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あか部屋へや

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
あか部屋へや
作者さくしゃ 江戸川えどがわ乱歩らんぽ
くに 日本の旗 日本にっぽん
言語げんご 日本語にほんご
ジャンル 探偵たんてい小説しょうせつ
発表はっぴょう形態けいたい 雑誌ざっし掲載けいさい
初出しょしゅつ情報じょうほう
初出しょしゅつしん青年せいねん1925ねん 4がつごう
出版しゅっぱんもと 博文ひろぶみかん
刊本かんぽん情報じょうほう
収録しゅうろく創作そうさく探偵たんてい小説しょうせつしゅうだいいちかん心理しんり試験しけん」』
出版しゅっぱんもと 春陽しゅんようどう
出版しゅっぱん年月日ねんがっぴ 1925ねん7がつ
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あか部屋へや』(あかいへや)は、1925ねん大正たいしょう14ねん)に発表はっぴょうされた江戸川えどがわ乱歩らんぽ短編たんぺん探偵たんてい小説しょうせつ犯罪はんざい小説しょうせつ[注釈ちゅうしゃく 1])。博文ひろぶみかん探偵たんてい小説しょうせつ雑誌ざっししん青年せいねん』の1925ねん4がつごう掲載けいさいされ、『Dさか殺人さつじん事件じけん』にはじまる6ヶ月かげつ連続れんぞく短編たんぺん掲載けいさいの4さくにあたる[2]一種いっしゅ猟奇りょうきクラブにあらわれたおとこによるみずからの殺人さつじん遊戯ゆうぎ告白こくはくという体裁ていさいをとる[3]

ミステリー作品さくひんとしては「プロバビリティーの犯罪はんざい」をあつかった変格へんかくものである。書籍しょせき刊行かんこうとしては1925ねん7がつの『創作そうさく探偵たんてい小説しょうせつしゅうだいいちかん心理しんり試験しけん」』(春陽しゅんようどう)がはつ[4]海外かいがいけには『The Red Chamber』のえいだい出版しゅっぱんされた[2]

執筆しっぴつ背景はいけい

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江戸川えどがわ乱歩らんぽ谷崎たにざき潤一郎じゅんいちろうの『途上とじょう』(1920ねん)に影響えいきょうけて執筆しっぴつした初期しょき作品さくひんである。まだ小説しょうせつになるまえの、探偵たんてい小説しょうせつファンであった乱歩らんぽ谷崎たにざきの『金色きんいろ』(1916ねん)をんでかれ作品さくひん探偵たんてい小説しょうせつてき側面そくめん着目ちゃくもくするようになり、なかでも『途上とじょう』におおきな感銘かんめいけた[5]。『途上とじょう』は犯罪はんざい小説しょうせつであって、探偵たんてい小説しょうせつ(ミステリー)を意図いとしてかれた作品さくひんではないが、そこに登場とうじょうした偶然ぐうぜんかさねることによって必然ひつぜん犯罪はんざいとすること、その性質せいしつじょう犯人はんにんけっしてうたがわれない犯行はんこう手段しゅだんを「プロバビリティーの犯罪はんざい」と名付なづけ、海外かいがいにもほこ画期的かっきてきトリックひょうした(詳細しょうさい#プロバビリティーの犯罪はんざいこう参照さんしょう)。

やがて探偵たんてい小説しょうせつとしてデビューした乱歩らんぽは、編集へんしゅうちょう森下もりした雨村うそん企画きかくによる『しん青年せいねん』での6ヶ月かげつ連続れんぞく短編たんぺん掲載けいさいおりに「『途上とじょう』をもっと通俗つうぞくに、もっと徹底的てっていてきいてみようとした」「プロバビリティーの犯罪はんざい日常にちじょう茶飯事さはんじてきなトリックを沢山たくさんならべて、自殺じさつクラブとか殺人さつじんクラブとかいうものの雰囲気ふんいきいてみようとした」として1925ねん2がつほんさく執筆しっぴつした[6][7]。もともと基本きほんてきすじかんがえていたが、『心理しんり試験しけん』『くろしゅぐみ執筆しっぴつに1上京じょうきょうしたとき旧友きゅうゆう友人ゆうじん井上いのうえという物知ものしりの青年せいねん[注釈ちゅうしゃく 2]からめずらしい殺人さつじん方法ほうほうをいくつかおしえてもらい、これも1、2れいもちいて原稿げんこう完成かんせいさせた[6]

