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球面きゅうめん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
球面きゅうめん次元じげん投影とうえい

初等しょとう幾何きかがくユークリッド幾何きかがくにおいて、球面きゅうめん(きゅうめん、えい: sphere[注釈ちゅうしゃく 1])とは、さん次元じげん空間くうかんにおいて、あたえられた定点ていてんからの距離きょりいち定値ていち r をもつようなてん全体ぜんたい集合しゅうごうである[1]。このとき、あたえられた定点ていてんをこの球面きゅうめん中心ちゅうしんといい、距離きょり r をこの球面きゅうめん半径はんけいという。また、球面きゅうめん中心ちゅうしんとお直線ちょくせんが、球面きゅうめんからられる線分せんぶんながつね一定いっていであり、半径はんけいばいひとしい。これを球面きゅうめん直径ちょっけいぶ。

「どの方向ほうこうから観察かんさつしても、半径はんけい rえんえる立体りったい図形ずけい」と定義ていぎすることもできる。

ゆるいいいかた数学すうがく以外いがい文脈ぶんみゃくでは、「たま」「球面きゅうめん」「球体きゅうたい」の3つが同義語どうぎごとしてもちいられたり、"sphere" と "ball" の意味いみちがっていたりすることもあるが、数学すうがくてきには球面きゅうめん (sphere) はさん次元じげんユークリッド空間くうかんまれた次元じげん閉曲めんであり、球体きゅうたい (ball) はさん次元じげん空間くうかんない球面きゅうめんおよび球面きゅうめんかこむ「内側うちがわ」である(いまのように球面きゅうめんふくめる場合ばあいとくに「球体きゅうたい」とび、かこ領域りょういき球面きゅうめんをまったくふくめない場合ばあいには「ひらき球体きゅうたい」とぶ。)。

この区別くべつかならまもられるというようなものではないし、とくふる文献ぶんけんでは中身なかみまった図形ずけいを「たま」(sphere) としている。これは次元じげん場合ばあいに、「えん」が(中身なかみまった)「えんばん」の意味いみだったり(境界きょうかいである)「円周えんしゅう」の意味いみだったりするのとちょうどおなじである。

球面きゅうめん方程式ほうていしき

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two orthogonal radii of a sphere

解析かいせき幾何きかがくにおいて、(x0, y0, z0)中心ちゅうしんとする半径はんけい r球面きゅうめん(ユークリッド球面きゅうめん)は たすてん (x, y, z) 全体ぜんたい軌跡きせきである。

a, b, c, d, e実数じっすうa ≠ 0 なるものとし、けば、上記じょうき方程式ほうていしきかたちになる。一般いっぱんにこのかたち方程式ほうていしきx2, y2, z2係数けいすうひとしく、xy, yz, zxこうたないさん変数へんすう多項式たこうしき方程式ほうていしき)があたえられたならば、以下いかいずれかひとつのみがつ:[1]

  • ρろー < 0 のときは、この方程式ほうていしきかいとなるてん存在そんざいせず、きょだま (imaginary sphere) の方程式ほうていしきぶ。
  • ρろー = 0 のとき、方程式ほうていしき f(x, y, z) = 0中心ちゅうしんとなるいちてん P0 ≔ (x0, y0, z0) のみをかいとし、てんだま (point sphere) の方程式ほうていしきう。
  • ρろー > 0 のときには、f(x, y, z) = 0P0中心ちゅうしんとする半径はんけい rρろー球面きゅうめん方程式ほうていしきとなる(うえのふたつと対照たいしょうする場合ばあいじつたま (real sphere) の方程式ほうていしきう)。

上記じょうき方程式ほうていしきa = 0 としたならば f(x, y, z) = 0平面へいめん方程式ほうていしきとなる。そこで平面へいめん無限むげんとおてん中心ちゅうしんとする半径はんけい無限むげんだいたまかんがえることができる[2]

(x0, y0, z0)中心ちゅうしんとする半径はんけい r球面きゅうめんじょうてんは 媒介ばいかい表示ひょうじできる[3]

原点げんてん中心ちゅうしんとする任意にんい半径はんけい球面きゅうめん微分びぶん形式けいしき 積分せきぶん曲面きょくめんである。この微分びぶんがた方程式ほうていしきは、位置いちベクトル (x, y, z)速度そくどベクトル (dx, dy, dz)ぜん球面きゅうめんわたってつねたがいに直交ちょっこうするという事実じじつ反映はんえいしている。

