアーチきょうられている錦帯橋きんたいきょうも、1673ねん中国ちゅうごく同名どうめいはしをモデルに独自どくじ技術ぎじゅつ架設かせつされた。 日本にっぽんではアーチきょう古来こらい反橋そりはし太鼓橋たいこばしなどとばれてきた。ただし、これらのなかにはかたちはアーチだが途中とちゅう橋脚きょうきゃくつものもあり。この場合ばあいはアーチではなくけたきょう変形へんけいえる。


現代げんだいのアーチきょう構造こうぞう

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構造こうぞう材料ざいりょう

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New River Gorge橋(鋼ブレースドリブアーチ / 支間 518m)
New River Gorgeきょうはがねブレースドリブアーチ / ささえあいだ 518m)
鉄筋コンクリートアーチ橋の草分けザルギナトーベル橋
鉄筋てっきんコンクリートアーチきょう草分くさわザルギナトーベルきょう

現代げんだいのアーチきょうにおいては、その構造こうぞう材料ざいりょうとしておもにはがねコンクリートもちいられる。

はがねは、じんせい(ねばりづよさ)にみ、とく引張ひっぱ応力おうりょくつよいが、圧縮あっしゅく応力おうりょくにもおなじぐらいえられるため、アーチきょうにも多用たようされ、ささえあいだ飛躍ひやくてきばしてきた。はがねアーチきょう最大さいだいささえあいだは500mをえ、吊橋つりばしはすはりきょうちょうささえあいだほこっている。はがねアーチのうち鋼板こうはんわせたはこがた断面だんめんであるものをソリッドリブアーチ(Solid-rib arch)、三角形さんかっけいわせたトラス構造こうぞうのアーチをブレースドリブアーチ(Braced-rib arch)とぶ。

コンクリートも現代げんだい構造こうぞう材料ざいりょうとして代表だいひょうてきである。コンクリートの特性とくせいは、圧縮あっしゅくりょくつよいが引張ひっぱちからにはよわい。したがって、アーチきょう圧縮あっしゅく応力おうりょくだけでささえる構造こうぞう最適さいてきである。けたきょうのような「きょくげ」(げモーメント)が卓越たくえつする構造こうぞうでは、過大かだい引張ひっぱ応力おうりょく発生はっせいけられず、長大ちょうだいはかれなかった。この問題もんだい対処たいしょするため、あらかじめ圧縮あっしゅくりょく強制きょうせいてきあたえておくプレストレスト・コンクリート(PC)を長大ちょうだいけたきょうもちいる。しかしアーチきょう圧縮あっしゅく応力おうりょくささえるため、PCをもちいずとも長大ちょうだいはかれる。コンクリートアーチきょうたんなる鉄筋てっきんコンクリート構造こうぞうでありながら、その最大さいだいささえあいだは200mをえている。

通行つうこう位置いちによる分類ぶんるい

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アーチきょう形態けいたい

はがねとコンクリートという近代きんだい材料ざいりょうて、現代げんだいのアーチきょう構造こうぞう自由じゆうひろがった。

アーチきょうはその形状けいじょうによりちょうささえあいだ架橋かきょう可能かのうとなる構造こうぞうではあるが、ゆみなりとなった形状けいじょうひとしゃわたすのは困難こんなんであり、アーチ部材ぶざいとはべつ平坦へいたん路面ろめん必要ひつようである。近代きんだいまでのアーチきょうでは石材せきざいおも材料ざいりょうとしていたことから、みぎ上段じょうだんしめす「たかしはらしき上路あげろアーチきょう」が主流しゅりゅうであった。上路あげろとはアーチのうえ別途べっと路面ろめんもうけることを意味いみし、たかしはらとはアーチと路面ろめんあいだ材料ざいりょう隙間すきまなくめられていることをしめす。

