追加ついか公認こうにん

追加ついか公認こうにん（ついかこうにん）とは、選挙せんきょで無所属むしょぞくで立候補りっこうほし、当選とうせんしたあとで本来ほんらいの所属しょぞく党派とうはから公示こうじ日びにさかのぼって公認こうにん候補こうほであったという扱あつかいをうけることである。日本にっぽんでは自由民主党じゆうみんしゅとうなどの保守ほしゅ政党せいとうでは一般いっぱん的てきだが、革新かくしん政党せいとうではあまり行おこなわれない。

また、公示こうじ日ひには無所属むしょぞくで立候補りっこうほした候補こうほが投票とうひょう日びまでに公認こうにんを受うける場合ばあいもあり、これも追加ついか公認こうにんに含ふくむことがある。

概要がいよう[編集へんしゅう]

日本にっぽんの衆議院しゅうぎいんにおける選挙せんきょ制度せいどは、長ながく中ちゅう選挙せんきょ区く制せいが基本きほんになっていた。この制度せいどは、一ひとつの選挙せんきょ区くに同おなじ政党せいとうから複数ふくすうの当選とうせん者しゃを出だすことが可能かのうであるため、それぞれの候補者こうほしゃのあいだでいわば「同士討どうしうち」になる可能かのう性せいが強つよかった。とくに、戦後せんご長期ちょうき政権せいけんを維持いじしてきた自由民主党じゆうみんしゅとうなどの保守ほしゅ政党せいとうでは、その方法ほうほうによって、それぞれの候補者こうほしゃが票ひょうを掘ほり起おこすことで、全体ぜんたいの支持しじ基盤きばんを強化きょうかしてきた。日本にっぽんの保守ほしゅ政党せいとうは、政党せいとうの組織そしき力りょくはそれほど強つよくなく、候補者こうほしゃは個人こじんの力ちからで票ひょうを集あつめる部分ぶぶんが大おおきい。候補者こうほしゃは個人こじん後援こうえん会かいを作つくり、その多おおくは法的ほうてきにも政治せいじ団体だんたいとして活動かつどうした。そのため、党とうの公認こうにんを得えられなくても、決定的けっていてきに不利ふりになるわけではなかった。このように、当選とうせんすれば保守ほしゅ政党せいとうに追加ついか公認こうにんされる、あるいはいずれ入党にゅうとうするであろう候補者こうほしゃを、保守ほしゅ系けい無所属むしょぞくと呼よんだ（当選とうせん後ごも無所属むしょぞくで通とおす保守ほしゅ系けい無所属むしょぞくもいるが、例外れいがい的てき）。

そのために、当初とうしょは弱よわいと見みられ、党とうの公認こうにんを得えられなかった候補者こうほしゃが、選挙せんきょ期間きかん中ちゅうに実力じつりょくをつけ、公認こうにん候補こうほを破やぶって当選とうせんすることもしばしばあった。このとき、「追加ついか公認こうにん」というかたちで、公示こうじ日び前日ぜんじつにさかのぼって公認こうにん候補こうほであったという扱あつかいにする手段しゅだんが生しょうじたのである。従したがって、いつでも追加ついか公認こうにんできるように、公認こうにん漏もれが無所属むしょぞくで立候補りっこうほしても、党籍とうせきはそのままで、離党りとうを迫せまられたり、党とうを除名じょめいされることはあまりなかった。

投票とうひょうする有権者ゆうけんしゃはその候補者こうほしゃの出自しゅつじを承知しょうちしていることが多おおく、党派とうは入いりを公約こうやく違反いはんと責せめることはあまりなかった。もっとも、自民党じみんとう公認こうにんと保守ほしゅ系けい無所属むしょぞくが最後さいごの1議席ぎせきを争あらそうような展開てんかいでは、自民党じみんとう公認こうにんではないことから逆ぎゃくに野党やとう支持しじ者しゃ・無党派むとうはの票ひょうを取とり込こみ、当選とうせんした事例じれいもある。この場合ばあいの追加ついか公認こうにんは、当然とうぜんそうした有権者ゆうけんしゃの反感はんかんを買かうことになるが、相対そうたい的てきにその影響えいきょうは小ちいさかった。また、実際じっさいに党派とうは入いりしないことを公約こうやくしていた候補こうほでも、うやむやにされたケースが多おおい。

