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くろ電話でんわ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
600かたち電話機でんわき卓上たくじょうがた)(京都きょうと大原おおはら小学校しょうがっこう百井ももい分校ぶんこう
600かたち電話機でんわき壁掛かべかがた

くろ電話でんわ(くろでんわ)は、くろ筐体きょうたい送話そうわ一体いったい受話器じゅわき特徴とくちょうとする電話機でんわき総称そうしょうである。日本にっぽんでは一般いっぱんてきに、1933ねん昭和しょうわ8ねん以降いこう逓信ていしんしょう1952ねん昭和しょうわ27ねん以降いこう日本電信電話にほんでんしんでんわ公社こうしゃ以下いか一部いちぶのぞき「電電でんでん公社こうしゃ」とりゃく)によって制式せいしきされて一般いっぱん加入かにゅう電話でんわ契約けいやくしゃ提供ていきょうされた、3ごう4ごう600かたちおよび601かたちかく電話機でんわきを「くろ電話でんわ」と総称そうしょうする。ダイヤルパルス方式ほうしき電話機でんわき回転かいてんダイヤルしき電話機でんわき通称つうしょうとしてもちいることもある。


歴代れきだいくろ電話でんわ[編集へんしゅう]

3ごう電話機でんわき[編集へんしゅう]

逓信ていしんしょうが3ごう電話機でんわき開発かいはつするにあたって手本てほんにし模倣もほうした、ヘンリー・ドレフュス設計せっけい電話機でんわき (Model 302 telephone)

3ごう電話機でんわきは、1933ねん昭和しょうわ8ねん)に逓信ていしんしょうによって日本にっぽん国内こくない制式せいしき提供ていきょう開始かいしされた。

もとはアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく電話でんわ会社かいしゃであるAT&Tけに、工業こうぎょうデザイナーのヘンリー・ドレフュスHenry Dreyfuss、ヘンリー・ドレイファスとも) が設計せっけいしたくろ電話機でんわきのデザインを模倣もほうしたもので、ほぼおな外観がいかん製造せいぞうされた。以降いこう、4ごう、600かたちつづ日本にっぽんの「くろ電話でんわ」の嚆矢こうしとなった。

筐体きょうたい合成ごうせい樹脂じゅし一種いっしゅであるくろベークライトとなり、送話そうわ受話器じゅわき一体いったいとなったにぎ手形てがた送受そうじゅはなし採用さいようされた。まるみをびたはこじょう本体ほんたい自動じどうしき機能きのうおさめられ、ダイヤル曲線きょくせんもちいて突出とっしゅつさせている。フック部分ぶぶん曲線きょくせん多用たようしてぼそくまとめられており、2ごうのヨーロピアン・デザインの面影おもかげのこる。

内部ないぶ自己じこ送話そうわからはいった音声おんせい受話器じゅわきながむ「がわおん」を防止ぼうしするがわおん抑制よくせい回路かいろ採用さいようされた。送話そうわには防塵ぼうじん防湿ぼうしつけられた。これにより、線路せんろじょう仕様しようはそのままでも、実際じっさい伝送でんそう性能せいのうは2ごうより格段かくだん向上こうじょうした。

回転かいてんばん中央ちゅうおうかみには、たてきで

受話器じゅわき
はずして

ら𢌞てんばんみぎ
ゆびまで
𢌞
しておほう
なさい

という文字もじかれている。𢌞てん後年こうねん回転かいてんあらためられた。

ともでんしきは、自動じどうしきからダイヤルをのぞき、オフフックよう回路かいろそなえただけで、ほぼどういち設計せっけいである。のちの電電でんでん公社こうしゃもう完全かんぜん自動じどうのちも、着信ちゃくしん専用せんよう電話機でんわきとして、おも構内こうない電話でんわ使用しようされていた。

壁掛かべかがたは、通話つうわしゃ本体ほんたいにへばりついて会話かいわする必要ひつようがなくなったが、たい衝撃しょうげきせいおとるベークライトの筐体きょうたいのため、落下らっかして破損はそんする機体きたい続出ぞくしゅつした。

3ごうM磁石じしゃくしき電話機でんわき
3ごう電話機でんわき採用さいようは、なおきょく給電きゅうでんのない加入かにゅう電話でんわ回線かいせんもあり、これの質的しつてき改善かいぜん目的もくてきとして、3ごうM磁石じしゃくしき電話機でんわき採用さいよう提供ていきょうされた。自動じどうしきともでんしきおな送受そうじゅはなしであり、基本きほんてき回路かいろ設計せっけい共通きょうつうである。
送受そうじゅはなしけの方向ほうこうにより卓上たくじょう壁掛かべかけどちらでも使用しようできる。よう手回てまわ発電はつでんと、線路せんろよう電池でんちとをそなえているため、本来ほんらいのダイヤル部分ぶぶんかくばった台形だいけいはこのような、600かたちちかいデザインとなっている。
代用だいよう3ごう電話機でんわき国産こくさん
太平洋戦争たいへいようせんそう末期まっきべいぐんによる日本にっぽん本土ほんど空襲くうしゅう結果けっか都市とし大量たいりょう電話機でんわき喪失そうしつした。その復旧ふっきゅうさいして、物資ぶっし欠乏けつぼう状態じょうたいでもあり、制式せいしきの3ごう電話機でんわきのみでは、製造せいぞう供給きょうきゅういつかなくなった。そこで、きゅう逓信ていしんしょう(このときは戦時せんじ統合とうごう体制たいせいにより一時いちじてき消滅しょうめつもう以外いがい地域ちいき電話でんわ構内こうない電話でんわようとして、電機でんきメーカー製造せいぞうし、在庫ざいこさせていた電話機でんわきから、3ごう相当そうとう性能せいのうがあるものを代用だいよう3ごう電話機でんわきとして加入かにゅうしゃ提供ていきょうした。
そのなかには、沖電気工業おきでんきこうぎょうイ-666かたち自動じどうしき壁掛かべか電話機でんわきや、富士ふじ通信つうしん製造せいぞう富士ふじがた自動じどうしき壁掛かべか電話機でんわきなど、制式せいしきの3ごうよりも洗練せんれんされたデザインのものもあった。そのおおくは、戦後せんごつづ使用しようされ、電話でんわもう復旧ふっきゅうのためさらに提供ていきょうすうえた。
木製もくせい3ごう電話機でんわき
代用だいよう3ごう電話機でんわきおなじく、太平洋戦争たいへいようせんそう末期まっきの、差別さべつ爆撃ばくげきによる電話機でんわき大量たいりょう焼失しょうしつ物資ぶっし欠乏けつぼう状態じょうたい、さらに兵役へいえきによる工業こうぎょう技術ぎじゅつりょく低下ていかから、筐体きょうたい国内こくない自給じきゅうでき、かつ工作こうさく容易ようい木製もくせいとした3ごう電話機でんわき登場とうじょうした。木製もくせい筐体きょうたいくろ塗装とそうされた。このころになると、あらたに製造せいぞうされた戦時せんじ設計せっけい電話機でんわき工業こうぎょう製品せいひん同様どうよう粗製そせい濫造らんぞうで、通話つうわ困難こんなんなだけではなく、絶縁ぜつえん不良ふりょうから発火はっかひとし危険きけんともなったものもおお存在そんざいしていたとおもわれる。しかし、この木製もくせい3ごう電話機でんわきも、戦後せんご電話機でんわき不足ふそくから、修理しゅうり補修ほしゅうによって使つかわれつづけたものがおおい。ただし、戦争せんそう末期まっきのごく短期間たんきかん製造せいぞうであるため、絶対ぜったいすうすくない。
現存げんそんは、埼玉さいたまけん個人こじんたくにて修理しゅうりされ稼働かどうする状態じょうたい保存ほぞんされているものや博物館はくぶつかん所蔵しょぞうなど、すうだい確認かくにんされているが、やはりかずすくないとされている。
代用だいよう3ごう電話機でんわき輸入ゆにゅう
太平洋戦争たいへいようせんそう終結しゅうけつは、同時どうじ冷戦れいせんはじまりでもあり、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくはのちの「トルーマンドクトリン」の雛形ひながたとして、日本にっぽん復興ふっこうつよ後押あとおしした。その1つが、電話でんわもう復旧ふっきゅうさらなる増強ぞうきょうである。しかし、日本にっぽん制式せいしき電話機でんわきである3ごう電話機でんわきだけでは、とく都市とし需要じゅようたせないことはあきらかだった。そのため、連合れんごうこく電話でんわもう使用しようされている電話機でんわきなかから、3ごう相当そうとう性能せいのうがあるとするものに、改造かいぞうで2ごうダイヤルをけ、代用だいよう3ごう電話でんわとして提供ていきょうした。
そのの3ごう電話機でんわき
3ごう電話機でんわき戦前せんぜん採用さいようだが戦後せんご復興ふっこう大量たいりょう生産せいさんにより、4ごう登場とうじょういちじるしい加入かにゅう回線かいせんすう増加ぞうかにより、既存きそん電話機でんわき更新こうしんとどこおったため、戦後せんごながらく日本にっぽん電話でんわ標準ひょうじゅんてきスタイルとなりつづけた。機能きのうてきにも、(自動じどうしきであれば)現在げんざい交換こうかんもう接続せつぞくしてもほぼ問題もんだいなく使用しようできるため、いま現役げんえき使用しようされている個体こたいすうすくなくないとされている。

