緋牡丹ひぼたん博徒ばくとシリーズ

『緋牡丹ひぼたん博徒ばくと』シリーズ（ひぼたんばくとシリーズ）は、藤ふじ純子じゅんこ（富司ふじ純子じゅんこ）主演しゅえんで、東映とうえいによって制作せいさくされたヤクザ映画えいがシリーズ。全ぜん8作さく。東映とうえい京都きょうと撮影さつえい所しょ製作せいさく。

藤ふじ純子じゅんこの代表だいひょう的てきシリーズとして知しられる。シリーズはつながっており、明治めいじ中頃なかごろ、"緋牡丹ひぼたんのお竜りゅう"こと女おんな侠客きょうかく・矢野やの竜子りゅうこが闇討やみうちちで殺ころされた父ちちの仇かたきを求もとめて賭場とばを流ながれ歩あるき第だい一いち作さくで仇かたきを討うち、二に作さく目め以降いこうは、渡世とせい修行しゅぎょうするために、諸国しょこくまわって義理ぎりと人情にんじょうを踏ふみにじる不正ふせいな悪党あくとうと戦たたかっていくという内容ないよう。

概要がいよう

鶴田つるた浩二こうじ、高倉たかくら健けんと並ならぶ任侠にんきょうスターである藤ふじ純子じゅんこ（富司ふじ純子じゅんこ、以下いか、藤ふじ）の人気にんきを不動ふどうのものにした任侠にんきょうシリーズで、全国ぜんこくの仁侠にんきょう映画えいがファンの支持しじを得えて大だいヒットした。1968年ねんの第だい一いち作さく『緋牡丹ひぼたん博徒ばくと』から藤ふじの結婚けっこん引退いんたい直前ちょくぜんの1972年ねん『緋牡丹ひぼたん博徒ばくと 仁義じんぎ通とおします』まで全ぜん八はち作さくが製作せいさくされた。緋牡丹ひぼたんの刺青しせいを背負せおった女おんなヤクザ"緋牡丹ひぼたんのお竜りゅう"が、女おんなながら義理ぎりと人情にんじょうのしがらみの中なかに生いき、不正ふせいには身みをもって立たち向むかっていくというのがパターンであり、藤ふじが片肌かたはだ脱ぬいで背中せなかの緋牡丹ひぼたんの刺青しせいを見みせるシーンが見みせ場ばとなっている。お竜りゅうと義兄弟ぎきょうだいの絆きずなで結むすばれた若山わかやま富三郎とみさぶろう扮ふんする熊くま虎とら親分おやぶんが毎回まいかいコメディ・リリーフとして登場とうじょうし、鶴田つるた浩二こうじ・高倉たかくら健けん・菅原すがわら文太ぶんたらのスターが交互こうごに出演しゅつえんする。シリーズ全ぜん八はち作さくはいずれも高たかい水準すいじゅんを保たもっているが、加藤かとう泰やすし監督かんとくによる第だい三さん作さく『緋牡丹ひぼたん博徒ばくと 花札はなふだ勝負しょうぶ』、第だい六ろく作さく『緋牡丹ひぼたん博徒ばくと お竜りゅう参上さんじょう』、第だい七なな作さく『緋牡丹ひぼたん博徒ばくと お命いのち戴いただきます』が特とくに評価ひょうかが高たかい。第だい六ろく作さく『緋牡丹ひぼたん博徒ばくと お竜りゅう参上さんじょう』での、故郷こきょうに帰かえる流ながれ者もの・菅原すがわら文太ぶんたにお竜りゅうがミカンを渡わたす雪ゆきの今戸いまど橋きょうのシーンは屈指くっしの名めい場面ばめんとされる。本ほんシリーズが大だいヒットした1968年ねんから1969年ねんにかけて"東映とうえい任侠にんきょう映画えいが"は頂点ちょうてんに達たっした。

シリーズ一覧いちらん

• 第だい1作さく『緋牡丹ひぼたん博徒ばくと』（1968年ねん9月がつ14日にち公開こうかい）
  • 監督かんとく：山下やました耕作こうさく、脚本きゃくほん：鈴木すずき則のり文ぶん
  • 出演しゅつえん：高倉たかくら健けん、藤ふじ純子じゅんこ、若山わかやま富三郎とみさぶろう（特別とくべつ出演しゅつえん）、待まち田京たきょう介かい、大木おおき実みのる、山本やまもと麟一、若水わかみずヤエ子やえこ、金子かねこ信雄のぶお、清川きよかわ虹にじ子こ、山城やましろ新伍しんご、他た

