大久保おおくぼ清きよし

大久保おおくぼ清きよし事件じけん
場所ばしょ	日本にっぽん・群馬ぐんま県けん
標的ひょうてき	若わかい女性じょせい（未成年みせいねん者しゃを含ふくむ）
日付ひづけ	1971年ねん（昭和しょうわ46年ねん）3月31日にち - 5月がつ10日とおか
概要がいよう	ベレー帽ぼう・ルバシカ姿すがたで画家がかを装よそおって女性じょせいをナンパし、自家用車じかようしゃ内ないに誘さそい込こむ手口てぐちで女性じょせい8人にんを殺害さつがい・遺棄いきした。
死亡しぼう者しゃ	女性じょせい8人にん（うち未成年みせいねん者しゃ6人にん）
負傷ふしょう者しゃ	女性じょせい1人にん
犯人はんにん	大久保おおくぼ清きよし
動機どうき	未み解明かいめい
対処たいしょ	群馬ぐんま県警けんけいが逮捕たいほ・前橋まえばし地検ちけんが起訴きそ
謝罪しゃざい	なし
刑事けいじ訴訟そしょう	死刑しけい（執行しっこう済ずみ）
管轄かんかつ	群馬ぐんま県けん警察けいさつ（県警けんけい本部ほんぶ捜査そうさ一いち課か・藤岡ふじおか警察けいさつ署しょなど）、前橋まえばし地方ちほう検察庁けんさつちょう
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大久保おおくぼ清きよし
大久保おおくぼ清きよし
個人こじん情報じょうほう
生誕せいたん	1935年ねん1月がつ17日にち; 日本にっぽん・群馬ぐんま県けん碓氷うすい郡ぐん八幡やはた村むら（現げん：高崎たかさき市し）
死没しぼつ	1976年ねん1月がつ22日にち（41歳さい没ぼつ）; 日本にっぽん：東京とうきょう都と葛飾かつしか区く小菅こすが（東京とうきょう拘置こうち所しょ）
死因しいん	絞首刑こうしゅけい
殺人さつじん
犠牲ぎせい者しゃ数すう	8人にん
犯行はんこう期間きかん	1971年ねん3月31日にち–5月がつ10日とおか
国くに	日本にっぽん
州しゅう	群馬ぐんま県けん
逮捕たいほ日び	1971年ねん5月14日にち
司法しほう上じょう処分しょぶん
刑罰けいばつ	死刑しけい（前橋まえばし地方裁判所ちほうさいばんしょ）
有罪ゆうざい判決はんけつ	強姦ごうかん致傷ちしょう罪ざい・強姦ごうかん罪ざい・殺人さつじん罪ざい・死体したい遺棄いき罪ざい
判決はんけつ	死刑しけい（前橋まえばし地方裁判所ちほうさいばんしょ）
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大久保おおくぼ清きよし（おおくぼきよし、1935年ねん〈昭和しょうわ10年ねん〉1月がつ17日にち - 1976年ねん〈昭和しょうわ51年ねん〉1月がつ22日にち）は、日本にっぽんの連続れんぞく殺人さつじん犯はん、元もと死刑しけい囚しゅう。

1971年ねん（昭和しょうわ46年ねん）3月がつ - 5月までの2か月げつ足たらずの間あいだに、路上ろじょうで自家用車じかようしゃから声こえをかけて誘さそった女性じょせい8人にんを相次あいついで殺害さつがいし逮捕たいほされ、1973年ねんに死刑しけい判決はんけつを受うけ^[3]、1976年ねんに刑けいを執行しっこうされた^[1]。

殺人さつじん事件じけんまでの経歴けいれき[編集へんしゅう]

生おい立たち[編集へんしゅう]

1935年ねん（昭和しょうわ10年ねん）1月がつ17日にち、大久保おおくぼは群馬ぐんま県けん碓氷うすい郡ぐん八幡やはた村むら（現げん・高崎たかさき市し八幡やはた地区ちく）に3男なん5女じょの7番目ばんめ（三男さんなん）として生うまれた^[4]。長兄ちょうけいは生うまれて間まもなく他界たかいし、次兄じけいは性格せいかくが両親りょうしんの好このむところではなかったことから、大久保おおくぼは両親りょうしんから「ボクちゃん」と呼よばれて溺愛できあいされた^[4]。

父親ちちおやは国鉄こくてつ（大久保おおくぼの生誕せいたん当時とうじは鉄道てつどう省しょう）の機関きかん士しであったが、太平洋戦争たいへいようせんそう後ごの人員じんいん整理せいり（1949年ねん）の際さいに同おなじく国鉄こくてつに勤務きんむしていた次兄じけいとともに解雇かいこされた^[4]^[5]。母親ははおやはロシア人じんとの間あいだに生うまれた混血こんけつの私生児しせいじ（祖母そぼは安中あんなかで芸者げいしゃをしていた）で、10歳さいの時ときに小学校しょうがっこうの用務員ようむいんをしていた大久保おおくぼの祖父そふに養女ようじょとして迎むかえ入いれられたという経歴けいれきの持もち主ぬしであった^[4]。次兄じけいの証言しょうげんでは、父ちちは子供こどもの前まえでも性行為せいこういをするような性的せいてきに倒錯とうさくした人物じんぶつで^[6]、次兄じけいの妻つま（初婚しょこん、再婚さいこんの両者りょうしゃ）は、父ちちによる淫行いんこうの被害ひがいに遭あったという^[7]。