球面きゅうめんは、円周えんしゅうをその任意にんい直径ちょっけいじく回転かいてんさせた回転かいてん曲面きょくめんとして構成こうせいすることもできる。円周えんしゅう特別とくべつ種類しゅるい楕円だえんであるから、球面きゅうめん特別とくべつ種類しゅるい回転かいてん楕円だえんめんである。えん回転かいてんさせるわりに楕円だえんをそのちょうじくじく回転かいてんさせるとちょうたまたんじくじくにすればひらただまとなる。[4]

かこ体積たいせき

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球面きゅうめんとその外接がいせつ円筒えんとう

さん次元じげん空間くうかんにおいて、球面きゅうめんかこ体積たいせき厳密げんみつえばこれは「球体きゅうたい」の体積たいせきだが、古典こてんてきにはこれを「たま」の体積たいせきぶ)は、半径はんけいr として あたえられる。この公式こうしきみちびいた最初さいしょひとアルキメデスで、球面きゅうめんかこ体積たいせき球面きゅうめんとそれに外接がいせつする円筒えんとう(つまり、円筒えんとうたかさおよび底面ていめん直径ちょっけい球面きゅうめん直径ちょっけいひとしい)のあいだ体積たいせきばいひとしいことをしめすことでみちびかれた[5]。この主張しゅちょうは、カヴァリエリの原理げんりからることができる。この公式こうしき積分せきぶん使つかってみちびくこともできる: 原点げんてん中心ちゅうしんとする半径はんけい rたま想定そうていすれば、輪切わぎ積分せきぶんほう英語えいごばんでは、中心ちゅうしんx-じく沿って x = −r から x = r までならぶように無限むげんかさねた無限むげんうす円柱えんちゅう (≈ えんばん) の体積たいせき総和そうわとして球面きゅうめん体積たいせき計算けいさんする。あるいは、球面きゅうめん座標ざひょうけい体積たいせき要素ようそ 積分せきぶんしてもおな結果けっかられる。

面積めんせき

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半径はんけい r球面きゅうめん表面積ひょうめんせきあたえられる。この公式こうしき最初さいしょ発見はっけんしゃアルキメデス[6]外接がいせつ円筒えんとう側面そくめんへの射影しゃえい面積めんせきたもつという事実じじつから公式こうしきみちびいた[7]

公式こうしきみちびべつなやりかたは、これがおなじく半径はんけい rたま体積たいせきrかんする微分びぶんひとしいという事実じじつ利用りようすることである。これは、半径はんけい rたま内部ないぶぜん体積たいせきを、半径はんけい 0 から r までの無限むげんうすたまから無限むげん半径はんけい垂直すいちょくかさねた体積たいせき総和そうわとしてとらえることとして理解りかいできる。無限むげんうすいという条件じょうけんにより、かくたまから内側うちがわ外側そとがわ表面積ひょうめんせき無限むげんしょうであり、半径はんけい r対応たいおうするたまから体積たいせきたん半径はんけい r球面きゅうめん表面積ひょうめんせき無限むげんちいさいあつみとのせきとしてられることに注意ちゅういする。あるいはまた、球面きゅうめん座標ざひょうけいにおける球面きゅうめん面積めんせき要素ようそ dAr2sin(θしーた)⋅dθしーた⋅dφふぁい積分せきぶんとしても導出どうしゅつできる。

幾何きかがくてき性質せいしつ

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球面きゅうめんどういち平面へいめんじょうにないよんてん指定していすれば一意いちい決定けっていされる。より一般いっぱんに、とおてん平面へいめんせっするなどの条件じょうけんよっつあれば球面きゅうめん一意いちいまる[8]。この性質せいしつは、平面へいめんじょうえんどう一直線いっちょくせんじょうにないさんてん一意いちいまるという性質せいしつさん次元じげん空間くうかんばんることができる。その帰結きけつとして、球面きゅうめんひとつのえんとそのえんぞくする平面へいめんじょうにないいちてんによって(それらすべてをとおるという意味いみで)一意いちい決定けっていできる。

