(Translated by https://www.hiragana.jp/)
尋常性白斑 - Wikipedia コンテンツにスキップ

尋常じんじょうせい白斑はくはん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
尋常じんじょうせい白斑はくはん
白斑はくはん
概要がいよう
診療しんりょう 皮膚ひふ科学かがく
分類ぶんるいおよび外部がいぶ参照さんしょう情報じょうほう
ICD-10 L80
ICD-9-CM 709.01
OMIM 193200
DiseasesDB 13965
MedlinePlus 000831
eMedicine derm/453
Patient UK 尋常じんじょうせい白斑はくはん
MeSH D014820

尋常じんじょうせい白斑はくはん(じんじょうせいはくはん、えい: vitiligo vulgaris)は、皮膚ひふ色素しきそメラニン生成せいせいする部位ぶいメラニン細胞さいぼう)の損失そんしつ不規則ふきそくこす、慢性まんせいてき皮膚ひふ疾患しっかんである。先天せんてんせい遺伝子いでんし疾患しっかんであるアルビノことなり、後天こうてんせい疾患しっかんである。別名べつめいしろなまず白癜しろなまず)。

米国べいこく歌手かしゅマイケル・ジャクソンの外観がいかん変化へんかはこの病気びょうきによるもので、そのことがおおやけにされたのは司法しほう解剖かいぼうであった[1]

原因げんいん

[編集へんしゅう]

原因げんいん不明ふめい部分ぶぶんおおい。研究けんきゅう結果けっか遺伝いでん自己じこ免疫めんえき疾患しっかん環境かんきょう要因よういんわせによりこされると示唆しさされている。皮膚ひふいろ構成こうせいするメラニン生成せいせいするメラニン細胞さいぼう(メラノサイト)が消失きえうせ、あるいは機能きのう停止ていししているとも示唆しさされている。

症状しょうじょう頭髪とうはつ部分ぶぶんると、その部分ぶぶんいろしろくなる場合ばあいもある。

チロシン誘導体ゆうどうたいとみなせるフェノール化合かごうぶつや、一部いちぶ成分せいぶん色素しきそだつしつ英語えいごばんしょうじることがあり、これは通常つうじょう白斑はくはん鑑別かんべつできる特徴とくちょうはなく「化学かがく物質ぶっしつによる白斑はくはん」とされる[2]化学かがく物質ぶっしつによる白斑はくはん通常つうじょう接触せっしょくした部位ぶいこるが、はなれた部位ぶいにもしょうじることがある[2]

スキンケア化粧けしょうひん薬用やくよう化粧けしょうひん)にふくまれていた美白びはく成分せいぶんロドデノールにより、2013ねん白斑はくはんきて問題もんだいとなった。

疫学えきがく

[編集へんしゅう]

すべての白斑はくはんのうち、尋常じんじょうせい白斑はくはんが6わりめる[3]。2009ねん発表はっぴょうされた論文ろんぶんでは、日本にっぽんでの疾患しっかん発生はっせいりつは1.68%であった[3]ぜん世界せかいでは、0.5-1%が罹患りかんしているとされる。治療ちりょう抵抗ていこうせい再発さいはつしやすい[3]アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでの疾患しっかん発生はっせいりつは、1%-2%とかんがえられている。

20-30%の尋常じんじょうせい白斑はくはん患者かんじゃで、家系かけいない発症はっしょうがみられる[3]

分類ぶんるい

[編集へんしゅう]
  • ひろしはつがた
皮膚ひふ分節ぶんせつ無関係むかんけいだつ色素しきそまだら多発たはつしてしょうじる。徐々じょじょだつ色素しきそまだら新生しんせい拡大かくだいし、最終さいしゅうてきには全身ぜんしんひろがる。甲状腺こうじょうせん機能きのう異常いじょう合併がっぺいすることもある。メラニン細胞さいぼう(メラノサイト)にたいするちゅう自己じこ抗体こうたい出現しゅつげんし、メラニン細胞さいぼう死滅しめつすることによりしょうじる、自己じこ免疫めんえき疾患しっかんひとつである。甲状腺こうじょうせん機能きのう異常いじょう合併がっぺいしていることがおおいのもこの関係かんけいがあるとかんがえられる。
  • 神経しんけい分節ぶんせつがた
後天こうてんせいで、思春期ししゅんきなどにおける精神せいしん不安定ふあんていさがある若年じゃくねんしゃ、またはストレスや皮膚ひふへの過剰かじょう刺激しげきけた直後ちょくごおお発症はっしょうし、皮膚ひふ分節ぶんせつ一致いっちしてだつ色素しきそまだら出現しゅつげんする。皮膚ひふ分節ぶんせつえて拡大かくだいすることはない。からだ片側かたがわだけに出現しゅつげんすることがおおい。局所きょくしょ自律じりつ神経しんけい障害しょうがい原因げんいんであるが、正確せいかくなことはわかっていない。メラニン細胞さいぼう完全かんぜん死滅しめつしていない。

治療ちりょう

[編集へんしゅう]