そしてほんさく明智あけち小五郎こごろうシリーズで本格ほんかくものの『Dさか殺人さつじん事件じけん』『心理しんり試験しけん』『くろしゅぐみ』につづく4さくとして『しん青年せいねん』1925ねん4がつごう掲載けいさいされた。

短編たんぺんではあるが、作中さくちゅうにはT独白どくはくとして「プロバビリティーの犯罪はんざい」をもちいたトリックれいなんれい登場とうじょうする。本来ほんらいであれば、1作品さくひんにこれだけおおくのトリックをもちいることはまれで、普通ふつうは1、2れい使つかって多作たさくにするところであるが、乱歩らんぽは、そうしたかんがえは表面ひょうめんてきかんがえであって、トリックの性質せいしつじょう、1れいだけで1作品さくひんつくっていくのはかなりむずかしく、あえて当時とうじおもいついたものをしみなくんだとべている[7]。それにくわえて乱歩らんぽは、この内容ないよう荒唐無稽こうとうむけいであり、幻想げんそう小説しょうせつであればいいが、やはり探偵たんてい小説しょうせつとして写実しゃじつてきくにはなんがあるとしている。そこで、あえて最後さいごにこれらがうそであったとどんでんがえしをつけて、写実しゃじつ徹底てっていさせる必要ひつようがあったという[6]

なお、このどんでんがえしについて、乱歩らんぽ発表はっぴょう当時とうじはかなり不評ふひょうで、「あんなものはないほうがましだ」とまでわれたと述懐じゅっかいしている[6]乱歩らんぽとしては明白めいはく意図いとしたプロットであったが、これはどんでんがえしがわるいのではなく、かたつたないのであって、とくに「最後さいごのピストル手品てじな幼稚ようちであった」とし、「もうすこ大人おとならしくすれば、もっとましな小説しょうせつになった」と反省はんせいしている[7]やまぜんゆずるは、乱歩らんぽ探偵たんてい小説しょうせつ趣向しゅこうとしてどんでんがえしや意外いがい結末けつまつにこだわったと指摘してきしており、結果けっかほんさくや『人間にんげん椅子いす』のような全体ぜんたいあじわいまでも反転はんてんさせてしまう作品さくひん探偵たんていによるオーソドックスななぞきのスタイルとは馴染なじまなかったとしている[8]

そのような批判ひはん意見いけんもあったが、乱歩らんぽによれば『Dさか殺人さつじん事件じけん』『心理しんり試験しけん』『くろしゅぐみ』『あか部屋へや』の初期しょき4作品さくひんは、発表はっぴょう直後ちょくごは『心理しんり試験しけん』が好評こうひょうであったが、最終さいしゅうてきには『あか部屋へや』がもっとも好評こうひょうであったと回顧かいこしている[2]

あらすじ

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ある一室いっしつに「わたし」をふくめた7にんおとこたちがいる。部屋へや内装ないそうあか統一とういつされており、あかりは部屋へや中央ちゅうおうのテーブルにぎん燭台しょくだいかれたおおきなロウソクのみで幻想げんそうてき雰囲気ふんいきただよわせている。これは退屈たいくつ日々ひびきて「異常いじょう興奮こうふん」をもとめているおとこたちのあつまりであった。この新入しんにゅう会員かいいんのT自己じこ紹介しょうかいかれはなしからはじまる。T自分じぶんがいかに退屈たいくつ日々ひびおくっていたかと前置まえおきしたうえで、人殺ひとごろしの興奮こうふんによってそれを解消かいしょうしたとはなす。Tおんな子供こどもふくすでに99にんいのち退屈たいくつしのぎでうばってきたとかたり、しかしそれにもすできて阿片あへんまぎらわす状態じょうたいおちいっており、そのどく正気しょうきうしなまえに、自分じぶんのしてきたことをだれかにはなしておきたいとして、以下いか、T独白どくはくつづく。