太平洋戦争たいへいようせんそうの開始かいし後ご、ロシア人じんの血ちを引ひく大久保おおくぼは「アイノコ」「アメリカ人じんの血ちが混まざっている」などいじめを受うけた^[8]。勉強べんきょうも好このまず、小中学校しょうちゅうがっこうを通つうじ教員きょういんから評価ひょうかは低ひくかった^[9]。

1946年ねん（昭和しょうわ21年ねん）に小学校しょうがっこう6年生ねんせいだった大久保おおくぼは、幼女ようじょを麦畑むぎばたけに連つれ込こんで性器せいきに石いしを詰つめ込こむ暴行ぼうこうをする^[10]。被害ひがい者しゃの親おやが抗議こうぎに来きた際さい、母親ははおやは当初とうしょ大久保おおくぼが現場げんばにいたことを認みとめず、犯人はんにんが大久保おおくぼだと指摘してきされると「お医者いしゃさんごっこに目めくじらを立たてることはない」と息子むすこを擁護ようごした^[10]。

中学ちゅうがく時代じだいには、父ちちが始はじめた闇屋やみやを手伝てつだうようになった^[11]。1950年ねんに中学ちゅうがくを卒業そつぎょうすると農業のうぎょうをたまに手伝てつだい、1952年ねんに群馬ぐんま県立けんりつ高崎たかさき商業しょうぎょう高等こうとう学校がっこう定時ていじ制せい課程かていに進学しんがくしたが、短期間たんきかんで退学たいがくした^[12]。退学たいがく後ご、東京とうきょう都と板橋いたばし区くの電器でんき店てんに住すみ込こみで勤つとめるが、銭湯せんとうの女おんな風呂ふろを覗のぞいたことで解雇かいこされる^[12]。次ついで、横浜よこはま市しの電器でんき店てんに嫁とついでいた姉あねの夫おっとが大久保おおくぼを引ひき取とり、神田かんだの電機でんき学校がっこうに通学つうがくさせた^[12]。学校がっこうとともに赤あか線せんにも通かようようになったが、知しり合あった娼婦しょうふとのトラブルがきっかけで帰郷ききょうした^[13]。1953年ねん4月がつ、親おやからの出資しゅっしにより実家じっかにラジオ修理しゅうり販売はんばい店てん「清光せいこう電器でんき商会しょうかい」を開業かいぎょうする^[13]。だが、技術ぎじゅつや知識ちしきの伴ともなわない大久保おおくぼは十分じゅうぶんなサービスができずに顧客こきゃくを失うしない、修理しゅうり部品ぶひんの調達ちょうたつにも窮きゅうした^[13]。このため、同年どうねん7月がつから翌年よくねん1月がつにかけて高崎たかさき市内しないの同どう業者ぎょうしゃから8回かいにわたり部品ぶひんを万引まんびきして逮捕たいほされる^[13]。この時ときは大久保おおくぼの父ちちが損害そんがいを弁償べんしょうして示談じだんとなり、不ふ起訴きそ処分しょぶんとなった^[13]。しかし、これが理由りゆうとなって電器でんき店てんは閉店へいてんした^[13]。

最初さいしょの強姦ごうかん事件じけん[編集へんしゅう]

1955年ねん（昭和しょうわ30年ねん）7月がつ12日にち、大久保おおくぼは大学生だいがくせいに成なりすまして前橋まえばし市し内うちで17歳さいの女子高じょしこう生せいを強姦ごうかん、逮捕たいほされる^[14]。初犯しょはんであったことから懲役ちょうえき1年ねん6か月げつ・執行しっこう猶予ゆうよ3年ねんの判決はんけつで済すんだものの^[14]、同年どうねん12月がつ26日にちに再ふたたび強姦ごうかん事件じけんを起おこす（被害ひがい者しゃの抵抗ていこうで未遂みすいに終おわるが、相手あいてを負傷ふしょうさせたため、強姦ごうかん致傷ちしょうに問とわれた）^[15]。この事件じけんで、懲役ちょうえき2年ねんの実刑じっけい判決はんけつを受うけ、初犯しょはん時じの刑期けいきを加くわえた3年ねん6ヶ月かげつの懲役ちょうえきのため松本まつもと少年しょうねん刑務所けいむしょに収監しゅうかんされた^[15]。

