アナキズム

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アナキズム（英えい: anarchism、仏ふつ: anarchisme、露ろ: анархизм、アナーキズムとも）は、国家こっかや宗教しゅうきょうなど一切いっさいの政治せいじ的てき権威けんいと権力けんりょくを否定ひていし、自由じゆうな諸しょ個人こじんの合意ごういのもとに個人こじんの自由じゆうが重視じゅうしされる社会しゃかいを運営うんえいしていくことを理想りそうとする思想しそう。四大しだい巨頭きょとうとされる著名ちょめいな思想家しそうかはウィリアム・ゴドウィン、ピエール・ジョゼフ・プルードン、ミハイル・バクーニン、ピョートル・クロポトキン。アナキズムは自由じゆう主義しゅぎ的てきな立場たちばである個人こじん主義しゅぎ的てき無政府むせいふ主義しゅぎと、社会しゃかい主義しゅぎ的てきな立場たちばである社会しゃかい的てき無政府むせいふ主義しゅぎにも分類ぶんるいされ、アナキズムの支持しじ者しゃはアナキスト（アナーキスト）と呼よばれる。日本にっぽんでは無む政府せいふ主義しゅぎと訳やくされる場合ばあいも多おおいが、誤解ごかいの多おおい訳語やくごとして忌避きひされる傾向けいこうもある。

語源ごげんと用語ようご、および定義ていぎ

アナキズム（英えい: Anarchism）の語源ごげんは、「支配しはい者しゃ」を意味いみする αρχή（archi）に「〜が無ない」を意味いみする接頭せっとう辞じの ἀνにゅー-（an-）が付ついた「支配しはい者しゃがいない」ことを意味いみする古代こだいギリシア語ごの ἀναρχία（anarkhia）またはἀναρχος（anarkhos）である。接尾せつび辞じの -ισμός（-ism）は思想しそう・イデオロギーであることを意味いみしている。英語えいごでは、 anarchism という言葉ことばは1642年ねんから anarchisme として現あらわれ、anarchy は1539年ねんから現あらわれた。フランス革命かくめいにおける様々さまざまな派閥はばつは、敵対てきたい者しゃに対たいして anarchists という烙印らくいんを押おしたが、そのような非難ひなんを受うけた者ものの中なかに後ごのアナキストと同様どうようの見解けんかいを持もつ者ものはほとんどいなかった。ウィリアム・ゴドウィン（1756〜1836）やヴィルヘルム・ヴァイトリング（1808〜1871）などの19世紀せいきの多おおくの革命かくめい家かは、次つぎの世代せだいのアナキズムの原則げんそくに貢献こうけんすることになったが、彼かれらは自分じぶん自身じしんや自分じぶんの信念しんねんを表現ひょうげんする際さいにアナキストやアナキズムといった語かたりを使つかわなかった。

自みずからアナキストを名乗なのった最初さいしょの政治せいじ哲学てつがく者ものは、「無政府むせいふ主義しゅぎの父ちち」と言いわれている19世紀せいきフランスのピエール・ジョゼフ・プルードン（1809〜1865）である。1890年代ねんだい以降いこう、フランスを始はじめとしてリバタリアニズムはアナキズムの同義語どうぎごとして用もちいられることが多おおく、アメリカ以外いがいの国くにでは現在げんざいでも同義どうぎ語ごとして使つかわれるのが一般いっぱん的てきであるが、他方たほうでは個人こじん主義しゅぎ的てきな自由じゆう市場いちば哲学てつがくのみを指さす言葉ことばとしてリバタリアニズムを用もちいる人ひともおり、自由じゆう市場いちば無政府むせいふ主義しゅぎをリバタリアン・アナキズムと呼よんでいる。

国家こっかへの反対はんたいはアナキズム思想しそうの中心ちゅうしんだが、様々さまざまな潮流ちょうりゅうがアナキズムを微妙びみょうに異ことなって捉とらえているため、アナキズムを定義ていぎすることは容易よういではなく、学者がくしゃやアナキストの間あいだで多おおくの議論ぎろんがなされている。そのため、アナキズムとは、あらゆる人間にんげん関係かんけいの営いとなみにおける権威けんいや階層かいそう的てき組織そしき（国家こっか、資本しほん主義しゅぎ、ナショナリズム、および関連かんれんするすべての制度せいど）に反対はんたいし、自発じはつ的てきな結社けっしゃと自由じゆう、および分権ぶんけん化かに基もとづく社会しゃかいを支持しじする政治せいじ哲学てつがくの集合しゅうごう体たいであると言いえるかもしれない。しかし、この定義ていぎは語源ごげんに基もとづく定義ていぎ（単たんなる支配しはい者しゃの否定ひてい）や、反はん国家こっか主義しゅぎに基もとづく定義ていぎ（アナキズムはそれ以上いじょうのものである）、あるいは反はん権威けんい主義しゅぎに基もとづく定義ていぎ（これは結果けっか論ろんである）と同おなじ欠点けってんを持もっている。とはいえ、アナキズムの定義ていぎの主要しゅような要素ようそには以下いかのものが挙あげられる。

1. 非ひ強制きょうせい的てきな社会しゃかいへの意志いし。
2. 国家こっか組織そしきの棄却ききゃく。
3. 人間にんげん本性ほんしょうが、そのような非ひ強制きょうせい的てき社会しゃかいの中なかに人間にんげんが存在そんざいすること、あるいはそれに向むかって進歩しんぽすることを可能かのうにしているという信念しんねん。
4. アナキズムの理想りそうを追求ついきゅうするための具体ぐたい的てき行動こうどうの提案ていあん。

オードリー・タンは「保守ほしゅ的てきなアナーキスト」を自称じしょうし、日本にっぽんでの「無政府むせいふ主義しゅぎ」との訳わけを批判ひはんしている。

歴史れきし

詳細しょうさいは「アナキズムの歴史れきし」を参照さんしょう

近代きんだい以前いぜん

ゼノンが著あらわした『Republic』は、ピョートル・クロポトキンに影響えいきょうを与あたえた。

先史せんし時代じだいに確立かくりつされた権威けんいは存在そんざいしなかった。権威けんい的てき制度せいどが確立かくりつされ、その反動はんどうとして無む政府せいふ主義しゅぎ的てきな思想しそうが膾炙かいしゃするようになったのは、街まちや都市としが造つくられた後のちだった。古代こだいにおける無む政府せいふ主義しゅぎの最もっとも顕著けんちょな前身ぜんしんは中国ちゅうごくとギリシアにあった。中国ちゅうごくでは、哲学てつがく的てき無政府むせいふ主義しゅぎ（国家こっかの正当せいとう性せいに関かんする議論ぎろん）が道教どうきょうの哲学てつがく者しゃである荘そう子こと老子ろうしによって叙述じょじゅつされた。同様どうように、無む政府せいふ主義しゅぎ的てきな態度たいどはギリシアの悲劇ひげき家かと哲学てつがく者しゃによっても表現ひょうげんされた。アイスキュロスとソポクレスは、国家こっかによって布しかれた規則きそくとオートノミーとの対立たいりつを説明せつめいするためにアンティゴネーの神話しんわを用もちいた。ソクラテスはアテナイの当局とうきょくに絶たえず疑問ぎもんを投なげかけ、意識いしきの個人こじん的てき自由じゆうの権利けんりを主張しゅちょうした。キュニコス派はは、人間にんげんが作つくった法律ほうりつ（ノモス）と関連付かんれんづけられた権威けんいを退しりぞけ、自然しぜん法則ほうそくに従したがって生いきようとした。ストア派はは、国家こっかの存在そんざいを伴ともなわない市民しみん間あいだの非公式ひこうしきで友好ゆうこう的てきな関係かんけいに基もとづく社会しゃかいを支持しじしていた。

中世ちゅうせいでは、一部いちぶの禁欲きんよく的てきな宗教しゅうきょう運動うんどうを除のぞき、イスラム世界せかいやキリスト教きりすときょう圏けんのヨーロッパにおいて無む政府せいふ主義しゅぎ的てきな活動かつどうは見みられなかった。このような伝統でんとうは、後のちに宗教しゅうきょう的てき無政府むせいふ主義しゅぎを生うみ出だした。サーサーン朝あさペルシャでは、マズダク教きょうが平等びょうどう主義しゅぎと君主くんしゅ制せいの廃止はいしを求もとめたが、すぐに国王こくおうによって弾圧だんあつされた。バスラでは、敬虔けいけんな宗派しゅうはが国家こっかに対たいして説教せっきょうを行おこなった。ヨーロッパでは、様々さまざまな宗派しゅうはが反はん国家こっか主義しゅぎ的てきおよび自由じゆう主義しゅぎ的てきな傾向けいこうを持もつに至いたった。リバタリアンの思想しそうは、ヨーロッパでの理性りせい主義しゅぎとヒューマニズムの展開てんかいに伴ともない、ルネサンス期きにさらに隆盛りゅうせいした。小説しょうせつ家かたちは、強制きょうせいではなく自発じはつに基もとづいた理想りそう的てき社会しゃかいを小説しょうせつに描えがいた。啓蒙けいもう主義しゅぎは、社会しゃかい的てき進歩しんぽに対たいする楽観らっかん主義しゅぎを持もってアナキズムへとさらに押おし進すすめられた。

近代きんだい

フランス革命かくめいの際さい、アンラジェとサン・キュロットのパルチザングループは、反はん国家こっか主義しゅぎと連邦れんぽう主義しゅぎの騒乱そうらんの中なかに転機てんきを見みた。最初さいしょのアナキズムの流ながれは18世紀せいきを通とおして発展はってんした。ウィリアム・ゴドウィンはイギリスで哲学てつがく的てき無政府むせいふ主義しゅぎを支持しじし、国家こっかは不当ふとうなものであるとの道徳どうとく的てきな判断はんだんを下くだした。マックス・シュティルナーの思想しそうは個人こじん主義しゅぎへの道みちを開ひらき、ピエール・ジョセフ・プルードンの相互そうご主義しゅぎ理論りろんはフランスの肥沃ひよくな地ちに根ねを下おろした。このアナキズムの古典こてん時代じだいは、1939年ねんにスペイン内戦ないせんが終おわるまで続つづき、後のちにアナキズムの黄金おうごん時代じだいだったと考かんがえられるようになった。

ミハイル・バクーニンはプロレタリア独裁どくさいを目標もくひょうとするマルクス主義まるくすしゅぎに反対はんたいした。マルクス主義まるくすしゅぎ者しゃによって第だい一いちインターナショナルを追放ついほうされる前まえ、彼かれは連邦れんぽう主義しゅぎ者ものと同盟どうめいしていた。