ふたつの球面きゅうめん方程式ほうていしき共通きょうつうかい調しらべれば、ふたつの球面きゅうめんの交線がえんとなることが確認かくにんできる。その交円をふく平面へいめんまじわる球面きゅうめんめん (radical plane) という[9]めんじつ平面へいめんだけれども、交円はきょえんふたつの球面きゅうめん共通きょうつうてんたない)やてんえんふたつの球面きゅうめんいちてんせっする)となることもあり[10]

交円じょうてんにおけるふたつの球面きゅうめんあいだかくとは、そのてんにおけるかく球面きゅうめんせっ平面へいめんによって定義ていぎされるめんかくう。ふたつの球面きゅうめんは、その交円じょうのどのてんでもおな角度かくどまじわる[11]。ふたつの球面きゅうめん直角ちょっかくまじわるための必要ひつようじゅうふん条件じょうけんは、それら球面きゅうめん中心ちゅうしんあいだ距離きょり平方へいほうがそれらの半径はんけい平方和へいほうわひとしいことである[2]

たまたば

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そうことなるふたつの球面きゅうめん方程式ほうていしき f(x, y, z) = 0 および g(x, y, z) = 0たいして は、じょ変数へんすう s, t任意にんいたいして、やはり球面きゅうめん方程式ほうていしきあたえる。適当てきとうt, sたいしてこの方程式ほうていしき満足まんぞくする球面きゅうめんすべてからなるぞくを、もとのふたつの球面きゅうめん生成せいせい球面きゅうめん)からさだまるたまたばまたは球面きゅうめんたば (pencil of spheres) とぶ。ただし、この定義ていぎにおいて「球面きゅうめん」には平面へいめん無限むげんとおてん中心ちゅうしん半径はんけい無限むげんだい)の場合ばあいゆるすものとする。生成せいせい球面きゅうめん両方りょうほうとも平面へいめんである場合ばあいには、球面きゅうめんたばすすべての球面きゅうめん平面へいめんとなるか、さもなくば球面きゅうめんたばはただひとつの平面へいめん生成せいせい球面きゅうめんめん)のみからなる[2]

球面きゅうめんたばがすべて平面へいめんからなるのでないならば、それを以下いか三種さんしゅ分類ぶんるいすることができる[10]:

  • 生成せいせい球面きゅうめんの交円がじつえん C ならば、球面きゅうめんたばCふく球面きゅうめんめんふくめて)全体ぜんたいぞくになる。球面きゅうめんたばぞくする通常つうじょう球面きゅうめん平面へいめんでないという意味いみ)の中心ちゅうしん軌跡きせき中心ちゅうしん直線ちょくせん)は C中心ちゅうしんとおめん直交ちょっこうする直線ちょくせんじょうにある。
  • 生成せいせい球面きゅうめんの交円がきょえんならば、球面きゅうめんたばぞくする球面きゅうめんはこのきょえんとおるが、通所つうしょ球面きゅうめんとしてはそれらはまじわらない(共通きょうつうてんはない)。ぞくする球面きゅうめん中心ちゅうしん直線ちょくせんめん(これはきょえんふく平面へいめん球面きゅうめんたばぞくす)に直交ちょっこうする。
  • 生成せいせい球面きゅうめんの交円がてんえん A ならば、たばぞくする球面きゅうめんすべてん A においてせっし、めんたばぞくするすべての球面きゅうめん共通きょうつうせっ平面へいめんである。中心ちゅうしん直線ちょくせんA においてめん直交ちょっこうする。

めんじょう固定こていされたてんからたばぞくする任意にんい球面きゅうめんいた接線せっせんながさは、球面きゅうめんらずおなじになる[10]

めんは、たばぞくする球面きゅうめんすべてに直交ちょっこうする任意にんい球面きゅうめん中心ちゅうしんえが軌跡きせきひとしい。もっとえば、球面きゅうめんたばぞくする球面きゅうめん任意にんいのふたつに直交ちょっこうする球面きゅうめんは、たばぞくするすべての球面きゅうめん直交ちょっこうし、かつ中心ちゅうしんたばめんじょうにある[10]