小しょう選挙せんきょ区く比例ひれい代表だいひょう並立へいりつ制せいが導入どうにゅうされると、当選とうせん者しゃが1人ひとりであり重複じゅうふく立候補りっこうほも可能かのうである性質せいしつ上じょう、政党せいとう公認こうにん候補こうほが有利ゆうりになった。さらに、公職こうしょく選挙せんきょ法ほう上うえも政党せいとう公認こうにん候補こうほが圧倒的あっとうてきに有利ゆうりになり（無所属むしょぞく候補こうほは、衆院しゅういん選せんでは政見せいけん放送ほうそうができなくなったなど）、中ちゅう選挙せんきょ区く制せい時代じだいに比くらべ、追加ついか公認こうにんは極端きょくたんに少すくなくなった。そのために極力きょくりょく現職げんしょく優先ゆうせんで候補者こうほしゃ調整ちょうせいが行おこなわれるが、自民党じみんとう公認こうにん候補こうほと保守ほしゅ系けい無所属むしょぞく候補こうほが争あらそい、後者こうしゃが小しょう選挙せんきょ区くで勝かった場合ばあい、後者こうしゃが次期じき選挙せんきょの支部しぶ長ちょうとされる場合ばあいが多おおい。党とう公認こうにん候補こうほといえども、選挙せんきょで負まければ公認こうにん漏もれ候補こうほにその地位ちいを明あけ渡わたさなければならないのである。時ときには負まけた方ほうが保守ほしゅ系けい無所属むしょぞくに転てんじたり、最近さいきんでは民主党みんしゅとうや後身こうしんの民進党みんしんとう・希望きぼうの党とう、国民こくみん新党しんとう・みんなの党とう・日本にっぽん維新いしんの会かいなどの他た党とうに入党にゅうとうすることもある。これも、政党せいとう公認こうにん候補こうほが有利ゆうりになった制度せいど変化へんかによるものである。また、これらの政党せいとうは政策せいさく的てきに自民党じみんとうとの差異さいが小ちいさいため、移籍いせきがしやすい事情じじょうもある。

他たに、党とうが他た党とう候補こうほを推薦すいせんしながら、地元じもと組織そしきが保守ほしゅ系けい無所属むしょぞくとして独自どくじ候補こうほを立たて、当選とうせん後ごに追加ついか公認こうにんされた例れいがある。自民党じみんとうでは2003年ねん（平成へいせい15年ねん）の第だい43回かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょで、静岡しずおか7区くで保守ほしゅ新党しんとうの熊谷くまがい弘ひろしを推薦すいせんしたものの、県連けんれんは独自どくじの対立たいりつ候補者こうほしゃとして城内きうち実みのるを立たて、結果けっかは城内きうちが当選とうせん、追加ついか公認こうにんで自民党じみんとう会派かいは入いりした。民主党みんしゅとうにも同様どうようの例れいとして、2009年ねんの第だい45回かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょで、秋田あきた2区くで川口かわぐち博ひろしが、民主党みんしゅとうが推薦すいせんした社会しゃかい民主党みんしゅとうの山本やまもと喜代きよ宏ひろしを破やぶった例れいがある。

詳細しょうさいは「城内きうち実みのる#政治せいじ家かとして」および「川口かわぐち博ひろし#衆議院しゅうぎいん議員ぎいん時代じだい」を参照さんしょう

極端きょくたんな例れいとしては保守ほしゅ系けい無所属むしょぞくの2人ふたりを推薦すいせんし、小しょう選挙せんきょ区くで当選とうせんした方ほうを公示こうじ日びに遡さかのぼって追加ついか公認こうにんされる例れいもある。しかし小しょう選挙せんきょ区く比例ひれい代表だいひょう並立へいりつ制せいが導入どうにゅうされて以来いらい、無所属むしょぞくで出馬しゅつばすると政党せいとうの重複じゅうふく立候補りっこうほによる比例ひれい復活ふっかつもできないことから、保守ほしゅ分裂ぶんれつ選挙せんきょを行おこなうと共倒ともだおれになり野党やとうが勝利しょうりしてしまう可能かのう性せいがあるために一般いっぱん的てきには避さけられるケースが多おおいが、保守ほしゅ分裂ぶんれつとなっても野党やとう勢力せいりょくが勝かてないと判断はんだんされるケースでは起おこりうる。特とくに、二に階かい俊博としひろが自民党じみんとう幹事かんじ長ちょうを務つとめていた時代じだい（2016年ねん～2021年ねん）における選挙せんきょでは、この方式ほうしきを採用さいようするケースが比較的ひかくてき多おおく見みられた。

