順子じゅんこ/涙なみだのセレナーデ

長渕ながぶち剛つよし > 作品さくひんリスト > 順子じゅんこ/涙なみだのセレナーデ

「順子じゅんこ/涙なみだのセレナーデ」
長渕ながぶち剛つよし の シングル
初出しょしゅつアルバム『逆流ぎゃくりゅう』
A面めん	順子じゅんこ 涙なみだのセレナーデ
リリース	1980年ねん6月5日にち
規格きかく	7インチレコード
ジャンル	ロック ポップス バラード フォークロック シティ・ポップ
時間じかん	3分ふん03秒びょう／4分ふん00秒びょう
レーベル	東芝とうしばEMI／エキスプレス
作詞さくし・作曲さっきょく	長渕ながぶち剛つよし
チャート最高さいこう順位じゅんい
週間しゅうかん1位い（6週しゅう連続れんぞく、オリコン） 1980年度ねんど年間ねんかん5位い（オリコン） 2位い（ザ・ベストテン） 1980年度ねんど年間ねんかん5位い（ザ・ベストテン）
長渕ながぶち剛つよし シングル 年表ねんぴょう
「春はる待まち気流きりゅう」 （1980年ねん） 「順子じゅんこ/涙なみだのセレナーデ」 （1980年ねん） 「ヒロイン」 （1980年ねん）
『逆流ぎゃくりゅう』 収録しゅうろく曲きょく A面めん 1.「風ふうは南みなみから」 2.「友ともへの手紙てがみ」 3.「順子じゅんこ」 4.「素顔すがお」 5.「男おとこは女おんなが必要ひつようさ」 B面めん 6.「あんたとあたいは数かぞえ唄うた」 7.「ひざまくら」 8.「祈いのり」 9.「酔よい待まち草そう（よいまちぐさ）」 10.「逆流ぎゃくりゅう」

「順子じゅんこ/涙なみだのセレナーデ」（じゅんこ/なみだのセレナーデ）は、日本にっぽんのミュージシャンである長渕ながぶち剛つよしの5枚まい目めのシングル。

1980年ねん6月5日にちに東芝とうしばEMIのエキスプレスレーベルからリリースされた。作詞さくし・作曲さっきょくは長渕ながぶち、編曲へんきょくは瀬尾せお一三かずみが担当たんとうしている。

「順子じゅんこ」は2枚まい目めのアルバム『逆流ぎゃくりゅう』（1979年ねん）に収録しゅうろくされていた曲きょくであるが、長渕ながぶちは叙情じょじょう派はフォークと混同こんどうされたくないためにシングルでのリリースは検討けんとうしていなかった。しかし、全国ぜんこく各地かくちの有線ゆうせんランキングにおいて1位いを獲得かくとくし、シングル化かを要望ようぼうするリクエストが殺到さっとうしたためライブツアー終了しゅうりょう後ごにリリースする事こととなった。歌詞かしの内容ないようは女性じょせいに裏切うらぎられた男性だんせいの失恋しつれんを題材だいざいとしており、ファンク・アレンジによるシティ・ポップ風ふうのバラードとなっている。

オリコンチャートでは8週しゅう連続れんぞくで1位いを獲得かくとくしミリオンセラーとなった。ライブでは初期しょきのみ演奏えんそうされ後のちに演奏えんそうされる事ことは全まったくなかったが、1990年ねんのライブツアー「Live'90-'91 JEEP」および1992年ねん5月15日にちの東京とうきょうドーム公演こうえんで久ひさしぶりに演奏えんそうされ、さらに2004年ねん8月がつ21日にちの桜島さくらじまオールナイトコンサートにて演奏えんそうされた後のちは、ライブでも再ふたたび演奏えんそうされるようになった。

スタジオ音源おんげんは『逆流ぎゃくりゅう』以外いがいにベスト・アルバム『FROM T.N.』（1983年ねん）、『いつかの少年しょうねん』（1994年ねん）、『Tsuyoshi Nagabuchi All Time Best 2014 傷きずつき打うちのめされても、長渕ながぶち剛つよし。』（2014年ねん）などに収録しゅうろくされた。