用語ようごほう

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たま中心ちゅうしんとお直線ちょくせんじょうにある球面きゅうめんじょうてんたい(その直線ちょくせん球面きゅうめんとのふたつの交点こうてん)は対蹠たいしょてん英語えいごばん (antipodal points) とばれる。たま中心ちゅうしんおよび半径はんけい共有きょうゆうする球面きゅうめんじょうえん大円だいえんい、大円だいえんにより球面きゅうめんふたつの合同ごうどう図形ずけいけられる。球面きゅうめん平面へいめん切断せつだん英語えいごばんは「球面きゅうめん切断せつだん」(球面きゅうめん断面だんめん)という。球面きゅうめん切断せつだんはすべてえんであり、そのうちで大円だいえんでないものはしょうえん英語えいごばんばれる[12]

ふたつのそうことなる対蹠たいしょてんあいだ球面きゅうめん沿った最短さいたん距離きょりとは、それらてんむすぶただひとつの大円だいえんがそのてんられるふたつののうちのちいさいほう(精確せいかくにはおおきくないほう)のながさである。この「大円だいえん距離きょり」をそなえた球面きゅうめんじょう大円だいえんリーマンえん英語えいごばんとなる。

球面きゅうめんじょう特定とくていてん任意にんいえらんで「北極ほっきょく」とするとき、その対蹠たいしょてんを「南極なんきょく」とんで、りょう極点きょくてんから等距離とうきょりにある大円だいえん赤道あかみちとする。ふたつの極点きょくてんむす大円だいえん子午線しごせんまたは経線けいせんび、たま内部ないぶとおって両極りょうきょくむす直線ちょくせん自転じてんじくぶ。赤道せきどう平行へいこうとなる球面きゅうめんじょうえん緯線いせんである。このような語法ごほうは、近似きんじてき楕円だえんたいである(地球ちきゅうのような)惑星わくせいたいしてももちいられるものである(ジオイド参照さんしょう)。

半球はんきゅうめん

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球面きゅうめん中心ちゅうしんふく任意にんい平面へいめんは、球面きゅうめんをふたつの合同ごうどう半球はんきゅうめん (hemisphere) に分割ぶんかつする。球面きゅうめん中心ちゅうしんとおまじわる任意にんいのふたつの平面へいめんは、よっつの球面きゅうめんくさびがた英語えいごばんまたは球面きゅうめん角形かくがた細分さいぶんわりする(これら図形ずけい頂点ちょうてんは、平面へいめんの交線じょうにある対蹠たいしょてん英語えいごばん一致いっちする)。

球面きゅうめん対蹠たいしょてん同一どういつするしょうじつ射影しゃえい平面へいめん英語えいごばんばれる曲面きょくめんで、これを赤道せきどうにある対蹠たいしょてん同一どういつした北半球きたはんきゅうることもできる。

この半球はんきゅうめんリーマンえん英語えいごばんによって最適さいてき面積めんせき最小さいしょうとうちょう充填じゅうてんとなると予想よそう英語えいごばんされている。[訳語やくご疑問ぎもんてん]

一般いっぱん

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任意にんい次元じげん

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球面きゅうめん概念がいねんを、任意にんい次元じげんたいして一般いっぱんすることができる。自然しぜんすう nたいして「n-次元じげん(ユークリッド)球面きゅうめん」("n-sphere") をしばしば Snいて、中心ちゅうしんとなる定点ていてんから半径はんけいとなるまった距離きょり r位置いちにある (n + 1)-次元じげんユークリッド空間くうかんないてんからなる軌跡きせきとして定義ていぎできる。とく

  • れい次元じげん球面きゅうめん S0実数じっすう直線ちょくせんうちの閉区あいだ [−r, r]りょう端点たんてんである。
  • いち次元じげん球面きゅうめん S1半径はんけい r円周えんしゅうである。
  • 次元じげん球面きゅうめん S2通常つうじょう球面きゅうめん
  • さん次元じげん球面きゅうめん S3よん次元じげんユークリッド空間くうかんないちょう球面きゅうめんあらわ

n > 2 のとき、ちょう球面きゅうめんともいう[注釈ちゅうしゃく 2]文献ぶんけんによっては次元じげん英語えいごばんが 1 のときにかぎってちょう球面きゅうめん[注釈ちゅうしゃく 3]場合ばあいまれにあるので文脈ぶんみゃく注意ちゅういすべきである。

