社しゃ公民こうみん路線ろせん

社しゃ公民こうみん路線ろせん（しゃこうみんろせん）とは、1960年代ねんだいから1990年代ねんだいにおける日本にっぽんの政治せいじで、日本にっぽん社会党しゃかいとうが公明党こうめいとう・民社党みんしゃとうと共ともに自由民主党じゆうみんしゅとうに対抗たいこうして共闘きょうとうする戦術せんじゅつあるいは戦略せんりゃくを指さす。

概説がいせつ

新あたらしい日本にっぽんを考かんがえる会かい

日本にっぽん社会党しゃかいとうは当時とうじ、日本にっぽん共産党きょうさんとうを含ふくむ全ぜん野党やとう共闘きょうとうを目指めざすという立場たちばであったが、1969年ねん総そう選挙せんきょで社会党しゃかいとうが大敗たいはいしたのを契機けいきに党内とうないでは社会党しゃかいとう右派うはの江田えだ三郎さぶろうが公明党こうめいとうや民社党みんしゃとうと共闘きょうとうして非ひ自民じみん・非ひ共産きょうさん連立れんりつ政権せいけんを目指めざすことを提唱ていしょうした。1975年ねんには、政敵せいてき関係かんけいだった社会党しゃかいとう成田なりた知巳ともみ委員いいん長ちょうと公明党こうめいとう竹たけ入にゅう義勝よしかつ委員いいん長ちょうが和解わかいし、社やしろ公こう両りょう党とうによる選挙せんきょ協力きょうりょくが成立せいりつする。

1970年ねん代だいに民社党みんしゃとうの西村にしむら栄一えいいち委員いいん長ちょうが『民主みんしゅ的てき革新かくしん政党せいとうの統一とういつ』を提唱ていしょうしたことに始はじまり、1976年ねんには社会党しゃかいとう江田えだ三郎さぶろう、公明党こうめいとう矢野やの絢あや也、民社党みんしゃとう佐々木ささき良作りょうさくら3党とうの幹部かんぶが反共はんきょうの政策せいさく集団しゅうだん「新あたらしい日本にっぽんを考かんがえる会かい」を結成けっせいし社しゃ公民こうみん連合れんごう政権せいけん構想こうそうの第一歩だいいっぽとなる。

中道ちゅうどう勢力せいりょくの躍進やくしん

社しゃ公民こうみん連合れんごう構想こうそうは社会党しゃかいとう左派さはからの強つよい反発はんぱつを受うけることになった。社会党しゃかいとう内ないには共産党きょうさんとうの態度たいどが独善どくぜん的てきであるとして、広範こうはんな不信ふしん感かんが存在そんざいしていた一方いっぽう、労働ろうどう運動うんどう現場げんばでは社会党しゃかいとう支持しじの総評そうひょう傘下さんかの労働ろうどう組合くみあいと民社党みんしゃとう支持しじの同盟どうめい傘下さんかの労働ろうどう組合くみあいとの間あいだで激はげしい敵対てきたい関係かんけいがあった。社会党しゃかいとうは当時とうじ、西欧せいおう型がたの社会しゃかい民主みんしゅ主義しゅぎではなく、マルクス・レーニン主義しゅぎの立場たちばに立脚りっきゃくするという立場たちばだったため、公明党こうめいとうや民社党みんしゃとうとの基本きほん政策せいさくのへだたりは大おおきかった。地方自治体ちほうじちたいで成立せいりつした東京とうきょう都との美濃部みのべ亮吉りょうきち知事ちじ、大阪おおさか府ふの黒田くろだ了一りょういち知事ちじなどの革新かくしん自治体じちたいの多おおくは政策せいさく的てきに近ちかい共産党きょうさんとうと組くむ社しゃ共ども共闘きょうとうによって成立せいりつしていた。 1976年ねんに自由民主党じゆうみんしゅとう内うち若手わかてリベラル派は議員ぎいんによる新自由しんじゆうクラブの結成けっせいで中道ちゅうどう勢力せいりょくが拡大かくだいした。また、かつて社会党しゃかいとう公認こうにん候補こうほだった草川くさかわ昭三しょうぞうが無所属むしょぞくでの出馬しゅつばとなり、会派かいは「公明党こうめいとう・国民こくみん会議かいぎ」に入はいる。