ところが、はがねやコンクリートをもちいればたかしはら構造こうぞうとしなくても、アーチのうえはしら路面ろめんゆかばんごうけた)をもうけることが可能かのうとなった。この構造こうぞうは「開腹かいふくしき上路あげろアーチきょうまたはオープンスパンドレルアーチきょう」(みぎ中段ちゅうだん)とばれる。アーチきょう荷重かじゅう作用さようすると、その特性とくせいからアーチ部材ぶざい外側そとがわひらこうするちからしょうじるため、長大ちょうだい上路あげろアーチきょうではそのちからえるだけの強固きょうこ岩盤がんばん必要ひつようとなる(ちゅう矢印やじるし)。たかしはらしきでははしたいそのものの重量じゅうりょうおおきいためこのちからおおきく、ささえあいだ長大ちょうだいには限界げんかいがあったが、開腹かいふくしきでははしたい軽量けいりょうになるため長大ちょうだいなアーチきょう架橋かきょうできるようになった。

さらに、はがねきょう中心ちゅうしんとして「したアーチきょう」も現代げんだいのアーチきょうではおお使つかわれている。この構造こうぞうはアーチを路面ろめんよりうえわたし、アーチ部材ぶざいより路面ろめんゆかぐみおぎなえつよしけた)を構造こうぞうである。したアーチでは路面ろめんける構造こうぞうによりアーチのりょうはしむすび、前述ぜんじゅつタイドアーチ形式けいしきとすることができる。したがって、支点してんおおきなちから作用さようしないため強固きょうこ基礎きそ必要ひつようとせず、地盤じばん軟弱なんじゃく都市としなどでの長大ちょうだいアーチ橋架きょうか構が可能かのうになっている。

このように、現代げんだいのアーチきょうは「開腹かいふくしき上路あげろアーチきょう」および「したアーチきょう」が主流しゅりゅうとなっている。また、その中間ちゅうかん構造こうぞうである「中路なかじアーチきょう」ももちいられる。その一方いっぽうで、ささえうけたまわ伸縮しんしゅく装置そうち排水はいすい装置そうちなどのメンテナンスじょう不利ふりとなる部材ぶざいたない「たかしはらしき上路あげろアーチきょう」も一部いちぶ見直みなおされており、高速こうそく道路どうろ高架こうかきょうもちいられているれいもある。

ごうけたゆうするアーチ

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ごうアーチきょう

アーチきょうではアーチ部材ぶざいのほか、路面ろめん確保かくほするための部材ぶざいもうけるが、この部材ぶざい剛性ごうせいたせ、アーチ部材ぶざいちから分担ぶんたんって橋梁きょうりょう構成こうせいする形式けいしきがある。これをおぎなえつよしアーチきょうび、剛性ごうせいたせた部材ぶざいおぎなえつよしけたぶ。ごうアーチきょうは、その分担ぶんたん方式ほうしきによりふたつにけられる。

ローゼきょう (Lohse Bridge)
ごうけたとアーチ部材ぶざい双方そうほうげモーメント分担ぶんたんするごうアーチきょうである。みぎ上段じょうだんしめすように、アーチ部材ぶざいごうけたがほぼどう程度ていど部材ぶざいあつつことが外見がいけんじょう特徴とくちょうとなる。また、ローゼきょうにはアーチ部材ぶざいごうけたあいだななめにったケーブルを配置はいちした形式けいしきがあり、これをニールセン・ローゼきょう(Nielsen Lohse Bridge)という。
ランガーきょう (Langer Bridge)
ごうけたげモーメント、アーチ部材ぶざい圧縮あっしゅくりょくのみを分担ぶんたんするごうアーチきょうである。この形式けいしきにおいてしゅたる部材ぶざいおぎなえつよしけたであり、のアーチきょうくら挙動きょどうけたきょうちかく、アーチ部材ぶざい補助ほじょてき部材ぶざいとなっている(みぎ)。また、ランガー形式けいしきではアーチは曲線きょくせんえがかず、ざいとの交点こうてんれる直線ちょくせん部材ぶざいとなっていることがおおい。

力学りきがくてき分類ぶんるい以上いじょうのとおりであるが、外見がいけんじょうかく形式けいしきちがいは以下いかのようになる。

形式けいしき アーチ部材ぶざい 路面ろめん構成こうせい部材ぶざい
ごうけた
アーチきょう ふと うす
ローゼきょう ちゅうあいだ ちゅうあいだ
ランガーきょう ほそ あつ

