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大円だいえん距離きょり

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
2てん(P,Q)あいだ大円だいえん距離きょり(あかせん)。u,vは赤道せきどうとの交点こうてん

大円だいえん距離きょり(だいえんきょり、えい: great-circular distance)は、球面きゅうめんうえ大円だいえん沿距離きょりをさす。大円だいえん性質せいしつにより、球面きゅうめんじょう経路けいろとして2てんあいだ最短さいたん距離きょりである。

とく地球ちきゅうじょうにおいては大圏たいけん距離きょり(たいけんきょり)ともう。なおこの記事きじでは回転かいてん楕円だえんたいめんじょう最短さいたん距離きょり測地そくち距離きょり)はあつかわない。

概要がいよう

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ユークリッド空間くうかんでは、たま内部ないぶとおり2てんあいだ直線ちょくせんむすユークリッド距離きょり最小さいしょうとなるが(したがって大円だいえんつるちょう)、球面きゅうめんじょうには直線ちょくせん存在そんざいしないためこれとはことなる。 ユークリッド空間くうかんでは、直線ちょくせん一般いっぱんした測地そくちせん使用しようする。球面きゅうめんにおいては測地そくちせんっきゅう中心ちゅうしん中心ちゅうしんとするえんである大円だいえんとなるため、大円だいえん距離きょり大円だいえんじょうの2てんあいだながさとなる。

球面きゅうめんじょう対蹠たいしょてん以外いがいの2てんとお大円だいえん一意いちいさだまる。 2てん大円だいえんを2つの分割ぶんかつする。 そのうちみじかほうながさが大円だいえん距離きょりとなる。

対蹠たいしょてんかんしては、その2てんとお任意にんいえん大円だいえんとなるが、すべてのえんにおいて2てんあいだながさは一定いっていである。すなわち半円はんえん円周えんしゅうであり、半径はんけいたまにおいてはである。

地球ちきゅうはほぼ球状きゅうじょうであるため、2てんあいだ距離きょりたまとして計算けいさんしても誤差ごさは0.5%以内いないとなる(後述こうじゅつ)。[1]

大円だいえん大圏たいけんコース)は等角とうかく航路こうろisoazimuthalせん同様どうよう地球ちきゅうじょう任意にんいの2てんあいだむすぶことができる3つの手法しゅほうひとつである。

数式すうしき

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2てんP,Qあいだ中心ちゅうしんかくλらむだφふぁいはPの緯度いど経度けいど

てんあいだ大円だいえん距離きょり球面きゅうめんじょう経路けいろとして距離きょり)は、両者りょうしゃあいだ中心ちゅうしんかくである およびたま半径はんけい からもとめられる。

大円だいえん距離きょり計算けいさんは、航空機こうくうき船舶せんぱく経路けいろ計算けいさん一部いちぶであり、大円だいえん距離きょり以外いがいに、出発しゅっぱつてんおよび中間ちゅうかんかくてんにおける方位ほういかく計算けいさんおこなう。 うみさと距離きょり計算けいさんさい度数どすうほうにおけるぶんがそのまま海里かいりとしてもちいられる(あらわしたものの60ばい)。

球面きゅうめん余弦よげん定理ていり

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球面きゅうめん余弦よげん定理ていりもちいて計算けいさんされることがおおい。 をそれぞれてん1とてん2の緯度いど経度けいどとし、 はそれらのあらわす。

ただし、この関数かんすう精度せいど(ビットすう)がひく浮動ふどう小数点しょうすうてんすうあつか計算けいさんにおいては、みじか距離きょりにおいておおきなまる誤差ごさ発生はっせい精度せいど条件じょうけん悪化あっかする[2]。ただし現在げんざいもちいられる64ビットの浮動ふどう小数点しょうすうてんすうにおいてはすうメートル以上いじょう距離きょりにおいては問題もんだいこさないとの意見いけんもある[3]

単位たんい球面きゅうめんにおける大円だいえんつるちょう

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単位たんい球面きゅうめんにおける大円だいえんつるちょうとの関係かんけい[4]

関数かんすう[5]みじか距離きょりにおいて計算けいさん精度せいど条件じょうけんい(球面きゅうめん余弦よげん定理ていり利用りようよりも)[6]。これはhaversine関数かんすう[7]もちいても表現ひょうげんでき、歴史れきしてきもとめる計算けいさんで、下記かきつるちょう計算けいさんしきとhaversineの関数かんすうひょうもちいた。

つるちょう計算けいさん

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つるちょう計算けいさんしきは():

