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スワームロボティクス

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア（Wikipedia）』
スワームロボットシステム

スワームロボティクス（swarm robotics、SR[1]）[2][3][注釈ちゅうしゃく 1]は、群ぐん知能ちのう（swarm intelligence、SI）をもとに群ぐんロボットを生物せいぶつのように自律じりつ分散ぶんさん制御せいぎょする学術がくじゅつ分野ぶんや[2][5][1]。ロボットで構成こうせいされる群ぐんをrobotic swarm（ロボットスワーム、ロボティックスワーム）と呼よび[6][5]、それらによるシステムをスワームロボットシステム（swarm robot system、SRS）と呼よぶ[2][5][注釈ちゅうしゃく 2]。スワームロボットシステムは生物せいぶつの群むれのように動うごくロボットシステムを目指めざしており[2]、単たんなるマルチエージェントシステムとは概念がいねんが異ことなる[8]。生物せいぶつ規範きはん型がたロボティクス（英語えいご版ばん）に影響えいきょうを受うけるとともに、社会しゃかい性せい昆虫こんちゅうの行動こうどう原理げんりの解明かいめいや動物どうぶつ行動こうどう学がくの発展はってんに寄与きよすることが期待きたいされている[2]。実じつシステムとしてはマスゲーム的てきなフォーメンション制御せいぎょが行おこなわれ[8][9]、ハーバード大学だいがくが1000台だいのスワームロボットでマスゲームを意識いしきしたフォーメーション制御せいぎょを実現じつげんさせている[9]。また、シロアリのアリ塚づかのような形状けいじょうを工学こうがく的てきに生成せいせいすることにもつながる[10]。実装じっそうにおいてはセンサーの分解能ぶんかいのうなどが問題もんだいになり[10]、進化しんかロボティクスの手法しゅほうも用もちいられる[5][1]。

概要がいよう

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スワームロボティクスは多おおくの比較的ひかくてき単純たんじゅんなロボットから構成こうせいされる群ぐんロボットシステムの協調きょうちょう動作どうさに関かんするアプローチである。その目標もくひょうはロボットの設計せっけい(物理ぶつり的てきな設計せっけいと実装じっそうすべき振ふる舞まいの設計せっけい)の研究けんきゅうであり、ロボット間あいだの相互そうご作用さようとロボット群ぐんと環境かんきょうの相互そうご作用さようによって目的もくてきとする集団しゅうだん行動こうどうをとらせる。社会しゃかい性せい昆虫こんちゅうの観察かんさつ結果けっかにインスパイアされた群ぐん知能ちのうがベースとなっており、個体こたいの単純たんじゅんな行動こうどうにコミュニケーションが加くわわると、群むれとしての行動こうどうの複雑ふくざつさが生しょうじることが分わかっている[11]。

一般いっぱんの分散ぶんさんロボットシステムと違ちがって、スワームロボティクスではロボットの多数たすう性せいを強調きょうちょうし、例たとえばローカルなコミュニケーションだけを使つかって、スケーラビリティを促進そくしんする。ローカルなコミュニケーションは、電波でんぱまたは赤外線せきがいせん通信つうしんを使つかったワイヤレス伝送でんそうシステムによって行おこなわれる。

スワームロボティクスの潜在せんざい的てきな応用おうようとして、非常ひじょうに小型こがた化かしたロボット群ぐんによる作業さぎょう(ナノマシン、マイクロボット)が考かんがえられ、マイクロマシンの分散ぶんさん感知かんち作業さぎょうや人体じんたい内ないでの作業さぎょうが考かんがえられる。別べつの応用おうようとして、採掘さいくつ作業さぎょうや大だい農場のうじょうでの作業さぎょうなど、個々ここのロボットを極きわめて低てい価格かかくに設計せっけいする必要ひつようのある用途ようとが考かんがえられる。

いずれも、小形こがた化かとコストは、個体こたいのチームメンバーのシンプルさを必要ひつようとし、その上うえで群むれとして知的ちてきな意味いみのある行動こうどうを達成たっせいする必要ひつようがあり、困難こんなんな制約せいやくである。

個体こたいに与あたえられた機能きのうから、群むれとしてどう行動こうどうするかを正確せいかくに予測よそくして設計せっけいする手法しゅほうの研究けんきゅうが必須ひっすである。