• 第だい2作さく『緋牡丹ひぼたん博徒ばくと 一宿一飯いっしゅくいっぱん』（1968年ねん11月22日にち公開こうかい）
  • 監督かんとく：鈴木すずき則のり文ぶん、脚本きゃくほん：野上のかみ龍雄たつお、鈴木すずき則のり文ぶん
  • 出演しゅつえん：藤ふじ純子じゅんこ、菅原すがわら文太ぶんた、待まち田京たきょう介かい、村井むらい国夫くにお、城野しろのゆき、白木しらきマリ、山城やましろ新伍しんご、玉川たまがわ良一りょういち、小島こじま慶四郎けいしろう、天津てんしん敏さとし、遠藤えんどう辰雄たつお、西村にしむら晃あきら、水島みずしま道太郎みちたろう、若山わかやま富三郎とみさぶろう、鶴田つるた浩二こうじ、他た

• 第だい3作さく『緋牡丹ひぼたん博徒ばくと 花札はなふだ勝負しょうぶ』（1969年ねん2月がつ11日にち公開こうかい）
  • 監督かんとく：加藤かとう泰やすし、脚本きゃくほん：鈴木すずき則のり文ぶん、鳥居とりい元宏もとひろ
  • 出演しゅつえん：高倉たかくら健けん、藤ふじ純子じゅんこ、若山わかやま富三郎とみさぶろう、待まち田京たきょう介かい、清川きよかわ虹にじ子こ、小池こいけ朝雄あさお、天津てんしん敏さとし、山本やまもと麟一、汐路しおじ章あきら、嵐あらし寛ひろし寿郎としお、藤山ふじやま寛美ひろみ、他た

• 第だい4作さく『緋牡丹ひぼたん博徒ばくと 二に代目だいめ襲名しゅうめい』（1969年ねん4月がつ10日とおか公開こうかい）
  • 監督かんとく：小沢おざわ茂弘しげひろ、脚本きゃくほん：鈴木すずき則のり文ぶん、原作げんさく：火野ひの葦平あしへい
  • 出演しゅつえん：高倉たかくら健けん、藤ふじ純子じゅんこ、待まち田京たきょう介かい、高宮たかみや敬二けいじ、長門ながと裕之ひろゆき、天津てんしん敏さとし、小松こまつ方正ほうせい、嵐あらし寛ひろし寿郎としお、遠藤えんどう辰雄たつお、清川きよかわ虹にじ子こ、他た

• 第だい5作さく『緋牡丹ひぼたん博徒ばくと 鉄火場てっかば列伝れつでん』 （1969年ねん10月がつ1日にち公開こうかい）
  • 監督かんとく：山下やました耕作こうさく、脚本きゃくほん：笠原かさはら和夫かずお、鈴木すずき則のり文ぶん
  • 出演しゅつえん：藤ふじ純子じゅんこ、丹波たんば哲郎てつろう、鶴田つるた浩二こうじ、若山わかやま富三郎とみさぶろう、待まち田京たきょう介かい、里見さとみ浩太郎こうたろう、他た

• 第だい6作さく『緋牡丹ひぼたん博徒ばくと お竜りゅう参上さんじょう』（1970年ねん3月がつ5日にち公開こうかい）
  • 監督かんとく：加藤かとう泰やすし、脚本きゃくほん：加藤かとう泰やすし、鈴木すずき則のり文ぶん
  • 出演しゅつえん：藤ふじ純子じゅんこ、菅原すがわら文太ぶんた、若山わかやま富三郎とみさぶろう、嵐あらし寛ひろし寿郎としお、汐路しおじ章あきら、山岸やまぎし映子えいこ、山城やましろ新伍しんご、他た

• 第だい7作さく『緋牡丹ひぼたん博徒ばくと お命いのち戴いただきます』（1971年ねん6月がつ1日にち公開こうかい）
  • 監督かんとく：加藤かとう泰やすし、脚本きゃくほん：大和久おおわく守正もりまさ、 鈴木すずき則のり文ぶん、加藤かとう泰やすし
  • 出演しゅつえん：藤ふじ純子じゅんこ、鶴田つるた浩二こうじ、待まち田京たきょう介かい、名和なわ宏ひろし、若山わかやま富三郎とみさぶろう、小松こまつ方正ほうせい、内田うちだ朝雄あさお、嵐あらし寛ひろし寿郎としお、沼田ぬまた曜一、汐路しおじ章あきら、他た