1977年ねん2月がつ8日にち、江田えだ三郎さぶろうは第だい40回かい社会党しゃかいとう党とう大会たいかいにおいて、共産党きょうさんとうを排除はいじょした社しゃ公民こうみんと新自由しんじゆうクラブによる野党やとう協力きょうりょくに基もとづく「革新かくしん・中道ちゅうどう連合れんごう政権せいけん」構想こうそうを求もとめる意見いけん書しょを提出ていしゅつ。しかし、事前じぜんに「大会たいかいで江田えだ意見いけん書しょを潰つぶす」と表明ひょうめいした社会党しゃかいとうの最さい左派さはの社会しゃかい主義しゅぎ協会きょうかいなどによる激はげしい反対はんたいにより否決ひけつされ、江田えだは社会しゃかい主義しゅぎ協会きょうかいの活動かつどう家かからつるしあげられた。3月26日にち、江田えだは社会党しゃかいとうを離党りとうして社会しゃかい市民しみん連合れんごうを結成けっせいしたが、社会党しゃかいとうの党内とうないにはなおも江田えだの社しゃ公民こうみん共闘きょうとうを支持しじする勢力せいりょくの影響えいきょう力りょくは残のこった。社会党しゃかいとうの党内とうないでは社会しゃかい主義しゅぎ協会きょうかいの台頭たいとうに対たいする警戒けいかい心しんが生うまれ、江田えだが離党りとう直後ちょくごに急死きゅうししたことに対たいする同情どうじょうもあって、社会しゃかい主義しゅぎ協会きょうかいの政治せいじ活動かつどうを規制きせいせよとの声こえが高たかまり、総評そうひょうもこれに賛成さんせいした。この年としの参議院さんぎいん選挙せんきょでの社会党しゃかいとう敗北はいぼくの責任せきにんをとって成田なりた知巳ともみが社会党しゃかいとう委員いいん長ちょうを辞任じにん、飛鳥あすか田た一雄かずおが後任こうにんの委員いいん長ちょうに就任しゅうにんし、その後ごの1978年ねんには社会しゃかい主義しゅぎ協会きょうかいが理論りろん研究けんきゅう集団しゅうだんに徹てっし、政治せいじ活動かつどうはおこなわないことを表明ひょうめい。さらに総評そうひょうが労使ろうし協調きょうちょう路線ろせんへの転換てんかんを目指めざすようになってから、社会党しゃかいとう内ないでの風向かざむきが変かわるようになった。

1979年ねんの東京とうきょう都知事とちじ選挙せんきょで、社しゃ共どもが推薦すいせんした太田おおた薫かおる・総評そうひょう議長ぎちょうが落選らくせんしたことにより、地方自治体ちほうじちたいでも風向かざむきが変かわる。すでに社会党しゃかいとう右派うはの影響えいきょう力りょくが強つよい大阪おおさかでは社会党しゃかいとうは黒田くろだ了一りょういち知事ちじへの支持しじをやめ、社しゃ公民こうみんに加くわえ、自民党じみんとうとの共闘きょうとうまでもが成立せいりつするようになっていたが、東京とうきょう都知事とちじ選挙せんきょでも社会党しゃかいとうは社しゃ共ども共闘きょうとうを破棄はきし、社しゃ公民こうみん路線ろせんに転換てんかんすることを確認かくにんした。だが肝心かんじんの知事ちじ選せんでは公民こうみん両りょう党とうが自民党じみんとう・新自由しんじゆうクラブ推薦すいせん鈴木すずき俊一しゅんいち候補こうほにすでに相乗あいのりしていた。

この年としの12月『公民こうみん連合れんごう政権せいけん構想こうそう』、翌年よくねん1月がつにはついに『社しゃ公こう連合れんごう政権せいけん構想こうそう』が樹立じゅりつされ、社会党しゃかいとうの飛鳥あすか田た一雄かずお委員いいん長ちょうは公明党こうめいとうに強つよく迫せまられて、日本にっぽん共産党きょうさんとうの排除はいじょに同意どういすることとなった。ただし、社民しゃみん両りょう党とう間あいだの政権せいけん構想こうそうは出来できなかった。飛ひ鳥田とりた委員いいん長ちょう自身じしんも民社党みんしゃとうを含ふくめた社しゃ公民こうみん連合れんごう政権せいけんには消極しょうきょく的てきだった。だが、これで社しゃ共ども両りょう党とうの亀裂きれつは決定的けっていてきとなる。

