呉ご晗

呉ご晗
プロフィール
出生しゅっしょう：	1909年ねん8月がつ11日にち
死去しきょ：	1969年ねん10月11日にち
出身しゅっしん地ち：	清きよし浙江せっこう省しょう金華きんか府ふ義ぎ烏がらす県けん
職業しょくぎょう：	政治せいじ家か・歴史れきし家か
各種かくしゅ表記ひょうき
繁体字はんたいじ：	吳ご晗
簡体字かんたいじ：	吴晗
拼音：	Wú Hán
和名わみょう表記ひょうき：	ご かん
発音はつおん転記てんき：	ウー・ハン

呉ご 晗（ご かん）は、中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくの政治せいじ家か・歴史れきし家か。

生涯しょうがい

浙江せっこう省しょう金華きんか府ふ義ぎ烏がらす県けんに生うまれる。中学ちゅうがくを卒業そつぎょうしたあとは、地元じもとの小学校しょうがっこうの教師きょうしを務つとめていた。その後ご、黄埔軍こうほぐん官かん学校がっこうの入学にゅうがくを志こころざしていたが旅費りょひの工面くめんがつかず断念だんねんした。之これ江こう大学だいがくを経へて、中国ちゅうごく公おおやけ学がく大学だいがく部ぶに入学にゅうがく。在学ざいがく中ちゅうに胡えびす適てきの中国ちゅうごく文化ぶんか研究けんきゅう会かいに所属しょぞく。「前漢ぜんかんの経済けいざい状況じょうきょう」という論文ろんぶんを執筆しっぴつし、胡えびす適てきに認みとめられた。清華せいか大学だいがくを卒業そつぎょう、卒業そつぎょう後ご清華せいか大学だいがくにとどまり歴史れきし学がく（明あかり史し）を講こうじた。

抗日こうにち戦争せんそう中ちゅうは清華せいか大学だいがくなどが昆こん明あきらに移転いてんして創立そうりつされた西南せいなん連合れんごう大学だいがく教授きょうじゅになり、引ひき続つづき歴史れきし学がくを講義こうぎするとともに、国民党こくみんとうの腐敗ふはいに反発はんぱつし中国ちゅうごく民主みんしゅ同盟どうめい（民みん盟めい）に加入かにゅうし、昆こん明あきらでの有力ゆうりょくな活動かつどう家かとなる。同時どうじに、中国共産党ちゅうごくきょうさんとうには好意こうい的てきで共産党きょうさんとう文献ぶんけんの学習がくしゅう会かいにも参加さんかした。

中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく成立せいりつ後ごは清華せいか大学だいがく人文じんぶん科学かがく部長ぶちょう、北京ぺきん市し副ふく市長しちょうを務つとめる。当時とうじ中国ちゅうごくでは『清史きよし』編纂へんさんが計画けいかくされ清史きよし研究けんきゅうの立たち遅おくれと研究けんきゅう者しゃの不足ふそくが問題もんだいとなっていた。このため呉ごが中心ちゅうしんとなって、清しん代だいの歴史れきし研究けんきゅうの重点じゅうてん化かと専門せんもん的てきな研究けんきゅう者しゃの育成いくせいの体制たいせいづくりが行おこなわれた。1957年ねん3月がつに民みん盟めい同盟どうめい員いんのまま中国共産党ちゅうごくきょうさんとうに入党にゅうとうする。共産党きょうさんとう入党にゅうとうは当初とうしょは非公開ひこうかいで、後のちに公開こうかいされた。1957年ねん反はん右派うは闘争とうそうでは、共産党きょうさんとう側がわに立たって民みん盟めい幹部かんぶの立場たちばで羅ら隆たかし基もとら共産党きょうさんとうに批判ひはん的てき意見いけんを公表こうひょうした民主みんしゅ党派とうは幹部かんぶを強つよく批判ひはんした。

1961年ねん、京劇きょうげき戯曲ぎきょく『海うみ瑞みず罷やめ官かん』を発表はっぴょうする。1960年ねんから1961年ねんにかけて中国ちゅうごく演劇えんげき界かいで行おこなわれた歴史れきし劇げき論争ろんそうでは、歴史れきし学者がくしゃとして、歴史れきし劇げきにおける歴史れきし事実じじつの尊重そんちょうを強つよく訴うったえた。

1965年ねんに『海うみ瑞みず罷やめ官かん』が姚文元もとによって悪徳あくとく官僚かんりょうが農民のうみんから没収ぼっしゅうした土地とちの農民のうみんへの返却へんきゃく（退すさ田た）と冤罪えんざいを被こうむった民衆みんしゅうの救済きゅうさい（平ひら冤獄）は、集団しゅうだん化かされた土地とちの農民のうみんへの再さい配分はいぶん・人民公社じんみんこうしゃ解体かいたいと反はん革命かくめい分子ぶんしらの名誉めいよ回復かいふくを主張しゅちょうする作品さくひんだと批判ひはんされる（新編しんぺん歴史れきし劇げき『海うみ瑞みず罷やめ官かん』を評ひょうす）。さらに毛沢東もうたくとうは『海うみ瑞みず罷やめ官かん』と彭徳懐ふところ解任かいにんを強引ごういんに結むすびつける談話だんわを発表はっぴょうした。これをきっかけに北京ぺきん市し副ふく市長しちょうを解任かいにんされ文化ぶんか大だい革命かくめいの端緒たんしょとなった。その後ごの文化ぶんか大だい革命かくめいの本格ほんかく化かにより迫害はくがいを受うけ投獄とうごく、獄中ごくちゅうで死去しきょする（死因しいん不明ふめいとされるが自殺じさつ説せつが有力ゆうりょく）。妻つまの袁震も同様どうように獄死ごくしし、養女ようじょの呉ご小しょう彦も精神せいしんを病やみ精神せいしん病院びょういんで自みずから命いのちを絶たった。

著作ちょさく本ほん

• 『朱しゅ元もと璋あきら伝でん』、1949年ねん
• 『読史どくし箚記』、1955年ねん
• 『投槍なげやり集しゅう』、1959年ねん
• 『灯火ともしび集しゅう』、1960年ねん
• 『呉ご晗全集しゅう』全ぜん10巻かん、2009年ねん（北京ぺきん市し副ふく市長しちょうとしての行政ぎょうせい文書ぶんしょと反はん右派うは闘争とうそう時じの言論げんろんは収録しゅうろくしていないことを明記めいき）
• 『新しん中国ちゅうごくの人間にんげん観かん』 勁草書房しょぼう、1965年ねん

参考さんこう文献ぶんけん

• 瀬戸せと宏ひろし「呉ご晗と『海うみ瑞みず罷やめ官かん』－『海うみ瑞みず罷やめ官かん』の執筆しっぴつ意図いと」（京都きょうと大学だいがく人文じんぶん科学かがく研究所けんきゅうじょ附属ふぞく現代げんだい中国ちゅうごく研究けんきゅうセンター研究けんきゅう報告ほうこく『現代げんだい中国ちゅうごく文化ぶんかの深層しんそう構造こうぞう』2015年ねん6月がつ発行はっこう）