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砂防さぼう堰堤えんてい

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砂防さぼうダムから転送てんそう
砂防さぼう堰堤えんてい新潟にいがたけん妙高みょうこう長野ながのけん信濃しなのまちにまたがる関川せきかわ1ごう砂防さぼうえんつつみ

砂防さぼう堰堤えんてい(さぼうえんてい、英語えいご:Check dam)とは、河川かせん設置せっちされるダムの一種いっしゅ。「砂防さぼうダム」(さぼうダム)としょうされることもある。とく土石流どせきりゅうによる土砂どしゃ災害さいがい被害ひがい軽減けいげん河床かしょう過度かどあらいほり防止ぼうしすることを目的もくてきとして設置せっちされるダムである。

砂防さぼう堰堤えんてい治山ちさん堰堤えんてい[編集へんしゅう]

日本にっぽんにおいては砂防さぼうほうもとづき国土こくど交通省こうつうしょう管轄かんかつし、各地かくち地方ちほう整備せいびきょく都道府県とどうふけん土木どぼくけい部署ぶしょ建設けんせつするものを「砂防さぼう堰堤えんてい」、森林しんりんほうもとづき林野庁りんやちょう管轄かんかつし、各地かくち森林しんりん管理かんりしょ都道府県とどうふけん林業りんぎょうけい部署ぶしょ建設けんせつするものと「治山ちさん堰堤えんてい」(治山ちさんダム)などとしてけるが、管轄かんかつする役所やくしょちがうだけで構造こうぞうぶつかたちはほぼおなじである(以下いかとく区別くべつする必要ひつようがないかぎ治山ちさんダムもふくめて説明せつめいする)。治山ちさん堰堤えんていほうは「保安ほあんりん健全けんぜん生育せいいくさせるために河川かせん勾配こうばいゆるくするためにダムを建設けんせつする」という目的もくてき建設けんせつされるので、後述こうじゅつのようにメンテナンスめんかんがかた砂防さぼう堰堤えんていとのちがいがある。

また、砂防さぼう堰堤えんてい治山ちさん堰堤えんていについても「堰堤えんていこう」、「たにとめこう」、「ゆかかたこう」などとける場合ばあいがあるが、構造こうぞうぶつかたちはほぼおなじである。ダムを建設けんせつすることによって河川かせん縦断じゅうだん勾配こうばい変化へんかするが、この変化へんか度合どあいがおおきいものをたにとめこう度合どあいのちいさなものをゆかかたこうなどとったりする。また、ゆかかたこう場合ばあい下記かきそでてんはし勾配こうばいたせずそで水平すいへいである場合ばあいおおく、にも若干じゃっかんちがいがある。

構造こうぞう[編集へんしゅう]

つつみからだ[編集へんしゅう]

砂防さぼう堰堤えんていかたちおおくで中央ちゅうおうひくくくびれたTてぃーシャツのようになっており、中央ちゅうおうひくくなったところみずどおし(Tてぃーシャツでいうくびとお部分ぶぶん放水ほうすいともばれる)という。みずどおしの左右さゆうはややたかくなっており、これをダムのそでという(Tてぃーシャツでもそで部分ぶぶん)。そでには流水りゅうすいみずどおしにあつめるはたらきがある。また、渓流けいりゅうもうけられるダムのおおくは、そで上部じょうぶてんはし部分ぶぶん)はみずどおしにかって勾配こうばいける。これはみずどおしの処理しょり能力のうりょくえた流水りゅうすいがあったときにも、極力きょくりょくつつみたい中央ちゅうおう流水りゅうすいあつめることでそでんでいるりょうきし斜面しゃめん流水りゅうすい浸食しんしょくされて決壊けっかいするという致命ちめいてき事故じこふせ構造こうぞうじょう工夫くふうである。

つつみからだ横断おうだんめん台形だいけいであるが、みずどおしから土石どせきながちることでコンクリートや鋼材こうざいといった部材ぶざい損傷そんしょうするため、安定あんてい計算けいさんゆるかぎ垂直すいちょくちかきゅう傾斜けいしゃつくることで土石どせき衝突しょうとつによる損傷そんしょうらすように設計せっけいする。安定あんてい計算けいさんではつつみだか重量じゅうりょう完成かんせい時点じてんでのつつみたいにかかるあつ水圧すいあつのバランスなどが考慮こうりょされる。