2003年ねん（平成へいせい15年ねん）の第だい43回かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょにおける、宮崎みやざき3区くで古川ふるかわ禎ただし久ひさと持永もちなが哲志てつしが争あらそい、当選とうせんした古川ふるかわを追加ついか公認こうにん。
詳細しょうさいは「持永もちなが哲志てつし#来歴らいれき・人物じんぶつ」および「古川ふるかわ禎ただし久ひさ#来歴らいれき・人物じんぶつ」を参照さんしょう
2014年ねん（平成へいせい26年ねん）の第だい47回かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょにおける、福岡ふくおか1区くで井上いのうえ貴博たかひろと新開しんかい裕司ゆうじが争あらそい、当選とうせんした井上いのうえを追加ついか公認こうにん。
2016年ねん（平成へいせい28年ねん）の第だい47回かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいん補欠ほけつ選挙せんきょにおける、福岡ふくおか6区くで鳩山はとやま二郎じろう（前まえ大川おおかわ市し長ちょう）と藏内くらうち謙けん（自由民主党じゆうみんしゅとう福岡ふくおか県連けんれん推薦すいせん）が争あらそい、当選とうせんした鳩山はとやまを追加ついか公認こうにん。
2017年ねん（平成へいせい29年ねん）の第だい48回かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょにおける下記かきの選挙せんきょ区くで勝かった方ほうに追加ついか公認こうにんがなされた。
- 埼玉さいたま11区くにおける、小泉こいずみ龍司りゅうじと今野こんの智博ともひろの前ぜん職しょく同士どうしで争あらそい、勝かった小泉こいずみを追加ついか公認こうにん。
- 山梨やまなし2区くにおける、堀内ほりうち詔子しょうこと長崎ながさき幸太郎こうたろうの前ぜん職しょく同士どうしで争あらそい、勝かった堀内ほりうちを追加ついか公認こうにん。
- 岡山おかやま3区くにおける、阿部あべ俊子としこと平沼ひらぬま正二郎しょうじろうの前ぜん職しょくと新人しんじんで争あらそい、勝かった阿部あべを追加ついか公認こうにん。
2021年ねん（令れい和わ3年ねん）の第だい49回かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょにおける、東京とうきょう15区くで柿沢かきざわ未み途と（前ぜん職しょく）と今村いまむら洋史ひろし（元職げんしょく）が争あらそい、当選とうせんした柿沢かきざわを追加ついか公認こうにん（当選とうせん後ご、柿沢かきざわは自民党じみんとうに入党にゅうとうし谷垣たにがきグループに所属しょぞく）。無党派むとうは層そうが多おおいとされる都市とし部ぶで保守ほしゅ分裂ぶんれつが起おこると共倒ともだおれとなりやすく通常つうじょうは保守ほしゅ分裂ぶんれつを避さける傾向けいこうにあるが、候補者こうほしゃが7人にんの乱戦らんせんとなったことから、この保守ほしゅ分裂ぶんれつを執行しっこう部ぶが認みとめた。

2005年ねん（平成へいせい17年ねん）の第だい44回かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょでは、自民党じみんとうで党議とうぎ拘束こうそくに反はんし郵政ゆうせい民営みんえい化か法案ほうあんに反対はんたいし、公認こうにん漏もれとなった候補こうほがいわゆる「刺客しかく」の公認こうにん候補こうほと争あらそった。しかしこのケースでさえ、無所属むしょぞくで当選とうせんした造反ぞうはん候補こうほは、追加ついか公認こうにんこそされなかったが、郵政ゆうせい民営みんえい化かを認みとめることを条件じょうけんに復ふく党とうを許ゆるされている。