刑務所けいむしょでの大久保おおくぼは、早期そうき出所しゅっしょを目指めざして模範もはん囚しゅうとなり、1959年ねん（昭和しょうわ34年ねん）12月15日にちに刑期けいきを6か月げつ残のこして仮釈放かりしゃくほうされた^[16]。しかし、それから半年はんとしも経たたない翌よく1960年ねん（昭和しょうわ35年ねん）4月がつ16日にちに大久保おおくぼは全学ぜんがく連れんの活動かつどう家かに扮ふんし、前橋まえばし市し在住ざいじゅうの20歳さいの女子大じょしだい生せいを自宅じたくに連つれ込こんで強姦ごうかんしようとしたが、被害ひがい者しゃが大声おおごえをあげて大久保おおくぼの両親りょうしんに見みつかったため未遂みすいに終おわる^[17]。この時ときも示談じだんとなり、不ふ起訴きそ処分しょぶんとなった^[17]。

結婚けっこんと恐喝きょうかつ・強姦ごうかん[編集へんしゅう]

1962年ねん（昭和しょうわ37年ねん）5月がつに、前年ぜんねん知しり合あった女性じょせいと1年ねんの交際こうさいを経へて結婚けっこん^[18]。しかし結婚けっこんするまで偽名ぎめいと虚偽きょぎの経歴けいれきを語かたり^[18]、素性すじょうを明あきらかにした後のちも犯おかせ歴れきは妻つまには黙だまっていた^[19]。翌年よくねんには長男ちょうなんが生うまれ^[20]、さらに谷川たにがわ伊い凡（たにがわ-イヴァン）のペンネームで詩集ししゅう『頌歌』を自費じひ出版しゅっぱんしている。1964年ねん（昭和しょうわ39年ねん）9月がつ、妻つまの親族しんぞくを通とおして得えた権利けんりで自宅じたくに牛乳ぎゅうにゅう販売はんばい店てんを開ひらき、当初とうしょは熱心ねっしんに働はたらいた^[20]。だが、1965年ねん（昭和しょうわ40年ねん）6月3日にちに牛乳ぎゅうにゅう瓶びん2本ほんを盗ぬすもうとした少年しょうねんの兄あに（同どう業者ぎょうしゃだった）のもとに押おしかけて2万まん円えんを脅おどし取とり、後日ごじつ新あらたに示談じだん書しょを書かかせたため、恐喝きょうかつおよび恐喝きょうかつ未遂みすい罪ざいで逮捕たいほされた^[19]。この事件じけんで、懲役ちょうえき1年ねん・執行しっこう猶予ゆうよ4年ねんの刑けいを受うけたばかりか、自みずからの犯はん歴れきが妻つまに知しられることになり、牛乳ぎゅうにゅう屋やも不振ふしんに陥おちいる^[19]。なお、この年としに長女ちょうじょが誕生たんじょうしていた^[19]。

大久保おおくぼは結婚けっこんしてからも、自家用車じかようしゃで外出がいしゅつしてはガールハントを続つづけていたが^[19]^{[注ちゅう 1]}、恐喝きょうかつでの検挙けんきょ後ごに再ふたたび強姦ごうかん事件じけんを起おこすことになる^[21]。1966年ねん（昭和しょうわ41年ねん）12月23日にちに16歳さいの女子高じょしこう生せいを自動車じどうしゃに乗のせ、高崎たかさき市内しないに停とめた車内しゃないで強姦ごうかん^[21]。翌よく1967年ねん（昭和しょうわ42年ねん）2月がつ24日にちにも20歳さいの女子じょし短大たんだい生せいを自動車じどうしゃに乗のせ、同おなじ場所ばしょで強姦ごうかんした^[21]。この一いち件けんから大久保おおくぼは逮捕たいほされ、懲役ちょうえき3年ねん6か月げつの判決はんけつを受うける^[21]。加くわえて恐喝きょうかつ事件じけんの執行しっこう猶予ゆうよも取とり消けされ、懲役ちょうえき4年ねん6か月げつの刑けいとなり^[21]、府中ふちゅう刑務所けいむしょに服役ふくえきした^[22]。

府中ふちゅう刑務所けいむしょでも大久保おおくぼは模範もはん囚しゅうとして振ふる舞まい、所長しょちょうからの表彰ひょうしょうを4度ども受うけた^[23]。一方いっぽう、妻つまからは離婚りこんの申もうし入いれがあったが、大久保おおくぼは出所しゅっしょまで待まってほしいとこれを止とめていた^[23]。室内しつない装飾そうしょく品ひん販売はんばいを起業きぎょうする更生こうせい計画けいかくを作成さくせいしたこともあり、1971年ねん（昭和しょうわ46年ねん）3月2日にちに仮釈放かりしゃくほうとなる^[23]。

連続れんぞく殺人さつじん[編集へんしゅう]

事件じけん発生はっせい[編集へんしゅう]

