油 あぶら を含 ふく む水 みず たまり。油膜 ゆまく によって薄膜 うすまく 干渉 かんしょう が起 お こり、干渉 かんしょう パターンを観察 かんさつ することができる。水 みず の流出 りゅうしゅつ 点 てん を中心 ちゅうしん に油膜 ゆまく の厚 あつ さが変化 へんか するため、ドーナツ形 がた のパターンとなっている。
シャボン玉 だま から反射 はんしゃ した光 ひかり の色 いろ
レーザ出力 しゅつりょく カプラ(英語 えいご 版 ばん ) は、550nmで80%の反射 はんしゃ 率 りつ を実現 じつげん するために、多 おお くの積 つ み重 かさ ねた膜 まく でコーティングされている。左 ひだり : このミラーは黄色 おうしょく と緑 みどり に対 たい する反射 はんしゃ 率 りつ は高 たか いが、赤 あか と青 あお に対 たい しては透過 とうか 率 りつ が高 たか い。右 みぎ : このミラーは589nmのレーザ光 こう の25%を透過 とうか する。
薄膜 うすまく 干渉 かんしょう (はくまくかんしょう)は、薄膜 うすまく の上下 じょうげ の境界 きょうかい で反射 はんしゃ された光波 こうは が互 たが いに干渉 かんしょう し、特定 とくてい の波長 はちょう の反射 はんしゃ 光 こう を増強 ぞうきょう 又 また は低減 ていげん させる自然 しぜん 現象 げんしょう である。
膜 まく に光 ひかり が入射 にゅうしゃ した時 とき 、膜 まく の上下 じょうげ の界面 かいめん では、それぞれ光 こう の反射 はんしゃ が起 お こる。膜 まく の厚 あつ さが光 ひかり の1/4波長 はちょう の奇 き 数 すう 倍 ばい になると、両方 りょうほう からの反射 はんしゃ 波 は が干渉 かんしょう して打 う ち消 け しあうようになる。一方 いっぽう 、厚 あつ さが光 ひかり の1/2波長 はちょう の倍数 ばいすう の場合 ばあい は、2つの反射 はんしゃ 波 は が互 たが いに強 つよ め合 あ う。このように、さまざまな波長 はちょう からなる白色 はくしょく 光 こう を膜 まく に入射 にゅうしゃ すると、特定 とくてい の波長 はちょう (色 いろ )が強 つよ くなり、他 た の波長 はちょう は弱 よわ くなる 。薄膜 うすまく 干渉 かんしょう により、シャボン玉 だま や水中 すいちゅう の油膜 ゆまく からの反射 はんしゃ 光 こう が複数 ふくすう の色 いろ に見 み えることが説明 せつめい される。また、メガネ やカメラレンズ に使 つか われている反射 はんしゃ 防止 ぼうし 膜 まく の働 はたら きも、この薄膜 うすまく 干渉 かんしょう によるものである。
膜 まく の本当 ほんとう の厚 あつ さは、その屈折 くっせつ 率 りつ と光 ひかり の入射 にゅうしゃ 角 かく の両方 りょうほう に依存 いぞん する。屈折 くっせつ 率 りつ が高 たか い媒質 ばいしつ では光 ひかり の速度 そくど が遅 おそ くなるため、光 ひかり が膜 まく を通過 つうか する際 さい の波長 はちょう に比例 ひれい して膜 まく が作 つく られる。通常 つうじょう の入射 にゅうしゃ 角 かく では、厚 あつ さは中心 ちゅうしん 波長 はちょう の4分 ぶん の1又 また は2分 ぶん の1の倍数 ばいすう になるが、斜 なな めに入射 にゅうしゃ すると厚 あつ さは4分 ぶん の1波長 はちょう 又 また は2分 ぶん の1波長 はちょう の位置 いち での角度 かくど の余弦 よげん に等 ひと しくなり、見 み る角度 かくど が変 か わると色 いろ が変 か わる(所定 しょてい の厚 あつ さの場合 ばあい 、角度 かくど が垂直 すいちょく から斜 なな めに変 か わると、色 いろ は短波 たんぱ 長 ちょう から長波 ちょうは 長 ちょう へと変化 へんか する)。このような強 つよ めあう/弱 よわ めあう干渉 かんしょう による反射 はんしゃ /透過 とうか の帯域 たいいき 幅 はば が狭 せま くなるため、回折 かいせつ 格子 こうし やプリズム のように波長 はちょう ごとに分 わ かれた色 いろ ではなく、スペクトル中 ちゅう に他 た の波長 はちょう を含 ふく まない様々 さまざま な波長 はちょう が混在 こんざい した色 いろ が観察 かんさつ される。