Sn は、とくに「単位たんい球面きゅうめん」(原点げんてん中心ちゅうしんとする単位たんい半径はんけい球面きゅうめん)をあらわすためにもちいられることもある。

(n − 1)-次元じげん単位たんいちょう球面きゅうめん表面積ひょうめんせきは、ガンマ函数かんすう Γがんま(z)もちいて あたえられる。

距離きょり空間くうかん

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より一般いっぱんに、距離きょり空間くうかん (E, d) において、中心ちゅうしん x および半径はんけい r > 0球面きゅうめん距離きょり球面きゅうめん)は d(x,y) = r なるてん y軌跡きせきとして定義ていぎされる。

中心ちゅうしんE の「原点げんてん」としてとらえられる識別しきべつてんにとるとき(たとえば、ノルム空間くうかん原点げんてん距離きょり空間くうかんである)、定義ていぎ記法きほうにそのてんあらわれないかもしれない。半径はんけい1るとき、単位たんい球面きゅうめんぶのは従来じゅうらいどおりである。

距離きょり球体きゅうたい場合ばあいことなり、距離きょり球体きゅうたいはそれが十分じゅうぶんおおきい半径はんけい場合ばあいでもそら集合しゅうごうとなりる。たとえばZnユークリッド距離きょりれるとき、半径はんけい r球面きゅうめんそらでないのは r2n 整数せいすう平方和へいほうわけるときにかぎる。

位相いそう球面きゅうめん

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位相いそう幾何きかがくでは、n + 1 次元じげん位相いそう球体きゅうたい境界きょうかい同相どうしょう空間くうかんとして n-次元じげん位相いそう球面きゅうめん定義ていぎされる。これは n-次元じげんユークリッド球面きゅうめん通常つうじょう n-次元じげん球面きゅうめん)に同相どうしょうとなるが、かならずしも距離きょりけられない。

  • れい次元じげん位相いそう球面きゅうめんは、離散りさん位相いそうはいったてんたいである。
  • いち次元じげん位相いそう球面きゅうめんは、同相どうしょうちがいをのぞいて円周えんしゅうである。たとえば、任意にんいむすいち次元じげん位相いそう球面きゅうめんとなる。
  • 次元じげん位相いそう球面きゅうめんは、同相どうしょうちがいをのぞいて通常つうじょう球面きゅうめんである。たとえば、任意にんい楕円だえんたい次元じげん位相いそう球面きゅうめんとなる。

n-次元じげん位相いそう球面きゅうめんもまた Snかれる。位相いそう球面きゅうめん境界きょうかいのないコンパクト位相いそう多様たようたいれいになっている。かならずしも微分びぶん多様たようたいなめらかな多様たようたい)ではないが、なめらかな場合ばあいであってもユークリッド球面きゅうめん微分びぶん同相どうしょうとはかぎらない。

ハイネ–ボレルの被覆ひふく定理ていりにより n-次元じげんユークリッド球面きゅうめんがコンパクトであることがかる。実際じっさい球面きゅうめん連続れんぞく函数かんすう ‖ x ‖ によるいちてん集合しゅうごうぎゃくぞうであるから閉集合しゅうごうであり、また Sn有界ゆうかいである。

驚嘆きょうたんすべきことに、さん次元じげん空間くうかんないにおいて自己じこ交叉こうさすることをゆるせば、通常つうじょう球面きゅうめん一切いっさいれることなく裏返うらがえすことができる。この一連いちれん方法ほうほうたま裏返うらがえ英語えいごばん (sphere eversion) とばれる。

球面きゅうめん幾何きかがく

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球面きゅうめんじょう大円だいえん

ユークリッドの平面へいめん幾何きかがく基本きほん要素ようそてん直線ちょくせんである。球面きゅうめんじょうでも、てん通常つうじょう意味いみ定義ていぎできる。「直線ちょくせん」に相当そうとうするものは測地そくちせんで、いまの場合ばあい具体ぐたいてきには大円だいえんである。大円だいえん定義ていぎづける特徴とくちょうは、そのうえにあるてんすべてをふく平面へいめんたま中心ちゅうしんとおることである。ちょうによって距離きょりはかることにすれば、球面きゅうめんじょう任意にんいてんむす最短さいたん経路けいろが、それらのてんふく大円だいえんがそれらてんられる円弧えんこのうちのみじかいほうによってあたえられることが証明しょうめいできる。