1980年ねん6月のハプニング解散かいさんによる衆参しゅうさん同日どうじつ選せん・衆院しゅういん選せんで社民しゃみん両りょう党とうは、現状げんじょう維持いじだったが公明党こうめいとうが30議席ぎせき台だいの大敗たいはいを喫きっし、参院さんいん選せんで公民こうみん両りょう党とうは健闘けんとうするも社会党しゃかいとうが50議席ぎせき台だい割われの大敗たいはいをした。民社党みんしゃとうは選挙せんきょ中ちゅうから自民党じみんとうとの連携れんけいも打うち出だして社会党しゃかいとう批判ひはんを展開てんかいし、選挙せんきょ後ごも互たがいへの非難ひなんは止やまなかった。また、公明党こうめいとうも選挙せんきょ後ご親おや自民じみん色しょくを強つよめ、自公民じこうみん路線ろせんに引ひきずられる形かたちで、社しゃ公民こうみん路線ろせんは「自民党じみんとうへの対抗たいこう」から、「自民党じみんとうの補完ほかん物ぶつ」へと変質へんしつしていった。

また社しゃ公民こうみん路線ろせんに消極しょうきょく的てきな飛ひ鳥田とりた委員いいん長ちょうに代かわって、社しゃ公民こうみん路線ろせんに積極せっきょく的てきな姿勢しせいをとる石橋いしばし政まさし嗣委員いいん長ちょうが登場とうじょうしたこともあり、1980年代ねんだいには「共産党きょうさんとうを除のぞいた国会こっかい対策たいさく委員いいん長ちょう」会談かいだんによる根回ねまわしが常態じょうたい化かする。公明党こうめいとうと民社党みんしゃとうは二階堂にかいどう進すすむの擁立ようりつによって、自民党じみんとうとの連立れんりつ政権せいけんを公然こうぜんと目指めざす動うごきを見みせた。さらに政策せいさく次第しだいでは、社会党しゃかいとう支持しじの労働ろうどう組合くみあいが、自由民主党じゆうみんしゅとうの候補こうほを支援しえんしたり、地方ちほうの首長しゅちょう選挙せんきょにおいて社会党しゃかいとうが自民党じみんとうと同一どういつの候補こうほを支援しえんするなどの共産党きょうさんとう以外いがいのオール与党よとう体制たいせいも強つよまっていった（国対こくたい政治せいじ）。労働ろうどう運動うんどう現場げんばでも民間みんかんの労働ろうどう組合くみあいが先行せんこうする形かたちで、総評そうひょうと同盟どうめいが労働ろうどう戦線せんせん統一とういつの動うごきが開始かいしされ、それは後のちに連合れんごうの結成けっせいに結むすびついていく。さらに江田えだ三郎さぶろうの息子むすこである社民連しゃみんれんの江田えだ五月さつきは「社会しゃかい・民社みんしゃ両りょう党とうの歴史れきし的てき和解わかい」、つまり社会しゃかい主義しゅぎインターナショナルに参加さんかする二ふたつの社会しゃかい民主みんしゅ主義しゅぎ政党せいとうの再さい統一とういつを提唱ていしょうした。

1986年ねん社会党しゃかいとうが発表はっぴょうした新しん宣言せんげんは、マルクス・レーニン主義しゅぎを放棄ほうきして、西欧せいおう型かたの社会しゃかい民主みんしゅ主義しゅぎの政党せいとうを志向しこうするものだった。これは自由民主党じゆうみんしゅとうとの連立れんりつへの布石ふせきだとして左派さはや新しん左翼さよくなどから批判ひはんされたが、このおかげで社会党しゃかいとうは後のちに訪おとずれるソ連それんの解体かいたいの影響えいきょうをある程度ていど緩和かんわすることができた。ただし北朝鮮きたちょうせんとの親密しんみつな関係かんけいはその後ごも維持いじされ、それは後のちに日本人にっぽんじん拉致らち問題もんだい（当時とうじは疑惑ぎわく）の確定かくていなどで旧きゅう社会党しゃかいとう系けい勢力せいりょくに致命ちめい的てきなダメージを与あたえることとなる。

この7月がつの衆参しゅうさん同日どうじつ選せんで自民党じみんとうが圧勝あっしょうすると今度こんどは前回ぜんかいとは逆転ぎゃくてんし社会党しゃかいとう、民社党みんしゃとうが大敗たいはい。また保守ほしゅ新党しんとうであった新自由しんじゆうクラブが自民党じみんとうへ合流ごうりゅうした事ことで選挙せんきょ協力きょうりょくに大だい打撃だげきを受うけた。地方自治体ちほうじちたいでの自民党じみんとうと社会党しゃかいとうの相乗あいのりによって、革新かくしん自治体じちたいが終焉しゅうえんし、従来じゅうらいの自民党じみんとう政治せいじに不満ふまんをもつ有権者ゆうけんしゃは社会党しゃかいとうを見放みはなしたためである。