4ごう電話機でんわき[編集へんしゅう]

4ごう電話機でんわき

4ごう電話機でんわきは、1950ねん昭和しょうわ25ねん)に電気でんき通信つうしんしょうによって制式せいしきされ、1952ねん昭和しょうわ27ねん)に提供ていきょう開始かいしされた。1949ねん昭和しょうわ24ねん)の逓信ていしんしょう分化ぶんかによってまれた電気でんき通信つうしんしょうにとって、最初さいしょ最後さいご制式せいしき電話機でんわきとなった。

岩崎通信機いわさきつうしんき沖電気おきでんき東芝とうしば日本電気にほんでんき日立製作所ひたちせいさくしょ富士ふじ通信つうしん製造せいぞうげん : 富士通ふじつう(50おとじゅん)の6しゃやく400まんだい製造せいぞうした。筐体きょうたい送受そうじゅはなし回転かいてんばん文字もじばん内部ないぶ電磁石でんじしゃくなど、主要しゅよう部品ぶひんには製造せいぞうした会社かいしゃのマークがえがかれている。

送話そうわ受話器じゅわき振動しんどうばんジュラルミンせいとして軽量けいりょうし、音声おんせい周波数しゅうはすうたいでの感度かんど均一きんいつせい改良かいりょうしている。この伝送でんそう特性とくせいさから「ハイファイ電話機でんわき」とばれた。2400つい直径ちょっけい0.4ミリメートル芯線しんせんかみ絶縁ぜつえんツイストペアケーブル短距離たんきょりならば使用しようでき、回線かいせん増強ぞうきょうをより容易よういにした。これが結果けっかてきに、全国ぜんこく自動じどうダイヤルすすめた。

回転かいてんばん中央ちゅうおうかみには、当初とうしょ


送受そうじゅ
はずしてから
回転かいてんばんゆびとめ
までまわしてかなら
ゆびをおほう

ください

のちに黄色おうしょく


受話器じゅわきみみにあてて、
ツーというおと発信はっしんおん)を
たしかめてからダイヤルを
まわしてください。

という文字もじかれている。かみ周辺しゅうへんには黒地くろじしろきで0 - 9の数字すうじはいっているようにえるが、実際じっさいには数字すうじかみおおっている透明とうめいのカバーにえがかれている。

木製もくせい以外いがいでははじめてくろ以外いがい塗装とそう採用さいようされ、 若草わかくさ うすねず 象牙ぞうげ えんじ ふじ あおたけ もも、そして くろの8しょくがラインアップされた。