また、ローゼきょう、ランガーきょうしたアーチばかりでなく開腹かいふくしき上路あげろアーチにももちいられ、それぞれぎゃくローゼきょうぎゃくランガーきょうばれる。コンクリートせいぎゃくローゼきょうぎゃくランガーきょうには、ごうけたPC構造こうぞうとしたものがおおい。

その構造こうぞう

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バスケットハンドルがたニールセンローゼきょうれいだい棚沢たなざわきょう
バランスドアーチきょう

ごうけたゆうするアーチきょうには、上記じょうきほかにも様々さまざまなバリエーションが存在そんざいする。

したローゼきょう一般いっぱんに2ほんのアーチ部材ぶざいゆうするが、これを1ほんのみとした構造こうぞうがあり、たんつるローゼきょう(たんげんローゼきょう)としょうする。たんつるローゼきょうは、1ほんのアーチ部材ぶざいをどこに配置はいちするかによりデザインの自由じゆうたか形式けいしきであり、路面ろめん中央ちゅうおうにアーチ部材ぶざい配置はいちした対称たいしょうがたのほか、路面ろめん片側かたがわ配置はいちした非対称ひたいしょうがた形式けいしきられる。

また、前述ぜんじゅつのニールセンローゼきょうにおいて、アーチクラウン(アーチの最高さいこうてん)で2ほんのアーチ部材ぶざい間隔かんかくしぼんだ形式けいしきを、その形状けいじょうバスケットたとえてバスケットハンドルがたニールセンローゼきょうぶ。この形式けいしき景観けいかんすぐれ、はすはりきょうならんで1980年代ねんだいよりその架橋かきょうれいえている。

一方いっぽう、ランガー形式けいしきにおいては、ざいをトラス形式けいしきとしたトラスド・ランガーきょう(Trussed Langer Bridge)が、そのバリエーションとして存在そんざいする。前述ぜんじゅつのとおり、ランガーきょうのアーチ部材ぶざい圧縮あっしゅくりょくのみを分担ぶんたんするため、じくりょく圧縮あっしゅくりょく引張ひっぱちから)をける部材ぶざい構成こうせいされるトラスきょう特性とくせいをうまくれた形式けいしきえる。

その連続れんぞく形式けいしきのアーチきょうとしてバランスドアーチきょう(Balanced Arch Bridge)がある。これは、みぎしめすように、中間ちゅうかんの2支点してん中心ちゅうしんにバランスをとっている構造こうぞうであり、上路あげろアーチきょうでも定式ていしきとすることができる。

建設けんせつ方法ほうほう

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完成かんせいした状態じょうたいにおけるアーチきょう安定あんていした構造こうぞうであるが、その形状けいじょう構築こうちくする段階だんかいにおいては不安定ふあんていであることがおおく、巨大きょだいなアーチ部材ぶざい建設けんせつするために様々さまざま工法こうほうもちいられる。