はじまりは3ねんまえのあるよる。T自宅じたくちかくのみちあるいていると、浮浪ふろうしゃおもわしき老人ろうじんいてしまった自動車じどうしゃ運転うんてんしゅくわし、そこで医者いしゃいえたずねられる。ちかくには専門医せんもんい藪医者やぶいしゃの2けんがあったが、T他意たいなく藪医者やぶいしゃほうつたえてしまった。翌日よくじつ昨夜さくや出来事できごと後悔こうかいするととも老人ろうじんんだというはなしく。ここでTは、もし意図いとてき老人ろうじんころそうとうそおしえたのなら、これは明白めいはく殺人さつじんであるが、しかし、それで自分じぶんばっせられることはないと考察こうさつする。ここからTはこれを利用りようして殺人さつじんかえし、日々ひび退屈たいくつまぎらわしていたとかたる。

たとえば線路せんろ横切よこぎってわたろうとしていた老婆ろうばにわざと急行きゅうこう列車れっしゃていることをおしえ、戸惑とまどったところを轢死れきしさせる[注釈ちゅうしゃく 3]注意ちゅうい反対はんたいのことをするあま邪鬼じゃく按摩あんま冗談じょうだんめかした口調くちょうただしい注意ちゅういあた水路すいろ転落てんらくさせる。事故じこ通電つうでんしていた避雷針ひらいしん小便しょうべんするように子供こどもそそのか感電かんでんさせる。このようなはなしをいくつかかえしたのち最後さいごには昨春さくしゅんこっただい規模きぼ列車れっしゃ脱線だっせん事故じこ自分じぶん仕業しわざだとい、作為さくいえる事故じこ[注釈ちゅうしゃく 4]によって1に17にんころしたことを嬉々ききとしてかたえる。

わたし」をふくめたほかのメンバーたちかれはなしにききい興奮こうふんしている。そこにものはこんできた給仕きゅうじおんな部屋へやはいってくる。すると突然とつぜん、Tはピストルをし、おんなつ。女性じょせい悲鳴ひめい部屋へやひびわたり、おどろいたわたしたちは椅子いすからがるが、すぐにそれはおもちゃのピストルでTのイタズラだとわかる。Tあやまりつつ、今度こんどはピストルを彼女かのじょたせ、自分じぶんむねつように指示しじする。彼女かのじょ発砲はっぽうするが、さきほどとはちが銃声じゅうせいひびき、Tたおれてうめきごえをあげ、まりができている。唐突とうとつ出来事できごとふたたわたしたち驚愕きょうがくし、2はつには本物ほんもの銃弾じゅうだん装填そうてんしてあり、T自殺じさつげたのだと判断はんだんする。これは事故じこであって給仕きゅうじおんなつみわれることはないし、まさに100にん犠牲ぎせいしゃ自分じぶんにしてくくったのだ。

するとTしのわらいをしながらがり、さきほどまで狼狽ろうばいしていた給仕きゅうじおんなわらころげている。すべてはじめからT芝居しばいであり、かれ最初さいしょから全部ぜんぶつくばなしであったとかし、わたしたちに刺激しげきけたかとたずねる。給仕きゅうじおんな電灯でんとうけると、部屋へや昼間ひるまのようなひかりらされる。さきほどまで幻想げんそうてき素晴すばらしくえていた内装ないそう装飾そうしょくひん数々かずかずがひどくみすぼらしくみえ、ゆめまぼろしかげすらめていなかった。

プロバビリティーの犯罪はんざい

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ほんさくもちいられている、手段しゅだんとして確実かくじつせいはなく偶然ぐうぜんせいたよるものの、犯行はんこうがバレることはなく完全かんぜん犯罪はんざいとなるトリックを「プロバビリティーの犯罪はんざい」(プロバビリティーのはんざい)とぶ。プロバビリティー(probability)とは蓋然性がいぜんせいのことであり、ある事柄ことがらこりたかさ(かくりつたかさ)のことをう。命名めいめいしゃ乱歩らんぽ自身じしんであり、もともとは上述じょうじゅつとおり1920ねん谷崎たにざき潤一郎じゅんいちろう犯罪はんざい小説しょうせつ途上とじょう』に、探偵たんてい小説しょうせつてきなトリックせい見出みいだしたものによる。