したがって、観察 かんさつ される色 いろ は虹色 にじいろ ではなく、茶色 ちゃいろ 、金色 きんいろ 、ターコイズ、ティール(teal)、明 あか るい青 あお 、紫 むらさき 、マゼンタなどである。薄膜 うすまく で反射 はんしゃ したり透過 とうか したりする光 ひかり を調 しら べることで、膜 まく の厚 あつ さや膜 まく の媒質 ばいしつ の有効 ゆうこう 屈折 くっせつ 率 りつ などの情報 じょうほう を得 え ることができる。薄膜 うすまく は、反射 はんしゃ 防止 ぼうし 膜 まく 、ミラー 、光学 こうがく フィルタ など様々 さまざま な用途 ようと に使用 しよう されている。
薄膜 うすまく の上下 じょうげ の境界 きょうかい からの反射 はんしゃ 光 こう の光 ひかり 路 ろ 長 ちょう 差 さ を示 しめ す図 ず
エアバス のコックピットの窓 まど に施 ほどこ されたITO 霜 しも 取 と りコーティングによる薄膜 うすまく 干渉 かんしょう
光学 こうがく において、薄膜 うすまく はサブナノメートル からマイクロメートル の範囲 はんい の厚 あつ さを持 も つ物質 ぶっしつ の層 そう である。光 ひかり が膜 まく の表面 ひょうめん にあたると、上面 うわつら で透過 とうか 又 また は反射 はんしゃ する。透過 とうか した光 ひかり は下面 かめん に到達 とうたつ し、再 ふたた び透過 とうか 又 また は反射 はんしゃ する。界面 かいめん でどの程度 ていど の光 ひかり が透過 とうか 又 また は反射 はんしゃ するかはフレネルの式 しき により定量 ていりょう 的 てき に表 あらわ される。上面 うわつら と下面 かめん で反射 はんしゃ した光 ひかり は干渉 かんしょう する。2つの光 ひかり の波 なみ がどの程度 ていど 強 つよ めあう又 また は弱 よわ めあう干渉 かんしょう をするかは、その位相 いそう の違 ちが いにより決定 けってい される。この位相 いそう 差 さ は膜 まく 厚 あつ 、膜 まく の屈折 くっせつ 率 りつ 、元 もと の波 なみ の膜 まく への入射 にゅうしゃ 角 かく などに依存 いぞん する。また、境界 きょうかい での反射 はんしゃ の際 さい には、境界 きょうかい の両側 りょうがわ にある物質 ぶっしつ の屈折 くっせつ 率 りつ により180°(
π ぱい
{\displaystyle \pi }
ラジアン)の位相 いそう のずれが生 しょう じることがある。この位相 いそう 差 さ は光 ひかり が進 すす む媒質 ばいしつ の屈折 くっせつ 率 りつ が、光 ひかり が当 あ たる物質 ぶっしつ の屈折 くっせつ 率 りつ よりも小 ちい さい場合 ばあい に生 しょう じる。い換 いか えると、
n
1
<
n
2
{\displaystyle n_{1}<n_{2}}
であり、光 ひかり が物質 ぶっしつ 1から物質 ぶっしつ 2に向 む かって進行 しんこう しているとき、反射 はんしゃ 時 じ に位相 いそう シフトが生 しょう じる。この干渉 かんしょう により生 しょう じる光 ひかり のパターンは、入射 にゅうしゃ 光 こう の光源 こうげん により明暗 めいあん の帯状 おびじょう になったり、カラフルな帯状 おびじょう になったりする。
薄膜 うすまく に入射 にゅうしゃ した光 ひかり が上下 じょうげ の境界 きょうかい で反射 はんしゃ することを考 かんが える。干渉 かんしょう の条件 じょうけん を決定 けってい するためには反射 はんしゃ 光 こう の光 ひかり 路 ろ 差 さ (OPD) を計算 けいさん する必要 ひつよう がある。上 うえ の光線 こうせん 図 ず を参照 さんしょう すると、2つの波 なみ の間 あいだ のOPDは次 つぎ のようになる。
O
P
D
=
n
2
(
A
B
¯
+
B
C
¯
)
−
n
1
(
A
D
¯
)
{\displaystyle OPD=n_{2}({\overline {AB}}+{\overline {BC}})-n_{1}({\overline {AD}})}
ここで
A
B
¯
=
B
C
¯
=
d
cos
(
θ しーた
2
)
{\displaystyle {\overline {AB}}={\overline {BC}}={\frac {d}{\cos(\theta _{2})}}}
A
D
¯
=
2
