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進化しんかロボティクス

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

進化しんかロボティクス(しんかロボティクス、えい: Evolutionary roboticsER[1][2]とは、自律じりつがたロボットのコントローラに進化しんかてき計算けいさん使つかロボティクスいち分野ぶんやである。進化しんかてき計算けいさんのように進化しんかてきロボティクス場合ばあいもある[3]

概要がいよう

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進化しんかロボティクスにおけるアルゴリズムは、初期しょき状態じょうたいでは所定しょていかくりつ分布ぶんぷしたがったコントローラ候補こうほぐん操作そうさすることがおおい。それにたいして適応てきおう関数かんすうかえ使つかうことで徐々じょじょ変化へんかしていく。進化しんかてき計算けいさん主要しゅよう技法ぎほうである遺伝いでんてきアルゴリズム場合ばあい、コントローラ候補こうほ個体こたいぐん交叉こうさ突然変異とつぜんへんいといった操作そうさによって成長せいちょうし、適応てきおう関数かんすうによって選別せんべつされる。コントローラ候補こうほとは具体ぐたいてきにはニューラルネットワーク部分ぶぶん集合しゅうごう場合ばあいもあるし、"IF THEN ELSE" がた規則きそくぐん場合ばあいもある。理論りろんてきには、コントローラ候補こうほとしては任意にんい制御せいぎょ規則きそく機械きかい学習がくしゅうではポリシーとぶ)を形式けいしきてき表現ひょうげんしたものがかんがえられる。ニューラルネットワーク進化しんかロボット工学こうがく以外いがいでもロボットの学習がくしゅう機構きこうとして使つかわれている。とく強化きょうか学習がくしゅう形態けいたいをコントローラの学習がくしゅう使つかうことができる。

発達はったつロボティクス英語えいごばんは、進化しんかロボティクスに関連かんれんしているがことなる分野ぶんやである。進化しんかロボティクスは多数たすうのロボットぐんによる進化しんかあつかうのにたいして、発達はったつロボティクスは1つのロボットに様々さまざま経験けいけんをさせることで制御せいぎょシステムの発達はったつうながす。

歴史れきし

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進化しんかロボティクスは、1990年代ねんだいのローマでおこなわれた研究けんきゅう最初さいしょだが、ロボットの制御せいぎょシステムにゲノムと人工じんこう進化しんかかんがかたれる研究けんきゅうは1980年代ねんだい後半こうはんすでおこなわれていた。

進化しんかロボティクス(Evolutionary robotics)[1]という用語ようごは、1993ねんサセックス大学だいがくの Dave Cliff、Inman Harvey、Phil Husbands が提唱ていしょうした[よう出典しゅってん]。1992ねんと1993ねんスイス連邦れんぽう工科こうか大学だいがくローザンヌこう(EPFL)の Dario Floreano と Francesco Mondada のグループと、サセックス大学だいがくのグループがそれぞれ自律じりつがたロボットへの人工じんこう進化しんか適用てきよう実験じっけんおこなった。これら初期しょき研究けんきゅう成功せいこうをきっかけとして、世界中せかいじゅうでこの方向ほうこう研究けんきゅうさかんにおこなわれるようになった。

その、ロボットにさせる作業さぎょう複雑ふくざつさをレベルアップすることが困難こんなんなこともあり、工学こうがくてき方向ほうこうよりも理論りろんてき方向ほうこう研究けんきゅう中心ちゅうしんがシフトしつつある。

進化しんかロボティクス

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進化しんかロボティクスは同時どうじ複数ふくすう目的もくてきともなって研究けんきゅうされている。それはたとえば、じつ世界せかいでのロボットの作業さぎょう使つかえるコントローラの生成せいせい進化しんかろん複雑ふくざつ事柄ことがらたとえば、ボールドウィン効果こうか)を実験じっけん確認かくにんすること、心理しんりがくてき現象げんしょう再現さいげん人工じんこうてきなニューラルネットワークの研究けんきゅうから生物せいぶつ神経しんけいけいについてあらたな知見ちけんること、などである。