古典こてん幾何きかがくにおけるおおくの定理ていり球面きゅうめん幾何きかがくにおいてもしんとなるが、球面きゅうめんじょうでは古典こてんいくなん公準こうじゅんがすべて満足まんぞくされるわけではない(平行へいこうせん公準こうじゅんなどは成立せいりつしない)から、しんとはならない定理ていり存在そんざいする。球面きゅうめん三角さんかくほうにおいて、かく大円だいえんあいだ定義ていぎされる。球面きゅうめん三角さんかくほう通常つうじょう三角さんかくほうとは様々さまざまてんことなる。たとえば、球面きゅうめん三角形さんかっけい内角ないかくつね180° よりおおきい。あるいはまた、任意にんいたがいに相似そうじ英語えいごばんなふたつの球面きゅうめん三角形さんかっけい合同ごうどうである。

球面きゅうめんかんする11の性質せいしつ

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球面きゅうめんほうベクトル、ほう平面へいめんおよびそのほう断面だんめん。交線のきょくりつ断面だんめんきょくりつである。球面きゅうめんたいしてあたえられたてんとおかくほう断面だんめんおな半径はんけい(それはたま半径はんけいひとしい)をえんになる。これは球面きゅうめんじょう任意にんいてんほぞてんであることを意味いみする。

ダフィット・ヒルベルトシュテファン・コーン゠フォッセン英語えいごばん著書ちょしょ Geometry and the Imagination[13]かれらは、球面きゅうめんの11の性質せいしつ記述きじゅつし、それらの性質せいしつ球面きゅうめん一意いちい決定けっていするかどうかについてろんじた。それらのうちのいくつかは(半径はんけい無限むげんだい球面きゅうめん看做みなせる)平面へいめん満足まんぞくする。それら11性質せいしつとは:

