(Translated by https://www.hiragana.jp/)
流体機械 - Wikipedia コンテンツにスキップ

流体りゅうたい機械きかい

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

流体りゅうたい機械きかい(りゅうたいきかい、Fluid Machinery)とは、流体りゅうたい機械きかいあいだエネルギー変換へんかんをする装置そうちである。一般いっぱん機械きかいてきエネルギーは電動でんどうなどの駆動くどうじく回転かいてん運動うんどうエネルギーであるが、プロペラのように直接ちょくせつ推力すいりょくとしてもちいられる場合ばあいもある。

歴史れきし

[編集へんしゅう]

人類じんるい農耕のうこう中心ちゅうしんとする定住ていじゅう生活せいかつはじめるうえもっと重要じゅうよう問題もんだいみず確保かくほであり、世界せかいよんだい文明ぶんめいはいずれも大河たいが河口かこう付近ふきん肥沃ひよく三角州さんかくすはじまった。人口じんこうえるにしたがって、大量たいりょう飲料いんりょうすい灌漑かんがい用水ようすい確保かくほ最大さいだい問題もんだいとなり、水道すいどう建設けんせつし、下水道げすいどう整備せいびし、大量たいりょうみずげる装置そうち考案こうあんした。紀元前きげんぜん1000ねんごろから中国ちゅうごくユーフラテスナイル地方ちほう水車みずぐるま使つかわれていた。初期しょきにはたけ木材もくざいつくられたした水車みずぐるまだったが、水路すいろ構築こうちくとともにうえ水車みずぐるま使つかわれるようになった。紀元前きげんぜん3世紀せいきごろエジプトアルキメデスアルキメディアン・スクリュー改良かいりょうしたとつたえられている。

はじめてふうちから利用りようして動力どうりょくしたのはふねであるとかんがえられている。エジプトでは紀元前きげんぜん2800ねんごろからナイルがわやエジプト沿岸えんがん帆船はんせん使用しようされた。風車かざぐるまは、フェニキア時代じだい帆船はんせん三角さんかくから発展はってんしたとわれる。

それ以来いらい人類じんるいみずげるポンプ、ながれるみず空気くうきから動力どうりょく水車みずぐるま風車かざぐるま様々さまざま工夫くふうくわえてきたが、今日きょう機械きかい原型げんけいとなるような革新かくしんてき技術ぎじゅつまれたのは、ジェームズ・ワット蒸気じょうき機関きかん発明はつめいして以降いこうである。今日きょう我々われわれにする様々さまざま機械きかいは、産業さんぎょう革命かくめい以降いこう発展はってんげてきたものであり、たとえば、鉱山こうざん通気つうき目的もくてきとして送風そうふう開発かいはつされたのは19世紀せいきはいってからである。

流体りゅうたい継手つぎてやトルクコンバーターなどターボがた流体りゅうたい伝動でんどう装置そうちは、1905ねんにドイツのヘルマン・フェッティンガー(Hermann Föttinger)によって発明はつめいされた。

きゅうはその概念がいねんが1885ねんゴットリープ・ダイムラー特許とっきょにあらわれている。機械きかい駆動くどうしききゅう方式ほうしきは1920年代ねんだいレーシングカー市販しはんスポーツカーにおいて実用じつようされた。排気はいきタービンしききゅう方式ほうしきは1905ねんにスイスのAlfred Büchiが特許とっきょ取得しゅとくしたが、たい熱性ねっせいすぐれた加工かこうせい材料ざいりょう登場とうじょうたねばならなかったため実用じつようおくれ、だいいち世界せかい大戦たいせん開発かいはつ促進そくしんされた航空こうくうようエンジン分野ぶんやでさえ、1917ねんにターボきゅうルノーエンジン搭載とうさいした試験しけん飛行ひこう登場とうじょうした程度ていどである。本格ほんかくてきなターボきゅう実現じつげんしたのは1938ねんボーイングB-17搭載とうさいのエンジンであり、その航空機こうくうき建設けんせつ機械きかい舶用はくよう工業こうぎょうよう機関きかんしゃよう一般いっぱん乗用車じょうようしゃエンジンへと普及ふきゅうした。

分類ぶんるい

[編集へんしゅう]

流体りゅうたい機械きかい分類ぶんるいにはいくつか方法ほうほうがある。

作動さどう流体りゅうたいによる分類ぶんるい

[編集へんしゅう]

あつか流体りゅうたい作動さどう流体りゅうたい)の種類しゅるいによって分類ぶんるいすると以下いかのようになる。

液体えきたい機械きかい

[編集へんしゅう]