ささえこう施工しこう
建設けんせつちゅう荷重かじゅうささえるための架台かだいである「ささえこう」をげ、そのうえにアーチを構築こうちくしていく方法ほうほうである。ささえこうはアーチリブが閉合した段階だんかい撤去てっきょされる。
アーチを構築こうちくするための古典こてんてき工法こうほうであり、ふるくから石橋いしばし施工しこうにももちいられてきたほか、現在げんざいでも中小ちゅうしょう規模きぼのアーチきょう施工しこうてきする工法こうほうである。ささえこうにはふるくは材木ざいもく最近さいきんではユニットされた仮設かせつ鋼材こうざいもちいられる。
ケーブル架設かせつ工法こうほう
はがねせいアーチの施工しこうもちいられるもので、りょうはしにタワーを仮設かせつしそこからったワイヤーでささえながらアーチをばしてくものである。アーチのしゅ部材ぶざいはケーブルクレーンにて架設かせつされることがおおい。吊橋つりばしのように全体ぜんたいわたしたケーブルからハンガーロープを架設かせつちゅうのアーチをささえる方法ほうほうと、はすはりきょうのようにななめにったケーブルによりささえるはすつるし工法こうほうがある。
セントル工法こうほう
コンクリートアーチきょう施工しこうもちいられる。「アーチセントル」とばれるアーチじょうささえこうもちいて、施工しこうちゅうのコンクリートをささえる工法こうほうである。ささえこう施工しこうているが、ささえこうとなるアーチセントル自体じたいがアーチ機構きこう荷重かじゅうささえること、アーチセントルは転用てんよう可能かのうであることが特徴とくちょうである。
メラン工法こうほう
コンクリートアーチきょう施工しこうもちいられる工法こうほうで、メランざいばれるはがねせいアーチをあらかじめ架設かせつしておき、これをコンクリートでていく架設かせつ工法こうほうである。
ピロン工法こうほう
ピロンばしら(pylon)とばれる仮設かせつばしら橋台きょうだいじょう構築こうちくし、ケーブルをって荷重におもささえながら、コンクリートアーチをちょういずる架設かせつしていく工法こうほうである。だい規模きぼなアーチきょうでは、途中とちゅうまでピロン工法こうほうにて施工しこうおこなったのち、アーチリブの中央ちゅうおう付近ふきんはメラン工法こうほうにておこなう「ピロン・メラン併用へいよう工法こうほう」ももちいられる。
トラス工法こうほう
上路あげろしきコンクリートアーチきょうもちいられる工法こうほうで、上路あげろけたごうけた)をPCけたとし、アーチリブ・つよしけた支柱しちゅうざい同時どうじ施工しこうしていく工法こうほうである。施工しこうちょういずる架設かせつによっておこなわれ、ごうけたからアーチリブにケーブルがトラスじょうられることからこのがある。ピロン工法こうほう同様どうよう、メラン工法こうほうとの併用へいようおこなわれる。
モジュラーチ工法こうほう
工場こうじょう製作せいさくされた鉄筋てっきんコンクリートせいのアーチ部材ぶざい現場げんばてる工法こうほうである。たかしはらしき上路あげろアーチとなる。

おも長大ちょうだいアーチきょう

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浦大うらおおきょう
(ニールセンローゼきょう
Bayonne Bridge
はがねブレースドリブアーチ)
  • 世界せかい
    • 浦大うらおおきょう(Lupu Bridge)(中国ちゅうごく
      • 形式けいしき - 中路なかじしき3みちあいだ連続れんぞくこうソリッドリブアーチ
      • アーチささえあいだ - 550m
    • New River Gorge Bridge (アメリカ)
      • 形式けいしき - 上路あげろしきこうブレースドリブ固定こていアーチ
      • アーチささえあいだ - 518m
    • Bayonne Bridge (アメリカ)
      • 形式けいしき - 中路なかじしきこうブレースドリブ固定こていアーチ
      • アーチささえあいだ - 504m
  • 日本にっぽん
    • 広島空港ひろしまくうこう大橋おおはし広島ひろしまけん
      • 形式けいしき - 上路あげろしきこうブレースドリブ固定こていアーチ
      • アーチささえあいだ - 380m
    • しん木津川きづがわ大橋おおはし大阪おおさか
      • 形式けいしき - 中路なかじしき3みちあいだ連続れんぞくこうバスケットハンドルがたニールセンローゼ
      • アーチささえあいだ - 305m
    • 大三島おおみしまきょう愛媛えひめけん
      • 形式けいしき - 中路なかじしきこうソリッドリブ2ヒンジアーチ
      • アーチささえあいだ - 297m
    • ゆめまい大橋おおはし大阪おおさか
      • 形式けいしき - 中路なかじしきこうローゼ(浮体ふたいしき旋回せんかい可動かどうきょう
      • アーチささえあいだ - 280m
    • だい音戸おんど大橋おおはし広島ひろしまけん
      • 形式けいしき - 中路なかじしきこうニールセンローゼ
      • アーチささえあいだ - 280m

おも長大ちょうだいアーチきょう石橋いしばし

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そのおもなアーチきょうくに登録とうろく文化財ぶんかざいくに登録とうろく遺産いさん

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脚注きゃくちゅう

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参考さんこう文献ぶんけん

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  • 多田ただ宏行ひろゆき保全ほぜん技術ぎじゅつしゃのための橋梁きょうりょう構造こうぞう基礎きそ知識ちしき』(改定かいていばん鹿島かしま出版しゅっぱんかい、2015ねん5がつ20日はつかISBN 978-4-306-02472-4 

関連かんれん項目こうもく

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