背景はいけい

元々もともとはアルバム『逆流ぎゃくりゅう』（1979年ねん）に収録しゅうろくされていた曲きょくだったが、有線ゆうせん放送ほうそうで人気にんきに火ひが付つき、福岡ふくおか市しの有線ゆうせんリクエストでベストテン入いり、続つづいて高知こうち市し、福島ふくしま県けん白河しらかわ市しにて連続れんぞく1位いを獲得かくとく、その後ごほぼ全国ぜんこくの有線ゆうせんでベストテン入いりする事こととなった。また、レコード会社かいしゃに「シングルにしてほしい」という要望ようぼうが多数たすう寄よせられたため、後のちにストリングス等とうのリミックスが施ほどこされた形かたちでシングルカットされた。長渕ながぶち本人ほんにんにとってはあくまでアルバム中ちゅうの1曲きょくであり、叙情じょじょう派はフォークのミュージシャンとして捉とらえられたくないためシングルカットを半年はんとし遅おくらせた経緯けいいがある。これは、「半年はんとし間あいだで全国ぜんこくをツアーで回まわり、その間あいだに自身じしんの存在そんざいと音楽おんがく性せいを確立かくりつしてからリリースすべきだ」との本人ほんにんの考かんがえがあったからである。またシングルカット以前いぜんは「順子じゅんこ」は長渕ながぶち本人ほんにんの言げんによれば「冗談じょうだんソング」であり、ライブでは「俺おれを振ふった女おんなの歌うたを歌うたいます」というMCで観客かんきゃくを笑わらわせた後のち、歌うたうのが通例つうれいとなっていたため、そういう歌うたをシングルにすることに抵抗ていこうもあったという。

音楽おんがく性せい

音楽おんがく情報じょうほうサイト『CDジャーナル』では、「大胆だいたんにもタイトルに女性じょせいの名前なまえをそのまま当あてはめたことからも、絶大ぜつだいなインパクトのあるバラード。どうしようもない絶望ぜつぼう感かんが滲にじみ出でた直情ちょくじょう的てきな詞しも、つぶらな切せつないメロディも、すべてが悲かなしい」と表記ひょうきされている。

文芸ぶんげい雑誌ざっし『文藝ぶんげい別冊べっさつ 長渕ながぶち剛つよし 民衆みんしゅうの怒いかりと祈いのりの歌うた』にて、ライターの松村まつむら正人まさとは「恋人こいびとに裏切うらぎられたこの歌うたは『木綿もめんのハンカチーフ』の男おとこの側がわの心情しんじょうの吐露とろともとれ、『風ふうは南みなみから』『逆流ぎゃくりゅう』のタイトルに顕あらわわな非ひ東京とうきょう人じんのアイデンティティを裏うら書がきしている気きがしてならない」と述のべており、さらにライターの二木ふたき信しんは「ファンク・アレンジの効きいた少々しょうしょう泥臭どろくさいシティ・ポップと聴きくこともできる」と述のべている。

リリース

1980年ねん6月5日にちに東芝とうしばEMI/エキスプレスより7インチレコードでリリースされた。

形式けいしき上じょうは「涙なみだのセレナーデ」との両りょうA面めんシングルとして発売はつばいされている。「涙なみだのセレナーデ」は、「順子じゅんこ」とは違ちがい女性じょせいから男性だんせいへの失恋しつれんの楽曲がっきょく。1999年ねんにセルフカバー版はんがシングルA面めんとしてリリースされている。

プロモーション

当時とうじ大だいヒットしたことにより、テレビの音楽おんがく番組ばんぐみから出演しゅつえん依頼いらいが殺到さっとうしたが、長渕ながぶちはテレビ出演しゅつえんに否定ひてい的てきだったため、出演しゅつえんを断たっていた。しかし、身体しんたい障害しょうがい者しゃのファンから送おくられた「ライブ会場かいじょうに行いくことができない」というファンレターを読よみ、出演しゅつえんを決意けつい。1980年ねん7月がつ31日にちにTBS系けい音楽おんがく番組ばんぐみ『ザ・ベストテン』（1978年ねん - 1989年ねん）にて初はつ出演しゅつえんを果はたした。その際さい、なるべく普段ふだんのライブに近ちかい形かたちで演奏えんそうするため、1分間ふんかんMCを行おこない、アコースティックギター1本ほんで演奏えんそうした。また翌週よくしゅうの8月がつ7日にちには本人ほんにんも出演しゅつえんする「HOT JAM'80」の会場かいじょう(静岡しずおかの日本平にほんだいら）からの中継ちゅうけいで出演しゅつえんし、集あつまっていた他ほかの出演しゅつえん歌手かしゅが演奏えんそうに合あわせて手拍子てびょうしを始はじめたとたん、長渕ながぶちは演奏えんそうを途中とちゅうでやめ「これは失恋しつれんの歌うたなんで、手拍子てびょうしは勘弁かんべん願ねがいたい」とたしなめ、もう一度いちど初はじめから演奏えんそうし直なおすという一幕ひとまくもあった。生放送なまほうそうでオンエアされたこの流ながれは、当時とうじのコンサートでもたびたび会場かいじょうの客きゃくと行おこなわれていた、一種いっしゅのネタでもある。しかし、これらの言動げんどうが周囲しゅういの誤解ごかいを招まねき、また「生意気なまいきだ」と陰口かげぐちを叩たたかれる事こととなった。