4ごうA卓上たくじょう電話機でんわき
4ごうA卓上たくじょう電話機でんわきは、世界せかい水準すいじゅんよりモダン電話機でんわきといわれていた。しかし、2ごう・3ごうまでのヨーロピアン・デザインから一転いってんしたまるみをびた筐体きょうたいのため「ダルマ」と揶揄やゆされもした。筐体きょうたい送受そうじゅはなしはベークライトでつくられている。
3ごう同様どうよう、4ごうCともでんしきは4ごう自動じどうしきからダイヤルをはいし、オフフック回路かいろけた形態けいたいとなっている。3ごう同様どうよう完全かんぜん自動じどう着信ちゃくしん専用せんよう電話でんわ被災ひさいとうでの臨時りんじ設置せっち電話でんわよう端末たんまつとして、使用しようされていた。
ボースホーン電話機でんわき
ボースホーン電話機でんわき (both phone) は、4ごうA自動じどうしき卓上たくじょう電話機でんわきを2だい背中合せなかあわせに連結れんけつし、送受そうじゅはなしをひとつにまとめた派生はせいがたである。ダイヤルは2り、前後ぜんごどちらのダイヤルからでも操作そうさできた。
つくえかいわせにき、そのあいだほん電話機でんわき設置せっちすれば、1だい電話機でんわき回線かいせんをそれぞれのつくえすわ人間にんげん排他はいたてき共用きょうようできる、というアイデア商品しょうひんだったが、人気にんきがらず、不発ふはつわった。
4ごう壁掛かべかけ電話機でんわき
4ごうAW自動じどうしきおよび4ごうCWともでんしき壁掛かべかけ電話機でんわきは、日本電信電話にほんでんしんでんわ公社こうしゃによって1950ねん昭和しょうわ25ねん)に制式せいしきされた。旧型きゅうがた壁掛かべかけ電話機でんわきえのために企画きかくされ、小型こがた軽量けいりょう資源しげん節約せつやく留意りゅういした設計せっけいとなっていた。
酪酸醋酸さくさんセルロースもちいた中空なかぞらインジェクション・モールドにより強靭きょうじん軽量けいりょうとなった。日本にっぽん家屋かおくせま廊下ろうか通行つうこうしゃによる送受そうじゅはなし落下らっかすくない、上部じょうぶ送受そうじゅはなし水平すいへい形状けいじょうとなった。通話つうわちゅう送受そうじゅはなし一時いちじてきけておくこともできる。筐体きょうたいけてそこばんもくねじでかべけて筐体きょうたい蝶番ちょうつがいじる構造こうぞうとなっていたため、工事こうじじょう不良ふりょう原因げんいんとなることもあった。
日本人にっぽんじんみみくちびる関係かんけい位置いち実測じっそくにより設計せっけいされた4ごうよりもみじかくなった5ごう送受そうじゅはなしアルニコけい永久えいきゅう磁石じしゃくもちいたB-106ごう磁石じしゃく電鈴でんれい絶縁ぜつえん金属きんぞく真空しんくう蒸着じょうちゃくしたものを2まいいたコンデンサC-5ごうA蓄電器ちくでんき、L-5ごう誘導ゆうどうせん、ブランジャー圧力あつりょくをスパイラルスプリングでける構造こうぞうのプラスチック防塵ぼうじんカバーの双極そうきょく接点せってんの4ごうWフックスイッチ、温度おんど変化へんか日時にちじ経過けいかによるインパルス速度そくど変化へんかすくない4ごうFダイヤルなどが新規しんき開発かいはつされた。
4ごうM磁石じしゃくしき電話機でんわき
4ごう採用さいようされた時期じきでも、まだきょく給電きゅうでんのない交換こうかん多数たすう残存ざんそんしており、そうした地域ちいきでも回線かいせんすうそのものは増加ぞうかしていたこともあり、あらたに磁石じしゃくしき電話機でんわき製造せいぞうする必要ひつようがあった。
4ごうM磁石じしゃくしき電話機でんわきは、自動じどうしきともでんしきとはまったことなるながれ線形せんけい筐体きょうたいで、送受そうじゅはなしまで一体いったいかんのあるデザインとなっている。
41ごうM磁石じしゃくしき電話機でんわき
41ごうM磁石じしゃくしき電話機でんわきは、日本電信電話にほんでんしんでんわ公社こうしゃによって1958ねん制式せいしきされた。軽量けいりょう小型こがたされたまるみをびた送受そうじゅはなしはばはこがたであり、送受そうじゅはなしけの方向ほうこうにより卓上たくじょう壁掛かべかけどちらでも使用しようできる。
あか電話でんわ元祖がんそ
それまで公衆こうしゅう電話でんわすべ逓信ていしんしょう - 電気でんき通信つうしんしょう直接ちょくせつ設置せっちしていたが、1951ねん昭和しょうわ26ねん)、一般いっぱん電話でんわ加入かにゅうけん公衆こうしゅう電話でんわサービスを提供ていきょうできる、「委託いたく公衆こうしゅう電話でんわ制度せいど開始かいしされた。当初とうしょ一般いっぱんおな電話機でんわき使用しようされていたが、1953ねん昭和しょうわ28ねん)から、専用せんようあか塗装とそうされた4ごう委託いたく公衆こうしゅう電話機でんわき登場とうじょうし、そのの「あか電話でんわ」の元祖がんそとなった。このときは料金りょうきんは「後納こうのうしき」で、提供ていきょうしゃことわって電話でんわ使用しようし、使用しよう料金りょうきんはらうという方式ほうしきであった。

加入かにゅうしゃすう増加ぞうかともな応急おうきゅうさく[編集へんしゅう]

戦後せんごの3ごう電話機でんわき大量たいりょう導入どうにゅうつづく4ごう電話機でんわき登場とうじょうにより、日本にっぽん一般いっぱん電話でんわもう完全かんぜん自動じどう交換こうかんおおきくうごはじめた。日本にっぽん戦後せんご復興ふっこうから高度こうど経済けいざい成長せいちょうへと移行いこうし、電話機でんわきは「1世帯せたい1回線かいせん」の時代じだい突入とつにゅう、もはや地方ちほうであっても手動しゅどう交換こうかん限界げんかいしょうじはじめていた。しかし、そのためにいくつかの問題もんだい発生はっせいした。