ぎゃく正接せいせつ関数かんすうもちいる計算けいさんしき

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上記じょうき計算けいさんしき球面きゅうめんじょうのほとんどのてんあいだにおいて正確せいかくだが、対蹠たいしょてんあいだたいしては関数かんすう計算けいさん精度せいど低下ていかする。

対策たいさくとして、すべての距離きょりもちいることができるしきとしてぎゃく正接せいせつ関数かんすう[8]もちいる下記かきしきがある(Vincenty formulaないすべてのじくけいひとしい楕円だえんたいからもみちびかれる)[9]

直交ちょっこう座標ざひょうけいによるつるちょう計算けいさん

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単位たんい球面きゅうめんにおける大円だいえんつるちょう直交ちょっこう座標ざひょうけい経由けいゆしても計算けいさんできる。

ベクトル表現ひょうげん

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は、ユークリッド空間くうかんじょう単位たんいちょう3次元じげんベクトルの内積ないせき外積がいせきにより以下いかのようにあらわすことができる[10]球面きゅうめんじょうの2てん単位たんい法線ほうせんベクトルをあらわす。計算けいさん精度せいど条件じょうけん比較ひかく上記じょうき同様どうようとなる。

回転かいてん楕円だえん体面たいめんじょう距離きょり

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地球ちきゅう半径はんけい

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地球ちきゅう形状けいじょう回転かいてんじく方向ほうこうつぶれたたまひらただま)とみなすことができる。このとき赤道あかみち半径はんけい は6378.137 km、ごく半径はんけい は6356.752 kmとなる。 赤道せきどう付近ふきんみじか南北なんぼく方向ほうこうせんにおいては半径はんけい (6335.439 km)としたさいもっと近似きんじとなり、きょくにおいては半径はんけい (6399.594 km) がもっとい。このは1%である。 つまり、地球ちきゅう球体きゅうたい仮定かていした計算けいさんにおいては、地球ちきゅうじょう任意にんいの2てんあいだ距離きょりたいする1つの計算けいさんによる誤差ごさは 0.5% 以内いないとすることができる(ただし、かぎられた地域ちいきかんしてはより誤差ごさすくない使用しようすることもできる。)。

このとして平均へいきん地球ちきゅう半径はんけいもちいるとよく[11]、その(GRS 80における回転かいてん楕円だえんたい近似きんじたいして)である。 扁平へんぺいりつちいさい場合ばあいはこの平均へいきん自乗じじょう誤差ごさ最小さいしょうする。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Admiralty Manual of Navigation, Volume 1, The Stationery Office, (1987), p. 10, ISBN 9780117728806, https://books.google.co.jp/books?id=xcy4K5BPyg4C&pg=PA10&redir_esc=y&hl=ja 
  2. ^ たとえば地球ちきゅうじょうにおいては1 kmの距離きょりたいして0.99999999となる。
  3. ^ Calculate distance, bearing and more between Latitude/Longitude points”. 10 Aug 2013閲覧えつらん
  4. ^ における級数きゅうすう展開てんかいがたは、
  5. ^ もしくはぎゃくhaversine関数かんすう
  6. ^ Sinnott, Roger W. (August 1984). “Virtues of the Haversine”. Sky and Telescope 68 (2): 159. 
  7. ^
  8. ^ プログラミングのさい通常つうじょうぎゃく正接せいせつ関数かんすう(atan())よりも atan2() 関数かんすうもちいたほうが、ぜん象限しょうげん出力しゅつりょくされるためい。
  9. ^ Vincenty, Thaddeus (1975-04-01). “Direct and Inverse Solutions of Geodesics on the Ellipsoid with Application of Nested Equations” (PDF). Survey Review (Kingston Road, Tolworth, Surrey: Directorate of Overseas Surveys) 23 (176): 88–93. doi:10.1179/sre.1975.23.176.88. http://www.ngs.noaa.gov/PUBS_LIB/inverse.pdf 2008ねん7がつ21にち閲覧えつらん. 
  10. ^ Gade, Kenneth (2010). “A non-singular horizontal position representation” (PDF). The Journal of Navigation (Cambridge University Press) 63 (3): 395–417. doi:10.1017/S0373463309990415. http://www.navlab.net/Publications/A_Nonsingular_Horizontal_Position_Representation.pdf. 
  11. ^ McCaw, G. T. (1932). “Long lines on the Earth”. Empire Survey Review 1 (6): 259–263. doi:10.1179/sre.1932.1.6.259. 

関連かんれん項目こうもく

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