  1. 球面きゅうめんじょうのすべてのてんひとつの定点ていてんから同一どういつ距離きょりにある。また、ふたつの定点ていてんからそれらてんへの距離きょり一定いっていである」
    [注釈ちゅうしゃく] 前半ぜんはん球面きゅうめん通常つうじょう定義ていぎで、球面きゅうめん一意いちい決定けっていする。後半こうはん容易よういみちびかれ、円周えんしゅうたいするペルガのアポロニウス結果けっか同様どうようのことがしたがう。後半こうはん内容ないよう平面へいめんたす。
  2. 球面きゅうめん等高線とうこうせんおよび平面へいめん切断せつだんはすべてえんである」
    [注釈ちゅうしゃく] この性質せいしつ球面きゅうめん一意いちい定義ていぎする。
  3. 球面きゅうめんはば一定いっていかつしゅうちょう一定いっていである」
    [注釈ちゅうしゃく] 曲面きょくめんはば平行へいこうせっ平面へいめんたいあいだ距離きょりとしてはかる。ほかにもいくつかていはばとつ閉曲めんはあり、たとえばマイスナーの立体りったい英語えいごばんはそうである。曲面きょくめんしゅうちょう (girth) は、曲面きょくめん平面へいめんじょう直交ちょっこう射影しゃえいしたぞう境界きょうかい外周がいしゅうながさである。これらの性質せいしつ各々おのおの性質せいしつみちびく。
  4. 球面きゅうめんじょうのすべてのてんはほぞてん英語えいごばんである」
    [注釈ちゅうしゃく] 球面きゅうめん法線ほうせんっきゅう中心ちゅうしんから放射状ほうしゃじょうびる直線ちょくせんであるから、曲面きょくめんじょう任意にんいてんにおいてほう方向ほうこう曲面きょくめん直角ちょっかくである。法線ほうせんふく平面へいめんとの交線は「ほう断面だんめん」とばれる曲線きょくせんをなし、その曲線きょくせんきょくりつを「ほうきょくりつ」とぶ。おおくの曲面きょくめんたいしてそのうえてんおおくはことなる切断せつだんたいしてことなるきょくりつつ。それらきょくりつなか最大さいだいおよび最小さいしょうつものをしゅきょくりつう。任意にんいの閉曲めんすくなくともよっつの「ほぞてん」とばれるてんつ。ほぞてんにいてすべての断面だんめんきょくりつとくにふたつのしゅきょくりつ)はひとしい。ほぞてん曲面きょくめん球面きゅうめんきわめて近似きんじできるてんなすことができる。
    球面きゅうめんたいしてはすべてのほう断面だんめんきょくりつひとしいから、任意にんいてんほぞてんである。この性質せいしつたす曲面きょくめんは、球面きゅうめん平面へいめんかぎる。
  5. 球面きゅうめん中心ちゅうしん曲面きょくめんたない」
    [注釈ちゅうしゃく] あたえられたほう断面だんめんたいして、断面だんめんきょくりつひとしいきょくりつ曲面きょくめんせっするえん存在そんざいして、その中心ちゅうしんせん法線ほうせんじょうる。たとえば、最大さいだいおよび最小さいしょう断面だんめんきょくりつ対応たいおうする中心ちゅうしんてんは「焦点しょうてん」とばれ、そのような中心ちゅうしんてん全体ぜんたい集合しゅうごうこげめん英語えいごばんす。
    大半たいはん曲面きょくめんではこげめんよう曲面きょくめん(それぞれが曲面きょくめんとなるようなふたつの集合しゅうごう)をし、ふたつのほぞてんまじわる。いくつかの場合ばあい特別とくべつである:
    • 管状かんじょう曲面きょくめん英語えいごばん場合ばあい一葉いちよう曲線きょくせんでありもういちよう曲面きょくめんとなる。
    • 円錐えんすい円筒えんとうトーラスサイクライド英語えいごばん場合ばあいは、ようとも曲線きょくせんす。
    • 球面きゅうめん場合ばあい任意にんい接触せっしょくえん中心ちゅうしんっきゅう中心ちゅうしんであり、こげめんいちてんとなる。この性質せいしつ球面きゅうめんたいして一意いちいである。
  6. 球面きゅうめん任意にんい測地そくちせん閉曲線へいきょくせんである」
    [注釈ちゅうしゃく] 測地そくちせん曲面きょくめんじょう曲線きょくせんで、てんあいだ最短さいたん距離きょりあたえるものである。これは平面へいめんじょう直線ちょくせん概念がいねん一般いっぱんするものである。球面きゅうめんじょう測地そくちせん大円だいえん。この性質せいしつ満足まんぞくする曲面きょくめんほかにもたくさんある。
  7. あたえられた体積たいせきつすべての立体りったいなかで、たま表面積ひょうめんせきもっとちいさくなるもののひとつである。あたえられた表面積ひょうめんせきつすべての立体りったいなかで、たまもっとおおきい体積たいせきつもののひとつである」
    [注釈ちゅうしゃく] これはとうしゅう不等式ふとうしきからしたがう。これらの性質せいしつ球面きゅうめん一意いちい定義ていぎし、その定義ていぎ仕方しかたシャボンだまのようなものとおもえる—シャボンだままった体積たいせきかこんで、その体積たいせきたいして表面積ひょうめんせき表面張力ひょうめんちょうりょく極小きょくしょう最小さいしょうされるようにまる。だから自由じゆうかぶシャボンだま球面きゅうめん近似きんじする(重力じゅうりょくのような外力がいりょくがシャボンだま形状けいじょうをややいがませる)。
  8. あたえられた表面積ひょうめんせきつすべてのとつ立体りったいのなかで、球面きゅうめんもっとちいさいぜん平均へいきんきょくりつつ」
    [注釈ちゅうしゃく] 平均へいきんきょくりつ英語えいごばんふたつのしゅきょくりつ平均へいきんで、球面きゅうめんすべてのてんふたつのしゅきょくりつ一定いっていであるから、平均へいきんきょくりつ一定いってい
  9. 球面きゅうめん一定いってい平均へいきんきょくりつつ」
    [注釈ちゅうしゃく] 球面きゅうめん境界きょうかい特異とくいてんもなくせい一定いってい平均へいきんきょくりつ唯一ゆいいつまれた曲面きょくめんである。一定いってい平均へいきんきょくりつまれた曲面きょくめん極小きょくしょう曲面きょくめんがある。
  10. 球面きゅうめんせい一定いっていガウスきょくりつつ」
    [注釈ちゅうしゃく] ガウスきょくりつふたつのしゅきょくりつせきである。ガウスきょくりつは、曲面きょくめんじょうながさや角度かくどはかることで決定けっていされ、その曲面きょくめん空間くうかんへのみの仕方しかたらないという意味いみで、曲面きょくめん内在ないざいてき性質せいしつである。したがって、曲面きょくめんげてもガウスきょくりつわらず、またほかのせい一定いっていガウスきょくりつ曲面きょくめん球面きゅうめんちいさなれてそれをげることでることができる。そうしてられた球面きゅうめん以外いがい曲線きょくせん境界きょうかい球面きゅうめん境界きょうかいたないせい一定いっていガウスきょくりつ唯一ゆいいつ曲面きょくめんとなる。なずらえ球面きゅうめんまけ一定いっていガウスきょくりつ曲面きょくめんれいである。
  11. 剛体ごうたい運動うんどうさんみちすうぞくによって球面きゅうめん球面きゅうめん自身じしん変形へんけいされる」
    [注釈ちゅうしゃく] 原点げんてん中心ちゅうしんとする単位たんい球面きゅうめんについて、任意にんい座標軸ざひょうじくまわりの回転かいてんでこの球面きゅうめん自身じしんうつる。原点げんてんとお任意にんい直線ちょくせんまわりの回転かいてんは、さん座標軸ざひょうじくまわりの回転かいてんわせであらわすことができる(オイラーかくこう参照さんしょう)から、さき球面きゅうめんをそれ自身じしんうつ任意にんい回転かいてんからなる回転かいてんさんみちすうぞく存在そんざいする(このぞくさん次元じげん回転かいてんぐん SO(3) である)。ほかに変換へんかんさんみちすうぞく曲面きょくめんは、平面へいめん(この場合ばあいぞくは、x-じくおよび y-じく沿った平行へいこう移動いどう原点げんてん中心ちゅうしんとする回転かいてんみちすうけられる)にかぎる。円筒えんとう剛体ごうたい運動うんどうのにみちすうぞく唯一ゆいいつ曲面きょくめんであり、いちみちすうぞく曲面きょくめん回転かいてん曲面きょくめんおよび螺旋らせんめん英語えいごばんかぎる。