脚注きゃくちゅう

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[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 直訳ちょくやくすると「群ぐんロボティクス」となるが、群ぐんロボティクスには「Muli agent robotics」を対応たいおうさせている文献ぶんけんもあり[4]、日本語にほんごでは「スワームロボティクス」とされる場合ばあいが多おおい[2][3][1]。
  2. ^ 細胞さいぼう型がたロボット（self-reconfigurable robot）をSRロボットと呼よぶが[7]、スワームロボット（SR）とは別べつ。

出典しゅってん

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  1. ^ a b c d 大倉おおくら和博かずひろ、保田やすだ俊行としゆき、和田わだ七海ななみ、松村まつむら嘉之よしゆき「スワームロボットシステムにおける群むれ挙動きょどうの一いち解析かいせき法ほう ―動物どうぶつ行動こうどう学がくに基もとづくアプローチ―」、『知能ちのうと情報じょうほう』第だい26巻かん第だい5号ごう、2014年ねん、855-865頁ぺーじ。
  2. ^ a b c d e f 藤澤ふじさわ隆介りゅうすけ「「スワームロボティクスと昆虫こんちゅう生態せいたい科学かがく」特集とくしゅうについて」、『日本にっぽんロボット学会がっかい誌し』第だい35巻かん第だい6号ごう、2017年ねん、427頁ぺーじ。
  3. ^ a b “スワームロボティクスに基もとづく可塑かそ的てき群ぐん知能ちのうシステムの構築こうちくに関かんする研究けんきゅう”. 科学かがく研究けんきゅう費ひ助成じょせい事業じぎょうデータベース. 2018年ねん7月がつ6日にち閲覧えつらん。
  4. ^ 「1・1・4 学問がくもんの名称めいしょう」『機械きかい工学こうがく便覧びんらん応用おうようシステム編へんγがんま7 メカトロニクス・ロボティクス』 日本にっぽん機械きかい学会がっかい編へん、 丸善まるぜん、2008年ねん12月、2頁ぺーじ、ISBN 978-4-7693-2190-3。
  5. ^ a b c d 大倉おおくら和博かずひろ、保田やすだ俊行としゆき、松村まつむら嘉之よしゆき、森下もりした力つとむ「クラスタリングに基もとづくスワームロボットシステムにおける群ぐん協調きょうちょう行動こうどう分析ぶんせきのための一いち手法しゅほう」、『日本にっぽん機械きかい学会がっかい論ろん文集ぶんしゅうC編へん』第だい78巻かん第だい794号ごう、2012年ねん、3529-3540頁ぺーじ。
  6. ^ Paolo Dario「Biorobotics」、『日本にっぽんロボット学会がっかい誌し』第だい23巻かん第だい5号ごう、2005年ねん、552-554頁ぺーじ。（英語えいご）
  7. ^ 「4・7・5 細胞さいぼう型がたロボット」『機械きかい工学こうがく便覧びんらん応用おうようシステム編へんγがんま7 メカトロニクス・ロボティクス』 日本にっぽん機械きかい学会がっかい編へん、 丸善まるぜん、2008年ねん12月、155-158頁ぺーじ、ISBN 978-4-7693-2190-3。
  8. ^ a b 松野まつの文俊ふみとし「群ぐん行動こうどうの理解りかいと群ぐんロボット研究けんきゅう」、『日本にっぽんロボット学会がっかい誌し』第だい35巻かん第だい6号ごう、2017年ねん、428-431頁ぺーじ。
  9. ^ a b 小林こばやし裕介ゆうすけ、吉本よしもと昌弘まさひろ、根ね和幸かずゆき、福島ふくしま宏明ひろあき、松野まつの文俊ふみとし、守井もりい知之ともゆき、北河きたがわ満みつる、辻つじ滋しげる、吉川よしかわ浩一こういち「複数ふくすうの移動いどうロボット群ぐんのすれ違ちがいを考慮こうりょした編隊へんたい制御せいぎょ」、『日本にっぽんロボット学会がっかい誌し』第だい35巻かん第だい1号ごう、2017年ねん、78-84頁ぺーじ。
  10. ^ a b 藤澤ふじさわ隆介りゅうすけ「2012年度ねんど論文ろんぶん賞しょうの受賞じゅしょう論文ろんぶん紹介しょうかい ―環境かんきょうに情報じょうほうを残のこすロボティクスを研究けんきゅうすること―」、『情報処理じょうほうしょり』第だい54巻かん第だい8号ごう、2013年ねん、820頁ぺーじ。
  11. ^ Hamann 2018.

参考さんこう文献ぶんけん

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外部がいぶリンク

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分野ぶんや
ロボット
トピック
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関連かんれん
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