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トルマリン

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電気でんきせき

トルマリン (tourmaline) は、ケイ酸けいさんしお鉱物こうぶつのグループめい結晶けっしょうねっすると電気でんきびるため、電気でんきせき(でんきせき)[1]ばれている。

成分せいぶん種類しゅるい[編集へんしゅう]

固溶体こようたいつくることがおおく、ケイ酸けいさんしお鉱物こうぶつなかでももっと複雑ふくざつ組成そせい鉱物こうぶつひとつであり、国際こくさい鉱物こうぶつがく連合れんごうにより2021ねん最新さいしん定義ていぎあたえられた。

  • XY
    3
    Z
    6
    (T
    6
    O
    18
    )(BO
    3
    )
    3
    V
    3
    W[2]
    • X = Ca、Na、K、▢(空隙くうげき以下いかどう
    • Y = Li、Mg、Fe2+、Mn2+、Zn、Al、Cr3+、V3+、Fe3+、Ti4+、▢
    • Z = Mg、Al、Fe3+、Cr3+、V3+
    • T = Si、Al、B
    • B = B、▢
    • V = OH、O
    • W = OH、F、O

2023ねん現在げんざい39しゅ承認しょうにんされている[3]承認しょうにんしゅ存在そんざいする)。

てつ電気でんきせき (schorl)
NaFe3Al6(BO3)3Si6O18(OH)4おも花崗岩かこうがん花崗岩かこうがんしつペグマタイトさんする。
電気でんきせき (dravite)
NaMg3Al6(BO3)3Si6O18(OH)4おも変成岩へんせいがんなかさんする。
リシア電気でんきせき (elbaite)
Na(Li,Al)3Al6(BO3)3Si6O18(OH)4。ペグマタイトにさんする。
オーレン電気でんきせき (olenite)
NaAl3Al6(Si6O18)(BO3)3O3(OH)。
てつはい電気でんきせき (feruvite)
CaFe3(Al5Mg)(BO3)3Si6O18(OH,F)4
はい電気でんきせき (uvite)
CaMg3(Al5Mg)(BO3)3Si6O18(OH,F)4
フォイト電気でんきせき (foitite)
□Fe2AlAl6(BO3)3Si6O18(OH,F)4組成そせい空隙くうげきふくまれるため、おおきな結晶けっしょう形成けいせいしない。
フォイト電気でんきせき (magnesiofoitite)
□Mg2AlAl6(BO3)3Si6O18(OH,F)4山梨やまなしけん発見はっけんされた日本にっぽんさんしん鉱物こうぶつ[4][5]外見がいけんじょうはフォイト電気でんきせき区別くべつできない。
丸山まるやま電気でんきせき (maruyamaite[6][7])
K(MgAl2)(Al5Mg)(BO3)3(Si6O18)(OH)3O。ダイヤモンド共存きょうぞんする。名前なまえ丸山まるやま茂徳しげのりにちなむ[8][9]

産出さんしゅつ[編集へんしゅう]

ブラジルアフリカ各地かくちモザンビークナイジェリアなど)、スリランカおも電気でんきせき)、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくなどで産出さんしゅつされる。

特徴とくちょう性質せいしつ[編集へんしゅう]

さんぽうあきらけいぞくし、モース硬度こうどは 7 - 7.5。よわあつでんからだひとつで、あつでん効果こうかこげでん効果こうかをもっている。また、吸収きゅうしゅうがたへん光子こうしとしての性質せいしつつ。

用途ようと加工かこうほう[編集へんしゅう]

世界せかいてきると多産たさん鉱物こうぶつであるが、まれにある含銅リシア電気でんきせきかんしては、宝石ほうせきとしてのいわゆる「パライバ・トルマリン」としてまれさん宝石ほうせきとして珍重ちんちょうされる。パライバトルマリンは、ブラジルさんとアフリカさんがあり、ブラジルさんいろいものがおおく、アフリカさんいろうすいものがおおい。

宝石ほうせきとしてのトルマリン[編集へんしゅう]

無色むしょく紫色むらさきいろ青色あおいろ緑色みどりいろ黄色おうしょく褐色かっしょく赤色あかいろピンク黒色こくしょくなど多彩たさい色合いろあがあり、別々べつべついしかんがえられたため、いろにより名前なまえけられている。