ギャラリー

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関連かんれん項目こうもく

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ちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 古希こき: σしぐまφふぁいαあるふぁρろーαあるふぁ (sphaira) に由来ゆらい
  2. ^ ちょう立方体りっぽうたいなどとおなじく「こう次元じげん図形ずけい相当そうとうするものという意味いみで「ちょう球面きゅうめんんでいる
  3. ^ この「ちょう-」の使つかかたは、ちょう平面へいめんなどとおな語法ごほうである。

出典しゅってん

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  1. ^ a b Albert 2016, p. 54.
  2. ^ a b c Woods 1961, p. 266.
  3. ^ Kreyszig 1972, p. 342.
  4. ^ Albert 2016, p. 60.
  5. ^ Steinhaus 1969, p. 223.
  6. ^ Weisstein, Eric W. "Sphere". mathworld.wolfram.com (英語えいご).
  7. ^ Steinhaus 1969, p. 221.
  8. ^ Albert 2016, p. 55.
  9. ^ Albert 2016, p. 57.
  10. ^ a b c d Woods 1961, p. 267.
  11. ^ Albert 2016, p. 58.
  12. ^ Weisstein, Eric W. "Spheric section". mathworld.wolfram.com (英語えいご).
  13. ^ Hilbert, David; Cohn-Vossen, Stephan (1952). Geometry and the Imagination (2nd ed.). Chelsea. ISBN 0-8284-1087-9 
  14. ^ New Scientist | Technology | Roundest objects in the world created

参考さんこう文献ぶんけん

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  • Albert, Abraham Adrian (2016) [1949], Solid Analytic Geometry, Dover, ISBN 978-0-486-81026-3 
  • Dunham, William. The Mathematical Universe: An Alphabetical Journey Through the Great Proofs, Problems and Personalities. pp. 28, 226. ISBN 0-471-17661-3 
  • Kreyszig, Erwin (1972), Advanced Engineering Mathematics (3rd ed.), New York: Wiley, ISBN 0-471-50728-8 
  • Steinhaus, H. (1969), Mathematical Snapshots (Third American ed.), Oxford University Press 
  • Woods, Frederick S. (1961) [1922], Higher Geometry / An Introduction to Advanced Methods in Analytic Geometry, Dover 

外部がいぶリンク

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