仮釈放かりしゃくほう後ごの大久保おおくぼは、両親りょうしんの住すむ自宅じたくに暮くらした。一方いっぽう、大久保おおくぼの服役ふくえき中ちゅうに妻つまは実家じっかに戻もどっており、大久保おおくぼは自宅じたくでの同居どうきょ（実質じっしつ的てきな復縁ふくえん）を望のぞんだが、妻つまの意思いしは固かたかった^[24]。妻つまの実家じっかを訪おとずれた際さいに、義母ぎぼから大久保おおくぼの次兄じけいが（大久保おおくぼの両親りょうしんも含ふくめた家庭かてい事情じじょうから）同居どうきょしない方ほうがよいと申もうし入いれたと知しり、さらに次兄じけいおよび両親りょうしんから申もうし入いれが事実じじつと聞きかされた^[25]。大久保おおくぼは連続れんぞく殺人さつじんでの逮捕たいほ後ごに、この一いち件けんで将来しょうらいに絶望ぜつぼうし、彼かれらを道連みちづれに殺人さつじんに手てを染そめる決意けついをしたと述のべている^[26]。

一方いっぽう、室内しつない装飾そうしょく品ひんの販売はんばいに必要ひつようという理由りゆうで、当時とうじの最新さいしん型がたクーペ、マツダ・ファミリアロータリークーペを親おやからの資金しきんにより購入こうにゅうした^[27]。

3月31日にちに群馬ぐんま県けん多野たの郡ぐんで最初さいしょの殺人さつじんを犯おかしたのを手始てはじめに、逮捕たいほされるまでの1か月げつ半はんの間あいだ、白しろいクーペで1日にち平均へいきん170キロメートルもの距離きょりを走はしりながら、約やく150人にん（うち確認かくにんされたのは127人にん）の女性じょせいに声こえを掛かけていた^[28]。大久保おおくぼの車くるまに乗のった女性じょせいは約やく30人にんで、うち10数すう人にんと肉体にくたい関係かんけいを持もった^[28]。しかし、声こえを掛かけ行動こうどうをともにした女性じょせいのうち8名めいを容赦ようしゃなく殺害さつがい、死体したいを造成ぞうせい地ち等とうに埋うめて遺棄いきした^[29]。

事件じけん発生はっせい日び	事件じけん発生はっせい地点ちてん	被害ひがい者しゃ（カッコ内ないは当時とうじの年齢ねんれい）	仮名かめい
1971年ねん3月31日にち	群馬ぐんま県けん多野たの郡ぐん	女子じょし高校生こうこうせい（17）	A
1971年ねん4月がつ6日にち	群馬ぐんま県けん高崎たかさき市し	ウェイトレス（17）	B
1971年ねん4月がつ17日にち	群馬ぐんま県けん前橋まえばし市し	県庁けんちょう臨時りんじ職員しょくいん（19）	C
1971年ねん4月がつ18日にち	群馬ぐんま県けん伊勢崎いせざき市し	女子じょし高校生こうこうせい（17）	D
1971年ねん4月がつ27日にち	群馬ぐんま県けん前橋まえばし市し	女子じょし高校生こうこうせい（16）	E
1971年ねん5月3日にち	群馬ぐんま県けん伊勢崎いせざき市し	電電でんでん公社こうしゃ職員しょくいん（18）	F
1971年ねん5月9日にち	群馬ぐんま県けん藤岡ふじおか市し	会社かいしゃ員いん（21）	G^{[注ちゅう 2]}
1971年ねん5月がつ10日とおか	群馬ぐんま県けん前橋まえばし市し	無職むしょく（21）	H

これら被害ひがい者しゃ8人にんに対たいする起訴きそ罪状ざいじょうはいずれも「殺人さつじん・死体したい遺棄いき」で、G事件じけんでは被害ひがい者しゃを強姦ごうかんしているため強姦ごうかん罪ざいが加くわわっている^[31]。またこの連続れんぞく殺人さつじんの間あいだとなる1971年ねん4月がつ11日にちには群馬ぐんま県けん富岡とみおか市しの女子じょし事務じむ員いん（当時とうじ20歳さい）を強姦ごうかんして6日間にちかんの怪我けがを負おわせており、同どう事件じけんでは強姦ごうかん・強姦ごうかん致傷ちしょうの罪つみに問とわれた^[31]。

逮捕たいほから自供じきょうまで[編集へんしゅう]

