停車場・施設・接続路線
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宇都宮線(うつのみやせん)は、栃木県栃木市の新栃木駅と同県宇都宮市の東武宇都宮駅を結ぶ東武鉄道の鉄道路線である。駅ナンバリングの路線記号はTN。2023年6月10日から2024年5月末までの約1年間限定の予定で、「いちご王国」ラインの愛称が付けられる[2]。
栃木県の県庁所在地である宇都宮市中心部と同市南部、壬生町および栃木市を結ぶ路線である。東日本旅客鉄道(JR東日本)の「宇都宮線」が東北本線の列車運転系統の愛称であるのに対し、本路線は愛称ではなく正式な線路名称である上、先に名付けられている。ラインカラーは東武日光線と同様にオレンジと赤紫(■■)を用いている。
東武鉄道の路線網の中では支線的存在にありながら、幹線(伊勢崎線〈東武スカイツリーライン〉・日光線)との往来よりも末端である東武宇都宮駅を中心とした利用が多く、1日約24000人の利用があり(2016年度)、「日光線の支線」というより「宇都宮南西部における都市鉄道」または「県央地域における都市近郊路線」としての性格が強い[3](p3)。朝通勤時の下り列車(東武宇都宮行き)は東武宇都宮駅の改札口の位置関係上、先頭車両が激しく混雑しやすい。
全線が単線であるものの全駅が交換設備を持ち、また複線化用地が全線にわたって確保されていた形跡が見られる。東武宇都宮駅はJR宇都宮駅より市の中心部に近い場所に位置しており、さらに併設されている東武宇都宮百貨店は、日光線の一部にまで商圏が及び、鉄道の集客に効果を発揮している。沿線には駅を中心に百貨店のほか住宅地や医療施設、競技場[注釈 1]などが整備されている。
一方で対東京輸送面では所要時間・利用客の面でJRに大きく差を付けられており、東京の浅草駅方面に直通する特急や急行列車、準急列車などは廃止され、日光線南栗橋駅・新栃木駅と東武宇都宮駅間で運転される普通列車が主体となっている[4]。少ないながらも存在する東京方面の中距離需要は栃木駅で特急列車に接続する形で対応しているが、それでも浅草駅 - 東武宇都宮駅間は1時間50分も要し、JR快速列車の所要時間(1時間30分)にさえ及ばない(上野駅 - 宇都宮駅間と比較した場合。なお、2024年春のJRダイヤ改正により、宇都宮駅から上野駅を結ぶ上りの快速列車「ラビット」は廃止された)。
東武では唯一、定期列車が全てVVVFインバータ制御の車両で運転される路線である。
伊勢崎・日光線の支線としては運行本数、両数ともに充実しており[注釈 2]、全列車が普通列車であるが、ワンマン運転の4両編成が1時間あたり昼間2本、ラッシュ時は2 - 4本[注釈 3]の頻度で運行され、概ね半数程度が日光線南栗橋駅まで直通する。ほとんどの列車が栃木駅で「けごん」などの特急列車や日光線急行・普通列車と相互接続し、浅草・日光方面を結んでいる。なお、南栗橋駅まで直通しない列車は、新栃木駅または栃木駅で折り返す。日中の新栃木駅折り返し列車は、同駅で東武日光方面からの普通列車に接続する。
各駅のホームにはホーム監視モニターが設置され、普通列車のドア開閉は運転士が行っている。車内では自線の他、日光線・鬼怒川線の主要列車が記載された時刻表が掲出されている。
以前は伊勢崎線浅草駅 - 東武宇都宮駅間直通の準急(あるいは料金不要の急行・快速・準快速など、所要時間は約2時間30分 - 3時間、宇都宮線内は各駅に停車)が運行され、長らくおおむね1時間あたり1本の割合で設定されていたが[5]、1994年には下り東武宇都宮行きは夕方・上り浅草行きは朝と夜運転で6往復[6]、2001年時点では下り東武宇都宮行きが夕方に1本・上りは朝に業平橋(現・とうきょうスカイツリー)行きが1本・浅草行きが1本となり[7]、2006年3月18日のダイヤ改正で廃止された。
また、350型4両編成を使用した特急「しもつけ」が朝の東武宇都宮発浅草行き1本と夕方の浅草発東武宇都宮行き1本で毎日運行されていたが、2020年4月24日で運行を終了した[注釈 4]。この列車は宇都宮線内で唯一通過運転を行っており、またワンマン運転の対象外となっていた。
現在の車両[編集]
なお、350型が乗り入れなくなったことで(後述)、東武鉄道の路線では初めて全ての定期運用車両がVVVFインバータ制御になった。
- 3070系
- 栃木県の内陸部での高温多湿(猛暑)が問題となった時期[いつ?]に、伊勢崎線で朝ラッシュ時の増結運用を終えた春日部検修区の8000系や10000系を南栗橋から回送し、非冷房の3070系の運用を置き換えることで、午後のみではあるものの冷房化が図られたことがある。宇都宮線の4運用のうち3運用がこの方法で午後のみ置き換えられ、5050系の転入まで継続された。