みずあぶらなどの液体えきたいもちいるものである。密度みつどねばたび比較的ひかくてきおおきいため、空気くうき機械きかいより低速ていそく回転かいてん運転うんてんされる。圧力あつりょく低下ていかしすぎるとキャビテーション発生はっせい性能せいのう低下ていかにつながるため、これをこさないような構造こうぞう必要ひつようとなる。

空気くうき機械きかい

[編集へんしゅう]

空気くうきそのガスあつかう。密度みつどねばたび比較的ひかくてきちいさいため、液体えきたい機械きかいより高速こうそく回転かいてん運転うんてんされる。こうあつではガスは圧縮あっしゅくされ、同時どうじ温度おんど上昇じょうしょうすることが液体えきたい機械きかいとのちがいである。ただし比較的ひかくてき低圧ていあつである送風そうふう場合ばあい圧縮あっしゅくせい考慮こうりょ必要ひつようない。

蒸気じょうき機械きかい

[編集へんしゅう]

作動さどう原理げんりによる分類ぶんるい

[編集へんしゅう]

ターボがた

[編集へんしゅう]

回転かいてんする羽根車はねぐるまかいして連続れんぞくてきにエネルギーを変換へんかんする。

ながれの方向ほうこうによってさらに以下いかのように分類ぶんるいされる。

遠心えんしんしき
ながれとながれが直交ちょっこうするものである。比較的ひかくてきしょう流量りゅうりょう高揚こうようほど性能せいのうしめす。
はすりゅうしき
遠心えんしんしきじくりゅうしき中間ちゅうかん形態けいたいつものである。性能せいのうじょう遠心えんしんしきじくりゅうしきなかあいだをとる。
じくりゅうしき
ながれとながれが平行へいこうであるものである。比較的ひかくてき流量りゅうりょうていあげほど性能せいのうしめす。
よこりゅうしき
クロスフローともばれる。

容積ようせきがた

[編集へんしゅう]

連続れんぞくてきなが流体りゅうたい一定いっていりょうごとに区切くぎって独立どくりつした容器ようきないみ、これを加圧かあつあるいは減圧げんあつして容器ようきからす。こうあつしょう流量りゅうりょうてきし、油圧ゆあつそらあつ分野ぶんやもちいられる。

回転かいてんしき
ロータの回転かいてんとともに退しつ移動いどうして、流体りゅうたいす。
往復おうふくしき
シリンダない往復おうふくするピストンにより容積ようせき増減ぞうげんおこなう。
その

特殊とくしゅがた

[編集へんしゅう]
  • うずりゅうポンプうずりゅうによる昇圧しょうあつ利用りようする。構造こうぞう簡単かんたんで、てい速度そくどのターボがたポンプに相当そうとうする性能せいのう要求ようきゅうされる場合ばあい、たとえば家庭かていよう井戸いど自動じどう販売はんばいよう飲料いんりょうすい潤滑油じゅんかつゆひとしのポンプに使用しようされる。再生さいせいポンプ、カスケードポンプ、摩擦まさつポンプ、ウェスコポンプともばれる[1]
  • 粘性ねんせいポンプ摩擦まさつりょく利用りようする。
  • ジェットポンプ:ポンプ本体ほんたいには機械きかいてき駆動くどうがなく、べつ駆動くどうようポンプからおくられた噴流ふんりゅう作用さよう利用りようする。ていあげほどしょう吐出としゅつりょうで、腐食ふしょくせいえき深井ふかいようかたえきそうりゅうようのポンプとして使用しようされる。噴流ふんりゅうポンプ、空気くうきイジェクタともばれる[1]
  • 気泡きほうポンプえきちゅう挿入そうにゅうしたかんはし部分ぶぶんより圧縮あっしゅく空気くうき連続れんぞくてき噴出ふんしゅつさせて、気泡きほう浮力ふりょく利用りようえきそうりゅうとして揚水ようすい管内かんない上昇じょうしょうさせてあげえきする。ポンプ本体ほんたいには運動うんどう部分ぶぶんがなく構造こうぞう簡単かんたんであり、高温こうおん微粒子びりゅうしふくんだえきでもあげえきできる利点りてんがある。温泉おんせんや、すななどをふく井戸いどようのポンプとして使用しようされる[1]
  • みずげきポンプみずげき作用さよう利用りようする。動力どうりょくられない高山こうざんなどでもちいられる。

エネルギーの変換へんかん方向ほうこうによる分類ぶんるい

[編集へんしゅう]

流体りゅうたい力学りきがくてきエネルギーと機械きかいてきエネルギーの変換へんかん方向ほうこう着目ちゃくもくして分類ぶんるいすると以下いかのようになる。原動機げんどうき動機どうき方向ほうこうぎゃくであるから、損失そんしつかんがえなければ可逆かぎゃくてき関係かんけいにある。