Gが行方ゆくえ不明ふめいとなったあと、Gの兄あには自みずからが経営けいえいする会社かいしゃの従業じゅうぎょう員いんや知人ちじんによる捜索そうさく隊たいを結成けっせいし、警察けいさつと連絡れんらくを取とりながら独自どくじの捜索そうさくを開始かいしした^[32]。Gの兄あには地元じもとの藤岡ふじおか市内しないでGが外出がいしゅつに使つかった自転車じてんしゃを発見はっけんし、その場所ばしょを見張みはっていたところ、大久保おおくぼが現あらわれて自転車じてんしゃを手袋てぶくろで撫なでる仕草しぐさをした（指紋しもんを消けす意図いとがあった^[33]）ため、不審ふしんに感かんじて話はなしかけると、大久保おおくぼは自動車じどうしゃに乗のって立たち去さった^[34]。だがGの兄あにはその車種しゃしゅやナンバーを記憶きおくしており、警察けいさつに連絡れんらくするとともに該当がいとう車種しゃしゅの販売はんばい店てんに照会しょうかいして大久保おおくぼの身元みもとを割わり出だした^[35]。捜索そうさく隊たいは警察けいさつの指導しどうも受うけながら、5月12日にちから自動車じどうしゃ70台だいで本格ほんかく的てきな捜索そうさくに乗のり出だし、13日にちの夕刻ゆうこくに捜索そうさく隊たいはカーチェイスの末すえ、ついに大久保おおくぼを拘束こうそくののち連行れんこう、警察けいさつに引ひき渡わたした^[36]。Gの失踪しっそう事件じけん捜査そうさを担当たんとうしていた群馬ぐんま県けん警察けいさつ藤岡ふじおか警察けいさつ署しょに身柄みがらを移うつされ、14日にちにGに対たいするわいせつ目的もくてき誘拐ゆうかい罪ざいで逮捕たいほされた^[37]。この時点じてんで警察けいさつは大久保おおくぼの逮捕たいほ理由りゆうについての物証ぶっしょうを持もっておらず、拘留こうりゅう期限きげんを過すぎる可能かのう性せいもあったが、15日にちになって強姦ごうかん被害ひがいを受うけた女性じょせいが警察けいさつに届とどけ出でて、面めん通どおしで大久保おおくぼに間違まちがいないと指摘してきしたことから彼女かのじょに対たいする強姦ごうかん致傷ちしょう容疑ようぎで再さい逮捕たいほされた^[38]。この女性じょせいへの強姦ごうかん致傷ちしょうについては認みとめ、Gを殺ころしたと供述きょうじゅつはしたものの、死体したい遺棄いきの場所ばしょについては警察けいさつへの復讐ふくしゅうとして絶対ぜったいに話はなさないと主張しゅちょうした^[39]。以後いご、死体したいという物証ぶっしょうを持もたない警察けいさつは被害ひがい者しゃ全員ぜんいんの発見はっけんに至いたるまで約やく80日にちを要ようすることになった^[28]。

5月21日にちに、榛名湖はるなこ近ちかくで行方ゆくえ不明ふめいとなっていたAの遺体いたいが発見はっけんされた^[40]。しかし、大久保おおくぼはAの殺害さつがいを認みとめなかった^[41]。捜査そうさ本部ほんぶは方針ほうしんを変更へんこうし、大久保おおくぼの自作じさくの詩しや私淑ししゅくしていたというライナー・マリア・リルケの作品さくひんを目めの前まえで朗読ろうどくしたり、心境しんきょうを語かたらせたりしながら説得せっとくした^[42]。大久保おおくぼは5月26日にちにGの殺害さつがいと死体したい遺棄いきについて供述きょうじゅつし、27日にちの現場げんば検証けんしょうで大久保おおくぼの供述きょうじゅつした場所ばしょからGの遺体いたいが発見はっけんされた^[43]。これにより大久保おおくぼは初はじめて強姦ごうかん殺人さつじん・死体したい遺棄いきの容疑ようぎで逮捕たいほされた^[44]。だが、Aを含ふくめた他ほかの殺人さつじんは示唆しさしながらも「秋あきまで言いわない」と黙秘もくひした^[45]。6月4日にちにAの殺害さつがいを供述きょうじゅつ^[46]。しかし、その他たの事件じけんの供述きょうじゅつは一いち度どには進展しんてんしなかった。この間あいだ警察けいさつ側がわは取とり調しらべのほかに、大久保おおくぼの足取あしどりと接触せっしょくした女性じょせいの確認かくにん^[47]、大久保おおくぼの自家用車じかようしゃに残のこされた被害ひがい女性じょせいの毛髪もうはつや体毛たいもうの検出けんしゅつ^[48]といった周辺しゅうへんの捜査そうさをおこない、大久保おおくぼに行方ゆくえ不明ふめい女性じょせいの写真しゃしんを見みせて関係かんけいの有無うむを尋たずねたりした^[49]。大久保おおくぼは断片だんぺん的てきな供述きょうじゅつを始はじめたが、核心かくしん部分ぶぶんは「警察けいさつや両親りょうしん・兄あにへの反抗はんこう」として拒こばんだ^[50]。警察けいさつは再度さいど方針ほうしんを改あらため、6月24日にちに班長はんちょうの警部けいぶ1人ひとりだけによる取とり調しらべに切きり替かえた^[51]。大久保おおくぼは「自分じぶんの望のぞむ条件じょうけんを出だしてそれに対たいする捜査そうさ官かんの態度たいどで死体したい遺棄いき地点ちてんを教おしえるかどうかを決きめる」と述のべた^[51]。大久保おおくぼは7つの条件じょうけんを出だし、その多おおくは身勝手みがってな内容ないようで警部けいぶは拒否きょひしたが、同時どうじに警部けいぶ自身じしんが綴つづった「詩し」を読よむと大久保おおくぼは態度たいどを和やわらげ、2つだけ条件じょうけんを受うけ入いれるなら被害ひがい者しゃ1人にんの遺棄いき現場げんばに案内あんないすると述のべた^[52]。捜査そうさ本部ほんぶは「報道ほうどう関係かんけい者しゃを同行どうこうさせない」という条件じょうけんを受うけ入いれ、6月27日にちの未明みめいに榛名はるな町まち内うちで大久保おおくぼの供述きょうじゅつした場所ばしょからDの遺体いたいが発見はっけんされた^[53]。