  • アクローアイト(無色むしょく
  • ルベライト(赤色あかいろ、ピンク)
  • シベライト(あか紫色むらさきいろ
  • インディコライト(青色あおいろ
  • ドラバイト(褐色かっしょくまたは黄色おうしょく
  • ショール(ブラックトルマリン。黒色こくしょく
  • パライバ(ネオンブルー、ネオングリーン)
  • バイカラー(2つのいろ混在こんざい
  • パーティカラー(3つ以上いじょういろ混在こんざい
  • ウォーターメロン(赤色あかいろまたはピンク+緑色みどりいろ、バイカラーの一種いっしゅ

ただし、こういったはまぎらわしいので、GIA米国べいこく宝石ほうせき学会がっかい)は推奨すいしょうしていない。基本きほんてきにはイエロートルマリン、というふうにトルマリンのまえいろをつけてぶほうが無難ぶなんである。たとえば、ルベライトにしても、あかからピンクオレンジまでいろ範囲はんい幅広はばひろく、混乱こんらんまねくことがある。インディコライトはうえ青色あおいろとあるが、実際じっさいには藍色あいいろちかいブルーのものをしょうする。さらにグリーンでもクロムがはいったクロムトルマリンはプレミアがつく。

また、特殊とくしゅ効果こうかとして、キャッツアイトルマリンが有名ゆうめいである。品質ひんしつ様々さまざまで、キャッツアイるからといって価格かかくプレミアはつかない。そしてかずすくないが、みどりからあかもしくはピンクにかわるアレキタイプトルマリンもあるが、これも緑色みどりいろ部分ぶぶんがきわめてくろちかく、また変色へんしょく効果こうかあざやかなものはすくなく、こう品質ひんしつのものはなかなかない。

サイド・ストーリー[編集へんしゅう]

トルマリンの語源ごげんセイロンとう現地げんちであるシンハラの「トルマリ」(turmali) からきている。これは、もともとイエロー・ジルコンので、ジルコンとトルマリンが混合こんごうしたいしぶのにも使つかわれていたが、それがあやまってトルマリンのみにもちいられるようになったとわれている。

健康けんこう科学かがく[編集へんしゅう]

1990年代ねんだい後半こうはんから2000年代ねんだい前半ぜんはんにトルマリンを使つかった製品せいひんがいくらか注目ちゅうもくされ研究けんきゅうおこなわれた。トルマリンをんだぬのとそうでないぬの比較ひかくして、とお赤外線せきがいせん効果こうかふく交感神経こうかんしんけい優位ゆういによるリラックス効果こうかみとめられた[10]。トルマリンをかいこえさにすることで、トルマリンがはいんだシルクができる[11]。トルマリンのネックレスとんだシーツでは、通常つうじょう寝具しんぐ比較ひかくしてふく交感神経こうかんしんけい優位ゆうい確認かくにんされた[12]。トルマリンとゼオライトを混合こんごうしたネックレスやシーツのはっする赤外線せきがいせんは、高密度こうみつどなほどおお発生はっせいし、また使用しようによりタールじょうかたまりができ減少げんしょうしていく[13]

コーヒーのあじたも指標しひょうとなる酸味さんみ特徴とくちょうとするクロロゲンさん増加ぞうかをトルマリンの粉末ふんまつ防止ぼうしし、コーヒーを長時間ちょうじかん美味おいしく保存ほぞんできるとされた[14]