流体りゅうたいエネルギーを機械きかいエネルギーに変換へんかんする。

動機どうき

[編集へんしゅう]

機械きかいエネルギーを流体りゅうたいエネルギーに変換へんかんする。入力にゅうりょくとする機械きかいエネルギーには、電動でんどうタービンもちいられる。

伝動でんどう装置そうち

[編集へんしゅう]

機械きかいエネルギーを流体りゅうたい仲介ちゅうかいさせて機械きかいエネルギーに変換へんかんする。原動機げんどうき動機どうきわせた構造こうぞうである。

流体りゅうたいエネルギーの伝達でんたつ

[編集へんしゅう]

流体りゅうたいエネルギーを流体りゅうたいエネルギーに変換へんかんする。

性能せいのう

[編集へんしゅう]

流量りゅうりょう

[編集へんしゅう]

流体りゅうたい圧縮あっしゅくせい場合ばあい体積たいせき流量りゅうりょう圧縮あっしゅくせい場合ばあい質量しつりょう流量りゅうりょうまたはノルマル立米りゅうべいしめされる。

あげほど

[編集へんしゅう]

流体りゅうたい液体えきたい場合ばあいあげほど[m]でしめされるが、気体きたい場合ばあいはこれを圧力あつりょく[Pa]として表示ひょうじされる。

動力どうりょく

[編集へんしゅう]

流量りゅうりょうあげほどせきもちいてあらわされる。

じく動力どうりょく

[編集へんしゅう]

動機どうき駆動くどうじく入力にゅうりょくされる動力どうりょくである。

原動機げんどうきじくにかかるトルクである。

性能せいのう曲線きょくせん

[編集へんしゅう]

以上いじょう性能せいのう運転うんてん状態じょうたいによって変化へんかする。それをグラフ図示ずししたものが性能せいのう曲線きょくせんである。グラフの形式けいしき分野ぶんやによってことなり、ポンプや送風そうふう圧縮あっしゅくではよこじく流量りゅうりょうに、真空しんくうポンプでは吸込すいこ圧力あつりょくに、水車みずぐるまでは回転かいてん速度そくどに、流体りゅうたい継手つぎてでは速度そくど出力しゅつりょくじく回転かいてん速度そくど入力にゅうりょくじく回転かいてん速度そくど)にとって性能せいのうをプロットする。

損失そんしつ効率こうりつ

[編集へんしゅう]

流体りゅうたい機械きかい運転うんてんさせるとかならずエネルギー損失そんしつしょうじる。入力にゅうりょくエネルギーにたいする出力しゅつりょくエネルギーの割合わりあい効率こうりつという。損失そんしつには

  • 機械きかい損失そんしつ軸受じくうやシールでの摩擦まさつ羽根車はねぐるま背面はいめんなどエネルギー変換へんかん直接ちょくせつ関係かんけいのない部分ぶぶんでの流体りゅうたいとの摩擦まさつによる損失そんしつ
  • 水力すいりょく損失そんしつ流体りゅうたい機械きかいなかながれるさいしょうじる、摩擦まさつなが剥離はくりなどの流体りゅうたい力学りきがくてき損失そんしつ
  • 損失そんしつ羽根車はねぐるまなど回転かいてんとケーシングなど静止せいしあいだにある隙間すきまとお流量りゅうりょうともな損失そんしつ

の3つがあり、それに対応たいおうして効率こうりつも3つに分類ぶんるいされる。

具体ぐたいてき効率こうりつについてはエネルギー効率こうりつ参照さんしょうのこと。

動機どうき場合ばあい

[編集へんしゅう]

じく動力どうりょく駆動くどうじく入力にゅうりょくされる動力どうりょくP0たいするみず動力どうりょく実際じっさい流体りゅうたいあたえられる動力どうりょくP割合わりあいぜん効率こうりつηいーたといい、

のように3つの効率こうりつ分解ぶんかいされる。ただし

  • 機械きかい効率こうりつ
    • Pm機械きかい損失そんしつ
  • 水力すいりょく効率こうりつ
    • Hth理論りろんあげほど
    • Hl水力すいりょく損失そんしつによる損失そんしつあげほど
  • 体積たいせき効率こうりつ
    • Q流量りゅうりょう
    • q流量りゅうりょう

原動機げんどうき場合ばあい

[編集へんしゅう]

流量りゅうりょうQ流体りゅうたいぜんあげほどH羽根車はねぐるま流入りゅうにゅうするので入力にゅうりょくP0

となり、この入力にゅうりょくたいする羽根車はねぐるま有効ゆうこう出力しゅつりょくP割合わりあい、すなわちぜん効率こうりつηいーた

となる。ただし

  • 機械きかい効率こうりつ
    • Pm機械きかい損失そんしつ
  • 水力すいりょく効率こうりつ
    • Hl水力すいりょく損失そんしつによる損失そんしつあげほど
  • 体積たいせき効率こうりつ
    • q流量りゅうりょう