23ごう自動じどうしき壁掛かべか電話機でんわき
問題もんだいのひとつは2ごう自動じどうしき壁掛かべか電話機でんわき存在そんざいだった。4ごう電話機でんわき性能せいのう前提ぜんてい回線かいせんすう増強ぞうきょう工事こうじおこなうと、伝送でんそう特性とくせいわるい2ごう電話機でんわき通話つうわ支障ししょうをきたしてしまった。その2ごう壁掛かべかしき電話機でんわき首都しゅとけん中心ちゅうしん当時とうじやく20まんだい使用しようされていたが、4ごう電話機でんわき新規しんき加入かにゅうしゃへの提供ていきょうでいっぱいで、2ごう電話機でんわき更新こうしんようには確保かくほできなかった。
しかし線路せんろ交換こうかん内部ないぶ絶縁ぜつえん特性とくせい改善かいぜんにより、3ごう電話機でんわきであればこうした回線かいせん増強ぞうきょうえられた。そこで苦肉くにくさくとして、2ごう自動じどう壁掛かべかしき電話機でんわきのベル装置そうち受話器じゅわき筐体きょうたい流用りゅうようし3ごう電話機でんわき余剰よじょう部品ぶひんもちいてダイヤル、送話そうわ交換こうかんおよびがわおん抑制よくせい回路かいろ追加ついかおこな改造かいぞうほどこし、3ごうみの伝送でんそう性能せいのうたせてしのぐこととなった。
改造かいぞうされた電話機でんわき23ごう自動じどう壁掛かべかしき電話機でんわきばれる。送話そうわが3ごう電話機でんわき防塵ぼうじん防湿ぼうしつつきのものになっているため、改造かいぞうの2ごう電話機でんわきとは外観がいかんからでも容易ようい判別はんべつできる。
となりのトトロ』に登場とうじょうする“本家ほんけ電話でんわ”がほんである。
34ごうM磁石じしゃくしき電話機でんわき
一方いっぽう地方ちほうのこっていたきょく給電きゅうでんしの交換こうかん設備せつびも、一足飛いっそくとびに自動じどう交換こうかんすすめられることになった。しかし、その過程かていでは、回線かいせん設備せつび工事こうじしつつ、従来じゅうらい回線かいせん即時そくじ導入どうにゅうされる回線かいせんさばかなければならない。地方ちほうでは都市としほど回線かいせん密集みっしゅうしていないため、交換こうかん設備せつびからはしまつまでの線路せんろちょうながくなりがちで、そのためにも磁石じしゃくしき電話機でんわき更新こうしん必要ひつようとなった。
しかし、すべての電話機でんわき回線かいせん事業じぎょうぬし電気でんき通信つうしんしょう - 電電でんでん公社こうしゃ)の資産しさんであったことから、4ごうM磁石じしゃくしき電話機でんわき製造せいぞうして短期たんき用途ようと廃止はいしとなるのは不経済ふけいざいである。そこで、3ごうM磁石じしゃくしき電話機でんわき送受そうじゅはなしとうを4ごうのものと交換こうかんし、4ごう相当そうとう性能せいのうとした。これを34ごうM磁石じしゃくしき電話機でんわきぶ。
ともでんしき改造かいぞう自動じどうしき電話機でんわき
さらに、ともでんしき交換こうかん設備せつび回線かいせん自動じどうする場合ばあい先述せんじゅつとおり、3ごうどもでんしき・4ごうどもでんしき各々おのおの自動じどうしき電話機でんわき設計せっけい共有きょうゆうしており、簡単かんたん改造かいぞう自動じどうしき電話機でんわきとすることが可能かのうだった。こうしてともでんしきから自動じどうしき改造かいぞうされた3ごう電話機でんわき・4ごう電話機でんわき存在そんざいする。
ともでんしきから自動じどうしき改造かいぞうするためのダイヤルユニットで「5ごうダイヤル」が存在そんざいする。4ごう電話機でんわき本来ほんらいのダイヤル機構きこうとはまったことなっている。文字もじばん数字すうじ「1」のした通常つうじょう回転かいてんばんかくれている部分ぶぶん)に製造せいぞう会社かいしゃのマークがなく、数字すうじ「1」と「8」の内側うちがわ文字もじばんさえがないので電話機でんわきけられた状態じょうたいでも4ごうダイヤルとは外観がいかん区別くべつできる。

全国ぜんこくダイヤル自動じどう即時そくじ[編集へんしゅう]

クロスバー交換こうかん

全国ぜんこくダイヤル自動じどう即時そくじ加入かにゅうしゃせん大量たいりょう増強ぞうきょうもとめられていた。そのため、電話機でんわきからのダイヤルパルスで直接ちょくせつ駆動くどうするステップ・バイ・ステップ交換こうかんくわえ、電話でんわ番号ばんごう一旦いったん記憶きおく交換こうかん操作そうさおこなクロスバー交換こうかん電電でんでん公社こうしゃ内部ないぶでの表記ひょうきは「クロスバしき」。長音符ちょうおんぷがない)を設置せっちした。

これは20パルス/びょうパルスダイヤル対応たいおうし、ダイヤルの高速こうそく可能かのうになった。従来じゅうらいの10パルス/びょうのダイヤルのモデルをXXX-A1かたち、20パルス/びょうダイヤルのモデルをXXX-A2とした。ただし、クロスバー交換こうかんに10パルス/びょう電話機でんわき接続せつぞくしても、20パルス/びょう電話機でんわきよりダイヤルのもどりがおそいだけで支障ししょうはない。

1967ねん昭和しょうわ42ねん)より、XXX-Pかたちしボタンダイヤルしき電話機でんわきプッシュトーン信号しんごう対応たいおうした機能きのう付加ふかされた。1970ねん昭和しょうわ45ねん)から1982ねん昭和しょうわ57ねん)まで、計算けいさんができるサービス「DIALS」が電電でんでん公社こうしゃから提供ていきょうされていた。このサービスのために、電話機でんわきしボタンのまわりにけておく各種かくしゅ計算けいさん記号きごうかれた透明とうめいのシートがあり、電話機でんわき付属ふぞくしていた。

さらに、クロスバー交換こうかん時代じだいはステップ・バイ・ステップ方式ほうしきくらべはるかにみじかわり、半導体はんどうたいによる接点せってん電子でんし交換こうかん時代じだい突入とつにゅうした。

600かたち電話機でんわき[編集へんしゅう]

様々さまざまいろの600かたち電話でんわ

600かたち電話機でんわきは、1963ねん昭和しょうわ38ねん)、日本電信電話にほんでんしんでんわ公社こうしゃによって制式せいしきされ、提供ていきょう開始かいしされた。

アナログ回線かいせんによるたん機能きのう電話機でんわきとしては、これ以上いじょう根本こんぽんてき性能せいのう向上こうじょうのぞめない水準すいじゅんで、「完成かんせいされた電話機でんわき」とわれる。製造せいぞうしたのは岩崎通信機いわさきつうしんき沖電気おきでんき神田通信工業かんだつうしんこうぎょう大興電機製作所たいこうでんきせいさくしょ沖電気おきでんき関連かんれん会社かいしゃげん : サクサホールディングス)・東芝とうしば日通工にっつうこうげん : NECプラットフォームズ)・日本電気にほんでんき日立ひたち富士通ふじつう(50おとじゅん)。

筐体きょうたい送受そうじゅはなし材質ざいしつ硬質こうしつ塩化えんかビニールになり、それまでのベークライトせいの3ごう・4ごうよりも衝撃しょうげきたいしてつよくなった。当初とうしょはん光沢こうたく(つやし)仕上しあげだったが、光沢こうたく仕上しあげに移行いこうした。ゆびあな中心ちゅうしんえがかれた「・」や文字もじばん数字すうじこすられてもえないよう、べついろ樹脂じゅしかたち注入ちゅうにゅうした2しょく成形せいけい(象嵌ぞうがん加工かこう)になっている。

いろ当初とうしょくろのみだったが、1971ねん昭和しょうわ46ねん)から「グリーン」「ウオームグレー」「アイボリー」が追加ついかされた。グリーンとウオームグレーは送受そうじゅはなしとダイヤル文字もじばんいろ筐体きょうたいよりもく、ツートーンカラーになっている。特殊とくしゅしょくとして「うすあお」(水色みずいろ)「さんご」(桃色ももいろ)「ベージュ」の3しょくが、さらに委託いたく公衆こうしゅうよう災害さいがい対策たいさくよう特殊とくしゅ用途ようととして「あか」(あか)、デモンストレーションようとして内部ないぶ機構きこうけてえる無色むしょく透明とうめいもある。カラー電話機でんわき登場とうじょうどう時期じきからベルおん調節ちょうせつができるようになった。底面ていめんのスリットから調整ちょうせいダイヤルをうごかしてベルおん強弱きょうじゃく調節ちょうせつする。