つつみからだたかさはダムの貯砂容量ようりょう直結ちょっけつする。渓流けいりゅうない堆積たいせきする土砂どしゃれるか、土石どせき満杯まんぱいになったときに上流じょうりゅうがわ渓流けいりゅう勾配こうばい十分じゅうぶん緩和かんわすることができるかなどで決定けっていする。つつみたいあつみはみずどおしのたかさにおけるあつみで評価ひょうかされ、渓流けいりゅうない堆積たいせきする転石てんせきおおきさを根拠こんきょ決定けっていされる。土石流どせきりゅう直撃ちょくげきけないと判断はんだんされる場合ばあいつつみたいあつみをうすくする場合ばあいがあり、ふくつつみなどではこのかんがかたつくることもおおい。

みずどお[編集へんしゅう]

みずどお部分ぶぶん断面だんめん上底あげぞこしもそこよりなが台形だいけいかたとすることが一般いっぱんてきで、まれに長方形ちょうほうけいとするものがあるほか、とく流量りゅうりょうおお場所ばしょでは階段かいだんじょうにすることがある。貯水ちょすいするダムにられるゲートなどの洪水こうずい調節ちょうせつ機能きのう原則げんそくとしてない(まれに灌漑かんがい用水ようすいなどの取水しゅすいのために工夫くふうほどこしたダムもみられる)。みずどおしのだん面積めんせき最大さいだい洪水こうずいりょう通過つうかさせることができるように決定けっていされる。前述ぜんじゅつのように最大さいだい洪水こうずいりょうえた場合ばあいでもある程度ていどえられるようにそでなどに工夫くふうたしている。

みずどおしとはべつつつみたいにはおおきなみずあなもうけられるのが一般いっぱんてきである。これは施工しこう浚渫しゅんせつとうのメンテナンス活用かつようされる。

材質ざいしつ[編集へんしゅう]

ダムの材質ざいしつではコンクリートもっとおおく、ダムはコンクリートの重量じゅうりょう自立じりつしている(重力じゅうりょくしきコンクリートダム)。これはなまコン工場こうじょうでの大量たいりょう生産せいさんによるコストめんひくさ、かたわくさえんでしまえばだれにでもあつかいやすいという施工しこうせいたかさ、すうじゅうねんえる耐久たいきゅうせいなどのてんおおくの場所ばしょ最適さいてきとなるからである。ビルなどとちがいダムは一般いっぱん鉄筋てっきん使つかわずにすじコンクリート構造こうぞうぶつ分類ぶんるいされるが、しつらえめんしつらえめんあいだ継目つぎめ)を連結れんけつするためだけにみじか鉄筋てっきん(挿筋などとばれる)をもちいる場合ばあいおおい。なお、この鉄筋てっきんすらもちいず上下じょうげしつらえめん凹凸おうとつじょうわせることで連結れんけつ完全かんぜんすじ構造こうぞうぶつとしたものもある(かたわく保持ほじのためのセパレーターなどコンクリートがかたまるときに内部ないぶのこされる微小びしょう金属きんぞく部品ぶひんのぞく)。

ただし、コンクリートの重量じゅうりょうえられない軟弱なんじゃく地盤じばん箇所かしょ不等ふとう沈下ちんか程度ていどおおきい場所ばしょ、コンクリートダムが貯水ちょすいすることで地下水ちかすい変位へんいし、ダム周辺しゅうへん斜面しゃめんすべり誘発ゆうはつするような個所かしょでは、多少たしょう変形へんけい排水はいすいせいにもすぐれる鋼材こうざいなどでつくったわくなかいしむタイプ(はがねせいわくはがねせい自在じざいわくなどとばれる)なども使つかわれる。はがねせいわくでは現場げんば発生はっせいした残土ざんど転石てんせき内部ないぶめることができるものも存在そんざいし、残土ざんど処理しょりなまコン工場こうじょう場所ばしょにとらわれないてんからもメリットがおおきいが、コストめんでコンクリートにはおよばず主流しゅりゅう工法こうほうにはなっていない。また、鋼材こうざい腐食ふしょくがダムの強度きょうどおおきく影響えいきょうするので、酸性さんせいつよ温泉おんせん地帯ちたいなどでも一般いっぱん使用しようされない。はがねせいわくによくたものに木材もくざい使つかったわくや、鉄線てっせんんだかご使つか蛇篭じゃかご(フトンかごともいう)でつくられたダムもあるが、腐食ふしょく強度きょうどめんおとこうせいわくやコンクリートのようなおおきなダムには使つかわれずちいさいものにとどまる。