だが、その後ご再ふたたび大久保おおくぼは供述きょうじゅつを渋しぶり、さらに身勝手みがってな条件じょうけんを示しめしたりした^[54]。7月13日にちに再ふたたび「報道陣ほうどうじんを同行どうこうさせない」という条件じょうけんでE、Fと別べつの男性だんせい（実際じっさいには虚偽きょぎだった）について遺棄いきの場所ばしょを案内あんないするとしたが、実際じっさいに外出がいしゅつすると前言ぜんげんを翻ひるがえし、結局けっきょくその日ひは発見はっけんできなかった^[55]。この事態じたいに警察庁けいさつちょうが指導しどうに乗のり出だし、指導しどう官かん・調査官ちょうさかんの派遣はけん、現場げんば検証けんしょうに大久保おおくぼを同行どうこうさせない（場所ばしょはパノラマ写真しゃしんやビデオを見みせて確認かくにん）、大久保おおくぼと条件じょうけんで妥協だきょうしない、身柄みがらを松井田まついだ警察けいさつ署しょ（現在げんざいの安中あんなか警察けいさつ署しょ松井田まついだ分ぶん庁舎ちょうしゃ）に移うつすといった方針ほうしん転換てんかんが図はかられた^[56]。松井田まついだ署しょ管内かんないでは犯罪はんざいがほとんど発生はっせいしないため留置りゅうち場じょうには他たに拘置こうち者しゃがおらず、大久保おおくぼを孤立こりつさせる効果こうかがあった^[56]^{[注ちゅう 3]}。結局けっきょく、7月がつ20日はつかにF^[58]、21日にちにE^[59]、22日にちにB^[60]、29日にちにCとHの殺害さつがいと死体したい遺棄いきを供述きょうじゅつし^[61]、それに基もとづいて5人にんの遺体いたいが発見はっけんされた。この発掘はっくつは人目ひとめを避さけていずれも日付ひづけが変かわった深夜しんやにおこなわれた^[62]。このうち、Hを除のぞく4人にんは造成ぞうせい中ちゅうの工業団地こうぎょうだんち付近ふきんにある狭せまい範囲はんいから発見はっけんされている^[62]。

なお、この取調とりしらべ中ちゅうに妻つまとの離婚りこんが成立せいりつしている^[63]。

公判こうはんから死刑しけい執行しっこうまで[編集へんしゅう]

大久保おおくぼは刑事けいじ裁判さいばんで、強姦ごうかん致傷ちしょう罪ざい・強姦ごうかん罪ざい・殺人さつじん罪ざい・死体したい遺棄いき罪ざいに問とわれた^[2]。初はつ公判こうはんは1971年ねん10月がつ25日にち、前橋まえばし地方裁判所ちほうさいばんしょで開ひらかれた^[64]。初はつ公判こうはんで行おこなわれた罪状ざいじょう認否にんぴに対たいし、被告人ひこくにん・大久保おおくぼは「なにもいうことはありません」と返答へんとうし^[64]、起訴きそ事実じじつを全面ぜんめん的てきに認みとめたため、公判こうはんの焦点しょうてんは犯行はんこう動機どうきの解明かいめいに絞しぼり込こまれた^[3]。

大久保おおくぼは「裁判さいばんでも自供じきょうは変かえない」と断言だんげんしたため^[65]、東京医科歯科大学とうきょういかしかだいがく教授きょうじゅの中田なかた修おさむによって精神せいしん鑑定かんていが行おこなわれた^[64]^{[注ちゅう 4]}。鑑定かんてい結果けっかでは「精神病せいしんびょうではないが発揚はつよう性せい、自己じこ顕示けんじ性せい、無情むじょう性せいを主おも徴しるしとする異常いじょう性格せいかく（精神病せいしんびょう質しつ）で、性的せいてき、色情しきじょう的てき亢進こうしんを伴ともなう」と判定はんていされた^[64]。