治療ちりょう抵抗ていこうせい再発さいはつしやすい[4]ステロイド外用がいようやくナローバンドUVB療法りょうほう治療ちりょうだいいち選択せんたくとなる。

治療ちりょうとしては日焼ひやけることで、本来ほんらい皮膚ひふいろしろくし、患部かんぶ比較的ひかくてき目立めだたなくさせる場合ばあいもある。セラピーメイクや刺青しせい皮膚ひふ移植いしょくおこなうことで、患部かんぶ正常せいじょう部位ぶい境目さかいめくしたり目立めだたなくするれいもある。

2012ねん日本にっぽんのガイドラインでは、ステロイド外用がいようやく推奨すいしょうたかく、推奨すいしょうAからBとされる[3]推奨すいしょうBでは、タクロリムス軟膏なんこう(カルシニューリン阻害そがいざい)、PUVA療法りょうほう紫外線しがいせん治療ちりょう)と、おなじく光線こうせんもちいるなら治療ちりょう効果こうかすぐれるナローバンドUVB療法りょうほう紫外線しがいせんBなみ治療ちりょう)が優先ゆうせんされる[3]推奨すいしょうC1からC2ではビタミンD3外用がいようやくでPUVAやUVBとの併用へいよう考慮こうりょされてもよく、推奨すいしょうC1では308nmエキシマレーザーライト照射しょうしゃである[3]

ステロイド外用がいようやくでは限局げんきょくがた白斑はくはんでは75%の色素しきそ再生さいせいがなされ、2かげつまでに効果こうかがなければ治療ちりょう変更へんこうする[5]ひろしはつがたでは20%であるため、UVBなどの光線こうせん療法りょうほうだいいち選択せんたくとなり推奨すいしょうBとなる[5]。ステロイドの副作用ふくさようには、皮膚ひふ萎縮いしゅく毛細血管もうさいけっかん拡張かくちょうふくまれる[6]

ナローバンドUVB療法りょうほうではソラレン使つかわないが、PUVA療法りょうほうではソラレンを併用へいようしてひかりたい過敏かびんにするため、おも副作用ふくさよう重度じゅうど日焼ひやけ、水疱すいほう色素しきそ沈着ちんちゃくがある[6]経口けいこうPLエキス(フェーンブロック)を使つかって、PUVAかUVBを併用へいようしたいくつかのじゅうめくらけん試験しけんがあり、色素しきそもどることが偽薬ぎやくよりおおく、ひとつの試験しけんでは頭部とうぶしゅおおかったがからだみき四肢ししでは偽薬ぎやくとのはなかった[6]白斑はくはんではメラニン細胞さいぼううしなわれているが、基礎きそ研究けんきゅうでは白斑はくはんひとでもこれに分化ぶんかしうるみき細胞さいぼう存在そんざいしているため、分化ぶんかうなが治療ちりょうつかれば理想りそうてきである[7]紫外線しがいせんによる治療ちりょうはこの分化ぶんかうなが再生さいせい医療いりょうれいであるが、まだ完全かんぜん回復かいふくりつとはなっていない[8]

モノベンゾン(ハイドロキノンモノベンジルエーテル)は、身体しんたい半分はんぶん以上いじょうなど広範囲こうはんい白斑はくはんがあり、治療ちりょう反応はんのうしない場合ばあいに、白斑はくはん完遂かんすいさせるための脱色だっしょく治療ちりょうとして使つかわれる[2]日本にっぽんでの報告ほうこくでは、顔面がんめんではやく4かげつあいだ治療ちりょうえている[9]マイケル・ジャクソンおこなった方法ほうほうわれている。

有効ゆうこうせい

[編集へんしゅう]

300にんたいしてけい1060かしょ実施じっしした2018ねん研究けんきゅうでは、自分じぶん表皮ひょうひ細胞さいぼう白斑はくはん部位ぶいへの注射ちゅうしゃによって、注射ちゅうしゃから9かげつ時点じてん半分はんぶん以上いじょうさい色素しきそ沈着ちんちゃくこった割合わりあいは32.2%で、かおくびからだみき反応はんのうしやすかった[10]。2019ねんの21人ひとりでのランダム比較ひかく試験しけんでは、さらにこの表皮ひょうひ細胞さいぼうえき血小板けっしょうばん血漿けっしょう (PRP) ととも注射ちゅうしゃした場合ばあい表皮ひょうひ細胞さいぼうえきのみを注射ちゅうしゃするよりも6かげつ時点じてんさい色素しきそ沈着ちんちゃくおおかった[11]

2018ねん薬草やくそうのレビューでは、PLエキスとソラレン代替だいたいケリン以外いがいでは、結果けっか一貫いっかんせいがなかったり、おおくとも研究けんきゅうが1、2けんしかげられていない[12]けい25にん研究けんきゅうマイクロニードリング(0.5ミリまで)と併用へいようしたフルオロウラシルほうが、おなじく併用へいようしたタクロリムスよりさい色素しきそ沈着ちんちゃく有効ゆうこうであった[13]

子供こども白斑はくはん

[編集へんしゅう]