批評ひひょう

専門せんもん評論ひょうろん家かによるレビュー
レビュー・スコア
出典しゅってん	評価ひょうか
CDジャーナル	肯定こうてい的てき

音楽おんがく情報じょうほうサイト『CDジャーナル』では、「絶妙ぜつみょうな切きり口くちの恋歌こいうた」、「『俺おれらの家いえまで』では男おとこは浮気うわきくらいするとタカをくくっていたのが、ここでは他たの男おとこと比くらべるなんてずるいと恨うらみ節ぶし。キリキリと胸むねを締しめ付つけられるようなセンチメンタルな旋律せんりつと悲かなしげな歌唱かしょうが耳みみに残のこる」と評ひょうされている。

チャート成績せいせき

オリコンチャートでは8週しゅう連続れんぞくで1位いを獲得かくとく、登場とうじょう回数かいすう25回かいとなり、売うり上あげ枚数まいすうは94.2万まん枚まいとなった。また、文献ぶんけんによってはミリオンセラーを記録きろくしたと記しるしているものも存在そんざいする。

ライブ・パフォーマンス

本ほん作さくでのテレビ出演しゅつえんは、前述ぜんじゅつの『ザ・ベストテン』にて1980年ねん7月がつ31日にち、8月がつ7日にち放送ほうそう分ぶんに出演しゅつえんしたのみである。

当時とうじのライブではテレビ出演しゅつえん時じと同様どうようにギター1本ほんのみで演奏えんそうされた。また、当時とうじ石野いしの真子しんじと交際こうさいしていた長渕ながぶちは、観客かんきゃくの中なかにいた石野いしのを意識いしきし「順子じゅんこ」の部分ぶぶんを「真子しんじ」に置おき換かえて歌うたったことがある。

しかし、後のちにこの曲きょくはライブでは一切いっさい演奏えんそうされなくなっていく。その理由りゆうとして、後のちにベストアルバム『FROM T.N.』（1983年ねん）の中なかで、自分じぶんの曲きょくが自身じしんから切きり離はなされていくという複雑ふくざつな心境しんきょうを語かたっている。 『ザ・ベストテン』に「SUPER STAR」（1986年ねん）で出演しゅつえんした際さいも、「ヒット曲きょくは一生いっしょうその人ひとを苦くるしめる」という植木うえき等ひとしの言葉ことばを借かり、「順子じゅんこ」に関かんして「今いまのステージングからは外はずれている」と語かたっている。また、ベストアルバム『いつかの少年しょうねん』（1994年ねん）においても、「順子じゅんこの長渕ながぶち」というレッテルを貼はられ、克服こくふくするまでには10年ねん掛かかったと当時とうじの苦くるしい心境しんきょうを語かたっている。

そのため、ライブにおいても長ながらく演奏えんそうされていなかったが、ライブツアー「Live'90-'91 JEEP」において久ひさしぶりに披露ひろうされ、1992年ねん5月15日にちの東京とうきょうドーム公演こうえんで再ふたたび披露ひろう。同どう公演こうえんがビデオ化かされて始はじめて映像えいぞう収録しゅうろくされた。その後ご、2004年ねん8月がつ21日にちの桜島さくらじまオールナイトコンサートでは初はじめてスタジオ音源おんげんと同おなじアレンジで演奏えんそうされ、その音源おんげんはライブアルバム『長渕ながぶち剛つよし ALL NIGHT LIVE IN 桜さくら島とう 04.8.21』（2004年ねん）に収録しゅうろくされた。以後いごはライブでの演奏えんそう頻度ひんどが高たかくなっていき、2007年ねんのライブツアー「LADY'S NIGHT 2007 -Acoustic-」、2009年ねんのライブツアー「Tsuyoshi Nagabuchi Acoustic Live 30th Anniversary」、2010年ねんのライブツアー「TSUYOSHI NAGABUCHI ARENA TOUR 2010 - 2011 "TRY AGAIN"」、2014年ねんのライブツアー「TSUYOSHI NAGABUCHI ARENA TOUR 2014 ALL TIME BEST」にて演奏えんそうされている。