理論りろん

[編集へんしゅう]

次元じげんすうもちいた解析かいせき

[編集へんしゅう]

流体りゅうたい機械きかい性能せいのうには機械きかい寸法すんぽう形状けいじょうはもちろんのこと、作動さどう流体りゅうたい密度みつどねばたび圧縮あっしゅくせいや、羽根車はねぐるま回転かいてんすうなど運転うんてん条件じょうけんによっても変化へんかし、そこには多数たすう物理ぶつりりょう影響えいきょうしている。そのため解析かいせきをそのままおこなうことは困難こんなんである。そこでパラメータをらすために、流体りゅうたい力学りきがくほか分野ぶんやでもおこなわれるように、相似そうじそく次元じげん解析かいせきといった手法しゅほうもちいる。

ターボがた場合ばあい羽根車はねぐるま直径ちょっけいD [m]、回転かいてんすうn [s-1]、作動さどう流体りゅうたい密度みつどρろー[kg/m3]を基準きじゅんとしてもち物理ぶつりりょう次元じげん正規せいき)する。

  • 流量りゅうりょうQ [m3/s]は羽根車はねぐるま直径ちょっけいD の3じょう回転かいてんすうn比例ひれいするので、これらで次元じげん流量りゅうりょう係数けいすうとしてかんがえる。
  • 圧力あつりょくp [Pa]は流体りゅうたい密度みつどρろー[kg/m3]と羽根車はねぐるま直径ちょっけいD [m]の2じょう回転かいてんすうn [s-1]の2じょう比例ひれいするので、圧力あつりょく係数けいすうとする。
  • 動力どうりょくP [W]は流体りゅうたい密度みつどρろー[kg/m3]と羽根車はねぐるま直径ちょっけいD [m]の5じょう回転かいてんすうn [s-1]の3じょう比例ひれいするので、動力どうりょく係数けいすうとする。
  • ねばたびμみゅー[kg/(m s)]はレイノルズすうとする。ただし、レイノルズすうおおきい(流体りゅうたいねばたびちいさい、または回転かいてんすうおおきい)場合ばあい、レイノルズすう性能せいのうへの影響えいきょうちいさいため、このパラメータは無視むしされることがおおい。
  • 音速おんそくa [m/s]はマッハすうとする。ただし、流体りゅうたい圧縮あっしゅくせい無視むしできる場合ばあいはこのパラメータは無視むしされる。
  • 速度そくど
または
をターボがた流体りゅうたい機械きかい分類ぶんるいほうとしてもちいることがある。

速度そくど三角形さんかっけい

[編集へんしゅう]

ぞうそくぞうあつ原理げんり速度そくど三角形さんかっけいもちいて説明せつめいされる。

油圧ゆあつ装置そうち とは油圧ゆあつ使用しようして作動さどうする装置そうち全般ぜんぱんあらわす。

シンプルな「オープンセンター」油圧ゆあつ回路かいろ

外部がいぶ駆動くどうげん(電動でんどう発動はつどう)をもと油圧ゆあつポンプうごかし、それによってられる圧力あつりょくった作動さどう流体りゅうたい(作動さどう)によってアクチュエータ(油圧ゆあつモータ油圧ゆあつシリンダ)を動作どうささせてもとめる仕事しごとをする。油圧ゆあつショベルなどの建設けんせつ機械きかいフォークリフトなどの産業さんぎょう車両しゃりょうトラクタなどの農業のうぎょう機械きかいダンプトラックなどの特装車とくそうしゃ駆動くどうげんとしてかならずといっていほど採用さいようされている。また製鉄せいてつ機械きかい工作こうさく機械きかい射出しゃしゅつ成型せいけいなどの一般いっぱん産業さんぎょう機械きかい駆動くどうげんとしてもながあいだ使つかわれており、現代げんだい社会しゃかいにおいてかせないものとなっている。 建築けんちくぶつめんふるえ装置そうちにも使用しようされる。 近年きんねん射出しゃしゅつ成型せいけいやサーボプレスでは電動でんどう進展しんてんしつつある。

空気くうきブレーキのぞ自動車じどうしゃえきあつしきブレーキクラッチ断続だんぞく機構きこう油圧ゆあつ装置そうち一種いっしゅることができる。

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]
  1. ^ a b c 須藤すとう浩三こうぞう へん流体りゅうたい機械きかい朝倉書店あさくらしょてん、1990ねんISBN 4-254-23603-4 

参考さんこう文献ぶんけん

[編集へんしゅう]