ミハイル・バクーニンは、相互そうご主義しゅぎに基もとづいて集あつまり産さん主義しゅぎ的てき無政府むせいふ主義しゅぎを確立かくりつし、国際こくさい労働ろうどう者しゃ協会きょうかいに加入かにゅうした。国際こくさい労働ろうどう者しゃ協会きょうかいは、後のちに第だい一いちインターナショナルとして知しられるようになった結社けっしゃであり、多様たような革命かくめい的てき潮流ちょうりゅうを統合とうごうするために1864年ねんに発足ほっそくした。インターナショナルは重要じゅうような政治せいじ勢力せいりょくとなり、その重要じゅうよう人物じんぶつであるカール・マルクスは総そう評議ひょうぎ会かいのメンバーであった。バクーニンの派閥はばつであるジュラ連合れんごうと、相互そうご主義しゅぎ者しゃであるプルードンの支持しじ者しゃは、マルクスの国家こっか社会しゃかい主義しゅぎに反対はんたいし、政治せいじ的てき自制じせい主義しゅぎと小規模しょうきぼな私有しゆう財産ざいさん制せいを主張しゅちょうした。苦にがい論争ろんそうの後のち、バクーニン主義しゅぎ者しゃは1872年ねんのハーグ大会たいかいでマルクス主義まるくすしゅぎ者しゃによってインターナショナルから追放ついほうされた。バクーニンは、「革命かくめい家かがマルクス主義まるくすしゅぎの条件下じょうけんかで権力けんりょくを得えた場合ばあい、労働ろうどう者しゃの新あらたな専制せんせい君主くんしゅに終おわることになるだろう」という有名ゆうめいな予測よそくを残のこした。追放ついほうされた後のち、アナキストはサン＝ティミエ・アナキスト・インターナショナルを形成けいせいした。ロシアの哲学てつがく者しゃ・科学かがく者しゃであるピョートル・クロポトキンの影響えいきょうの下した、無む政府せいふ共産きょうさん主義しゅぎは集あつまり産さん主義しゅぎと重かさなり合あうようになった。1871年ねんのパリ・コミューンに触発しょくはつされた無む政府せいふ共産きょうさん主義しゅぎ者しゃは、自由じゆうな連邦れんぽうと必要ひつように応おうじた物資ぶっしの分配ぶんぱいを提唱ていしょうした。

世紀せいきの変かわり目めには、アナキズムは世界中せかいじゅうに広ひろがっていた。中国ちゅうごくでは、少数しょうすうの学生がくせいグループが無む政府せいふ共産きょうさん主義しゅぎの人文じんぶん主義しゅぎ的てきなプロサイエンス版ばんを輸入ゆにゅうした。東京とうきょうは、極東きょくとうの国々くにぐにから勉強べんきょうのために殺到さっとうした反抗はんこう的てきな若者わかものたちのホットスポットだった。ラテンアメリカでは、アルゼンチンがアナルコ・サンディカリスムの牙城がじょうになり、最もっとも顕著けんちょな左翼さよくイデオロギーとなった。この間あいだ、少数しょうすうのアナキストが戦術せんじゅつとして革命かくめい的てきな政治せいじ暴力ぼうりょくを採用さいようした。この戦略せんりゃくは、後のちに「行為こういによるプロパガンダ」として知しられるようになった。個人こじん主義しゅぎ的てきな政治せいじ的てき表現ひょうげんと行動こうどうを好このんだパリ・コミューンの弾圧だんあつに続つづいて、フランスの社会しゃかい主義しゅぎ運動うんどうは多おおくのグループに分断ぶんだんされ、多おおくのコミュナードが処刑しょけいおよび流刑りゅうけいされた。多おおくのアナキストがこれらのテロ行為こういから距離きょりを置おいていたにもかかわらず、運動うんどうには悪評あくひょうが付ついた。イリーガリズムは、同年どうねんに一部いちぶのアナキストが採用さいようした別べつの戦略せんりゃくである。

ネストル・マフノとウクライナ革命かくめい反乱はんらん軍ぐんのアナキスト。

アナキストは、懸念けねんを余所よそにロシア革命かくめいへ熱心ねっしんに参加さんかし白しろ軍ぐんと戦たたかった。しかし、ボリシェヴィキ政権せいけんが安定あんていすると彼かれらは激はげしい弾圧だんあつに直面ちょくめんした。ペトログラード（現在げんざいのサンクトペテルブルク）とモスクワからは一部いちぶのアナキストがウクライナへ逃亡とうぼうし、クロンシュタットの反乱はんらんと自由じゆう地区ちくでのネストル・マフノによる闘争とうそうにつながった。ロシアでアナキストが弾圧だんあつされる中なか、二ふたつの新あらたな対立たいりつ軸じく、すなわち政綱せいこう主義しゅぎ（英えい: Platformism）と統合とうごう無む政府せいふ主義しゅぎ（英えい: Synthesis anarchism）が生うまれた。前者ぜんしゃは革命かくめいを推進すいしんする首尾しゅび一貫いっかんした集団しゅうだんを作つくろうとしたが、後者こうしゃは政党せいとうと類似るいじするものに反対はんたいしていた。十じゅう月がつ革命かくめいとその結果けっかとしてのロシア内戦ないせんでのボリシェヴィキの勝利しょうりを見みて、多おおくの労働ろうどう者しゃと活動かつどう家かは、無む政府せいふ主義しゅぎと他たの社会しゃかい主義しゅぎ運動うんどうを犠牲ぎせいにして成長せいちょうした共産党きょうさんとうに転向てんこうした。フランスとアメリカでは、主要しゅようなサンディカリスト運動うんどうのメンバーが、彼かれらの組織そしきであるフランス労働ろうどう総そう同盟どうめいと世界せかい産業さんぎょう労働ろうどう組合くみあいから離はなれ、コミンテルンに参加さんかした。

スペイン内戦ないせんでは、アナキストとサンディカリスト（CNT-FAI）が再ふたたび左派さはの様々さまざまな潮流ちょうりゅうと同盟どうめいを組くんだ。スペインにおけるアナキズムの長ながい伝統でんとうは、内戦ないせんでアナキストが極きわめて重要じゅうような役割やくわりを果はたすことにつながった。軍ぐんの反乱はんらんに応おうじる形かたちで、農民のうみんと労働ろうどう者しゃのアナキストに触発しょくはつされた運動うんどうは、民兵みんぺいの支援しえんを受うけてバルセロナと農村のうそん部ぶの広大こうだいな地域ちいきを支配しはいし、土地とちを共同きょうどう所有しょゆうするようになった。ソ連それんは内戦ないせん開始かいし時じに限定げんてい的てきな支援しえんを提供ていきょうしたが、スターリンが共和きょうわ派はの支配しはい権けんを掌握しょうあくしようとしたため、May Daysと名付なづけられた一連いちれんの出来事できごとで共産きょうさん主義しゅぎ者しゃと無政府むせいふ主義しゅぎ者しゃの間あいだで苦闘くとうが繰くり広ひろげられる結果けっかとなった。

戦後せんごと現代げんだい

ロジャヴァの縫製ほうせい組合くみあい。ロジャヴァは労働ろうどう者しゃが協同きょうどう組合くみあいを結成けっせいする取とり組くみを支援しえんしている。

第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん終結しゅうけつ後ご、アナキストの運動うんどうは大幅おおはばに弱よわまった。しかし、1960年代ねんだいには、マルクス・レーニン主義しゅぎの失敗しっぱいと冷戦れいせんの緊張きんちょうによって引ひき起おこされたと思おもわれるアナキズムの復活ふっかつが見みられた。この間あいだ、アナキズムは、反核はんかくと環境かんきょう・平和へいわ運動うんどう、新しん左翼さよく、1960年代ねんだいのカウンターカルチャーなど、国家こっかと資本しほん主義しゅぎの両方りょうほうに批判ひはん的てきな他ほかの運動うんどうに根付ねついた。アナキズムは、クラスやセックス・ピストルズなどのバンドに示しめされるように、パンクのサブカルチャーと関連かんれんするようになり、第だい二に波はフェミニズムでは、アナルカ・フェミニズムの確立かくりつされたフェミニズムの傾向けいこうが活力かつりょくを持もって戻もどってきた。

21世紀せいきへの変かわり目めには、アナキズムは反戦はんせんと反はん資本しほん主義しゅぎ、および反はんグローバリゼーション運動うんどうの中なかで人気にんきと影響えいきょう力りょくを増ました。アナキストは、世界せかい貿易ぼうえき機関きかん、主要しゅよう国こく首脳しゅのう会議かいぎ、世界せかい経済けいざいフォーラムに対たいする抗議こうぎ活動かつどうに参加さんかしたことで知しられるようになった。抗議こうぎ活動かつどうの間あいだ、ブラック・ブロックとして知しられている即興そっきょうで作つくられ指導しどう者しゃがいない匿名とくめい集団しゅうだんが、暴動ぼうどうと器物きぶつ損壊そんかい、および警察けいさつとの暴力ぼうりょく的てき対峙たいじに従事じゅうじした。この時代じだいに作つくられた他ほかの組織そしき的てき戦術せんじゅつには、セキュリティ文化ぶんかとアフィニティ・グループ、およびインターネットなどの分散ぶんさん化かされた技術ぎじゅつの利用りようなどがある。この時代じだいに起おきた大おおきな出来事できごとは、1999年ねんにシアトルで開催かいさいされたWTO会議かいぎでの抗議こうぎである。アナキストの思想しそうは、メキシコのサパティスタ民族みんぞく解放かいほう軍ぐんや、シリア北部ほくぶにある事実じじつ上じょうの自治じち区くで、一般いっぱん的てきにロジャヴァとして知しられている北きたシリア民主みんしゅ連邦れんぽうの発展はってんに影響えいきょうを与あたえた。

日本にっぽん

詳細しょうさいは「日本にっぽんにおけるアナキズム」を参照さんしょう

近代きんだい

大杉おおすぎ栄さかえ。大正たいしょう時代じだい、日本にっぽんにおいてアナルコ・サンディカリスムを主張しゅちょうした。

日本にっぽんでは、先駆せんく的てきに江戸えど時代じだい後期こうきの安藤あんどう昌益しょうえきがアナキズム的てきな発想はっそうで思想しそうを展開てんかいした。近代きんだい思想しそうとしてのアナキズムの影響えいきょうということでいえば、幸徳こうとく秋水しゅうすいがいる。秋水しゅうすいはクロポトキンの影響えいきょうを受うけていた。明治めいじ末期まっき、幸徳こうとく秋水しゅうすいは無む政府せいふ主義しゅぎを実現じつげんさせるための直接ちょくせつ行動こうどうを主張しゅちょうしたが、幸徳こうとく事件じけん（大逆だいぎゃく事件じけんの一ひとつ）で死刑しけいとなった。大正たいしょう時代じだいに入はいりロシア革命かくめいが起おこると、大杉おおすぎ栄さかえが主張しゅちょうする労働ろうどう組合くみあいを基盤きばんとしたアナルコ・サンディカリスムが一いち定数ていすうの支持しじを得えた。

マルクス主義まるくすしゅぎ・共産党きょうさんとうとの対立たいりつ以降いこう

アナキズムでは政党せいとうも否定ひていするため、　日本にっぽんのマルクス主義まるくすしゅぎ者しゃ（ボリシェヴィキ）との間あいだにアナ・ボル論争ろんそうと呼よばれる論争ろんそうが行おこなわれた。大杉おおすぎ栄さかえが日本にっぽんのアナキストの中心ちゅうしんであったため、1922年ねんにボリシェヴィキ率ひきいるソ連それんの「コミンテルン日本にっぽん支部しぶ 日本にっぽん共産党きょうさんとう」として日本にっぽん共産党きょうさんとうが設立せつりつ、1923年ねんの大杉おおすぎは関東大震災かんとうだいしんさい後ごの混乱こんらんの中なか、甘粕あまかす事件じけんで殺害さつがいされることで衰退すいたいした。