マドンナブーム

12月に社会党しゃかいとう土井どいたか子こ委員いいん長ちょうが誕生たんじょう。土井どいブームを生うみ出だし、統一とういつ地方ちほう選せん、都議とぎ選せんと勝利しょうり、1989年ねん7月がつの第だい15回かい参院さんいん選せんに地方区ちほうくで非ひ自民じみん反はん共産きょうさんの統一とういつ候補こうほで調整ちょうせいし勝かち越こし自民党じみんとうを過半数割かはんすうわれに追おい込こむ圧勝あっしょうする。社しゃ公民こうみんの協調きょうちょう投票とうひょうにより、参議院さんぎいんで土井どいたか子こを内閣ないかく総理そうり大臣だいじんに首班しゅはん指名しめいした。

しかし1990年ねん2月がつの第だい39回かい衆院しゅういん選せんで野党やとうでは社会党しゃかいとうだけ躍進やくしんし、公民こうみん・中道ちゅうどう勢力せいりょく及および共産党きょうさんとうは惨敗ざんぱい。対たいする自民党じみんとうは新自由しんじゆうクラブ支持しじ者しゃを吸収きゅうしゅうした都市とし部ぶで善戦ぜんせんし、安定あんてい多数たすうを維持いじした。この結果けっかを受うけて公民こうみん両りょう党とうは、社会党しゃかいとうとの共闘きょうとうをいったん撤回てっかいし自民党じみんとうとの連携れんけいに動うごく。特別とくべつ国会こっかいの参議院さんぎいんの首班しゅはん指名しめい選挙せんきょでは、決選けっせん投票とうひょうで公民こうみん両りょう党とうが棄権きけんしたことにより、海部かいふ俊樹としき自民党じみんとう総裁そうさいが指名しめいされている。

民社党みんしゃとうは、春日かすが一幸かずゆき、塚本つかもと三郎さぶろう、大内おおうち啓伍けいごら自民党じみんとうに最もっとも近ちかく、「自民党じみんとうより右みぎ」の立場たちばを是ぜとする議員ぎいんも少すくなくなかった。また、地方ちほう議員ぎいんでは自民党じみんとうから民社党みんしゃとうに移籍いせきする者ものもいた。そのため、しばしば自民党じみんとうとの連立れんりつ政権せいけんを狙ねらい、党内とうないで春日かすが一幸かずゆきとしばしば対立たいりつした佐々木ささき良作りょうさく委員いいん長ちょうも二階堂にかいどう進すすむ擁立ようりつに加担かたんするなど、自民党じみんとうとの連立れんりつ政権せいけん自体じたいは否定ひていしなかった。そのため社会党しゃかいとうとの政権せいけん構想こうそうには最初さいしょから熱意ねついがなく、社会党しゃかいとうに対たいして日米にちべい安保あんぽ・原発げんぱつ容認ようにんなどの「現実げんじつ化か路線ろせん」を取とるよう要求ようきゅうするなど、石橋いしばし政まさし嗣による路線ろせん転換てんかんにもかかわらず、基本きほん政策せいさくの違ちがいは依然いぜんとして大おおきかった。やがて、公明党こうめいとうも含ふくめた両りょう党とうは自公民じこうみん路線ろせんへの傾倒けいとうを深ふかめて行いく。

社しゃ公民こうみん路線ろせんの破綻はたん

1991年ねんの第だい12回かい統一とういつ地方ちほう選挙せんきょで社会党しゃかいとうが敗北はいぼくしブームが終おわり、1992年ねんにPKO国会こっかいのPKO法ほうの賛否さんぴをめぐって社しゃ公民こうみん路線ろせんは完全かんぜんに破綻はたんした。

公明こうめい・民社みんしゃはPKO法案ほうあん成立せいりつに積極せっきょく協力きょうりょくし、議事ぎじ妨害ぼうがい封ふうじのための宮澤みやざわ内閣ないかく信任しんにん決議けつぎ案あんに賛成さんせい投票とうひょうするなどもした。しかし、自民じみんは公民こうみんを与党よとうとして遇ぐうすることはなく、野党やとうが分断ぶんだんされただけに終おわった。

