ベニスズメ

ベニスズメ
繁殖はんしょく期きのオス
保全ほぜん状じょう況きょう評価ひょうか
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類ぶんるい
ドメイン : 真ま核かく生物せいぶつ Eukaryota 界さかい : 動物界どうぶつかい Animalia 門もん : 脊索せきさく動物どうぶつ門もん Chordata 亜あ門もん : 脊椎動物せきついどうぶつ亜あ門もん Vertebrata 綱つな : 鳥とり綱つな Aves 目め : スズメ目め Passeriformes 科か : カエデチョウ科か Estrildidae 属ぞく : ベニスズメ属ぞく Amandava 種たね : ベニスズメ A. Amandava
学名がくめい
Amandava amandava Linnaeus, 1758
和名わみょう
ベニスズメ（紅雀べにすずめ）
英名えいめい
Red Avadavat red munia strawberry finch

ベニスズメ（紅雀べにすずめ、学名がくめい：Amandava amandava）は、スズメ目めカエデチョウ科かの鳥とりである。

分布ぶんぷ

広大こうだいな範囲はんいに分布ぶんぷする汎ひろし存そん種しゅで、北きたアフリカから中東ちゅうとうを経へてインド、中国ちゅうごく南部なんぶを含ふくむ東南とうなんアジア全域ぜんいきにまで及およんでいる。

日本にっぽんではかご抜ぬけした個体こたいが野生やせい化かしたものが定着ていちゃくしている。日本にっぽん以外いがいにイベリア半島はんとう、フィリピン、ブルネイ、フィジー、プエルトリコ、およびハワイ諸島しょとうに移入いにゅうされ定着ていちゃくしている。

形態けいたい

メジロより一いち回まわり小ちいさい。おそらく日本にっぽんで流通りゅうつうしているフィンチ（洋よう鳥とり）のなかで最小さいしょうと思おもわれる。

雌雄しゆうで体からだ色しょくが異ことなり、オスの生殖せいしょく羽わは頭部とうぶと胸むね腹はら面めんが鮮あざやかな鮮紅せんこう色しょくで、背中せなかから翼つばさにかけては暗くら赤色あかいろ。翼つばさと尾おは暗くら褐色かっしょくで、体側たいそくから翼つばさにかけて円形えんけいの白しろい点てん紋もんがある。ただしこのオスの生殖せいしょく羽わの鮮あざやかな赤あかい色彩しきさいは、飼育しいく下かにおいては年月としつきを経へる毎ごとに黒くろ化かする傾向けいこうがある。繁殖はんしょく期きのオスは複雑ふくざつな美うつくしい声こえでよくさえずる。

若わか鳥とりとメスは背面はいめんが暗くら褐色かっしょく、胸むね腹はら面めんはクリーム色しょくに近ちかく、腰こしから上尾あげお筒とうにかけて紅色こうしょくがさす。雌雄しゆうともに目めからクチバシにかけて黒くろ線せんがよぎり、クチバシは暗くら赤色あかいろ、脚あしは黄き紅色こうしょくである。

非ひ繁殖はんしょく期きのオスは特徴とくちょう的てきな鮮紅せんこう色しょくが色褪いろあせくすんだ感かんじになるので、販売はんばいされている個体こたいには人工じんこう的てきに赤あかい着色ちゃくしょくを施ほどこしたものが時ときおり見みられる。オスだけでなく、メスや若わか鳥とりにも紅べにや緑みどりといった無関係むかんけいな人工じんこう着色ちゃくしょくを施ほどこすこともある。

生態せいたい

原産地げんさんちでは草原そうげんや水田すいでんが主おもな住すみかであるが、日本にっぽんで野生やせい化かしたものは主おもに河川敷かせんしきのアシ原ばらを住すみかとする留鳥りゅうちょうである。原産地げんさんちでは雨季うきが繁殖はんしょく期きだが、飼育しいく下かにおいてはエサが足たりていればいつでも繁殖はんしょくする。

日本にっぽんにおいて野生やせい化かした個体こたいは、春はるから秋あきにかけススキやチガヤといった丈たけの高たかい草くさに営巣えいそうし繁殖はんしょくする。成鳥せいちょうは単たん子葉しよう植物しょくぶつの種子しゅしを主食しゅしょくとするが、繁殖はんしょく期きには昆虫こんちゅうを捕とらえてヒナに与あたえる。また冬ふゆには大群たいぐんを形成けいせいする。