詳細しょうさいは「小泉こいずみ劇場げきじょう#刺客しかく」および「郵政ゆうせい造反ぞうはん組ぐみ復ふく党とう問題もんだい#11名めいの無所属むしょぞく議員ぎいんの復ふく党とうへ」を参照さんしょう

次つぎの第だい45回かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょにおける公認こうにん選定せんていで、岐阜ぎふ1区くでは、公認こうにん漏もれで当選とうせん→復ふく党とうした野田のだ聖子せいこと、公認こうにんで立候補りっこうほし選挙せんきょ区くで敗やぶれたが、比例ひれい区くで当選とうせんした佐藤さとうゆかりの間あいだで争あらそわれた。結果けっかは野田のだの公認こうにんが内定ないていし、佐藤さとうは現職げんしょくが引退いんたいする東京とうきょう5区くに転出てんしゅつとなった。選挙せんきょでどちらを公認こうにんしたかよりも、どちらが勝かったかを依然いぜんとして重視じゅうししている実例じつれいといえる。

詳細しょうさいは「佐藤さとうゆかり#岐阜ぎふ1区く関連かんれん」および「野田のだ聖子せいこ#自民党じみんとう離党りとう」を参照さんしょう

事情じじょうにより離党りとうし無所属むしょぞくで出馬しゅつばした者ものが、選挙せんきょで当選とうせんしたため追加ついか公認こうにんされた例れいもある。第だい49回かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょにおける奈良なら3区くの田野たの瀬せら太ふとし道どうは、自身じしんの不祥事ふしょうじ（新型しんがたコロナウイルスによる緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげん下かでの深夜しんやクラブ訪問ほうもん）により自民党じみんとうを離党りとうして無所属むしょぞくで出馬しゅつばしていたが、小しょう選挙せんきょ区くで当選とうせんしたため公示こうじ日びに遡さかのぼって追加ついか公認こうにんされた（その後ごすぐに復ふく党とう）。また同席どうせきしていた松本まつもと純じゅん、大塚おおつか高司たかしらとともにマスコミにて「銀座ぎんざ3兄弟きょうだい」^[1]^[2]^[3]と名付なづけられたが、大塚おおつかは不ふ出馬しゅつば、松本まつもとは田野でんや瀬せと同様どうように保守ほしゅ系けい無所属むしょぞくで小しょう選挙せんきょ区くで出馬しゅつばしたものの、当選とうせんできずに落選らくせんした（その後ご2022年ねん1月がつに松本まつもとは自民党じみんとうに復ふく党とうが認みとめられ、2022年ねん12月に発表はっぴょうされた第だい50回かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょにおける神奈川かながわ1区くの自民党じみんとう公認こうにんが内定ないていした^[4]）。このように自民党じみんとうが公認こうにん候補こうほをあえて擁立ようりつせずに無所属むしょぞくで出馬しゅつばした候補者こうほしゃが当選とうせんすることで、みそぎを済すませたとして復ふく党とうを認みとめるケースもある。

首相しゅしょう経験けいけんのある森もり喜朗よしろうや、衆議院しゅうぎいん副ふく議長ぎちょうもつとめた渡部わたなべ恒三こうぞう、衆議院しゅうぎいん議長ぎちょうの額がく賀が福ぶく志郎しろう、元もと自民党じみんとう副ふく総裁そうさいの山崎やまざき拓たく、元もと自民党じみんとう幹事かんじ長ちょうの石原いしはら伸晃のぶあき、江藤えとう・亀井かめい派はの領袖りょうしゅうだった江藤えとう隆美たかみなども、初はつ当選とうせんは追加ついか公認こうにん組ぐみであった。

選挙せんきょデータを見みる上うえでの注意ちゅうい点てん[編集へんしゅう]

日本にっぽんの保守ほしゅ政党せいとうは、追加ついか公認こうにんを長ながく常態じょうたいとして来きたため、選挙せんきょのデータを見みる場合ばあいは注意ちゅういを要ようする。追加ついか公認こうにんされた候補者こうほしゃの議席ぎせきや、落選らくせんしたが当選とうせんすれば保守ほしゅ政党せいとうに追加ついか公認こうにんされたであろう候補者こうほしゃの得票とくひょうが、データではしばしば見過みすごされるからである。