• 第だい8作さく『緋牡丹ひぼたん博徒ばくと 仁義じんぎ通とおします』（1972年ねん1月がつ11日にち公開こうかい）
  • 監督かんとく：斎藤さいとう武市たけいち、脚本きゃくほん：高田たかだ宏治こうじ
  • 出演しゅつえん：藤ふじ純子じゅんこ、菅原すがわら文太ぶんた、片岡かたおか千恵ちえ蔵ぞう、松方まつかた弘樹ひろき、若山わかやま富三郎とみさぶろう、待まち田京たきょう介かい、他た

スピンオフ

• 本ほん作さくから派生はせいした若山わかやま富三郎とみさぶろう扮ふんする熊くま虎とら親分おやぶんを主人公しゅじんこうとする『シルクハットの大だい親分おやぶん』がシリーズ二に作品さくひんあり、藤ふじも助すけっ人と役やくで出演しゅつえんしている。

製作せいさく経緯けいい

企画きかく、及およびタイトル命名めいめいは、当時とうじの東映とうえい常務じょうむ兼けん企画きかく製作せいさく本部ほんぶ長ちょう・岡田おかだ茂しげる（のち、同社どうしゃ社長しゃちょう）。岡田おかだは1964年ねんから東映とうえい京都きょうと撮影さつえい所しょ（以下いか、京きょう撮つまみ）を俊しゅん藤ふじ浩ひろし滋しげると組くんで任侠にんきょう路線ろせんへ転換てんかんさせたが、1966年ねんから江波えば杏子あんず主演しゅえんの大映だいえい映画えいが『女おんな賭博とばく師しシリーズ』を横目よこめに「東映とうえいも女おんな版ばんの任侠にんきょう映画えいがをやらない手てはない」と製作せいさくに着手ちゃくしゅした。第だい1作さく封切ふうきり3ヵ月かげつ前まえの1968年ねん6月がつ、岡田おかだは鈴木すずき則のり文ぶんと企画きかく事務じむ係がかりだった佐藤さとう雅夫まさおを呼よび、「女剣劇おんなけんげき物ぶつができないか、『女おんな狼おおかみ』というタイトルで書かいてみろ。女優じょゆうは藤ふじ純子じゅんこ」と命めいじ、脚本きゃくほんに着手ちゃくしゅさせた。また「片肌かたはだ脱ぬいで刺青しせいを見みせる場面ばめんを必かならず入いれること」を条件じょうけんにつけた。途中とちゅうから日下部くさかべ五朗ごろうが参加さんかし、鈴木すずきと佐藤さとう、日下部くさかべと三さん名めいのディスカッションによってプロットが練ねられた。

岡田おかだは藤ふじの父ちちである俊しゅん藤ふじを呼よび、岡田おかだ「純子じゅんこが双そう肌はだ脱ぬげば大だいヒット間違まちがいなしや」、岡田おかだ「（主演しゅえんは）藤ふじ純子じゅんこで。いけるぞ」、俊しゅん藤ふじ「男おとこの世界せかいで女おんなが出でしゃばるというのは、どうかなあ。メロドラマならともかく。女おんなはいつも男おとこのうしろで控ひかえめにしてるのが、やくざの世界せかいやからな」、岡田おかだ「そやけど、初はじめから女おんなの任侠にんきょうものやから、そんなことを思おもうやつもいないやろ。いっぺん考かんがえてくれ」というやりとりがあったように俊しゅん藤ふじは最初さいしょは乗のり気きでなかった。躊躇ちゅうちょする俊しゅん藤ふじをよそに岡田おかだが企画きかくをどんどん進すすめ、「やっぱりあんたが（製作せいさくを）やらなくちゃおかしいよ。それじゃなければこの企画きかくは一本いっぽんで終おわるよ」と説得せっとくし俊しゅん藤ふじが渋々しぶしぶ製作せいさくを引ひき受うけた。しかし俊しゅん藤ふじは途中とちゅうからだんだん入はいり込こんでいったという。鈴木すずき則のり文ぶんは「岡田おかださんと俊しゅん藤ふじさんがどの時点じてんで話はなし合あったのか、どんな話はなしをしたのか僕ぼくは知しりません」と話はなしている。