社会党しゃかいとうも表向おもてむきは自民党じみんとうと対決たいけつしていたが、裏うらでは国会こっかい対策たいさく委員いいん長ちょう会談かいだんなどで根回ねまわしして妥協だきょうする「国対こくたい政治せいじ」が依然いぜんとして常態じょうたい化かしていた。実際じっさい、自民党じみんとう梶山かじやま静六せいろく・社会党しゃかいとう村山むらやま富市とみいち両りょう国対こくたい委員いいん長ちょうが同どう法案ほうあんで根回ねまわしに尽力じんりょくし、政局せいきょくは安定あんていした。自民党じみんとうの金丸かねまる信しんは、互たがいに「マムシとナマズ」と呼よび合あう盟友めいゆう田邊たなべ誠まことを通つうじて、自民党じみんとうと社会党しゃかいとう右派うは（田邊たなべや久保くぼ亘わたるなど）を巻まき込こんだ大だい連立れんりつを企図きとしていた。社会党しゃかいとうを重視じゅうしする金丸かねまる信しんに対たいして、小沢おざわ一郎いちろうは公明党こうめいとう、民社党みんしゃとうを重視じゅうしし、市川いちかわ雄一ゆういち、米沢よねざわ隆たかしとの親密しんみつな関係かんけい（ワン・ワン・ライス）を築きずいた。

そして7月がつの第だい16回かい参院さんいん選せんでは社しゃ公民こうみんの選挙せんきょ協力きょうりょくが失敗しっぱいに終おわる。

55年ねん体制たいせい崩壊ほうかい後ごの関係かんけい

非ひ自民じみん非ひ共産きょうさん連立れんりつ政権せいけんの樹立じゅりつ

1993年ねん（平成へいせい5年ねん）、小しょう選挙せんきょ区く制せいの導入どうにゅうを中心ちゅうしんとする政治せいじ改革かいかく関連かんれん法案ほうあんが廃案はいあんになったことをきっかけに内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎが可決かけつされ、小沢おざわらが自民党じみんとうを離党りとうし新生党しんせいとうが結成けっせいされた。連合れんごう会長かいちょうの山岸やまぎし章あきらの仲介ちゅうかいで新生党しんせいとうと社会しゃかい民主みんしゅ連合れんごうを加くわえた非ひ自民じみん勢力せいりょくによる連携れんけいが図はかられ、再ふたたび社会党しゃかいとうと公民こうみん両りょう党とうが協力きょうりょくすることになった。

政界せいかい再編さいへんは保守ほしゅ派はが主導しゅどう権けんを握にぎり、小沢おざわ一郎いちろうは社会党しゃかいとうとの協力きょうりょくにはまったく熱意ねついがなかった。そして第だい40回かい衆院しゅういん選せんでは連合れんごうの山岸やまぎし章あきらが連立れんりつ政権せいけんの障害しょうがいとなり得える強固きょうこな社会党しゃかいとう左派さはの議員ぎいんに対たいしては選挙せんきょ協力きょうりょくをしないなどの「選別せんべつ」を行おこない、露骨ろこつに圧力あつりょくを掛かけた。そんな社会党しゃかいとうを有権者ゆうけんしゃが見放みはなして、社会党しゃかいとうの一人ひとり負まけとなるが、自民党じみんとうも野党やとう連合れんごうも過半数かはんすうに達たっしなかった。

そこで日本新党にほんしんとう・新党しんとうさきがけとも提携ていけいした連合れんごう政権せいけん構想こうそうの結果けっか、日本新党にほんしんとうの細川ほそかわ護煕もりひろを首班しゅはんとする非ひ自民じみん非ひ共産きょうさん連立れんりつ政権せいけんが成立せいりつし55年ねん体制たいせいは崩壊ほうかい、社しゃ公民こうみんは55年ねん体制たいせい時代じだいには縁えんがなかった念願ねんがんの与党よとうの座ざに就ついた。