1950年代ねんだいくらいまではコンクリートが高価こうかかつ、技術ぎじゅつのある石工せっこうおお人件じんけんやすかったこともあり、石積いしつみによる石垣いしがきタイプなどもよくられた。いしだけを使つかったそらせき方式ほうしきほか目地めじにコンクリートを使つかったねりせき方式ほうしきもみられる。

流木りゅうぼく対策たいさく[編集へんしゅう]

土石流どせきりゅう発生はっせいには土砂どしゃだけでなく大量たいりょう流木りゅうぼく運搬うんぱんされることによる被害ひがい発生はっせいしている。直撃ちょくげきけることによる被害ひがいのほか、河川かせんない橋脚きょうきゃく流木りゅうぼくまることにより、はし場所ばしょから洪水こうずい発生はっせいしたり、水圧すいあつによってはしげたが落橋する原因げんいんにもなることもある。

土石どせきだけでなく流木りゅうぼく対策たいさく重点じゅうてんいたダムもある。ふるくは中央ちゅうおう金属きんぞくせい鎧戸よろいどじょうバットレスダムタイプにしたもので、土石どせき直撃ちょくげきにはよわいが流木りゅうぼくをせきめることを期待きたいして建設けんせつされる。また、既存きそんのコンクリートダムに鋼材こうざいなどをけることで土石どせきだけでなく流木りゅうぼく対策たいさくほどこしたものもしられる。土石どせき流木りゅうぼく対策たいさくくわえて普段ふだん土砂どしゃ流下りゅうか水生すいせい生物せいぶつ移動いどうさまたげないスリットダム透過とうかがた堰堤えんていなどともばれる)もある。鋼材こうざい木材もくざいもちいた比較的ひかくてきていコストでできるものから、コンクリートで巨大きょだいはしらつくげるだい規模きぼなものもある。

配置はいち[編集へんしゅう]

荒廃こうはいはげしい渓流けいりゅうすうねんからすうじゅうねんにわたって複数ふくすうのダムをれて階段かいだんのようにすることがおおい。この場合ばあい下流かりゅうつくられたダムのうずたかすなじきによって上流じょうりゅうのダムをあらいほりからまもはたらきもある。

砂防さぼう堰堤えんてい建設けんせつまでのなが[編集へんしゅう]

以下いか日本にっぽんにおける一般いっぱんてきながれを説明せつめいする。

申請しんせい[編集へんしゅう]

荒廃こうはいした渓流けいりゅう市町村しちょうそんちょう都道府県とどうふけん民有みんゆう場合ばあい国有こくゆう場合ばあいくに)にたいして事業じぎょう要望ようぼうしょ提出ていしゅつする。都道府県とどうふけんくにでは事業じぎょうおこなうほどの荒廃こうはい具合ぐあいかどうか、費用ひよう便益べんえき(B/C)、砂防さぼう指定してい保安ほあんりんへの指定していたいし、土地とち所有しょゆうしゃ同意どういしているかどうかなどで事業じぎょうへの着手ちゃくしゅ判断はんだんする。砂防さぼう堰堤えんていはダム周辺しゅうへん砂防さぼう指定していへの指定してい治山ちさんダムはおなじく保安ほあんりん指定していすることが事業じぎょう採択さいたく要件ようけんになっているが、いずれも土地とち利用りよう樹木じゅもく伐採ばっさい制限せいげんがかかる内容ないようであるために土地とち所有しょゆうしゃ納得なっとくせず、事業じぎょう着手ちゃくしゅできない場合ばあいもある。また、土地とち所有しょゆうしゃ多数たすういる場合ばあい一人ひとりでも同意どういしない場合ばあい事業じぎょう着手ちゃくしゅできない。この時点じてんでダムの位置いち規模きぼ予算よさんはある程度ていどまっていることがおおく、必要ひつようおうじて資料しりょう用意よういして役所やくしょ工事こうじ担当たんとうしゃ土地とち所有しょゆうしゃ説明せつめいおこなうこともある。