岡田おかだは俊しゅん藤ふじに内緒ないしょで藤ふじを呼よび「片肌かたはだ脱ぬげるか。あんた脱ぬげよ。そして刺青しせい入いれろ」「任侠にんきょうものの女おんなの主演しゅえんは東映とうえいでは初はじめてだ。うちで新あたらしい映画えいがをやろう」と口説くどいたら「片肌かたはだなら脱ぬぎますよ」と藤ふじが即答そくとうし、「脱ぬげよ。緋牡丹ひぼたんやろう」と答こたえ、岡田おかだが"緋牡丹ひぼたんお竜りゅう"という名前なまえを付つけたという。藤ふじは「入いれ墨ずみを見みせるために両りょう肌はだを見みせるシーンがあり、『何なにも両りょう肌はだ脱ぬぐことはないでしょう。片肌かたはだにして下ください」と頑がんとして譲ゆずらず、「当時とうじの東映とうえいはお金儲かねもうけのためなら何なんでもやる会社かいしゃで(笑)かっこわらい、岡田おかだ常務じょうむは『言いうことを聞きかない女優じょゆうだな』と思おもっていたかもしれない」などと話はなしている。岡田おかだが藤ふじの主演しゅえん抜擢ばってき、藤ふじの父ちちである俊しゅん藤ふじの製作せいさく、鈴木すずき則のり文ぶんの脚本きゃくほんなどを決きめ、「タイトルそのほかも僕ぼくが全部ぜんぶプロデュースした」と話はなしている。

鈴木すずきは1966年ねんのマキノ雅弘まさひろ監督かんとくの映画えいが『日本にっぽん大だい侠客きょうかく』で、藤ふじが演えんじた"鉄火てっか芸者げいしゃ・お竜りゅう"をイメージし、愛読あいどく書しょだった小島こじま政二郎まさじろうの『人妻ひとづま椿つばき』のヒロイン"矢野やの淑子としこ"の名前なまえを合あわせ"矢野やの竜子りゅうこ"という姓名せいめいを決きめた。また火ひの女おんなのイメージから出身しゅっしんは熊本くまもとと想定そうていし「肥後ひご熊本くまもとは五木いつきの生うまれ、姓せいは矢野やの、名なは竜子りゅうこ、通とおり名なを緋牡丹ひぼたんのお竜りゅうと発はっします」というフレーズを決きめた。背中せなかの緋牡丹ひぼたんの刺青しせいであるが、岡田おかだは著書ちょしょで「もともと時代じだい劇げきに『緋牡丹ひぼたん大名だいみょう』などの緋牡丹ひぼたん物ぶつはいくつかあったが、『緋牡丹ひぼたん』に『博徒ばくと』を合あわせたタイトル、そして役名やくめい"緋牡丹ひぼたんのお竜りゅう"を生うみ出だしたのは私わたしである」と述のべている。鈴木すずきは脚本きゃくほんを書かき岡田おかだに第だい一いち稿こうを渡わたした。鈴木すずきがタイトルを、『女おんな狼おおかみ』から『女おんな博徒ばくと緋牡丹ひぼたんお竜りゅう』と変更へんこうしていた。岡田おかだはタイトルをマジックで大おおきく紙かみに書かき「『緋牡丹ひぼたん博徒ばくと』にしよう」とタイトルを決定けっていした。岡田おかだは東映とうえい作品さくひんの題名だいめいの多おおくの命名めいめい者しゃとしても知しられるが、「『緋牡丹ひぼたん博徒ばくと』はタイトルが成功せいこうした。『緋牡丹ひぼたん』と『博徒ばくと』、タイトルの前半ぜんはんと後半こうはんがまったく合あわない言葉ことばを組くみ合あわせるのがコツ。普通ふつうに考かんがえれば合あいやせんよ。それを一緒いっしょにして『緋牡丹ひぼたん博徒ばくと』と言いうと人ひとが目めをつけるんだ。『美女びじょと野獣やじゅう』みたいなもんだよ」などと岡田おかだは解説かいせつしている。1974年ねんにブルース・リー映画えいがが日本にっぽんで大だいヒットした際さいに、岡田おかだは鈴木すずき則のり文ぶんに「京都きょうと時代じだいに俺おれとお前まえで作つくった『緋牡丹ひぼたん博徒ばくと』のカラテ版ばんをつくる」と指示しじして志穂美しほみ悦子えつこ主演しゅえんで『女おんな必殺ひっさつ拳けん』を作つくったことがある。岡田おかだは『緋牡丹ひぼたん博徒ばくと』は自身じしんと鈴木すずきの二人ふたりで作つくったと考かんがえている。鈴木すずきは「緋牡丹ひぼたんの刺青しせいをした女おんな渡世人とせいにん、緋牡丹ひぼたんのお竜りゅうという人物じんぶつ像ぞうを作つくり第だい一いち作さくを書かいたのは私わたしですが、それでもたくさんの人ひとに知恵ちえをかしてもらっています。第だい5作さく『緋牡丹ひぼたん博徒ばくと 鉄火場てっかば列伝れつでん』は、ほとんど笠原かさはら和夫かずおと山下やました耕作こうさくのものです。第だい4作さく『緋牡丹ひぼたん博徒ばくと 二に代目だいめ襲名しゅうめい』の原作げんさくは火野ひの葦平あしへいの『女おんな侠一いち代だい』です」などと述のべている。俊しゅん藤ふじは娘むすめの初はつ主役しゅやくを引ひきたてるため、相手あいて役やくを高倉たかくら健けんに頼たのみ、ワルに大木おおき実みのる、脇わきのお笑わらい担当たんとうに若山わかやま富三郎とみさぶろうなど回まわりのキャストを決きめた、また江波えば杏子あんずの『女おんな賭博とばく師しシリーズ』は、壺つぼ振ふりの話はなしであったが、藤ふじには手本てほん引をさせた、博奕ばくえきのシーンでは本物ほんもののやくざに来きてもらい指導しどうを仰あおぎ、博奕ばくえきのお客きゃくになって張はってもらった、だから殺気さっきがみなぎる、本格ほんかく的てきな画がを撮とることができた、しかもそれを女おんながやる、そういうことが物凄ものすごい人気にんきになったんだろう、などと述のべている。