人工じんこう進化しんかでコントローラを生成せいせいするには、多数たすう候補こうほぐん評価ひょうかする必要ひつようがある。これには時間じかんがかかるため、実際じっさいのロボットを使つかわずにソフトウェアでおこなうことがおおい。また初期しょき無作為むさくいなコントローラは、かえかべ激突げきとつするなど、ロボット自体じたい破損はそんわせる可能かのうせいがある。

シミュレーションで進化しんかさせたコントローラを物理ぶつりてきロボットに転送てんそうすることは、進化しんかロボット工学こうがくなかでももっとむずかしい部分ぶぶんである。その理由りゆうは、シミュレーションには現実げんじつ簡略かんりゃくして近似きんじした部分ぶぶんがあり、進化しんかロボット工学こうがくではそういった部分ぶぶんふくめてたか適応てきおうしめ候補こうほ選別せんべつしていくからである[よう出典しゅってん]。これには、高速こうそく正確せいかくなシミュレーションをかえ必要ひつようがあり、そのことが進化しんかロボット工学こうがく制約せいやくの1つとなっている[よう出典しゅってん]

めずらしいれいとして、コントローラだけでなく、ロボットの物理ぶつり構造こうぞう設計せっけい進化しんかてき計算けいさん使つかわれることもある。その特筆とくひつすべきれいとして、Karl Sims がおこなったシンキングマシンズしゃでのデモがある。

背景はいけい

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機械きかい学習がくしゅうアルゴリズムは一般いっぱんに、仮説かせつてき入力にゅうりょくとそれにたいするこたえからなる訓練くんれんれい必要ひつようとする。ロボットの学習がくしゅうでは、こたえとはそのロボットがとるべきただしい行動こうどうである。

そのようなただしい行動こうどうつね事前じぜん明確めいかくわかっているとはかぎらない。そのわりにロボットがその時点じてん最善さいぜん判断はんだんした行動こうどうたいして、成功せいこうなのか失敗しっぱいなのかという評価ひょうかくだすことは可能かのうである。進化しんかてきアルゴリズムはこのような問題もんだいフレームワークにてきした解法かいほうであり、適応てきおう関数かんすうはコントローラにたいして失敗しっぱい成功せいこうかだけを判定はんていすればよく、コントローラがとるべきただしい行動こうどう正確せいかくしめ必要ひつようはない。ロボットの学習がくしゅうでの進化しんかてき計算けいさんべつ利用りようほうとして、ことなる形態けいたい強化きょうか学習がくしゅうQ学習がくしゅうなど)を採用さいようし、任意にんい特定とくてい行動こうどう適用てきよう学習がくしゅうし、適用てきよう予測よそくしてコントローラを間接かんせつてき生成せいせいするという方法ほうほうがある。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b 片上かたがみ大輔だいすけ山田やまだ誠二せいじじつ環境かんきょうにおける進化しんかロボティクスと対話たいわてき設計せっけい」、『計測けいそく制御せいぎょだい44かんだい1ごう、2005ねん、33-37ぺーじ
  2. ^ 浅田あさだ國吉くによし 2006, p. 182.
  3. ^ 久保田くぼた直行なおゆき進化しんかてきロボティクスと適応てきおう」、『システム/制御せいぎょ情報じょうほうだい47かんだい12ごう、2003ねん、565-570ぺーじ

参考さんこう文献ぶんけん

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  • Evolutionary Robotics by Stefano Nolfi and Dario Floreano. ISBN 0-262-14070-5
  • Advances in the Evolutionary Synthesis of Intelligent Agents by Mukesh Patel, Vasant Honavar and Karthik Balakrishnan (Ed). Cambridge, MA: MIT Press. 2001. ISBN 0-262-16201-6
  • 浅田あさだみのる國吉くによし康夫やすお『ロボットインテリジェンス』岩波書店いわなみしょてん岩波いわなみ講座こうざロボットがく4〉、2006ねん3がつISBN 4-00-011244-9 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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