測量そくりょう設計せっけい[編集へんしゅう]

概要がいよう提示ていじしたうえで、詳細しょうさい設計せっけいはコンサルタントに外注がいちゅうする方式ほうしき一般いっぱんてきである。本来ほんらい測量そくりょう設計せっけい都道府県とどうふけんくにといった事業じぎょう主体しゅたいがすべきこととされているので、業務ぎょうむ委託いたく契約けいやく委任いにん契約けいやく)というかたち業者ぎょうしゃ契約けいやくすることがおおい。一般いっぱんすうげつ、ダムを多数たすう配置はいちする場合ばあいすべり対策たいさくから場合ばあい地下水ちかすい長期ちょうきてき挙動きょどう観測かんそく必要ひつようになり、とし単位たんいになることもある。設計せっけい並行へいこうして学識がくしきしゃまねいてのダム建設けんせつ予定よてい周辺しゅうへんでの動植物どうしょくぶつ状況じょうきょう調しらべる環境かんきょうアセスメントおこなわれる。

工事こうじ[編集へんしゅう]

設計せっけい委託いたく契約けいやくだが、工事こうじ請負うけおい契約けいやく契約けいやくされる。飯場いいば仮設かせつ事務所じむしょ作業さぎょうよう道路どうろ整備せいびおこなったのちに、バックホーによるダムつつみたい部分ぶぶんゆかから作業さぎょうはいることが一般いっぱんてきである。ゆかをすることで渓流けいりゅう河床かしょうよりひくくなることでゆか個所かしょ渓流けいりゅうすい流入りゅうにゅうしてくる。これをふせぐためにゆか個所かしょ上流じょうりゅう土嚢どのう渓流けいりゅうすいめ、パイプによりゆか個所かしょまたぐようにして迂回うかいさせる簡単かんたんがこせきつくる。だい部分ぶぶん渓流けいりゅうすいはこれで処理しょりできるが、一部いちぶゆか個所かしょはいるので水中すいちゅうポンプを使つかって排水はいすいすることでゆか個所かしょ水没すいぼつふせぐ。この作業さぎょうを「みずがえ」とつつみたいみずあなたかさまでしつらえわるまでつづ作業さぎょうである。だい河川かせん砂防さぼう堰堤えんてい貯水ちょすい目的もくてきのダムではながれ一時いちじてきえることもおこなわれ、場合ばあいによっては山腹さんぷく仮設かせつ排水はいすいトンネルをるなどだい工事こうじになる。ゆかのち水準すいじゅん測量そくりょうとうによる地盤じばんだか確認かくにんと、試験しけんによる地盤じばん強度きょうど確認かくにんおこな必要ひつようであれば修正しゅうせい設計せっけい変更へんこうおこなう。 これらの確認かくにんのちおおくの施工しこう業者ぎょうしゃではゆかめん設計せっけいよりさらにかずcmふかところまでり、てコンクリートしつらええたところで、再度さいどたかさが設計せっけいになるように調整ちょうせいすることがおおい。てコンクリートはかたわく強固きょうこささえる役割やくわりがある。