d
tan
(
θ しーた
2
)
sin
(
θ しーた
1
)
{\displaystyle {\overline {AD}}=2d\tan(\theta _{2})\sin(\theta _{1})}
スネルの法則 ほうそく を用 もち いると、
n
1
sin
(
θ しーた
1
)
=
n
2
sin
(
θ しーた
2
)
{\displaystyle n_{1}\sin(\theta _{1})=n_{2}\sin(\theta _{2})}
O
P
D
=
n
2
(
2
d
cos
(
θ しーた
2
)
)
−
2
d
tan
(
θ しーた
2
)
n
2
sin
(
θ しーた
2
)
=
2
n
2
d
(
1
−
sin
2
(
θ しーた
2
)
cos
(
θ しーた
2
)
)
=
2
n
2
d
cos
(
θ しーた
2
)
{\displaystyle {\begin{aligned}OPD&=n_{2}\left({\frac {2d}{\cos(\theta _{2})}}\right)-2d\tan(\theta _{2})n_{2}\sin(\theta _{2})\\&=2n_{2}d\left({\frac {1-\sin ^{2}(\theta _{2})}{\cos(\theta _{2})}}\right)\\&=2n_{2}d\cos {\big (}\theta _{2})\\\end{aligned}}}
光 ひかり 路 ろ 差 さ が光 ひかり の波長 はちょう
λ らむだ
{\displaystyle \lambda }
の整数 せいすう 倍 ばい であれば、干渉 かんしょう は強 つよ め合 あ う。
2
n
2
d
cos
(
θ しーた
2
)
=
m
λ らむだ
{\displaystyle 2n_{2}d\cos {\big (}\theta _{2})=m\lambda }
この条件 じょうけん は、反射 はんしゃ により生 しょう じる可能 かのう 性 せい のある位相 いそう シフトを考慮 こうりょ して変更 へんこう することができる。
水中 すいちゅう のガソリンに589nmのレーザ光 こう を照射 しょうしゃ すると、明暗 めいあん の縞 しま 模様 もよう が現 あらわ れる。
入射 にゅうしゃ 光 こう が単色 たんしょく の場合 ばあい 、干渉 かんしょう パターンは明暗 めいあん の帯 おび として現 あらわ れる。明 あか るい帯 おび は強 つよ めあう干渉 かんしょう が起 お きている領域 りょういき に対応 たいおう し、暗 くら い帯 おび は弱 よわ めあう干渉 かんしょう が起 お きている領域 りょういき に対応 たいおう する。膜 まく の厚 あつ さが場所 ばしょ によって異 こと なると、干渉 かんしょう が強 つよ めあうものから弱 よわ めあうものに変 か わることがある。この現象 げんしょう の好例 こうれい がニュートンリング と呼 よ ばれる平 たい らな面 めん に隣接 りんせつ する球状 きゅうじょう の面 めん から光 ひかり を反射 はんしゃ させたときに生 しょう じる干渉 かんしょう パターンを示 しめ すものである。単色 たんしょく 光 こう を照射 しょうしゃ すると、同心円 どうしんえん 状 じょう のリングが観察 かんさつ される。この現象 げんしょう を利用 りよう して、オプティカルフラット (英語 えいご 版 ばん ) により表面 ひょうめん の形状 けいじょう や平坦 へいたん 度 ど を測定 そくてい することができる。
入射 にゅうしゃ 光 こう が広帯域 こうたいいき 、つまり太陽 たいよう の光 ひかり のような白色 はくしょく 光 こう の場合 ばあい 、干渉 かんしょう 縞 しま はカラフルな帯状 おびじょう に見 み える。光 ひかり の波長 はちょう が異 こと なると、膜 まく の厚 あつ さに応 おう じて強 つよ めあう干渉 かんしょう が生 しょう じる。膜 まく の異 こと なる領域 りょういき は、局所 きょくしょ 的 てき な膜 まく の厚 あつ さにより異 こと なる色 いろ で現 あらわ れる。
強 つよ めあう位相 いそう 相互 そうご 作用 さよう
弱 よわ めあう位相 いそう 相互 そうご 作用 さよう