日本にっぽんに定着ていちゃくした経緯けいい

姿すがたも鳴なき声ごえも美うつくしいので18世紀せいきから輸入ゆにゅうされ飼かわれてきた。日本にっぽんで野外やがいにおける繁殖はんしょくが確認かくにんされたのは高度こうど経済けいざい成長せいちょうがはじまった1960年ねん頃ごろからで、1970年代ねんだいから1980年代ねんだい頃ごろには日本にっぽん各地かくちで繁殖はんしょくが確認かくにんされたが、近年きんねんは激減げきげんしたようである。

生態せいたい系けいに及およぼす影響えいきょう

詳細しょうさいに調査ちょうさした記録きろくがないので正確せいかくには不明ふめいだが、今こん現在げんざいは確認かくにんされていない。最盛さいせい期きから個体こたい数すうが大幅おおはばに減少げんしょうし、分布ぶんぷも大おおきく縮小しゅくしょうしたので今後こんご何なんらかの影響えいきょうが出でることも考かんがえにくい。

人間にんげんとの関係かんけい

鮮紅せんこう色しょくに白しろい斑点はんてんをまぶしたようなオスの外見がいけんがイチゴに似にているので 英名えいめいには Strawberry finch, Red Strawberry の別名べつめいもある。 Red Avadavat と呼よばれることも多おおいが、この Avadavat や学名がくめいの Amandava は本ほん種しゅの出荷しゅっか地ちであったインド共和きょうわ国こくグジャラート州しゅうの都市としアフマダーバードにちなむ。和名わみょうは中国ちゅうごく名めいの紅梅こうばい花はな雀すずめに由来ゆらいする。

野生やせいでは熱帯ねったいにしか分布ぶんぷしないが、寒さむさに対たいしても強つよいので飼かいやすい鳥とりである。なお飼育しいく下かでの繁殖はんしょくが難むずかしいのと、原産地げんさんちで穀物こくもつ害鳥がいちょうとして駆除くじょされていることもあり、鳥とりインフルエンザで鳥類ちょうるいの生体せいたい輸入ゆにゅうが原則げんそく禁止きんしされる以前いぜんは、日本にっぽんで流通りゅうつうしている個体こたいはほぼ全すべて野生やせい個体こたいを捕獲ほかくしたものであった。

エサはブンチョウ、ジュウシマツに用もちいる四よん種しゅ混合こんごうでもよいが、アワ以外いがいはあまり食たべないので、アワをかなり多おおめに入いれるとよい。

つがいで飼かうと頻繁ひんぱんに産卵さんらんするが、抱だき卵たまご期きにメスが非常ひじょうに神経質しんけいしつになりオスを追おい立たてるので、狭せまいかごでの巣引すびきはまず間違まちがいなく失敗しっぱいする。ジュウシマツを仮親かりおやとする方法ほうほうもヒナの口くちが小ちいさすぎて給餌きゅうじがうまくゆかず無理むりで、ケージでの巣引すびきも育そだて雛ひな期きにはヒナの小ちいさな口くちに合あう昆虫こんちゅうといった生餌いきえや、強つよいすり餌えを必要ひつようとするためエサの選択せんたくに神経しんけいを使つかう。アワなどの背せの高たかいイネ科か植物しょくぶつを植うえた屋外おくがいの禽舎の中なかで飼育しいくするのが、自みずから植物しょくぶつを利用りようして巣すづくりをし、生餌いきえも禽舎の中なかで自然しぜん発生はっせいしたものを利用りようできるので、繁殖はんしょく環境かんきょうとしては最もっとも望のぞましい。いずれにしても巣引すびきが難むずかしい鳥とりである。

かつては多おおくの個体こたいが大量たいりょうかつ安価あんかに輸入ゆにゅう・流通りゅうつうしていたが、鳥とりインフルエンザの影響えいきょうを受うけ東南とうなんアジアからの野鳥やちょうの輸入ゆにゅうが途絶とだえたため、他たのアジアンフィンチ同様どうよう現在げんざいほとんど見みることができない。ヨーロッパでは飼かい鳥どりとして累代るいだい飼育しいくもされているが、ヨーロッパの多おおくの国くにからも鳥とりの生体せいたい輸入ゆにゅうが禁止きんしされているため、近年きんねんペットショップなどで稀まれに売うり出だされるのは生体せいたい輸入ゆにゅうが禁止きんしされていないスペインもしくはベルギーで累代るいだい飼育しいくされた個体こたいにほぼ限かぎられており、価格かかくもコキンチョウなど高級こうきゅうフィンチすら超こえる高価こうかな飼かい鳥どりになっている。