かたわく設計せっけいされた角度かくどはばたてて、セパレーターで補強ほきょうしたうえで、かたわく強度きょうど制限せいげんがあることから(とく木製もくせいかたわくいちかいしつらえにつき1.5m-2m程度ていどたかさでコンクリートをながむ。しつらえすう日間にちかん養生ようじょう硬化こうかさせたのちつぎしつらえかえすことでダムがつくられていく。材質ざいしつこうべたようにダムは一般いっぱんすじ構造こうぞうぶつであるが継目つぎめ連結れんけつようの挿筋をれることもある。経年けいねん劣化れっかしたコンクリートダムを観察かんさつすると1.5m-2mごとに継目つぎめ明瞭めいりょうにわかるものや、内部ないぶ鉄筋てっきんびてできた茶色ちゃいろ液体えきたいめんかられていることがある。 継目つぎめ水平すいへい方向ほうこうだけでなく鉛直えんちょく方向ほうこうにも適宜てきぎれることがあり、鉛直えんちょく継目つぎめなどとばれる。これはダムの重量じゅうりょうによる地盤じばん沈下ちんかりょう沈下ちんか速度そくどことなる場所ばしょ不等ふとう沈下ちんか)の場所ばしょでのつつみたいへの亀裂きれつ発生はっせい予防よぼうするためのもので、おおむつつみちょうを10m-15mごと分割ぶんかつするようにもうけられる。鉛直えんちょく継目つぎめ連結れんけつ鉄筋てっきんではなく、凹凸おうとつアスファルトひとし接着せっちゃくざいによることが一般いっぱんてきである。水平すいへい鉛直えんちょくかかわらず継目つぎめかずえるとしつらえから養生ようじょうまでの回数かいすうえることで工期こうき費用ひよう影響えいきょうする。

コンクリートはセメント、みず砂利じゃり混合こんごうぶつであるために、しつらえ個所かしょうえからながむよりもしたからあつおくしたほうが、原料げんりょうがよくざり品質ひんしつたかくなるといわれている。また、作業さぎょうどうからとお部分ぶぶんにもしつらえする必要ひつようがある。このため一般いっぱんてきにはコンクリートを運搬うんぱんするミキサーしゃ(アジテーターしゃ)とかたわくまでこうあつおくあつおくくるま(ポンプしゃ)の2種類しゅるい作業さぎょう現場げんばちかくまでしつらえする。車両しゃりょう現場げんばちかくまでれできない現場げんばでは、長大ちょうだいあつおくかん設置せっちしたり、仮設かせつモノレール索道さくどうえて現場げんばはこぶこともある。また、なまコンクリートは原料げんりょうはじめてから使つかるまでに時間じかん制限せいげんがあるために、なまコン工場こうじょうからとお現場げんばでは現場げんばにコンクリート製造せいぞう設備せつび設置せっちすることもある。しつらえはバイブレーターによる気泡きほう除去じょきょさい上部じょうぶ不純物ふじゅんぶつレイタンス)の除去じょきょおこなって品質ひんしつたかめ、必要ひつようおうじて挿筋を設置せっち適当てきとう温度おんど湿度しつど養生ようじょうする。

つつみからだしつらえ終了しゅうりょうするとかたわくはずしセパレーターがあった部分ぶぶんにできるあなにはモルタルをめてあなめる。景観けいかん配慮はいりょ国産こくさん木材もくざい積極せっきょくてき使用しよう目的もくてきとして、木製もくせい残存ざんそんがたわく使つか場合ばあいもあり、この場合ばあいかたわくはずさない。かたわく撤去てっきょ設計せっけいされたまで土砂どしゃもどしをおこなう。みずどお下流かりゅう流水りゅうすいきわめてあらいほりされやすいために、もどときにコンクリートをいたり蛇篭じゃかご設置せっちしたりすることがおおい。その側壁そくへきそでかくしを建設けんせつし、周辺しゅうへんほうめん緑化りょくかこうとうおこなって完成かんせいとなる。完成かんせい施設しせつ発注はっちゅうしゃである都道府県とどうふけんくに完成かんせい検査けんさ発注はっちゅうしゃわたされる。

破損はそんとメンテナンス[編集へんしゅう]

砂防さぼう堰堤えんてい致命ちめいてき破損はそん下部かぶあらいほり、もしくはダムのそでんでいるりょうきし斜面しゃめんあらいほり崩壊ほうかいにより貯砂を制御せいぎょ状態じょうたい下流かりゅうながしてしまうことで、いわゆる「底抜そこぬけ」や「そでけ」とばれる。はなははげしい場合ばあい決壊けっかいにつながり、ダムがめていた土砂どしゃ一気いっき下流かりゅうながすことになる。近年きんねんでは2018ねん広島ひろしまけん坂町さかまち小屋浦こやうら砂防さぼう堰堤えんてい決壊けっかい事故じこ発生はっせい死傷ししょうしゃている。