その一方いっぽう、被告人ひこくにん・大久保おおくぼは第だい2・3回かい公判こうはんで^{[注ちゅう 5]}、事件じけんと無関係むかんけいな親族しんぞくとの争あらそい・権力けんりょく批判ひはんを展開てんかいした上うえ、公判こうはん終盤しゅうばんになると^[3]「俺おれはどうせ死刑しけいだ」と弁護人べんごにん^[67]（私選しせん弁護人べんごにん）^[3]を解任かいにんしたり、「裁判官さいばんかんの忌避きひ申立もうしたて」などの行為こういを繰くり返かえした上うえ、1973年ねん1月がつ8日にちの論告ろんこく求刑きゅうけい公判こうはん直前ちょくぜんには裁判官さいばんかん3人にんを職権しょっけん乱用らんよう罪ざいで告訴こくそするなどしており、『中日新聞ちゅうにちしんぶん』（中日新聞社ちゅうにちしんぶんしゃ）は1973年ねん2月がつ22日にち夕刊ゆうかん記事きじにて大久保おおくぼのそれらの行動こうどうを「弁護人べんごにんの解任かいにんは専もっぱら延命えんめい策さく。裁判官さいばんかんへの忌避きひ申立もうしたて・告訴こくそは思想しそう犯はん並なみの反はん権力けんりょく闘争とうそう」と表現ひょうげんした^[3]。そのため判決はんけつ公判こうはん時点じてんでは国選こくせん弁護人べんごにんとして、町田まちだ繁しげる弁護士べんごしが大久保おおくぼの弁護人べんごにんを担当たんとうしていた^[68]。町田まちだは、大久保おおくぼから被害ひがい者しゃ・遺族いぞくへの謝罪しゃざいの言葉ことばを引ひき出だそうとし続つづけたが、大久保おおくぼは彼かれに対たいし、最後さいごまで非ひ協力きょうりょく的てきなままで^[68]、結果けっか的てきに犯罪はんざい史上しじょうに類るいを見みなかったこの凶悪きょうあく事件じけんは、動機どうきが未み解明かいめいのまま閉幕へいまくすることとなった^[3]。

1973年ねん（昭和しょうわ48年ねん）2月がつ22日にちに判決はんけつ公判こうはんが開ひらかれ、前橋まえばし地裁ちさい刑事けいじ部ぶ（水野みずの正男まさお裁判さいばん長ちょう）^{[注ちゅう 6]}は検察けんさつ（前橋まえばし地方ちほう検察庁けんさつちょう）側がわの求刑きゅうけい通どおり、被告人ひこくにん・大久保おおくぼ清きよしに死刑しけい判決はんけつをい渡いわたした^[3]^[64]。水野みずの裁判さいばん長ちょうは10時じの開廷かいてい直後ちょくごに冒頭ぼうとうで死刑しけい判決はんけつの主文しゅぶんをい渡いわたし^[69]、続つづく判決はんけつ理由りゆうで以下いかのように被告人ひこくにん・大久保おおくぼの犯行はんこうを断罪だんざいした^[3]。

他人たにんの生命せいめいを犠牲ぎせいにして省かえりみないところに著いちじるしい反はん人間にんげん性せいが認みとめられる上じょう、被告人ひこくにんは自みずからの欲望よくぼうの赴おもむくままに若わかい女性じょせいの生命せいめいを次々つぎつぎに奪うばった^[3]^[31]。
本件ほんけんを「権力けんりょくに対たいする反抗はんこう」と表現ひょうげんするなど「自己じこの非ひを隠かくし、自みずからを美化びかしようとする虚飾きょしょくに満みちた態度たいど」を取とって改悛かいしゅんの情じょうを全まったく示しめしていない^[31]。
現行げんこうの刑罰けいばつ制度せいどに死刑しけいがある以上いじょう、これをもって被告人ひこくにんに臨のぞむほかはない^[3]^[31]。

大久保おおくぼは1973年ねん3月がつ7日にちに当時とうじの収監しゅうかん先さき・前橋まえばし刑務所けいむしょで知人ちじんと面会めんかいしたが「控訴こうそする気持きもちはない」と語かたり、東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょへの控訴こうそ申立もうしたてができる最終さいしゅう期限きげんとなる翌日よくじつ（1973年ねん3月がつ8日にち）夕方ゆうがたまでに手続てつづきを取とらなかった^[70]。結果けっか、大久保おおくぼは控訴こうそ期限きげんの1973年ねん3月がつ9日にち午前ごぜん0時じまでに東京とうきょう高裁こうさいへ控訴こうそしなかったために第だい一いち審しんの死刑しけい判決はんけつがそのまま確定かくていした^[71]。