大杉おおすぎの死後しご、主導しゅどう的てき人物じんぶつを失うしなったアナキズム運動うんどうは個人こじん的てきな活動かつどうから組織そしき的てき・社会しゃかい的てきな運動うんどうとなっていった。まず、八太はった舟ぶね三さんに代表だいひょうされる純正じゅんせいアナキズム（アナルコ・サンディカリスムは、サンディカリスムの影響えいきょうを受うけた不純ふじゅんなアナキズムであるとの批判ひはん）が盛さかんになり、その後ごは、アナキズムとしては異例いれいの強固きょうこな「党とう的てき志向しこう」をもった日本にっぽん無政府むせいふ共産党きょうさんとうや、全国ぜんこく的てきな農民のうみん運動うんどうとして、歴史れきし的てきには「農のう青あおイズム」と呼よばれた革命かくめい的てき地理ちり区画くかくを全国ぜんこくに樹立じゅりつした具体ぐたい的てきで実践じっせん的てきな農村のうそん青年せいねん社しゃの運動うんどうが登場とうじょうした。権藤ごんどう成しげる卿きょう、橘たちばな孝三郎こうざぶろうらの超ちょう国家こっか主義しゅぎ・農本主義のうほんしゅぎ運動うんどうらにもアナキズムは影響えいきょうを与あたえた。詩人しじんの金子かねこ光晴みつはるや日本にっぽんのダダイスムもアナキズムに影響えいきょうを受うけており、その作品さくひんのいくつかはアナキズムを謳うたっている。

1935年ねんには日本にっぽん無政府むせいふ共産党きょうさんとうギャング事件じけんが、翌よく1936年ねんに約やく350名めいが治安ちあん維持いじ法ほう違反いはんとして検挙けんきょされる農村のうそん青年せいねん社しゃ事件じけんが起おきる。この事件じけんをもって「戦前せんぜんのアナキズム活動かつどうの終息しゅうそく」と見みる向むきもある。

戦後せんご

太平洋戦争たいへいようせんそう敗戦はいせん後ごのアナキストの潮流ちょうりゅうはプルードン主義しゅぎの立場たちばに近ちかく、実力じつりょくでの資本しほん主義しゅぎ制度せいどの打倒だとうよりも地域ちいきコミュニティ再建さいけんの実現じつげんを目指めざしていた。戦後せんごのアナキズムはアナルコ・サンディカリズム系けいの日本にっぽんアナキスト連盟れんめいと、純正じゅんせいアナキズム系けいの日本にっぽんアナキスト・クラブが啓蒙けいもう的てき活動かつどうを続つづけていたが、何いずれもサロン的てき、研究けんきゅうクラブの域いきを出でず、ほとんど影響えいきょう力りょくはなく、アナキズムは死しんだに等ひとしいと見みなされていた。

そのようなアナキズムが蘇よみがえったのは1968年ねんから1970年ねんにかけての全国ぜんこく的てきな学園がくえん闘争とうそうにおいてである。学園がくえん闘争とうそうの中核ちゅうかくとなった全学ぜんがく共闘きょうとう会議かいぎ（全共闘ぜんきょうとう）の多おおくはノンセクトであり、日大にちだい全共闘ぜんきょうとう芸術げいじゅつ学部がくぶ闘争とうそう委員いいん会かい（後期こうき）などのように、旗はたやヘルメットは黒くろを基調きちょうとした組織そしきも多おおく、またその運動うんどう形態けいたいも、アナキスト系けい組織そしきに見みられる比較的ひかくてき自由じゆうな評議ひょうぎ制せいをとっていたことから、アナキズムへの関心かんしんが芽生めばえることになった。東京とうきょうのアナキストは連盟れんめいの後継こうけいの要素ようそを引ひき摺ずり、学習がくしゅう会かい的てき・サロン的てき色彩しきさいを払拭ふっしょく出来できず（麦むぎ社しゃ）、それ以外いがいもテロリスト的てきな小しょう結社けっしゃ主義しゅぎ（東京とうきょう行動こうどう戦線せんせん、背叛はいはん社しゃ）の域いきを出でなかったが、関西かんさい・大阪おおさかのアナキストは、小しょう組織そしき・小しょうグループの傾向けいこうを離脱りだつしてアナキスト革命かくめい連合れんごう（ARF、アナ革かわ連れん）という「アナキスト・ブント」とあだ名なされた統一とういつ組織そしきを形成けいせいし、各かく大学だいがくや地域ちいきにおいて強力きょうりょくな運動うんどうを展開てんかいした。関西かんさいの主要しゅよう大学だいがくにはアナキスト連合れんごうの組織そしきや支部しぶが形成けいせいされ、キャンパスにはアナキストの黒くろ旗はたが翻ひるがえり、一部いちぶでは完全かんぜんにマルクス主義まるくすしゅぎ者しゃを凌駕りょうがしていた。1974年ねんから1975年ねんにかけて連続れんぞく企業きぎょう爆破ばくは事件じけんを起おこした東ひがしアジア反日はんにち武装ぶそう戦線せんせんはアナキズム傾向けいこうがある組織そしきだった。

戦後せんごのアナキストとしては、詩人しじんの秋山あきやま清きよしや、後のちに右翼うよくの立場たちば性せいを鮮明せんめいにする評論ひょうろん家か大澤おおさわ正道せいどうらがおり啓蒙けいもう的てき著述ちょじゅつを続つづけていたが、その後ご、向井むかい孝たかしは自身じしんのミニコミ紙しで非ひ暴力ぼうりょく直接ちょくせつ行動こうどう論ろんを粘ねばり強づよく持論じろんとし、フランスにいた尾関おぜき弘ひろしはダニエル・ゲランの翻訳ほんやくを行おこなった。またアナキスト革命かくめい連合れんごうの活動かつどう家かだった千坂ちさか恭二きょうじは『情況じょうきょう』や『映画えいが批評ひひょう』誌しなどでバクーニンの思想しそうをベースにブント的てきアナキズムを精力せいりょく的てきに展開てんかいし、大島おおしま英三郎えいざぶろうは黒色こくしょく戦線せんせん社しゃを設立せつりつし八太はった舟ぶね三さんの純正じゅんせいアナキズムの普及ふきゅうに努つとめた。

作家さっかの石川いしかわ淳あつしや埴谷はにや雄ゆう高だか、俳優はいゆうの天本あまもと英世ひでよなどがアナキズムに強つよい関心かんしんを示しめすとともに、映画えいが評論ひょうろん家かで『映画えいが批評ひひょう』編集へんしゅう長ちょうの松田まつだ政男まさおはアナキズムの立場たちばを明確めいかくにしていた。また現在げんざいでは佐藤さとう優ゆうや福田ふくだ和也かずやらがアナキズムに言及げんきゅうしている。

脱だつ資本しほん主義しゅぎを掲かかげたオルタナティブ運動うんどうとしてのだめ連れん、「ゆるいアナキズム」を提唱ていしょうした栗原くりはら康やすしや鶴見つるみ済わたるなど街頭がいとう闘争とうそうより個人こじんの生活せいかつスタイルの変化へんかに重視じゅうしを置おく運動うんどうも起おこっている。加納かのう穂みのる子こは沈没ちんぼつ家族かぞくと称しょうして、新あらたな家族かぞくのあり方かたを模索もさくした。

だめ連れんに関かかわりアナキスト的てき活動かつどうをしていた外山とやま恒一つねかずは、ファシズムとアナキズムを根本こんぽん的てきに同一どういつとみなし、「アナキストは、かつて一いち度ども勝利しょうりしたことがないし、これからも決けっして勝利しょうりすることがない」としてファシストに転向てんこうすると、千坂ちさか恭二きょうじも共闘きょうとうしてアナルコ・ファシストとも呼よぶべき独自どくじの体系たいけい化かを行おこなった。

思想しそう

詳細しょうさいは「アナキズムの学派がくは」を参照さんしょう

アナキズムの思想しそう潮流ちょうりゅうは、一般いっぱん的てきにその起源きげんと価値かち観かん、および歴史れきしの違ちがいによって、社会しゃかい的てき無政府むせいふ主義しゅぎと個人こじん主義しゅぎ的てき無政府むせいふ主義しゅぎの二ふたつの主要しゅような歴史れきし的てき伝統でんとうに分わけられる。個人こじん主義しゅぎ的てきな潮流ちょうりゅうは、自由じゆうな個人こじんへの抑圧よくあつに反対はんたいする消極しょうきょく的てき自由じゆうを強調きょうちょうしており、社会しゃかい主義しゅぎ的てきな潮流ちょうりゅうは、平等びょうどうと社会しゃかい的てき所有しょゆうを通つうじて自由じゆうな社会しゃかいの可能かのう性せいを達成たっせいすることを目指めざす積極せっきょく的てき自由じゆうを強調きょうちょうしている。時とき系列けいれつ的てきに見みると、アナキズムは19世紀せいき後半こうはんの古典こてん的てき潮流ちょうりゅうと、その後ごに発展はってんした古典こてん的てき潮流ちょうりゅうの後続こうぞく（アナルカ・フェミニズムやグリーン・アナキズム、ポストアナーキズムなど）に細分さいぶん化かされる。

政治せいじ的てき無政府むせいふ主義しゅぎを構成こうせいする無む政府せいふ主義しゅぎ運動うんどうの特定とくてい派閥はばつを超こえる立場たちばとして、国家こっかは、それを排除はいじょしようとする革命かくめいを受うけ入いれないため、道徳どうとく的てき正当せいとう性せいを欠かいているとする哲学てつがく的てき無政府むせいふ主義しゅぎがある。 特とくに個人こじん主義しゅぎ的てき無政府むせいふ主義しゅぎの構成こうせい要素ようそである哲学てつがく的てき無政府むせいふ主義しゅぎは、最小限さいしょうげんの国家こっかの存在そんざいを容認ようにんする場合ばあいがあるが、個人こじんの自律じりつ性せいと競合きょうごうする場合ばあいは、市民しみんは政府せいふに従したがう道徳どうとく的てき義務ぎむを負おわないと主張しゅちょうしている。アナキズム哲学てつがくにおいて道徳どうとくは中心ちゅうしん的てき役割やくわりを持もっているため、アナキズムは道徳どうとく的てき議論ぎろんに多おおくの注意ちゅういを払はらっている。

アナキスト間あいだに存在そんざいしたセクト主義しゅぎに対たいする反応はんのうの一ひとつは、形容詞けいようしのないアナキズムだった。形容詞けいようしのないアナキズムは、アナキストの間あいだでの寛容かんよう主義しゅぎと連帯れんたいを訴うったえかけており、1889年ねんに当時とうじのアナキズム理論りろんの苦にがい論争ろんそうに応答おうとうする形かたちでFernando Tarrida del Mármolによって採用さいようされた。分離ぶんりにもかかわらず、様々さまざまなアナキズムの思想しそう潮流ちょうりゅうは、個別こべつの実体じったいではなく、混まざり合あう傾向けいこうにあると見みられている。

アナキズムは、一般いっぱん的てきに政治せいじ的てきスペクトル上うえで極左きょくさに置おかれる。その経済けいざい学がくと法ほう哲学てつがくの多おおくは、集あつまり産さん主義しゅぎ、共産きょうさん主義しゅぎ、個人こじん主義しゅぎ、相互そうご主義しゅぎ、そしてサンディカリスムといった急進きゅうしん的てきな左翼さよく・社会しゃかい主義しゅぎ政治せいじの反はん権威けんい主義しゅぎ的てきかつ反はん国家こっか主義しゅぎ的てき、およびリバタリアン的てきな解釈かいしゃくを反映はんえいしている。アナキズムには単一たんいつの特定とくていの世界せかい観かんに基もとづくような原理げんり原則げんそくが存在そんざいしないため、アナキズムには多おおくの分派ぶんぱと伝統でんとうが存在そんざいしており、広漠こうばくな多様たよう性せいを持もつ。

古典こてん期き

ピエール・ジョセフ・プルードン。アナルコ・ミューチュアリズムの主おもな提唱ていしょう者しゃであり、個人こじん主義しゅぎ的てき無政府むせいふ主義しゅぎと社会しゃかい的てき無政府むせいふ主義しゅぎの両方りょうほうの思想家しそうかに影響えいきょうを与あたえた。