一方いっぽうで小沢おざわや細川ほそかわらが推進すいしんする小しょう選挙せんきょ区く比例ひれい代表だいひょう並立へいりつ制せいを受うけ入いれさせられることにもなった。これは「二ふたつの保守ほしゅ政党せいとうによる二に大だい政党せいとう制せい」が実現じつげんし社会党しゃかいとうの泡沫うたかた政党せいとう化かにつながるものとして社会党しゃかいとう左派さはは抵抗ていこうしたが、なんとしてでも与党よとうの座ざにしがみつきたい社会党しゃかいとう右派うはの山花やまはな貞夫さだお委員いいん長ちょう、赤松あかまつ広隆ひろたか書記しょき長ちょうは、これを強引ごういんに支持しじし、土井どいたか子こが衆議院しゅうぎいん議長ぎちょうにまつりあげられて党内とうないに口くちをはさめなくなったなかで、社会党しゃかいとう左派さはは排除はいじょされたり、あるいは自みずから社会党しゃかいとうを見限みかぎって離党りとうし、新党しんとう護憲ごけんリベラル（平和へいわ：市民しみん）、憲法けんぽうみどり農のうの連帯れんたい、護憲ごけん新党しんとうあかつき、新しん社会党しゃかいとうなどを結成けっせいしていく。社会党しゃかいとう右派うはのなかでも、連立れんりつを巡めぐり村山むらやま富市とみいち委員いいん長ちょう、野坂のさか浩賢こうけん、五十嵐いがらし広三こうぞう、大出おおいで俊しゅん、山口やまぐち鶴男つるおらの連立れんりつ離脱りだつ派はと、久保くぼ亘わたる書記しょき長ちょう、上原うえはら康やすし助すけ、田邊たなべ誠まこと、山花やまはな貞夫さだお、赤松あかまつ広隆ひろたか、佐藤さとう観樹みき、千葉ちば景子けいこら連立れんりつ残留ざんりゅう派はが対立たいりつする。

1994年ねん（平成へいせい6年ねん）、細川ほそかわが首相しゅしょう辞任じにんを表明ひょうめいし後継こうけいに新生党しんせいとう党首とうしゅの羽田はた孜つとむが就任しゅうにんした。当初とうしょは社会党しゃかいとうも引ひき続つづき与党よとうに参画さんかくする意向いこうであったが、社会党しゃかいとう以外いがいの連立れんりつ与党よとうが衆院しゅういんで統一とういつ会派かいは「改新かいしん」を結成けっせいしたことから、社会党しゃかいとう執行しっこう部ぶは、連立れんりつ離脱りだつを表明ひょうめいし羽田はた内閣ないかくは少数しょうすう与党よとうで発足ほっそくした。

自社じしゃさ連立れんりつ政権せいけん対たい新進党しんしんとう

一方いっぽう、野党やとうとなった自民党じみんとうは、羽田はた内閣ないかくで閣外かくがい協力きょうりょくに転てんじた社会党しゃかいとう、新党しんとうさきがけに接近せっきん。社会党しゃかいとうの村山むらやま富市とみいち委員いいん長ちょうに首相しゅしょうの座ざを譲ゆずる条件じょうけんで、両りょう党とうの取とり込こみに成功せいこう。6月29日にち、村山むらやまが内閣ないかく総理そうり大臣だいじんに指名しめいされ、社会党しゃかいとう・自民党じみんとう・さきがけの連立れんりつした村山むらやま内閣ないかくが発足ほっそくした。社会党しゃかいとう「新しん宣言せんげん」から9年ねん後ごのことであった。しかし、社しゃ自じの関係かんけいは、「新しん宣言せんげん」の成立せいりつ前まえから、石橋いしばし政まさし嗣つが社しゃ公民こうみん路線ろせんの推進すいしんを掲かかげて、社会党しゃかいとうの委員いいん長ちょうとなった時ときに、既すでに兆候ちょうこうとなって現あらわれていた。そして村山むらやま委員いいん長ちょうのもとで自衛隊じえいたいと日米にちべい安保あんぽを社会党しゃかいとうは正式せいしきに認みとめることになった。

「改新かいしん」は12月10日にち、新進党しんしんとうに再編さいへんされ、民社党みんしゃとう、公明党こうめいとうの大だい部分ぶぶんも参加さんかした。しかし民社党みんしゃとうでも公明党こうめいとうとの合同ごうどうを嫌きらう者ものがおり、一部いちぶは自民党じみんとうや自由じゆう連合れんごう、さらに後述こうじゅつする民主党みんしゅとうに移籍いせきした。また、公明党こうめいとうも、参議院さんぎいん議員ぎいんの一部いちぶは「公明こうめい」として残のこった。