- 5050系
- 2006年12月31日をもって運用終了した。当時は5155F - 5157F・5160F - 5162Fの4両編成6本が運用されていたが、全車が廃車解体された。当線は5000系列が最後まで運行された線区であった。
- 6050系
- ワンマン運転を開始するため、8000系ワンマン対応車に置き換えられた。
- 8000系
- 2019年5月をもって運用終了した。当時は8189F・8190F・81105F・81106F・81108F・81115F・81116F・81118Fの4両編成8本が運用されていたが、いずれも20400型に置き換えられ全車が廃車解体された。
- 10000型・10030型
- ワンマン運転を開始するため、8000系ワンマン対応車に置き換えられた。
- 30000系
- ワンマン運転を開始するため、2007年5月上旬に8000系ワンマン対応車に置き換えられ、南栗橋車両管区春日部支所に戻された。
- 350型
- 特急「しもつけ」用。普通列車のワンマン運転開始後も車掌が乗務していた。2020年4月24日で運行を終了[注釈 4]。
当区間の優等列車の歴史については「しもつけ (列車)」も参照のこと。
- 1928年(昭和3年)12月7日:鉄道免許状下付(下都賀郡大宮村-宇都宮市)[10][11]。
- 1930年(昭和5年)3月:複線化に計画を変更[11]。
- 1931年(昭和6年)
- 1932年(昭和7年)
- 1933年(昭和8年)
- 4月6日:急行電車の設定が認可される[11]。
- 12月15日:野球場前駅を常設駅とし南宇都宮駅に改称。
- 1944年(昭和19年)
- 1953年(昭和28年):浅草 - 東武宇都宮間の料金不要の急行・準急(毎時1-2本運行)に加え、愛称無しの有料急行1往復運行開始。現在の特急「しもつけ」とほぼ同じダイヤ設定。当時の日光線準急は浅草 - 東武日光間と浅草 - 東武宇都宮間に運転されていた。
- 1954年(昭和29年)9月24日:花房町駅廃止。
- 1956年(昭和31年):浅草 - 東武宇都宮間の有料急行に「しもつけ」の愛称が与えられる。
- 1959年(昭和34年)
- 11月:浅草 - 東武宇都宮間の急行「しもつけ」廃止[11]。浅草 - 東武宇都宮間直通列車は再び準急・快速(毎時1-2本)のみとなる。
- 11月28日:東武宇都宮駅移転に伴い0.1km短縮(24.3km)[11]。
- 1965年(昭和40年)6月7日:おもちゃのまち駅開業[11]。
- 1970年(昭和45年)
- 1988年(昭和63年)8月9日:浅草 - 東武宇都宮間に快速急行「しもつけ」(6050系を使用)運転開始[11]。
- 1989年(平成元年)11月28日:柳原信号所廃止。
- 1991年(平成3年)7月21日:ダイヤ改正により、快速急行「しもつけ」を急行に格上げ[11]、使用車両を350系に切り替える[11]。
- 2006年(平成18年)3月18日:ダイヤ改正に伴う種別名変更により、急行「しもつけ」を特急に格上げ[11]。同時に特急以外の浅草直通列車が廃止された。
- 2007年(平成19年)
- 8月:一部の時間帯で普通列車ワンマン運転開始。
- 10月31日:全普通列車でワンマン運転開始[11]。
- 2015年(平成27年)
- 2018年(平成30年)
- 6月16日:栃木県県民の日記念イベントにあわせ、「東武宇都宮線フリー乗車DAY」を初実施。栃木 - 東武宇都宮間が無料で乗車出来る「東武宇都宮線フリー乗車券」を宇都宮線各駅で配布[3]。
- 9月3日:20400型電車営業運転開始[9]。
- 2019年(令和元年)6月15日:「東武宇都宮線無料乗車DAY」を前年に引き続き開催。いちごの形をした無料乗車券を宇都宮線各駅及び栃木駅にて配布。栃木 - 東武宇都宮間で臨時特急スカイツリートレインが3往復運転された[19][20]。
- 2020年(令和2年)
- 2023年(令和5年)6月10日:2024年5月までの期間限定で路線愛称を「いちご王国」ラインとする[2]。あわせてこの日限定で「東武宇都宮線フリー乗車DAY」を実施[2]。
- 凡例
- 線路 … ∥:複線区間、◇:単線区間(列車交換可能)、∨:これより下は単線、∧:終点(列車交換可能)
過去の接続路線[編集]
- 栃木駅:鍋山人車鉄道 - 1956年11月廃止
- 柳原信号所:柳原線 - 1989年11月28日廃止(貨物線)
- 壬生駅:小倉川砂利線 - 1984年2月1日廃止(貨物線)
- 西川田駅:大谷線 - 1964年6月16日廃止
廃駅・廃止信号所[編集]
- 柳原信号所(野州大塚 - 壬生間)
- 花房町駅(南宇都宮 - 東武宇都宮間)