古典こてん的てきアナキズムの初期しょきの潮流ちょうりゅうは相互そうご主義しゅぎ（ミューチュアリズム）と個人こじん主義しゅぎであり、社会しゃかい的てき無政府むせいふ主義しゅぎの主要しゅような潮流ちょうりゅう（集あつまり産さん主義しゅぎ、共産きょうさん主義しゅぎ、サンディカリスム）がそれに続つづいた。これらは、理想りそうとする社会しゃかいの組織そしき的てきおよび経済けいざい的てきな側面そくめんで異ことなっている。

相互そうご主義しゅぎは18世紀せいきの経済けいざい理論りろんで、ピエール・ジョセフ・プルードンによってアナキズム理論りろんへと発展はってんさせられたものである。相互そうご主義しゅぎの目標もくひょうには、互恵ごけい主義しゅぎ、自由じゆう結社けっしゃ、任意にんい契約けいやく、連邦れんぽう制せい、および人民じんみん銀行ぎんこうによって規制きせいされる信用しんよう取引とりひきと通貨つうか改革かいかくなどがある。相互そうご主義しゅぎはアナキズムの個人こじん主義しゅぎと集あつまり産さん主義しゅぎの形態けいたいの中間ちゅうかんに配置はいちされるよう、遡及そきゅう的てきに特徴付とくちょうづけられた。プルードンは、彼かれの目標もくひょうを「社会しゃかいの第だい三さん形態けいたいとしての共産きょうさん主義しゅぎと財産ざいさんの統合とうごう」として最初さいしょに特徴付とくちょうづけた。

集あつまり産さん主義しゅぎ的てき無政府むせいふ主義しゅぎ（アナキスト集あつまり産さん主義しゅぎやアナルコ・コレクティビズムとも言いわれる）は、ミハイル・バクーニンとよく関連付かんれんづけられるアナキズムの革命かくめい的てき社会しゃかい主義しゅぎ的てき形態けいたいである。集あつまり産さん主義しゅぎ的てき無政府むせいふ主義しゅぎ者しゃは、暴力ぼうりょく革命かくめいによって達成たっせいすると理論りろん化かされている生産せいさん手段しゅだんの共同きょうどう所有しょゆうと、共産きょうさん主義しゅぎにあるような必要ひつように応おうじた物資ぶっしの分配ぶんぱいではなく、労働ろうどう時間じかんに応おうじた労働ろうどう者しゃへの給与きゅうよの支払しはらいなどを主張しゅちょうしている。集あつまり産さん主義しゅぎ的てき無政府むせいふ主義しゅぎは、マルクス主義まるくすしゅぎと並ならんで発生はっせいしたが、集あつまり産さん主義しゅぎ的てきな無む国家こっか社会しゃかいという同様どうようの目標もくひょうを持もつにもかかわらず、マルクス主義まるくすしゅぎのプロレタリア独裁どくさいには反対はんたいした。無む政府せいふ共産きょうさん主義しゅぎ（アナルコ・コミュニズム、コミュニスト・アナキズム、リバタリアン・コミュニズムなどとも言いわれる）は、生産せいさん手段しゅだんの共同きょうどう所有しょゆうと直接ちょくせつ民主みんしゅ制せい、そして「能力のうりょくに応おうじて働はたらき、必要ひつように応おうじて受うけ取とる」という指導しどう的てき原則げんそくに基もとづいた生産せいさんと消費しょうひに関かかわる自発じはつ的てき組合くみあいおよび労働ろうどう者しゃ評議ひょうぎ会かいがあるような共産きょうさん主義しゅぎ社会しゃかいを主張しゅちょうするアナキズム理論りろんである。無む政府せいふ共産きょうさん主義しゅぎは、フランス革命かくめい後ごの急進きゅうしん的てきな社会しゃかい主義しゅぎの流ながれから派生はせいして発展はってんしたが、第だい一いちインターナショナルのイタリア支部しぶで最初さいしょに定式ていしき化かされた。それは後のちに、ピョートル・クロポトキンの理論りろんの中なかで拡大かくだいされた。

アナルコ・サンディカリスム（革命かくめい的てきサンディカリスムとも言いわれる）は、労働ろうどう組合くみあいを革命かくめい的てきな社会しゃかい変革へんかくのための潜在せんざい的てきな力ちからであるとみなし、国家こっかと資本しほん主義しゅぎを労働ろうどう者しゃによって民主みんしゅ的てきに自己じこ管理かんりされた新あたらしい社会しゃかいへ置おき換かえることを主張しゅちょうするアナキズムの分派ぶんぱである。アナルコ・サンディカリスムの基本きほん原則げんそくは、労働ろうどう者しゃの連帯れんたいと直接ちょくせつ行動こうどう、および労働ろうどう者しゃ自主じしゅ管理かんりである。

個人こじん主義しゅぎ的てき無政府むせいふ主義しゅぎは、あらゆる外在がいざい的てき決定けってい要因よういんよりも個人こじんとその意志いしを強調きょうちょうするアナキズム運動うんどう内ないのいくつかの伝統でんとう的てき思想しそうを指さす。アナキズムの個人こじん主義しゅぎ的てき形態けいたいに影響えいきょうを与あたえたのは、ウィリアム・ゴドウィン、マックス・シュティルナー、およびヘンリー・デイヴィッド・ソローである。多おおくの国くにを通とおして、個人こじん主義しゅぎ的てき無政府むせいふ主義しゅぎは、ボヘミアの芸術げいじゅつ家かや知識ちしき人じん、およびイリーガリズムとIndividual reclamationとして知しられるようになった若わかい無法者むほうもののアナキストなど、少数しょうすうながらも多様たような支持しじ者しゃを集あつめた。

ポスト古典こてん期きと現代げんだい

詳細しょうさいは「現代げんだいのアナキズム」を参照さんしょう

Lawrence Jarach（左ひだり）とJohn Zerzan（右みぎ）は現代げんだいのアナキズムに関かんする著名ちょめいな作家さっかである。Zerzanはアナルコ・プリミティビズムにおける著名ちょめいな発言はつげん者しゃであり、Jarachはポスト左翼さよくアナーキーの著名ちょめいな提唱ていしょう者しゃである。

アナキズムの原則げんそくは、現代げんだいの左翼さよくの急進きゅうしん的てき社会しゃかい運動うんどうを支ささえている。アナキズム運動うんどうへの関心かんしんは、反はんグローバリゼーション運動うんどうの趨勢すうせいと共ともに発展はってんし、その主要しゅような活動かつどう家かのネットワークはアナキズム的てき方向ほうこう性せいを持もっていた。この運動うんどうが21世紀せいきのラディカリズムを形成けいせいしていく中なか、アナキズムの原則げんそくのより広ひろい受容じゅようは関心かんしんの再燃さいねんを示唆しさしていた。ブラック・ブロックのデモ活動かつどうを際立きわだたせて報道ほうどうする現代げんだいのニュースは、アナキズムが混沌こんとんと暴力ぼうりょくとに歴史れきし的てきに結むすびついてきたということを強調きょうちょうしているが、その喧伝けんでんによってより多おおくの学者がくしゃがアナキズム運動うんどうに関与かんよするようになった。アナキズムは、多おおくの哲学てつがくや運動うんどうを生うみ出だし続つづけてきた。それはときに折衷せっちゅう的てきであり、様々さまざまな起源きげんに基もとづいていたり、異ことなる概念がいねんを組くみ合あわせて新あらたな哲学てつがく的てきアプローチを生うみ出だしたりしてきた。古典こてん的てきアナキズムの反はん資本しほん主義しゅぎの伝統でんとうは、現代げんだいの潮流ちょうりゅうの中なかでも顕著けんちょであり続つづけている。

今日きょうにおける様々さまざまなアナキストのグループと傾向けいこうおよび分派ぶんぱは、現代げんだいのアナキズム運動うんどうを解説かいせつすることを困難こんなんなものにしている。理論りろん家かや活動かつどう家かは「アナキズムの原則げんそくについての比較的ひかくてき安定あんていした集合しゅうごう」を確立かくりつしているが、どの原則げんそくが核かくとなるかについては意見いけんの一致いっちが見みられない。その結果けっかとして評論ひょうろん家かは、共通きょうつうの原則げんそくがアナキズムの分派ぶんぱ間あいだで共有きょうゆうされている一方いっぽうで、各かくグループがそれらの原則げんそくに異ことなる優先ゆうせん順位じゅんいを付つけている「複数ふくすうのアナキズム」（単一たんいつの「アナキズム」なるものではなく）を解説かいせつしている。例たとえば、男女だんじょ平等びょうどうは共通きょうつう原則げんそくであり得えるが、それは無む政府せいふ共産きょうさん主義しゅぎ者ものよりもアナルカ・フェミニストにとっての方ほうが優先ゆうせん順位じゅんいが高たかい。アナキストは一般いっぱん的てきに、次つぎのような強制きょうせい的てき権威けんいに反対はんたいしている。すなわち、「すべての中央ちゅうおう集権しゅうけん的てきで階層かいそう的てきな形態けいたいの政府せいふ（君主くんしゅ制せい、間接かんせつ民主みんしゅ主義しゅぎ、国家こっか社会しゃかい主義しゅぎなど）、経済けいざい的てき階級かいきゅう制度せいど（資本しほん主義しゅぎ、ボルシェヴィズム、封建ほうけん制せい、奴隷どれい制せいなど）、独裁どくさい的てき宗教しゅうきょう（イスラム教いすらむきょう原理げんり主義しゅぎ、ローマ・カトリックなど）、家父長制かふちょうせい、強制きょうせい的てき異性いせい愛あい、白人はくじん至上しじょう主義しゅぎ、帝国ていこく主義しゅぎ」である。しかしながら、これらにどのような方法ほうほうで対抗たいこうすべきかについては、アナキストの間あいだでも意見いけんが分わかれている。

戦術せんじゅつ

アナキストの戦術せんじゅつは様々さまざまな形かたちをとるが、主おもに二ふたつの目標もくひょうに仕つかえる。第だい一いちに、体制たいせいに反対はんたいすること。第だい二にに、アナキストの倫理りんりを推進すいしんし、手段しゅだんと目的もくてきの一致いっちを描えがくアナキストの社会しゃかい観かんを反映はんえいさせることである。アナキストの戦術せんじゅつは、革命かくめい的てき手段しゅだんによる抑圧よくあつ的てきな国家こっかと制度せいどの破壊はかいを目的もくてきとするものと、進化しんか的てき手段しゅだんによる社会しゃかい変革へんかくを目指めざすものとに大別たいべつされる。進化しんか的てき戦術せんじゅつは暴力ぼうりょくを拒否きょひし、目標もくひょうに向むかって漸進ぜんしん的てきなアプローチをとるが、両者りょうしゃには大おおきな重かさなり合あいがある。

アナキストの戦術せんじゅつは20世紀せいきの間あいだに変遷へんせんした。20世紀せいき初頭しょとうのアナキストはストライキと闘争とうそうに大おおきく焦点しょうてんを合あわせていたが、現代げんだいのアナキストは多数たすうの幅広はばひろいアプローチを採用さいようしている。

古典こてん的てき戦術せんじゅつ

アナキズムと暴力ぼうりょくの関係かんけい性せいはアナキストの間あいだで賛否さんぴ両論りょうろんのある主題しゅだいである。画像がぞうはマッキンリー大統領だいとうりょう暗殺あんさつ事件じけんの犯人はんにんでアナキストのレオン・チョルゴッシュがマッキンリー大統領だいとうりょうに向むけて発砲はっぽうする瞬間しゅんかん。