幼児ようじのいる家庭かていないのAがBに殺意さついいだき、階上かいじょう寝室しんしつのあるBが、夜中よなか階段かいだんりるときに、その頂上ちょうじょうから転落てんらくさせることをかんがえる。西洋せいようたか階段かいだんでは、うちどころがわるければ一命いちめいうしな可能かのうせい充分じゅうぶんある。その手段しゅだんとして、Aは幼児ようじのおもちやのマーブル(日本にっぽんえばラムネのたま)を階段かいだんうえあしみやすい場所ばしょにおいておく。Bはそのガラスだままないかもれない。またんでも一命いちめいうしなうほどのたいけがはしないかもれない。しかし、目的もくてきたした場合ばあいも、失敗しっぱいわつた場合ばあいも、Aはすこしもうたがわれることはない。だれでも、そのガラスだま幼児ようじ昼間ひるまそこへわすれておいたものとかんがえるにちがいないからである。

中略ちゅうりゃく

このように、うまくけばよし、たとえうまくかなくても、すこしもうたがわれる心配しんぱいはなく、なん失敗しっぱいしても、次々つぎつぎおなじような方法ほうほうをくりがえして、いつかは目的もくてきたっすればよいという、ずるい殺人さつじん方法ほうほうを、わたしは「プロバビリティーの犯罪はんざい」とづけている。「かならず」ではなく「うまくけば」という方法ほうほうだからである。

— 江戸川えどがわ乱歩らんぽ「プロバビリティーの犯罪はんざい」 1954ねん犯罪はんざいがく雑誌ざっし』 Vol.19 No.5 pp.258-261

乱歩らんぽによればほんトリックを使つかった最初さいしょ作品さくひんをあえてげるとすれば、ロバート・ルイス・スティーヴンソン掌編しょうへん『Was It murder?(殺人さつじんなりや?)』があるが、探偵たんてい小説しょうせつやそれにるいするものとしては1920ねん谷崎たにざきの『途上とじょう』が間違まちがいなくはつとしている。1953ねん発表はっぴょうした『類別るいべつトリック集成しゅうせい時点じてんにおいては、ほんトリックをあつかった作品さくひんは、ほんさくと『途上とじょう』、またスティーヴンソンのものをふくめ6れいとしており、長編ちょうへん探偵たんてい小説しょうせつアガサ・クリスティーものえぬ証人しょうにん』(1937ねん[注釈ちゅうしゃく 5]イーデン・フィルポッツ極悪ごくあくじん肖像しょうぞう』(1938ねん)、短編たんぺんでプリンス兄弟きょうだいの『ゆびおとこ[注釈ちゅうしゃく 6]げている[10]。また、これ以降いこうほんトリックをもちいた著名ちょめい作品さくひんとしては松本まつもと清張せいちょうの『遭難そうなん』(1958ねん)がある。

乱歩らんぽは、この「プロバビリティーの犯罪はんざい」を探偵たんてい小説しょうせつのトリックとしてたか評価ひょうかしており、ほんさくいたこと以外いがいにも『Dさか殺人さつじん事件じけん』(1925ねん)では主人公しゅじんこう明智あけち小五郎こごろう台詞せりふというかたちりて、完全かんぜん犯罪はんざいれいとして『途上とじょう』に言及げんきゅうし、著者ちょしゃ谷崎たにざきたか称賛しょうさんする[11]同年どうねんの『しん青年せいねん』8がつごうには、評論ひょうろん日本にっぽんほこ探偵たんてい小説しょうせつ」(書籍しょせきとしては『悪人あくにん志願しがん』に掲載けいさい)をせ、ミステリーの本場ほんばであるえいべい後塵こうじんはいしているとおもわれている日本にっぽんであっても、谷崎たにざきおよび『途上とじょう』は日本にっぽんはつ世界せかいほこれる探偵たんてい小説しょうせつ作家さっかおよび、その代表だいひょうさくであるとして絶賛ぜっさんしている[5]乱歩らんぽ以外いがいでも平野ひらのけんが『途上とじょう』をたか評価ひょうかするなど、谷崎たにざきのミステリー作品さくひんとして名高なだか[12]

あか部屋へや』では失敗しっぱいした事例じれい登場とうじょうしないものの、乱歩らんぽは「プロバビリティーの犯罪はんざい」の巧妙こうみょうてん失敗しっぱいしてもかえせることにあると上記じょうきのように指摘してきしている。実際じっさいもととなった『途上とじょう』は様々さまざま手段しゅだん実行じっこう失敗しっぱいかえし、ようやくつま殺害さつがいという目的もくてきたっしたものであり、『極悪ごくあくじん肖像しょうぞう』も同様どうようにいくつかの失敗しっぱいかえ展開てんかいである[13]