民主党みんしゅとうへの再編さいへん

いっぽう細川ほそかわ連立れんりつ政権せいけんのなかで連立れんりつ残留ざんりゅう派はだった山花やまはな、赤松あかまつらは、さきがけの鳩山はとやま由紀夫ゆきおらと共ともに、それぞれ脱党だっとうして民主党みんしゅとう（旧きゅう）を結成けっせい。1996年ねんの第だい41回かい総そう選挙せんきょでは民主党みんしゅとうは現状げんじょう維持いじ、新進党しんしんとうは不振ふしん、社会しゃかい民主党みんしゅとう（1月がつ社会党しゃかいとうより改称かいしょう）と、同どう党とう左派さはが分裂ぶんれつした新しん社会党しゃかいとうは惨敗ざんぱいした。新進党しんしんとうは自民党じみんとうとの保ほ保ほ連合れんごうを模索もさくするが、却かえって自民党じみんとうに議員ぎいんを引ひき抜ぬかれる結果けっかに終おわり、さらに太陽たいよう党とう、フロム・ファイブが分裂ぶんれつした。1997年ねん12月31日にち、新進党しんしんとうは解散かいさんし、民社みんしゃ系けいは新党しんとう友愛ゆうあい、公明こうめい系けいは新党しんとう平和へいわに再編さいへんされた。ただ、一部いちぶは小沢おざわ一郎いちろうが結成けっせいした自由党じゆうとう（通称つうしょう小沢おざわ自由党じゆうとう、2010年代ねんだいのものとは別べつ）に留とどまった。

公明党こうめいとうの再建さいけんと転向てんこう、自由党じゆうとうと自じ自公じこう連立れんりつ政権せいけん樹立じゅりつ

1998年ねん1月がつ、新党しんとう平和へいわと公明こうめいは合同ごうどうし、公明党こうめいとうに戻もどった。4月、民主党みんしゅとうに新党しんとう友愛ゆうあいの議員ぎいんたちが、元もと自民党じみんとうの保守ほしゅ派は議員ぎいんといっしょに加くわわることによって、旧きゅう民主党みんしゅとうをいったん解散かいさんし、改あらためて新しん・民主党みんしゅとうとして再編さいへん。旧きゅう社会党しゃかいとうと旧きゅう民社党みんしゃとうによる公明党こうめいとう抜ぬきの統一とういつが実現じつげんすることになった。だが民主党みんしゅとうのなかでの、社会党しゃかいとう出身しゅっしんと民社党みんしゃとう出身しゅっしん・自民党じみんとう出身しゅっしんとの確執かくしつは、憲法けんぽう改正かいせいなどの諸しょ問題もんだいにどのような姿勢しせいを取とるのかを通とおして依然いぜんとして残存ざんそんし、民主党みんしゅとうが党内とうないで意思いし統一とういつを行おこなうに当あたり大おおきな妨さまたげとなり続つづけた。

一方いっぽう公明党こうめいとうは自民党じみんとうとの協力きょうりょくの道みちを選えらび、1999年ねん1月がつ、自由党じゆうとうは自民党じみんとうと連立れんりつ政権せいけんを組くみ、10月には公明党こうめいとうも加くわわった（ただし、4月がつから公明こうめいは実質じっしつ的てきに閣外かくがい協力きょうりょくしていた）。

自民党じみんとう・民主党みんしゅとう二に大だい政党せいとう制せい

自由党じゆうとうは時じの首相しゅしょう小渕おぶち恵三けいぞうの緊急きんきゅう入院にゅういんにより2000年ねん4月がつに決裂けつれつ、連立れんりつ残留ざんりゅう派はが保守党ほしゅとうとして分裂ぶんれつした（のち自民党じみんとうに吸収きゅうしゅう）。2003年ねん9月、小沢おざわら自由党じゆうとう主流しゅりゅう派はは民主党みんしゅとうに合流ごうりゅうした（民みん由よし合併がっぺい）。民主党みんしゅとうに参加さんかした小沢おざわは、以前いぜんとは逆ぎゃくに社民党しゃみんとうや民主みんしゅ党内とうないの社会党しゃかいとう系けい議員ぎいんとの協調きょうちょう路線ろせんに転てんじた。これは、党内とうないで政策せいさく的てき距離きょりの遠とおい社会党しゃかいとう系けいを取とり込こむことで、党内とうない地盤じばんを固かためる狙ねらいがあったという説せつもある。11月、小沢おざわと社会党しゃかいとう系けい議員ぎいんの領袖りょうしゅう、横路よこみち孝弘たかひろの間あいだで、国際こくさい貢献こうけんのために、将来しょうらいの国連こくれん軍ぐんへの再編さいへんを想定そうていした「国連こくれん待機たいき部隊ぶたい」を創設そうせつすることで合意ごういした。