工学こうがくしゃ安井やすいいたるによれば、トルマリンは過熱かねつおうりょくにより電圧でんあつ発生はっせいするが、つねゆがみをあたえるようなことをしなければ静止せいし状態じょうたいや、粉末ふんまつしたトルマリンで発生はっせいつづけることはなく、むしろ放射能ほうしゃのう発生はっせいするだろうから、電力でんりょく発生はっせいする(マイナスイオン)とした商品しょうひんはインチキだと2003ねん主張しゅちょうしている[15]一方いっぽうでトルマリンを粉末ふんまつ合成ごうせい樹脂じゅし常時じょうじ圧力あつりょくがかかるようかためた繊維せんい製品せいひんされており、半永久はんえいきゅうてきにマイナスイオンを放出ほうしゅつするとされるが、血液けつえき検査けんさでの血液けつえき特徴とくちょう影響えいきょうみとめられなかった[16]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ 文部省もんぶしょう へん学術がくじゅつ用語ようごしゅう 地学ちがくへん日本にっぽん学術がくじゅつ振興しんこうかい、1984ねん、379ぺーじISBN 4-8181-8401-2 
  2. ^ Hawthorne, F.C. & Henry, D.J. (1999). "Classification of the minerals of the tourmaline group"Archived 2007-10-16 at the Wayback Machine.. European Journal of Mineralogy, 11, pp. 201–215.
  3. ^ Tourmaline, mindat.org
  4. ^ Frank C. Hawthorne; et al. (1999). “Magnesiofoitite (Mg2Al)Al6(Si6O18)(BO3)3(OH)4, a new alkali-deficient tourmaline”. The Canadian Mineralogist (Mineralogical Association of Canada) 37 (6): 1439-1443. ISSN 0008-4476. http://www.canmin.org/content/37/6.toc. 
  5. ^ 松原まつばらさとし「あやうくさらわれそうになったいしフォイト電気でんきせき」『しん鉱物こうぶつ発見はっけん物語ものがたり岩波書店いわなみしょてん岩波いわなみ科学かがくライブラリー〉、2006ねん、107-114ぺーじISBN 4-00-007455-5 
  6. ^ Lussier, A.; et al. (2014). “Maruyamaite, IMA 2013-123. CNMNC Newsletter No. 20, June 2014, page 550” (PDF). Mineralogical Magazine (The Mineralogical Society) 78 (3): 549-558. doi:10.1180/minmag.2014.078.3.05. ISSN 0026-461X. http://pubsites.uws.edu.au/ima-cnmnc/CNMNC%20NEWSLETTER%2020.pdf. 
  7. ^ Maruyamaite (英語えいご), MinDat.org, 2014ねん8がつ27にち閲覧えつらん英語えいご
  8. ^ しん鉱物こうぶつ発見はっけん、maruyamaite(丸山まるやま電気でんきせき)と命名めいめい 世界せかいはつ、ダイヤモンドと共存きょうぞんし、カリウムを多量たりょうふく特殊とくしゅ電気でんきせき”. 早稲田大学わせだだいがく (2014ねん8がつ25にち). 2014ねん8がつ27にち閲覧えつらん
  9. ^ しん鉱物こうぶつ発見はっけん、maruyamaite(丸山まるやま電気でんきせき)と命名めいめい世界せかいはつ、ダイヤモンドと共存きょうぞんし、カリウムを多量たりょうふく特殊とくしゅ電気でんきせき”. 東工大とうこうだいニュース. 東京工業大学とうきょうこうぎょうだいがく (2014ねん8がつ25にち). 2014ねん8がつ27にち閲覧えつらん
  10. ^ まち好雄よしお特製とくせいトルマリンり「APファイバー」ぬの着用ちゃくようしたとき生理せいり効果こうか」『国際こくさい生命せいめい情報じょうほう学会がっかいだい19かんだい1ごう、2001ねん、69-74ぺーじdoi:10.18936/islis.19.1_69 
  11. ^ 神谷かみや文代ふみよ成瀬なるせ信子のぶこトルマリンシルクの開発かいはつ」『日本にっぽんシルク学会がっかい研究けんきゅう発表はっぴょう要旨ようし集録しゅうろくだい12かん、2003ねん12月1にち、78-79ぺーじdoi:10.11417/silk.12.78 
  12. ^ 江角えすみ弘道ひろみち木村きむら幸弘ゆきひろトルマリン利用りよう健康けんこう商品しょうひん生体せいたいたいする効果こうか--心拍しんぱく変動へんどうスペクトルによる検討けんとう」『島根しまね県立けんりつ看護かんご短期大学たんきだいがく紀要きようだい9かん、2004ねん、63-67ぺーじ 
  13. ^ 江角えすみ弘道ひろみちトルマリン利用りよう健康けんこう商品しょうひんとお赤外線せきがいせん放射ほうしゃ特性とくせい」『島根しまね県立けんりつ看護かんご短期大学たんきだいがく紀要きようだい9かん、2004ねん、69-74ぺーじ 
  14. ^ MATSUMURATakanobu、SHIGENOBUKazuhiro、NISHIYoshitake、OGURIKazuya「コーヒーのあじ成分せいぶんおよぼすトルマリンの効果こうか」『Journal of advanced science』だい10かんだい2ごう、1998ねん9がつ30にち、120-121ぺーじdoi:10.2978/jsas.10.2-3_120 
  15. ^ 安井やすい いたる (2003ねん8がつ31にち). “高校こうこう先生せんせいのためにいたマイナスイオン”. 20070827閲覧えつらん
  16. ^ 野坂のさか大喜だいぎ藤岡ふじおか美幸みゆきほか「マイナスイオン発生はっせい素材そざい医療いりょう応用おうようかんする研究けんきゅう」(PDF)、弘前大学ひろさきだいがく医学部いがくぶ保健ほけん学科がっか 

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]