なお、「可能かのうせい犯罪はんざい」という語句ごくもちいられる場合ばあいもあるが[3][12]蓋然性がいぜんせい(probability)と可能かのうせい(possibility)はまったく語彙ごいことなり、誤用ごようである。語句ごく創案そうあんした乱歩らんぽはあくまで「プロバビリティーの犯罪はんざい」ともちいており、「可能かのうせい犯罪はんざい」という語句ごく使用しようしていない(乱歩らんぽがプロバビリティーに「かくりつ」のわけあたえているれいはある[14])。

翻案ほんあん作品さくひん

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あか部屋へや異聞いぶん - ほうがつ綸太ろう
短編たんぺん小説しょうせつ。パロディ作品さくひん
江戸川えどがわ乱歩らんぽ異人いじんかんあか部屋へや」 - 山口やまぐちゆずる
漫画まんが基本きほんてきすじ原作げんさく沿うが、シリーズ作品さくひんとして怪人かいじんじゅう面相めんそう登場とうじょうする。
あかいへや - 柳家やなぎやたかし太郎たろう
落語らくご新作しんさく落語らくごとして翻案ほんあんしたもの。怪談かいだんばなし乱歩らんぽ題材だいざいにした新作しんさく落語らくごかい乱歩らんぽ落語らくご」をひらくにたって、さんゆうてい白鳥はくちょうの『人間にんげん椅子いす』に対比たいひさせほんさくえらんだという[15]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 探偵たんてい小説しょうせつ犯罪はんざい小説しょうせつ境界きょうかいは、当時とうじ日本にっぽんでは非常ひじょう曖昧あいまいであり、乱歩らんぽ探偵たんてい小説しょうせつとみなせる余地よちがあっても本来ほんらいてきには「意外いがいのスリルに重点じゅうてん犯罪はんざい小説しょうせつ」とび、『あか部屋へや』もこの部類ぶるいぞくするとべている[1]
  2. ^ 井上いのうえとらよんろうい、こののち、24,25さいわかくしてくなってしまったという。
  3. ^ こえけず老婆ろうば列車れっしゃづかないままであればそのまま線路せんろわたったが、あえて列車れっしゃづかせることで戸惑とまどわせ線路せんろじょう足止あしどめさせた。
  4. ^ 散歩さんぽちゅうにたまたまがけからとした小石こいし線路せんろってしまい脱線だっせんしてしまった、またすぐにえきけつけ事情じじょうはなしたがわなかったという状況じょうきょう証拠しょうこつくる。
  5. ^ 乱歩らんぽは『ポアロいち依頼いらいしゃうしなう』の邦題ほうだい紹介しょうかい。これはアメリカばんのタイトルである『Poirot Loses a Client』に沿う。
  6. ^ プリンス兄弟きょうだいはジェロームとハロルドの兄弟きょうだいであり、この『ゆびおとこ』は2人ふたり合作がっさくとしてアメリカのミステリー雑誌ざっしエラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン』の1945ねん1がつごう掲載けいさいされた。当時とうじのアメリカのミステリー小説しょうせつ第一人者だいいちにんしゃであり、どう雑誌ざっし編集へんしゅうしゃであったエラリー・クイーンたか評価ひょうかしたという[9]

