土井どいブーム

土井どいブーム（どいブーム）とは、1990年ねん（平成へいせい2年ねん）前後ぜんこうの日本にっぽんで発生はっせいした、日本にっぽん社会党しゃかいとう委員いいん長ちょう・土井どいたか子こを中心ちゅうしんとするコートテール現象げんしょうによる日本にっぽん社会党しゃかいとう優位ゆういの選挙せんきょ戦せんのこと。「マドンナ旋風せんぷう」「マドンナブーム」「おたかさんブーム」とも呼よばれる。

概要がいよう

ミニ政党せいとうを除のぞいた憲政けんせい史上しじょう初はつの女性じょせい党首とうしゅの誕生たんじょうをきっかけに、土井どい委員いいん長ちょうが中心ちゅうしんとなって女性じょせい文化ぶんか人じんの会合かいごうが開ひらかれたり、それと共ともに土井どい自身じしんの人気にんき向上こうじょうにつながった。

1989年ねん（平成へいせい元年がんねん）の1989年ねん東京とうきょう都議会とぎかい議員ぎいん選挙せんきょ、続つづく第だい15回かい参議院さんぎいん議員ぎいん通常つうじょう選挙せんきょにおいて自民じみん批判ひはん票ひょうを得えて大勝たいしょう。参議院さんぎいんでは与党よとうを過半数割かはんすうわれに追おい込こみ、続つづく1990年ねん（平成へいせい2年ねん）の第だい39回かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょでも社会党しゃかいとうは大幅おおはばに議席ぎせきを伸のばした。しかし、政権せいけん獲得かくとくには至いたらず、野党やとうのなかで社会党しゃかいとうだけが突出とっしゅつして議席ぎせきを増ふやしたことに共闘きょうとう路線ろせんを組くむ他た野党やとうの反発はんぱつを招まねく。さらに、平和へいわ主義しゅぎなど社会党しゃかいとうの従来じゅうらいからの政策せいさくが、時代じだいの変化へんかとともにそぐわなくなっていたにもかかわらずそれに固執こしつし続つづけたこと、例たとえば湾岸わんがん戦争せんそう後のちに起おこった国際こくさい貢献こうけんのあり方かたに関かんする論議ろんぎで、社会党しゃかいとうは自衛隊じえいたいの海外かいがい派遣はけんにただ反対はんたいするだけで、一方いっぽうで具体ぐたい的てきな対案たいあんを提示ていじできなかったことは有権者ゆうけんしゃの失望しつぼうを招まねいた（後のちに社会党しゃかいとうが首班しゅはんとなって成立せいりつした村山むらやま政権せいけんにおいて、それまでの半なかば現実げんじつを無視むしした主張しゅちょうを180度ど転換てんかんをした政策せいさくをとらざるを得えなくなり、ひいては社会党しゃかいとうの崩壊ほうかいを招まねいた）。1991年ねん（平成へいせい3年ねん）の第だい12回かい統一とういつ地方ちほう選挙せんきょでの社会党しゃかいとうの大敗たいはいで土井どいは委員いいん長ちょうを引責いんせき辞任じにんすることとなった。

1992年ねん（平成へいせい4年ねん）の第だい16回かい参議院さんぎいん議員ぎいん通常つうじょう選挙せんきょでは現有げんゆう議席ぎせきの確保かくほにとどまり、土井どい時代じだいの社会党しゃかいとうの勢いきおいは完全かんぜんに止とまる。翌年よくねんの1993年ねん（平成へいせい5年ねん）の第だい40回かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょでは議席ぎせきをほぼ半減はんげんさせる大敗たいはいを喫きっし、土井どいブームで得えた議席ぎせきをすっかり失うしなった社会党しゃかいとうは、その後ご分裂ぶんれつ、小しょう政党せいとう化かへの道筋みちすじをたどることとなる。

選挙せんきょの例れい

1989年ねん参議院さんぎいん選挙せんきょ

1989年ねん（平成へいせい元年がんねん）の第だい15回かい参議院さんぎいん議員ぎいん通常つうじょう選挙せんきょに与党よとうの自由民主党じゆうみんしゅとうに対たいして「消費しょうひ税ぜい・リクルート・宇野うの首相しゅしょうの女性じょせい問題もんだい・オレンジ自由じゆう化か」の4点てんセットで日本にっぽん社会党しゃかいとうが追おい風かぜを受うける中なか、日本にっぽん初はつの女性じょせい党首とうしゅという清新せいしんさと女性じょせい候補こうほ（「マドンナ」と呼よばれた）を大量たいりょうに擁立ようりつするなど女性じょせい層そうを意識いしきした選挙せんきょ戦術せんじゅつで、自民党じみんとうを非ひ改選かいせんを含ふくめても参議院さんぎいん過半数割かはんすうわれに追おい込こみ、改選かいせん議席ぎせきで46議席ぎせきを獲得かくとくし、36議席ぎせきの自民党じみんとうを上回うわまわった。結果けっか、宇野うのは首相しゅしょうを辞任じにんした。

この際さいに土井どいは「山やまが動うごいた」と発言はつげんした^[1]。

1990年ねん衆議院しゅうぎいん選挙せんきょ

1990年ねん（平成へいせい2年ねん）の第だい39回かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょでは、参院さんいん選せんの大勝たいしょうを受うけて、社会党しゃかいとうは立候補者りっこうほしゃ数すうの目標もくひょうを、150人にんから180人にんに上方かみがた修正しゅうせいした。社会しゃかい、公明こうめい、民社みんしゃ、社民連しゃみんれん4党とうで300人にんを擁立ようりつし、定数ていすう512の安定あんてい多数たすうとなる候補者こうほしゃを用意よういする計画けいかくだった。しかし、社会党しゃかいとうは長年ながねんの消極しょうきょく策さくの結果けっか、単独たんどく過半数かはんすうはおろか1/3の候補こうほを擁立ようりつするにも難航なんこうした。その上うえ、中ちゅう選挙せんきょ区く制せいで競合きょうごうすることになる、他たの野党やとうや自党じとうの現職げんしょく（2人ふたり目めを計画けいかくした選挙せんきょ区く）からの反対はんたいも大おおきかった。その結果けっか、社会党しゃかいとう公認こうにん候補こうほは149人にん、他た3党とうは108人にんに留とどまった。土井どいは「もう1つの山やまを動うごかさなければなりません。」と訴うったえて、社会党しゃかいとうは136議席ぎせきと51議席ぎせき増ふやした。しかし与党よとう自民党じみんとうは275議席ぎせきと安定あんてい多数たすうを確保かくほし、政権せいけん交代こうたいは頓挫とんざした。

脚注きゃくちゅう

^ 社民しゃみん・土井どいたか子こ氏し落選らくせん…比例ひれい選せん近畿きんき(読売新聞よみうりしんぶん平成へいせい17年ねん9月がつ12日にち)

書籍しょせき

「現代げんだい用語ようごの基礎きそ知識ちしき」（自由じゆう国民こくみん社しゃ）