羽後うご地震じしん

震源しんげん地ち

羽後うご地震じしん（うごじしん）は、1810年ねん9月25日にち（文化ぶんか7年ねん8月がつ27日にち）に、出羽でわ国こくの男鹿半島おがはんとう（後ごの羽後うご国こく、現在げんざいの秋田あきた県けん男鹿おが市し）付近ふきんを震央しんおうとして発生はっせいした、M6.5±1⁄4の地震じしん。脇本わきもとなどで、現在げんざいの震度しんどにして震度しんど7相当そうとうの揺ゆれであったと推定すいていされている。地盤じばんの液状えきじょう化かが発生はっせいしたと推定すいていされている。

南秋田みなみあきた郡ぐんで死者ししゃ59名めい、潰つぶせ家か1,078棟むね。山本やまもと郡ぐんで潰つぶせ家か51棟むねの被害ひがいが出でた。死者ししゃ57名めい、全潰ぜんかい1,003棟むねとする資料しりょうもある。なお、地震じしん学者がくしゃの宇津うつ徳治とくじは死者ししゃ60人にん・負傷ふしょう者しゃ120人にんとしている。

この地震じしんは男鹿おが大だい地震じしんとも言いう。この年とし、5月がつ頃ごろから鳴動めいどうがあり、8月がつ始はじめからは八郎潟はちろうがたの水みずの色いろが変化へんかし、ボラが多おおく死亡しぼうした。7月がつ中旬ちゅうじゅん頃ごろからは地震じしんが頻発ひんぱつし、8月がつ25・26日にち頃ごろには日ひに70回かい程度ていどの地震じしんが起おきていた。9月25日にちにはM6.5と想定そうていされる大だい地震じしんが発生はっせいした。寒風山かんぷうざんを中心ちゅうしんに被害ひがいが発生はっせいし、山崩やまくずれが多おおく地割じわれより泥どろが噴出ふんしゅつした。被害ひがいは死亡しぼう者しゃが57名めい（163名めいとも）、負傷ふしょう者しゃ116名めい、全壊ぜんかい1,003棟むね、半壊はんかい400棟むね、大破たいは387棟むね、焼失しょうしつ5棟むね(佐竹さたけ氏し北きた家かの『北きた家か日記にっき』による)であった。男鹿おが市し北浦きたうらの温泉おんせん湧出ゆうしゅつが止とまり、八郎潟はちろうがたの西岸せいがんの松木沢まつきさわと払戸ふっと間あいだが約やく1 m隆起りゅうきした。現げん能代のしろ市しの浜はま浅口あさくちと黒岡くろおか両りょう村むらで全壊ぜんかい6棟むねであった。寒風山かんぷうざんの山頂さんちょう付近ふきんの地震じしん塚づかには「変死へんし亡霊ぼうれい供養くよう塔とう」が建たてられた。

菅江すがえ真澄ますみはこの地震じしんを男鹿おが滝川たきがわ村むらで経験けいけんし、大だい地震じしん前後ぜんこうの詳細しょうさいな状況じょうきょうを『牡鹿おじかの寒かんかぜ』に記録きろくしつつ、大だい地震じしん直後ちょくごの寒風かんぷう山東さんとう麓ふもとを巡めぐっている。

参考さんこう文献ぶんけん

• 宇佐美うさみ龍夫たつお『わが国くにの歴史れきし地震じしんの震度しんど分布ぶんぷ・等とう震度しんど線せん図ず』（改訂かいてい版ばん）日本電気にほんでんき協会きょうかい、2010年ねん。 NCID BB05247023。https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000010994771-00。