底抜そこぬけやそでけをこさないようにダムの底部ていぶりょうきしれには十分じゅうぶんおこなう。また、下流かりゅうがわほんつつみよりひくふくつつみもうけることで流水りゅうすい浸食しんしょく能力のうりょく減衰げんすいしたり、下流かりゅうがわ蛇篭じゃかごみやコンクリートさんめんりの水路すいろにして浸食しんしょくあらいほり防止ぼうしする場合ばあいもある。そでかんしては「そでかくし」やみずどお下流かりゅうに「側壁そくへき」とばれる護岸ごがんパーツをけることで極力きょくりょくはし露出ろしゅつしないようにしている。コンクリートダムにおける亀裂きれつとく漏水ろうすいともなうものは危険きけんたかい)やはがねせいわくダムにおける鋼材こうざい破断はだんによるちゅうつめざい流出りゅうしゅつもダムの強度きょうどおおきくげかねない重大じゅうだい破損はそんである。

渓流けいりゅうでは土砂どしゃがたまりダムの貯砂可能かのう容量ようりょうはやがて減少げんしょうする。貯砂可能かのう容量ようりょう減少げんしょうした状態じょうたい土石流どせきりゅう発生はっせいした場合ばあい下流かりゅう被害ひがいおよ可能かのうせいがあるので、容量ようりょう回復かいふくさせるために浚渫しゅんせつする場合ばあいがある。ただし、まんすな状態じょうたいになることによって上流じょうりゅうがわ勾配こうばい緩和かんわされダムの機能きのうたしているとして浚渫しゅんせつおこなわない場合ばあい多々たたある。とく治山ちさんダムでは河床かしょう勾配こうばい緩和かんわされて保安ほあんりん健全けんぜん生育せいいく環境かんきょうになっているとして、ぎゃく勾配こうばい増加ぞうかさせることになる浚渫しゅんせつはほとんどおこなわれない。スリットしきダムでは水生すいせい生物せいぶつ移動いどうとう重点じゅうてんいた場合ばあい堆積たいせきぶつ適宜てきぎのぞきダムをはさんでおおきな高低こうていいようにすることがもとめられる。

このほかの破損はそんとしては、土石どせき流下りゅうかによる水通すいどう摩耗まもうそで欠損けっそん継目つぎめからの漏水ろうすいはがねせい場合ばあい鋼材こうざいび、石積いしつみ場合ばあいいしちなどがある。個別こべつ補修ほしゅうされることもあるほか、損傷そんしょうはなはだひどい場合ばあいはそのダムを放棄ほうきし、すぐ下流かりゅうがわあたらしいダムをつくることで、損傷そんしょうおおきなダムをあたらしいダムのうずたかすなじき埋没まいぼつさせるという更新こうしん方法ほうほうもよくおこなわれる。

ダム建設けんせつによる影響えいきょう[編集へんしゅう]

のダム同様どうよう土砂どしゃ砂防さぼう堰堤えんていによってめられることで下流かりゅう土砂どしゃながれなくなり、海岸かいがんせん後退こうたい河床かしょう低下ていかきるとされる。また、川砂せんさうみすな供給きょうきゅうもストップする(うずたかすな浚渫しゅんせつしてもちいることが可能かのうである)。

また、さかな遡上そじょう阻害そがいされるため、一部いちぶでは魚道ぎょどうもうけられる。

日本にっぽんにおける砂防さぼう堰堤えんてい歴史れきし[編集へんしゅう]

だいろく堂々どうどう川砂せんさとめさい上流じょうりゅう位置いちする)

日本にっぽんにおける砂防さぼう堰堤えんていはじまりはさだかではないが、広島ひろしまけん福山ふくやまには1700ねんから1800ねんにかけておおくの石積いしつみしき砂防さぼう堰堤えんていすなとめ)が建設けんせつされている。

1873ねん明治めいじ6ねん)には、やと外国がいこくじんであるヨハニス・デ・レーケ来日らいにち現在げんざい砂防さぼう堰堤えんてい基礎きそとなる思想しそう工事こうじ体系たいけい構築こうちくした。その、フランスからの技術ぎじゅつ導入どうにゅう階段かいだんこうなど)や留学りゅうがくえた日本人にっぽんじん技術ぎじゅつしゃたちにより現在げんざい砂防さぼう事業じぎょう体系たいけい確立かくりつされた。1897ねん明治めいじ30ねん)には砂防さぼうほう成立せいりつし、現代げんだいいた近代きんだい砂防さぼう事業じぎょう始祖しそとなる。