古典こてん時代じだいのアナキストは過激かげきな傾向けいこうを持もっていた。彼かれらは、スペインやウクライナであったように国家こっかの正規せいき軍ぐんに立たち向むかっただけではなく、中なかには行為こういによるプロパガンダとしてテロリズムを実行じっこうした者ものもいた。国家こっか元首げんしゅに対たいしては暗殺あんさつが試こころみられ、そのうちのいくつかは成功せいこうした。また、アナキストは革命かくめいにも参加さんかした。暴力ぼうりょくに対たいするアナキストの見解けんかいは常つねに入いり組くんでおり、論争ろんそうの的まととなっている。平和へいわ主義しゅぎアナキストが手段しゅだんと目的もくてきの統一とういつを指摘してきしている一方いっぽうで、他たのアナキストのグループは直接ちょくせつ行動こうどう、つまり破壊はかい活動かつどうやテロ行為こういを含ふくむ戦術せんじゅつを提唱ていしょうしている。このような態度たいどは、20世紀せいきに非常ひじょうに顕著けんちょであった。国家こっかを専制せんせい君主くんしゅとみなし、可能かのうな限かぎりの手段しゅだんで国家こっかによる弾圧だんあつに反対はんたいするあらゆる権利けんりが自分じぶんたちにはあると信しんじるアナキストもいた。エマ・ゴールドマンとエンリコ・マラテスタは暴力ぼうりょくの限定げんてい的てき使用しようを支持しじしていたが、暴力ぼうりょくは必要ひつよう悪わるとしての国家こっかの暴力ぼうりょくに対たいする反動はんどうにすぎないと主張しゅちょうした。

形式けいしき的てきなサンディカリスムに反感はんかんを抱いだく傾向けいこうにあり、改良かいりょう主義しゅぎとみなしていたにもかかわらず、アナキストはストライキで積極せっきょく的てきな役割やくわりを果はたした。彼かれらは、それを国家こっかと資本しほん主義しゅぎを打倒だとうしようとする運動うんどうの一部いちぶとして見みていた。また、アナキストは芸術げいじゅつ分野ぶんやでもプロパガンダを強化きょうかし、一部いちぶの人々ひとびとはヌーディズムを実践じっせんした。さらに、友情ゆうじょうに基もとづいた共同きょうどう体たいを構築こうちくし、報道ほうどう機関きかんにも関与かんよしていた。

革命かくめい的てき戦術せんじゅつ

イタリアのアナキストであるアルフレド・ボナーノは反乱はんらん的てき無政府むせいふ主義しゅぎの提唱ていしょう者しゃであり、クロポトキンをはじめとする著名ちょめいなアナキストが19世紀せいき後半こうはんから採用さいようしてきた非ひ暴力ぼうりょく的てき戦術せんじゅつを否定ひていすることで、暴力ぼうりょくを巡めぐる議論ぎろんを復活ふっかつさせた。ボナーノとフランスのグループ「The Invisible Comittee」は、それぞれのメンバーが自分じぶんの行動こうどうに責任せきにんを持もちながらも、国家こっかや資本しほん主義しゅぎ、およびその他たの敵てきに対たいして破壊はかい活動かつどうやその他たの暴力ぼうりょく的てきな手段しゅだんを用もちいて抑圧よくあつを打倒だとうするために協力きょうりょくし合あう、小規模しょうきぼで非公式ひこうしきな連帯れんたいグループを提唱ていしょうしている。「The Invisible Comittee」のメンバーは、2008年ねんに様々さまざまな容疑ようぎで逮捕たいほされたが、その中なかにはテロリズムも含ふくまれていた。

全体ぜんたい的てきに見みて、今日きょうのアナキストは、彼かれらのイデオロギー的てき祖先そせんと比くらべて遥はるかに非ひ暴力ぼうりょく的てきであり過激かげきではない。特とくにカナダとメキシコ、およびギリシャのような国くにでは、デモや暴動ぼうどうの際さいに警察けいさつと対峙たいじすることがほとんどである。過激かげきなブラック・ブロックの抗議こうぎグループは、警察けいさつと衝突しょうとつすることで知しられている。しかし、アナキストは国家こっかと衝突しょうとつするだけではなく、ファシストや人種じんしゅ差別さべつ主義しゅぎ者しゃとの闘たたかいにも従事じゅうじしており、反はんファシズム活動かつどうを行おこなったり差別さべつ主義しゅぎ者しゃの集会しゅうかいを阻止そししたりしている。

進化しんか的てき戦術せんじゅつ

アナキストは一般いっぱん的てきに直接ちょくせつ行動こうどうをとる。不当ふとうなヒエラルキーに抗議こうぎしたり、コミューンなどの非ひ階層かいそう的てき反はん体制たいせい集団しゅうだんを作つくることにより、生活せいかつを自己じこ管理かんりするという形かたちをとる。多おおくの場合ばあい、意思いし決定けっていはオリゾンタリダとして知しられる反はん権威けんい主義しゅぎ的てきな方法ほうほうで行おこなわれ、誰だれもがそれぞれの意思いし決定けっていにおいて平等びょうどうな発言はつげん権けんを持もつ。現代げんだいのアナキストは、様々さまざまな草くさの根ね運動うんどう（明示めいじ的てきにアナキストという訳わけではない）に関かかわっており、多おおかれ少すくなかれオリゾンタリダに基もとづいて個人こじんの自律じりつ性せいを尊重そんちょうし、ストライキやデモなどの大衆たいしゅう活動かつどうに参加さんかしている。古典こてん期きの「ビッグ・ア・アナキズム」とは対照たいしょう的てきな「スモール・ア・アナアキズム」という新あらたな造語ぞうごは、古典こてん的てきアナキズムをベースにしたり、クロポトキンやプルードンを参考さんこうにして自分じぶんの意見いけんを正当せいとう化かしたりはしない傾向けいこうを示しめしている。むしろ彼かれらは、後のちに理論りろん化かされるであろう自身じしんの経験けいけんに基もとづいた思考しこうと実践じっせんを行おこなっているのである。

アナキストの小規模しょうきぼなアフィニティ・グループにおける意思いし決定けっていプロセスは、戦術せんじゅつ的てきに重要じゅうような役割やくわりを果はたしている。アナキストは、指導しどう者しゃや指導しどう的てきグループを必要ひつようとせずに、グループのメンバー間あいだでの大おおまかな合意ごういを形成けいせいするために、様々さまざまな方法ほうほうを採用さいようしてきた。一ひとつの方法ほうほうは、グループの個人こじんがまとめ役やくを担にない、自みずから議論ぎろんに参加さんかしたりせず、特定とくていの点てんを推進すいしんしたりもすることなく、合意ごうい形成けいせいのための手助てだすけをすることである。少数しょうすう派はは通常つうじょう、提案ていあんがアナキストの目標もくひょう、価値かち観かん、あるいは倫理りんり観かんと矛盾むじゅんしていると感かんじる場合ばあいを除のぞき、大おおまかな合意ごういを受うけ入いれる。アナキストは通常つうじょう、自律じりつ性せいとメンバー間あいだの友情ゆうじょうを強化きょうかするために小規模しょうきぼなグループ（5人にんから20人にん程度ていど）を形成けいせいする。このような種類しゅるいのグループは、より大だい規模きぼなネットワークを形成けいせいし、相互そうごに接続せつぞくし合あうことが多おおい。アナキストは現在げんざいでもストライキに参加さんかしており、特とくに、組合くみあいを中心ちゅうしんに組織そしきされず指導しどう者しゃがいないストライキであるワイルドキャット・ストライキを支持しじしている。

アナキストは、メッセージを広ひろめるために活動かつどうの場ばをオンラインに移うつした。かつてのように新聞しんぶんや雑誌ざっしも使つかわれていたが、流通りゅうつうやその他たの不便ふべんさから、アナキストはウェブサイトを作成さくせいしたり、電子でんし図書館としょかんやその他たのポータルを主催しゅさいするようになった。また、アナキストたちは、無料むりょうで利用りようできる様々さまざまなソフトウェアの開発かいはつにも携たずさわっていた。これらのハクティビストが開発かいはつや配布はいふに取とり組くむ方法ほうほう、特とくに国家こっかの監視かんしからユーザーのプライバシーを守まもるという点てんはアナキストの理想りそうと類似るいじしている。

アナキストは自みずからを組織そしきし、公共こうきょう空間くうかんを屯たむろし埋うめ尽つくす。抗議こうぎ活動かつどうのような重要じゅうようなイベントが行おこなわれ空間くうかんが占拠せんきょされている際さい、それは一時いちじ的てき自治じち区く（TAZ）とよく呼よばれ、シュルレアリスムや詩し、アートが融合ゆうごうしてアナキストの理想りそうを示しめす空間くうかんとなる。屯たむろするのは資本しほん主義しゅぎの市場いちばたる都市とし空間くうかんを取とり戻もどすための方法ほうほうであり、実利じつり的てき需要じゅように応こたえる模範もはん的てきな直接ちょくせつ行動こうどうであるとアナキストは考かんがえている。空間くうかんを確保かくほすることで、アナキストは自分じぶんたちのアイデアを実験じっけんし社会しゃかい的てきな絆きずなを構築こうちくすることができる。すべてのアナキストがそれらに対たいして同おなじ態度たいどを共有きょうゆうしている訳わけではないが、非常ひじょうに象徴しょうちょう的てきなイベントでの様々さまざまな形態けいたいの抗議こうぎ活動かつどうが、これらの戦術せんじゅつに加くわえて現代げんだいのアナキズムを明瞭めいりょうなものにしているカーニバレスクな雰囲気ふんいきを形成けいせいしている。

主おもな論点ろんてん

詳細しょうさいは「アナキズムにおける問題もんだい」を参照さんしょう

アナキズムは多様たような姿勢しせいと傾向けいこう、そして思想しそう潮流ちょうりゅうを体現たいげんしている哲学てつがくであり、価値かち観かんやイデオロギー、および戦術せんじゅつの問題もんだいをめぐる意見いけんの相違そういが一般いっぱん的てきである。その多様たよう性せいは、異ことなるアナキズムの伝統でんとう間あいだで同一どういつの用語ようごが広ひろく異ことなる形かたちで使用しようされることに繋つながり、アナキズム理論りろんの定義ていぎ問題もんだいを多おおく生うみ出だしてきた。例たとえば、資本しほん主義しゅぎとナショナリズム、および宗教しゅうきょうのアナキズムとの適合てきごう性せいは広ひろく議論ぎろんされている。それと同様どうように、アナキズムはマルクス主義まるくすしゅぎと共産きょうさん主義しゅぎ、集あつまり産さん主義しゅぎ、および労働ろうどう組合くみあい主義しゅぎなどのイデオロギーとも複雑ふくざつな関係かんけいを持もっている。アナキストは、ヒューマニズムや神かみの権威けんい、啓発けいはつされた利己りこ心こころ、ヴィーガニズム、あるいは数々かずかずの代替だいたい的てきな倫理りんり的てき教義きょうぎ等とうに動機付どうきずけられている場合ばあいがある。文明ぶんめいと技術ぎじゅつ、そして民主みんしゅ的てきプロセスなどの現象げんしょうは、あるアナキズムの潮流ちょうりゅうでは鋭するどく批判ひはんされ、同時どうじに他たの潮流ちょうりゅうでは称賛しょうさんされることがある。例たとえば、アナルコ・プリミティビズムは科学かがく技術ぎじゅつに批判ひはん的てきだが、アナルコ・トランスヒューマニズムは科学かがく技術ぎじゅつを用もちいて積極せっきょく的てきに人間にんげんを変かえようとさえする。