4ごう電話機でんわきでは形式けいしきめいやメーカーめいかれたステッカーが底面ていめんられていたが、600がたでは形式けいしきめい製造せいぞう会社かいしゃのマーク・製造せいぞうねん直接ちょくせつ底面ていめん刻印こくいんされるようになった。ベルおん調節ちょうせつできるものには「ベル調ちょう」、カラー電話機でんわきには「(いろ)」と刻印こくいんされている(いろめいのアルファベットの頭文字かしらもじしるされているのもある。グリーンはG、ウオームグレーはW、アイボリーはI、うすあおはB、さんごはC、ベージュはV、あかはR)。

本体ほんたい送受そうじゅはなしをつなぐコードにはストレートとカールの2種類しゅるいがある。1970年代ねんだい前半ぜんはんからカールコードが採用さいようされた(1960年代ねんだい舞台ぶたいにしたテレビドラマ映画えいがにはストレートコードの電話機でんわき登場とうじょうする)。コードのいろ電話機でんわき本体ほんたいおなじだが、本体ほんたい無色むしょく透明とうめいのものについては黒色こくしょく白色はくしょく使つかわれている。

日本にっぽんにおいて、はじめてプリント基板きばん使用しようした量産りょうさんがた電話機でんわきであり、自動じどう生産せいさん調整ちょうせい生産せいさん目指めざした構造こうぞうとなっていた。そうての自動じどうのため、ねじめよりもリベットめが多用たようされた。そのため、現場げんばでの部品ぶひん交換こうかん不便ふべんとなった。

4ごう電話機でんわきの3ばい以上いじょう感度かんどがあり、3600つい直径ちょっけい0.32ミリメートル芯線しんせん通信つうしん線路せんろが3キロメートル程度ていどまで使用しよう可能かのうとなり、さらに加入かにゅうしゃせん経済けいざいてき増強ぞうきょう可能かのうとなった。サージ電圧でんあつによる雑音ざつおん軽減けいげん対策たいさくシリコンダイオード2ぎゃく接続せつぞくしたバリスタ受話器じゅわき並列へいれつ接続せつぞくされている。

電気でんき抵抗ていこうコンデンサによる手動しゅどう3 dBパッドを内蔵ないぞうした600かたち、4直列ちょくれつのシリコンダイオードを2くみぎゃく接続せつぞくしたバリスタが送話そうわ並列へいれつ接続せつぞくされ加入かにゅうしゃ回線かいせん内線ないせんとの回線かいせん抵抗ていこう対応たいおうした企業きぎょう旅館りょかん構内こうない交換こうかん内線ないせんもちい650かたち、150オーム以下いか直流ちょくりゅう抵抗ていこうでありフックスイッチが赤色あかいろ共同きょうどう電話でんわ(1つの電話でんわ回線かいせん複数ふくすう加入かにゅうしゃ利用りようよう610-Aかたち、7 - 10 dBでしべる通信つうしん線路せんろ損失そんしつ対応たいおうしたこう損失そんしつよう600-Lかたちなどのバリエーションがある。

ウェスタン・エレクトリックの500がた

形式けいしきめいがいきなり3けたの「600」にんだのは、当時とうじのアメリカのくろ電話でんわウェスタン・エレクトリックの500がた (Western Electric model 500 telephone) のこうをって「600かたち」としたからであるという。この500がたもやはり前述ぜんじゅつのヘンリー・ドレフュスの設計せっけいによるものである。

600-Aかたち卓上たくじょう電話機でんわき
600-Aかたち卓上たくじょう電話機でんわきは、4ごうをベースによりシャープにした筐体きょうたいデザインで、4ごうのイメージは踏襲とうしゅうしつつも、「ダルマ」とばれるようなことはすくなくなった。
回転かいてんばん合成ごうせい樹脂じゅしせいで、中央ちゅうおうかみには3ごう・4ごう電話機でんわきのような注意ちゅういきはなくなり、電話でんわ番号ばんごうめる罫線けいせんが2ほんかれているだけになった。罫線けいせんはA1が黒色こくしょく製造せいぞう時期じきかさなっている4ごう末期まっきにも注意ちゅういきではなく2ほん罫線けいせん供給きょうきゅうされたものもある)で、A2が赤色あかいろけのさい位置決いちぎめのために上下じょうげ2かしょみがあり、かみ同形どうけい保護ほごよう透明とうめいプラスチックばんかさね、回転かいてんばん突起とっきわせてける。さらにその周囲しゅうい左右さゆう固定こていようつめがあるそとみち45 mmのステンレスせいにくいリングじょう金具かなぐ固定こていしている。
2ごう電話機でんわき以来いらい標準ひょうじゅんとして使用しようされてきた2ごうダイヤルにわかれをげ、あらたに9接点せってんのものが設計せっけいされた。ダイヤル機構きこうは4ごう電話機でんわきとはまったことなっており、4ごう電話機でんわきかんじられた回転かいてんばんからゆびはなすとわずかに空転くうてんしてもどる「カツン」というショックがなく、かるうなおんとともになめらかに回転かいてんする。日本にっぽん電話機でんわきにおけるダイヤル機構きこうひとつの到達とうたつてんえる。1970年代ねんだい前半ぜんはん以後いご生産せいさんされたものは、ダイヤル機構きこうのギアがそれまでの金属きんぞくせいから合成ごうせい樹脂じゅしせい変更へんこうされており、回転かいてんばんもどときおとしずかになっている。
基本きほんてき自動じどうしきのみだが、着信ちゃくしん専用せんよう専用せんよう回線かいせん災害さいがい臨時りんじ設置せっち電話でんわようとして、ダイヤルをはいした(ダイヤル部分ぶぶんにはぶためられている)ともでんしき相当そうとうひん製造せいぞうされている。この場合ばあい裏面りめん刻印こくいんは「600-C」「650-C」などとなっている。
600-AWがた壁掛かべかけ電話機でんわき
600-AWがた壁掛かべかけ電話機でんわきは、本体ほんたい筐体きょうたい・フックスイッチ・本体ほんたいそこばんよう部品ぶひん内部ないぶ端子たんし以外いがい卓上たくじょうがた共通きょうつうである。
上部じょうぶ送受そうじゅはなし水平すいへい形状けいじょうである。付属ふぞくばん単独たんどくかべけたのち電話機でんわきをこのばんけてねじで固定こていする方法ほうほうとなり、配線はいせんそこばん露出ろしゅつした端子たんしばん直接ちょくせつけるようになった。筐体きょうたいひらかないので工事こうじ事故じこ不良ふりょう減少げんしょうした。
600-Aかたち小型こがた電話機でんわき
600-Aかたち小型こがた電話機でんわきは、卓上たくじょうがた共通きょうつう送話そうわ素子そし受話じゅわ素子そし回路かいろ素子そし利用りようした、同等どうとう性能せいのう小型こがた電話機でんわきである。日本電信電話にほんでんしんでんわ公社こうしゃ自営じえいひん指定していしょ適合てきごうするもので、レンタルひんではなくメーカーから利用りようしゃ直接ちょくせつ販売はんばいされた。
卓上たくじょうがた壁掛かべかけWがたがある。送話そうわこう送話そうわこう対称たいしょう位置いちにした送受そうじゅはなし採用さいようし、本体ほんたい部品ぶひんすべそこばんけられている。
600-Pかたち電話機でんわき
600-Pかたち電話機でんわきは、1969ねん昭和しょうわ44ねん)5がつ17にち発売はつばい開始かいしされた、プッシュトーン信号しんごう交換こうかんしに使用しようする日本にっぽんはつしボタンダイヤルしき電話機でんわきである。ダイヤルスイッチとトランジスタ1個いっこからなるコイル・コンデンサ発信はっしん回路かいろによるトーン発振器はっしんきそなえている。翌年よくねん、「プッシュホン」という愛称あいしょう公募こうぼによってけられた。
この当時とうじ海外かいがいのプッシュホンは4×4のボタン配置はいちだったが、日本にっぽんでは導入どうにゅう簡素かんそするため、日本にっぽんではほとんどもちいられないとおもわれるアルファベット専用せんようボタンのたて1れつ (A - D) を省略しょうりゃくした。
600-Pかたち筐体きょうたい送受そうじゅはなし材質ざいしつは600かたちおなじで硬質こうしつ塩化えんかビニールせい内部ないぶ回路かいろにはプリント基板きばん使つかわれているのも同様どうよう。ダイヤルしきの600かたちくらべると600-Pかたちしボタンの周囲しゅういがわずかに凹面じょうにカーブしており、すみばった印象いんしょうあたえる。そこばんなどは600かたちとの互換ごかんせいはない。内部ないぶでのベルの配置はいちことなっている。本体ほんたい送受そうじゅはなしをつなぐコードはカールのみとなっている。600-Pかたちはすべてベルおん調節ちょうせつができるので、あらためて「ベル調ちょう」の表示ひょうじはされていない。600がたではそこばん塗装とそうされていなかったが、600-Pかたちでは筐体きょうたいいろにかかわらず白色はくしょく塗装とそうされている。
筐体きょうたいいろ当初とうしょグレーのみだったが、1972ねん昭和しょうわ47ねん)9がつからグリーン・コーラル・アイボリーのかくいろ追加ついかされた。グレーとグリーンは600かたち同様どうよう送受そうじゅはなしいろ筐体きょうたいよりもく、ツートンカラーになっている。電電でんでん公社こうしゃ一般いっぱん卓上たくじょうがた電話機でんわき黒色こくしょくがないのはこの600-Pかたちだけである。