砂防さぼうほう成立せいりつ事業じぎょう主体しゅたいについては2都道府県とどうふけん以上いじょうにまたがる砂防さぼう事業じぎょうくに直轄ちょっかつ事業じぎょうとして、1都道府県とどうふけんないかく都道府県とどうふけん事業じぎょうとしておこなうとされ、これが現在げんざいまで継続けいぞくしている。

ただしこれには例外れいがいもあり、だい規模きぼ災害さいがいともな砂防さぼう堰堤えんてい整備せいびは1都道府県とどうふけんない事業じぎょうであってもくに直轄ちょっかつによりおこなわれることもおおい。たとえば立山たてやま富山とやまけん)における砂防さぼう堰堤えんてい整備せいび事業じぎょうげん在国ざいこく直轄ちょっかつ事業じぎょうとなっている。これは、飛越とびこし地震じしんにより発生はっせいしたとんび山崩やまくずれにともな立山たてやまカルデラ土砂どしゃ流出りゅうしゅつ対策たいさく事業じぎょうとして、当初とうしょ富山とやまけん1906ねん明治めいじ39ねん)から国庫こっこ補助ほじょけて白岩しらいわ砂防さぼう堰堤えんていより上流じょうりゅう砂防さぼう工事こうじ着手ちゃくしゅしたものの、度重たびかさなる破壊はかい莫大ばくだい費用ひようがかかり、1926ねん大正たいしょう15ねん)に特例とくれい事業じぎょうとしてくに直轄ちょっかつ事業じぎょう変更へんこうとなったものである。また、1999ねん平成へいせい11ねん以降いこうおこなわれている雲仙うんぜん普賢岳ふげんだけ長崎ながさきけん)の火砕流かさいりゅう対応たいおうするための砂防さぼう堰堤えんてい整備せいびくに直轄ちょっかつによりおこなわれている。

1996ねんもうけられた文化財ぶんかざい登録とうろく制度せいどでは、登録とうろく有形ゆうけい文化財ぶんかざいとして200ちか砂防さぼう堰堤えんてい登録とうろくされ、治山ちさん治水ちすい種別しゅべつ大半たいはんめる。

日本にっぽんにおける代表だいひょうてき砂防さぼう堰堤えんてい[編集へんしゅう]

白岩しらいわ堰堤えんてい富山とやまけん富山とやま立山たてやままち
がまふち堰堤えんてい長野ながのけん松本まつもと
  • 本宮もとみや砂防さぼう堰堤えんていくに指定してい重要じゅうよう文化財ぶんかざい[1]):常願寺川じょうがんじがわ上流じょうりゅう有峰ありみねげん富山とやま地方ちほう鉄道てつどう立山線たてやません有峰ありみねこうえきちかく)に1937ねん昭和しょうわ12ねん完成かんせいながさ107m、たかさ22m、貯砂りょう500まん立方りっぽうメートルの堰堤えんていで、日本一にっぽんいちの貯砂りょうほこる。
  • 白岩しらいわ堰堤えんていくに指定してい重要じゅうよう文化財ぶんかざい):1939ねん昭和しょうわ14ねん)、常願寺川じょうがんじがわ上流じょうりゅう湯川ゆかわだにに10ねん歳月さいげつをかけ完成かんせい。7ふくダムのふく合体がったいとしての砂防さぼう堰堤えんていたかさ63m、落差らくさ108mの規模きぼは、ともに日本一にっぽんいちたかさをほこっている。2009ねん6がつ30にちには、ほん堰堤えんていふく堰堤えんていゆかかただいふく堰堤えんてい)およびかたかくわくが「白岩しらいわ堰堤えんてい砂防さぼう施設しせつ」として、くに重要じゅうよう文化財ぶんかざい指定していされた。砂防さぼう施設しせつでははつ重文じゅうぶん指定していとなる。
立山たてやまカルデラ砂防さぼう事業じぎょうだけでこの2つの日本一にっぽんいち砂防さぼう堰堤えんていゆうしている。

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]