2つの図 ず は、2つの入射 にゅうしゃ 光 こう ビーム(AとB)を示 しめ している。各 かく ビームにより反射 はんしゃ ビーム(破線 はせん )が生 しょう じる。注目 ちゅうもく すべき反射 はんしゃ 波 は 、ビームAの下面 かめん での反射 はんしゃ と、ビームBの上面 うわつら での反射 はんしゃ である。これらの反射 はんしゃ ビームが結合 けつごう した結果 けっか 、ビーム(C)が生成 せいせい される。反射 はんしゃ したビームの位相 いそう が合 あ っているとき(上 うえ 図 ず )、結果 けっか 生 しょう じるビームは比較的 ひかくてき 強 つよ くなる。一方 いっぽう で反射 はんしゃ したビームの位相 いそう が逆 ぎゃく であれば、結果 けっか 生 しょう じるビームは減衰 げんすい する(下図 したず )。
2つの反射 はんしゃ ビームの位相 いそう 関係 かんけい は、膜 まく 内 ない でのビームAの波長 はちょう と膜 まく の厚 あつ さの関係 かんけい に依存 いぞん する。ビームAが膜 まく 内 ない で伝播 でんぱ する距離 きょり が膜 まく 内 ない のビームの波長 はちょう の整数 せいすう 倍 ばい であれば、2つの反射 はんしゃ ビームは位相 いそう が揃 そろ い強 つよ め合 あ う干渉 かんしょう をする(上 うえ 図 ず )。また、ビームAの伝播 でんぱ 距離 きょり が膜 まく 内 ない の光 ひかり の半 はん 波長 はちょう の奇 き 数 すう 倍 ばい であれば、2つのビームは弱 よわ め合 あ う干渉 かんしょう をする(下図 したず )。このようにこれらの図 ず に示 しめ された膜 まく は、上 うえ 図 ず の光 ひかり のビームの波長 はちょう ではより強 つよ く反射 はんしゃ し、下図 したず の光 ひかり ビームの波長 はちょう ではより弱 よわ く反射 はんしゃ する。
薄膜 うすまく から光 ひかり が反射 はんしゃ するときに起 お こる干渉 かんしょう の種類 しゅるい は、入射 にゅうしゃ 光 こう の波長 はちょう と角度 かくど 、膜 まく の厚 あつ さ、膜 まく の両側 りょうがわ の材料 ざいりょう の屈折 くっせつ 率 りつ 、膜 まく 媒質 ばいしつ の指標 しひょう に依存 いぞん する。以下 いか の例 れい において、さまざまな膜 まく の構成 こうせい と関連 かんれん する方程式 ほうていしき を詳 くわ しく説明 せつめい する。
シャボン玉 だま の薄膜 うすまく 干渉 かんしょう 。膜 まく の厚 あつ さにより色 いろ が変 か わる。
空気 くうき 中 ちゅう のシャボン膜 まく に入射 にゅうしゃ する光 ひかり
シャボン玉 だま において、光 ひかり は空気 くうき 中 ちゅう を伝播 でんぱ しシャボン膜 まく にあたる。空気 くうき の屈折 くっせつ 率 りつ は1(
n
a
i
r
=
1
{\displaystyle n_{\rm {air}}=1}
)であり、膜 まく の屈折 くっせつ 率 りつ は1より大 おお きい(
n
f
i
l
m
>
1
{\displaystyle n_{\rm {film}}>1}
)。膜 まく の上部 じょうぶ の境界 きょうかい (空気 くうき と膜 まく の境界 きょうかい )での反射 はんしゃ は、空気 くうき の屈折 くっせつ 率 りつ が膜 まく の屈折 くっせつ 率 りつ よりも小 ちい さいため(
n
a
i
r
<
n
f
i
l
m
{\displaystyle n_{\rm {air}}<n_{\rm {film}}}
)、反射 はんしゃ 波 は に180°の位相 いそう シフトが生 しょう じる。上部 じょうぶ の空気 くうき と膜 まく の境界 きょうかい で透過 とうか した光 ひかり は、下 した 側 がわ の膜 まく と空気 くうき の境界 きょうかい まで伝播 でんぱ し、そこで反射 はんしゃ 又 また は透過 とうか する。
n
f
i
l
m
>
n
a
i
r
{\displaystyle n_{\rm {film}}>n_{\rm {air}}}
であるため、この境界 きょうかい で反射 はんしゃ しても反射 はんしゃ 波 は の位相 いそう は変 か わらない。シャボン玉 だま の干渉 かんしょう 条件 じょうけん は次 つぎ のようになる。
2
n
f
i
l
m
d
cos
(
θ しーた
2
)
=
(
m
−
1
2
)
λ らむだ