民社みんしゃ国こく連立れんりつ政権せいけんから民みん自公じこう路線ろせんの模索もさく

「大だい連立れんりつ構想こうそう (日本にっぽん 2007)」も参照さんしょう

2009年ねん8月がつの第だい45回かい総そう選挙せんきょでは、民主党みんしゅとうは社民党しゃみんとうの他ほか、国民こくみん新党しんとうなどと選挙せんきょ協力きょうりょくを行おこなった。選挙せんきょの結果けっか民主党みんしゅとうは大勝たいしょうし、社民党しゃみんとう、国民こくみん新党しんとうとの連立れんりつ政権せいけん（民社みんしゃ国こく連立れんりつ政権せいけん）が発足ほっそくした。しかし長続ながつづきせず、2010年ねん5月、普天間ふてんま基地きち移設いせつ問題もんだいで決裂けつれつし、社民党しゃみんとうは連立れんりつを離脱りだつした。その後ご、民主党みんしゅとうは三さん党とう合意ごういなどによる自公じこうとの連携れんけいを強つよめ、新あらたな形かたちの｢自公民じこうみん（民みん自公じこう）路線ろせん｣に転てんじた。

自公じこう連立れんりつ政権せいけん復活ふっかつ、民主党みんしゅとう→民進党みんしんとうの解体かいたい

2012年ねん12月、自公じこうが政権せいけん復帰ふっきすると、民主みんしゅとは再ふたたび距離きょりを置おくようになり、民主みんしゅも対決たいけつ色しょくを強つよめた。2015年ねんには共産党きょうさんとうが野党やとう共闘きょうとう路線ろせんに転てんじ、共産党きょうさんとうを含ふくめた非ひ自公じこう選挙せんきょ協力きょうりょく態勢たいせいが議論ぎろんされることになった。しかしながら、旧きゅう社会党しゃかいとう・総評そうひょう系けいと旧きゅう民社党みんしゃとう・同盟どうめい系けいの間あいだで共産党きょうさんとうとの民みん共ども共闘きょうとうに大おおきな温度おんど差さが生しょうじることになり、民主党みんしゅとうの後継こうけい政党せいとう民進党みんしんとう解体かいたいの一因いちいんにもなった。

2017年ねん、小池こいけ百合子ゆりこ東京とうきょう都知事とちじが国政こくせい進出しんしゅつを目指めざし民進党みんしんとうと接触せっしょくし、9月の第だい48回かい衆院しゅういん選せんの公示こうじ直前ちょくぜんに民進党みんしんとうの前原まえはら誠司せいじ代表だいひょうは同どう党とうの前ぜん議員ぎいん全員ぜんいんを小池こいけ率ひきいる希望きぼうの党とうから出馬しゅつばさせる方針ほうしんを決定けっていさせた。しかしながら、小池こいけが左派さはの排除はいじょを宣言せんげんしたため、希望きぼうの党とうに否定ひてい的てきなリベラル系けい議員ぎいんを中心ちゅうしんに旧きゅう・立憲りっけん民主党みんしゅとうが結成けっせいされた。これに伴ともない連合れんごうの支持しじは両りょう党とうに分わかれ、旧きゅう総評そうひょう系けい労組ろうその多おおくは立憲りっけん民主党みんしゅとう支持しじ、旧きゅう同盟どうめい系けい労組ろうその多おおくは希望きぼうの党とう支持しじとなり、1998年ねんの第だい2次じ民主党みんしゅとう結成けっせい以来いらい連合れんごうが特定とくてい政党せいとうを支持しじすることが不可能ふかのうな状態じょうたいとなった。2018年ねん5月7日にちには民進党みんしんとうと国民党こくみんとうの合併がっぺいに伴ともない旧きゅう・国民こくみん民主党みんしゅとうが結成けっせいされ、旧きゅう同盟どうめい系けい労組ろうその多おおくは同どう党とう支持しじに移行いこうした。

2020年ねんに新しん・立憲りっけん民主党みんしゅとうへの合流ごうりゅうが図はかられるが、玉木たまき雄一郎ゆういちろうら合流ごうりゅう反対はんたい派はは新しん・国民こくみん民主党みんしゅとうを結成けっせいし、日本にっぽん維新いしんの会かいに接近せっきんした。

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