601かたち電話機でんわき[編集へんしゅう]

601かたち電話機でんわきは600がたから2わりのコストダウン・現場げんば内部ないぶ部品ぶひん自由じゆう交換こうかんできる構造こうぞうとする・パッドえを不要ふようとする、などを目的もくてきとして開発かいはつされた電話機でんわきで、1978ねん昭和しょうわ53ねん)4がつから商用しょうよう試験しけんはじまった。

製造せいぞう会社かいしゃ岩崎通信機いわさきつうしんき神田通信工業かんだつうしんこうぎょう大興電機製作所たいこうでんきせいさくしょげん : サクサホールディングス)・田村電機製作所たむらでんきせいさくしょげん : サクサホールディングス)・東芝とうしばナカヨ通信機なかよつうしんきげん : ナカヨ)・日通工にっつうこうげん : NECプラットフォームズ)・長谷川はせがわ電機でんき製作所せいさくしょげん : 富士通ふじつうアイ・ネットワークシステムズ)・明星電気めいせいでんき(50おとじゅん)。

オイルショックのち開発かいはつされた機種きしゅであり、徹底的てっていてき製造せいぞうコストの削減さくげんがなされている。それまでの600かたちくら重量じゅうりょうやく3ぶんの2、部品ぶひん点数てんすうやく半分はんぶんになっている。ダイヤル一式いっしきやフック機構きこうそこいたがわ固定こていされて筐体きょうたいたんなるカバーとなり、製造せいぞう省力しょうりょくはかられている。

いろくろ・アイボリー・グリーン・グレーの4しょくで600かたち基本きほんてきわらないが、ややあわいパステル調ちょういろになっている。グリーン・グレーは送受そうじゅはなし筐体きょうたい同色どうしょくになった。材質ざいしつも600かたちおな硬質こうしつ塩化えんかビニールだが、あつみはさらにうすくなっている。

直流ちょくりゅう阻止そしコンデンサを付加ふか抵抗ていこう短絡たんらくてい周波数しゅうはすうでのがわおん平衡へいこう改良かいりょうするため、送話そうわ受話器じゅわきともそれぞれ感度かんどを2dBでしべる向上こうじょうさせた。バリスタを多用たようした650かたちちか回路かいろ構成こうせいとなった。設計せっけい容易よういのため共同きょうどう電話でんわにはもちいられなかった。