主題歌しゅだいか

• 「緋牡丹ひぼたん博徒ばくと」
  • 歌うた：藤ふじ純子じゅんこ
  • 作曲さっきょく：渡辺わたなべ岳夫たけお
  • 作詞さくし：豊野とよの弥わたる八郎はちろう

　※三さん作さく目めから

• 岡田おかだは著書ちょしょで、もともとは俊しゅん藤ふじが女優じょゆう探さがしに韓国かんこくに行いったとき、この原点げんてんとなる曲きょくを聞きいたと書かいている。
• 岡田おかだは当時とうじテレビの関係かんけい者しゃと付つき合あいを広ひろめていて、岡田おかだが企画きかくしたテレビドラマ「大奥おおおく」（関西かんさいテレビ）の主題歌しゅだいかに渡辺わたなべを起用きようしているため同年どうねんの本ほん作さくも岡田おかだが依頼いらいしたものと思おもわれる。著書ちょしょに「タイトルそのほかも僕ぼくが全部ぜんぶプロデュースした」と話はなしている。
• 1969年ねん3月5日にちに日本民間放送連盟にほんみんかんほうそうれんめいの要注意ようちゅうい歌謡かよう曲きょく指定してい制度せいどの審査しんさ対象たいしょうとなったが、「要注意ようちゅういに指定していするほどの内容ないようではなかった」として指定していは受うけなかった。
• 1969年ねんの日本にほんビクター・ヒット賞しょうを受賞じゅしょうした。
• 1973年ねん6月がつ25日にち藤ふじ圭子けいこがリリースしたLP演歌えんかの旅たび(緋牡丹ひぼたん博徒ばくと)にて同どう曲きょくをカバー。