アナキズムと教育きょういく

詳細しょうさいは「アナキズムと教育きょういく」を参照さんしょう

教育きょういくに関かんするアナキストと国家こっか主義しゅぎ者しゃの見解けんかい
Ruth Kinna (2019)

	アナキストの教育きょういく	国家こっかの教育きょういく
構想こうそう	自制じせいとしての教育きょういく	サービスとしての教育きょういく
運営うんえい	コミュニティベース	国家こっか主導しゅどう
方法ほうほう	実践じっせんに基もとづく学習がくしゅう	職業しょくぎょう訓練くんれん
目標もくひょう	批判ひはん的てきな社会しゃかいの一員いちいんになること	生産せいさん的てきな社会しゃかいの一員いちいんになること

教育きょういくに対たいするアナキストの関心かんしんは、古典こてん的てきアナキズムが出現しゅつげんした頃ころにまで遡さかのぼる。アナキストは、個人こじんと社会しゃかいの将来しょうらい的てきな自律じりつ性せいの基礎きそを築きずく「適切てきせつな」教育きょういくを、相互そうご扶助ふじょの行為こういであると考かんがえている。ウィリアム・ゴドウィンやマックス・シュティルナーなどのアナキストは、支配しはい階級かいきゅうが特権とっけんを継承けいしょうさせる手段しゅだんの一ひとつとしての公おおやけ教育きょういくと私わたし教育きょういくの両方りょうほうを攻撃こうげきした。

1901年ねん、カタルーニャのアナキストで自由じゆう思想家しそうかのフランシスコ・フェレールは、カトリック教会きょうかいの影響えいきょうを受うけていた教育きょういく制度せいどに反対はんたいし、バルセロナに近代きんだい的てきな教育きょういく機関きかんを設立せつりつした。フェレールのアプローチは世俗せぞく的てきなものであり、教育きょういく課程かていへの国家こっかと教会きょうかいの干渉かんしょうを拒否きょひし、生徒せいとたちに学習がくしゅうと出席しゅっせきについての大おおきな自治じち権けんを与あたえた。フェレールは労働ろうどう者しゃ階級かいきゅうの教育きょういくを目指めざし、生徒せいとの間あいだに階級かいきゅう意識いしきを抱いだくことを明確めいかくに求もとめた。学校がっこうは国家こっかから絶たえ間まない妨害ぼうがいを受うけて閉鎖へいさされ、フェレールは後のちに逮捕たいほされた。しかし、彼かれのアイデアは近代きんだい的てきな学校がっこうのインスピレーションを世界中せかいじゅうに与あたえた。クリスチャン・アナキストのレフ・トルストイも同様どうようの学校がっこうを設立せつりつしており、「教育きょういくが効果こうか的てきであるためには、自由じゆうでなければならない」という創立そうりつ理念りねんを掲かかげていた。同様どうように、A・S・ニールも1921年ねんにサマーヒル・スクールを設立せつりつし、抑圧よくあつから自由じゆうであることを宣言せんげんした。すべてのアナキストによる学校がっこうは、主おもに道徳どうとく的てき価値かち、すなわち、操作そうさされることなく自由じゆうに成長せいちょうする子供こどもの権利けんりを尊重そんちょうすることに基もとづいていた。しかし、彼かれらは若者わかものを政治せいじと階級かいきゅう闘争とうそうへ導みちびくべきかどうかというジレンマに直面ちょくめんした。20世紀せいき初頭しょとうのほとんどのアナキストの教育きょういく者しゃは中立ちゅうりつ的てきな立場たちばを取とらず、その後ごの数すう十じゅう年間ねんかんに渡わたって特定とくていの問題もんだいでアナキストを悩なやませ続つづけた。それから数すう十じゅう年ねん後ご、ハーバート・リード、コリン・ワード、ポール・グッドマンなどのアナキストの作家さっからは、公おおやけ教育きょういく、さらには教育きょういく学がく的てき方法ほうほうとしての学校がっこう教育きょういくの必要ひつよう性せいにまで批判ひはんを拡大かくだい・強化きょうかし、子供こどもたちをキャリアハンターにするのではなく、子供こどもたちの創造そうぞう性せいに焦点しょうてんを合あわせるシステムを提案ていあんした。

アナキストの教育きょういくは、操作そうさされることなく自由じゆうに成長せいちょうする子供こどもの権利けんりを尊重そんちょうすべきであり、合理ごうり性せいが子供こどもを道徳的どうとくてきに良よい結論けつろんに導みちびくという考かんがえに基もとづいている。しかし、何なにが操作そうさを構成こうせいするかについては、アナキストの間あいだで意見いけんの一致いっちが見みられない。例たとえば、フェレールは道徳どうとく的てきな教化きょうかが必要ひつようであると考かんがえていた。彼かれは、ナショナリズムや政府せいふに対たいする他たの批判ひはんと同様どうように、資本しほん主義しゅぎの下したでは、平等びょうどうや自由じゆう、社会しゃかい正義せいぎは不可能ふかのうであるということを生徒せいとたちに明確めいかくに教おしえていた。

20世紀せいき後半こうはんから現代げんだいにかけてのアナキストの作家さっか（ハーバート・リード、コリン・ワード、ポール・グッドマンなど）は、公おおやけ教育きょういくに対たいする批判ひはんを拡大かくだい・強化きょうかした。主おもに、子供こどもたちがキャリアを積つんだり、消費しょうひ社会しゃかいに参加さんかしたりする能力のうりょくよりも、子供こどもたちの創造そうぞう性せいに焦点しょうてんを当あてたシステムの必要ひつよう性せいに注目ちゅうもくした。Colin Wardのような現代げんだいのアナキストは、公おおやけ教育きょういくが社会しゃかい的てき不平等ふびょうどうを永続えいぞくさせる役割やくわりを果はたしていると更さらに主張しゅちょうしている。

現代げんだいまで生いき残のこっているアナキストの教育きょういく機関きかんは少すくないが、子供こどもの自律じりつ性せいを尊重そんちょうし、教育きょういく方法ほうほうとしての教化きょうかよりも理性りせい的てき思考しこうに頼たよるというアナキストの学校がっこうの基本きほん原則げんそくは、主要しゅような教育きょういく機関きかんの間あいだで広ひろまっている。

アナキズムと国家こっか

国家こっかとその制度せいどへの反対はんたいはアナキズムの必須ひっす要件ようけんである。アナキストは国家こっかを支配しはいのための道具どうぐであると考かんがえており、政治せいじ的てき傾向けいこうに関係かんけいなく国家こっかは不当ふとうなものであると考かんがえている。人々ひとびとが自身じしんの生活せいかつの側面そくめんを制御せいぎょできる代かわりに、重要じゅうような決定けっていは一部いちぶのエリートによって下くだされる。権威けんいは最終さいしゅう的てきに権力けんりょくのみにかかっており、それは開放かいほう的てきであろうと透明とうめい性せいがあろうと関係かんけいなく人々ひとびとを強制きょうせいする力ちからを持もっている。国家こっかに対たいするアナキストのもう一ひとつの主張しゅちょうは、政府せいふを構成こうせいする一部いちぶの人々ひとびとは、たとえ役人やくにんの中なかで最もっとも利他りた的てきであろうと、不可避ふかひ的てきにさらなる権力けんりょくを掌握しょうあくしようとし、汚職おしょくにつながるということである。アナキストは、支配しはい階級かいきゅうは爾余じよの社会しゃかいと区別くべつされているため、国家こっかが人々ひとびとの集合しゅうごう的てきな意志いしであるという主張しゅちょうはお伽噺とぎばなしにすぎないと考かんがえている。

アナキズムと芸術げいじゅつ

アナキストの画家がか、カミーユ・ピサロによる『リンゴの収穫しゅうかく、エラニー』（1888年ねん）。19世紀せいきの新しん印象派いんしょうはは、エコロジカルな美学びがくを持もっており、社会しゃかい主義しゅぎへの道みちを歩あゆむアナキストの認識にんしき例れいを示しめしている。この具体ぐたい的てき絵画かいがの中なかで、美学びがくと社会しゃかい的てき調和ちょうわの融合ゆうごうが如何いかにして理想りそう的てきな無む政府せいふ主義しゅぎ的てき農耕のうこう社会しゃかいを予よ示しめしているかに注目ちゅうもくされたい。

アナキズムと芸術げいじゅつは、古典こてん的てきアナキズムの時代じだいに深ふかい関かかわりを持もっていた。特とくに未来みらい派はやシュルレアリスムなど、当時とうじ発展はってんしていた芸術げいじゅつ的てき潮流ちょうりゅうと深ふかい結むすびつきがあった。一方いっぽうで文学ぶんがくの世界せかいでは、アナキズムは主おもにニューアポカリプスや新しんロマン主義しゅぎと結むすびついていた。レフ・トルストイやハーバート・リードなどのアナキストは、芸術げいじゅつ家かと非ひ芸術げいじゅつ家かの境界きょうかい線せん、つまり芸術げいじゅつと日常にちじょうの行為こういを分わかつものは資本しほん主義しゅぎによる疎外そがいが生うみ出だした構築こうちく物ぶつであり、それが人間にんげんの歓喜かんきに満みちた生活せいかつを妨さまたげていると主張しゅちょうした。他たのアナキストたちは、アナキストの目標もくひょうを達成たっせいするための手段しゅだんとしての芸術げいじゅつを支持しじ・主張しゅちょうしていた。三みっつの重かさなり合あう性質せいしつが、芸術げいじゅつをアナキストにとって有用ゆうようなものにした。それは、既存きそんの社会しゃかいやヒエラルキーに対たいする批判ひはんを描えがくことができ、アナキストの理想りそう的てき社会しゃかいを反映はんえいするための予見よけん的てき道具どうぐとして機能きのうし、直接ちょくせつ行動こうどうなどの抗議こうぎ活動かつどうの手段しゅだんとしても機能きのうする。感性かんせいと理性りせいの両方りょうほうに訴うったえかける芸術げいじゅつは「人類じんるい全体ぜんたい」に訴うったえかえ、強力きょうりょくな効果こうかを発揮はっきし得うる。

アナキズムと自由じゆう恋愛れんあい主義しゅぎ

詳細しょうさいは「自由じゆう恋愛れんあい主義しゅぎ」を参照さんしょう

「アナキズムと性せい」および「クィア・アナキズム」も参照さんしょう

フランスの個人こじん主義しゅぎ的てき無政府むせいふ主義しゅぎ者ものエミール・アルマンドは、20世紀せいき初頭しょとうのパルチザン・アナキスト・ミリューで自由じゆう恋愛れんあいの美徳びとくを説といた。

ジェンダーとセクシュアリティはヒエラルキーのダイナミクスをもたらす。アナキズムには、ジェンダーロールが伝統でんとう的てきに課かしているダイナミクスによる個人こじんの自律じりつ性せいの抑圧よくあつに反対はんたいし、分析ぶんせき・対処たいしょする義務ぎむがある。

