遺伝子いでんし組ぐみ換かえ生物せいぶつ

遺伝子いでんし組ぐみ換かえ生物せいぶつ（いでんしくみかえせいぶつ、英えい: Genetically modified organism, GMO）とは、遺伝子いでんし工学こうがくの技術ぎじゅつを用もちいて遺伝子いでんしを操作そうさされた生物せいぶつを指さす。一般いっぱんには組くみ換かえDNA 技術ぎじゅつを用もちい、DNA 分子ぶんしに別べつの種類しゅるいの遺伝子いでんしを組くみ込こみ、新あたらしい組くみ合あわせのDNA 分子ぶんしを作成さくせいする。このDNA 分子ぶんしを目的もくてきの生物せいぶつに遺伝子いでんし導入どうにゅうさせ、本来ほんらいその生物せいぶつが持もっていない別べつの種たねの遺伝子いでんしを導入どうにゅうさせたまたはその生物せいぶつの持もっている遺伝子いでんしを改変かいへんさせた生物せいぶつを “遺伝子いでんし組ぐみ換かえ生物せいぶつ” と呼よぶ。

カルタヘナ議定ぎてい書しょにおいて定義ていぎされたLMO (Living Modified Organism) の日本語にほんご訳やくとして用もちいられている。

作成さくせい方法ほうほう[編集へんしゅう]

遺伝子いでんし組ぐみ換かえはゲノム（染色せんしょく体たい）内ないへの遺伝子いでんしの導入どうにゅうまたは欠かけ失しつを含ふくむ。違ちがう種たねの遺伝子いでんしが導入どうにゅうされた場合ばあい、遺伝子いでんしの水平すいへい伝播でんぱが行おこなわれた事ことになる。自然しぜん界かいでは外来がいらい遺伝子いでんしが細胞さいぼう内ないに取とり込こまれ起おこる事ことがあり、病原菌びょうげんきんの薬剤やくざい耐たい性せいに関かかわる場合ばあいもある。人工じんこう的てきに遺伝子いでんし組ぐみ換かえを行おこなう場合ばあいには、生物せいぶつ学がく的てき、化学かがく的てき、物理ぶつり的てきな方法ほうほうがあり、詳くわしくは遺伝子いでんし導入どうにゅう、形質けいしつ導入どうにゅう、形質けいしつ転換てんかんやトランスフェクションのページを参照さんしょうのこと。遺伝子いでんし組ぐみ換かえ法ほうとして、バクテリアでは電気でんき穿孔せんこう法ほうやコンピテントセルにヒートショックをかける方法ほうほうが広ひろく行おこなわれており、動物どうぶつではリポフェクション法ほうや電気でんき穿孔せんこう法ほうが広ひろく行おこなわれており、植物しょくぶつではパーティクル・ガン法ほう、アグロバクテリウムを利用りようした形質けいしつ導入どうにゅう法ほうや電気でんき穿孔せんこう法ほうが広ひろく行おこなわれている。（諸説しょせつがある）

歴史れきし[編集へんしゅう]

これまで数々かずかずの研究けんきゅうがなされてきたが、まだすべては解明かいめいされていない。

使用しよう例れい[編集へんしゅう]

遺伝子いでんし組ぐみ換かえ生物せいぶつは生物せいぶつや医学いがくの研究けんきゅう、医薬品いやくひんの製造せいぞう、遺伝子いでんし治療ちりょうの臨床りんしょう研究けんきゅうや作物さくもつの品種ひんしゅ改良かいりょう等とうに利用りようされている。また細胞さいぼうや生物せいぶつに外来がいらい遺伝子いでんしを一過いっか的てきに遺伝子いでんし導入どうにゅうして、発現はつげんした遺伝子いでんしのタンパク質たんぱくしつ局在きょくざいや機能きのうを調しらべる様ような一過いっか的てきな遺伝子いでんし導入どうにゅうも広義こうぎには遺伝子いでんし組ぐみ換かえ生物せいぶつとなる。

遺伝子いでんし組ぐみ換かえ微生物びせいぶつ[編集へんしゅう]

最初さいしょに研究けんきゅうで作つくられた遺伝子いでんし組ぐみ換かえ生物せいぶつであり、遺伝子いでんし工学こうがくの基礎きそになっている。遺伝子いでんし組ぐみ換かえ微生物びせいぶつはインスリンなどのヒトのペプチドまたはタンパク質たんぱくしつの生産せいさんなどに応用おうようされている。

遺伝子いでんし組ぐみ換かえ動物どうぶつ[編集へんしゅう]

様々さまざまな動物どうぶつで遺伝子いでんし組ぐみ換かえが研究けんきゅうで行おこなわれている。ノックアウトマウスは遺伝子いでんしの様々さまざまな機能きのうを調しらべるため、研究けんきゅうで精力せいりょく的てきに作成さくせいされている。羊ひつじ、豚ぶたやラット等とうの遺伝子いでんし組ぐみ換かえ動物どうぶつがヒトのタンパク質たんぱくしつの生産せいさんに応用おうようされている。また哺乳類ほにゅうるいなどの大型おおがた動物どうぶつに比較ひかくし、生活せいかつ環たまきが短みじかい、飼育しいくが簡単かんたん等とうの有利ゆうりな面めんがあり、遺伝子いでんし組ぐみ換かえを行おこなったショウジョウバエが遺伝子いでんし改変かいへんや胚はい発生はっせいなどの研究けんきゅうに利用りようされている。

昆虫こんちゅうにおいては、農のう研けん機構きこうが主おもとなってカイコ (Bombyx mori) の遺伝子いでんし組ぐみ換かえ研究けんきゅうが行おこなわれている。2020年ねん現在げんざいカルタヘナ法ほうに基もとづく第だい一種いっしゅ使用しようが認みとめられており、養蚕ようさん農家のうかによる3令れい以降いこうの飼育しいく・出荷しゅっかが行おこなわれている^[1]。詳くわしくは遺伝子いでんし組ぐみ換かえカイコの記事きじを参照さんしょう。

2023年ねん、東京工業大学とうきょうこうぎょうだいがくの元もと大学院生だいがくいんせいなど男女だんじょ5人にんが国くにの承認しょうにんを受うけずに赤あかく光ひかる遺伝子いでんし組くみ換かえメダカを育そだてたなどとして、全国ぜんこくで初はじめてカルタヘナ法ほう違反いはんが適用てきようされた^[2]。