2002ねん平成へいせい14ねん)で生産せいさんられ、新規しんき販売はんばい終了しゅうりょうした。

601-Aかたち卓上たくじょう電話機でんわき
601-Aかたち卓上たくじょう電話機でんわきは、600かたちくらべてやや小型こがたし、ダイヤル周辺しゅうへん平面へいめんちか印象いんしょうがある。
ダイヤルまわりでは、中心ちゅうしんかみにある数字すうじが4ごう電話機でんわき以来いらい復活ふっかつした(数字すうじかみ直接ちょくせつ印刷いんさつされている)。透明とうめいカバーとかみさえるリングは一体化いったいかして、無色むしょく透明とうめい合成ごうせい樹脂じゅしせいになった。ダイヤルゆびあな中心ちゅうしんの「・」がなくなった。ダイヤルの文字もじばんもなくなり、数字すうじ直接ちょくせつ筐体きょうたい印刷いんさつされている。
メインギアはもちろんベースプレートやガバナユニットなどほとんどがジュラコンで製作せいさくされた。ステンレスの焼鈍しょうどんひんがクラッチスプリングに使用しようされた。いたバネるいがすべてステンレスとなった。接点せってんどううえぎんパラジウム(50:50)をわせたものとした。
筐体きょうたいのコードの部分ぶぶんたる部分ぶぶんきがなくなり、コードは筐体きょうたいそこばんとの隙間すきまとおっている。
内部ないぶ変更へんこうてんでは、ベルが代々だいだいつづいてきたまるいおわんがたから家庭かていようチャイムひとし使用しようされる平面へいめん金属きんぞくばんになったのが特徴とくちょうてきである。これを鳴動めいどう装置そうち一体化いったいかした樹脂じゅしせいぼうつので、それまでの600かたちとはあきらかに音色ねいろちがってこえる。
601-AWがた壁掛かべかけ電話機でんわき
601-AWがた壁掛かべかけ電話機でんわきは、送受そうじゅはなし本体ほんたい垂直すいちょくける薄型うすがた形態けいたいとなった。本体ほんたいしょくしろのみであるが、装飾そうしょくパネルのいろえることができる。装置そうちあつでんスピーカによる電子でんしおんで、音色ねいろを3種類しゅるい音量おんりょうを3段階だんかい変更へんこうできる。
回路かいろのプリント基板きばんにより筐体きょうたい設計せっけい自由じゆうがったためであり、これが現在げんざい電話機でんわきのデザインへの布石ふせきとなり、すなわち3ごう電話機でんわき以来いらい40ねん以上いじょうつづいた「くろ電話でんわ」の時代じだいわりがえたのである。
601-Aかたち小型こがた電話機でんわき
601-Aかたち小型こがた電話機でんわきは、日本電信電話にほんでんしんでんわ公社こうしゃ自営じえいひん指定していしょ適合てきごうする600-Aかたち小型こがた電話機でんわき後継こうけいである。メーカーから直接ちょくせつ利用りようしゃ販売はんばいされた。
卓上たくじょうがた壁掛かべかけWがたがある。
601-Pかたち電話機でんわき
601-Pかたち電話機でんわきは、1980ねん昭和しょうわ55ねん)10がつに600-Pかたち後継こうけいとして導入どうにゅうされた。しボタンにシリコンゴムシートによるスイッチを導入どうにゅうすることで600-Pかたち弱点じゃくてんであった接点せってん劣化れっか解消かいしょうされている。トーンを発生はっせいする回路かいろが1チップICとなった。
当初とうしょからカラフルなラインナップが用意よういされた。くろしろ・グレー・アイボリー・みどりみどりあお水色みずいろ・ワインレッド・コーラルの10しょくだが、1985ねん昭和しょうわ60ねん)にひらかれたつくば万博ばんぱく記念きねん金色きんいろもある(つくばはくのマークり)。
601-PWがた壁掛かべかけ電話機でんわき
601-PWがた壁掛かべかけ電話機でんわきは、601-AWがたをトーン信号しんごう対応たいおうとしたものである。
シルバーホンめいりょう
シルバーホンめいりょうは、通常つうじょう最大さいだいやく18ばい音圧おんあつ受話じゅわすることのできる福祉ふくし電話機でんわきである[1]
601かたち電話機でんわき送受そうじゅはなしであり、レンタルおよび販売はんばいされている。
601-Mかたち磁石じしゃくしき電話機でんわき
601-Mかたち磁石じしゃくしき電話機でんわきは、きょく給電きゅうでんのない電話でんわ加入かにゅう区域くいきうち相互そうご音声おんせい伝送でんそう専用せんようせんのために提供ていきょうされた。
従来じゅうらい、600かたち、601かたちには磁石じしゃくしき存在そんざいしないとされ、学研がっけん図鑑ずかん放送ほうそう通信つうしん[2]でも4ごう磁石じしゃくしき電話機でんわきちがえられていた。現在げんざいでもWebじょうで、ほんを4ごう系統けいとう電話機でんわきとしているサイトが散見さんけんされるが、あやまりである。
NTT東日本ひがしにっぽんでは2009ねん平成へいせい21ねん)10がつ1にちに、NTT西日本にしにほんでは2018ねん平成へいせい30ねん)4がつ1にちに、レンタルによる提供ていきょう廃止はいしされ、実費じっぴによる修理しゅうりとなった[3]
代替だいたい機器ききとして加入かにゅうしゃ宅内たくない設置せっちともでんしき相当そうとう給電きゅうでん装置そうちの「とるだけくん」が案内あんないされている。

600かたち以降いこう標準ひょうじゅん電話機でんわき形式けいしき[編集へんしゅう]

日本電信電話にほんでんしんでんわ公社こうしゃ日本電信電話にほんでんしんでんわ株式会社かぶしきがいしゃ標準ひょうじゅん電話機でんわき形式けいしき
いちけた
形式けいしき
けた
用途ようと
さんけた
実用じつようじゅん
方式ほうしき 形態けいたい いろ
6 600かたち 0 単独たんどく 0 A1 10
パルス
/s
  卓上たくじょう 標準ひょうじゅんしょく
(I) ぞうげ
W 壁掛かべかけ (B) うすあお
7 700かたち
ミニ
プッシュ
ホン
1・2 共同きょうどう A2 20
パルス
/s
(G) うすみどり
U 卓上たくじょう
壁掛かべかけ
共用きょうよう
(C) さんご
3・4 特殊とくしゅ

サービス

(W) ウォームグレー
1 P
ボタン
(V) ベージュ
8 800かたち
ハウディ
5 構内こうない
交換こうかん
内線ないせん
L こうそん
しつよう
(R) あか
6 特殊とくしゅ加入かにゅうしゃ C ともでんしき (M) しろ
7 公衆こうしゅう -RA シルバー
ホン
めいりょう
(DB) あお
9 900かたち 8 予備よび M 磁石じしゃくしき (DG) みどり
9 きょくよう (DR) ワインレッド

現状げんじょう[編集へんしゅう]

一般いっぱん電話でんわもう民営みんえい端末たんまつ設備せつび自由じゆう[編集へんしゅう]

1985ねん昭和しょうわ60ねん)、日本電信電話にほんでんしんでんわ公社こうしゃ日本電信電話にほんでんしんでんわ株式会社かぶしきがいしゃ (NTT) へと民営みんえいされた。第二電電だいにでんでん株式会社かぶしきがいしゃ(DDI、げん : KDDI)をはじめとする「しん電電でんでん」の参入さんにゅう可能かのうとなった。

これにより、電気でんき通信つうしん端末たんまつ機器きき審査しんさ協会きょうかい技術ぎじゅつ基準きじゅん適合てきごう認定にんていけたものかこれと同等どうとうとみなされた電話でんわ端末たんまつ機器ききであれば自由じゆう公衆こうしゅう交換こうかん電話でんわもうモジュラージャック接続せつぞくできることとなった。電話機でんわき電気でんき通信つうしん事業じぎょうしゃからレンタルすることから家電かでんてんなどで購入こうにゅうする商品しょうひん変化へんかした。