2010ねん調査ちょうさでは、子供こども白斑はくはんはステロイド外用がいようやく比較ひかくしてカルシニューリン阻害そがいざい(タクロリムス)は、同等どうとう有効ゆうこうせいだが副作用ふくさようがより安全あんぜんであり、全身ぜんしんせい白斑はくはんにおける光線こうせん療法りょうほうではPUVA療法りょうほうよりも色素しきそ沈着ちんちゃくりつ安全あんぜんせいにおいてナローバンドUVB療法りょうほうすぐれ、治療ちりょうおこなわないことも無害むがい選択肢せんたくしとなるとした[14]

マイケル・ジャクソンについて

[編集へんしゅう]

アメリカの歌手かしゅマイケル・ジャクソンの外観がいかんには白斑はくはんられるが、これは撮影さつえいさいった頭部とうぶ火傷かしょうやストレスなどによる後天的こうてんてき発症はっしょうであり、先天的せんてんてき異常いじょうではない[1]かれながらく偏見へんけん報道ほうどうなやまされていた。かれやまい公的こうてき証明しょうめいされたのは死後しご司法しほう解剖かいぼうであった[1]

出典しゅってん

[編集へんしゅう]
  1. ^ a b c 検死けんし報告ほうこくしょ” (PDF). 2014ねん7がつ30にち閲覧えつらん
  2. ^ a b c Harris, John E. (2017). “Chemical-Induced Vitiligo”. Dermatologic Clinics 35 (2): 151–161. doi:10.1016/j.det.2016.11.006. PMC 5362111. PMID 28317525. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5362111/. 
  3. ^ a b c d e f g 日本にっぽん皮膚ひふ学会がっかい 2012, p. 1726.
  4. ^ 日本にっぽん皮膚ひふ学会がっかい 2012, p. 1725.
  5. ^ a b 日本にっぽん皮膚ひふ学会がっかい 2012, p. 1732.
  6. ^ a b c Nestor M, Bucay V, Callender V et al (2014-3). “Polypodium leucotomos as an Adjunct Treatment of Pigmentary Disorders”. The Journal of clinical and aesthetic dermatology 7 (3): 13–17. PMC 3970827. PMID 24688621. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/pmid/24688621/. 
  7. ^ Kumar, R.; Parsad, D.; Rani, S.; et al (2016). “Glabrous lesional stem cells differentiated into functional melanocytes: new hope for repigmentation”. Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology 30 (9): 1555–1560. doi:10.1111/jdv.13686. PMID 27538731. 
  8. ^ Birlea, Stanca A.; Costin, Gertrude-E.; Roop, Dennis R.; et al (2017). “Trends in Regenerative Medicine: Repigmentation in Vitiligo Through Melanocyte Stem Cell Mobilization”. Medicinal Research Reviews 37 (4): 907–935. doi:10.1002/med.21426. PMC 5466503. PMID 28029168. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5466503/. 
  9. ^ たきわきひろし嗣、藤本ふじもと和代かずよハイドロキノンモノベンジルエーテル(モノベンゾン)によるひろしはつがた白斑はくはんだつ色素しきそ治療ちりょう」『西日本にしにほん皮膚ひふだい68かんだい4ごう、2006ねん、403-407ぺーじdoi:10.2336/nishinihonhifu.68.403  リンクさき要旨ようしのみ
  10. ^ Orouji, Zahra; Bajouri, Amir; Ghasemi, Mahshid; et al (2018). “A single-arm open-label clinical trial of autologous epidermal cell transplantation for stable vitiligo: A 30-month follow-up”. Journal of Dermatological Science 89 (1): 52–59. doi:10.1016/j.jdermsci.2017.10.007. PMID 29103774. 
  11. ^ Parambath, Nimitha; Sharma, Vinod K.; Parihar, Anita S.; et al (2019). “Use of platelet-rich plasma to suspend noncultured epidermal cell suspension improves repigmentation after autologous transplantation in stable vitiligo: a double-blind randomized controlled trial”. International Journal of Dermatology 58 (4): 472–476. doi:10.1111/ijd.14286. PMID 30506679. 
  12. ^ Gianfaldoni S, Wollina U, Tirant M et al (2018-1). “Herbal Compounds for the Treatment of Vitiligo: A Review”. Open access Macedonian journal of medical sciences 6 (1): 203–207. doi:10.3889/oamjms.2018.048. PMC 5816300. PMID 29484024. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/pmid/29484024/. 
  13. ^ Mina, Mary; Elgarhy, Lamia; Al-saeid, Hanan; et al (2018). “Comparison between the efficacy of microneedling combined with 5-fluorouracil vs microneedling with tacrolimus in the treatment of vitiligo”. Journal of Cosmetic Dermatology 17 (5): 744–751. doi:10.1111/jocd.12440. PMID 29532621. 
  14. ^ Dhurat, Rachita; Sharma, Aseem; Goren, Andy; et al (2019). “Mission impossible: Dermal delivery of growth factors via microneedling”. Dermatologic Therapy: e12897. doi:10.1111/dth.12897. PMID 20553403. 

参考さんこう文献ぶんけん

[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく

[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]