エピソード

• 結果けっか的てきに当あたり役やくになったとはいえ、当時とうじ22歳さいだった藤ふじが主役しゅやくに抜擢ばってきされた背景はいけいには、当時とうじ、岡田おかだ茂しげるが仕掛しかけた任侠にんきょう路線ろせんやエログロ路線ろせんが本格ほんかく化かし、極端きょくたんに男性だんせい重視じゅうしの路線ろせんを敷しいて女性じょせい客きゃくを切きり捨すて、東映とうえいの専属せんぞく女優じょゆうを大事だいじにしなかったという事情じじょうがある。小川おがわ知子ともこは岡田おかだに裸はだかを強要きょうようされ、三田みた佳子けいこは鶴田つるた浩二こうじと確執かくしつがあり、佐久間さくま良子りょうこは会社かいしゃの企画きかくに不満ふまんがあって、主力しゅりょく女優じょゆうが次々つぎつぎと東映とうえいを退社たいしゃするなかで、ひとり藤ふじが"仁侠にんきょう映画えいがの花はな"としてスター女優じょゆうの道みちを着実ちゃくじつに歩あゆんでいった。藤ふじは高倉たかくら健けん主演しゅえんの『日本にっぽん侠客きょうかく伝でんシリーズ』や鶴田つるた浩二こうじ主演しゅえんの『博奕ばくえき打うちシリーズ』などで好演こうえんを続つづけた後のち、『緋牡丹ひぼたん博徒ばくと』の主演しゅえんに抜擢ばってきされたが、初はつ主演しゅえん作さくはやはり岡田おかだプロデュースの同年どうねん作品さくひん『尼寺あまでら(秘ひ)物語ものがたり』であった。しかし同どう作品さくひんは思おもわぬ不入ふいりで「藤ふじ純子じゅんこではダメか…」と撮影さつえい所しょにはそういう空気くうきが充満じゅうまんしていた矢先やさきの『緋牡丹ひぼたん博徒ばくと』での主演しゅえん抜擢ばってきであった。東映とうえいでこの若わかさでの主演しゅえん作さくは美空みそらひばり以来いらいともいわれた。
• シリーズ中ちゅう、加藤かとう泰やすしの手掛てがけた作品さくひんは今日きょう評価ひょうかが高たかいが、撮影さつえい当時とうじは異常いじょうに長ながい撮影さつえい時間じかんに藤ふじがうんざりして「監督かんとくの言いうことはわからないし、私わたしには合あわないわ」と何なん度ども愚痴ぐちをこぼし、藤ふじと加藤かとうとの仲裁ちゅうさい役やくも岡田おかだが務つとめたという。第だい6作さく『緋牡丹ひぼたん博徒ばくと お竜りゅう参上さんじょう』の前まえには一いち悶着もんちゃくあり、藤ふじが「監督かんとくが加藤かとうなら出でない」というところまで行いき、岡田おかだと俊しゅん藤ふじの周旋しゅうせんと説得せっとくで何なにとか解消かいしょうした。藤ふじは勝気かちきで俊しゅん藤ふじに抑おさえ込こまれていた鬱うつ慣で、上半身じょうはんしん裸はだかで二に階かいからコーラのびんを投なげつけていたといわれる。
• 藤山ふじやま寛美ひろみが第だい3作さくに出演しゅつえんしているのは、当時とうじ多額たがくの負債ふさいを抱かかえて自己じこ破産はさんし松竹しょうちくをクビになり、岡田おかだを頼たよって東映とうえいの鶴田つるた浩二こうじや若山わかやま富三郎とみさぶろう主演しゅえんの任侠にんきょう映画えいがの助演じょえんをして生活せいかつをしのいでいたため。
• 本ほんシリーズで藤ふじの人気にんきは不動ふどうのものとなり、加くわえて『日本にっぽん女おんな侠伝シリーズ』と『女おんな渡世人とせいにんシリーズ』と二ふたつの主演しゅえんシリーズが生うまれた。『日本にっぽん女おんな侠伝シリーズ』が5本ほん、『女おんな渡世人とせいにんシリーズ』が2本ほん。