たとえば、自由民主党じゆうみんしゅとうの党勢とうせいの推移すいいによれば、自民党じみんとうが過半数かはんすうの議席ぎせきを確保かくほできなかった選挙せんきょは衆議院しゅうぎいんで8度ど、参議院さんぎいんで11度ど^{[注ちゅう 1]}ある。このうち、衆議院しゅうぎいんでは4度ど、参議院さんぎいんでは1度どは追加ついか公認こうにんを入いれると過半数かはんすうに届とどいているため、本当ほんとうに過半数かはんすうを割わったといえるのは衆議院しゅうぎいん4度ど、参議院さんぎいん10度どになる。さらに、衆議院しゅうぎいんでは第だい41回かい総そう選挙せんきょと第だい42回かい総そう選挙せんきょでは、時間じかんが経たってからの入党にゅうとう者しゃ、他た党とうからの入党にゅうとう者しゃなどにより次つぎの総そう選挙せんきょまでに過半数かはんすうを得えており^[5]、次つぎの衆議院しゅうぎいん総そう選挙せんきょまで過半数割かはんすうわれのままだったのは2度ど（第だい40回かい、第だい45回かい）しかない。

反面はんめん、参議院さんぎいんでは次つぎの選挙せんきょまでに過半数かはんすうを得えたのは2度どだけで、1989年ねんの第だい15回かい通常つうじょう選挙せんきょ以降いこう、2016年ねんの第だい24回かい通常つうじょう選挙せんきょ直後ちょくごまで、院いん全体ぜんたいでは過半数割かはんすうわれが続つづいていた^{[注ちゅう 2]}^[6]。

これに加くわえ、公認こうにん漏もれで落選らくせんした候補者こうほしゃも多数たすう存在そんざいする。そのため、各党かくとうの得票とくひょう数すう・率りつを参照さんしょうする場合ばあいは、無所属むしょぞく候補こうほが当選とうせん後ごの追加ついか公認こうにんを見込みこまれた候補者こうほしゃであるかどうかも見みる必要ひつようがある。そうした候補こうほの得えた票ひょうが、各党かくとうに上乗うわのせされる計算けいさんになるからである。

保守ほしゅ政党せいとう以外いがいの場合ばあい[編集へんしゅう]

保守ほしゅ政党せいとう以外いがいの場合ばあい、本来ほんらいの所属しょぞく党派とうはから公認こうにん漏もれとなった場合ばあい、当選とうせんする事例じれいは少すくなく、追加ついか公認こうにんはさらに少すくない。これは、革新かくしん政党せいとうなどの候補者こうほしゃは党とうや労働ろうどう組合くみあいなどの組織そしき力りょくに頼たよる部分ぶぶんが多おおく、個人こじんの力ちからだけでの当選とうせんが難むずかしいからである。日本にっぽん共産党きょうさんとうや公明党こうめいとうなどは、候補者こうほしゃ個人こじんが力ちからを持もち過すぎないよう、個人こじん後援こうえん会かいなど組織そしきの枠外わくがいでの政治せいじ活動かつどうを党とうの側がわから規制きせいしている^{[注ちゅう 3]}（公明党こうめいとうは宗教しゅうきょう団体だんたいの創価学会そうかがっかいが母体ぼたいであるため、この傾向けいこうはさらに極端きょくたんになる）。