{\displaystyle 2n_{\rm {film}}d\cos(\theta _{2})=\left(m-{\frac {1}{2}}\right)\lambda }
(反射 はんしゃ 波 は が強 つよ め合 あ う干渉 かんしょう をする場合 ばあい )
2
n
f
i
l
m
d
cos
(
θ しーた
2
)
=
m
λ らむだ
{\displaystyle 2n_{\rm {film}}d\cos {\big (}\theta _{2})=m\lambda }
(反射 はんしゃ 波 は が弱 よわ め合 あ う干渉 かんしょう をする場合 ばあい )
ここで
d
{\displaystyle d}
は膜 まく の厚 あつ さ、
n
f
i
l
m
{\displaystyle n_{\rm {film}}}
は膜 まく の反射 はんしゃ 率 りつ 、
θ しーた
2
{\displaystyle \theta _{2}}
は下 した の境界 きょうかい での波 なみ の入射 にゅうしゃ 角 かく 、
m
{\displaystyle m}
は整数 せいすう 、
λ らむだ
{\displaystyle \lambda }
は光 ひかり の波長 はちょう である。
水上 すいじょう の油膜 ゆまく に入射 にゅうしゃ する光 ひかり
薄 うす い油膜 ゆまく の場合 ばあい 、水 みず の層 そう の上 うえ に油 あぶら の層 そう が乗 の っている。油 あぶら の屈折 くっせつ 率 りつ はおよそ1.5であり、水 みず の屈折 くっせつ 率 りつ はおよそ1.33である。シャボン玉 だま の場合 ばあい と同 おな じように、油膜 ゆまく の両側 りょうがわ の物質 ぶっしつ (空気 くうき と水 みず )の屈折 くっせつ 率 りつ は、いずれも油膜 ゆまく の屈折 くっせつ 率 りつ よりも小 ちい さい(
n
a
i
r
<
n
w
a
t
e
r
<
n
o
i
l
{\displaystyle n_{\rm {air}}<n_{\rm {water}}<n_{\rm {oil}}}
)。上側 うわがわ の境界 きょうかい からの反射 はんしゃ では
n
a
i
r
<
n
o
i
l
{\displaystyle n_{\rm {air}}<n_{\rm {oil}}}
であるため位相 いそう シフトが生 しょう じるが、下 した 側 がわ の境界 きょうかい からの反射 はんしゃ では
n
o
i
l
>
n
w
a
t
e
r
{\displaystyle n_{\rm {oil}}>n_{\rm {water}}}
であるため位相 いそう シフトは生 しょう じない。式 しき はシャボン玉 だま の場合 ばあい と同 おな じになる。
2
n
o
i
l
d
cos
(
θ しーた
2
)
=
(
m
−
1
2
)
λ らむだ
{\displaystyle 2n_{\rm {oil}}d\cos(\theta _{2})=\left(m-{\frac {1}{2}}\right)\lambda }
(反射 はんしゃ 波 は が強 つよ め合 あ う干渉 かんしょう をする場合 ばあい )
2
n
o
i
l
d
cos
(
θ しーた
2
)
=
m
λ らむだ
{\displaystyle 2n_{\rm {oil}}d\cos {\big (}\theta _{2})=m\lambda }
(反射 はんしゃ 波 は が弱 よわ め合 あ う干渉 かんしょう をする場合 ばあい )
ガラス上 じょう の反射 はんしゃ 防止 ぼうし 膜 まく に入射 にゅうしゃ する光 ひかり
反射 はんしゃ 防止 ぼうし 膜 まく は、光学 こうがく 系 けい において反射 はんしゃ 光 こう を除去 じょきょ し透過 とうか 光 こう を最大 さいだい 化 か するための膜 まく である。膜 まく は、ある波長 はちょう の光 ひかり に対 たい して反射 はんしゃ 光 こう が弱 よわ め合 あ う干渉 かんしょう をし、透過 とうか 光 こう が強 つよ め合 あ う干渉 かんしょう をするように設計 せっけい される。最 もっと も簡単 かんたん な例 れい では、光学 こうがく 的 てき 厚 あつ さ
d
n
c
o
a
t
i
n
g
{\displaystyle dn_{\rm {coating}}}
が入射 にゅうしゃ 光 こう の1/4波長 はちょう であり、屈折 くっせつ 率 りつ が空気 くうき の屈折 くっせつ 率 りつ より大 おお きく、ガラスの屈折 くっせつ 率 りつ より小 ちい さくなるように作 つく られている。