出典しゅってん

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  1. ^ 全集ぜんしゅう26 2004, 『おに言葉ことば』「日本にっぽん探偵たんてい小説しょうせつ」.
  2. ^ a b c 全集ぜんしゅう1 2004, 「あか部屋へや」の自作じさく解説かいせつより「桃源とうげんしゃはん江戸川えどがわ乱歩らんぽ全集ぜんしゅう』の「あとがき」より」(昭和しょうわ37ねん12がつ).
  3. ^ a b 江戸川えどがわ乱歩らんぽ 1963, pp. 294–300, あら正人まさと解説かいせつ」.
  4. ^ 全集ぜんしゅう1 2004, 全集ぜんしゅう1かん解題かいだいあか部屋へや」.
  5. ^ a b 全集ぜんしゅう24 2004, 『悪人あくにん志願しがん』「日本にっぽんほこ探偵たんてい小説しょうせつ」.
  6. ^ a b c d 全集ぜんしゅう1 2004, 「あか部屋へや」の自作じさく解説かいせつより「あのつくこのさく楽屋がくやばなし)」(昭和しょうわ4ねん7がつ).
  7. ^ a b c 全集ぜんしゅう1 2004, 「あか部屋へや」の自作じさく解説かいせつより「あか部屋へや回顧かいこ」(昭和しょうわ28ねん5がつ別冊べっさつ宝石ほうせき」).
  8. ^ 全集ぜんしゅう1 2004, やまぜんゆずる解説かいせつ」.
  9. ^ 全集ぜんしゅう25 2004, 『おに言葉ことば』「アメリカ探偵たんてい小説しょうせつ諸相しょそう」.
  10. ^ 全集ぜんしゅう27 2004, pp. 294–300, 『ぞく幻影げんえいじょう』「類別るいべつトリック集成しゅうせい」.
  11. ^ 全集ぜんしゅう1 2004, 『Dさか殺人さつじん事件じけん』.
  12. ^ a b 谷崎たにざき潤一郎じゅんいちろう 2007, pp. 214–221, 渡部わたなべ直己なおき解説かいせつ」.
  13. ^ 全集ぜんしゅう26 2004, 『幻影げんえいじょう』「たおせじょ探偵たんてい小説しょうせつ再説さいせつ」§3.フィルポッツの「極悪ごくあくじん肖像しょうぞう」.
  14. ^ 全集ぜんしゅう26 2004, 『幻影げんえいじょう』「探偵たんてい作家さっかとしてのエドガー・ポー」§3.トリックの創造そうぞう.
  15. ^ 江戸川えどがわ乱歩らんぽ 2018, 「乱歩らんぽ落語らくごなぞ秘密ひみつせまる!」【対談たいだん柳家やなぎやたかし太郎たろう×さんゆうてい白鳥はくちょう.

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 江戸川えどがわ乱歩らんぽ (2004), 江戸川えどがわ乱歩らんぽ全集ぜんしゅう1かん 屋根裏やねうら散歩さんぽしゃ (全集ぜんしゅう ed.), 光文社こうぶんしゃ, ISBN 978-4334737160 
  • 江戸川えどがわ乱歩らんぽ (2004), 江戸川えどがわ乱歩らんぽ全集ぜんしゅう24かん 悪人あくにん志願しがん (全集ぜんしゅう ed.), 光文社こうぶんしゃ, ISBN 978-4334739621 
  • 江戸川えどがわ乱歩らんぽ (2004), 江戸川えどがわ乱歩らんぽ全集ぜんしゅう25かん おに言葉ことば (全集ぜんしゅう ed.), 光文社こうぶんしゃ, ISBN 978-4334738327 
  • 江戸川えどがわ乱歩らんぽ (2004), 江戸川えどがわ乱歩らんぽ全集ぜんしゅう26かん 幻影げんえいじょう (全集ぜんしゅう ed.), 光文社こうぶんしゃ, ISBN 978-4334735890 
  • 江戸川えどがわ乱歩らんぽ (2004), 江戸川えどがわ乱歩らんぽ全集ぜんしゅう27かん つづけ幻影げんえいじょう (全集ぜんしゅう ed.), 光文社こうぶんしゃ, ISBN 978-4334736408 
  • 江戸川えどがわ乱歩らんぽ (1963), 江戸川えどがわ乱歩らんぽ傑作けっさくせん (だい90はん(2007ねん) ed.), 新潮社しんちょうしゃ, ISBN 978-4101149011 
  • 谷崎たにざき潤一郎じゅんいちろう (2007), 谷崎たにざき潤一郎じゅんいちろう犯罪はんざい小説しょうせつしゅう, 集英社しゅうえいしゃ, ISBN 978-4087462494 
  • 江戸川えどがわ乱歩らんぽ (2018), 小学館しょうがくかん電子でんし全集ぜんしゅう 特別とくべつ限定げんてい無料むりょうばん江戸川えどがわ乱歩らんぽ 電子でんし全集ぜんしゅう, 小学館しょうがくかん 

外部がいぶリンク

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