• 任侠にんきょう映画えいがの花はなはまだまだ咲さき誇ほこると思おもった1971年ねん11月、藤ふじは歌舞伎かぶき俳優はいゆうの尾上おがみ菊五郎きくごろうとの婚約こんやくを突然とつぜん発表はっぴょう。「絶対ぜったいに引退いんたいしますとは言いうなよ」と岡田おかだと俊しゅん藤ふじは強つよく念ねん押おししていたが、藤ふじは女優じょゆう引退いんたいも同時どうじに発表はっぴょうした。岡田おかだは当時とうじ社長しゃちょうに就任しゅうにんしたばかりで、東映とうえいの大事だいじな宝たからを奪うばわれ、引退いんたいに断固だんこ抗議こうぎ。俊しゅん藤ふじは娘むすめの結婚けっこん引退いんたいを反対はんたいしなかったために岡田おかだ自みずから懸命けんめいの説得せっとくに当あたったが、藤ふじは頑かたくなで諦あきらめざるを得えなかった。藤ふじは準備じゅんび中ちゅうだったシリーズ8作さく目めの『緋牡丹ひぼたん博徒ばくと 仁義じんぎ通とおします』には出でるが、新あらたな企画きかくは出でないつもりだった。やむを得えず、「それならみんなに惜おしまれて辞やめろ」と引退いんたい記念きねん映画えいがの製作せいさくを俊しゅん藤ふじに断固だんこ要求ようきゅうし藤ふじを説得せっとく、製作せいさく・宣伝せんでん費ひに約やく2億おく円えんと当時とうじの映画えいがとしては破格はかくの予算よさんをかけ、東映とうえいオールスター結集けっしゅうによる引退いんたい記念きねん映画えいが『純子じゅんこ引退いんたい記念きねん映画えいが 関東かんとう緋ひ桜さくら一家いっか』を製作せいさくした。これを藤ふじの挙式きょしき直前ちょくぜんに封切ふうきった。『関東かんとう緋ひ桜さくら一家いっか』は最後さいごの藤ふじ純子じゅんこを見みようと映画えいが館かんに観客かんきゃくが詰つめかけ正月しょうがつ興行こうぎょうを上回うわまわる盛況せいきょうで引退いんたいフィーバーに沸わいた。藤ふじは約やく10年間ねんかんの東映とうえい専属せんぞくで90本ほんの映画えいがに出演しゅつえん、任侠にんきょうの花はなとして一世いっせいを風靡ふうびし引退いんたいした。しかし藤ふじ純子じゅんこのフィナーレとともに任侠にんきょう路線ろせんも終焉しゅうえんを迎むかえた。藤ふじ純子じゅんこ引退いんたいの後のち、岡田おかだと俊しゅん藤ふじがすぐに“ポスト藤ふじ純子じゅんこ”探さがしを始はじめ、 トヨタとタイアップし賞品しょうひん付つき(合格ごうかく者しゃ100万まん円えん、推薦すいせん者しゃセリカ)で藤ふじの後継こうけい者しゃを一般いっぱん募集ぼしゅうした。合格ごうかくした中村なかむら英子えいこ、藤ふじ浩子ひろこ、土田つちた早苗さなえ、堀越ほりこし光恵みつえ、松平まつだいら純子じゅんこ、池いけ玲子れいこの6人にんを和服わふくの似合にあう美人びじんに仕立したててあげ、"ポスト藤ふじ純子じゅんこ"として順繰じゅんぐり売うり出だしたが二に代目だいめは育そだたなかった。代かわりに東映とうえいに呼よばれたのが梶かじ芽衣子めいこであった。
• 2009年ねんに公開こうかいされた細田ほそだ守まもる監督かんとくのアニメーション映画えいが『サマーウォーズ』で、富司ふじ（藤ふじ）が演えんじる登場とうじょう人物じんぶつが一族いちぞく全員ぜんいんに花札はなふだを教おしえているという設定せっていは、第だい3作さく『緋牡丹ひぼたん博徒ばくと 花札はなふだ勝負しょうぶ』へのオマージュである。