n
a
i
r
<
n
c
o
a
t
i
n
g
<
n
g
l
a
s
s
{\displaystyle n_{\rm {air}}<n_{\rm {coating}}<n_{\rm {glass}}}
d
=
λ らむだ
/
(
4
n
c
o
a
t
i
n
g
)
{\displaystyle d=\lambda /(4n_{\rm {coating}})}
n
a
i
r
<
n
c
o
a
t
i
n
g
{\displaystyle n_{\rm {air}}<n_{\rm {coating}}}
及 およ び
n
c
o
a
t
i
n
g
<
n
g
l
a
s
s
{\displaystyle n_{\rm {coating}}<n_{\rm {glass}}}
であるため、膜 まく の上下 じょうげ の界面 かいめん で反射 はんしゃ すると、180°の位相 いそう 差 さ が生 しょう じる。反射 はんしゃ 光 こう の干渉 かんしょう を表 あらわ す式 しき は次 つぎ のようになる。
2
n
c
o
a
t
i
n
g
d
cos
(
θ しーた
2
)
=
m
λ らむだ
{\displaystyle 2n_{\rm {coating}}d\cos {\big (}\theta _{2})=m\lambda }
(反射 はんしゃ 波 は が弱 よわ め合 あ う干渉 かんしょう をする場合 ばあい )
2
n
c
o
a
t
i
n
g
d
cos
(
θ しーた
2
)
=
(
m
−
1
2
)
λ らむだ
{\displaystyle 2n_{\rm {coating}}d\cos(\theta _{2})=\left(m-{\frac {1}{2}}\right)\lambda }
(反射 はんしゃ 波 は が弱 よわ め合 あ う干渉 かんしょう をする場合 ばあい )
光学 こうがく 的 てき 厚 あつ さ
d
n
c
o
a
t
i
n
g
{\displaystyle dn_{\rm {coating}}}
が入射 にゅうしゃ 光 こう の1/4波長 はちょう に相当 そうとう し、光 ひかり が垂直 すいちょく に膜 まく に入射 にゅうしゃ する
(
θ しーた
2
=
0
)
{\displaystyle (\theta _{2}=0)}
と、反射 はんしゃ 光 こう は完全 かんぜん に位相 いそう がずれて弱 よわ め合 あ う干渉 かんしょう をする。光 ひかり の波長 はちょう に合 あ わせて層 そう を重 かさ ねることでさらに反射 はんしゃ を抑 おさ えることができる。
これらの膜 まく において、透過 とうか 光 こう の干渉 かんしょう は完全 かんぜん に強 つよ め合 あ う。
薄膜 うすまく による構造 こうぞう 色 しょく は、自然 しぜん 界 かい でもよく見 み られる。多 おお くの昆虫 こんちゅう の翅は、最小 さいしょう の厚 あつ さゆえに薄膜 うすまく として機能 きのう している。このことは、多 おお くのハエやスズメバチの翅にはっきりとみることができる。チョウでは、クジャクチョウ の青 あお い翅の斑点 はんてん のように、翅自体 たい が色素 しきそ のある翅の鱗粉 りんぷん で覆 おお われていない場合 ばあい に、薄膜 うすまく の光学 こうがく が見 み られる[1] 。キンポウゲの花 はな の光沢 こうたく も薄膜 うすまく によるもの[2] [3] であり、ゴクラクチョウ の胸 むね の羽 はね も光沢 こうたく がある[4] 。
反射 はんしゃ 防止 ぼうし 膜 まく が施 ほどこ された光学 こうがく 窓 まど (英語 えいご 版 ばん ) 。45°の角度 かくど では、入射 にゅうしゃ 光 こう に対 たい して膜 まく がわずかに厚 あつ くなるため、中心 ちゅうしん 波長 はちょう が赤 あか 側 がわ にシフトし、紫 むらさき 側 がわ に反射 はんしゃ が生 しょう じている。このコーティングが設計 せっけい 対象 たいしょう とした0°では、ほとんど反射 はんしゃ は見 み られない。
