草間くさま時福ときよし

草間くさま 時福ときよし（くさま ときよし、1853年ねん6月25日にち（嘉よしみ永ひさし6年ねん5月19日にち） - 1932年ねん（昭和しょうわ7年ねん）1月がつ5日にち）は、明治めいじ期きの官吏かんり、教育きょういく者しゃ、自由じゆう民権みんけん運動うんどう家いえ、政治せいじ家か、旧制きゅうせい松山まつやま中学ちゅうがく（現げん・愛媛えひめ県立けんりつ松山東まつやまひがし高等こうとう学校がっこう）初代しょだい校長こうちょう。夏目なつめ漱石そうせきや正岡子規まさおかしきに影響えいきょうを与あたえたことでよく知しられている。

経歴けいれき

京都きょうとの士族しぞく・下田しもだ好文よしふみの子ことして生うまれ、のち草間くさま列れつ五ご郎ろうの養子ようしとなった。安井やすい息軒そくけん、中村なかむら敬宇けいうに学まなび、1874年ねん（明治めいじ7年ねん）4月がつ2日にちに慶應義塾けいおうぎじゅくに入塾にゅうじゅくした。変則へんそく科か四よん等とうのクラスに所属しょぞくし、同門どうもんに新井あらい豪つよし、竹田たけだ等ひとし、鹿島かしま秀麿ひでまろなどが居いた。1875年ねん（明治めいじ8年ねん）7月がつに慶應義塾けいおうぎじゅくを卒業そつぎょうし、愛媛えひめ県けん権けん令れい岩村いわむら高こう俊しゅんの求もとめに応おうじて仲介ちゅうかい役やくを務つとめた末広すえひろ重恭しげやすの推薦すいせんにより、藩校はんこう明あかり教きょう館かん校舎こうしゃ内ないに新設しんせつされた愛媛えひめ県けん英学えいがく所しょ（現げん・愛媛えひめ県立けんりつ松山東まつやまひがし高等こうとう学校がっこう）の初代しょだい校長こうちょう兼けん教頭きょうとうとして四国しこく松山まつやまに赴任ふにんすることになった。ギゾーのヨーロッパ文明ぶんめい史しなどを講こうじ、村井むらい保たもつ固かた、拓殖つげ武憲たけのりなどを指導しどうする。

1876年ねん（明治めいじ9年ねん）2月がつ19日にち、草間くさまが明治めいじ政府せいふを批判ひはんする論文ろんぶんが『朝野あさの新聞しんぶん』に掲載けいさいされた。草くさ間あいだは地球ちきゅう上じょうで最もっとも優すぐれた人間にんげんは「英えい民みん」ではなく「大日本帝国だいにっぽんていこくの民みん」であるとし、政府せいふの圧迫あっぱく政策せいさくを非難ひなんした。2ヶ月かげつの謹慎きんしん生活せいかつを送おくった後のち、愛媛えひめ県けん英学えいがく所しょの校長こうちょうに再度さいど赴任ふにん。草くさ間あいだは刑期けいき満了まんりょうと共ともに政談せいだん演説えんぜつを再開さいかいしこれを生徒せいとにも推奨すいしょうした。1877年ねん（明治めいじ10年ねん）6月がつ、上京じょうきょうし三田みた演説えんぜつ会かいに参加さんかし、福澤ふくさわ諭吉ゆきちを訪たずねる。松山まつやまに戻もどり、自由じゆう民権みんけん運動うんどう組織そしき「公共こうきょう社しゃ」を組織そしきし、土佐とさの立志りっし社しゃ、阿波あわの自助じじょ社しゃと共ともに愛国あいこく社しゃへ参加さんか、植木うえき枝盛えもりや正岡子規まさおかしきと知遇ちぐうを得える。1879年ねん（明治めいじ12年ねん）7月がつに松山まつやま中学ちゅうがく校長こうちょうを辞職じしょく、上京じょうきょうする。