たとえ公認こうにん漏もれ候補こうほが当選とうせんしても、党とうの側がわに造反ぞうはん者しゃを許ゆるさない傾向けいこうが強つよく、候補者こうほしゃも追加ついか公認こうにんを潔いさぎよしとしない傾向けいこうがあった。党籍とうせきを持もったままの無所属むしょぞく立候補りっこうほが容認ようにんされていた保守ほしゅ政党せいとうとは違ちがい、革新かくしん政党せいとうなどではそうした候補こうほは党とうから除名じょめいされるか、自みずから離党りとうした事例じれいが多おおい。従したがって、復ふく党とうする場合ばあいも選挙せんきょからかなり期間きかんが経過けいかするか、あるいは無所属むしょぞくのまま統一とういつ会派かいはに入いれる形かたちが多おおかった。保守ほしゅ政党せいとう以外いがいの追加ついか公認こうにんは、最初さいしょから党とうが推薦すいせんし、あらかじめ追加ついか公認こうにんの予定よていを示しめしていた候補者こうほしゃがほとんどである。一方いっぽう、自民党じみんとうは公認こうにん漏もれ候補こうほを党とう本部ほんぶが推薦すいせんすることはほとんどなく、その代かわりに自民党じみんとうの都道府県とどうふけん連れんや市町村しちょうそんの各かく支部しぶなどが推薦すいせんを行おこなったり、有力ゆうりょく政治せいじ家かが支援しえんを行おこなう。例外れいがいは上記じょうきの2003年ねんの衆議院しゅうぎいん選挙せんきょにおける宮崎みやざき3区くのように、誰だれを公認こうにんとするか決きめられず、複数ふくすうの公認こうにん漏もれを推薦すいせんする場合ばあいなどだが、多おおくは党とう本部ほんぶによる推薦すいせんがないケースがほとんどである。

こうした事情じじょうで、革新かくしん政党せいとうの場合ばあい、公認こうにん漏もれは無所属むしょぞくのままでの立候補りっこうほではなく、離党りとうして（あるいは党とうから除名じょめいされ）新党しんとうを結成けっせいし、あえなく落選らくせんしてしまうことが多おおかった（日本にっぽん共産党きょうさんとうを除名じょめいされた志賀しが義雄よしお、日本にっぽん社会党しゃかいとうを除名じょめいされた渋谷しぶや修おさむなど）。これも、たとえ以前いぜんに離党りとう・除名じょめいしても、当選とうせんすれば追加ついか公認こうにんされることの多おおい保守ほしゅ政党せいとうと事情じじょうが異ことなっていたためである（みそぎ選挙せんきょを参照さんしょう）。

また、新党しんとうを結成けっせいした場合ばあい、55年ねん体制たいせい以降いこうは当選とうせんしても以前いぜんの所属しょぞく政党せいとうに二度にどと戻もどらなかった候補者こうほしゃがほとんどであり（社会党しゃかいとうから分裂ぶんれつした民社党みんしゃとう、社会しゃかい民主みんしゅ連合れんごうなど）、この点てんでも保守ほしゅ政党せいとうとは対照たいしょう的てきである。例たとえば、自民党じみんとうから分裂ぶんれつした新自由しんじゆうクラブや保守ほしゅ（新しん）党とうは大半たいはんが自民党じみんとうに復帰ふっきし所属しょぞく議員ぎいんが減少げんしょうした結果けっか、結党けっとうから10年ねんで党とう自体じたいが自民党じみんとうに吸収きゅうしゅうされたり、新党しんとうさきがけ、新生党しんせいとうも少すくなからず自民党じみんとうに議員ぎいんが復帰ふっきしている。社会党しゃかいとうの岡崎おかざき宏美ひろみのように、公認こうにん漏もれで当選とうせんし、その後ご社会党しゃかいとう会派かいは入いりしたものの、結局けっきょく袂たもとを分わかった例れいもある（岡崎おかざきは新しん社会党しゃかいとうに加くわわったが、落選らくせん）。

旧きゅう民主党みんしゅとうは、社会党しゃかいとう・社会しゃかい民主党みんしゅとう出身しゅっしん者しゃもいたが、全体ぜんたいとしては保守ほしゅ政党せいとうに近ちかかった。しかし、追加ついか公認こうにんはあまり多おおくない。これは、民主党みんしゅとうが小しょう選挙せんきょ区く制せいになってからできた政党せいとうであるため公認こうにん漏もれが当選とうせんする機会きかいが少すくないこと、自民党じみんとう入いりが比較的ひかくてき容易よういな候補者こうほしゃが多おおいことが一因いちいんと思おもわれる。但ただし2017年ねんの第だい48回かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょでは立憲りっけん民主党みんしゅとうの党籍とうせきを持もちながら無所属むしょぞくで立候補りっこうほしていた逢坂おうさか誠二せいじが当選とうせん後ご追加ついか公認こうにんを受うけた。