21世紀せいきはいり、電話機でんわきコードレスホンすすみ、留守番るすばん電話でんわファクシミリ一体いったいとなった機能きのう電話でんわ主流しゅりゅうとなった。さらに、電話機でんわき主役しゅやくそのものがこれら固定こてい電話でんわから携帯けいたい電話でんわなど移動いどうたい通信つうしん移行いこうした。1970年代ねんだいまで日本にっぽん家庭かてい席巻せっけんした「くろ電話でんわ」は端末たんまつ設備せつび自由じゆう急速きゅうそく姿すがたした。

くろ電話でんわ使つかえない・らない世代せだい[編集へんしゅう]

上述じょうじゅつのように1980 - 90年代ねんだい電話でんわ事情じじょうおおきく変化へんかしたため、2020年代ねんだいにはくろ電話でんわ使用しよう方法ほうほうがわからないひとえてきた。ときに一種いっしゅジェネレーションギャップかんする話題わだいとして「平成へいせいまれはくろ電話でんわ使つかかたがわからない」というるいはなしることもあり、

  • フジニュースネットワーク番組ばんぐみ街頭がいとうインタビューのなかで「平成へいせいまれにくろ電話でんわ使つかってもらう」という企画きかくおこなったところ、使つかかたがわからず困惑こんわくする様子ようすうつされた[4]
  • 北海道新聞ほっかいどうしんぶん』が「これがなんのマークかからないひとえた」としてくろ電話でんわのアイコン(後述こうじゅつ)の使用しよう廃止はいしした[5]
  • 毎日新聞まいにちしんぶん』の取材しゅざいたいしNTT技術ぎじゅつ史料しりょうかん担当たんとうしゃが「NTTの新入しんにゅう社員しゃいんでも使つかかたらないひとがいます」とこたえた[6]

などといった事態じたいしょうじている。

電話でんわ回線かいせん給電きゅうでんのみで使用しようできる電話機でんわき[編集へんしゅう]

1993ねん平成へいせい5ねん)には、ダイヤルパルス・トーン兼用けんようの900-Pかたち標準ひょうじゅん電話機でんわき提供ていきょう開始かいしされた。きょく給電きゅうでんのみで動作どうさするため、くろ電話でんわ後継こうけいとして、応急おうきゅう復旧ふっきゅうよう資機材しきざいとして備蓄びちくされ、だい規模きぼ災害さいがいさい臨時りんじ無料むりょう公衆こうしゅう電話でんわとして使用しようされるようになった。被災ひさいしゃ電話でんわ回線かいせん復旧ふっきゅうするさい再生さいせいひんの900-Pかたち無償むしょう提供ていきょうされることもある[7]

災害さいがい対策たいさくとして、きょく給電きゅうでんのある電話でんわ回線かいせん電話でんわ回線かいせん給電きゅうでんのみで使用しようできる電話機でんわきわせが有用ゆうようであると、長時間ちょうじかん停電ていでんこるたびにさい認識にんしきされる[8]

IP電話でんわよう終端しゅうたん装置そうちも、ダイヤル電話機でんわき対応たいおうしたものがほとんどであり、たとえばひかり回線かいせんADSLのモデム設定せっていパルス設定せっていすれば、ブロードバンド回線かいせんにも接続せつぞくすることができる。着信ちゃくしん専用せんようとしてなら、プッシュ回線かいせんやトーン信号しんごう専用せんようのIP電話でんわ終端しゅうたん装置そうちにも使用しようできる。ともでんしき着信ちゃくしん専用せんようとして使用しようすることもできる[9]

一部いちぶには「くろ電話でんわ使つかえなくなる」などというセールストークで、機能きのう電話機でんわき高額こうがく値段ねだん販売はんばいリースする悪徳あくとく商法しょうほうもあり、消費しょうひ生活せいかつセンター警察けいさつなどが注意ちゅういびかけている[10]

電話機でんわき象徴しょうちょうとしてのくろ電話でんわ[編集へんしゅう]

電話でんわ番号ばんごうのマークが「くろ電話でんわ」のかたちしている。携帯けいたい電話でんわ通話つうわボタンも同様どうよう意匠いしょうがあしらわれているものがある。着信ちゃくしんメロディにわざわざ「くろ電話でんわ」のベル鳴動めいどうおん提供ていきょうされていることなど、「電話でんわ」としてのイメージもまだつづけているとえる。

くろ電話でんわ凋落ちょうらくまねいた端末たんまつ自由じゆうだったが、その一方いっぽうで、くろ電話機でんわきをNTTから「る」ことも可能かのうになった。このため、NTTから個人こじん売却ばいきゃくされたくろ電話でんわ相当そうとうかずになった。レンタル提供ていきょうすることを目的もくてきとした、こう耐久たいきゅう設計せっけいであったため、601かたち・600かたちあるいは4ごうや3ごう電話機でんわきは、2010年代ねんだいにも稼動かどうオークションなどで流通りゅうつうしている。ダイヤルしき場合ばあい電子でんし部品ぶひん受動じゅどう素子そしだけであり、機構きこう部品ぶひん単純たんじゅんなため、ある程度ていど修理しゅうり可能かのうである。

北海道ほっかいどうから沖縄おきなわまでの四季しき対応たいおうした環境かんきょう試験しけんおこなわれたため、高温こうおん多湿たしつ寒冷かんれい結露けつろなどにも耐久たいきゅうせいがある。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ シルバーホンめいりょう 東日本ひがしにっぽん電信でんしん電話でんわ
  2. ^ ISBN 978-4050034307
  3. ^ 磁石じしゃくしき電話機でんわきのレンタル提供ていきょう廃止はいしについて 西日本にしにほん電信でんしん電話でんわ
  4. ^ 昭和しょうわまれがバレる言葉ことば!? 電話でんわ「ガチャり」? 「プツン」? FNNプライムオンライン公式こうしきYouTubeチャンネル、2020ねん10がつ26にち投稿とうこう
  5. ^ 北海道新聞ほっかいどうしんぶんによるツイート、2022ねん7がつ1にち
  6. ^ 電話でんわといえばあのマーク ダイヤルまわくろ電話でんわなにがすごくて技術ぎじゅつ遺産いさん毎日新聞まいにちしんぶん、2022ねん11月3にち
  7. ^ NTT東日本ひがしにっぽん仮設かせつ住宅じゅうたくなどに転居てんきょする被災ひさいしゃけに固定こてい電話機でんわきを3まんだい無償むしょう提供ていきょう
  8. ^ 停電ていでんでも使つかえる「くろ電話でんわ」を増産ぞうさん 明星電気めいせいでんき 日本経済新聞にほんけいざいしんぶん 2011ねん4がつ2にち
  9. ^ くろ電話でんわいま使つかえるの? 日経にっけいXTECH
  10. ^ こんなセールストークによる販売はんばい勧誘かんゆう訪問ほうもん販売はんばいにご注意ちゅうい 西日本にしにほん電信でんしん電話でんわ

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]