死刑しけい囚しゅうとなった大久保おおくぼは、裁判官さいばんかん・弁護士べんごしらを告訴こくそしていたが、それらの事件じけんがいずれも不ふ起訴きそ・起訴きそ猶予ゆうよ処分しょぶんとなり、大久保おおくぼの身柄みがらを前橋まえばし刑務所けいむしょに置おき続つづける必要ひつようがなくなったため、死刑しけい確定かくてい後ごの1973年ねん4月がつ3日にち付づけで身柄みがらを東京とうきょう拘置こうち所しょに移送いそうされた^[72]。同年どうねん10月がつ、大久保おおくぼは獄中ごくちゅうから『訣別けつべつの章あきら死刑しけい囚しゅう・大久保おおくぼ清きよし獄中ごくちゅう手記しゅき』（KKロングセラーズ。編集へんしゅう：大島おおしま英三郎えいざぶろう）を刊行かんこうしたが、その中なかでは「自分じぶんは『自己じこを失うしないただ性欲せいよくの野獣やじゅうとなった』ように見みられているが、そのことはどうでもよい。私わたしが犯おかされた罪つみがいかに重大じゅうだいか知しる人ひとはいない」という意味いみの被害ひがい者しゃ意識いしきを示しめしていたほか、出版しゅっぱん後ごにKKロングセラーズを相手取あいてどり東京とうきょう地方裁判所ちほうさいばんしょ宛あてに「題名だいめいは本来ほんらい『訣別けつべつの詩し』だったのに著者ちょしゃである自分じぶんに無断むだんで『訣別けつべつの章あきら』と変かえられた。これは著作ちょさく権けん侵害しんがいだ」などと訴状そじょうを郵送ゆうそうするなどしていた^[1]。

法務省ほうむしょう（法務大臣ほうむだいじん：稻葉いなば修おさむ）が発はっした死刑しけい執行しっこう命令めいれいにより、死刑しけい囚しゅう・大久保おおくぼ清きよしは1976年ねん（昭和しょうわ51年ねん）1月がつ22日にちに、収監しゅうかん先さきの東京とうきょう拘置こうち所しょで死刑しけいを執行しっこうされた（41歳さい没ぼつ）^[1]^[67]^[73]。死刑しけい確定かくていから2年ねん10か月げつ後ごの執行しっこうは当時とうじ、一般いっぱん死刑しけい囚しゅうと比較ひかくしても速はやいスピード執行しっこうだった^[1]^[67]。

人物じんぶつ[編集へんしゅう]

獄中ごくちゅう手記しゅき『訣別けつべつの章あきら』について、風俗ふうぞく史家しかの下川しもかわ耿史は、著書ちょしょ『殺人さつじん評論ひょうろん』において「（ニーチェやショーペンハウアーを引ひくなど）難むずかしい言葉ことばを多用たようして、（アナキズムに共感きょうかんするなどして）国家こっか権力けんりょくへの反発はんぱつを述のべているが、言葉ことばが難むずかしいわりには浅薄せんばくで、他たにひどくセンチメンタルな詩しを長々ながながと書かき連つらねており、これが36歳さいの男おとこが書かくものかと思おもうほどに実じつに少年しょうねんっぽい」と批評ひひょうしている^[74]。

取調とりしらべ中ちゅうの大久保おおくぼは数字すうじの「3」を嫌いやがった^[75]。警察けいさつは大久保おおくぼを追おい詰つめるためにこれを利用りようし、松井田まついだ署しょに身柄みがらを移送いそうした際さいには留置とめおき場じょうの第だい3房ぼうに収監しゅうかんした^[56]。

他た事件じけんとの類似るいじ性せい[編集へんしゅう]

『上うえ毛げ新聞しんぶん』記者きしゃ・五十嵐いがらし啓介けいすけは、本ほん事件じけんから50年ねんとなる2021年ねんに事件じけんを回顧かいこする連載れんさい特集とくしゅう記事きじを執筆しっぴつした^[30]。五十嵐いがらしは、福井ふくい裕ひろし輝てる（精神せいしん科か医い）の声こえを引用いんようし、附属ふぞく池田いけだ小しょう事件じけん（2001年ねん）の死刑しけい囚しゅうである宅間たくま守まもる（2004年ねんに死刑しけい執行しっこう）や、座ざ間あいだ9人にん殺害さつがい事件じけん（2017年ねん）の死刑しけい囚しゅうについて言及げんきゅうし、両者りょうしゃと大久保おおくぼに共通きょうつう点てん（反はん社会しゃかい性せいパーソナリティ障害しょうがい）がある旨むねを指摘してきしている^[76]。

また『読売新聞よみうりしんぶん』は、富山とやま・長野ながの連続れんぞく女性じょせい誘拐ゆうかい殺人さつじん事件じけん（1980年ねん）の発生はっせい時じ、同どう事件じけんの加害かがい者しゃ女性じょせい（1998年ねんに死刑しけい確定かくてい、女性じょせい死刑しけい囚しゅう）と大久保おおくぼの共通きょうつう点てんとして、「被害ひがい者しゃがいずれも若わかい女性じょせいである点てん」「虚栄きょえい心しんが強つよく、服装ふくそうや車くるまなどに金かねをかけ、言葉ことば巧たくみに被害ひがい者しゃを誘さそって犯行はんこうにおよんでいる点てん」「殺害さつがい・死体したい遺棄いき現場げんばが人目ひとめに付つかない山中さんちゅうである点てん」「逮捕たいほ後ごに曖昧あいまいな供述きょうじゅつを繰くり返かえし、捜査そうさ機関きかんを翻弄ほんろうしている点てん」を挙あげている^[77]。