1879年ねん（明治めいじ12年ねん）9月がつ、交詢社こうじゅんしゃの設立せつりつに携たずさわる。1880年ねん（明治めいじ13年ねん）に『朝野ちょうや新聞しんぶん』に入社にゅうしゃし、『嚶鳴雑誌ざっし』『北越ほくえつ新聞しんぶん』などの論説ろんせつも担当たんとうする。沼間ぬまま守一しゅいちらと国会こっかい期成きせい同盟どうめいに参加さんかし、自由党じゆうとう創立そうりつ時じの中核ちゅうかくを担になうことになる。1881年ねん（明治めいじ14年ねん）11月に東京とうきょう横浜よこはま毎日新聞社まいにちしんぶんしゃに入社にゅうしゃし、1882年ねん（明治めいじ15年ねん）には東京とうきょう府ふ会議かいぎ員いんに当選とうせん。『大阪おおさか新報しんぽう』を買収ばいしゅうし『日本にっぽん立憲りっけん政党せいとう新聞しんぶん』を発行はっこうし、立憲りっけん政党せいとうを組織そしきした。またこの間あいだ、同おなじ朝野ちょうや新聞しんぶんの末広鉄腸すえひろてっちょう・高橋たかはし基一きいちとともに日本にっぽん初はつのアジア主義しゅぎ団体だんたい「興亜こうあ会かい」に参加さんかし、機関きかん誌し編集へんしゅうなどの実務じつむを担当たんとうする。しかしその後ご立憲りっけん政党せいとうは解体かいたいし、草間くさまは星ほし亨とおるや大井おおい憲太郎けんたろうと交友こうゆうしたのち、1884年ねん（明治めいじ17年ねん）には自由じゆう民権みんけん運動うんどうから身みを引ひき、官界かんかいに転進てんしんする。自由党じゆうとう系けい幹部かんぶからの官界かんかい進出しんしゅつは、異例いれいのことであった。

1884年ねん（明治めいじ17年ねん）に、工こう部ぶ省しょう准じゅん奏そう任にん御用ごよう掛かけとなり、その後ご逓信ていしん省しょう郵便ゆうびん為替かわせ貯金ちょきん管理かんり所長しょちょう、東京とうきょう郵便ゆうびん電信でんしん学校がっこう長ちょう、航路こうろ標識ひょうしき管理かんり所長しょちょうなどを歴任れきにん。1913年ねん（大正たいしょう2年ねん）に退官たいかんするまでに29年間ねんかんを明治めいじ政府せいふの官吏かんりとして過すごした。1914年ねん（大正たいしょう3年ねん）4月がつ7日にち、錦鶏きんけい間あいだ祗候しこうに任にんじられる。1932年ねん（昭和しょうわ7年ねん）1月がつ5日にち没ぼつ。墓所はかしょは東京とうきょう青山あおやま墓地ぼちにある。

二男じなん・時どき光こうは後のちに鎌倉かまくら市長しちょうを務つとめ、波多野はたの承うけたまわ五郎ごろうの娘むすめと結婚けっこん。時どき光こうの息子むすこ・時彦ときひこは俳人はいじん。

栄典えいてん

位階いかい

• 1897年ねん（明治めいじ30年ねん）2月がつ10日とおか - 正せい六ろく位い
• 1904年ねん（明治めいじ37年ねん）5月がつ10日とおか - 正せい五ご位い
• 1909年ねん（明治めいじ42年ねん）5月21日にち - 従したがえ四よん位い

勲章くんしょう

• 1895年ねん（明治めいじ28年ねん）10月31日にち - 勲くん五ご等とう瑞宝章ずいほうしょう

登場とうじょう作品さくひん

• 『坂さかの上うえの雲くも』（司馬しば遼りょう太郎たろう）

著書ちょしょなど

著書ちょしょ

• 『大塩おおしお中斎なかさいと頼よりゆき山陽さんよう 坤ひつじさる』（書画しょが骨董こっとう雑誌ざっし社しゃ、1924年ねん）
• 『天てん葩詠草そう』（著者ちょしゃ発行はっこう、1926年ねん）

訳書やくしょ

• ジョン・ルッセル・ヤング 『克かつ蘭らん度ど氏し世界せかい漫游記き』（西宮にしのみや松之助まつのすけ発行はっこう、1880年ねん）

参考さんこう文献ぶんけん

• 『慶應義塾けいおうぎじゅく入社にゅうしゃ帳ちょう』 昭和しょうわ61年ねん 第だい一いち巻かん 654頁ぺーじ