薄膜 うすまく は反射 はんしゃ 防止 ぼうし 膜 まく 、ミラー、光学 こうがく フィルタなどに使用 しよう されている。これらは特定 とくてい の波長 はちょう の光 ひかり を表面 ひょうめん で反射 はんしゃ 又 また は透過 とうか させる量 りょう を制御 せいぎょ するように設計 せっけい することができる。ファブリ・ペロー干渉 かんしょう 計 けい は、薄膜 うすまく の干渉 かんしょう を利用 りよう して、どの波長 はちょう の光 ひかり を透過 とうか させるかを選択 せんたく している。これらの薄膜 うすまく は、基板 きばん に材料 ざいりょう を加 くわ えて制御 せいぎょ する蒸着 じょうちゃく プロセスにより作 つく られる。方法 ほうほう としては化学 かがく 気 き 相 しょう 成長 せいちょう やさまざまな物理 ぶつり 気 き 相 しょう 成長 せいちょう 法 ほう がある。
薄膜 うすまく は自然 しぜん 界 かい にも存在 そんざい する。多 おお くの動物 どうぶつ は、網膜 もうまく の後 うし ろに光 ひかり を集 あつ めるのを助 たす ける組織 そしき (輝 てる 板 ばん )の層 そう を持 も つ。また、油膜 ゆまく やシャボン玉 だま にも薄膜 うすまく 干渉 かんしょう の効果 こうか が見 み られる。薄膜 うすまく の反射 はんしゃ 率 りつ スペクトルには明瞭 めいりょう な振動 しんどう があり、その極 きょく 値 ち から薄膜 うすまく の厚 あつ さを算出 さんしゅつ することができる[1] 。
偏 へん 光 こう 解析 かいせき 法 ほう (エリプソメトリー)は、薄膜 うすまく の特性 とくせい を測定 そくてい するためによく用 もち いられる手法 しゅほう である。一般 いっぱん 的 てき な偏 へん 光 こう 解析 かいせき 法 ほう の実験 じっけん では、偏 へん 光 ひから した光 ひかり を薄膜 うすまく の表面 ひょうめん で反射 はんしゃ させ、それを検出 けんしゅつ 器 き で測定 そくてい する。系 けい の複素 ふくそ 反射 はんしゃ 率 りつ
ρ ろー
{\displaystyle \rho }
が測定 そくてい される。その後 ご 、この情報 じょうほう を使用 しよう してモデル解析 かいせき を行 おこな い、膜 まく 層 そう の厚 あつ さや屈折 くっせつ 率 りつ を決定 けってい する。
二 に 重 じゅう 偏 へん 光 こう 干渉 かんしょう 法 ほう は、分子 ぶんし スケールの薄膜 うすまく の屈折 くっせつ 率 りつ と厚 あつ さを測定 そくてい し、それらが刺激 しげき をうけたときにどのように変化 へんか するかを調 しら べる新 あら たな技術 ぎじゅつ である。
焼戻 やきもど し色 いろ は、鋼 はがね を加熱 かねつ して表面 ひょうめん に酸化 さんか 鉄 てつ の薄膜 うすまく が形成 けいせい されたときに生 しょう じる色 いろ である。この色 いろ は鋼 はがね が達 たっ した温度 おんど を表 あらわ しており、薄膜 うすまく 干渉 かんしょう を実用 じつよう 化 か した最初 さいしょ の例 れい の1つである。
油膜 ゆまく 中 ちゅう の虹色 にじいろ の干渉 かんしょう 色 しょく
薄膜 うすまく 干渉 かんしょう による虹色 にじいろ は、自然 しぜん 界 かい ではよく見 み られる現象 げんしょう であり、さまざまな動植物 どうしょくぶつ に見 み られる。この現象 げんしょう の最初 さいしょ の研究 けんきゅう は、1665年 ねん にロバート・フック が行 おこな ったものであると言 い われている。『ミクログラフィア 』において、フックはクジャク の羽 はね の虹色 にじいろ は薄 うす い板 いた と空気 くうき の層 そう が交互 こうご に重 かさ なっているために起 お こると提唱 ていしょう した。1704年 ねん 、アイザック・ニュートン は著書 ちょしょ 『光学 こうがく 』の中 なか でクジャクの羽 はね の虹色 にじいろ は透明 とうめい な層 そう が薄 うす いからであると述 の べている[5] 。1801年 ねん 、トマス・ヤング が強 つよ め合 あ う干渉 かんしょう と弱 よわ め合 あ う干渉 かんしょう に初 はじ めて説明 せつめい を与 あた えた。ヤングの貢献 こうけん は、1816年 ねん にオーギュスタン・ジャン・フレネル が光 ひかり の波動 はどう 理論 りろん を確立 かくりつ するまでほとんど知 し られていなかった[6] 。しかし、1870年代 ねんだい にジェームズ・クラーク・マクスウェル とハインリヒ・ヘルツ が光 ひかり の電磁 でんじ 的 てき 性質 せいしつ を説明 せつめい するまで、虹色 にじいろ の説明 せつめい はほとんどできなかった[5] 。1899年 ねん にファブリ・ペロー干渉 かんしょう 計 けい が発明 はつめい されると、薄膜 うすまく 干渉 かんしょう のメカニズムがより大 おお きいスケールで実証 じっしょう されるようになった[6] 。