カバー

• イアプ・ケーティエン（葉は啓けい田でん） - 台湾たいわん語ごバージョン、「莉娜」のタイトルで1984年ねんにリリース。
• 島谷しまたにひとみ - 『男おとこ歌かII〜20世紀せいきノスタルジア〜』（2010年ねん）
• 平井ひらい堅けん - 『Ken's Bar III』（2014年ねん）

シングル収録しゅうろく曲きょく

全ぜん作詞さくし・作曲さっきょく: 長渕ながぶち剛つよし、全ぜん編曲へんきょく: 瀬尾せお一三かずみ。
#	タイトル	作詞さくし	作曲さっきょく・編曲へんきょく	時間じかん
1.	「順子じゅんこREQUEST SIDE」(JUNKO)	長渕ながぶち剛つよし	長渕ながぶち剛つよし	3:03
2.	「涙なみだのセレナーデNEW RELEASE SIDE」(NAMIDA NO SERENADE)	長渕ながぶち剛つよし	長渕ながぶち剛つよし	4:00
合計ごうけい時間じかん:		7:03

収録しゅうろく作品さくひん

スタジオ音源おんげん

• 『逆流ぎゃくりゅう』（1979年ねん）
• 『夏なつの恋人こいびと』（1981年ねん）
• 『FROM T.N.』（1983年ねん）
• 『いつかの少年しょうねん』（1994年ねん）
• 『SINGLES Vol.1 (1978〜1982)』（1997年ねん）
• 『BEST〜空そら〜』（2002年ねん）
• 『Tsuyoshi Nagabuchi All Time Best 2014 傷きずつき打うちのめされても、長渕ながぶち剛つよし。』（2014年ねん）

ライブ音源おんげん

• 『長渕ながぶち剛つよしLIVE』（1981年ねん）
• 『いつかの少年しょうねん』（1994年ねん） - 1992年ねん5月15日にちの東京とうきょうドーム公演こうえん「LIVE'92 JAPAN」から収録しゅうろくされている。声質せいしつが変化へんかしてから初はつの演奏えんそうとなった。
• 『長渕ながぶち剛つよし ALL NIGHT LIVE IN 桜さくら島とう 04.8.21』 - 2004年ねん8月がつ21日にちの桜島さくらじま特設とくせつ会場かいじょう公演こうえんから収録しゅうろくされている。長渕ながぶち自身じしんはアコースティック・ギターは使用しようせず、スタジオ録音ろくおんバージョンと同おなじアレンジで演奏えんそうされた。

ライブ映像えいぞう

• 『LIVE'92 "JAPAN" IN TOKYO DOME』（1992年ねん）
• 『SAKURAJIMA』（2004年ねん）
• 『30th Anniversary BOX from TSUYOSHI NAGABUCHI PREMIUM』（2010年ねん）

参考さんこう文献ぶんけん

• 長渕ながぶち剛つよし『俺おれらの旅たびはハイウェイ』（第だい14刷さつ）八はち曜社、1990年ねん2月がつ15日にち（原著げんちょ1981年ねん6月がつ）、247 - 250頁ぺーじ。ISBN 9784827000573。 
• 矢吹やぶき光ひかり『長渕ながぶち剛つよし VS 桑田くわた佳祐けいすけ』三さん一いち書房しょぼう、1995年ねん3月がつ31日にち、100 - 102頁ぺーじ。ISBN 9784380952227。 
• 富澤とみざわ一誠いっせい『フォーク名曲めいきょく事典じてん300曲きょく〜「バラが咲さいた」から「悪女あくじょ」まで誕生たんじょう秘話ひわ〜』ヤマハミュージックメディア、2007年ねん12月7日にち、572 - 573頁ぺーじ。ISBN 9784636825480。 
• 『別冊べっさつカドカワ 総力そうりょく特集とくしゅう 長渕ながぶち剛つよし』第だい363号ごう、角川かどかわマーケティング、2010年ねん12月17日にち、30 - 31頁ぺーじ、ISBN 9784048950572。 
• 『文藝ぶんげい別冊べっさつ 長渕ながぶち剛つよし 民衆みんしゅうの怒いかりと祈いのりの歌うた』、河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ、2015年ねん11月30日にち、153, 226頁ぺーじ、ISBN 9784309978765。 

外部がいぶリンク

• 公式こうしきサイトディスコグラフィー「順子じゅんこ」 - ウェイバックマシン（2013年ねん12月2日にちアーカイブ分ぶん）
• 公式こうしきサイトディスコグラフィー「順子じゅんこ」
• 長渕ながぶち剛つよし* = Tsuyoshi Nagabuchi - 順子じゅんこ / 涙なみだのセレナーデ - Discogs