脚注きゃくちゅう

注釈ちゅうしゃく

出典しゅってん

参考さんこう文献ぶんけん・ウェブサイト

• 「任侠にんきょう藤ふじ純子じゅんこ おんなの詩し」『キネマ旬報きねまじゅんぽう』1971年ねん8月がつ10日とおか増刊ぞうかん号ごう。 
• 『日本にっぽん映画えいが俳優はいゆう全集ぜんしゅう・女優じょゆう編へん』キネマ旬報社きねまじゅんぽうしゃ、1980年ねん。 
• 松島まつしま利行としゆき『風雲ふううん映画えいが城じょう』 下した、講談社こうだんしゃ、1992年ねん。ISBN 4-06-206226-7 風雲ふううん。 
• 『ぴあシネマクラブ 邦画ほうが編へん 1998-1999』ぴあ、1998年ねん。ISBN 4-89215-904-2。 
• 俊しゅん藤ふじ浩ひろし滋しげる・山根やまね貞男さだお『任侠にんきょう映画えいが伝でん』講談社こうだんしゃ、1999年ねん。ISBN 4-06-209594-7。 
• 山下やました耕作こうさく・円えん尾お敏郎としお『将軍しょうぐんと呼よばれた男おとこ：映画えいが監督かんとく山下やました耕作こうさく』ワイズ出版しゅっぱん、1999年ねん。ISBN 4-89830-002-2。 
• 杉作すぎさくJ太郎たろう・植うえ地ち毅あつし（編著へんちょ）『東映とうえいピンキー・バイオレンス浪漫ろうまんアルバム』徳間書店とくましょてん、1999年ねん。ISBN 4-19-861016-9。 
• 岡田おかだ茂しげる『悔くいなきわが映画えいが人生じんせい：東映とうえいと、共ともに歩あゆんだ50年ねん』財界ざいかい研究所けんきゅうじょ、2001年ねん。ISBN 4-87932-016-1。 
• 笠原かさはら和夫かずお『映画えいがはやくざなり』新潮社しんちょうしゃ、2003年ねん。ISBN 978-4104609017。 
• 岡田おかだ茂しげる『波瀾万丈はらんばんじょうの映画えいが人生じんせい：岡田おかだ茂しげる自伝じでん』角川書店かどかわしょてん、2004年ねん。ISBN 4-04-883871-7。 
• 笠原かさはら和夫かずお『破滅はめつの美学びがく ヤクザ映画えいがへの鎮魂ちんこん曲きょく』ちくま文庫ぶんこ、2004年ねん。ISBN 978-4877285067。 （徳間書店とくましょてん、1987年ねん6月がつを加筆かひつ、改題かいだいし幻冬舎げんとうしゃから1997年ねんに出版しゅっぱん、さらに再さい出版しゅっぱんしたもの）
• 山平やまひら重樹しげき『任侠にんきょう映画えいがが青春せいしゅんだった 全ぜん証言しょうげん伝説でんせつのヒーローとその時代じだい』徳間書店とくましょてん、2004年ねん。ISBN 978-4-19-861797-4。 
• 岡田おかだ茂しげる（東映とうえい・相談役そうだんやく）×福田ふくだ和也かずや「東映とうえいヤクザ映画えいがの時代じだい 『網走あばしり番外地ばんがいち』『緋牡丹ひぼたん博徒ばくと』『仁義じんぎなき戦たたかい』の舞台裏ぶたいうらは　」『オール読物よみもの』、文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう、2006年ねん3月がつ。 
• 「欲望よくぼうする映画えいが カツドウ屋や、岡田おかだ茂しげるの時代じだい」『キネマ旬報きねまじゅんぽう』2011年ねん7月がつ上旬じょうじゅん号ごう。 
• 富司ふじ純子じゅんこ他た「鎮魂ちんこん、映画えいがの昭和しょうわ 岡田おかだ茂しげる 安藤あんどう庄平しょうへい 加藤かとう彰あきら 高田たかだ純じゅん 沖山おきやま秀子ひでこ 長門ながと裕之ひろゆき」『映画えいが芸術げいじゅつ』、編集へんしゅうプロダクション映うつ芸げい、2011年ねん8月がつ号ごう。 
• 『映画えいが秘宝ひほう』2011年ねん8月がつ号ごう他た、洋よう泉いずみ社しゃ。 
• 鈴木すずき則のり文ぶん「連載れんさい 鈴木すずき則のり文ぶん 東映とうえいゲリラ戦記せんき」『ちくま』、筑摩書房ちくましょぼう、2011年ねん10月がつ〜2013年ねん6月がつ。 
• 春日かすが太一たいち『あかんやつら 東映とうえい京都きょうと撮影さつえい所しょ血ち風ふう録ろく』文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう、2013年ねん。ISBN 4-1637-68-10-6。 
• 『女優じょゆう 富司ふじ純子じゅんこ』キネマ旬報社きねまじゅんぽうしゃ、2013年ねん。ISBN 978-4873764191。 
• 「高倉たかくら健けんが鮮あざやかに甦よみがえる 『やくざ映画えいが』の世界せかい」『週刊しゅうかんポスト』、小学館しょうがくかん、2014年ねん12月12日にち号ごう。 
• 相原あいはら斎ひとし『健けんさんを探さがして 最後さいごの銀幕ぎんまくスターの秘密ひみつ』青あお志こころざし社しゃ、2015年ねん。ISBN 978-4-86590-007-1。 
• 東映とうえいキネマ旬報きねまじゅんぽう vol.2
• 山本やまもと哲士てつし『高倉たかくら健けん・藤ふじ純子じゅんこの任侠にんきょう映画えいがと日本にっぽん情念じょうねん：憤怒ふんぬと情愛じょうあいの美学びがく』文化ぶんか科学かがく高等こうとう研究けんきゅう院いん出版しゅっぱん局きょく、2015年ねん。

外部がいぶリンク

• 「緋牡丹ひぼたん博徒ばくと」シリーズ - ｜一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじん日本にっぽん映画えいが製作せいさく者しゃ連盟れんめい
• 緋牡丹ひぼたん博徒ばくと／東映とうえいチャンネル − 東映とうえいチャンネル