1890年ねんから1920年ねんの間あいだに隆盛りゅうせいしたアナキズム内ないの歴史れきし的てきな流ながれは自由じゆう恋愛れんあいであり、ある意味いみではポリアモリーとクィア・アナキズムを支持しじする傾向けいこうとして現在げんざいでも生いき残のこっている。自由じゆう恋愛れんあいの支持しじ者しゃは、「男性だんせいに有利ゆうりな立場たちばを与あたえる結婚けっこん法ほうの下もとで、女性じょせいに権威けんいを押おし付つける」という男性だんせいの方法ほうほうとしての結婚けっこんに反対はんたいしていた。自由じゆう恋愛れんあいという概念がいねんは、性的せいてきな自由じゆうと喜よろこびから女性じょせいを制限せいげんする既存きそん体制たいせい全体ぜんたいへの批判ひはんという遥はるかに広範こうはんなものだった。ベッドを共ともにする同志どうしを持もつ多おおくの様々さまざまな家庭かていがあったため、この運動うんどうは現実げんじつに近ちかいものになった。自由じゆう恋愛れんあいは、ヨーロッパとアメリカの両方りょうほうにルーツがあった。一部いちぶのアナキストは、嫉妬しっとが生しょうじたように、自由じゆう恋愛れんあいが必かならずしも良よい影響えいきょうだけをもたらすとは限かぎらないことを発見はっけんした。アナキストのフェミニストは自由じゆう恋愛れんあいとプロチョイスの支持しじ者しゃであり、結婚けっこんに反対はんたいするなど、同様どうようのアジェンダを持もっていた。アナキストと非ひアナキストのフェミニストは、選挙せんきょ権けんに関かんする意見いけんで異ことなっていたが、それでもお互たがいを支持しじし合あっていた。

アナキズムは、20世紀せいき後半こうはんに第だい二に波はのアナキズムと交錯こうさくし、フェミニズム運動うんどうのいくつかの潮流ちょうりゅうを急進きゅうしん化かさせ、同おなじように影響えいきょうを受うけた。20世紀せいき最後さいごの数すう十じゅう年ねんまで、アナキストとフェミニストは、女性じょせい、同性愛どうせいあい者もの、クィア、およびその他たの疎外そがいされたグループの権利けんりと自律じりつ性せいを主張しゅちょうし、フェミニストの思想家しそうかの中なかには、この二ふたつの潮流ちょうりゅうの融合ゆうごうを示唆しさする者ものもいた。アナキズムの第だい三さん波はでは、性的せいてきアイデンティティと強制きょうせい的てき異性いせい愛あいがアナキストの顕微鏡けんびきょうの下したに置おかれ、性的せいてき規範きはん性せいに対たいするポスト構造こうぞう主義しゅぎ的てきな批判ひはんが行おこなわれた。しかし、一部いちぶのアナキストは、個人こじん主義しゅぎに傾倒けいとうしていることを指摘してきし、それによって社会しゃかい的てき解放かいほうの大義たいぎを欠かいてしまっているとして、この考かんがえ方かたの路線ろせんから距離きょりを置おいた。

反対はんたい論ろん・保守ほしゅ的てきアナキズム

哲学てつがく講師こうしのAndrew G. Fialaは、アナキズムに反対はんたいする５いつつの主おもな論拠ろんきょを挙あげている。第だい一いちに、アナキズムは実利じつり的てき世界せかい（つまり抗議こうぎ活動かつどうの場ば）だけではなく、倫理りんりの世界せかいでも暴力ぼうりょくや破壊はかいと関係かんけいしていることを指摘してきしている。第だい二にに、犯罪はんざいから市民しみんを守まもるために行動こうどうする国家こっか、あるいは国家こっかに類似るいじした何なにかがなければ、社会しゃかいが機能きのうすることは不可能ふかのうであるというものである。Fialaは、トマス・ホッブズの「リヴァイアサン」やロバート・ノージックの「夜警やけい国家こっか」を例れいに挙あげている。第だい三さんに、アナキズムは現実げんじつ的てきに国家こっかを打倒だとうすることができないため、実現じつげん不可能ふかのうであるか、あるいはユートピア的てきであるとの評価ひょうかである。この種たねの主張しゅちょうは、制度せいどを改革かいかくするために制度せいど内ないでの政治せいじ的てき行動こうどうを求もとめることが多おおい。第だい四よんに、「archiei」には誰だれもいないと主張しゅちょうしているが、多おおくの人々ひとびとに受うけ入いれられれば、アナキズムは支配しはい的てきな政治せいじ理論りろんに変かわるため、自己じこ矛盾むじゅんしているということである。この種たねの批判ひはんも、集団しゅうだん行動こうどうを求もとめるアナキストの呼よびかけは個人こじんの自律じりつ性せいの支持しじと競合きょうごうしており、それゆえ集団しゅうだん行動こうどうをとることができないという自己じこ矛盾むじゅんから来きている。最後さいごに、Fialaは哲学てつがく的てき無政府むせいふ主義しゅぎへの批判ひはんとして、その議論ぎろんと思考しこうはすべて無力むりょくなものであり、そうこうしている間あいだにも資本しほん主義しゅぎとブルジョワ階級かいきゅうは依然いぜんとして強つよく残のこっているということに言及げんきゅうしている。

哲学てつがく的てき無政府むせいふ主義しゅぎは、A. John Simmonsの『Moral Principles and Political Obligations』（1979年ねん、未み邦訳ほうやく）のような親おやアナキズム的てき書籍しょせきが出版しゅっぱんされた後のち、アカデミアの人々ひとびとから批判ひはんを受うけた。法学ほうがく教授きょうじゅのWilliam A. Edmundsonは、哲学てつがく的てき無政府むせいふ主義しゅぎの誤あやまった三さん大だい原則げんそくに反駁はんばくするエッセイを執筆しっぴつした。Edmundsonは、通常つうじょうの国家こっかに従したがう義務ぎむは確たしかにないが、だからといってアナキズムが必然ひつぜん的てきな結論けつろんになるということはありえず、国家こっかが道徳どうとく的てきに正当せいとうなものであることに変かわりはないと主張しゅちょうしている。

保守ほしゅ的てきアナキズム

台湾たいわんの政治せいじ家かである唐から鳳おおとり（オードリー・タン）は自みずからを「保守ほしゅ的てきなアナキスト」と呼よぶ。氏しの考かんがえるアナキズムとは「強制きょうせいのない世界せかい」で、権力けんりょくに縛しばられず、暴力ぼうりょくで威圧いあつされず、変革へんかくに取とり組くむが、進歩しんぽのために伝統でんとうを切きり捨すてたりはしない。肝心かんじんなのは強制きょうせいのなさであり、日本語にほんご訳やくの「無政府むせいふ主義しゅぎ」はアナキズムの意味いみを狭せばめると批判ひはんする。

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• Moynihan, Colin (2007). “Book Fair Unites Anarchists. In Spirit, Anyway”. The New York Times (16 April). 
• Moya, Jose C (2015). “Transference, culture, and critique The Circulation of Anarchist Ideas and Practices”. In Geoffroy de Laforcade. In Defiance of Boundaries: Anarchism in Latin American History. Kirwin R. Shaffer. University Press of Florida. ISBN 978-0-8130-5138-3. https://books.google.com/books?id=ikt6AQAACAAJ 
• Nettlau, Max (1996). A Short History of Anarchism. Freedom Press. ISBN 978-0-900384-89-9 
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• Nicholas, Lucy (2019). “Gender and Sexuality”. In Levy, Carl; Adams, Matthew S.. The Palgrave Handbook of Anarchism. Springer. ISBN 978-3-319-75620-2 
• Nomad, Max (1966). “The Anarchist Tradition”. In Drachkovitch, Milorad M.. Revolutionary Internationals 1864–1943. Stanford University Press. p. 88. ISBN 978-0-8047-0293-5 
• Ostergaard, Geoffrey (2006). William Outhwaite. ed. The Blackwell Dictionary of Modern Social Thought. Blackwell Publishing Ltd.. ISBN 978-0-470-99901-1. https://books.google.com/books?id=JJmdpqJwkwwC&pg=PA14 
• Parry, Richard (1987). The Bonnot Gang. Rebel Press. ISBN 978-0-946061-04-4. https://archive.org/details/bonnotgang0000parr 
• Perlin, Terry M. (1979). Contemporary Anarchism. Transaction Publishers. ISBN 978-1-4128-2033-2. https://books.google.com/books?id=mppLKlwHx7oC 
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• Pierson, Christopher (2013). Just Property: Enlightenment, Revolution, and History. Oxford University Press. ISBN 978-0-19-967329-2. https://books.google.com/books?id=7jvKDAAAQBAJ&pg=PA187 
• Ramnath, Maia (2019). “Non-Western Anarchisms and Postcolonialism”. In Levy, Carl; Adams, Matthew S.. The Palgrave Handbook of Anarchism. Springer. ISBN 978-3-319-75620-2. https://books.google.com.cy/books/about/The_Palgrave_Handbook_of_Anarchism.html?id=SRyQswEACAAJ&source=kp_book_description&redir_esc=y 
• Rupert, Mark (2006). Globalization and International Political Economy. Lanham: Rowman & Littlefield Publishers. ISBN 978-0-7425-2943-4. https://archive.org/details/globalizationint00rupe 
• Ryley, Peter (2019). “Individualism”. In Levy, Carl; Adams, Matthew S.. The Palgrave Handbook of Anarchism. Springer Publishing. pp. 225–236. ISBN 978-3-319-75620-2 
• Shannon, Deric (2019). “Anti-Capitalism and Libertarian Political Economy”. In Levy, Carl; Adams, Matthew S.. The Palgrave Handbook of Anarchism. Springer Publishing. pp. 91–106. ISBN 978-3-319-75620-2 
• Skirda, Alexandre (2002). Facing the Enemy: A History of Anarchist Organization From Proudhon to May 1968. AK Press. ISBN 978-1-902593-19-7 
• Sylvan, Richard (2007). “Anarchism”. In Robert E. Goodin; Philip Pettit; Thomas Pogge. A Companion to Contemporary Political Philosophy. Blackwell Companions to Philosophy. 5 (2nd ed.). Blackwell Publishing. ISBN 978-1-4051-3653-2. オリジナルの17 May 2017時点じてんにおけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20170517032711/http://eltalondeaquiles.pucp.edu.pe/wp-content/uploads/2016/04/Robert-E--Goodin-Philip-Pettit-Thomas-W--Pogge-A-Companion-to-Contemporary-Political-Philosophy-2-Volume-Set-Blackwell-Companions-to-Philosophy-2007.pdf 
• Suissa, Judith (2019). “Anarchist Education”. In Levy, Carl; Adams, Matthew S.. The Palgrave Handbook of Anarchism. Springer Publishing. ISBN 978-3-319-75620-2. https://books.google.com.cy/books/about/The_Palgrave_Handbook_of_Anarchism.html?id=SRyQswEACAAJ&source=kp_book_description&redir_esc=y 
• Thomas, Paul (1985). Karl Marx and the Anarchists. London: Routledge & Kegan Paul. ISBN 978-0-7102-0685-5 
• Turcato, Davide (2019). “Anarchist Communism”. In Levy, Carl; Adams, Matthew S.. The Palgrave Handbook of Anarchism. Springer Publishing. ISBN 978-3-319-75620-2 
• van der Walt, Lucien (2019). “Syndicalism”. In Levy, Carl; Adams, Matthew S.. The Palgrave Handbook of Anarchism. Springer Publishing. pp. 249–264. ISBN 978-3-319-75620-2 
• Ward, Colin (21 October 2004). Anarchism: A Very Short Introduction. OUP Oxford. ISBN 978-0-19-280477-8. https://books.google.com/books?id=nkgSDAAAQBAJ 
• Wilbur, Shawn (2019). “Mutualism”. In Levy, Carl; Adams, Matthew S.. The Palgrave Handbook of Anarchism. Springer Publishing. ISBN 978-3-319-75620-2 
• Williams, Dana M. (2018). “Contemporary anarchist and anarchistic movements”. Sociology Compass (Wiley) 12 (6): e12582. doi:10.1111/soc4.12582. ISSN 1751-9020. 
• Williams, Dana M. (2019). “Tactics: Conceptions of Social Change, Revolution, and Anarchist Organisation”. In Levy, Carl; Adams, Matthew S.. The Palgrave Handbook of Anarchism. Springer Publishing. ISBN 978-3-319-75620-2 

三さん次じ資料しりょう

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• De George, Richard T. (2005). Ted Honderich. ed. The Oxford Companion to Philosophy. Oxford University Press. ISBN 9780199264797 
• Fiala, Andrew (2017). "Anarchism". Stanford Encyclopedia of Philosophy. Metaphysics Research Lab, Stanford University.
• McLean, Iain; McMillan, Alistair (2003). The Concise Oxford Dictionary of Politics. Oxford University Press. ISBN 978-0-19-280276-7. https://archive.org/details/oxfordconcisedic00iain 
• “Definition of Anarchism”. Merriam-Webster (2019年ねん). 2019年ねん2月がつ28日にち閲覧えつらん。
• Miller, David (26 August 1991). The Blackwell Encyclopaedia of Political Thought. Wiley. ISBN 978-0-631-17944-3. https://books.google.com/books?id=NIZfQTd3nSMC 
• Ostergaard, Geoffrey (2003). The Blackwell Dictionary of Modern Social Thought. Blackwell Publishing 
• “Anarchy”. Oxford English Dictionary (3rd ed.). Oxford University Press. (September 2005)  Subscription or UK public library membership required.