初期 しょき の研究 けんきゅう では、クジャクやコガネムシ のような動物 どうぶつ の虹色 にじいろ を、さまざまな角度 かくど から反射 はんしゃ したときに光 ひかり を変 か えることのある染料 せんりょう や顔料 がんりょう などの表面 ひょうめん 色 しょく の一種 いっしゅ として説明 せつめい しようとしていた。1919年 ねん 、レイリー卿 きょう は、明 あか るく変化 へんか する色 いろ は染料 せんりょう や顔料 がんりょう によるものではなく、微細 びさい 構造 こうぞう (レイリーは「構造 こうぞう 色 しょく 」と呼 よ んだ)によるものであると提案 ていあん した[5] 。1923年 ねん 、C. W. Masonはクジャクの羽 はね の小羽 おば 枝 えだ は非常 ひじょう に薄 うす い層 そう でできていると述 の べた。これらの層 そう のいくつかは色 いろ がついていたが、他 た の層 そう は透明 とうめい であった。彼 かれ は、小羽 おば 枝 えだ を押 お すと色 いろ が青 あお にシフトし、化学 かがく 薬品 やくひん で膨潤させると色 いろ が赤 あか にシフトすることに気 き づいた。彼 かれ はまた、羽毛 うもう から色素 しきそ を漂白 ひょうはく しても、虹色 にじいろ は取 と り除 の けないことを発見 はっけん した。これにより、表面 ひょうめん 色 しょく 説 せつ が払拭 ふっしょく され、構造 こうぞう 色 しょく 説 せつ が強化 きょうか された[7] 。
1925年 ねん 、アーネスト・メリット (英語 えいご 版 ばん ) は、論文 ろんぶん A Spectrophotometric Study of Certain Cases of Structural Color の中 なか で虹色 にじいろ の説明 せつめい として薄膜 うすまく 干渉 かんしょう のプロセスを初 はじ めて記述 きじゅつ した。1939年 ねん に初 はじ めて電子 でんし 顕微鏡 けんびきょう で虹色 にじいろ の羽 はね を観察 かんさつ すると、複雑 ふくざつ な薄膜 うすまく 構造 こうぞう が確認 かくにん され、1942年 ねん にモルフォ蝶 ちょう を観察 かんさつ したところ、ナノメートルスケールの非常 ひじょう に小 ちい さな薄膜 うすまく 構造 こうぞう の配列 はいれつ が確認 かくにん された[5] 。
薄膜 うすまく コーティングの最初 さいしょ の製造 せいぞう は全 まった くの偶然 ぐうぜん から始 はじ まった。1817年 ねん 、ヨゼフ・フォン・フラウンホーファー は、ガラス を硝酸 しょうさん で変色 へんしょく させることで表面 ひょうめん の反射 はんしゃ を抑 おさ えることができることを発見 はっけん した。1819年 ねん 、フラウンホーファーは、ガラスのシートからアルコールの層 そう が蒸発 じょうはつ するのを見 み て、液体 えきたい が完全 かんぜん に蒸発 じょうはつ する直前 ちょくぜん に色 いろ が現 あらわ れることを発見 はっけん し、透明 とうめい な素材 そざい の薄膜 うすまく であれば色 いろ が現 あらわ れることを推測 すいそく した[6] 。
薄膜 うすまく コーティングの技術 ぎじゅつ は1936年 ねん にJohn Strongがガラスの反射 はんしゃ 防止 ぼうし 膜 まく を作成 さくせい するために蛍 ぼたる 石 せき の蒸着 じょうちゃく を始 はじ めるまで、ほとんど進歩 しんぽ がなかった。1930年代 ねんだい には真空 しんくう ポンプ が改良 かいりょう され、スパッタリング のような真空 しんくう 蒸着 じょうちゃく が可能 かのう になった。1939年 ねん 、Walter H. Geffckenは誘電 ゆうでん 体 たい コーティングを使用 しよう した初 はつ の干渉 かんしょう フィルター を作成 さくせい した[6] 。
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