関連かんれん図書としょ

和書わしょ

• 日本にっぽんアナキズム運動うんどう人名じんめい事典じてん編集へんしゅう委員いいん会かい『増補ぞうほ改訂かいてい 日本にっぽんアナキズム運動うんどう人名じんめい事典じてん』ぱる出版しゅっぱん、2019年ねん。ISBN 978-4-8272-1199-3。 NCID BB28071185。 
• 森元もりもと斎ひとし『アナキズム入門にゅうもん』筑摩書房ちくましょぼう、2017年ねん。ISBN 978-4-480-06952-8。 NCID BB23240693。 
• シンディ=ミルスタイン 著ちょ、森川もりかわ莫人 訳やく『アナキズムの展望てんぼう：資本しほん主義しゅぎへの抵抗ていこうのために：シンディ=ミルスタインアンソロジー』『アナキズム叢書そうしょ』刊行かんこう会かい、2014年ねん。ISBN 978-4-9906-2307-4。 NCID BB18505405。 
• ジョージ・ウドコック 著ちょ、白井しらい厚あつし 訳やく『アナキズム 1(思想しそう篇へん) 復刊ふっかん版ばん』紀伊國屋きのくにや書店しょてん、2002年ねん。ISBN 978-4-314-00917-1。 NCID BA5820834X。 
• ジョージ・ウドコック 著ちょ、白井しらい厚あつし 訳やく『アナキズム 2(運動うんどう篇へん) 復刊ふっかん版ばん』紀伊國屋きのくにや書店しょてん、2002年ねん。ISBN 978-4-314-00918-8。 NCID BA5820834X。 
• 松下まつした竜一りゅういち『松下まつした竜一りゅういち その仕事しごと〈18〉久ひささん伝でん』河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ、2000年ねん。ISBN 978-4-309-62068-8。 NCID BA46138859。 
• ジョン・クランプ 著ちょ、碧あお川かわ多た衣子きぬこ 訳やく『八太はった舟ぶね三さんと日本にっぽんのアナキズム』青木あおき書店しょてん、1996年ねん。ISBN 978-4-250-96027-7。 NCID BN14868467。 
• アンドレ・レスレール 著ちょ、小倉おぐら正史せいし 訳やく『アナキズムの美学びがく：破壊はかいと構築こうちく:絶たえざる美びの奔流ほんりゅう』現代げんだい企画きかく室しつ、1994年ねん。ISBN 978-4-7738-9410-3。 NCID BN11779167。 
• 松下まつした竜一りゅういち『久ひささん伝でん：あるアナキストの生涯しょうがい』講談社こうだんしゃ、1983年ねん。ISBN 978-4-06-200653-8。 NCID BN0132628X。 
• I.L.ホロヴィツ 著ちょ、今村いまむら五ご月がつほか 訳やく『アナキスト群ぐん像ぞう』批評社ひひょうしゃ、1981年ねん。ISBN 978-4-8265-0025-8。 NCID BN03496393。 
• ジェームズ・ジョル 著ちょ、萩原はぎはら延寿えんじゅ 訳やく『アナキスト』岩波書店いわなみしょてん、1975年ねん。 NCID BN00597601。 
• ダニエル・ゲラン 著ちょ、長谷川はせがわ進すすむ 訳やく『神かみもなく主人しゅじんもなく：アナキズム・アンソロジー』三さん一いち書房しょぼう、1973年ねん。 NCID BN05640275。 
• アンリ・アルヴォン 著ちょ、左近さこん毅あつし 訳やく『アナーキズム』白水しろみず社しゃ、1972年ねん。ISBN 978-4-560-05520-5。 NCID BN01495720。 
• 農村のうそん青年せいねん社しゃ運動うんどう史し刊行かんこう会かい『1930年代ねんだいに於おける日本にっぽんアナキズム革命かくめい運動うんどう：資料しりょう農村のうそん青年せいねん社しゃ運動うんどう史し：自由じゆうコンミュンの樹立じゅりつとその実践じっせん』ウニタ書しょ舗、1972年ねん。 NCID BN01103514。 
• マックス・ネットラウ 著ちょ、上杉うえすぎ聡さとし彦 訳やく『アナキズム小史しょうし』三さん一いち書房しょぼう、1970年ねん。 NCID BN01229035。 
• ダニエル・ゲラン 著ちょ、江口えぐち幹みき 訳やく『現代げんだいアナキズムの論理ろんり：思想しそうと状況じょうきょう』三さん一いち書房しょぼう、1969年ねん。ISBN 978-4-380-69006-8。 NCID BN04949904。 
• ハーバート・リード 著ちょ、大沢おおさわ正道せいどう 訳やく『アナキズムの哲学てつがく』法政大学ほうせいだいがく出版しゅっぱん局きょく、1968年ねん。 NCID BN05009460。 
• ダニエル・ゲラン 著ちょ、江口えぐち幹みき 訳やく『現代げんだいのアナキズム：甦よみがええる絶対ぜったい自由じゆうの思想しそう』三さん一いち書房しょぼう、1967年ねん。ISBN 978-4-380-67006-0。 NCID BN10072524。 

洋書ようしょ

• Barclay, Harold B. (1990). People Without Government: An Anthropology of Anarchy. Kahn & Averill. ISBN 978-0-939306-09-1. https://books.google.com/books?id=MrFHQgAACAAJ 
• Edmundson, William A. (2007). Three Anarchical Fallacies: An Essay on Political Authority. Cambridge University Press. ISBN 978-0-521-03751-8. https://books.google.com/books?id=q_gClKUbJyYC  - 哲学てつがく的てき無政府むせいふ主義しゅぎ批判ひはん。
• Harper, Clifford (1987). Anarchy: A Graphic Guide. Camden Press. ISBN 978-0-948491-22-1. https://books.google.com/books?id=W63aAAAAMAAJ 
• Le Guin, Ursula K. (2009). The Dispossessed. HarperCollins  Anarchistic popular fiction novel
• Kinna, Ruth (2005). Anarchism: A Beginners Guide. Oneworld. ISBN 978-1-85168-370-3. https://books.google.com/books?id=LLLaAAAAMAAJ 
• Sartwell, Crispin (2008). Against the State: An Introduction to Anarchist Political Theory. SUNY Press. ISBN 978-0-7914-7447-1. https://books.google.com/books?id=bk-aaMVGKO0C 
• Scott, James C. (2012). Two Cheers for Anarchism: Six Easy Pieces on Autonomy, Dignity, and Meaningful Work and Play. Princeton, New Jersey: Princeton University Press. ISBN 978-0-691-15529-6 
• Wolff, Robert Paul (1998). In Defense of Anarchism. University of California Press. ISBN 978-0-520-21573-3  An argument for philosophical anarchism

関連かんれん項目こうもく

学派がくは

• 社会しゃかい的てき無政府むせいふ主義しゅぎ
• 個人こじん主義しゅぎ的てき無政府むせいふ主義しゅぎ
• 無む政府せいふ共産きょうさん主義しゅぎ
• 無む政府せいふ資本しほん主義しゅぎ
• 反乱はんらん的てき無政府むせいふ主義しゅぎ
• アナルコ・サンディカリスム
• アナルコ・ミューチュアリズム
• アナルコ・プリミティビズム
• アナルコ・トランスヒューマニズム
• アナルコ・パシフィズム
• オートノミー
• 民族みんぞくアナキズム
• グリーン・アナキズム
• エゴイスト・アナキズム
• アナルカ・フェミニズム
• クィア・アナキズム
• 形容詞けいようしのないアナキズム

組織そしき

• パリ・コミューン
• ドゥルティの友とも
• 怒いかりの旅団りょだん
• ナロードニキ
• ギロチン社しゃ
• 黒色こくしょく青年せいねん連盟れんめい
• 日本にっぽん無政府むせいふ共産党きょうさんとう
• 農村のうそん青年せいねん社しゃ
• 日本にっぽんアナキスト連盟れんめい
• アナキスト革命かくめい連合れんごう
• 無む政府せいふ共産きょうさん主義しゅぎ者しゃ同盟どうめい
• アナキスト高校生こうこうせい連合れんごう
• 東ひがしアジア反日はんにち武装ぶそう戦線せんせん
• ドイツ無政府むせいふ主義しゅぎポゴ党とう
• ブラック・ブロック

文化ぶんか人じん

• ルイ・オーギュスト・ブランキ
• ウィリアム・ゴドウィン
• ピエール・ジョゼフ・プルードン
• マックス・シュティルナー
• ミハイル・バクーニン
• エリゼ・ルクリュ
• ダニエル・ゲラン
• ジョルジュ・ソレル
• ピョートル・クロポトキン
• レフ・トルストイ
• ネストル・マフノ
• エマ・ゴールドマン
• エミリアーノ・サパタ
• ロバート・シェイ
• ジェロ・ビアフラ
• ルドルフ・ロッカー
• ジャック・エリュール
• 幸徳こうとく秋水しゅうすい
• 朴ぼく烈れつ
• 金子かねこ文子ふみこ
• 古田ふるた大次郎だいじろう
• 竹中たけなか労ろう
• 宮下みやした太吉たきち
• 内山うちやま愚ぐ童わらわ
• 大杉おおすぎ栄さかえ
• 伊藤いとう野枝のえ
• 難波なんば大助だいすけ
• 奥崎おくざき謙三けんぞう
• 牧田まきた吉明よしあき
• 千坂ちさか恭二きょうじ
• 秋山あきやま清きよし
• 埴谷はにや雄ゆう高だか
• 中浜なかはま哲あきら

外部がいぶリンク

• 無む政府せいふ主義しゅぎ図書館としょかん
• メインページ - アナーキォペディア
• アナキズムFAQ（アナーキー・イン・ニッポンのサイト）
• Spanish anarchism
• アナルコ・サンディカリスト・ジャーナル
• 【黒くろ　La Nigreco】（WRI: en:War Resisters' International Japan - 戦争せんそう抵抗ていこう者しゃインターナショナル日本にっぽん支部しぶ）
• http://members2.jcom.home.ne.jp/anarchism/index.html
• アナキズム誌し
• Centre International de Recherches sur L'Anarchisme （アナキズム国際こくさい文献ぶんけんセンター）
  • アナキズム文献ぶんけんセンター
• 『アナキズム』 - コトバンク